(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】基板処理方法、および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240313BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240313BHJP
C23F 1/08 20060101ALI20240313BHJP
C23F 1/14 20060101ALI20240313BHJP
C23F 15/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 621B
C23F1/08
C23F1/14
C23F15/00
(21)【出願番号】P 2020129286
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 裕次
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-128096(JP,A)
【文献】特開2008-196047(JP,A)
【文献】特表2001-523395(JP,A)
【文献】特表2020-520118(JP,A)
【文献】特開2016-054219(JP,A)
【文献】特開2019-054227(JP,A)
【文献】特開2003-077918(JP,A)
【文献】特開平08-083780(JP,A)
【文献】特表2010-518610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
C23F 1/08
C23F 1/14
C23F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去する基板処理方法であって、
前記基板の凹凸が形成された表面に
気化性防錆剤を含む第1の液を供給する工程と、
前記基板の表面に供給された前記第1の液から、前記基板の表面を覆う保護層を形成する工程と、
前記保護層の上に第2の液を供給する工程と、
前記凸部の上端にある前記保護層を物理的に除去して、前記保護層が除去された前記凸部の上端に前記第2の液を接触させる工程と、
を備えた基板処理方法。
【請求項2】
前記凸部の上端は、金属および金属酸化物の少なくともいずれかを含む層であり、
前記金属は、タングステン(W)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ハフニウム(Hf)、銅(Cu)、およびクロム(Cr)の少なくともいずれかを含み、
前記金属酸化物は、前記金属の酸化物である請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第2の液は、過酸化水素水、フッ化水素酸、水酸化カリウムの水溶液、フッ化水素酸と硝酸の混合液、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの水溶液、オキソ酸構造を有する酸化剤の水溶液、およびオゾン水の少なくともいずれかを含む請求項1
または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第2の液は、気化性防錆剤をさらに含む請求項
3記載の基板処理方法。
【請求項5】
表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去する基板処理装置であって、
前記基板の凹凸が形成された表面に
気化性防錆剤を含む第1の液を供給可能な第1の供給部と、
前記基板の表面に供給された前記第1の液から形成され、前記基板の表面を覆う保護層の上に第2の液を供給可能な第2の供給部と、
前記凸部の上端にある前記保護層を物理的に除去して、前記保護層が除去された前記凸部の上端に前記第2の液を接触可能とさせる除去部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項6】
前記除去部は、
前記凸部の上端にある前記保護層と接触可能な除去部材と、
前記除去部材の回転、および、前記除去部材の移動の少なくともいずれかを実行可能な駆動部と、
備えた請求項
5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記除去部材は、毛ブラシであり、
前記駆動部は、前記毛ブラシを前記凸部の上端にある前記保護層に押し付けるとともに、前記毛ブラシを前記基板の表面に沿った方向に移動可能な請求項
6記載の基板処理装置。
【請求項8】
洗浄液を収納可能なタンクをさらに備え、
前記駆動部は、前記除去部材を前記タンクの内部に移動させて、前記除去部材を前記洗浄液に浸漬可能な請求項
6または7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去する基板処理装置であって、
前記基板の凹凸が形成された表面に第1の液を供給可能な第1の供給部と、
前記基板の表面に供給された前記第1の液から形成され、前記基板の表面を覆う保護層の上に第2の液を供給可能な第2の供給部と、
前記凸部の上端にある前記保護層を物理的に除去して、前記保護層が除去された前記凸部の上端に前記第2の液を接触可能とさせる除去部と、
を備え、
前記除去部は、
前記凸部の上端にある前記保護層と接触可能な除去部材と、
前記除去部材の回転、および、前記除去部材の移動の少なくともいずれかを実行可能な駆動部と、
を有し、
前記除去部材は、毛ブラシであり、
前記駆動部は、前記毛ブラシを前記凸部の上端にある前記保護層に押し付けるとともに、前記毛ブラシを前記基板の表面に沿った方向に移動可能とする基板処理装置。
【請求項10】
表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去する基板処理装置であって、
前記基板の凹凸が形成された表面に第1の液を供給可能な第1の供給部と、
前記基板の表面に供給された前記第1の液から形成され、前記基板の表面を覆う保護層の上に第2の液を供給可能な第2の供給部と、
前記凸部の上端にある前記保護層を物理的に除去して、前記保護層が除去された前記凸部の上端に前記第2の液を接触可能とさせる除去部と、
洗浄液を収納可能なタンクと、
を備え、
前記除去部は、
前記凸部の上端にある前記保護層と接触可能な除去部材と、
前記除去部材の回転、および、前記除去部材の移動の少なくともいずれかを実行可能な駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、前記除去部材を前記タンクの内部に移動させて、前記除去部材を前記洗浄液に浸漬可能とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理方法、および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造工程において、基板の表面にパターンなどの凹凸が形成される場合がある。そして、基板の表面に形成された凸部の上端を除去する処理が行われる場合がある。
