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特許7453870媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240313BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240313BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B65H5/06 J
B65H7/14
H04N1/00 567K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020123115
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019335
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】荒井 雄太
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-058356(JP,A)
【文献】特開2019-59615(JP,A)
【文献】特開2020-83620(JP,A)
【文献】特開2004-250201(JP,A)
【文献】特開2018-039233(JP,A)
【文献】特開2007-076103(JP,A)
【文献】実開平04-005437(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 7/14
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送ローラと、
媒体を撮像する撮像部と、
前記搬送ローラを駆動するDCモータと、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達したことを検出する検出部と、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達するまで前記DCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達した後に前記電流制限値を前記第1制限値より大きい第2制限値に変更する設定部と、
前記撮像部による撮像が行われる場合には、前記第2制限値に基づいて前記DCモータを回転させて前記搬送ローラを駆動する制御部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体搬送方向において前記搬送ローラより上流側に設けられた給送ローラと、
前記給送ローラを駆動する第2モータと、をさらに有し、
前記制御部は、媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達するまで前記第2モータを回転させ、媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達した後に前記第2モータを停止させる、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
搬送される媒体の種類を判定する判定部をさらに有し、
前記設定部は、前記判定部により判定された媒体の種類に応じて、前記電流制限値を変更するか否かを決定する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
搬送される媒体の種類を判定する判定部をさらに有し、
前記設定部は、前記判定部により判定された媒体の種類に応じて、前記第2制限値を変更する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
搬送される媒体の厚さを検出するための厚さセンサをさらに有し、
前記判定部は、前記厚さセンサにより検出された媒体の厚さに基づいて、搬送される媒体の種類を判定する、請求項3または4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
超音波を発信する超音波発信部、及び、前記超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサをさらに有し、
前記判定部は、前記超音波信号に基づいて、搬送される媒体の種類を判定する、請求項3~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
媒体に印刷する印刷部と、
前記撮像部により撮像された媒体を前記印刷部に搬送する第2ローラと、
前記第2ローラを駆動する第3モータと、をさらに有し、
前記検出部は、媒体の先端が前記撮像部と前記第2ローラの間に到達したことをさらに検出し、
前記設定部は、前記媒体の先端が前記撮像部と前記第2ローラの間に到達した後に、前記電流制限値を前記第2制限値より小さい第3制限値に変更する、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体を搬送する搬送ローラと、媒体を撮像する撮像部と、前記搬送ローラを駆動するDCモータと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達したことを検出し、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達するまで前記DCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達した後に前記電流制限値を前記第1制限値より大きい第2制限値に変更し、
前記撮像部による撮像が行われる場合には、前記第2制限値に基づいて前記DCモータを回転させて前記搬送ローラを駆動する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
媒体を搬送する搬送ローラと、媒体を撮像する撮像部と、前記搬送ローラを駆動するDCモータと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達したことを検出し、
媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達するまで前記DCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が前記搬送ローラと前記撮像部の間に到達した後に前記電流制限値を前記第1制限値より大きい第2制限値に変更し、
前記撮像部による撮像が行われる場合には、前記第2制限値に基づいて前記DCモータを回転させて前記搬送ローラを駆動する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、DC(Direct Current)モータを用いて媒体を搬送する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体搬送装置において、媒体を搬送するためのモータとしてDCモータが利用される場合がある。DCモータは、低コストであり且つ容易に速度を調整できるが、負荷変動等の外的要因によって必要な電流の大きさが変動する。一般に、媒体搬送装置には、AC(Alternating Current)アダプタを用いて電源が供給されるため、媒体搬送装置の供給容量には制限がある。そのため、DCモータを用いて媒体を搬送する媒体搬送装置において、DCモータが使用する電流の大きさを適切に制御する必要がある。
【0003】
