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特許7453868イメージセンサ及びイメージセンサを備えるイメージングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】イメージセンサ及びイメージセンサを備えるイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20240313BHJP
   H04N 25/30 20230101ALI20240313BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20240313BHJP
【FI】
H04N25/70
H04N25/30
H04N25/78
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020117174
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2021036662
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】19185855
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518389244
【氏名又は名称】テレディン ダルサ ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】TELEDYNE DALSA B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 27, 5656 AE Eindhoven, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム ジェイ. キント
(72)【発明者】
【氏名】アロイシウス ダブリュ.エム. コルトウト
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/182402(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行と複数の列とのマトリクスに配置された複数のアクティブ画素を備える画素アレイであって、複数の画素信号を出力するために同一列内の画素の出力が接続される複数の列線を備える前記画素アレイと、
複数の読み出しユニットを備える読み出し回路であって、各読み出しユニットは、入力ノードを備えるとともに、前記入力ノードを介して、対応する列線を読み出すように構成される、前記読み出し回路と、
読み出し用の前記複数のアクティブ画素の中から画素を選択する行コントローラと、
複数の容量ユニットであって、各容量ユニットは、各入力ノードを前記対応する前記列線に容量的に接続するように構成される、前記複数の容量ユニットと、をさらに備え、
前記画素アレイ及び前記複数の容量ユニットは、薄膜トランジスタTFTパネル上に集積され、
前記読み出し回路及び前記行コントローラは、1つ又は複数のCMOS半導体ダイ上に集積される、イメージセンサ。
【請求項2】
前記イメージセンサは、選択された各画素について、第1の画素読み出し及び第2の画素読み出しに基づく相関二重サンプリング測定スキームを実行するように構成され、
前記第1の画素読み出しは、画素がリセットされた所定の時間後に前記画素を読み出すことを備え、前記第2の画素読み出しは、画素がリセットされた直後に読み出すことを備える、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記読み出し回路は、複数の第1のセグメントを含み、
各第1のセグメントは、前記複数の列線に対応し、対応する第1の半導体ダイ上に集積され、
前記イメージセンサは、前記薄膜トランジスタTFTパネルが外部装置に接続されるように構成される複数の第1のフレックスフォイルをさらに含み、
前記対応する第1の半導体ダイは、対応する前記第1のフレックスフォイル上に配置される、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記イメージセンサは、さらに、
各画素について、前記画素信号をバッファするように構成されるソースフォロワと、
各画素について、前記行コントローラによって出力される行選択信号に応じて、前記対応する列線上にバッファリングされた前記画素信号を出力するように構成される選択トランジスタと、
各列線について、前記薄膜トランジスタTFTパネルに集積されたソースフォロワ負荷と、
を備え、
さらに、各画素について、
信号ノードと第1の基準電圧に保持されたノードとの間に配置されたフォトダイオードと、
前記フォトダイオードによって生成された光電流によって電荷を蓄積するように構成された蓄積コンデンサと、
前記フォトダイオードと第2の基準電圧との間に接続されたリセットトランジスタであって、前記行コントローラによって出力されるリセット信号に応じて、前記信号ノード上の電圧を前記第2の基準電圧に設定するように構成される前記リセットトランジスタと、を備える、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記行コントローラは、複数の第2のセグメントを備え、
各第2のセグメントは、
前記画素アレイの複数の行に対応し、
前記複数の行について、行選択信号と、リセット信号と、を出力するドライバを備え、
対応する第2の半導体ダイ上に集積され、
前記イメージセンサは、前記薄膜トランジスタTFTパネルを前記行コントローラの残りの部分に接続するように構成される複数の第2のフレックスフォイルをさらに備え、
各第2の半導体ダイは、対応する第2のフレックスフォイル上に配置され、
及び/または、
記薄膜トランジスタTFTパネルは、アモルファスシリコン、低温多結晶シリコン、又はインジウムガリウム酸化亜鉛をベースとし、
及び/または
前記イメージセンサは、前記画素アレイの上方に配置されたシンチレータ層をさらに含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記読み出し回路及び/又は前記行コントローラは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術に基づく、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
前記読み出し回路は、複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)を備える、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項8】
前記読み出し回路は、充電モード読み出しに基づいて前記列線を読み出すように構成される、請求項7に記載のイメージセンサ。
【請求項9】
各読み出しユニットは、第1の画素読み出し及び第2の画素読み出しとの間に、前記各入力ノード上の電圧を第3の基準電圧に等しく設定するように構成され、