【0003】
例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理により、凸部の上端を化学的および機械的に除去することが行われている。ところが、CMP処理においては、研磨パッドを基板の表面に直接接触させて研磨するため、凸部の上端を除去した際に、例えば、凹部の側壁や底部などにダメージが発生するおそれがある。またさらに、研磨剤が凹部の内部に残留する場合があり、凹部の内部に残留した研磨剤により、後工程における処理が困難となる場合がある。
【0004】
また、例えば、高密度のプラズマを用いたドライエッチング処理により、凸部の上端を除去することが行われている。ドライエッチング処理は、微細加工性に優れているものの、凹部の内部までエッチングが進行して、例えば、凹部の側壁や底部などにダメージが発生するおそれがある。
【0005】
また、例えば、ウェットエッチング処理により、凸部の上端を化学的に除去することが行われている。ところが、ウェットエッチング処理においては、薬液が凹部の内部にも侵入するため、例えば、凹部の側壁や底部などにダメージが発生するおそれがある。
【0006】
また、例えば、触媒として機能する凹凸部材を基板の表面に押し付けるとともに、薬液を基板の表面に供給して、凸部の上端を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ところが、触媒として機能する凹凸部材が当たっていない部分は除去が進まないので、基板の表面に除去残りが生じるおそれがある。また、凹部の内部に侵入した薬液により、例えば、凹部の側壁や底部などにダメージが発生するおそれがある。
【0007】
そこで、表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去することができ、且つ、凹部にダメージが発生するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去することができ、且つ、凹部にダメージが発生するのを抑制することができる基板処理方法、および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る基板処理方法は、表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去する基板処理方法である。前記基板処理方法は、前記基板の凹凸が形成された表面に気化性防錆剤を含む第1の液を供給する工程と、前記基板の表面に供給された前記第1の液から、前記基板の表面を覆う保護層を形成する工程と、前記保護層の上に第2の液を供給する工程と、前記凸部の上端にある前記保護層を物理的に除去して、前記保護層が除去された前記凸部の上端に前記第2の液を接触させる工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、表面に凹凸が形成された基板において、凸部の上端を除去することができ、且つ、凹部にダメージが発生するのを抑制することができる基板処理方法、および基板処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図3】(a)、(b)は、基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図4】(a)、(b)は、基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図5】(a)、(b)は、基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図6】基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図7】基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
【
図8】基板処理装置を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
(基板の構成)
まず、本実施の形態に係る基板処理方法および基板処理装置1により処理される基板100について説明する。
図1は、基板100を例示するための模式断面図である。
なお、以下においては、一例として、基板100がウェハなどの半導体基板である場合を説明する。ただし、基板100は、半導体基板に限定されるわけではなく、例えば、液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイや、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの微細構造体に用いられる基板とすることができる。
【0015】
図1に示すように、基板100は、例えば、ベース101、第1の層102、第2の層103、および第3の層104を有する。
ベース101は、板状を呈し、シリコンなどの半導体材料を含んでいる。
第1の層102は、例えば、ベース101の一方の面の少なくとも一部の領域に設けられている。第1の層102は、例えば、絶縁層とすることができる。絶縁層は、例えば、ベース101の面を酸化したり、ベース101の上に酸化膜、窒化膜、酸窒化膜などを成膜したりすることで形成することができる。絶縁層は、例えば、シリコン酸化物を含むことができる。また、第1の層102は、例えば、絶縁層、半導体層、導電体層などが積層された積層膜とすることもできる。第1の層102が積層膜の場合には、凹部102aの側壁に、絶縁層、半導体層、導電体層などの端部が露出している。
【0016】
第1の層102には、少なくとも1つの凹部102aが設けられている。
図1に例示をした基板100には、複数の凹部102aが設けられている。凹部102aは、第1の層102の上面に開口している。凹部102aは、例えば、ホールやトレンチなどとすることができる。凹部102aの深さは、例えば、4μm~5μm程度とすることができる。凹部102aの開口寸法(例えば、ホール径またはトレンチ幅)は、例えば、100nm程度とすることができる。
【0017】
凹部102aは、例えば、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などのプラズマエッチング処理により形成することができる。プラズマエッチング処理を行う際には、第1の層102の上に設けられた第2の層103をエッチングマスクとして用いることができる。
【0018】
第2の層103は、第1の層102の上に設けられている。第2の層103は、凹部102aと連通する孔を有する。第2の層103は、第1の層102の、凹部102aが開口していない部分を覆っている。すなわち、第2の層103は、基板100の表面に設けられた凸部の上端とすることができる。
【0019】
