(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】リバーシブルブランク
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B65D5/42 Z
B65D5/42 D
B65D5/42 E
(21)【出願番号】P 2020130233
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】上原 克司
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0122069(US,A1)
【文献】特開2017-159951(JP,A)
【文献】特開昭59-074051(JP,A)
【文献】登録実用新案第3175175(JP,U)
【文献】特開2012-121586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折目線を介して連設された複数の構成部分から構成され、組み立てることにより包装箱を形成可能なシート状のリバーシブルブランクであって、
リバーシブルブランクの第1面が外側に露出する状態、または、当該リバーシブルブランクの第2面が外側に露出する状態に包装箱として組み立て可能であ
り、
前記包装箱が、糊付け層を介して前記複数の構成部分が接着されて組み立てられる糊付け箱であり、
前記包装箱が、断面が多角形状の短筒状の側周壁と、前記側周壁の上端を塞ぐ上壁と、前記側周壁の下端を塞ぐ底壁とを有するものであり、
前記リバーシブルブランクが、前記側周壁となる各々折目線を介して一方向に連設された複数の矩形状の側壁と、前記側壁の前記一方向の一端辺から外方に突出する状態に折目線を介して連設された接着片とを有し、
前記接着片の第1面には、糊付け層が接着されるべき第1接着領域が設けられるとともに、前記側壁の前記一方向の他端辺を含む側壁の第2面の端部には、組み立てられたときに前記第1接着領域と対向してこれと接着されるべき前記第1接着領域と適合する形状の第2接着領域が設けられ、
前記糊付け層は、前記第1接着領域と、前記第2接着領域とに接着して介在されるよう積層されるものであり、
前記第1接着領域および/または前記第2接着領域を囲繞するよう形成された半切り加工部を有し、
前記半切り加工部が、前記接着片の形状と適合する形状を有することを特徴とするリバーシブルブランク。
【請求項2】
前記半切り加工部がミシン目線によって形成されており、
前記ミシン目線が、長さ10mmの切り込みと長さ1mmのツナギとの繰り返しによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルブランク。
【請求項3】
前記包装箱が、断面が四角形状の短筒状の側周壁と、前記側周壁の上端を塞ぐ上壁と、前記側周壁の下端を塞ぐ底壁とを有するものであり、
前記リバーシブルブランクが、前記側周壁となる各々折目線を介して一方向に連設された4つの矩形状の側壁と、一対の向かい合う側周壁となる側壁の下辺に各々折目線を介して連設された外底フラップと、他の一対の向かい合う側周壁となる側壁の下辺に各々折目線を介して連設された内底フラップとを有し、
隣接する前記外底フラップおよび前記内底フラップにおいて、内底フラップの第1面には糊付け層が接着されるべき第1接着領域が設けられるとともに、記外底フラップの第2面には、組み立てられたときに前記第1接着領域と対向してこれと接着されるべき前記第1接着領域と適合する形状の第2接着領域が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリバーシブルブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば段ボール箱などの包装箱を形成するための、特に表裏反転して使用可能なリバーシブルブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、輸送に使用する段ボール箱などの包装箱の需要は、インターネットを利用した通信販売に係る企業店舗から個人への輸送のみならず、フリマアプリを介した個人間の輸送の需要の増加に伴って、急激に増加している。
従来、包装箱としては種々の構成のものが知られている(例えば特許文献1)が、一度輸送に使用された包装箱は外表面に汚損等が生じていることも多く、個人への輸送に使用された包装箱は、一度使用すると廃棄されることが大半であり、リサイクルや廃棄についての省エネルギー化が十分に図られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、簡素な構成で、包装箱として容易に再利用することができてリサイクルや廃棄についての省エネルギー化が図られて環境負荷を低減させることができ、さらに、美観を損ねることなく、あるいは新たな美観が付与された状態で再利用することができるリバーシブルブランクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、折目線を介して連設された複数の構成部分から構成され、組み立てることにより包装箱を形成可能なシート状のリバーシブルブランクであって、
リバーシブルブランクの第1面が外側に露出する状態、または、当該リバーシブルブランクの第2面が外側に露出する状態に包装箱として組み立て可能であり、
