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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】シリンダ錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/16 20140101AFI20240313BHJP
   E05B 85/16 20140101ALN20240313BHJP
   B60J 5/00 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
E05B79/16
E05B85/16 D
B60J5/00 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020128163
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025380
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】河西 努
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-108731(JP,A)
【文献】特開2019-108733(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196271(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2023105(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 17/00
E05B 17/04
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダケース内に挿入されたプラグに連結される連結体ホルダと、
連結体ホルダに保持されるロック連結体とを有し、
前記ロック連結体は、ドア内に配置されるロック機構部の入力部に係止してプラグへの回転操作力を入力部に伝達可能な係止位置と、
係止位置から退避して入力部との係止を解除する係止解除位置との間を係止位置側に付勢されてプラグの軸長方向に移動可能で、かつ、係止解除位置に拘束可能であり、
前記連結体ホルダには、ロック連結体の係止解除位置への拘束解除操作を行う解除操作部が配置されるシリンダ錠。
【請求項2】
前記ロック連結体は、係止位置において係止解除位置方向への移動が規制される請求項1記載のシリンダ錠。
【請求項3】
前記解除操作部は、ロック連結体の係止解除位置への拘束状態に対応するロック位置から拘束解除状態に対応するロック解除位置を越えた組立位置まで移動操作可能であり、
かつ、前記ロック連結体は、解除操作部のロック解除位置への操作により係止位置に保持されるとともに、解除操作部の組立位置において連結体ホルダから離脱可能である請求項1または2記載のシリンダ錠。
【請求項4】
前記解除操作部に対するロック解除位置から組立位置への操作がロック位置からロック解除位置への操作の連続操作では不可能な請求項3記載のシリンダ錠。
【請求項5】
前記ロック連結体には第1ストッパ部と第2ストッパ部とが設けられるとともに、連結体ホルダには、解除操作部によりロック位置からロック解除位置まで操作可能なストッパ体が装着され、
前記ストッパ体は、前記第1ストッパ部の係止位置側のストローク終端を規制してロック連結体の連結体ホルダからの離脱を規制する第1片と、
ロック位置において前記第2ストッパ部の係止位置方向への移動を規制してロック連結体を係止解除位置に保持するとともに、ロック解除位置において係止位置方向への移動を許容する第2片とを備える請求項1記載のシリンダ錠。
【請求項6】
前記ストッパ体は、ロック位置側に付勢されるとともに、
前記第1片は、係止位置にあるロック連結体の係止解除位置側への移動を規制する請求項5記載のシリンダ錠。
【請求項7】
前記ストッパ体は、ロック解除位置を越えて組立位置まで移動操作可能で、
前記第1片は、組立位置において第1、第2ストッパ部の通過を許容し、ロック連結体の連結体ホルダからの離脱を許容する請求項5または6記載のシリンダ錠。
【請求項8】
前記ストッパ体は指による解除操作部への押圧操作によりロック位置からロック解除位置を経て組立位置まで移動操作可能であり、
