(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】保冷方法
(51)【国際特許分類】
F25D 3/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
F25D3/00 D
(21)【出願番号】P 2020146822
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹彦
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-330351(JP,A)
【文献】特開2017-053545(JP,A)
【文献】特開2015-048103(JP,A)
【文献】特開2016-011795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
B65D 81/00
B65D 81/18
C09K 5/00- 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ蒸着フィルムで包装された凝固点以下の温度の蓄冷材を
第一蓄冷材とし、
凝固点を超える温度であると共に第一蓄冷材の温度以上の温度である蓄冷材であって該凝固点が第一蓄冷材の凝固点以下である蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第二蓄冷材とし、
第一蓄冷材及び第二蓄冷材を被保冷物と共に容器内に収容
し、
第一蓄冷材と被保冷物との間に第二蓄冷材を配置して第一蓄冷材と被保冷物とを第二蓄冷材に接触させて、被保冷物の保冷を行う、
保冷方法。
【請求項2】
第二蓄冷材を構成する蓄冷材の質量は、第一蓄冷材を構成する蓄冷材の質量に対して60質量%以上である、
請求項
1に記載の保冷方法。
【請求項3】
アルミ蒸着フィルムは、袋状に形成されている、
請求項1
または2に記載の保冷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内で被保冷物を保冷する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品や薬品等の被保冷物を容器内で保冷する際には、冷凍庫で凍結させた蓄冷材を被保冷物と共に容器内に収容する方法が採用されている(特許文献1参照)。斯かる方法では、凍結した蓄冷材を使用することにより、被保冷物の温度を迅速に低下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被保冷物の温度が迅速に低下するということは、被保冷物の熱を蓄冷材が急激に吸収するということである。このため、蓄冷材の温度が急激に上昇して蓄冷材の性能が低下し、比較的長時間に亘って被保冷物を保冷することが困難になる。
【0005】
そこで、本発明は、蓄冷材による保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができると共に、被保冷物の急激な温度低下を抑制することができる保冷方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保冷方法は、凝固点以下の温度の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装し、 該蓄冷材を被保冷物と共に容器内に収容して被保冷物の保冷を行う。
【0007】
斯かる構成によれば、凝固点以下の温度の(換言すれば、凍結した)蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装することで、蓄冷材の温度上昇が緩やかになるため、蓄冷材による保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができる。また、被保冷物から蓄冷材側への熱の移動が緩やかになるため、被保冷物の急激な温度低下を抑制することができる。
【0008】
アルミ蒸着フィルムで包装された蓄冷材を第一蓄冷材とし、凝固点を超える温度であると共に第一蓄冷材の温度以上の温度である蓄冷材であって該凝固点が第一蓄冷材の凝固点以下である蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第二蓄冷材とし、第一蓄冷材と被保冷物との間に第二蓄冷材を配置して第一蓄冷材と被保冷物とを第二蓄冷材に接触させる、ことが好ましい。
【0009】
斯かる構成によれば、第一蓄冷材と被保冷物との間に第二蓄冷材を配置して第一蓄冷材と被保冷物とを第二蓄冷材に接触させることで、第二蓄冷材の熱が第一蓄冷材に吸収されて第二蓄冷材が冷却され、これによって被保冷物の熱が第二蓄冷材に吸収されて被保冷物の温度が低下する。このため、被保冷物が第一蓄冷材に直に接触する場合(被保冷物の熱が直に第一蓄冷材に吸収される場合)よりも、被保冷物の温度低下が緩やかになるため、被保冷物の急激な温度低下を抑制することができる。
【0010】
第二蓄冷材を構成する蓄冷材の質量は、第一蓄冷材を構成する蓄冷材の質量に対して60質量%以上である、ことが好ましい。