最初の所定区間は固定デューティのPWM信号によりDCモータを駆動して給紙動作を行い、用紙の先端がレジセンサに検出されたら位置フィードバック制御により給紙を行う給紙装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-291433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DCモータを用いて媒体を搬送する媒体搬送装置では、DCモータが使用する電流の大きさをより適切に制御することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、DCモータを用いて媒体を搬送する媒体搬送装置において、DCモータが使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送ローラと、媒体を撮像する撮像部と、搬送ローラを駆動するDCモータと、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達したことを検出する検出部と、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達するまでDCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達した後に電流制限値を第1制限値より大きい第2制限値に変更する設定部と、撮像部による撮像が行われる場合には、第2制限値に基づいてDCモータを回転させて搬送ローラを駆動する制御部と、を有する。
【0008】
本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を搬送する搬送ローラと、媒体を撮像する撮像部と、搬送ローラを駆動するDCモータと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達したことを検出し、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達するまでDCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達した後に電流制限値を第1制限値より大きい第2制限値に変更し、撮像部による撮像が行われる場合には、第2制限値に基づいてDCモータを回転させて搬送ローラを駆動する。
【0009】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送ローラと、媒体を撮像する撮像部と、搬送ローラを駆動するDCモータと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達したことを検出し、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達するまでDCモータにおける電流制限値を第1制限値に設定し、媒体の先端が搬送ローラと撮像部の間に到達した後に電流制限値を第1制限値より大きい第2制限値に変更し、撮像部による撮像が行われる場合には、第2制限値に基づいてDCモータを回転させて搬送ローラを駆動することを媒体搬送装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、DCモータを用いて媒体を搬送する媒体搬送装置において、DCモータが使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図4】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図5】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7A】トルクの大きさについて説明するための模式図である。
図7B】トルクの大きさについて説明するための模式図である。
図7C】トルクの大きさについて説明するための模式図である。
図8】他の媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
図9】他の媒体搬送装置200内部の搬送経路を説明するための図である。
図10】媒体搬送装置200の概略構成を示すブロック図である。
図11】他の媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
図12】他の処理回路450の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙等の薄い媒体、又は、厚紙、プラスチックカード、冊子もしくはパスポート等の厚みのある媒体である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0015】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、媒体搬送装置100の前面(上側筐体102)と対向するように折り畳み可能に設けられている。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、厚さセンサ発光器114a、厚さセンサ受光器114b、超音波発信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116、第2搬送ローラ117、第2媒体センサ118、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを総じて撮像装置119と称する場合がある。
【0020】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0021】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。
【0022】
給送ローラ112及びブレーキローラ113は、媒体搬送方向A1において第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117より上流側に設けられる。給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置される。
【0023】
厚さセンサ発光器114a及び厚さセンサ受光器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117より上流側に配置される。厚さセンサ発光器114a及び厚さセンサ受光器114bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。厚さセンサ発光器114aは、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、厚さセンサ受光器114bは、厚さセンサ発光器114aにより照射され、搬送される媒体を通過した光を受光し、受光した光の強度(光量)に応じた電気信号である厚さ信号を生成して出力する。以下では、厚さセンサ発光器114a及び厚さセンサ受光器114bを総じて厚さセンサ114と称する場合がある。
【0024】
厚さセンサ発光器114aと厚さセンサ受光器114bの間に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により減衰する。その媒体の厚さが大きい程、厚さセンサ発光器114aから放射された光はその媒体によって遮られ、厚さセンサ受光器114bの受光量が小さくなり、厚さ信号の信号値が小さくなる。一方、その媒体の厚さが小さい程、厚さセンサ発光器114aから放射された光はその媒体を透過し、厚さセンサ受光器114bの受光量が大きくなり、厚さ信号の信号値が大きくなる。なお、厚さセンサ発光器114aと厚さセンサ受光器114bの間に媒体が存在しない場合、厚さセンサ発光器114aから放射された光は全く遮られることなく厚さセンサ受光器114bに達する。そのため、その場合の厚さ信号の信号値は、厚さセンサ発光器114aと厚さセンサ受光器114bの間に極薄の媒体が存在する場合よりさらに大きくなる。即ち、厚さセンサ114は、厚さセンサ受光器114bが受光した光量により、その位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、搬送される媒体の厚さを検出する。
【0025】