第2の層103は、例えば、メタルマスク(ハードマスク)とすることができる。メタルマスクは、例えば、第1の層102の上に設けられた膜をエッチング処理することで形成することができる。第2の層103であるメタルマスクは、例えば、金属および金属酸化物の少なくともいずれかを含む。金属は、例えば、タングステン(W)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ハフニウム(Hf)、銅(Cu)、クロム(Cr)の少なくともいずれかを含むことができる。金属酸化物は、これらの金属の酸化物とすることができる。
【0020】
また、第2の層103は、例えば、表面に変質層を有するレジストマスクとすることもできる。例えば、イオン注入などの際に、レジストマスクの表面にイオンが入射すると、レジストマスクの表面が変質して変質層が形成される場合がある。変質層は、物理的耐性および化学的耐性がレジストより高いので、表面に変質層が形成されると、一般的なドライエッチング処理やウェットエッチング処理では除去が困難となる場合がある。
【0021】
また、第3の層104が設けられる場合がある。第3の層104は、例えば、凹部102aの底部に露出する金属配線層、半導体層などとすることができる。第3の層104は、例えば、タングステン、コバルト、ルテニウム、ニッケル、鉄、ハフニウム、銅、クロムの少なくともいずれかを含む金属または金属酸化物から形成することができる。この場合、第3の層104の材料は、第2の層103の材料と同じとすることもできるし、異なるものとすることもできる。
【0022】
以上のように構成された基板100には、その表面100aに、第1の層102に設けられた複数の凹部102aに連通する、第2の層103の複数の孔が開口する。そのため、基板100の表面100aには、第1の層102に設けられた複数の凹部102a、およびこの凹部102aに連通する、第2の層103に設けられた複数の孔による凹凸が形成されることとなる。したがって、表面100aは、基板100の凹凸の形成された表面となる。
なお、ベース101、第1の層102、凹部102a、第2の層103、および第3の層104の構成や形成方法には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0023】
ここで、基板100を微細構造体に用いる基板とする際に、第2の層103が不要となる場合がある。例えば、第2の層103が設けられていると、後工程において邪魔になったり、基板の機能が阻害されたりする場合がある。第2の層103を除去する場合には、一般的には、CMP処理、ドライエッチング処理、ウェットエッチング処理などにより第2の層103を除去している。
【0024】
ところが、第2の層103が、メタルマスクや表面に変質層を有するレジストマスクなどの場合には除去が困難となるので、物理的な除去条件や化学的な反応性を高める必要がある。そのため、CMP処理、ドライエッチング処理、ウェットエッチング処理などを用いて第2の層103を除去すると、凹部102aの側壁や底部、あるいは、第3の層104が、研磨剤、ラジカルやイオン、エッチング液などによりダメージを受けるおそれがある。また、研磨剤などが凹部102aの内部に残留するおそれもある。
そこで、本実施の形態に係る基板処理方法においては、以下の様にして第2の層103を除去するようにしている。
【0025】
(基板処理方法)
次に、本実施の形態に係る基板処理方法について説明する。
図2~
図7は、基板処理方法を例示するための模式工程断面図である。
まず、
図2に示すように、基板100の、第2の層103が設けられた側の表面に、第1の液105を供給する。第1の液105は、例えば、ノズルから吐出させたり、スプレイノズルから噴霧させたりすることができる。供給された第1の液105により、第2の層103の表面が覆われる。また、凹部102aの内部にも第1の液105が供給される。
【0026】
ここで、後述する保護層105a、105bは、第1の液105から形成されるので、適切な厚みを有する保護層105a、105bが形成される様に、第1の液105の厚みを制御する。第1の液105の厚みは、例えば、第1の液105の供給量(供給時間)や粘度、基板100の回転数などにより制御することができる。第1の液105の粘度は、例えば、後述する気化性防錆剤の種類、溶媒に対する気化性防錆剤の割合(濃度)などにより制御することができる。第1の液105の厚みは、予め実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0027】
第1の液105は、基板100の、第2の層103が設けられた側の表面に接触する。そのため、第1の液105は、ベース101の材料、第1の層102の材料、および第3の層104の材料と反応し難い材料を含むことが好ましい。また、後述するように、第1の液105から形成された保護層105a、105bは、後述する第2の液106から基板100の表面を保護する機能を有する。そのため、第1の液105は、第2の液106と反応し難い材料を含むことが好ましい。また、後述するように、保護層105a、105bは、第1の液105を乾燥させることで形成されるため、第1の液105は気化しやすい液体とすることが好ましい。
【0028】
第1の液105は、少なくとも気化性防錆剤を含むことができる。気化性防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール(Benzo triazole)、トリルトリアゾール(Tolyl triazole (Methyl benzotriazole))、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(Dicyclohexyl ammonium nitrite)、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート(Dicyclohexyl ammonium salicylate)、モノエタノールアミンベンゾエート(Monoethanolamine benzoate)、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート(Dicyclohexyl ammonium benzoate)、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート(Diisopropyl ammonium benzoate)、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト(Diisopropyl ammonium nitrite)、シクロヘキシルアミンカーバメイト(Cyclohexylamine carbamate)、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト(Nitro naphthalene ammonium nitrite)、シクロヘキシルアミンベンゾエート(Cyclohexylamine benzoate)、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート(Dicyclohexyl ammonium cyclohexanecarboxylate)、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート(Cyclohexylamine cyclohexane carboxylate)、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート(Dicyclohexyl ammonium acrylate)、シクロヘキシルアミンアクリレート(Cyclohexylamine acrylate)などを例示することができる。