【0011】
斯かる構成によれば、第二蓄冷材を構成する蓄冷材の質量が第一蓄冷材を構成する蓄冷材の質量に対して上記の範囲であることで、被保冷物の急激な温度低下をより効果的に抑制することができる。
【0012】
アルミ蒸着フィルムは、袋状に形成されている、ことが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、アルミ蒸着フィルムが袋状に形成されていることで、アルミ蒸着フィルムの袋に蓄冷材を収容することができるため、蓄冷材の包装を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る保冷方法によれば、蓄冷材による保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができると共に、被保冷物の急激な温度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る保冷方法を示した概略図。
【
図2】[実施例]における試験1の結果を示したグラフ。
【
図3】[実施例]における試験2の保冷方法を示した概略図。
【
図4】[実施例]における試験2の結果を示したグラフ。
【
図5】[実施例]における試験3の保冷方法を示した概略図。
【
図6】[実施例]における試験3の結果を示したグラフ。
【
図7】[実施例]における試験4の保冷方法を示した概略図。
【
図8】[実施例]における試験4の結果を示したグラフ。
【
図9】[実施例]における試験5の結果を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る保冷方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態に係る保冷方法は、
図1に示すように、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2を被保冷物Xと共に容器Y内に収容し、被保冷物Xの保冷を行うものである。第一蓄冷材1と第二蓄冷材2とは、同一の蓄冷材10を用いて構成されてもよく、異なる蓄冷材10を用いて構成されてもよい。第一蓄冷材1は、凝固点以下の温度の(換言すれば、凍結した状態である)蓄冷材10がアルミ蒸着フィルム3で包装されて形成される。また、第二蓄冷材2は、凝固点を超える温度である(換言すれば、融解した状態である)と共に第一蓄冷材1の温度以上の温度である蓄冷材10であって該凝固点が第一蓄冷材1の凝固点以下(好ましくは、第一蓄冷材1と同じ凝固点)である蓄冷材10がアルミ蒸着フィルム3で包装されて形成される。第二蓄冷材2の温度は、被保冷物Xの温度と略同一であってもよく、被保冷物Xの温度よりも低くてもよい。なお、第一蓄冷材1の温度および第二蓄冷材2の温度は、それぞれを構成する蓄冷材10の表面温度である。
【0018】
そして、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置し、第一蓄冷材1と被保冷物Xと第二蓄冷材2に接触させる。具体的には、第一蓄冷材1と被保冷物Xとが直に接しないように第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置する。つまり、第一蓄冷材1は、被保冷物Xから離間した位置に配置され、第二蓄冷材2を介して被保冷物Xと接触する。本実施形態では、被保冷物Xの上に第二蓄冷材2が載置され、該第二蓄冷材2の上に第一蓄冷材1が載置される。第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2の少なくとも一方(本実施形態では、両方)は、容器Yの内面に接触しないように配置される。
【0019】
上記のように、第二蓄冷材2の凝固点が第一蓄冷材1の凝固点以下であることで、第二蓄冷材2から第一蓄冷材1への熱移動によって第二蓄冷材2が凝結するのを防止することができる。このため、被保冷物Xから第二蓄冷材2への熱移動が増加して被保冷物Xの温度が急激に低下するのを抑制することができる。また、第二蓄冷材2の融解状態が維持されるため、第二蓄冷材2を緩衝材として機能させることができる。
【0020】
また、第二蓄冷材2の温度が第一蓄冷材1の温度以上であり且つ被保冷物Xの温度よりも低いことで、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの温度差よりも第一蓄冷材1と第二蓄冷材2との温度差の方が小さくなる。このため、第一蓄冷材1が直に被保冷物Xに接している場合よりも、第一蓄冷材1への熱移動が緩やかになり、第一蓄冷材1の保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができる。
【0021】