各読み出しユニットは、各画素について、前記容量ユニットへ、または前記容量ユニットからの前記第2の画素読み出しの間の電荷移動に基づいて、出力電圧を決定するように構成され、
各読み出しユニットは、前記第3の基準電圧に接続された非反転入力と、第1のスイッチを介して前記容量ユニットに接続された反転入力と、を有する演算増幅器を含む電荷増幅器を備え、
前記演算増幅器の出力は、フィードバックコンデンサを介して前記反転入力に接続され、
前記読み出しユニットは、前記演算増幅器の前記出力と前記反転入力との間に配置された第2のスイッチをさらに含む、請求項8に記載のイメージセンサ。
【請求項10】
前記イメージセンサは、第2のコントローラを備え、
前記第2のコントローラは、
前記第1の画素読み出しの間に前記第1及び前記第2のスイッチを閉じる場合に、前記入力ノードにおける前記電圧が前記第3の基準電圧に設定されるように、前記第1及び前記第2のスイッチを制御するように構成され、前記第2のスイッチは、第2の画素読み出しの間に開かれ、
前記演算増幅器の出力が複数のアナログデジタルコンバータ(ADC)によって変換される場合に、前記第1のスイッチが開くように構成される、請求項9に記載のイメージセンサ。
【請求項11】
前記読み出し回路は、電圧モード読み出しに基づいて前記列線を読み出すように構成される、請求項7に記載のイメージセンサ。
【請求項12】
前記入力ノードは、高インピーダンス入力ノードを備え、
各読み出しユニットは、第1の画素読み出しの間に前記入力ノード上の電圧を第4の基準電圧に等しく設定し、第2の画素読み出しの間に前記第4の基準電圧に対する前記入力ノードの電圧の変化に基づいて出力電圧を決定するように構成され、
各読み出しユニットは、
前記第1の画素読み出しの間に前記入力ノード上の電圧を前記第4の基準電圧に設定するように構成される電圧設定ユニットであって、前記第1の画素読み出しに対応する値から前記第2の画素読み出しに対応する値に変化した場合に、前記入力ノード上の前記電圧が画素電圧を追跡することを可能にすることによって、第2のモードで高インピーダンス状態を提供するように構成される前記電圧設定ユニットをさらに含む、請求項11に記載のイメージセンサ。
【請求項13】
各読み出しユニットは、さらに、
第3のスイッチを介して前記第4の基準電圧に接続された非反転入力と、第1の演算増幅器の出力に接続された反転入力とを有する第1の演算増幅器と、
第2の演算増幅器を備える電荷増幅器であって、前記第2の演算増幅器は、第5の基準電圧に接続された非反転入力と、前記第1の演算増幅器の前記出力に直列コンデンサと直列第4のスイッチとを介して接続され、フィードバックコンデンサ及び第5のスイッチの並列接続を介して前記第2の演算増幅器の出力に接続された反転入力と、を有する、前記電荷増幅器と、
第3のコントローラと、を備え、
前記第3のコントローラは、
前記第3のスイッチを、前記第1の画素読み出しの間に閉じるとともに、前記第2の画素読み出しの間に開くように構成され、
前記第4のスイッチを、前記第1及び前記第2の画素読み出しの間に閉じるとともに、前記第2の画素読み出し後に開くように構成され、前記第2の演算増幅器の出力が前記複数のアナログデジタルコンバータ(ADC)によって変換されることを可能にし、
前記第5のスイッチを、前記第1の画素読み出しの間に開くとともに、前記第2の画素読み出し中に閉じるように構成される、請求項12に記載のイメージセンサ。
【請求項14】
イメージングシステムであって、
イメージセンサであって、
複数の行と複数の列とのマトリクスに配置された複数のアクティブ画素を備える画素アレイであって、複数の画素信号を出力するために同一列内の画素の出力が接続される複数の列線を備える前記画素アレイと、
複数の読み出しユニットを備える読み出し回路であって、各読み出しユニットは、当該読み出しユニットの入力ノードを介して、対応する列線を読み出すように構成される、前記読み出し回路と、
読み出し用の前記複数のアクティブ画素の中から画素を選択する行コントローラと、を備える前記イメージセンサを備え、
前記イメージセンサは、さらに、複数の容量ユニットを備え、各容量ユニットは、各入力ノードを対応する列線に容量的に接続するように構成され、
前記画素アレイ及び前記複数の容量ユニットは、薄膜トランジスタTFTパネル上に集積され、
前記読み出し回路及び前記行コントローラは、1つ又は複数のCMOS半導体ダイ上に集積され、
処理ユニットは、前記読み出し回路からの出力に基づいて画像を構築するように構成され、
前記イメージングシステムは、物体の複数のX線画像を構築するように構成され、前記イメージングシステムは、撮像対象の物体をX線源と前記イメージセンサとの間に配置されることができるように配置された前記X線源をさらに備える、イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサ、及びイメージセンサを含むイメージングシステムに関する。本発明は、特に、X線イメージセンサ及びイメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に断らない限り、本発明によるイメージセンサは、電磁放射線をキャプチャーするように構成されたイメージセンサを備える。この放射線は、特に可視光の形態であってもよく、またはX線の形態であってもよい。
【0003】
イメージセンサがX線を感知するように構成される場合、イメージセンサは、入射X線光子を吸収し、光電流を生成するように構成されるフォトダイオードのような感光体を備えてもよい。この種の変換は、直接変換と呼ばれる。他のイメージセンサは、入射X線光子を可視光光子に変換するシンチレータ層を備えてもよい。これらの後者の光子は感光体に吸収され得、感光体は次に光電流を生成する。この種の変換は、間接変換と呼ばれる。本発明は、両種の変換に関する。
【0004】
イメージセンサは、典型的には、画素アレイを備える。このアレイは、複数の行と複数の列とのマトリクス内に配置された複数の画素を備える。イメージセンサは、一般に、画素信号を出力するために同一列内の画素の出力が接続される複数の列線をさらに備える。イメージセンサは、読み出し回路をさらに備える。この回路は、複数の読み出しユニットを備え、各読み出しユニットは、読み出しユニットの入力ノードを介して対応する列線を読み出すように構成される。
【0005】
既知のイメージセンサ1の例を図1に示す。ここでは例示のためにマトリクスの単一画素2のみを示す。画素2は、接地と、ゲートが行選択線rsに接続されている選択FET Tsのソース端子との間に接続されるフォトダイオードPDを備える受動画素である。アノードを接地電位に固定する代わりに、-5vといった異なる電位を用いることができる。選択FET Tsのドレイン端子は、列線clに接続される。いくつかの寄生容量はこの線に関連している。図1において、この寄生容量は、コンデンサCpによって示される。典型的には、画素マトリクスの各行は、それぞれの行選択線に接続され、各列は、それぞれの列線に接続される。複数の行選択線を駆動する目的のために、イメージセンサ1は、同一の列内の2つの画素が同時に同一の列線に不注意に接続されないことを保証する行コントローラ(図示せず)を備える。