【0029】
気化性防錆剤が液体の場合には、気化性防錆剤を第1の液105として用いることができる。この場合、気化性防錆剤をそのまま用いることもできるし、気化性防錆剤に溶媒を加えて希釈させることもできる。気化性防錆剤が固体の場合には、気化性防錆剤と溶媒とを混合すればよい。
【0030】
溶媒は、気化性防錆剤を溶解させることができ、且つ、ベース101の材料、第1の層102の材料、および第3の層104の材料と反応し難いものとすることが好ましい。溶媒は、例えば、純水やアルコール類などとすることができる。例えば、第1の液105は、1グラムの粉末状のベンゾトリアゾールに対して、20ミリリットルのアルコールを含む液体とすることができる。
【0031】
次に、
図3(a)、(b)に示すように、第1の液105を乾燥させて、基板100の、第2の層103が設けられた側の表面を覆う保護層105a、105bを形成する。保護層105a、105bは、固体であってもよいし、基板100の表面から流出しない程度の粘性を有するゲル状などであってもよい。第1の液105の乾燥は、例えば、自然乾燥としてもよいし、ヒータなどによる加熱乾燥としてもよい。また、基板100を回転させたり、窒素などのガスを供給したりして乾燥させるようにしてもよい。
【0032】
この場合、
図3(a)に示すように、基板100の表面を覆う膜状の保護層105aを設けることができる。例えば、基板100を回転させることで、遠心力により第1の液105の一部を基板100の外部に排出するとともに、第1の液105を広げて膜状の保護層105aを形成することができる。膜状の保護層105aとすれば、後述する保護層105aの除去が容易となる。そのため、後述する洗浄工程などにおいて、残渣が凹部102aの内部などに残るのを抑制することができる。
【0033】
保護層105aは、後述する第2の液106から凹部102aの側壁などを保護する機能を有する。そのため、保護層105aの厚みを薄くし過ぎると凹部102aの側壁などにダメージが発生するおそれがある。例えば、保護層105aの厚みは、第2の液106に対する耐性に応じて、数nm~数μm程度の範囲で適宜設定することができる。保護層105aの厚みは、予め実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0034】
また、
図3(b)に示すように、凹部102aの内部が保護層105bにより埋め込まれているようにしてもよい。保護層105bは、後述する第2の液106から凹部102aの側壁などを保護する機能を有する。そのため、凹部102aの内部に保護層105bが埋め込まれていれば、凹部102aの側壁などにダメージが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0035】
例えば、除去対象である第2の層103が、メタルマスクや表面に変質層を有するレジストマスクなどの場合には除去が困難となるので、反応性の高い第2の液106(例えば、フッ素を含む第2の液106)が用いられる。凹部102aの内部に保護層105bが埋め込まれていれば、凹部102aの側壁などに第2の液106が接触するのを効果的に抑制することができる。そのため、反応性の高い第2の液106を用いる場合であっても、凹部102aの側壁などにダメージが発生するのを抑制することができる。
【0036】
なお、本明細書において「埋め込まれる」には、凹部102aの内部の全領域が保護層105bにより満たされている場合だけでなく、例えば、凹部102aの内部の一部が保護層105bにより満たされ、凹部102aの、保護層105bが満たされていない領域の側壁が膜状の保護層105aで覆われている場合などをも含むものとする。
【0037】
次に、
図4(a)、(b)に示すように、保護層105a、105bの上に第2の液106を供給する。第2の液106は、除去対象である第2の層103の材料と反応しやすい液体とすることができる。例えば、第2の液106は、過酸化水素水、フッ化水素酸(フッ酸)、水酸化カリウムの水溶液、フッ化水素酸と硝酸の混合液、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの水溶液、オキソ酸構造を有する酸化剤の水溶液、オゾン水などとすることができる。ただし、第2の液106は、例示をしたものに限定されるわけではなく、第2の層103の材料を溶解可能な液体であればよい。
【0038】
前述したように、保護層105a、105bは、第2の液106と反応し難い材料を含む第1の液105から形成される。また、保護層105a、105bは、除去の対象である第2の層103を覆っている。そのため、第2の液106を供給するだけでは、第2の層103を除去することができない。
【0039】
そこで、次に、第2の層103の上面にある保護層105a、105bを物理的に除去する。例えば、
図5(a)、(b)に示すように、後述する除去部材31を用いて、第2の層103の上面にある保護層105a、105bを除去することができる。除去部材31は、例えば、毛ブラシとすることができる。例えば、毛ブラシを回転させるとともに第2の層103の上面にある保護層105a、105bに押し付け、押し付けた毛ブラシを基板100の表面に沿った方向に移動させることで、第2の層103の上面にある保護層105a、105bを除去することができる。毛ブラシの毛の材料は、ある程度の硬さ、弾性、第2の液106に対する耐性を有するものであれば特に限定はない。毛の材料は、例えば、ナイロンやポリプロペレンなどとすることができる。なお、毛ブラシを回転させることなく保護層105a、105bに押し付け、押し付けた毛ブラシを基板100の表面に沿った方向に移動させるようにしてもよい。
【0040】
また、除去部材31は、毛ブラシに限定されるわけではなく、保護層105a、105bを物理的に除去することができるものであればよい。例えば、除去部材31は、PVAブラシなどのスポンジブラシ、多孔質材料(例えば、フッ素系樹脂)を用いたブラシなどとしてもよい。なお、除去部材31として、1つのブラシに、毛ブラシとスポンジブラシの両方が設けられたブラシを用いることもできる。
【0041】
また、除去対象である第2の層103が、表面に変質層を有するレジストマスクなどの場合には、除去部材31により、変質層の少なくとも一部を除去したり、変質層に傷や孔などを形成したりすることもできる。この様にすれば、変質層の下にある除去が容易なレジストに第2の液106を接触させることができる。また、第2の液106の反応性を低くすることができるので、凹部102aの側壁などにダメージが発生するのを抑制することができる。