また、容器Y内における第一蓄冷材1と第二蓄冷材2との温度差は、時間の経過と共に小さくなる。また、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2を容器Yに収容した直後から被保冷物Xを容器Yから取り出すまでの時間において、第一蓄冷材1と第二蓄冷材2との温度差の最大値は、20℃以上28℃以下であってもよく、第一蓄冷材1と第二蓄冷材2との温度差の最小値は、5℃±3℃以上13℃±3℃以下であってもよい。なお、前記最大値は、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2を容器Yに収容した直後の数値であり、前記最小値は、第一蓄冷材の温度が凝固点で安定している時の数値である。
【0022】
第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10としては、特に限定されず、例えば、蓄冷成分を樹脂製の容器や、樹脂シートで形成された袋等に封入したものを用いることができる。蓄冷成分を封入する容器又は袋の素材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、又は、ポリエステル等が挙げられ、これらの素材のうち1種類を単独で使用してもよく、耐熱性やバリアー性を高めるため、これらの素材のうち2種類以上を組み合わせて多層構造としたものを使用することもできる。蓄冷成分を封入する袋を形成する樹脂シートの厚みとしては、特に限定されず、例えば、20μm以上100μm以下とすることができ、斯かる袋を2枚重ねて使用する場合には、樹脂シートの総厚みとしては、40μm以上200μm以下とすることができる。また、蓄冷材の形状としては、特に限定されず、例えば、板状や棒状等が挙げられるが、熱交換率を高める観点から、表面積を大きく確保できる形状が好ましい。
【0023】
蓄冷材10は、蓄冷成分の相転移に伴う熱エネルギーを利用するものであって、蓄冷成分の相状態が、凝固状態(固体)から融解状態(液体)に相転移する際に吸収する熱エネルギーを利用するものである。蓄冷成分の相状態とは、蓄冷成分の50質量%を超える部分の相状態であり、例えば、蓄熱成分の80質量%が凝固状態で20質量%が融解状態である場合には、その蓄冷成分の相状態は凝固状態である。
【0024】
蓄冷成分としては、特に限定されず、例えば、水、水を主成分として含む水溶液、及び、水及び高吸水性ポリマーを含有するもの等からなる群から選択される少なくとも一つを用いることができる。一例としては、90質量%以上の水に、カルボキシメチルセルロース(CMC)、プロピレングリコール、増粘剤、食用色素、及び、防腐剤等を添加したものを蓄冷成分として使用することができる。従って、蓄冷材10の凝固点、第一蓄冷材1の凝固点、及び、第二蓄冷材2の凝固点は、それぞれを構成する蓄冷成分の凝固点をいう。また、蓄冷成分の凝固点は、蓄冷成分を構成する物質の内、-5℃以上0℃以下の範囲に凝固点を有する物質の凝固点であり、この温度範囲に凝固点を有する物質が複数ある場合には、最も含有量の多い物質の凝固点である。
【0025】
第一蓄冷材1を構成する蓄冷材10の質量としては、特に限定されず、例えば、被保冷物Xの質量に対して、1000質量%以上70000質量%以下であることが好ましく、5000質量%以上50000質量%以下であることがより好ましい。また、第一蓄冷材1を構成する蓄冷材10の質量としては、特に限定されず、例えば、第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10の質量に対して、60質量%以上160質量%以下であることが好ましく、80質量%以上140質量%以下であることがより好ましい。第一蓄冷材1を構成する蓄冷材10の質量を上記の範囲にすることで、被保冷物Xを適度に冷却することができると共に、被保冷物Xが冷えすぎてしまうのを防止することができる。
【0026】
第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10の質量としては、特に限定されず、例えば、被保冷物Xの質量に対して、1000質量%以上70000質量%以下であることが好ましく、5000質量%以上50000質量%以下であることがより好ましい。また、第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10の質量としては、特に限定されず、例えば、第一蓄冷材1の質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上140質量%以下であることがより好ましい。また、第一蓄冷材1を構成する蓄冷材10及び第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10の合計質量としては、特に限定されず、例えば、被保冷物Xの質量に対して、2000質量%以上140000質量%以下であることが好ましく、10000質量%以上100000質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