かつ、連結体ホルダには、解除操作部のロック解除位置から組立位置に至る移動経路を指による押圧を規制する規制壁が設けられる請求項5、6または7記載のシリンダ錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドアに配置されるロック機構部を操作するための入力部にロック連結体を直接係止させ、シリンダケースに挿入されるプラグへの操作力を入力部に伝達するシリンダ錠としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、パドル(ロック連結体)はシリンダケースに固定される連結部に設けられたシャフトにスライド自在に外嵌され、先端がキーロータ(入力部)に係止する位置と、シャフトの基端部側に位置して入力部との係止が解除される係止解除位置との間を移動する。
【0004】
ロック連結体はコイルばねにより係止位置側に付勢されており、プラグとともに回転する規制片に係止することにより係止解除位置側に仮保持される。
【0005】
シリンダ錠のドアへの取付は、ロック連結体を係止解除位置に保持した状態でシリンダ錠を所定位置まで移動操作した後、シリンダ錠への施解錠操作を行うことによって規制片による係止を解除してロック連結体を係止位置まで突出させ、ロック連結体とロック機構部の入力部とを連結して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-108731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来例において、ロック連結体の入力部への連結に際しては、プラグへの操作が必要になるために、ドアへの取付操作時にプラグを回転操作するための解錠キーを用意する必要がある等、組付け作業の効率が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、組付け作業性が良好なシリンダ錠の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば上記目的は、
シリンダケース1内に挿入されたプラグ2に連結される連結体ホルダ3と、
連結体ホルダ3に保持されるロック連結体4とを有し、
前記ロック連結体4は、ドア5内に配置されるロック機構部6の入力部7に係止してプラグ2への回転操作力を入力部7に伝達可能な係止位置と、
係止位置から退避して入力部7との係止を解除する係止解除位置との間を係止位置側に付勢されてプラグ2の軸長方向に移動可能で、かつ、係止解除位置に拘束可能であり、
前記連結体ホルダ3には、ロック連結体4の係止解除位置への拘束解除操作を行う解除操作部8が配置されるシリンダ錠を提供することにより達成される。
【0010】
シリンダ錠は、シリンダケース1内に挿入され、真正な解錠キー15により回転操作可能なプラグ2と、プラグ2とともに回転するロック連結体4とを有し、ドア5内に配置され、ドア5の閉塞状態を維持するロック機構部6の入力部7にロック連結体4を係止させてロック機構部6を操作するために使用される。
【0011】
プラグ2にはプラグ2の回転に伴って回転する連結体ホルダ3が連結されており、ロック連結体4は、連結体ホルダ3にプラグ2の軸長方向に沿ってスライド可能で、ドア5への固定状態においてドア5内方に突出して入力部7に係止する係止位置と、ドア5のアウターパネル5a側に後退して入力部7の係止が解除される係止解除位置との間で移動する。
【0012】
ロック連結体4は、係止位置側、すなわち、突出位置側に付勢されており、付勢力に抗して適宜手段により係止解除位置に拘束しておくことができ、連結体ホルダ3に配置した解除操作部8への操作により拘束を解除して係止位置に移動させることができる。
【0013】
ロック連結体4を係止位置からアウターパネル5a側に後退させた係止解除位置に保持可能な本発明において、ロック連結体4を係止解除位置に保持した状態でのシリンダ錠の全長寸法を適当に設定すると、ロック連結体4を係止解除位置に保持した状態でシリンダ錠、またはロック機構部6の入力部7を相互に干渉させることなくアウターパネル5aの裏面に沿って相対移動させることが可能となる。
【0014】
この結果、シリンダ錠をドア5に取り付けるに際し、ロック連結体4を係止解除位置に保持した状態でシリンダ錠とロック機構部6とをアウターパネル5aの裏面に沿って相対移動させて双方をドア5の厚み方向に正対する位置まで移動させた後、解除操作部8を操作してロック連結体4を係止位置に移動させてシリンダ錠をロック機構部6に連結する工程を採用することが可能になるために、ドア5への組付け作業性が向上する。
【0015】
また、ロック連結体4の係止位置への移動操作は、連結体ホルダ3に配置された解除操作部8への操作のみにより完結させることが可能で、他の操作を要しないために、組付け作業性が向上する。
【0016】