【0042】
なお、保護層105a、105bを物理的に除去した際に、除去部材31に保護層105a、105bの材料が付着する場合がある。そのため、除去部材31は、必要に応じて、あるいは定期的に洗浄することが好ましい。例えば、除去部材31を溶媒で洗浄し、溶媒で洗浄した除去部材31を純水でさらに洗浄することができる。除去部材31を洗浄する溶媒は、例えば、後述する第3の液107とすることができる。
【0043】
図5(a)、(b)に示すように、第2の層103の上面にある保護層105a、105bが除去されると、第2の液106と第2の層103とが接触する。そのため、第2の液106により、第2の層103が溶解(エッチング)される。この場合、凹部102aの側壁や底部、第3の層104は、保護層105a、105bにより覆われているので、第2の液106がこれらに接触することでダメージが発生するのを抑制することができる。
【0044】
なお、第2の層103の上面の少なくとも一部が、保護層105a、105bから露出すれば、第2の層103を溶解することができる。ただし、第2の層103の露出面積が大きくなるほど第2の層103の溶解が容易となる。
【0045】
この場合、保護層105a、105bの除去作業の終点は、例えば、予め定められた作業時間により決定することができる。作業時間は、例えば、第2の層103の上面にある保護層105a、105bの材料や厚み、除去部材31の種類、回転数、移動速度、移動回数などを考慮して適宜決定することができる。除去作業の終点は、予め実験やシミュレーションを行うことで適宜決定すればよい。
【0046】
また、保護層105a、105bは、第2の液106に対する耐性を有しているが、第2の液106により僅かに溶解される場合がある。例えば、膜状の保護層105aの一部が溶解して孔などが生じると、孔の内部に露出する凹部102aの側壁や底部、第3の層104にダメージが発生するおそれがある。
【0047】
本発明者の得た知見によれば、第2の液106に第1の液105の成分を添加すれば、保護層105a、105bが薄くなるのを抑制することができる。すなわち、第2の液106は、前述した過酸化水素水などの成分と、第1の液105の成分であるベンゾトリアゾールなどの気化性防錆剤を含むこともできる。保護層105a、105bの厚みが薄くなるのが抑制される仕組みは必ずしも明らかではないが、以下の様に考えることができる。第1の液105が第2の液106に添加されていれば、添加された第1の液105が保護層105a、105bに付着する。付着した第1の液105は、保護層105a、105bとなるので、保護層105a、105bの薄くなった部分が修復される。
【0048】
そのため、保護層105a、105bの第2の液106に対する耐性、保護層105a、105bの厚みなどに応じて、第2の液106に第1の液105を添加することができる。第1の液105の添加は、例えば、基板100の表面において行うことができる。この場合、第1の液105と第2の液106を同時に供給することもできるし、第1の液105と第2の液106を交互に供給することもできる。この様にすれば、供給装置の構成を簡素化することができる。
【0049】
また、第1の液105と第2の液106を混合し、混合液を基板100の表面に供給することもできる。例えば、タンクなどに収納された混合液を基板100の表面に供給することができる。例えば、第1の液105と第2の液106を配管の内部で混合し、これを基板100の表面に供給することができる。混合液とすれば、第1の液105と第2の液106の割合を略一定とすることができるので、基板100の表面において、第2の液106の濃度に分布が生じるのを抑制することができる。
【0050】
また、第2の液106の供給、または、第1の液105と第2の液106の混合液の供給は、第2の層103の除去が終了するまで連続して行うことができる。例えば、第2の液106または混合液は、いわゆる掛け流しとすることができる、この様にすれば、第2の層103の材料などが、基板100の表面に残留するのを抑制することができる。
【0051】
また、第2の液106の温度、または、第1の液105と第2の液106の混合液の温度を高くすれば、第2の液106または混合液と、第2の層103との反応性を高めることができるので、第2の層103の除去時間を短縮することができる。ただし、第2の液106の温度、または、混合液の温度が高くなると、第2の液106または混合液と、保護層105a、105bとの反応性が高くなり、保護層105a、105bの厚みが薄くなりやすくなる。そのため、第2の液106の温度、または、混合液の温度は、保護層105a、105bの材料や厚みなどに応じて適宜変更することができる。第2の液106の温度、または、混合液の温度は、予め実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。例えば、第2の液106の温度、または、混合液の温度は、室温(例えば、25℃程度)とすることができる。
【0052】
次に、凹部102aの内部にある保護層105a、105bを除去する。例えば、
図6に示すように、基板100の表面に、第3の液107を供給することで、保護層105a、105bを溶解させて除去する。第3の液107は、保護層105a、105bの溶解が可能なものであれば特に限定はない。第3の液107は、例えば、IPAなどのアルコール類、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル(PGMEA;Propylene glycol methyl ether acetate)などのグリコールエーテル類などとすることができる。
【0053】
また、第3の液107を供給するとともに、基板100を回転させることもできる。基板100を回転させれば、溶解した保護層105a、105bや、反応済みの第3の液107を遠心力により基板100の外部に排出することができるので、反応前の第3の液107が保護層105a、105bに接触しやすくなる。また、保護層105a、105bの材料などが基板100の表面に残留するのを抑制することができる。
【0054】
次に、
図7に示すように、基板100の表面に、第4の液108を供給して、基板100の表面に残留する保護層105a、105bの材料や第3の液107を除去する。第4の液108は、例えば、DIW(Deionized water)などの純水とすることができる。この場合、第4の液108を供給するとともに、基板100を回転させることができる。基板100を回転させれば、遠心力により、基板100の表面に残留する保護層105a、105bの材料などを第4の液108とともに基板100の外部に排出することができる。 なお、第4の液108による処理(洗浄)は必ずしも必要ではなく省くこともできる。ただし、第4の液108による処理を行えば、基板100の表面がより清浄となる。
【0055】