アルミ蒸着フィルム3の厚みとしては、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下であってもよい。アルミ蒸着フィルム3を2枚重ねて使用する場合には、アルミ蒸着フィルム3の総厚みとしては、20μm以上200μm以下であってもよい。また、アルミ蒸着フィルム3は、樹脂層3aと該樹脂層3aに蒸着されたアルミニウム層3bとを備える。樹脂層3aの素材としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、樹脂層3aの厚みとしては、特に限定されず、例えば、5μm以上100μm以下であってもよい。アルミ蒸着フィルム3を2枚重ねて使用する場合には、樹脂層3aの総厚みとしては、10μm以上200μm以下であってもよい。また、アルミニウム層3bの厚みとしては、特に限定されず、例えば、10オングストローム以上100オングストローム以下であってもよく、50オングストローム以上1000オングストローム以下であってもよい。これによって、アルミ蒸着フィルム3のガスバリア性を良好なものとすることができる。また、第一蓄冷材1を構成するアルミ蒸着フィルム3と第二蓄冷材2を構成するアルミ蒸着フィルム3は、異なる構成であってもよく、同一の構成であってもよい。
【0028】
アルミ蒸着フィルム3で蓄冷材10を包装する際には、蓄冷材10とアルミ蒸着フィルム3とが密着するようにしてもよく、蓄冷材10とアルミ蒸着フィルム3との間に隙間(例えば、1mm程度の隙間)が生じるようにしてもよい。アルミ蒸着フィルム3で蓄冷材10を包装する方法としては、特に限定されず、例えば、アルミ蒸着フィルム3の枚葉体を蓄冷材10の外形に沿って折り返し、蓄冷材10の全体をアルミ蒸着フィルム3で覆ってもよい。また、袋状に形成したアルミ蒸着フィルム3に蓄冷材10を収容してもよい。この際、アルミ蒸着フィルム3で形成した袋に蓄冷材10を収容した状態で、斯かる袋を蓄冷材10の外形に沿って折り返してもよい。また、アルミ蒸着フィルム3で蓄冷材10を包装する際には、アルミニウム層3bが外側となるように包装してもよく、内側となるように包装してもよいが、本実施形態では、外側となるように包装する。
【0029】
以上のように、本発明に係る保冷方法は、蓄冷材による保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができると共に、被保冷物の急激な温度低下を抑制することができる。
【0030】
即ち、凝固点以下の温度の(換言すれば、凍結した)蓄冷材10をアルミ蒸着フィルム3で包装することで、蓄冷材10の温度上昇が緩やかになるため、蓄冷材10による保冷効果を比較的長時間に亘って維持することができる。また、被保冷物Xから蓄冷材10側への熱の移動が緩やかになるため、被保冷物Xの急激な温度低下を抑制することができる。
【0031】
また、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置して第一蓄冷材1と被保冷物Xとを第二蓄冷材2に接触させることで、第二蓄冷材2の熱が第一蓄冷材1に吸収されて第二蓄冷材2が冷却され、これによって被保冷物Xの熱が第二蓄冷材2に吸収されて被保冷物Xの温度が低下する。このため、被保冷物Xが第一蓄冷材1に直に接触する場合(被保冷物Xの熱が直に第一蓄冷材1に吸収される場合)よりも、被保冷物Xの温度低下が緩やかになるため、被保冷物Xの急激な温度低下を抑制することができる。
【0032】
また、第二蓄冷材2を構成する蓄冷材10の質量が第一蓄冷材1を構成する蓄冷材10の質量に対して上記の範囲であることで、被保冷物Xの急激な温度低下をより効果的に抑制することができる。
【0033】
また、アルミ蒸着フィルム3が袋状に形成されていることで、アルミ蒸着フィルム3の袋に蓄冷材10を収容することができるため、蓄冷材10の包装を容易に行うことができる。
【0034】
なお、本発明に係る保冷方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記及び下記の複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよい(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよい)ことは勿論である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、第一蓄冷材1と第二蓄冷材2とを被保冷物Xと共に容器Yに収容しているが、これに限定されるものではなく、例えば、第二蓄冷材2を収容しなくてもよい。つまり、凝固点以下の温度である蓄冷材10のみをアルミ蒸着フィルム3で包装し、該蓄冷材10を被保冷物Xと共に容器Y内に収容して被保冷物Xの保冷を行うように構成してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、被保冷物Xの上に第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2が載置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、被保冷物Xの側方に第一蓄冷材1が配置され、該第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2が配置され、該第二蓄冷材2が被保冷物Xに対して側方から接触するように構成してもよい。又は、被保冷物Xの下に第一蓄冷材1が配置され、該第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2が配置され、該第二蓄冷材2が被保冷物Xに対して下から接触するように構成してもよい。また、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2の配置について上記の各配置を組み合わせてもよい。