なお、厚さセンサ114として、厚さセンサ発光器114a及び厚さセンサ受光器114b以外の手段が用いられてもよい。例えば、厚さセンサ114として、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサが用いられてもよい。反射光センサは、媒体の表面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間を検出し、検出した時間の長さに応じた信号を厚さ信号として生成する。圧力センサは、媒体の紙厚に応じて変化する圧力を検出し、検出した圧力の大きさに応じた信号を厚さ信号として生成する。機械式センサは、媒体に接するローラの移動量を検出し、検出した移動量に応じた信号を厚さ信号として生成する。
【0026】
超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117より上流側に配置される。超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器115aは、超音波を出力可能である。一方、超音波受信器115bは、超音波発信器115aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
【0027】
第1搬送ローラ116は、下側筐体101に設けられる。第2搬送ローラ117は、上側筐体102に設けられ、第1搬送ローラ116と対向して配置される。第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117は、搬送ローラの一例であり、媒体搬送方向A1において給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側に設けられる。第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117は、給送ローラ112及びブレーキローラ113により給送された媒体を撮像装置119に搬送する。
【0028】
第2媒体センサ118は、媒体搬送方向A1において第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117より下流側且つ撮像装置119より上流側に配置される。第2媒体センサ118は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ118は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して出力する。第2媒体センサ118の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体センサ118の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0029】
第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0030】
同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0031】
第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bは、撮像部の一例である。なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0032】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0033】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第2搬送ローラ117の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置119aと第2撮像装置119bの間に送り込まれる。撮像装置119により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0034】
図3は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0035】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、DCモータ131、第2モータ132、インタフェース装置133、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0036】
DCモータ131は、処理回路150からの制御信号によって、第1~第4搬送ローラ116、117、120及び121を駆動して回転させ、媒体を搬送させる。なお、DCモータ131は、第1~第4搬送ローラ116、117、120及び121の内、少なくとも第1搬送ローラ116又は第2搬送ローラ117を含む一部のローラのみを駆動してもよい。その場合、他の搬送ローラは、第2モータ132により駆動される。また、DCモータ131は、給送ローラ112及び/又はブレーキローラ113を駆動して回転させ、媒体を給送させてもよい。
【0037】
DCモータ131は、処理回路150によって指定される速度となるように所定の電圧をPWM(Pulse Width Modulation)変調する変調回路を含み、変調回路がPWM復調した電圧に従って回転する。DCモータ131は、第1~第4搬送ローラ116、117、120及び121によって搬送される媒体の種類又は状態によって変化する、DCモータ131にかかる負荷の大きさに関わらず、一定速度で回転するように、コイルに流れる電流の大きさを制御する。また、DCモータ131は、コイルに流れる電流の上限値である電流制限値を変更することが可能な公知の制御回路を含み、処理回路150からの制御信号に従って電流制限値を変更する。
【0038】
第2モータ132は、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112及びブレーキローラ113を駆動して回転させ、媒体を給送させる。第2モータ132は、ステッピングモータである。なお、第2モータ132は、DCモータでもよい。また、給送ローラ112及びブレーキローラ113は、別個のモータにより駆動されてもよい。
【0039】
インタフェース装置133は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置133の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0040】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0041】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0042】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、厚さセンサ114、超音波センサ115、第2媒体センサ118、撮像装置119、DCモータ131、第2モータ132、インタフェース装置133及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、DCモータ131及び第2モータ132を駆動して各ローラに媒体を搬送させ、撮像装置119から入力画像を取得してインタフェース装置133を介して情報処理装置に送信する。特に、処理回路150は、第2媒体センサ118から受信した第2媒体信号に基づいて、DCモータ131における電流制限値を変更する。
【0043】
図4は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0044】
図4に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、設定プログラム142、判定プログラム143及び検出プログラム144等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151、設定部152、判定部153及び検出部154として機能する。