前記包装箱が、糊付け層を介して前記複数の構成部分が接着されて組み立てられる糊付け箱であり、
前記包装箱が、断面が多角形状の短筒状の側周壁と、前記側周壁の上端を塞ぐ上壁と、前記側周壁の下端を塞ぐ底壁とを有するものであり、
前記リバーシブルブランクが、前記側周壁となる各々折目線を介して一方向に連設された複数の矩形状の側壁と、前記側壁の前記一方向の一端辺から外方に突出する状態に折目線を介して連設された接着片とを有し、
前記接着片の第1面には、糊付け層が接着されるべき第1接着領域が設けられるとともに、前記側壁の前記一方向の他端辺を含む側壁の第2面の端部には、組み立てられたときに前記第1接着領域と対向してこれと接着されるべき前記第1接着領域と適合する形状の第2接着領域が設けられ、
前記糊付け層は、前記第1接着領域と、前記第2接着領域とに接着して介在されるよう積層されるものであり、
前記第1接着領域および/または前記第2接着領域を囲繞するよう形成された半切り加工部を有し、
前記半切り加工部が、前記接着片の形状と適合する形状を有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るリバーシブルブランクによれば、リバーシブルブランクの第1面が外側に露出する状態、または、当該リバーシブルブランクの第2面が外側に露出する状態に包装箱として組み立て可能であることにより、第1面が外側に露出する状態から第2面が外側に露出する状態に表裏反転して使用することによって包装箱として容易に再利用することができ、その結果、リサイクルや廃棄についての省エネルギー化を図ることができて環境負荷を低減させることができる。
また、例え第1面が外側に露出する状態に組み立てられた包装箱の第1面が汚損した場合であっても、汚損されていない第2面が外側に露出する状態に表裏反転して組み立てることによって、外観上の美観を損ねることなく、あるいは新たな外観上の美観が付与された状態で再利用することができ、利用方法の自由度を高めることができる。
【0007】
本発明によれば、リバーシブルブランクの第1面の第1接着領域および/または第2面の第2接着領域を囲繞するよう形成された半切り加工部が形成されていることにより、糊付け層を含むジョイント部を接合解除する際に所期の接着領域以外の領域がジョイント部の接合解除によって意図せず破損されてしまうことを回避しながら第1接着領域と第2接着領域とを剥離することができるので、外観上の美観を大きく損ねずにジョイント部を接合解除することができ、表裏反転して使用する際に美粧性に係る価値が維持された包装箱を得ることができる。
【0008】
本発明によれば、半切り加工部が長さ10mmの切り込みと長さ1mmのツナギとの繰り返しによって形成されたミシン目線によって形成されていることにより、糊付け層を含むジョイント部を接合解除する際に所期の接着領域以外の領域が意図せず破損されてしまうことを確実に回避しながら第1接着領域および/または第2接着領域を剥離することができる。
【0009】
本発明によれば、リバーシブルブランクから組み立てられた包装箱が、糊付け層を介さずに係合により組み立てられる組み箱であることにより、係合を解除して表裏反転して再び係合によって組み立てるのみで第2面を表面とした包装箱を組み立てることができるので、容易に再利用することができ、さらに、表裏反転して使用する際に美粧性に係る価値が維持された包装箱を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るリバーシブルブランクの第2面(裏ライナー面)を示す平面図。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るリバーシブルブランクの第2面(裏ライナー面)を示す平面図。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係るリバーシブルブランクの第2面(裏ライナー面)を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のリバーシブルブランクは、折目線を介して連設された複数の構成部分から構成され、組み立てることにより包装箱を形成可能なシート状のリバーシブルブランクであって、リバーシブルブランクの第1面が外側に露出する状態、または、当該リバーシブルブランクの第2面が外側に露出する状態に包装箱として組み立て可能であり、第1面が外側に露出する状態から第2面が外側に露出する状態に表裏反転して使用することによって包装箱として容易に再利用することができ、その結果、リサイクルや廃棄についての省エネルギー化が図られて環境負荷を低減させることができる構成とされていれば、その他の具体的な構成はいかなるものであってもよい。
本発明のリバーシブルブランクを構成する材料は、段ボールシート、厚紙など各種の紙材料から選択可能であるが、紙質はいかなるものであってもよく、種々のコーティングが行われたもの、紙以外の樹脂等で形成されたものであってもよい。
【0012】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100について、図面に基づいて説明する。