【0037】
また、上記の各実施形態において、蓄冷材10をアルミ蒸着フィルム3で包装する際に、アルミ蒸着フィルム3を複数重ねて使用してもよい。これにより、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2の保冷効果をより長時間に亘って維持することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例、および、比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
<使用物品>
・蓄冷材A
凝固点が0℃の蓄冷成分(積水化成品工業社製、アクアUエース N-400の中身)85gを低密度ポリエチレン製の袋(アスクル社製、ジッパー付き袋、厚み40μm、外寸:120mm×85mm)に封入したもの(凍結時外寸:100mm×50mm×20mm)。
【0040】
・蓄冷材B
アクアUエース N-400(積水化成品工業社製)
凝固点0℃の蓄冷成分400gをナイロン製の袋(厚み75μm、外寸:230mm×150mm)に封入したもの(凍結時外寸:190mm×130mm×25mm)。
【0041】
・蓄冷材C
アクアUエース N-1000(積水化成品工業社製)
凝固点が0℃の蓄冷成分1000gをナイロン製の袋(厚み75μm、外寸:320mm×200mm)に封入したもの(凍結時外寸:260mm×160mm×35mm)。
【0042】
・蓄冷材D
アクアUエース N-800(積水化成品工業社製)
凝固点が0℃の蓄冷成分800gをナイロン製の袋(厚み75μm、外寸:230mm×170mm)に封入したもの(凍結時外寸:190mm×150mm×30mm)。
【0043】
・蓄冷材E
プラス500N(積水化成品工業社製)
凝固点が0℃の蓄冷成分500gをポリエチレンのブロー成形容器(外寸:190mm×140mm×25mm)に封入したもの(凍結時外寸:190mm×140mm×27mm)。
【0044】
・アルミ蒸着フィルムの袋(AL袋)(総厚み30μm、アルミニウム層の厚み10Å、樹脂層(ポリエチレンテレフタレート層)の厚み30μm)
外寸は、以下の通りである。
蓄冷材A用:180mm×120mm
蓄冷材B用:350mm×250mm
蓄冷材C用:350mm×250mm
蓄冷材D用:350mm×250mm
蓄冷材E用:350mm×250mm
【0045】
・低密度ポリエチレン製の袋(LDPE袋)(厚み40μm、アスクル社製、ジッパー付き袋)
外寸は、以下の通りである。
蓄冷材A用:120mm×85mm、
蓄冷材E用:350mm×250mm
【0046】
・発泡ポリエチレン製の袋(発泡PE袋)(厚み1mm、積水化成品工業社製、品名:ライトロンをカットしたもの)
外寸は、以下の通りである。
蓄冷材E用:350mm×250mm
【0047】
<試験1>
[実施例1]
蓄冷材AをAL袋に収容し、斯かるAL袋を蓄冷材Aに沿って折り返して蓄冷材Aに密着させた。
そして、AL袋に収容した状態の蓄冷材Aを-15℃~-21℃の環境(凝固環境)に5時間放置して蓄冷材Aを凝固点以下の温度にした(凍結)させた。その後、AL袋に収容した状態の蓄冷材Aを29℃~30℃の環境(融解環境)に5時間放置した。
そして、凝固環境及び融解環境における蓄冷材Aの温度を所定時間毎に測定した。測定結果については、下記表1及び
図2のグラフに示す。
【0048】
[比較例1]
蓄冷材AをAL袋に収容しなかったこと以外は、実施例1と同一条件で試験を行った。蓄冷材Aの温度の測定結果については、下記表1及び
図2のグラフに示す。
【0049】
[比較例2]
実施例1のAL袋に代えてLDPE袋を用いたこと以外は、実施例1と同一条件で試験を行った。蓄冷材Aの温度の測定結果については、下記表1及び
図2のグラフに示す。
【0050】
【0051】
<試験1のまとめ>
図2のグラフを見ると、融解環境において実施例1の方が各比較例よりも温度上昇が緩やかであることが認められる。つまり、蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装することで、蓄冷材の蓄冷効果を比較的長時間に亘って維持することができる。
【0052】
<試験2>
[実施例2]
-15℃の環境(凝固環境)に5時間放置して凝固点以下の温度にした(凍結した状態の)蓄冷材AをAL袋に収容して第一蓄冷材1とした。この際、AL袋を蓄冷材Aに沿って折り返して蓄冷材Aに密着させた。また、斯かる第一蓄冷材1を2個準備した。