次に、基板100を乾燥させる。例えば、基板100を回転させて、遠心力により、基板100の表面に残留する第3の液107や第4の液108を基板100の外部に排出させる。また、基板100を回転させることで、基板100の表面に気流を接触させる。基板100を回転させれば、乾燥に要する時間を短縮することができる。なお、基板100の表面に空気を送るファンや、温風ヒータなどを適宜設けることもできる。
以上のようにして、第2の層103を除去することができる。
【0056】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る基板処理方法は、表面100aに凹凸が形成された基板100において、凸部の上端を除去する基板処理方法であり、以下の工程を備えている。
基板100の凹凸が形成された表面100aに第1の液105を供給する工程。
基板の表面100aに供給された第1の液105から、基板100の表面100aを覆う保護層105a、105bを形成する工程。
保護層105a、105bの上に第2の液106を供給する工程。
凸部の上端(第2の層103)にある保護層105a、105bを物理的に除去して、保護層105a、105bが除去された凸部の上端に第2の液106を接触させる工程。
本実施の形態に係る基板処理方法によれば、不要となったハードマスクなどの第2の層103を除去する際に、凹部102aの側壁や底部、あるいは、第3の層104を、保護層105a、105bにより保護することができる。そのため、凹部102aの側壁や底部、あるいは、第3の層104にダメージが発生するのを抑制することができる。すなわち、本実施の形態に係る基板処理方法によれば、表面100aに凹凸が形成された基板100において、凸部の上端(第2の層103)を除去することができ、且つ、凹部102aにダメージが発生するのを抑制することができる。
【0057】
(基板処理装置)
次に、本実施の形態に係る基板処理装置1について説明する。
基板処理装置1は、表面100aに凹凸が形成された基板100において、凸部の上端を除去することができる。
図8は、基板処理装置1を例示するための模式図である。
図8に示すように、基板処理装置1には、載置部10、液体供給部20、除去部30、およびコントローラ40を設けることができる。
【0058】
載置部10は、基板100を支持し、支持した基板100を回転させる。載置部10は、例えば、回転部11、支持部12、および回収部13を有する。
回転部11は、例えば、基台11a、シャフト11b、および駆動部11cを有する。基台11aは、板状を呈している。シャフト11bは、柱状を呈し、基台11aの、支持部12が設けられる側とは反対側の面に接続されている。例えば、シャフト11bは基台11aと一体に形成することができる。駆動部11cは、シャフト11bを介して、基台11aの回転と回転の停止を行う。また、駆動部11cは、基台11aの回転速度を制御することができる。駆動部11cは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
【0059】
支持部12は、複数設けることができる。支持部12は、第1の部分12aと第2の部分12bを有する。第1の部分12aは、柱状を呈し、基台11aの、シャフト11bが設けられる側とは反対側の面に設けられている。第1の部分12aは、基台11aの周縁近傍に設けられている。第2の部分12bは、柱状を呈し、第1の部分12aの、基台11a側とは反対側の端面に設けられている。第2の部分12bは、第1の部分12aよりも細い。第1の部分12aと第2の部分12bは、一体に形成することができる。
【0060】
複数の支持部12の上に基板100を載置した際には、第1の部分12aの、第2の部分12bが設けられた端面が、基板100の裏面100b(第2の層103が設けられている側とは反対側の面)と接触する。また、第2の部分12bの側面が基板100の側面と接触するか、僅かな隙間を介して対峙する。第2の部分12bが設けられていれば、遠心力で基板100位置がズレるのを抑制することができる。
【0061】
回収部13は、例えば、カップ13a、および移動部13bを有する。
カップ13aは、筒状を呈している。カップ13aの内部には、基台11a、シャフト11b、および支持部12を設けることができる。すなわち、カップ13aは、基台11aを囲むことができる。カップ13aの、基台11a側の端部は、開口している。カップ13aの、基台11a側とは反対側の端部には底板を設けることができる。シャフト11bは、底板に設けられた孔の内部を挿通している。シャフト11bの、基台11a側とは反対側の端部は、カップ13aの外側に設けられ、駆動部11cが接続される。カップ13aの底板には孔を設けることができる。孔は、配管を介して回収タンクと接続することができる。基板100の表面100aに供給され、遠心力により基板100の外部に排出された第1の液105、第2の液106、第3の液107、および第4の液108は、カップ13aの内壁により捕捉される。カップ13aの開口側は、内側に向けて傾斜しているので、これらの液が、カップ13aの外部に飛散するのを抑制することができる。カップ13aの内壁により捕捉されたこれらの液体は、カップ13aの内部に収納され、配管を介して回収タンクに送られる。
【0062】
移動部13bは、回転部11の中心軸方向におけるカップ13aの位置を変化させる。移動部13bは、例えば、エアシリンダなどを備えたものとすることができる。例えば、支持部12に基板100を載置する際や、支持部12にから基板100を取り出す際には、
図8に示すように、移動部13bによりカップ13aの位置を下降させて、カップ13aの開口の近傍に支持部12が位置するようにする。この様にすれば、基板100の受け渡しが容易となる。一方、第1の液105などの液体を基板100の表面100aに供給する際には、移動部13bによりカップ13aの位置を上昇させて、カップ13aの内部に基板100が位置するようにする。この様にすれば、基板100の外部に排出された液体を捕捉するのが容易となる。
【0063】
液体供給部20は、例えば、第1の供給部21、第2の供給部22、第3の供給部23、および第4の供給部24を有する。
第1の供給部21は、基板100の凹凸が形成された表面100aに第1の液105を供給する。
第1の供給部21は、例えば、ノズル21a、タンク21b、ポンプ21c、制御弁21dを有する。
【0064】
ノズル21aは、筒状を呈し、開口側の端部が基板100の表面100aの中央近傍に対峙している。ノズル21aは、第1の液105をそのまま吐出するものであってもよいし、第1の液105を霧状にして噴霧するスプレイノズルなどであってもよい。基板100の表面100aの中央近傍に供給された第1の液105は、基板100の回転による遠心力で、基板100の表面100aに広げられる。
【0065】
タンク21bは、第1の液105を収納する。
ポンプ21cは、ノズル21aとタンク21bの間に設けられ、タンク21bに収納されている第1の液105をノズル21aに供給する。