第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100は、各々折目線を介して連設された複数の構成部分から構成され、各折目線に沿って折り曲げ、糊付け層を介して接着する工程を経て組み立てられることによって、断面が四角形状(この例では、直方形状)の短筒状の側周壁と、この側周壁の上端を塞ぐ上壁と、側周壁の下端を塞ぐ底壁とを有する、略直方体形状の包装箱(糊付け箱)が得られるものである。
【0013】
リバーシブルブランク100は、
図1に示すように、1枚のシート状ブランクであって、各々折り曲げ自在の折目線135、136、137を介して一方向に連設された4つの矩形状の側壁131、132、133、134と、各側壁131、132、133、134の上辺に各々折り曲げ自在の折目線145、146、147、148を介して連設された矩形状の上フラップ141、142、143、144と、これと同様に、各側壁131、132、133、134の下辺に各々折り曲げ自在の折目線155、156、157、158を介して連設された矩形状の底フラップ151、152、153、154とを有する。隣接する各上フラップ141、142、143、144間、および、隣接する各底フラップ151、152、153、154間には、各々ギャップが形成されて互いに独立に折り曲げに構成されている。
さらに、側壁131、132、133、134の連設方向の一端辺、すなわち側壁131の外方の端辺(
図1において左方の端辺)には、接着片111が外方に突出する状態に折目線112を介して連設されて形成されている。
なお、
図1に示す符号Aは、段ボールシートの目方向(中空が流れている方向)を示している。
【0014】
リバーシブルブランク100は、段ボールシートからなる。段ボールシートは、波状に形成される中芯と、中芯の一面側に設けられる表ライナーと、中芯の他面側に設けられる裏ライナーとを有する両面段ボールから構成されている。段ボールシートは、両面段ボールの他、いわゆる複両面段ボールや複々両面段ボールから構成されたものであってもよい。
【0015】
リバーシブルブランク100における接着片111の表ライナー面(第1面)(
図1において紙面と反対側の面)には、糊付け層が接着されるべき第1接着領域113が設けられている。一方、側壁131、132、133、134の接着片111が連設されていない連設方向の他端辺を含む側壁134の裏ライナー面(第2面)の端部(
図1において右方の端部)には、組み立てられたときに第1接着領域113と対向してこれと接着されるべき第1接着領域113と適合する形状の第2接着領域114が設けられている。なお、
図1はリバーシブルブランク100の裏ライナー面側から視認した図である。
そして、側壁131、132、133、134を、表ライナー面が外部に露出するよう、折目線135、136、137に沿って各々隣接する2つの側壁が直角となる状態に折り曲げるとともに、接着片111の表ライナー面の第1接着領域113を側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114に対向させ、これらの間に適宜の糊によって糊付け層を介在させて押圧、乾燥することにより、接着片111を側壁134の外方の端部に接合してジョイント部を形成することができる。
【0016】
第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100においては、側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114を囲繞するよう半切り加工が施された半切り加工部120が形成されている。
半切り加工部120は、リバーシブルブランク100を構成する段ボールシートの厚み方向の最外層を含む層が、糊付け層と共に剥離可能に形成されている。
半切り加工とは、接着片111と側壁134との間に適宜の互いに離間する剥離力を付与してジョイント部の接合解除を行ったときに、側壁134の裏ライナー面から所期の接着領域が剥離される一方で隣接するそれ以外の領域は破損することなく残留する加工をいう。
半切り加工部120は、例えば第2接着領域114を囲繞するミシン目線によって形成されたものとすることができる。ここに、「第2接着領域114を囲繞する」とは、ミシン目線のみで第2接着領域114を完全に囲繞する構成や、ミシン目線がリバーシブルブランク100を構成する段ボールシートの外縁まで延伸されてミシン目線と段ボールシートの外縁とによって第2接着領域114を完全に囲繞する構成を含む。
なお、半切り加工部120は、ミシン目線によって構成されることに限定されず、連続して厚み方向の途中まで浅く切り込んだ半切り込み線などの他の半切り加工線によって構成されていてもよい。
【0017】
半切り加工部120を構成するミシン目線の切り込み深さは、リバーシブルブランク100を構成する材料種や厚みによっても異なるが、段ボールシートである場合、裏ライナー面から裏ライナーの厚み方向の全てと中芯の途中までの深さとすることができる。
また、ミシン目線の切り込みのピッチは、同様にリバーシブルブランク100を構成する材料種や厚みによっても異なる。ミシン目線の切り込みのピッチの一例としては、長さ10mmの切り込みと長さ1mmのツナギとの繰り返しピッチを挙げることができる。
【0018】