【0006】
イメージセンサ1は、さらに、読み出し回路を備える。この回路は、複数の読み出しユニット3、典型的には列線当たり1ユニットを備える。図1では、電荷増幅器31と、相関二重サンプリング「CDS」ユニット32と、アナログ-デジタル変換器「ADC」33と、を備える単一の読み出しユニット3が示されている。
【0007】
電荷増幅器31は、演算増幅器のような差動増幅器34を備え、差動増幅器34は、基準電圧Vrefに接続された非反転端子「+」と、フィードバックコンデンサCfを介して増幅器34の出力に接続された反転端子「-」とを有する。スイッチs1は、フィードバックコンデンサCfに並列に配置される。
【0008】
増幅器34の出力は、CDSユニット32に接続され、CDSユニット32は、2つの測定を行い、これらの測定間の差をデジタル数に変換するために、差をADC33に送る。
【0009】
図1において、画素アレイは、薄膜トランジスタ「TFT」パネル上に配置される。特に、TFTパネル上の薄膜トランジスタは、選択トランジスタTsに対応している。フォトダイオードPDは、一般に、TFTパネル上にアモルファスシリコンのような感光性材料の小さな島を配置することによって実現される。
【0010】
図1では、さらに、読み出しユニット3は、半導体ダイ上に配置された集積回路において実現される。半導体ダイ上の集積回路とTFTパネル上の集積回路との間の境界は、点線4によって示される。
【0011】
画素読み出しの間、画素2は、選択FET Tsを通って列線clに接続される。その寄生容量Cpを含む列線clは、電荷増幅器31のスイッチs1によって、最初にVrefにリセットされる。画素2が、選択FET Tsを介して選択される際、フォトダイオードPD(以下、Cdiodeと称する)の内部静電容量もまたVrefに充電される。内部静電容量が、すでに光電流によって放電されていたら、内部静電容量を横切る電位はVref-Vsigで始まる。これは、信号電荷Qsig=Cdiode×VsigがCdiode上に存在することを意味する。フォトダイオードPDをVrefにリセットするために、この信号電荷は、列線を横切って電荷増幅器31のフィードバック容量Cfまで移動しなければならない。これは、今度は、充電増幅器31の出力における電圧が、dV=Qsig/Cfで上昇することを意味する。電荷増幅器31のこの出力電圧ステップ、すなわちVrefからVref+Qsig/Cfへは、CDSユニット32によってサンプリングされる。CDSユニット32のサンプリングされた出力信号は、ADC33によってデジタル数に変換される。CDSユニット32は、電荷増幅器31で生じるリセットノイズ及び電荷注入をキャンセルする。
【0012】
列線clは大きな寄生容量Cpを有する。これは、ノイズ問題を引き起こす。電荷増幅器31は、その非反転端子「+」での電圧に対応するVrefで、Cp上の電位を一定に保っている。しかし、実際には、電荷増幅器31は、Cp上の電圧をVrefにそれ自身のノイズ電圧を加えた値と等しく保つ。後者は、増幅器34の非反転端子「+」と直列の電圧源によって表すことができる。特に、増幅器34は、Cpを増幅器34のノイズに帯電させるために、フィードバックコンデンサCfを通って電流をCpに流す。この電流はCpだけでなくCfも帯電させる。およそCp/Cf程度のノイズゲインがある。典型的には、Cf<<Cp、例えば、Cp=30pF及びCf=300fFであるため、ノイズゲインは非常に高くなり得る。この高いノイズゲインのために、増幅器34のノイズは可能な限り低くなければならない。
【0013】
低ノイズは、高電流を使用して増幅器34の入力段をバイアスすることによって達成することができる。これは、消費電力をかなり増加させ、それによって、イメージセンサの自己発熱を引き起こす。これは、高温だと、間接変換X線イメージセンサに使用されるシンチレータ層が劣化し、フォトダイオードPDの漏れ電流が増加し、ダークノイズ(暗電流)を生じ得るので、問題となる可能性がある。
【0014】
低ノイズを得るための別の方法は、信号をサンプリングするためにCDSユニット32のバンド幅を減らすことである。典型的には、ローパスフィルタが、電荷増幅器31とCDSユニット32との間に挿入される。このローパスフィルタのバンド幅が小さいほど、ノイズは低くなる。明らかに、消費電力(自己発熱)、速度(バンド幅)、及びノイズの間にはトレードオフが存在する。このトレードオフは、受動画素TFTパネルの基本的な制限である。
【0015】
前述のノイズ/速度/電力のトレードオフは、アクティブ画素で回避することができる。図2では、図1と同じまたは類似の構成要素を参照するために同じ参照符号が使用されており、アクティブ画素2が使用される既知のイメージセンサ1が示されている。
【0016】
アクティブ画素2は、リセットFET Trと、選択FET Tsと、ソースフォロワSFと、を備える既知の3トランジスタ(3T)画素である。これは、ソースフォロワSFが画素2内でバッファリング機能を提供するので、アクティブ画素と呼ばれる。
【0017】
アクティブ画素2では、フォトダイオードPDは、フォトダイオードPDの内部の静電容量または外部コンデンサのいずれかである蓄電コンデンサを充電する。この充電はノードNの電圧に反映される。この後者のノードは、リセット線rtを使用して行コントローラ(図示せず)によって制御されるリセットFET Trを使用して、基準電圧vddにリセットすることができる。光を検出すると、その結果生じる光電流が蓄電コンデンサを徐々に放電し、その結果、ノードNでの電圧が低下する。
【0018】
ノードNの電圧は、行選択線rsを使用する行コントローラ(図示せず)よって制御される選択トランジスタTsを使用して読み出すことができる。起動の際、ノードNの電圧は、ソースフォロワSFを介して列線clに置かれる。この後者のトランジスタは、読み出しユニット3の内部にある電流源35を用いてバイアスされる。
【0019】
アクティブ画素2は、一般に、CMOS技術を用いて実現される。しかしながら、TFTパネルと比較して、CMOSベースの画素アレイのサイズは、大きくすることがより困難であり、コストがかかる。従って、TFTパネル上のアクティブ画素アレイを実現するための努力がなされてきた。しかしながら、本出願人は、TFTパネル上のアクティブ画素アレイを実現することに問題がないわけではないことを見出した。特に、ガラスTFTパネル製造プロセスで製造されたトランジスタは、大きな閾値変動を有する。TFTの閾値電圧は、プロセス変動、温度変動、負または正のバイアス温度不安定性、及びX線への曝露のために変化する。これらの効果の全ては、CMOSよりもTFTにおいてはるかに大きい。
【0020】
読み出し回路を実現するための標準的な集積回路製造プロセスを使用することは、使用される電源電圧を例えば3.3Vまたは5Vに制限することになる。読み出しユニット3の入力ノードMの電圧は、供給レール内にあるべきである。TFTの閾値電圧の変化は、信号振幅のための利用可能な空間を減少させる。加えて、ソースフォロワSFをバイアスする電流源35のために、何らかのヘッドルームが必要とされる。