【0045】
図5図6は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0046】
以下、図5図6に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図5図6に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0047】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0048】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0049】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0050】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、設定部152は、DCモータ131における電流制限値を第1制限値に設定する(ステップS103)。第1制限値は、その大きさの電流でDCモータ131を駆動させた場合のDCモータ131の消費電力と第2モータ132の消費電力との合計にマージンを加えた値が媒体搬送装置100の定格消費電力を超えないような電流の大きさに予め設定される。
【0051】
次に、制御部151は、第2モータ132を駆動して回転させ、給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させて、媒体を給送させる。さらに、制御部151は、DCモータ131を駆動して回転させ、第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS104)。
【0052】
なお、制御部151は、DCモータ131の回転速度が、予め設定された電圧値等の指令値に追従するように、DCモータ131をフィードバック制御する。DCモータ131は、低コストで、速度調整を簡易に行うことができるが、DCモータ131の回転速度は負荷変動等の外的要因によって変化してしまう。しかしながら、上記のフィードバック制御により、DCモータ131の回転速度は、所定期間後には指令値に応じた回転速度となる。また、制御部151は、ステップS103で電流制限値として設定した第1制限値に基づいて、コイルに流れる電流の大きさが第1制限値を超えないように、DCモータ131を回転させて第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を駆動する。これにより、制御部151は、DCモータ131が使用する電流の大きさを適切に制御することが可能となり、媒体搬送装置100の消費電力を適切に制限することが可能となる。
【0053】
次に、判定部153は、媒体の重送が発生しているか否かを判定する(ステップS105)。判定部153は、超音波センサ115から超音波信号を取得し、取得した超音波信号の信号値が重送閾値未満であるか否かを判定する。重送閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値との間の値に設定される。判定部153は、超音波信号の信号値が重送閾値以上である場合、媒体の重送が発生していないと判定し、超音波信号の信号値が重送閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する。
【0054】
媒体の重送が発生していると判定された場合、制御部151は、異常処理を実行し(ステップS106)、一連のステップを終了する。制御部151は、異常処理として、DCモータ131及び第2モータ132を停止して、媒体の給送及び搬送を停止する。また、制御部151は、異常処理として、異常が発生した旨を表示装置106に表示、又は、インタフェース装置133を介して情報処理装置に送信し、利用者に警告を通知する。なお、媒体搬送装置100は、媒体を給送する給送モードとして、複数の媒体を分離して給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有している。給送モードが非分離モードに設定されている場合、ステップS105~S106の処理は省略される。
【0055】
一方、媒体の重送が発生していないと判定された場合、検出部154は、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達したか否かを判定する(ステップS107)。検出部154は、第2媒体センサ118から定期的に第2媒体信号を取得し、取得した第2媒体信号に基づいて、第2媒体センサ118の位置に媒体が存在するか否かを判定する。検出部154は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達したと判定する。
【0056】
なお、検出部154は、厚さセンサ114から定期的に厚さ信号を取得し、取得した厚さ信号に基づいて、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達したか否かを判定してもよい。その場合、検出部154は、厚さ信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化してから所定時間が経過した時に、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達したと判定する。または、検出部154は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達したと判定してもよい。
【0057】
媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達していない場合、処理回路150は、処理をステップS105へ戻し、ステップS105~S107の処理を繰り返す。
【0058】
一方、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達した場合、判定部153は、搬送される媒体の種類を判定する(ステップS108)。判定部153は、厚さセンサ114により検出された媒体の厚さに基づいて、搬送される媒体の種類を判定する。判定部153は、厚さセンサ114から厚さ信号を取得する。媒体搬送装置100は、厚さ信号の信号値と、媒体の種類とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、判定部153は、そのテーブルを参照して、厚さセンサ114から取得した厚さ信号に対応する媒体の種類を特定する。媒体の種類として、例えば、媒体の厚さが小さい順に、用紙、厚紙、プラスチックカード、冊子、パスポート等が設定される。判定部153は、媒体の厚さを利用することにより、搬送される媒体の種類を高精度に判定できる。
【0059】
なお、判定部153は、超音波センサ115により生成された超音波信号に基づいて、搬送される媒体の種類を判定してもよい。判定部153は、超音波センサ115から超音波信号を取得する。媒体搬送装置100は、超音波信号の信号値と、媒体の種類とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、判定部153は、そのテーブルを参照して、超音波センサ115から取得した超音波信号に対応する媒体の種類を特定する。一般に、通過する媒体の厚さが大きいほど、超音波発信器115aにより発信され、超音波受信器115bにより受信される超音波は減衰する。したがって、判定部153は、超音波信号を利用して、媒体の厚さを特定し、搬送される媒体の種類を高精度に判定できる。また、この場合、厚さセンサ114を省略することが可能となり、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置重量を低減させることが可能となる。
【0060】