以上のようなリバーシブルブランク100は、表ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(表ライナー箱)として使用した後、裏ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(裏ライナー箱)として表裏反転して美観を損なわずに使用可能である。
表ライナー箱として使用する場合には、まず、側壁131、132、133、134を、表ライナー面が外部に露出するよう折目線135、136、137に沿って折り曲げるとともに、接着片111の表ライナー面の第1接着領域113を側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114に対向させ、これらの間に適宜の糊による糊付け層を形成させることにより、接着片111が側壁134の外方の端部に接合されてジョイント部を形成し、これにより、包装箱の短筒状の側周壁を形成する。このとき、糊付け層は、その全てが第1接着領域113および第2接着領域114内に収まる状態とされる。表ライナー箱において、接着片111は包装箱の内部側に位置される。次いで、底フラップ151、152、153、154を表ライナー面が外部に露出するよう適宜に折り曲げ、互いをクラフトテープ等で貼着すること等により、側周壁の下端を塞ぐ底壁を形成し、内部に収容品を収容する包装箱を得ることができる。さらに、上フラップ141、142、143、144を表ライナー面が外部に露出するよう適宜に折り曲げ、互いをクラフトテープ等で貼着すること等により、側周壁の上端を塞ぐ上壁を形成して包装箱を梱包状態とすることができる。
【0019】
上記の梱包状態とされた表ライナー使用の包装箱は、上壁および底壁を開放し、さらに、接着片111と側壁134との間に互いに離間する剥離力を付与することにより、半切り加工部120の破断を伴うジョイント部の接合解除を行い、これにより、リバーシブルブランク100を展開状態に復帰させることができる。半切り加工部120の破断を伴うジョイント部の接合解除においては、側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114において、付与された剥離力によって半切り加工部120がミシン目線に沿って破断されて第2接着領域114が糊付け層と共に側壁134から綺麗に剥離されるとともに、側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114に隣接するそれ以外の領域は損傷することなく残留する。
【0020】
このリバーシブルブランク100を、表裏反転して裏ライナー箱として組み立てて使用する場合には、側壁131、132、133、134を、裏ライナー面が外部に露出するよう折目線135、136、137に沿って折り曲げるとともに、接着片111の表ライナー面の第1接着領域113を側壁134の裏ライナー面の第2接着領域114に対向させ、これらの間に適宜の糊による糊付け層を形成させることにより、接着片111が側壁134の外方の端部に接合されてジョイント部を形成し、これにより、包装箱の短筒状の側周壁を形成する。裏ライナー箱において、接着片111は包装箱の外部側に位置され、半切り加工部120における表ライナー箱の解体時の剥離痕は新たな糊付け層によって接合されることにより、視認されなくなる。
さらに、底フラップ151、152、153、154や上フラップ141、142、143、144を、適宜の順序で裏ライナー面が外部に露出するよう折目線155、156、157、158や折目線145、146、147、148に沿って略直角となる状態に折り曲げたり互いをクラフトテープ等で貼着する等により、裏ライナー箱を組み立てることができる。
なお、リバーシブルブランク100は、初回に表ライナー箱として使用することに限定されず、初回に裏ライナー箱として使用してもよい。また、表裏反転を繰り返して3回以上使用することもできる。
【0021】
糊付け層を形成するための糊としては、特に限定されることなく公知の種々のものを用いることができ、例えばコンスターチ糊や米糊などの澱粉糊を用いることができる。
【0022】
以上、本発明の第1の実施形態に係るリバーシブルブランクについて詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の第1の実施形態に係るリバーシブルブランクにおいて、半切り加工部は、第2接着領域を囲繞するものとして構成されることに限定されず、これと対向する第1接着領域を囲繞するものとして構成されていてもよく、また、第2接着領域を囲繞するものと第1接着領域を囲繞するものとの両方を有するものとして構成されていてもよい。第2接着領域を囲繞するものと第1接着領域を囲繞するものとの両方を有するものとして構成された場合には、前回使用時の糊付け層を意図しない表裏ライナー面の損傷を伴うことなく除去することができる。
【0023】
また例えば、リバーシブルブランク100は、段ボールシートの表ライナー面および/または裏ライナー面上に各種の化粧シートが貼付されたものとして構成することができ、この場合、半切り加工部120は、例えば化粧シートのみにミシン目線が形成されたものとし、ジョイント部の接合解除時に段ボールシートの損傷なく化粧シートの破断のみによって第2接着剤領域114の剥離が行われる構成であってもよい。
また例えば、リバーシブルブランク100は、段ボールシートの表ライナー面および裏ライナー面に互いに異なる彩色/柄の化粧シートを貼付し、表裏反転によってその意匠が変化するよう構成されていてもよい。