【0021】
閾値変動が3Vであり、3.3V電源が読み出しユニット3に使用される場合、信号のダイナミックレンジは基本的にゼロのままである。1つの選択肢は、TFTパネル用のより高い電源電圧と組み合わせて読み出しユニット3を実現するために、より高価な高電圧CMOSプロセスを使用することである。しかしながら、このような解決策は、TFTパネルに関連する利点を少なくとも部分的に減少させる。
【0022】
本発明の目的は、上記問題が発生しない、または少なくとも上記問題の程度が低い複数のアクティブ画素を備えるイメージセンサを提供することである。
【0023】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載されたイメージセンサによって達成される。イメージセンサは、各入力ノードを対応する列線に容量的に接続するためのコンデンサのような容量ユニットをさらに備えることを特徴とする。
【0024】
入力ノードと列線との間の容量性結合を使用することによって、入力ノードにおける電圧を読み出し回路の動作範囲内の値にシフトさせることが可能となる。特に、画素及び列線を動作させるために使用される基準電圧が、読み出し回路の入力ノード上に配置されることを防止することができる。これにより、本発明のイメージセンサを、TFT技術を用いて実現することができる。
【0025】
イメージセンサは、読み出し用の複数の画素の中から画素を選択する行コントローラをさらに備えてよく、イメージセンサは、選択された各画素について、第1及び第2の画素読み出しに基づく相関二重サンプリング測定「CDS」スキームを実行するように構成される。例えば、第1の画素読み出しは、画素がリセットされた所定の時間後に読み出される画素に対応してよく、第2の画素読み出しは、リセットされた直後に読み出される画素に対応してよい。典型的には、積分時間とも呼ばれる所定の時間は、画素アレイが対応する最大線量で照射される場合に、画素電圧の利用可能な電圧振幅を使用するのに十分である。典型的には、画素アレイは、行ごとに読み出され、リセットされる。画素アレイ全体が読み出され、リセットされた後、X線源または他の電磁放射線源は露光フラッシュを生成し、画素は光を積分する。所定の時間の後、画素が読み出され、行ごとにリセットされる。この最初の画素読み出しでは、採取されるサンプルは、信号レベルと呼ばれる。その直後に、画素がリセットされ、2番目のサンプルが得られる。この2番目のサンプルは、CDSスキームの参照レベルと呼ばれる。
【0026】
画素アレイ及び/または容量ユニットは、薄膜トランジスタ「TFT」パネル上に集積されてもよい。例えば、TFTパネルは、アモルファスシリコン、低温多結晶シリコン、またはインジウムガリウム酸化亜鉛をベースとすることができる。これらの材料は、基板、例えばガラスパネル上に堆積される。感光体は、アモルファスシリコンまたはアモルファスセレンといった感光性材料を基板上に堆積させることによって等しく形成されてよい。
【0027】
読み出し回路及び/または行コントローラは、1つ又は複数の半導体ダイ上に少なくとも部分的に集積される。例えば、読み出し回路及び/又は行コントローラは、相補型金属酸化物半導体「CMOS」技術に基づいてよい。いくつかの実施形態では、読み出し回路は、CMOS技術に基づくが、行コントローラは、TFTパネルに集積される。例えば、行コントローラは、画素アレイ及び容量ユニットに類似の、低温多結晶シリコン技術上に集積され得る。
【0028】
画素アレイ及び容量ユニットを、例えばコンデンサの形態でTFTパネル上に配置することによって、及び、読み出し回路が少なくとも部分的に集積されている1つ又は半導体ダイを使用することによって、1つ又は複数の半導体ダイ上に生じ得る比較的低い電圧と、TFTパネル上に生じ得る比較的高い電圧との間で電圧分離を達成することができる。このようにして、容量ユニットは、1つまたは複数の半導体ダイまたはその上に配置された回路が損傷することを防止する。
【0029】
読み出し回路は、複数の第1のセグメントから構成されてもよく、各第1のセグメントは、複数の列線に対応し、対応する第1の半導体ダイ上に集積されてもよい。第1のセグメントは、互いに同一であってよい。イメージセンサは、複数の第1のフレックスフォイルをさらに備えてよく、第1のフレックスフォイルによってTFTパネルが外部装置に接続され、各第1の半導体ダイは、対応する第1のフレックスフォイル上に配置される。外部装置は、例えば、画素アレイのための様々な読み出しを収集し、読み出しに基づいて画像を構築する装置であってもよい。
【0030】
イメージセンサは、各々の画素について、画素信号をバッファリングするためのソースフォロワと、各画素について、行コントローラによって出力される行選択信号に応じて、対応する列線上にバッファリングされた画素信号を出力するための選択トランジスタとをさらに備えてよい。さらに、イメージセンサは、各列線について、TFTパネル上に集積された電流源または抵抗のようなソースフォロワ負荷を備えてもよい。既知のセンサと比較して、ソースフォロワ負荷は、もはや、読み出し回路が配置されるがTFTパネル上に集積される集積回路の一部ではない。従って、動作中に生じる可能性のある任意の高電圧は、入力ノードと列線との間の容量結合によって、読み出しユニットの入力ノードから隔離された状態に保たれる。
【0031】
さらに、イメージセンサは、各画素について、信号ノードと、グラウンドのような第1の基準電圧に保持されたノードとの間に配置されたフォトダイオードをさらに備えてもよい。各画素は、さらに、フォトダイオードによって生成された光電流によって電荷を蓄積するように構成された蓄積コンデンサと、フォトダイオードと第2の基準電圧との間に接続されたリセットトランジスタであって、行コントローラによって出力されるリセット信号に応じて、信号ノード上の電圧を第2の基準電圧に設定するように構成されるリセットトランジスタとを備えてよい。いくつかの実施形態では、蓄積コンデンサは、フォトダイオードの内部容量によってのみ形成されるが、他の実施形態では、追加のコンデンサがフォトダイオードに並列に配置される。このような追加のコンデンサは、フォトダイオードの内部容量が、所望の飽和容量(フルウェルキャパシティ)を達成するには小さすぎる場合に有利であり得る。
【0032】
行コントローラは、複数の第2のセグメントを備えてよく、各第2のセグメントは、画素アレイの複数の行に対応する。これらの第2のセグメントは同一であってよい。各第2のセグメントは、複数の行について、行選択信号と、該当する場合にはリセット信号と、を出力するドライバをさらに備えてもよく、それぞれの第2の半導体ダイ上に集積されてもよい。イメージセンサは、複数の第2のフレックスフォイルをさらに備え、複数の第2のフレックスフォイルによってTFTパネルは行コントローラの残りの部分に接続され、それぞれの第2の半導体ダイは、それぞれの第2のフレックスフォイル上に配置される。
【0033】