次に、設定部152は、判定部153により判定された媒体の種類が高負荷媒体であるか否かを判定する(ステップS109)。高負荷媒体は、ある程度の厚みを有し、搬送時に搬送ローラにかかる負荷が高い媒体である。高負荷媒体は、例えばPPC用紙より厚い媒体(厚紙、プラスチックカード、冊子、パスポート等)である。なお、高負荷媒体は、厚紙より厚い媒体でもよい。
【0061】
媒体の種類が高負荷媒体でない場合、設定部152は、電流制限値を変更しないことを決定し(ステップS110)、処理をステップS113へ移行する。
【0062】
一方、媒体の種類が高負荷媒体である場合、設定部152は、電流制限値を変更することを決定する(ステップS111)。このように、設定部152は、判定部153により判定された媒体の種類に応じて、電流制限値を変更するか否かを決定する。これにより、設定部152は、搬送ローラにかかる負荷が小さい媒体が搬送される場合に、DCモータ131が使用する電流が増大することを抑制して、媒体搬送装置100の消費電力が増大することを抑制できる。
【0063】
次に、設定部152は、DCモータ131における電流制限値を第2制限値に変更する(ステップS112)。第2制限値は、第1制限値より大きい値である。第2制限値は、その大きさの電流でDCモータ131を駆動させた場合のDCモータ131の消費電力にマージンを加えた値が媒体搬送装置100の定格消費電力を超えないような電流の大きさに予め設定される。特に、第2制限値は、第1制限値に、第2モータ132で使用される電流の大きさ(最大値)を加算した値に設定される。
【0064】
次に、制御部151は、第2モータ132を停止させ、DCモータ131を駆動し続ける(ステップS113)。即ち、電流制限値が第2制限値に変更されている場合、制御部151は、第2制限値に基づいて、コイルに流れる電流の大きさが第2制限値を超えないように、DCモータ131を回転させて第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を駆動する。
【0065】
このように、設定部152は、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達するまでDCモータ131における電流制限値を第1制限値に設定する。即ち、制御部151は、撮像装置119による撮像が行われる前は、第1制限値に基づいてDCモータ131を回転させて第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117を駆動する。これにより、制御部151は、撮像装置119による撮像が行われる前は、DCモータ131が使用する電流を低減させて媒体搬送装置100の消費電力を低減させることができる。
【0066】
一方、設定部152は、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達した後に電流制限値を第2制限値に変更する。即ち、制御部151は、撮像装置119による撮像が行われる場合には、第2制限値に基づいてDCモータ131を回転させて第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117を駆動する。これにより、制御部151は、撮像装置119による撮像が行われる場合には、DCモータ131が使用可能な電流を増大させて、媒体を安定して搬送させ、撮像装置119によって生成される入力画像内で媒体の歪みが発生することを抑制できる。
【0067】
また、制御部151は、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達するまで第2モータ132を回転させる。そして、制御部151は、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達した後に第2モータ132を停止させる。したがって、制御部151は、給送ローラ112及びブレーキローラ113が媒体を給送している時は、DCモータ131が使用する電流を低減させて、その代わりに、第2モータ132が十分な電力を消費できるようにする。一方、制御部151は、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117が媒体をかんだ後は、第2モータ132による電力消費を低減させて、その代わりに、DCモータ131が使用可能な電流を増大させ、媒体を安定して搬送させる。
【0068】
次に、制御部151は、撮像装置119に媒体の撮像を開始させる(ステップS114)。
【0069】
次に、制御部151は、媒体の後端が撮像装置119を通過したか否かを判定する(ステップS115)。制御部151は、例えば、第2媒体センサ118から定期的に第2媒体信号を取得し、取得した第2媒体信号に基づいて、第2媒体センサ118の位置に媒体が存在するか否かを判定する。制御部151は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ118の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ118の位置を通過したと判定してから一定期間が経過した時に、媒体の後端が撮像装置119を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が撮像装置119を通過するまで待機する。
【0070】
媒体の後端が撮像装置119を通過した場合、制御部151は、撮像装置119から入力画像を取得し、インタフェース装置133を介して情報処理装置へ送信する(ステップS116)。
【0071】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から取得する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS117)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103~S117の処理を繰り返す。
【0072】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、DCモータ131を停止させて(ステップS118)、一連のステップを終了する。
【0073】
なお、ステップS105~S106の処理は省略され、判定部153は、搬送される媒体の重送が発生したか否かを判定しなくてもよい。また、ステップS108~S111の処理は省略され、設定部152は、搬送される媒体の種類に関わらず、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達した後に、電流制限値を第2制限値に変更してもよい。また、ステップS114で撮像が開始されてからステップS115で媒体の後端が撮像装置119を通過したと判定されるまで、ステップS105~S106の処理と同様に、重送が発生したか否かが判定され、重送が発生した場合には異常処理が実行されてもよい。
【0074】
図7A図7B及び図7Cは、媒体が搬送される際の各タイミングにおける第2モータ132及びDCモータ131のトルクの大きさについて説明するための模式図である。
【0075】
図7Aは、媒体Mの先端Lが給送ローラ112及びブレーキローラ113と、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117との間に到達した状態を示す。図7Bは、媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と、撮像装置119との間に到達した状態を示す。
【0076】