さらに、前記ロック連結体4は、係止位置において係止解除位置方向への移動が規制されるように構成することができる。
【0017】
ロック連結体4は、係止位置側に付勢されており、一旦係止位置に移動したあとは、付勢力により係止位置に留まってロック機構部6の入力部7との係止状態が保持されるが、振動等による係止解除位置への移動による不用意な入力部7との係止解除を防止するためには、付勢力を大きくする必要がある。
【0018】
一方、付勢力を大きくすると、初期姿勢である係止解除位置へのセット操作に際して大きな付勢力に抗する操作力を要するために、作業性が悪化するという問題が生じる。
【0019】
これに対し、ロック連結体4の係止位置から係止解除位置への移動を適宜のストッパ手段で規制すると、付勢力を解除操作部8への拘束解除操作によってロック連結体4が係止位置に移動するに十分な大きさに設定すれば足りるために、付勢力を小さくすることができ、結果、作業性が向上する。
【0020】
さらに、
解除操作部8は、ロック連結体4の係止解除位置への拘束状態に対応するロック位置から拘束解除状態に対応するロック解除位置を越えた組立位置まで移動操作可能であり、
かつ、前記ロック連結体4は、解除操作部8のロック解除位置への操作により係止位置に保持されるとともに、解除操作部8の組立位置において連結体ホルダ3から離脱可能であるシリンダ錠を構成することができる。
【0021】
この場合、ロック連結体4は解除操作部8がロック位置にある状態で係止解除位置に拘束されており、解除操作部8をロック位置からロック解除位置まで移動操作すると、ロック連結体4は係止解除位置まで移動し、適宜のストッパ手段により連結体ホルダ3からの離脱が規制されて当該位置に保持される。この後、解除操作部8をロック解除位置を超えた組立位置まで移動操作すると、上記ストッパ手段による規制が解除されてロック連結体4を連結体ホルダ3から離脱させることができる。
【0022】
この結果、ロック連結体4は、解除操作部8を組立位置まで操作した状態で容易に連結体ホルダ3に着脱することができるために、シリンダ錠の組立作業性が向上する。
【0023】
また、前記解除操作部8に対するロック解除位置から組立位置への操作がロック位置からロック解除位置への操作の連続操作では不可能なシリンダ錠を構成し、ロック位置からロック解除位置への解除操作部8に対する操作と、ロック解除位置から組立位置への解除操作部8への操作とを異ならせると、シリンダ錠とロック機構部6とを連結する操作と、シリンダ錠の組立操作とを一連の操作として実行することができない。
【0024】
この結果、シリンダ錠とロック機構部6との連結操作時に、不用意にロック連結体4の連結体ホルダ3からの離脱、すなわち、シリンダ錠の分解が発生することがない。
【0025】
さらに、
前記ロック連結体4には第1ストッパ部9と第2ストッパ部10とが設けられるとともに、連結体ホルダ3には、解除操作部8によりロック位置からロック解除位置まで操作可能なストッパ体11が装着され、
前記ストッパ体11は、前記第1ストッパ部9の係止位置側のストローク終端を規制してロック連結体4の連結体ホルダ3からの離脱を規制する第1片12と、
ロック位置において前記第2ストッパ部10の係止位置方向への移動を規制してロック連結体4を係止解除位置に保持するとともに、ロック解除位置において係止位置方向への移動を許容する第2片13とを備えるシリンダ錠を構成することができる。
【0026】
この構成において、連結体ホルダ3にはストッパ体11が配置されており、解除操作部8への操作によりロック位置からロック解除位置まで移動操作できる。ストッパ体11には、第1片12と第2片13とが設けられており、これら第1、第2片12、13によりロック連結体4に設けられた第1、第2ストッパ部9、10の移動経路を開閉することによりロック連結体4の状態が制御される。
【0027】
また、
前記ストッパ体11は、ロック位置側に付勢されるとともに、
前記第1片12は、係止位置にあるロック連結体4の係止解除位置側への移動を規制するシリンダ錠を構成すると、解除操作部8への操作によりストッパ体11を付勢力に抗してロック解除位置まで操作してロック連結体4を係止位置まで駆動させた後、解除操作部8への操作力を解除すると、ストッパ体11は付勢力によりロック位置まで復帰する。
【0028】
この状態で第1片12はロック連結体4の係止解除位置方向への移動を規制し、該ロック連結体4を係止位置に保持する。
【0029】
この結果、ロック連結体4に作用させる付勢力を大きくしなくてもロック連結体4を振動等による不用意な係止解除位置方向への移動に伴う入力部7との係止解除を防止して係止位置に保持させることができる。