読み出し回路は、複数のアナログ-デジタル変換器「ADC」を備えてもよい。例えば、各列線について単一のADCが提供されてもよい。あるいは、マルチプレクサが従う列並列CDS回路が使用されてもよい。このマルチプレクサは、複数の列線に関連するCDS回路から受信した入力を、1つ以上の高速ADCに導く。この場合、複数の列線についての信号を変換するために、1つのADCが用いられてもよい。
【0034】
読み出し回路は、充電モード読み出しに基づいて列線を読み出すように構成されてよい。例えば、各読み出しユニットは、第1の画素読み出しと第2の画素読み出しとの間に、入力ノード上の電圧を第3の基準電圧に等しく設定するように構成されてもよい。各読み出しユニットは、各画素について、容量ユニットへ、または容量ユニットからの第2の画素読み出しの間の電荷移動に基づいて、出力電圧を決定するように構成してよい。詳細には、各読み出しユニットは、第3の基準電圧に接続された非反転入力と、第1のスイッチを介して容量ユニットに接続された反転入力とを有する演算増幅器を含む電荷増幅器を備えてよい。演算増幅器の出力は、フィードバックコンデンサを介して反転入力に接続されてもよい。各読み出しユニットは、さらに、演算増幅器の出力と反転入力との間に配置された第2のスイッチを備えてもよい。加えて、イメージセンサは、第1の画素読み出しの間に第1及び第2のスイッチを閉じることによって入力ノードにおける電圧が第3の基準電圧に設定されるように、及び、第2の画素読み出しを実行する場合に第2のスイッチが開くように、第1及び第2のスイッチを制御するように構成された第2のコントローラを備えてもよい。第2のコントローラは、演算増幅器の出力がADCによって変換される場合に、第1のスイッチが開くように制御するよう構成されてもよい。
【0035】
代替的に、読み出し回路は、電圧モード読み出しに基づいて列線を読み出すように構成されてもよい。例えば、読み出しユニットの各入力ノードは、高インピーダンス入力ノードとすることができ、各読み出しユニットは、第1の読み出しの間に入力ノード上の電圧を第4の基準電圧に等しく設定し、第2の画素読み出しの間に第4の基準電圧に対する入力ノードの電圧の変化に基づいて出力電圧を決定するように構成されてよい。特に、各読み出しユニットは、第1の画素読み出しの間に入力ノード上の電圧を第4の基準電圧に設定する電圧設定ユニットであって、第2のモードで高インピーダンス状態を提供して、第1の画素読み出しに対応する値から第2の画素読み出しに対応する値に変化した場合に、入力ノード上の電圧が画素電圧を追跡することを可能にする電圧設定ユニットをさらに備えてよい。
【0036】
電圧モード読み出しに基づく読み出しユニットの例示的な実施形態は、第3のスイッチを介して第4の基準電圧に接続された非反転入力と、演算増幅器の出力に接続された反転入力とを有する第1の演算増幅器を備える。さらに、第5の基準電圧に接続された非反転入力と、第1演算増幅器の出力に直列コンデンサ及び直列第4スイッチとを介して接続された反転入力であって、フィードバックコンデンサ及び第5のスイッチの並列接続を介して第2の演算増幅器の出力に接続された反転入力とを有する第2の演算増幅器を備える電荷増幅器を含んでよい。読み出し回路は、さらに、第1の画素読み出しの間に閉じられ、第2の画素読み出しの間に開かれる第3のスイッチを制御し、第1及び第2の画素読み出しの間に閉じ、第2の画素読み出しの後に開く第4のスイッチを制御して、第2の演算増幅器の出力がADCによって変換されることを可能にし、第1の画素読み出しの間に開き、第2の画素読み出しの間に閉じるように第5のスイッチを制御するように構成された第3のコントローラを備えてもよい。
【0037】
実施形態では、読み出し回路のタイミング信号は、読み出し回路及びTFTパネルの外側に通常配置されるメインコントローラによって行コントローラのタイミングに同期される。このメインコントローラは、上述の第2または第3のコントローラに対応し得る。典型的には、メインコントローラは、フィールド プログラマブル フィールド アレイ「FPGA」またはマイクロコントローラであり、パネルから外側及び読み出し回路の外側に配置されてもよい。行コントローラは、行を選択するためのシフトレジスタと、リセット及び行選択線を制御するための数個のゲートとを含むゲートドライバとして具体化することができる。シフトレジスタによって示される行に対するリセット及び行選択線のタイミングは、FPGAまたはマイクロコントローラによってゲートドライバに供給される少数のデジタル信号によって制御することができる。FPGAまたはマイクロコントローラはまた、シフトレジスタのためのクロック及びデータ入力信号を提供してもよい。FPGAはまた、読み出し回路とゲートドライバが同期して動作することを確実にするために、タイミング同期信号を読み出し回路に提供してもよい。
【0038】
イメージセンサは、画素アレイの上方に配置されたシンチレータ層をさらに含んでもよい。このような層は、間接変換イメージセンサに使用されてよい。
【0039】
第2の態様によれば、本発明は、上述のようなイメージセンサと、読み出し回路からの出力に基づいて画像を構築するための処理ユニットとを備えるイメージングシステムを提供する。イメージングシステムは、物体のX線画像を構築するように構成されることができる。この場合、イメージングシステムは、撮像対象の物体をX線源とイメージセンサとの間に配置されることができるように配置されたX線源をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下において、本発明は、添付の図面によって示される実施例を参照して、より詳細に説明される。
図1】受動画素を使用する、既知のTFTベースのイメージセンサの例を示す。
図2】アクティブ画素を使用する、既知のTFTベースのイメージセンサの例を示す。
図3】TFTパネルに適用される本発明の構想を概略的に示す。
図4】電圧モード読み出しを使用する、本発明によるイメージセンサの一実施形態を示す。
図5】電圧モード読み出しを使用する、本発明によるイメージセンサのさらなる実施形態を示す。
図6】電荷モード読み出しを使用する、本発明によるイメージセンサの一実施形態を示す。
図7】本発明によるイメージセンサの一実施形態のレイアウトを示す図である。
図8】本発明によるX線イメージングシステムを示す。
【0041】
図3は、TFTパネルに適用される本発明の構想を概略的に示す。より具体的には、本発明によるイメージセンサ100の一実施形態は、図2のイメージセンサと同様に、画素アレイを備え、その単一のアクティブ画素102が図3に示されている。アクティブ画素102は、リセット線rtを介して制御されるリセットトランジスタTrと、行選択線rsを介して制御される選択トランジスタTsと、ソースフォロワSFとを備える。
【0042】
入力ノードMを備える読み出しユニット103は、相関二重サンプリングユニット132とADC変換器133とを備える。
【0043】