【0024】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るリバーシブルブランク200は、短筒状の側周壁およびこの側周壁の上端を塞ぐ上壁については第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100と同様の構成を有し、組み立てるとワンタッチ式の底壁を有する略直方体形状の包装箱(糊付け箱)が得られるものである。この第2の実施形態に係るリバーシブルブランク200においては、側周壁および上壁となる構成部分について、第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100において100番台とされた符号を200番台として付番して説明する。なお、
図2に示す符号Bは、段ボールシートの目方向を示している。
【0025】
リバーシブルブランク200は、
図2に示すように、一対の向かい合う側周壁となる側壁231、233の下辺に各々折り曲げ自在の折目線255、257を介して連設された外底フラップ251、253と、他の一対の向かい合う側周壁となる側壁232、234の下辺に各々折り曲げ自在の折目線256、258を介して連設された内底フラップ252、254とを有し、これらの外底フラップ251、253および内底フラップ252、254によってワンタッチ式の底壁を形成することができる。
外底フラップ251、253の中央部には、略V字状の切欠き261、263が各々形成されており、外底フラップ251、253は、互いに交差するように突き合された後、切欠き261と切欠き263とが噛み合わさることで係合する。さらに、外底フラップ251、253には、組み立て後の底壁の対角線上に延びる位置に折畳み線271、273が各々設けられている。この折畳み線271、273は、切込みが断続的に設けられたミシン目線であってもよい。内底フラップ252、254は、略台形状を有し、接着されるべき隣接する外底フラップ251、253と反対側の斜辺(
図2においてそれぞれ右側の斜辺)が、組み立て後の底壁の対角線上に位置する状態に形成されている。
【0026】
リバーシブルブランク200における接着片211の表ライナー面(第1面)(
図2において紙面と反対側の面)には、糊付け層が接着されるべき側周壁に係る第1接着領域213が設けられている。一方、側壁231、232、233、234の接着片211が連設されていない連設方向の他端辺を含む側壁234の裏ライナー面(第2面)の端部(
図2において右方の端部)には、組み立てられたときに第1接着領域213と対向してこれと接着されるべき第1接着領域213と適合する形状の第2接着領域214が設けられている。なお、
図2はリバーシブルブランク200の裏ライナー面側から視認した図である。
そして、側壁231、232、233、234を、表ライナー面が外部に露出するよう、折目線235、236、237に沿って各々隣接する2つの側壁が直角となる状態に折り曲げるとともに、接着片211の表ライナー面の第1接着領域213を側壁234の裏ライナー面の第2接着領域214に対向させ、これらの間に適宜の糊によって糊付け層を介在させて押圧、乾燥することにより、接着片211を側壁234の外方の端部に接合して側周壁に係るジョイント部を形成することができる。
【0027】
また、外底フラップ251、253の裏ライナー面(第2面)の折畳み線271、273から接着されるべき隣接する内底フラップ252、254側の領域には、糊付け層が接着されるべき底壁に係る第2接着領域216、218がそれぞれ設けられている。一方、内底フラップ252、254の表ライナー面(第1面)(
図2において紙面と反対側の面)には、組み立てられたときに底壁に係る第2接着領域216、218とそれぞれ対向してこれと接着されるべき底壁に係る第2接着領域216、218と適合する形状の底壁に係る第1接着領域215、217がそれぞれ設けられている。
そして、側壁231、232、233、234によって側周壁が組み立てられ、外底フラップ251、253および内底フラップ252、254を表ライナー面が外部に露出するよう折目線255、256、257、258に沿って略直角に折り曲げた状態において、隣接する外底フラップ251と内底フラップ252とが、外底フラップ251の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域216と内底フラップ252の表ライナー面の底壁に係る第1接着領域215との間に適宜の糊による糊付け層の介在によって接合されるとともに、隣接する外底フラップ253と内底フラップ254とが、外底フラップ253の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域218と内底フラップ254の表ライナー面の底壁に係る第1接着領域217との間に適宜の糊による糊付け層の介在によって接合されることによって、底壁に係る2つのジョイント部を形成することができる。
【0028】
第2の実施形態に係るリバーシブルブランク200においては、第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100と同様に、側壁234の裏ライナー面の第2接着領域214を囲繞するよう半切り加工が施された半切り加工部220が形成されている。