制御弁21dは、ポンプ21cとノズル21aの間に設けられ、第1の液105の供給と供給の停止とを切り替える。また、制御弁21dは、第1の液105の流量や圧力などをさらに制御するようにしてもよい。
【0066】
第2の供給部22は、基板100の表面100aに供給された第1の液105から形成され、基板100の表面100aを覆う保護層105a、105bの上に第2の液106を供給する。
第1の供給部22は、例えば、ノズル21a、タンク22b、ポンプ22c、制御弁22dを有する。なお、第1の液105の供給に用いるノズル21aを、第2の液106の供給にも用いる場合を例示したが、第2の液106の供給のみに用いるノズルを別途設けるようにしてもよい。基板100の表面100aの中央近傍に供給された第2の液106は、基板100の回転による遠心力で、基板100の表面100aに広げられる。
【0067】
タンク22bは、第2の液106を収納する。
ポンプ22cは、ノズル21aとタンク22bの間に設けられ、タンク22bに収納されている第2の液106をノズル21aに供給する。
制御弁22dは、ポンプ22cとノズル21aの間に設けられ、第2の液106の供給と供給の停止とを切り替える。また、制御弁22dは、第2の液106の流量や圧力などをさらに制御するようししてもよい。
【0068】
第3の供給部23は、第3の液107を基板100の表面100aに供給する。第3の供給部23は、例えば、ノズル23a、タンク23b、ポンプ23c、制御弁23dを有する。
【0069】
ノズル23aは、筒状を呈し、開口側の端部が基板100の表面100aの中央近傍に対峙している。ノズル23aは、第3の液107をそのまま吐出するものであってもよいし、第3の液107を霧状にして噴霧するスプレイノズルなどであってもよい。基板100の表面100aの中央近傍に供給された第3の液107は、基板100の回転による遠心力で、基板100の表面100aに広げられる。
【0070】
タンク23bは、第3の液107を収納する。
ポンプ23cは、ノズル23aとタンク23bの間に設けられ、タンク23bに収納されている第3の液107をノズル23aに供給する。
制御弁23dは、ポンプ23cとノズル23aの間に設けられ、第3の液107の供給と供給の停止とを切り替える。また、制御弁23dは、第3の液107の流量や圧力などをさらに制御するようにしてもよい。
【0071】
第4の供給部24は、第4の液108を基板100の表面100aに供給する。第4の供給部24は、例えば、ノズル24a、タンク24b、ポンプ24c、制御弁24dを有する。
【0072】
ノズル24aは、筒状を呈し、開口側の端部が基板100の表面100aの中央近傍に対峙している。ノズル24aは、第4の液108をそのまま吐出するものであってもよいし、第4の液108を霧状にして噴霧するスプレイノズルなどであってもよい。基板100の表面100aの中央近傍に供給された第4の液108は、基板100の回転による遠心力で、基板100の表面100aに広げられる。
【0073】
タンク24bは、第4の液108を収納する。
ポンプ24cは、ノズル24aとタンク24bの間に設けられ、タンク24bに収納されている第4の液108をノズル24aに供給する。
制御弁24dは、ポンプ24cとノズル24aの間に設けられ、第4の液108の供給と供給の停止とを切り替える。また、制御弁24dは、第4の液108の流量や圧力などをさらに制御するようにしてもよい。
【0074】
なお、ノズル21a、23a、24aは、兼用することもできる。例えば、第1の液105、第2の液106、第3の液107、および第4の液108の供給を切り替えて、これらの液が、1つのノズルから順次供給されるようにしてもよい。
【0075】
また、ノズル21a、23a、24aを旋回アーム25などに取り付けて、ノズル21a、23a、24aの位置を変化させるようにしてもよい。例えば、第1の液105~第4の液108を基板100の表面100aに供給する際には、旋回アーム25は、ノズル21a、23a、24aが、基板100の表面100aの中央領域の上方に位置するようにすることができる。支持部12への基板100の受け渡しを行う際には、旋回アーム25は、カップ13aの外側にノズル21a、23a、24aを退避させることができる。旋回アーム25は、例えば、エアシリンダや、サーボモータなどの制御モータなどにより駆動することができる。
【0076】
除去部30は、凸部の上端(第2の層103)にある保護層105a、105bを物理的に除去して、保護層105a、105bが除去された凸部の上端(第2の層103)に第2の液106を接触させる。
除去部30は、例えば、除去部材31、駆動部32、洗浄部33、および洗浄部34を有する。
除去部材31は、凸部の上端(第2の層103)にある保護層100aと接触することができる。前述したように、除去部材31は、例えば、毛ブラシなどとすることができる。なお、除去部材31は、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0077】
駆動部32は、除去部材31の回転、および、除去部材31の移動の少なくともいずれかを実行することができる。駆動部32は、例えば、除去部材31を回転させる。また、駆動部32は、例えば、除去部材31を基板100の表面100aに垂直な方向に移動させる。また、駆動部32は、例えば、基板100の表面100aに沿った方向に移動除去部材31を移動させる。例えば、駆動部32は、毛ブラシを凸部の上端(第2の層103)にある保護層100aに押し付けるとともに、毛ブラシを基板100の表面100aに沿った方向に移動させることができる。この場合、駆動部32は、毛ブラシをさらに回転させることもできる。駆動部32は、例えば、サーボモータなどの制御モータ、エアシリンダ、ガイド機構などを備えたものとすることができる。
【0078】
洗浄部33は、例えば、タンク33a、および洗浄液33bを有する。
タンク33aは、例えば、上端が開口したものとすることができる。洗浄液33bは、タンク33aに収納されている。
洗浄液33bは、除去部材31に付着した保護層105a、105bの材料などを溶解可能な溶媒とすることができる。洗浄液33bは、例えば、第3の液107とすることができる。
【0079】
タンク33aの上端は開口しているので、駆動部32は、除去部材31を、基板100の表面100aの上から洗浄液33bの内部に移動させることができる。この様にすれば、洗浄液33bにより除去部材31を洗浄することができる。また、駆動部32は、洗浄液33bに浸漬させた除去部材31を回転させたり、回転数を変化させたり、回転方向を交互に反転させたりすることができる。この様にすれば、除去部材31の洗浄効果を向上させることができる。
【0080】
洗浄部34は、例えば、タンク34a、および洗浄液34bを有する。
タンク34aは、例えば、上端が開口したものとすることができる。洗浄液34bは、タンク34aに収納されている。
洗浄液34bは、例えば、純水などとすることができる。洗浄液34bは、例えば、第4の液108としてもよい。
【0081】