【0030】
第1片12によるロック連結体4の係止位置への保持は、ロック連結体4に適宜のストッパ部を設けることにより達成可能であり、第2ストッパ部10を使用することもできる。
【0031】
さらに、
前記ストッパ体11は、ロック解除位置を越えて組立位置まで移動操作可能で、
前記第1片12は、組立位置において第1、第2ストッパ部9、10の通過を許容し、ロック連結体4の連結体ホルダ3からの離脱を許容するシリンダ錠を構成することができる。
【0032】
また、シリンダ錠を、
前記ストッパ体11は指による解除操作部8への押圧操作によりロック位置からロック解除位置を経て組立位置まで移動操作可能であり、
かつ、連結体ホルダ3には、解除操作部8のロック解除位置から組立位置に至る移動経路を指による押圧を規制する規制壁14が設けられるように構成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ロック機構部との連結操作を容易にすることが可能になり、ドアへの組付け作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】ドアハンドル装置を示す正面図である。
図2】ドアハンドル装置を示す図で、(a)はリンクの構成を示す図、(b)は操作ハンドルをドア外部に引き出した状態を示す図、(c)はロック機構部を作動させる状態を示す図である。
図3】シリンダ錠を示す図で、(a)は図2(a)の3A方向矢視図、(b)は図3(a)の3B-3B線断面図である。
図4】シリンダ錠を示す図で、(a)はプラグと連結体ホルダの連結部を断面で示す部分断面図、(b)はプラグの端部を(a)の4B方向から見た図、(c)は連結体ホルダを回転させた状態を示す部分断面図である。
図5】ロック連結体が係止解除位置にある状態を示す断面図で、(a)は要部断面図、(b)は(a)の5B-5B線断面図、(c)は(a)の5C-5C線断面図、(d)は(a)の5D-5D線断面図である。
図6】ロック連結体を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)の9B方向矢視図、(c)は(a)の9C方向矢視図である。
図7】ストッパ体を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の8B方向矢視図、(c)は(a)の8C方向矢視図である。
図8】ストッパ体をロック解除位置まで作動させた状態を示す図で、(a)は要部断面図、(b)はロック連結体が係止位置まで移動した状態を示す図、(c)は(a)の8C-8C線断面図、(d)は(b)の8D-8D線断面図である。
図9】ストッパ体に対する押下荷重を解除した状態を示す図で、(a)は要部断面図、(b)は(a)の9B-9B線断面図である。
図10】ストッパ体を組立位置まで作動させた状態を示す図で、(a)は要部断面図、(b)は(a)の10B-10B線断面図、(c)は(a)の10C-10C線断面図である。
図11】ハンドル装置のドアへの取り付け操作を示す断面図で、(a)は取り付け操作初期を示す図、(b)はハンドル装置を所定の連結位置までスライドさせた状態を示す図、(c)はロック連結体を入力部に係止させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に本発明のシリンダ錠(CY)を使用したハンドル装置(H)を示す。ハンドル装置(H)は、ドア5の閉扉状態を維持するために該ドア5内に設けられるロック機構部6を操作するためにドア5に固定され、ハンドルベース16に操作ハンドル17を連結して形成される。
【0036】
本例におけるハンドル装置(H)は、ドア5表面に操作ハンドル17のみが現れる所謂フラッシュサーフェースハンドルとして構成され、ドア5への固定は、操作ハンドル17のみがドア5表面に現れるように、ハンドルベース16をアウターパネル5aの裏面に固定して行われる。
【0037】
本例において、ロック機構部6は、入力部7へのロック解除操作、すなわち、シリンダ錠(CY)による操作、あるいは操作ハンドル17に対するドア5の開放操作によりドア5の閉塞状態を解除するように構成されるが、シリンダ錠(CY)による入力部7への操作に、操作ハンドル17に対するドア5の開放操作に対する拒絶、許容機能のみを付与するように構成することもできる。
【0038】
上記操作ハンドル17は、図2に示すように、第1、第2リンク18、19を介してハンドルベース16に連結され、図2(a)に示す初期状態から図外の電動アクチュエータにより駆動カム20を駆動して操作ハンドル17をドア5表面、すなわち、アウターパネル5aから突出する位置まで駆動することができる(図2(b)参照)。