図7Cは、各タイミングにおける第2モータ132及びDCモータ131のトルクの最大値を示すグラフである。図7Cのグラフ700は、第2モータ132のトルクの最大値を示し、図7Cのグラフ701は、DCモータ131のトルクの最大値を示す。図7Cの横軸は時間を示し、縦軸はトルクの大きさを示す。時刻T1は媒体の搬送が開始されるタイミングであり、時刻T2は媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と、撮像装置119との間に到達するタイミングである。トルクP1はDCモータ131に第1制限値の電流を流した時に発生可能なトルクの大きさであり、トルクP2はDCモータ131に第2制限値の電流を流した時に発生可能なトルクの大きさである。各モータのトルクは、各モータに流す電流の大きさに比例する。第2制限値が、第1制限値に第2モータ132で使用される電流の大きさ(最大値)を加算した値に設定されている場合、トルクP2は、トルクP1に第2モータ132のトルクP3を加算した値となる。
【0077】
図7Aに示すように、媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117の位置を通過するまでは、媒体は給送ローラ112及びブレーキローラ113によって給送される。そのため、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117を駆動するDCモータ131のトルク(P1)が小さくても、媒体は問題なく給送される。また、媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117の位置を通過する時、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117が媒体Mを噛み込む時の負荷変動によってDCモータ131の回転速度が変動する。しかしながら、この時、媒体Mの先端Lは撮像装置119の撮像位置に到達しておらず、撮像装置119は撮像を開始していない。そのため、媒体Mの搬送速度が変動しても撮像装置119によって生成される入力画像に歪み等は発生しない。したがって、媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達するまでは、DCモータ131のトルク(P1)が小さくても、媒体は問題なく搬送される。
【0078】
図7Bに示すように、媒体Mの先端Lが第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117の位置を通過した後は、媒体は第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117によって搬送される。そのため、第2モータ132で使用される電流の電流値を0にして、第2モータ132による給送ローラ112及びブレーキローラ113の駆動を停止しても、媒体は第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117によって問題なく搬送される。また、第2モータ132で使用される電流の電流値を0にした分だけ、DCモータ131のトルク(P2)を増大させることにより、媒体Mは安定して搬送され、撮像装置119は、媒体Mの歪みが発生しないように入力画像を生成することができる。また、第2制限値を、第1制限値に第2モータ132で使用される電流の大きさを加算した値に設定することにより、媒体搬送装置100は、媒体搬送中の消費電力の大きさを一定に保ち、定格消費電力の範囲内で安定して動作することが可能となる。
【0079】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体の先端が第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117と撮像装置119の間に到達した時に、DCモータ131における電流制限値を増大させる。これにより、媒体搬送装置100は、搬送される媒体を安定して撮像しつつ、DCモータ131が使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能となった。
【0080】
特に、媒体搬送装置100は、パスポートのように厚みを有する媒体が搬送される場合でも、媒体の撮像時にDCモータ131のトルクを十分に大きくすることが可能となり、媒体を安定して撮像することが可能となった。なお、一般に、パスポートの搬送をサポートする媒体搬送装置では、パスポートを挟んで搬送するためのキャリアシートが使用される。キャリアシートは、無色透明であり、且つ、先端にマーカを有する。第2媒体センサ118は、キャリアシートの先端が第2媒体センサ118を通過してから、キャリアシートに挟まれたパスポートの先端が撮像装置119の撮像位置を通過するまでに、DCモータ131のトルクが十分に安定する位置に配置されることが好ましい。
【0081】
また、媒体搬送装置100は、媒体の給送が完了した後に給送ローラ112及びブレーキローラ113を停止させるが、媒体搬送中は第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を回転させ続ける。媒体搬送装置100は、媒体搬送中に回転させ続ける第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を、DCモータ131を用いて駆動することにより、媒体搬送装置100における消費電力をより適切に制限することが可能となった。
【0082】
また、媒体搬送装置100は、開いた状態のパスポートのように厚さの異なる複数の領域を有する媒体を含む、様々な厚さを有する複数の種類の媒体を、低コストであるDCモータ131を用いて搬送し良好に撮像することが可能となった。これにより、媒体搬送装置100は、装置コストを低減しつつ、良好な入力画像を生成することが可能となった。
【0083】
図8は、他の実施形態に係る媒体搬送装置100の媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
【0084】
図8に示す媒体読取処理の一部は、図5に示した媒体読取処理の一部の代わりに実行される。図8に示すフローチャートのステップS201~S208、S211~S212の処理は、図5に示したフローチャートのステップS101~S108、S113~S114の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下では、ステップS209~S210の処理について説明する。
【0085】
ステップS209において、設定部152は、判定部153により判定された媒体の種類に応じて、第2制限値を変更(設定)する(ステップS209)。媒体搬送装置100は、媒体の種類と、第2制限値とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、設定部152は、そのテーブルを参照して、媒体の種類に応じた第2制限値を決定する。そのテーブルでは、媒体の厚さが小さいほど第2制限値が小さくなり、媒体の厚さが大きいほど第2制限値が大きくなるように、媒体の種類と第2制限値とが対応付けられる。これにより、設定部152は、媒体が薄いほどDCモータ131における電流制限値を小さくし、DCモータ131の電力消費を抑制することが可能となる。また、設定部152は、媒体が厚いほどDCモータ131における電流制限値を大きくし、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117のトルクを大きくし、安定して媒体を搬送させることが可能となる。
【0086】
次に、設定部152は、DCモータ131における電流制限値を、ステップS209で変更(設定)した第2制限値に設定する(ステップS210)。
【0087】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体の種類に応じて第2制限値を変更する場合も、DCモータ131が使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能となった。
【0088】