タンク34aの上端は開口しているので、駆動部32は、除去部材31を、基板100の表面100aの上から洗浄液34bの内部に移動させることができる。この様にすれば、洗浄液34bにより除去部材31を洗浄することができる。また、駆動部32は、洗浄液34bに浸漬させた除去部材31を回転させたり、回転数を変化させたり、回転方向を交互に反転させたりすることができる。この様にすれば、除去部材31の洗浄効果を向上させることができる。
【0082】
なお、除去部材31に付着している材料、液の成分、付着量などによっては、洗浄液33bおよび洗浄液34bのいずれかにより洗浄すれば良い場合もある。そのため、洗浄部33および洗浄部34の少なくともいずれかが設けられるようにしてもよい。
すなわち、基板処理装置1は、洗浄液33b、34bを収納するタンク33a、34aをさらに備えることができる。駆動部32は、除去部材31をタンク33a、34aの内部に移動させて、除去部材31を洗浄液33b、34bに浸漬させることができる。
【0083】
コントローラ40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを有することができる。コントローラ40は、例えば、コンピュータなどとすることができる。コントローラ40は、例えば、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
【0084】
コントローラ40は、例えば、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、前述した基板処理方法を実行することができる。
例えば、コントローラ40は、駆動部11cを制御して基板100を回転させ、第1の供給部21(ポンプ21c、制御弁21d)を制御して、基板100の凹凸が形成された表面100aに第1の液105を供給する。
例えば、コントローラ40は、第1の液105の供給後、駆動部11cを制御して基板100を回転させ、第1の液105を乾燥させることで、基板100の表面100aを覆う保護層105a、105bを形成する。
【0085】
例えば、コントローラ40は、第2の供給部22(ポンプ22c、制御弁22d)を制御して、基板100の表面100aに供給された第1の液105から形成され、基板100の表面100aを覆う保護層105a、105bの上に第2の液106を供給する。
この場合、コントローラ40は、第1の供給部21(ポンプ21c、制御弁21d)と、第2の供給部22(ポンプ22c、制御弁22d)を制御して、第1の液105と第2の液106を、保護層105a、105bが形成された基板100の表面100aに供給することもできる。この際、配管やノズルの内部で第1の液105と第2の液106を混合し、混合液を基板100の表面100aに供給することができる。また、第1の液105と第2の液106を基板100の表面100aに交互に供給し、基板100の表面100aで混合液を生成することもできる。なお、混合液をタンク22bに収納し、第2の液106に代えて混合液を供給することもできる。
【0086】
例えば、コントローラ40は、除去部30(駆動部32)を制御して、凸部の上端(第2の層103)にある保護層105a、105bを物理的に除去して、保護層105aが除去された凸部の上端(第2の層103)に第2の液106を接触とさせる。第2の液106と第2の層103とが接触すると、第2の液106により、第2の層103が溶解(エッチング)される。
【0087】
例えば、コントローラ40は、第3の供給部23(ポンプ23c、制御弁23d)を制御して、第3の液107を、第2の層103が除去された基板100の表面100aに供給する。第3の液107により、凹部102aの内部にある保護層105a、105bが除去される。コントローラ40は、駆動部11cを制御して基板100を回転させ、溶解した保護層105a、105bや、反応済みの第3の液107を遠心力により基板100の外部に排出させることができる。
【0088】
例えば、コントローラ40は、第4の供給部24(ポンプ24c、制御弁24d)を制御して、第4の液108を、第3の液107により処理された基板100の表面100aに供給する。第4の液108により、基板100の表面100aが洗浄される。この場合、コントローラ40は、駆動部11cを制御して基板100を回転させ、第4の液108を遠心力により基板100の外部に排出させることができる。
【0089】
例えば、コントローラ40は、駆動部11cを制御して基板100を回転させ、第4の液108により洗浄された基板100の表面100aを乾燥させる。
【0090】
例えば、コントローラ40は、除去部30(駆動部32)を制御して、除去部材31を洗浄液33b、34bに浸漬させることができる。除去部材31を洗浄液33b、34bに浸漬させることで、除去部材31に付着した保護層105a、105bの材料などを除去することができる。この際、コントローラ40は、除去部30(駆動部32)を制御して、洗浄液33b、34bに浸漬させた除去部材31を回転させたり、回転数を変化させたり、回転方向を交互に反転させたりすることができる。この様にすれば、除去部材31の洗浄効果を向上させることができる。
【0091】
また、コントローラ40は、第1の供給部21、第2の供給部22、第3の供給部23、および第4の供給部24を制御して、第1の液105、第2の液106、第3の液107、および第3の液108を、基板100の表面100aに供給する。この際、コントローラ40は、駆動部11cを制御して、それぞれの液(第1の液105、第2の液106、第3の液107、および第3の液108)に応じた回転速度で基板100を回転させることができる。基板100の回転は、当該液の供給が停止されてから次の液の供給が開始されるまでの間に、次に供給される液に応じた回転速度に切り替えるようにしても良い。また、基板100の回転は、供給する液を変えるときに停止させても良い。また、基板100の回転速度は、一つの供給部から液が供給されている間、一定に維持しても良いし、回転速度を切替えるようにしても良い。もちろん、必ずしも回転させる必要はなく、基板100を回転させることなく、液だけを供給することもできる。
【0092】
なお、基板100の処理手順、使用する液、作用効果などは、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0093】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったもの、または、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0094】
1 基板処理装置、10 載置部、20 液体供給部、21 第1の供給部、22 第2の供給部、23 第3の供給部、24 第4の供給部、30 除去部、31 除去部材、32 駆動部、33 洗浄部、34 洗浄部、40 コントローラ、100 基板、100a 表面、102 第1の層、102a 凹部、103 第2の層、105 第1の液、105a 保護層、105b 保護層、106 第2の液、107 第3の液、108 第4の液