TFTパネルと半導体ダイ上に配置された集積回路との間の境界を示す点線104によって示されるように、ソースフォロワSF用の負荷として作用する電流源135は、TFTパネル上に配置され、一方、読み出しユニット103は、半導体ダイ上に集積される。入力ノードMと列線clとの間の容量結合は、TFTパネル上に等しく形成され、入力ノードMと列線clとの間の電圧レベルシフトを提供するコンデンサCcによって提供される。コンデンサCcは、単純な平行プレートコンデンサとしてTFTパネル上に実装されてよい。
【0044】
読み出しユニット103が、TFT閾値変動のために電圧ヘッドルームを犠牲にする必要がないように、TFTのいかなる閾値電圧変動もコンデンサCcに記憶される。
【0045】
電流源135は、パネル内の各列に対して1つのトランジスタが存在する電流ミラーとして実施されてよい。電流源135は、カスコード化された電流源として実施されてもよい。ミラーの入力は、TFTパネル上の(一対の)トランジスタであってもよい。ミラーに対するバイアス電流は、複数の列線clに対して単一のバイアス電流が発生される場合には、読み出しユニット103の内部または読み出し回路の内部で発生させることができる。
【0046】
図4は、電圧モード読み出しを使用する、本発明によるイメージセンサ200の一実施形態を示す。図4は、CDSユニット132の比較的単純な実装を示す。
【0047】
画素行が選択される限り、列線cl上の電圧は、所定のDC電圧に常に定着する。この定着にはしばらく時間がかかるが、定着後、DC電圧は、ノードN上の電圧からソースフォロワの閾値Vthを引いた電圧として実質的に定められる。
【0048】
イメージセンサ200の動作を、図4の右上隅に示されているタイミング図を参照して説明する。ノードNの電圧は、最初はvdd-vsigであり、ここで、vddは、リセット後の元の電位であり、vsigは、露光によって電位が低下した量である。Ccの左側のプレート上の電圧はvdd-vsig-Vthであり、ここでVthはソースフォロワSFの閾値である。コンデンサCcの右側のプレート上の電圧は、スイッチSinを介してVrefに引き出される。コンデンサCcの電圧は電圧Vcapであって、Vcap=vdd-vsig-Vth-Vrefに等しい。
【0049】
しばらくしてVcapが定着すると、タイミング図のSinの負のエッジに示されるようにスイッチSinが開く。この点以降、Ccの右側のプレート上の電圧は、左側のプレート上のシフトを追跡する。特に、入力ノードMに関連する高い入力インピーダンスのために、コンデンサCcの側面から入力ノードMに流れ込む電流は、実質的には存在しない。Ccを通って電流が流れない場合、Ccの電圧は一定である。これは、右側のプレート上の電圧が、上で計算したVcapに等しいレベルシフトで、左側のプレート上の電圧を追跡するだけであることを意味する。
【0050】
Sinを開くとすぐにSsigが開き、Csig上の信号レベルがCDSユニット132によってサンプリングされる。Csig上の電圧は、一次的にVrefに等しくなる。二次的には、Sinを開くときに生じる電荷注入と、Ssigを開くときに生じる電荷注入を加えたVrefに等しい。
【0051】
CDSユニット132によるCsig上の信号レベルのサンプリング後、画素102がリセットされる。ノードN上の電圧はvdd-vsigからvddに変化する。列線cl上の電圧は、vdd-vsig-Vthからvdd-Vthに変化する。これは、列電圧がVsigの量で上昇することを意味する。その結果、Cref上の電圧は、VrefからVref+Vsigに上昇する。Srefを開いた後、Cref上の信号レベルがCDSユニット132によってサンプリングされる。第1の画素読み出しから第2の画素読み出しを差し引くこと、即ちVref-(Vref+Vsig)=Vsigによって、キャプチャーされた光量に関連する画素信号中の構成要素が抽出され得る。この値は、その後、ADCユニット133によってデジタル数に変換されてよい。
【0052】
CcとCrefとの間の容量差による信号電圧の容量減衰が存在する。しかし、Cc>>Crefであるため、この減衰は無視することができる。あるいは、電圧バッファは、入力ノードMとスイッチSsig及びSrefとの間に配置されて、Csig及び/またはCrefによって引き起こされる負荷容量を抑制してもよい。
【0053】
図5は、電圧モード読み出しを使用する本発明によるイメージセンサ300のさらなる実施形態を示す。
【0054】
CcとSinの動作は、図4と全く同じである。さらに、同じ構成要素または類似の構成要素を指すために、同じ参照符号が使用される。
【0055】
CDSユニット132は、第1演算増幅器1321を備え、第1演算増幅器は、読み出しユニット103が高い入力インピーダンスを有することを保証する電圧バッファとして作用し、画素102がリセットされているときにCcの右側プレート上で生じる電圧ステップが正確に追跡されることを可能にする。容量電圧差は、バッファの入力キャパシタンスのみが列線clを負荷するので、この実装では小さくてもよい。
【0056】
CDSユニット132は、さらに、電荷増幅器として動作する第2演算増幅器1322を備える。増幅器1322の非反転入力は、基準電圧Vcmに接続され、反転入力は、スイッチSshとコンデンサCsとの直列接続を介して増幅器1321の出力側に接続される。反転入力は、さらに、フィードバックコンデンサCfを介して増幅器1322の出力に接続される。スイッチSrstは、コンデンサCfに並列に配置され、増幅器1322の出力は、ADCユニット133に接続される。
【0057】
この実施形態では、読み出しユニット103は、画素102がリセットされているときにCcの右側のプレート上で生じる電圧ステップが正確に追跡されることを可能にする高い入力インピーダンスを有する。
【0058】
最初に、列線clがvdd-vsig-Vthである際に、Sinは、コンデンサCcの右側のプレートをVrefにする。このとき、CDSユニット132のSrstは閉じられているので、コンデンサCs上の電圧は、Vref-Vcmになる。続いて、Sinが開き、Cc上の電圧がサンプリングされる。その後、Srstが開く。これにより、コンデンサCfのリセットが終了する。画素102がリセット線rtを用いてリセットされる場合、入力ノードM上に量Vsigの電圧ステップが存在し、これもまた、Ccの右側のプレート及びCsの左側のプレートに反映される。Csの右側のプレートはVcmに固定されているので、Csを通り、Cfを流れる電流が生じる。その結果、CDSユニット132の出力は、リセットの間のレベルであるVcmから、Vcm+Vsig×Cs/Cfに変化する。これは、CDSユニット132が、コンデンサンス比に依存するゲインで画素信号電圧を取得し、レベルが信号電圧を新しい基準レベルVcmにシフトすることを明示する。Vcmは、CDSユニット132及びADCユニット133のための任意の好都合な電圧レベルで選択され、これらのユニット内の構成要素の電気的破壊を防止することができる。例えば、Vcmは、増幅器1322の負の供給電圧の必要性を避けるために、増幅器1322によって容易に到達することができる0V以上の電圧レベルに設定することができる。