図9は、他の実施形態に係る媒体搬送装置200内部の搬送経路を説明するための図である。
【0089】
媒体搬送装置200は、媒体搬送装置100が有する各部を有し、さらにインプリンタ300を有する。なお、インプリンタ300は、下側筐体101及び上側筐体102と別個に構成されるのでなく、下側筐体101及び上側筐体102と一体に構成されてもよい。媒体搬送装置200では、排出台104は取り外され、下側筐体101及び上側筐体102はインプリンタ300上に載置される。インプリンタ300は、下側筐体101及び上側筐体102と着脱可能に係合される。インプリンタ300は、インプリンタ300の上面に設けられたツメ308を、下側筐体101の下面部分に設けられた穴222を介して凹部223に嵌合させることにより、下側筐体101と係合される。インプリンタ300が下側筐体101と係合した状態では、インプリンタ300の媒体流入口が下側筐体101及び上側筐体102からの媒体排出口と対向する。インプリンタ300は、下側筐体101及び上側筐体102から搬送されてきた媒体に所定の情報を印刷する。
【0090】
インプリンタ300は、第2排出台301、第3媒体センサ302、第5搬送ローラ303、第6搬送ローラ304、印刷装置305、第7搬送ローラ306及び第8搬送ローラ307等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
【0091】
第2排出台301は、排出された媒体を保持可能にインプリンタ300に係合している。
【0092】
第3媒体センサ302は、媒体搬送方向A1において第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304より上流側に配置される。第3媒体センサ302は、第2媒体センサ118と同様の構成を有し、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第3媒体センサ302は、発光器、受光器、反射部材を含み、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光器が受光した光の強度に応じた電気信号である第3媒体信号を生成して出力する。
【0093】
第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304は、相互に対向して配置される。第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304は、第2ローラの一例であり、媒体搬送方向A1において撮像装置119より下流側且つ印刷装置305より上流側に配置される。第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304は、撮像装置119により撮像され、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121により搬送された媒体を印刷装置305に搬送する。
【0094】
印刷装置305は、印刷部の一例であり、搬送される媒体の表面に印刷可能なように媒体搬送路の下側に配置され、搬送される媒体の表面に所定の情報を印刷する。印刷装置305は、情報処理装置を用いて利用者により指定された文字等の情報を印刷する。印刷装置305は、インクジェットタイプのプリンタであり、複数のインク噴射口が形成されたプリンタヘッドを有し、印刷装置305の位置を通過する媒体にインクを噴射することにより、媒体に所定の情報を印刷する。
【0095】
なお、印刷装置305は、搬送される媒体の裏面に印刷するように設けられてもよい。または、印刷装置305は、搬送される媒体の表面及び裏面の両方に印刷するように設けられてもよい。また、印刷装置305は、レーザータイプ等、インクジェットタイプ以外のプリンタでもよい。
【0096】
撮像装置119により読み取られ、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121によって搬送された媒体は、第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって印刷装置305の位置に送り込まれる。印刷装置305によって印刷された媒体は、第7搬送ローラ306及び第8搬送ローラ307がそれぞれ矢印A10及び矢印A11の方向に回転することによって第2排出台301上に排出される。
【0097】
図10は、媒体搬送装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0098】
媒体搬送装置200は、媒体搬送装置100が有する各部及び前述した構成に加えて、第3モータ311等をさらに有する。
【0099】
第3モータ311は、処理回路150からの制御信号によって、第5~第8搬送ローラ303、304、306及び307を駆動して回転させ、媒体を搬送させる。第3モータ311は、ステッピングモータである。なお、第3モータ311は、DCモータでもよい。また、第5~第8搬送ローラ303、304、306及び307は、別個のモータにより駆動されてもよい。
【0100】
図11は、媒体搬送装置200の媒体読取処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
【0101】
図11に示す媒体読取処理の一部は、図6に示した媒体読取処理の一部の代わりに実行される。図11に示すフローチャートのステップS315~S316、S325~S326の処理は、図6に示したフローチャートのステップS115~S116、S117~S118の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下では、ステップS317~S324の処理について説明する。
【0102】
ステップS317において、検出部154は、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達したか否かを判定する(ステップS317)。検出部154は、第3媒体センサ302から定期的に第3媒体信号を取得し、取得した第3媒体信号に基づいて、第3媒体センサ302の位置に媒体が存在するか否かを判定する。検出部154は、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達したと判定する。
【0103】
なお、第3媒体センサ302は、媒体の先端が第2媒体センサ118もしくは厚さセンサ114の位置を通過してから所定時間が経過したときに、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間の間に到達したと判定してもよい。または、第3媒体センサ302は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過したときに、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達したと判定してもよい。検出部154は、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達するまで待機する。
【0104】
一方、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達した場合、設定部152は、ステップS108で判定部153により判定された媒体の種類が高負荷媒体であるか否かを判定する(ステップS318)。
【0105】
媒体の種類が高負荷媒体でない場合、設定部152は、電流制限値を変更しないことを決定し(ステップS319)、処理をステップS321へ移行する。
【0106】
一方、媒体の種類が高負荷媒体である場合、設定部152は、電流制限値を変更することを決定する(ステップS320)。
【0107】