【0039】
図2(c)に示すように、この状態から操作ハンドル17を第2リンク19に形成された長孔19aを利用して枢軸19b周りに矢印方向に回転操作すると、第2リンク19に一体に連結される補助リンク19cの作動部19dが作動レバー21を回転軸(C21)周りに回転させてケーブル装置等の伝達部材22を作動させてロック機構部6を作動させる。
【0040】
図3以下にシリンダ錠(CY)を示す。シリンダ錠(CY)は、シリンダケース1内に挿入され、真正な解錠キー15により回転操作可能なプラグ2を有し、シリンダケース1においてハンドルベース16に固定される。
【0041】
図4に示すように、プラグ2の後端部(以下、本明細書において、ドア5に取り付けた状態でドア5の内方を向く方向を「後方」、アウターパネル5a側を「前方」という。)には、連結ピン23(本例においてはスプリングピン)を使用して連結体ホルダ3が連結される。連結体ホルダ3を連結するために、プラグ2の後端部には、両端が半円形状をなし、前後方向に長い長孔形状のピン挿通孔24が設けられ、このピン挿通孔24に挿通可能な径寸法を有する上記連結ピン23は、両端において連結体ホルダ3に固定される。
【0042】
上記ピン挿通孔24は、図4(a)に示すように、中心に行くに従って漸次長軸の長さが短くなる形状に形成されており、連結ピン23により連結された連結体ホルダ3は、図4(b)に示すように、連結ピン23の中心軸(C23)周り(図4(b)における矢印方向)に回転することができ、さらに、図4(c)に示すように、連結ピン23の中心軸(C23)周りの回転面に対して直交する面内での回転(図4(c)における矢印方向の回転)が許容される。
【0043】
この結果、シリンダ錠(CY)とロック機構部6の入力部7との間に位置ずれ等が吸収されて連結信頼性が向上する。
【0044】
また、プラグ2の後端には後述する連結体ホルダ3の筒部3aに前方に向けて凹設されるプラグ挿入凹部25の最奥部に保持される弾性材26により前方への付勢力が与えられており、付勢力をプラグ2後端の平面に作用させることによってプラグ2と連結体ホルダ3とは弾性力により一直線状となる。
【0045】
図5以下に示すように、上記連結体ホルダ3にはロック連結体4が連結される。ロック連結体4は、図6に示すように、後端に球状部4aを、前端部に円筒状の連結部4bを、中間部に連結部4bの外径にほぼ等しい外径を有する正面視円形のフランジ4cを各々備え、フランジ4cと連結部4bとの間には、連結部4bに比して径の小さな小径部4dが形成される。
【0046】
上記ロック連結体4の球状部4aには、後述する入力部7の係止凹部7aに係止可能な係止用突部4eが、連結部4bの前端部に回り止めを兼ねる第1ストッパ部9が各々形成され、上記連結部4bと小径部4dとの段差部が第2ストッパ部10として利用される。
【0047】
また、図5(a)に示すように、連結部4bの前端面には、後述する圧縮スプリング27を収容するバネ収容凹部4fが形成される。
【0048】
一方、連結体ホルダ3は、ストッパ保持部3bの前端面から前方に筒部3aを突設して形成され、筒部3aの前端部には、プラグ2の後端部が挿入されるプラグ挿入凹部25が凹設され、このプラグ挿入凹部25の最奥部(後端部)に上述した弾性材26が固定される。
【0049】
また、ストッパ保持部3bには、後端面に開放され、筒部3aの中間部に達するパドル挿入凹部28が開設される。図5(b)に示すように、このパドル挿入凹部28は、上記ロック連結体4のフランジ4c、および係止用突部4eが通過可能な円形部28aと、第1ストッパ部9が通過可能な回り止め部28bとを有し、底壁部(前端面)にはロック連結体4のバネ収容凹部4f内に進入するバネ受け突部29が突設される。
【0050】
以上の構成の下、ロック連結体4は、バネ受け突部29に圧縮スプリング27を支持した状態で連結体ホルダ3の後端に開放されたパドル挿入凹部28から挿入して連結体ホルダ3に組み付けることができ、連結体ホルダ3への装着状態において、図5に示す係止解除位置と、図8に示す係止位置との間を前後方向に移動する。
【0051】
連結体ホルダ3内でのロック連結体4の位置を制御するために、連結体ホルダ3のストッパ保持部3bにはストッパ体11が装着される。図5、7に示すように、ストッパ体11は、ほぼ矩形平板状の支持片11aの後端縁から突設される第1片12と、支持片11aの前端縁から突設される第2片13とを有し、支持片11aの中央部には前後方向に延びる解除操作部8が膨隆される。
【0052】