【0059】
スイッチSshが開く際、Csを通る電流はもはや存在せず、したがってCfを通る電流もない。これは、ADCユニット133によるその後のADC変換のために、CDSユニット132の出力上の信号電圧を凍結し/サンプリングし/記憶する。
【0060】
図6は、充電モード読み出しを使用する本発明によるイメージセンサの一実施形態を示す。この場合、読み出しユニット103は、演算増幅器1323を用いて形成された電荷増幅器を備えるが、スイッチSrst及びSin及びタイミング信号と共に、電荷増幅器は実際にCDS動作を実行する。このCDS動作は、図4及び図5に関連して説明したCDSユニット132の動作と非常に類似している。
【0061】
最初、Ccの左側のプレートはvdd-vsig-Vthにある。最初に、Sin及びSrstはONであり、これにより、演算増幅器1323は、Ccの右側プレート上のVrefに等しい電圧を強制的に印加することができ、この電圧は、例えば、増幅器1323の供給レール間の電圧に対応し得る。その後、Srstが開く。その後、演算増幅器1323は、電流をフィードバックコンデンサCfに強制的に入れることによって入力ノードMの電圧にのみ影響を与えることができる。その後、画素102がリセットされる。これにより、列線電圧がvdd-vsig-Vthからvdd-vsigにシフトする。演算増幅器1323の反転入力は、Vrefで一定のままである。したがって、Cc間の電圧は量Vsigで変化する。この電圧の変化は、Cc×Vsigに等しい電荷の変化を意味する。したがって、電荷はCfを通ってCcに流れるはずである。この電荷は、演算増幅器1323の出力における電位を、VrefからVref+Vsig×(Cc/Cf)に増大させる。最終的に、Sinが開かれ、演算増幅器1323が列線clから分離する。この時点以降、入力ノードMに流れ込む電流がなくなり、それによって演算増幅器1323の出力電圧がフリーズする。この出力電圧は、ADCユニット133によって処理され得る。
【0062】
図4から図6に示されるADCユニット133は、列平行ADCか、または画素アレイの複数の列の間で共有されるADCであり得る。
【0063】
図5及び図6に示す実施形態では、Ccの値は、CDSユニット133のゲインに影響を及ぼす。Ccの値は、列によって異なり得る。これは、列ゲインパターンを引き起こす。Ccの値は、温度/寿命にわたって一定であり、フラットフィールド補正のような較正によってゲインパターンを除去することに都合がいい。
【0064】
図7は、本発明によるイメージセンサ500の一実施形態のレイアウトを示す。右側では、行ドライバ集積回路501は、画素アレイが配置されるパネル503に接合されたフレックスフォイル502上に配置される。回路501は、行選択線及びリセット線を制御する。より詳細には、各集積回路501は、複数の画素列のための行選択線及びリセット線を駆動する。これらの回路は、行コントローラの一部である。一実施形態では、行コントローラは、回路501によって実質的に完全に形成される。他の実施形態では、行コントローラは、パネル503及びフレックスフォイル502から離れて配置される追加の回路を備えてもよい。例えば、パネル503は、別個のプリント回路基板(不図示)に取り付けられることができ、プリント回路基板上の回路とパネル503との間の電気的接続は、フレックスフォイル502を介して得られる。このような場合には、上述の追加の回路は、プリント回路基板上で実現されることができる。列線をアレイの中心に分割することも可能である。列線が、各々、上半分及び下半分に分割される場合、列線の上半分に接続された画素アレイの上半分と列線の下半分に接続された画素アレイの下半分とを読み出すために、画素アレイの両側に読み出し回路が存在すべきである。この方法は、回路の量を2倍にするが、検出器の全体速度も2倍に増加させる。
【0065】
列線の分割にかかわらず、画素アレイの片側または両側から行選択線を駆動することも可能である。行選択線のRC負荷の実質的に半分のみが画素アレイの片側にゲートドライブを読み出すので、両側で駆動することは、速度の利点を提供する。
【0066】
読み出し回路はまた、フレックスフォイル505に取り付けられた別個の複数の集積回路504に分割されることもできる。また、この場合には、読み出し回路は、集積回路によって完全に形成されることができるか、読み出し回路の一部は、プリント回路基板上に配置されることができる。さらに、各集積回路504は、多数の列線のための複数の読み出しユニットを備える。
【0067】
図8は、本発明によるX線イメージングシステム1000を示す。それは、X線源1100とイメージセンサ1200と、それらの中間の画像化すべき物体1300とを備える。全体制御及び処理ユニット1400は、X線源1100とイメージセンサ1200との制御、及び、イメージセンサ1200の出力に基づくX線画像の構築を提供してよい。図4から図6に示されるイメージセンサのいずれも、イメージセンサ1200として使用されてもよい。
【0068】
以上、本発明をその詳細な実施形態を用いて説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の修正を加えることができる。
【0069】
例えば、いくつかの直接変換検出器は、電子ではなく正孔を統合する。このような検出器では、「ノードN」での電圧は、減少するのではなく、積分によって増加している。このような画素では、ノードNをリセットするために使われる「vdd」は、ソースフォロワ「SF」のドレインに接続されている「vdd」とは異なる電位である。これは、読み出し回路内の相関二重サンプリング回路によって感知される電圧ステップの方向を変化させる。当業者は、本発明がこのような実施形態に等しく関連することを容易に理解するであろう。
本出願時の特許請求の範囲に記載の内容を以下に記載しておく。
(項目1)
複数の行と複数の列とのマトリクスに配置された複数のアクティブ画素を備える画素アレイであって、複数の画素信号を出力するために同一列内の画素の出力が接続される複数の列線を備える前記画素アレイと、
複数の読み出しユニットを備える読み出し回路であって、各読み出しユニットは、当該読み出しユニットの入力ノードを介して、対応する列線を読み出すように構成される、前記読み出し回路と、を備え、
各入力ノードを対応する前記列線に容量的に接続するためのコンデンサのような容量ユニットをさらに備えることを特徴とする、イメージセンサ。
(項目2)
読み出し用の前記複数の画素の中から画素を選択する行コントローラをさらに備え、
前記イメージセンサは、選択された各画素について、第1及び第2の画素読み出しに基づく相関二重サンプリング測定スキームを実行するように構成され、
前記第1の画素読み出しは、好ましくは、画素がリセットされた所定の時間後に読み出される画素に対応し、前記第2の画素読み出しは、好ましくは、リセットされた直後に読み出される画素に対応する、項目1に記載のイメージセンサ。
(項目3)
前記画素アレイ及び/又は前記容量ユニットは、薄膜トランジスタTFTパネル上に集積され、