第2の実施形態に係るリバーシブルブランク200においては、さらに、外底フラップ251の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域216および外底フラップ253の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域218を囲繞する半切り加工が施された半切り加工部221、222がそれぞれ形成されている。半切り加工部221、222は、第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100の半切り加工部120と同様にミシン目線等から形成されている。底壁に係る半切り加工部221、222は、表裏反転して使用した際に剥離痕として視認可能となるため、半切り加工部221、222の形状(ミシン目線の軌跡)に意匠性が付与されていることが好ましい。半切り加工部221、222の形状として、例えば丸形状、長丸形状、ハート型形状、雲型形状等が挙げられる。
【0029】
以上のようなリバーシブルブランク200は、第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100と同様に、表ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(表ライナー箱)として使用した後、裏ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(裏ライナー箱)として表裏反転して美観を損なわずに使用可能である。
表ライナー箱として使用する場合には、第1の実施形態に係るリバーシブルブランク100と同様に短筒状の側周壁を形成した後、外底フラップ251の切欠き261と外底フラップ253の切欠き263とを噛み合わせて係合させるとともに、外底フラップ251の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域216と内底フラップ252の表ライナー面の底壁に係る第1接着領域215とを糊付け層の介在によって接合し、外底フラップ253の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域218と内底フラップ254の表ライナー面の底壁に係る第1接着領域217とを糊付け層の介在によって接合することにより、側周壁の下端を塞ぐ底壁を形成し、内部に収容品を収容する包装箱を得ることができる。この底壁は、折畳み線271、273が外部に対して谷折りにされることによって糊付け状態においても折り畳み可能なワンタッチ式のものとして構成されている。
【0030】
上記の表ライナー使用の包装箱は、上壁を形成する上フラップ241、242、243、244を開放し、接着片211と側壁234との間に互いに離間する剥離力を付与することにより、側周壁に係る半切り加工部220の破断を伴う側周壁に係るジョイント部の接合解除を行い、さらに、底壁に係る半切り加工部221、222の破断を伴う底壁に係るジョイント部の接合解除を行い、これにより、リバーシブルブランク200を展開状態に復帰させることができる。底壁に係る半切り加工部221、222の破断を伴う底壁に係るジョイント部の接合解除においては、外底フラップ251の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域216および外底フラップ253の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域218において、付与された剥離力によって半切り加工部221、222のミシン目線に沿った破断によって第2接着領域216、218が糊付け層と共に外底フラップ251、253から綺麗に剥離されるとともに、外底フラップ251、253の裏ライナー面の第2接着領域216、218に隣接するそれ以外の領域は剥離されずに損傷なく残留する。
【0031】
このリバーシブルブランク200を、表裏反転して裏ライナー箱として組み立てて使用する場合には、接着片211は包装箱の外部側に位置され、半切り加工部220における表ライナー箱の解体時の剥離痕は新たな糊付け層によって接合されることにより、視認されなくなる。一方、外底フラップ251、253の裏ライナー面の底壁に係る第2接着領域216、218を囲繞する半切り加工部221、222は、表ライナー箱の解体時の剥離痕は新たな糊付け層によって接合されないので、視認可能のままとなる。
なお、リバーシブルブランク200は、初回に表ライナー箱として使用することに限定されず、初回に裏ライナー箱として使用してもよい。また、表裏反転を繰り返して3回以上使用することもできる。
【0032】
以上、本発明の第2の実施形態に係るリバーシブルブランクについて詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0033】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係るリバーシブルブランク300は、折り曲げて糊付け層を介さずに係合により組み立てられることによって、断面が四角形状(この例では、直方形状)の短筒状の側周壁が矩形状の底壁に対して立設された包装箱本体部と、上方の開口を開閉する蓋部とが一体に設けられて略直方体形状の包装箱(組み箱)が得られるものである。