また、支持片11aの中央部には、解除操作部8を挟むようにして、一対の規制壁挿通開口11bが対向位置に開設されるとともに、支持片11aの両側縁部にはストッパ体11の押し込み側ストローク終端を決定するためのストロークストッパ11cが突設され、さらに、連結体ホルダ3には、上記規制壁挿通開口11bを貫通する規制壁14が突設される。
【0053】
一方、図5(a)、(b)に示すように、連結体ホルダ3のストッパ保持部3bには、パドル挿入凹部28の壁面により隔てられたストッパ保持凹部30が形成されており、上記ストッパ体11は、第1、第2片12、13をストッパ保持凹部30とパドル挿入凹部28との隔壁31に開設されるストッパ挿通開口31aに挿入して連結体ホルダ3に装着される。
【0054】
連結体ホルダ3に装着したストッパ体11は、ロック連結体4の軸長方向に対して直交する面内で移動可能で、図5に示すロック位置、図8に示すロック解除位置、および図10に示すように、ストッパ体11のストロークストッパ11cが隔壁31に当接する組立位置間を移動する。
【0055】
また、上記隔壁31とストッパ体11の支持片11aの裏面との間には、圧縮プリング32が介装されており、ストッパ体11は連結体ホルダ3からの抜去方向に付勢される。
【0056】
上記ストッパ体11の第1、第2片12、13には、第1開口12a、および第2開口13aが開設される。第2片13の第2開口13aは、図5に示すように、ロック連結体4が係止解除位置(ロック連結体4の連結体ホルダ3からの突出寸法が最小(本例においてはゼロ)となる位置)にあるときに、図5(d)に示すように、ロック連結体4の小径部4dに当接する小径部当接縁13bを有しており、圧縮スプリング32により抜去方向に付勢されたストッパ体11は、小径部当接縁13bを小径部4dに圧接させることにより連結体ホルダ3からの離脱が規制されてロック位置に保持される。
【0057】
図5(d)に示すように、この状態で圧縮スプリング27により後方に付勢されるロック連結体4の第2ストッパ部10はストッパ体11の第2片13に当接して移動を規制されるために、ロック連結体4は係止解除位置に保持される。
【0058】
また、第2開口13aは、ストッパ体11がロック位置にある場合を除いてロック連結体4が通過可能な形状に形成されており、図8に示すように、解除操作部8を圧縮スプリング32の付勢力に抗して押下操作し、該ストッパ体11をロック解除位置に移動させると、第2ストッパ部10への拘束が解除され、ロック連結体4は圧縮スプリング27による付勢力により後方に押し出される。
【0059】
これに対し、第1開口12aは、ストッパ体11がロック解除位置にあるときには、上記第1ストッパ部9を除く部位が通過可能で、組立位置にあるときにのみ上記第1ストッパ部9の通過を許容する形状に形成されており、図8(b)、(d)に示すように、ストッパ体11をロック位置からロック解除位置に操作してロック連結体4が後方に移動すると、第1ストッパ部9が第1片12に衝接する。
【0060】
第1ストッパ部9が第1片12に当接して保持されるロック連結体4の位置が係止位置に相当し、ドア5に取り付けた状態でドア5内方に突出したこの位置において、図11(c)に示すように、ロック連結体4の係止用突部4eがロック機構部6の入力部7に凹設される係止凹部7aに係止してプラグ2への操作力がロック機構部6に伝達される。
【0061】
また、図8の状態からストッパ体11への操作力を解除すると、ストッパ体11は圧縮スプリング32の復元力によりロック位置に移動し、図9に示すように、第1片12の第1開口12aの下縁がロック連結体4に形成されたストッパ面4gに圧接する。
【0062】
この状態において、第1片12は、ロック連結体4の第2ストッパ部10の係止解除位置方向への移動経路を閉塞するために、振動等によりロック連結体4が不用意に係止解除位置側に移動してロック機構部6の入力部7との連結が解除してしまうことが有効に防止される。
【0063】
さらに、上述したように、第1開口12aは、ストッパ体11が組立位置にあるときには第1ストッパ部9の通過を許容する形状に形成されているために、図10に示すように、当該ストッパ体11を組立位置まで操作することにより第1ストッパ部9に対する第1片12による拘束が解除されるために、ロック連結体4を連結体ホルダ3から離脱させることができる。
【0064】
したがって、ストッパ体11を組立位置に保持した状態で、ロック連結体4を連結体ホルダ3に挿入してロック位置まで押し込み、この後、ストッパ体11への操作力を解除するだけで、ストッパ体11は圧縮スプリング32の復元力によりロック位置に復帰して係止解除位置に保持されるために、ロック連結体4を簡単に組み込むことができる。