前記読み出し回路及び/又は前記行コントローラは、1つ又は複数の半導体ダイ上に少なくとも部分的に集積される、項目1又は2に記載のイメージセンサ。
(項目4)
前記読み出し回路は、複数の第1のセグメントから構成され、
各第1のセグメントは、前記複数の列線に対応し、対応する第1の半導体ダイ上に集積され、
前記イメージセンサは、複数の第1のフレックスフォイルをさらに含み、前記第1のフレックスフォイルによって、前記TFTパネルが外部装置に接続され、
各第1の半導体ダイは、対応する前記第1のフレックスフォイル上に配置される、項目3に記載のイメージセンサ。
(項目5)
前記イメージセンサは、
各画素について、前記画素信号をバッファリングするためのソースフォロワと、
各画素について、前記行コントローラによって出力される行選択信号に応じて、前記対応する列線上にバッファリングされた前記画素信号を出力するための選択トランジスタと、
各列線について、前記TFTパネルに集積された、電流源または抵抗のようなソースフォロワ負荷と、
を備え、
好ましくは、さらに、各画素について、
信号ノードと第1の基準電圧に保持されたノードとの間に配置されたフォトダイオードと、
前記フォトダイオードによって生成された光電流によって電荷を蓄積するように構成された蓄積コンデンサと、
前記フォトダイオードと第2の基準電圧との間に接続されたリセットトランジスタであって、前記行コントローラによって出力されるリセット信号に応じて、前記信号ノード上の電圧を前記第2の基準電圧に設定するように構成される前記リセットトランジスタと、を備える、項目2に従属する、項目3又は4に記載のイメージセンサ。
(項目6)
前記行コントローラは、複数の第2のセグメントを備え、
各第2のセグメントは、
前記画素アレイの複数の行に対応し、
前記複数の行について、前記行選択信号と、該当する場合には前記リセット信号と、を出力するドライバを備え、
対応する第2の半導体ダイ上に集積され、
前記イメージセンサは、複数の第2のフレックスフォイルをさらに備え、前記第2のフレックスフォイルによって前記TFTパネルは前記行コントローラの残りの部分に接続され、
各第2の半導体ダイは、対応する第2のフレックスフォイル上に配置され、
及び/または、
前記TFTパネルは、アモルファスシリコン、低温多結晶シリコン、又はインジウムガリウム酸化亜鉛をベースとし、
及び/または
前記イメージセンサは、前記画素アレイの上方に配置されたシンチレータ層をさらに含む、項目2に従属する、項目3から5のいずれか一項に記載のイメージセンサ。
(項目7)
前記読み出し回路及び/又は前記行コントローラは、相補型金属酸化物半導体CMOS技術に基づく、項目1から6のいずれか一項に記載のイメージセンサ。
(項目8)
前記読み出し回路は、複数のアナログ-デジタル変換器ADCを備える、項目1から7のいずれか一項に記載のイメージセンサ。
(項目9)
前記読み出し回路は、充電モード読み出しに基づいて前記列線を読み出すように構成される、項目8に記載のイメージセンサ。
(項目10)
各読み出しユニットは、前記第1の画素読み出し及び前記第2の画素読み出しとの間に、前記入力ノード上の電圧を第3の基準電圧に等しく設定するように構成され、
各読み出しユニットは、各画素について、前記容量ユニットへ、または前記容量ユニットからの前記第2の画素読み出しの間の電荷移動に基づいて、出力電圧を決定するように構成され、
各読み出しユニットは、好ましくは、前記第3の基準電圧に接続された非反転入力と、第1のスイッチを介して前記容量ユニットに接続された反転入力と、を有する演算増幅器を含む電荷増幅器を備え、
前記演算増幅器の出力は、フィードバックコンデンサを介して前記反転入力に接続され、
前記読み出しユニットは、前記演算増幅器の前記出力と前記反転入力との間に配置された第2のスイッチをさらに含む、項目9に記載のイメージセンサ。
(項目11)
前記イメージセンサは、第2のコントローラを備え、
前記第2のコントローラは、
前記第1の画素読み出しの間に前記第1及び前記第2のスイッチを閉じることによって、前記入力ノードにおける前記電圧が前記第3の基準電圧に設定されるように、及び、第2の画素読み出しを実行する場合に前記第2のスイッチが開くように、前記第1及び前記第2のスイッチを制御し、
前記演算増幅器の出力がADCによって変換される場合に、前記第1のスイッチが開くように制御する、項目2に従属する項目10に記載のイメージセンサ。
(項目12)
前記読み出し回路は、電圧モード読み出しに基づいて前記列線を読み出すように構成される、項目8に記載のイメージセンサ。
(項目13)
前記入力ノードは、高インピーダンス入力ノードであって、
各読み出しユニットは、前記第1の読み出しの間に前記入力ノード上の電圧を第4の基準電圧に等しく設定し、前記第2の画素読み出しの間に前記第4の基準電圧に対する前記入力ノードの電圧の変化に基づいて出力電圧を決定するように構成され、
各読み出しユニットは、項目3に記載する限りにおいて、好ましくは、
前記第1の画素読み出しの間に前記入力ノード上の電圧を前記第4の基準電圧に設定する電圧設定ユニットであって、前記第2のモードで高インピーダンス状態を提供して、前記第1の画素読み出しに対応する値から前記第2の画素読み出しに対応する値に変化した場合に、前記入力ノード上の前記電圧が前記画素電圧を追跡することを可能にする前記電圧設定ユニットをさらに含む、項目12に記載のイメージセンサ。
(項目14)
各読み出しユニットは、さらに、
第3のスイッチを介して前記第4の基準電圧に接続された非反転入力と、前記第1の演算増幅器の出力に接続された反転入力とを有する第1の演算増幅器と、
第5の基準電圧に接続された非反転入力と、前記第1の演算増幅器の前記出力に直列コンデンサと直列第4のスイッチとを介して接続された反転入力であって、フィードバックコンデンサ及び第5のスイッチの並列接続を介して前記第2の演算増幅器の出力に接続された前記反転入力と、を有する、電荷増幅器と、
第3のコントローラと、を備え、
前記第3のコントローラは、
前記第1の画素読み出しの間に閉じられ、前記第2の画素読み出しの間に開かれる前記第3のスイッチを制御し、
前記第1及び前記第2の画素読み出しの間に閉じ、前記第2の画素読み出し後に開く前記第4のスイッチを制御して、前記第2の演算増幅器の出力が前記ADCによって変換されることを可能にし、
前記第5のスイッチを、前記第1の画素読み出しの間に開き、前記第2の画素読み出し中に閉じるように制御する、項目13に記載のイメージセンサ。
(項目15)
イメージングシステムであって、
項目1から14のいずれか一項に記載の前記イメージセンサと、
前記読み出し回路からの出力に基づいて画像を構築するための処理ユニットと、
を備え、
前記イメージングシステムは、好ましくは物体のX線画像を構築するように構成され、前記イメージングシステムは、撮像対象の前記物体をX線源と前記イメージセンサとの間に配置されることができるように配置された前記X線源を好ましくはさらに備える、イメージングシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8