【0034】
リバーシブルブランク300は、1枚のシート状ブランクであって、包装箱の底壁となる長方形状の底面板部311を備え、包装箱の前面側の側周壁となる前面板部320、底面板部311、包装箱の後面側の側周壁となる後面板部330および蓋部となる天面板部340がこの順で底面板部311の短手方向に並ぶよう折目線を介して連設されるとともに、底面板部311の互いに対向する長手方向の一対の辺の各々に包装箱の側面側の側周壁となる側面板部350,350が折目線を介して連設されてなる。なお、
図3に示す符号Cは、段ボールシートの目方向を示している。
【0035】
底面板部311と側面板部350,350との境界部分には、係合穴312、312がそれぞれ設けられている。
【0036】
側面板部350は、底面板部311に連続する外壁面部351と、外壁面部351に連続する上壁面部354と、上壁面部354に連続する内壁面部355とが、折目線を介して連設されて構成されている。
内壁面部355には、底面板部311の係合穴312に係合される係合片部356が外端縁から外方に延出するよう形成されている。
【0037】
天面板部340は、底面板部311に連続する上壁面部341と、上壁面部341に連続する前壁面部344とが折目線を介して連設されて構成されており、蓋部を包装箱本体部に対して閉状態でロックする差し込み片361が、前壁面部344の外端縁から外方に延出するよう折目線を介して連設されている。
差し込み片361は、底面板部311と前面板部320との境界に設けられた差し込み片本体部362より幅寸法が小さくなるよう形成されている。
【0038】
前面板部320の両端には、それぞれ、組立状態で隣接する側周壁の内面側に位置される補強フラップ321が折目線を介して連設されている。
また、後面板部330の両端にも、それぞれ、組立状態で隣接する側周壁の内面側に位置される補強フラップ331が折目線を介して連設されている。
【0039】
以上のようなリバーシブルブランク300は、表ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(表ライナー箱)として使用した後、裏ライナー面が外側に露出する状態で組み立てた包装箱(裏ライナー箱)として表裏反転して美観を損なわずに使用可能である。
表ライナー箱として使用する場合には、まず、リバーシブルブランク300における前面板部320、両側面板部350および後面板部330を、表ライナー面が外側に露出する状態に各折目線で折り曲げてこれらを底面板部311に対して立設するよう立ち上げる。次いで、前面板部320の補強フラップ321および後面板部330の補強フラップ331を表ライナー面が両側面板部350の内面(裏ライナー面)に対向する状態に折目線で折り曲げ、この状態において両側面板部350の上壁面部354および内壁面部355を内側に折り曲げて係合片部356を底面板部311の係合穴312に係合することによって、両側面板部350の外壁面部351と内壁面部355との間に前面板部320の補強フラップ321および後面板部330の補強フラップ331が挟まれた状態で側周壁が底壁に対して立設され、これにより包装箱本体部が形成される。包装箱本体部に対して後面板部330の差し込み片361を差し込み片本体部362に差し込むことにより蓋部が閉状態とされる。
【0040】
上記の表ライナー箱は、組み立て手順と逆の手順を経ることにより解体することができる。これにより、リバーシブルブランク300を展開状態に復帰させることができる。このリバーシブルブランク300を、表裏反転して裏ライナー箱として組み立てて使用する場合には、表ライナー面を外側に露出する状態に折り曲げるところを、全て、裏ライナー面を外側に露出する状態に折り曲げること以外は同様にして、組み立てることができる。
なお、リバーシブルブランク300は、初回に表ライナー箱として使用することに限定されず、初回に裏ライナー箱として使用してもよい。また、表裏反転を繰り返して3回以上使用することもできる。
【0041】
以上、本発明の第3の実施形態に係るリバーシブルブランクについて詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
100、200 リバーシブルブランク
111、211 接着片
112、212 折目線
113、213 第1接着領域
114、214 第2接着領域
215、217 第1接着領域
216、218 第2接着領域
120、220 半切り加工部
221、222 半切り加工部
131~134、231~234 側壁
135~137、235~237 折目線
141~144、241~244 上フラップ
145~148、245~248 折目線
151~154 底フラップ
251、253 外底フラップ
252、254 内底フラップ
155~158、255~258 折目線
261、263 切欠き
271、273 折畳み線
300 リバーシブルブランク
311 底面板部
312 係合穴
320 前面板部
321 補強フラップ
330 後面板部
331 補強フラップ
340 天面板部
341 上壁面部
344 前壁面部
350 側面板部
351 外壁面部
354 上壁面部
355 内壁面部
356 係合片部
361 差し込み片
362 差し込み片本体部