【0065】
連結体ホルダ3に組付けた状態でストッパ体11は圧縮スプリング32によりロック位置側に付勢されて、上述したように第2片13の小径部当接縁13bがロック連結体4の小径部4dに圧接してガタツキが防止される。
【0066】
また、連結体ホルダ3の規制壁14は、図8に示すように、先端がストッパ体11をロック解除位置まで押下操作した際の解除操作部8の上面とほぼ同一面となる高さに設定されており、さらに、図8(d)に示すように、規制壁14間の間隔(W)は指(F)の幅より狭く設定される。
【0067】
したがって、指(F)で解除操作部8をロック位置から押下操作する場合、ストッパ体11がロック解除位置に達すると、指(F)による押下操作が不可能となり、実質的にストッパ体11のロック解除位置へのストローク終端が決定される。したがって、さらに組立位置まで操作するためには、図10(b)に示すように、規制壁14間に挿入可能な適宜の工具を使用して解除操作部8への押下操作を行う必要がある。
【0068】
この結果、シリンダ錠(CY)のロック機構部6への連結操作中に過ってストッパ体11を組立位置まで操作してロック連結体4が連結体ホルダ3から離脱してしまうことを完全に防止することができる。
【0069】
なお、以上においては、組立位置への押下操作を指(F)による押下操作から工具による押下操作に切り替えることによって組立位置への操作を異ならせる場合が示されているが、この他に、例えば、ロック解除操作までを解除操作部8への押下操作とし、この状態から、押下操作方向に対して直交する方向にスライドすることにより組立位置に移行させるように構成することも可能である。
【0070】
図11に以上のように構成されるハンドル装置(H)をドア5に取り付ける方法を示す。まず、本例において、ドア5内には予め所定位置にロック機構部6の入力部7が配置されており、ハンドル装置(H)に固定されるシリンダ錠(CY)のロック連結体4は係止解除位置に保持される。
【0071】
ハンドル装置(H)のドア5への組付けは、図11(b)に示すように、該ハンドル装置(H)をドア5のアウターパネル5aの裏面に沿って移動させ、ロック連結体4が入力部7にドア5の厚さ方向にほぼ正対する位置で図示しない適宜の固定手段によりアウターパネル5aに固定して行われる。
【0072】
シリンダ錠(CY)は、ロック連結体4が係止解除位置にある状態においてアウターパネル5aの裏面に沿う移動経路を移動させた際にロック連結体4が入力部7に干渉しない寸法に形成され、ロック位置においてロック連結体4が連結体ホルダ3に収容される本例において、ハンドル装置(H)のハンドルベース16に組み込んだ状態で連結体ホルダ3の後端面がハンドル装置(H)の固定位置への移動操作(アウターパネル5aの裏面に沿ったスライド操作)により入力部7に干渉しない寸法に形成される。
【0073】
この状態で解除操作部8をロック解除位置側に指で押下すると、上述したように、ロック連結体4はドア5の厚み中心方向に突出して係止位置に移動し、係止用突部4e入力部7の係止凹部7aに係止し、以後、プラグ2への回転操作力をロック機構部6に伝達することができる。
【0074】
また、ハンドル装置(H)と入力部7との固定位置に誤差が生じた場合であっても、図11(c)に示すように、プラグ2と連結体ホルダ3との連結ピン23による連結部位が屈曲自在であるために、連結体ホルダ3が適宜角度屈折してロック連結体4の係止用突部4eを入力部7の係止凹部7aに係止させることができる。
【0075】
ロック機構部6の入力部7には、上記ロック連結体4の係止用突部4eを係止凹部7aに導く前方に行くに従って漸次拡径する漏斗状のガイド部7bが形成される。
【0076】
この後、解除操作部8への操作力を解除すると、ストッパ体11はロック位置に復帰するとともに、ロック連結体4は圧縮スプリング32の作用により入力部7との係止状態を維持する。
【0077】
なお、以上においては、シリンダ錠(CY)と入力部7との連結操作をハンドル装置(H)を移動させることにより行う場合を示したが、ハンドル装置(H)を予めドア5に固定しておき、入力部7を所定位置に移動させることもできる。この場合においても、入力部7の移動操作は、シリンダ錠(CY)のロック連結体4を係止解除位置に保持した状態で行われる。
【符号の説明】
【0078】
1 シリンダケース
2 プラグ
3 連結体ホルダ
4 ロック連結体
5 ドア
6 ロック機構部
7 入力部
8 解除操作部
9 第1ストッパ部
10 第2ストッパ部
11 ストッパ体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11