次に、設定部152は、DCモータ131における電流制限値を第3制限値に変更する(ステップS321)。第3制限値は、第2制限値より小さい値である。第3制限値は、その大きさの電流でDCモータ131を駆動させた場合のDCモータ131の消費電力と第3モータ311の消費電力との合計にマージンを加えた値が媒体搬送装置200の定格消費電力を超えないような電流の大きさに予め設定される。特に、第3制限値は、第2制限値から、第3モータ311で使用される電流の大きさ(最大値)を減算した値に設定される。
【0108】
次に、制御部151は、第3モータ311を駆動して回転させ、第5~第8搬送ローラ303、304、306、307を回転させて、媒体を搬送させるとともに、DCモータ131を駆動し続ける(ステップS322)。即ち、電流制限値が第3制限値に変更されている場合、制御部151は、第3制限値に基づいて、コイルに流れる電流の大きさが第3制限値を超えないように、DCモータ131を回転させて第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を駆動する。
【0109】
このように、設定部152は、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達した後に、第3モータ311を回転させるとともに、電流制限値を第3制限値に変更する。即ち、制御部151は、媒体を印刷装置305に搬送させるために第3モータ311を回転させる場合には、第3制限値に基づいてDCモータ131を回転させて第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117を駆動する。したがって、制御部151は、第3モータ311を回転させる場合には、DCモータ131が使用可能な電流を低減させて、媒体搬送装置200の消費電力の大きさを一定に保ち、定格消費電力の範囲内で安定して動作することが可能となる。第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304が媒体を搬送する時には、第1~第4搬送ローラ116、117、120、121によるトルクが小さくなっても、媒体は第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304によって安定して搬送される。
【0110】
次に、制御部151は、媒体の印刷位置が印刷装置305の位置に搬送されるまでの所定時間だけ待機し、印刷装置305に、搬送される媒体に所定の情報を印刷させる(ステップS323)。
【0111】
次に、制御部151は、媒体の後端が印刷装置305を通過したか否かを判定する(ステップS324)。制御部151は、例えば、第3媒体センサ302から定期的に第3媒体信号を取得し、取得した第3媒体信号に基づいて、第3媒体センサ302の位置に媒体が存在するか否かを判定する。制御部151は、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第3媒体センサ302の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第3媒体センサ302の位置を通過したと判定してから一定期間が経過した時に、媒体の後端が印刷装置305を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が印刷装置305を通過するまで待機し、媒体の後端が印刷装置305を通過したときに、処理をステップS325へ移行する。
【0112】
なお、ステップS318~S320の処理は省略され、設定部152は、搬送される媒体の種類に関わらず、媒体の先端が撮像装置119と第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304の間に到達した後に、電流制限値を第3制限値に変更してもよい。
【0113】
また、ステップS318~S321の処理に代えて、図8のステップS208~S210の処理と同様の処理が実行され、設定部152は、媒体の種類に応じて第3制限値を変更してもよい。その場合、媒体搬送装置100は、媒体の種類と、第3制限値とを対応付けたテーブルを記憶装置140に予め記憶しておき、設定部152は、そのテーブルを参照して、媒体の種類に応じた第3制限値を決定する。そのテーブルでは、媒体の厚さが小さいほど第3制限値が小さくなり、媒体の厚さが大きいほど第3制限値が大きくなるように、媒体の種類と第3制限値とが対応付けられる。これにより、設定部152は、媒体が薄いほどDCモータ131における電流制限値を小さくし、DCモータ131の電力消費を抑制することが可能となる。また、設定部152は、媒体が厚いほどDCモータ131における電流制限値を大きくし、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117のトルクを大きくし、安定して媒体を搬送させることが可能となる。
【0114】
以上詳述したように、媒体搬送装置200は、第3モータ311により第5搬送ローラ303及び第6搬送ローラ304を駆動する場合も、DCモータ131が使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能となった。
【0115】
図12は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路450の概略構成を示す図である。処理回路450は、媒体搬送装置100又は媒体搬送装置200の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路450は、制御回路451、設定回路452、判定回路453及び検出回路454等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0116】
制御回路451は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路451は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ118から第2媒体信号を、第3媒体センサ302から第3媒体信号を受信し、記憶装置140から媒体の種類の判定結果を読み出す。制御回路451は、受信した各信号及び読み出した判定結果に応じて媒体の搬送を制御するように、DCモータ131、第2モータ132及び第3モータ311に制御信号を出力する。また、制御回路451は、撮像装置119から入力画像を受信し、インタフェース装置133を介して情報処理装置へ送信する。また、制御回路451は、媒体の印刷を指示する制御信号を印刷装置305へ出力する。
【0117】
設定回路452は、検出回路454から、DCモータ131の電流制限値を変更する変更指示を受信し、DCモータ131の電流制限値を変更する。
【0118】
判定回路453は、厚さセンサ114から厚さ信号を、超音波センサ115から超音波信号を受信し、受信した各信号に従って、媒体の種類を判定し、判定結果を記憶装置140に記憶する。
【0119】
検出回路454は、第2媒体センサ118から第2媒体信号を、第3媒体センサ302から第3媒体信号を受信し、受信した各信号に従って、DCモータ131の電流制限値を変更する変更指示を設定回路452に出力する。
【0120】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路450を用いる場合においても、DCモータ131が使用する電流の大きさをより適切に制御することが可能となった。
【符号の説明】
【0121】
100 媒体搬送装置、112 給送ローラ、114 厚さセンサ、115 超音波センサ、116 第1搬送ローラ、117 第2搬送ローラ、119 撮像装置、131 DCモータ、132 第2モータ、151 制御部、152 設定部、153 判定部、154 検出部、303 第5搬送ローラ、304 第6搬送ローラ、305 印刷装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12