常温環境に放置して凝固点を超える温度にした(融解した状態の)蓄冷材AをAL袋に収容して第二蓄冷材2とした。この際、AL袋を蓄冷材Aに沿って折り返して蓄冷材Aに密着させた。また、斯かる第二蓄冷材2を2個準備した。
水10cc入りのキャップ付きボトルを被保冷物Xとした。
そして、
図3に示すように、蓋付き容器Y(外寸:200mm×100mm×100mm、厚み5mm)に被保冷物Xを収容し、該被保冷物Xの上に第二蓄冷材2(2個)を載置し、その上に第一蓄冷材1(2個)を載置した。
そして、蓋付き容器Yを約30℃の環境に配置すると共に、被保冷物Xの温度を所定時間毎に測定した。測定結果については、下記表2及び
図4のグラフに示す。
【0053】
[比較例3]
蓄冷材をAL袋に収容しなかったこと以外は、実施例2と同一条件で試験を行った。被保冷物Xの温度の測定結果については、下記表2及び
図4のグラフに示す。
【0054】
【0055】
<試験2のまとめ>
図4のグラフを見ると、比較例3の方が実施例2よりも被保冷物Xの温度が急激に低下していることが認められる。また、実施例2の方が比較例3よりも被保冷物Xの温度変化が少ないことが認められる。つまり、凍結した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第一蓄冷材1とし、融解した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第二蓄冷材2とし、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置して第一蓄冷材1と被保冷物Xとに第二蓄冷材2を接触させることで、被保冷物Xの急激な温度低下を抑制することができると共に、比較的長時間に亘って被保冷物Xを保冷することができる。
【0056】
<試験3>
[実施例3]
-15℃の環境(凝固環境)に24時間放置して凝固点以下の温度にした(凍結した状態の)蓄冷材BをAL袋に収容して第一蓄冷材1とした。この際、AL袋を蓄冷材Bに沿って折り返して蓄冷材Bに密着させた。また、斯かる第一蓄冷材1を6個準備した。
5℃の環境に放置して凝固点を超える温度にした(融解した状態の)蓄冷材CをAL袋に収容して第二蓄冷材2とした。この際、AL袋を蓄冷材Cに沿って折り返して蓄冷材Cに密着させた。また、斯かる第二蓄冷材2を4個準備した。
水10cc入りのキャップ付きボトルを被保冷物Xとした。
そして、
図5に示すように、蓋付き容器Y(外寸:387mm×317mm×404mm、厚み50mm)に、第一蓄冷材1(3個)を配置し、その上に第二蓄冷材2(2個)を配置し、その上に被保冷物Xを載置した。更に、被保冷物Xの上に第二蓄冷材2(2個)を載置し、その上に第一蓄冷材1(3個)を載置した。
そして、蓋付き容器Yを約35℃の環境に配置すると共に、被保冷物Xの温度を所定時間毎に測定した。測定結果については、下記表3及び
図6のグラフに示す。
【0057】
[比較例4]
蓄冷材B、蓄冷材CをAL袋に収容しなかったこと以外は、実施例3と同一条件で試験を行った。被保冷物Xの温度の測定結果については、下記表3及び
図6のグラフに示す。
【0058】
【0059】
<試験3のまとめ>
図6のグラフを見ると、比較例4の方が実施例3よりも被保冷物Xの温度が急激に低下していることが認められる。また、実施例3の方が比較例4よりも被保冷物Xの温度変化が少ないことが認められる。つまり、凍結した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第一蓄冷材1とし、融解した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第二蓄冷材2とし、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置して第一蓄冷材1と被保冷物Xとに第二蓄冷材2を接触させることで、被保冷物Xの急激な温度低下を抑制することができると共に、比較的長時間に亘って被保冷物Xを保冷することができる。また、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2をそれぞれ被保冷物Xの上下に配置することで、上記の効果をより長時間に亘って維持することができる。
【0060】
<試験4>
[実施例4]
-15℃の環境(凝固環境)に24時間放置して凝固点以下の温度にした(凍結した状態の)蓄冷材DをAL袋に収容して第一蓄冷材1とした。この際、AL袋を蓄冷材Dに沿って折り返して蓄冷材Dに密着させた。また、斯かる第一蓄冷材1を8個準備した。
5℃の環境に放置して凝固点を超える温度にした(融解した状態の)蓄冷材DをAL袋に収容して第二蓄冷材2とした。この際、AL袋を蓄冷材Cに沿って折り返して蓄冷材Cに密着させた。また、斯かる第二蓄冷材2を5個準備した。
水10cc入りのキャップ付きボトルを被保冷物Xとした。
そして、
図7に示すように、蓋付き容器Y(外寸:387mm×317mm×460mm、厚み50mm)に第一蓄冷材1(4個)を配置し、その上に第二蓄冷材2(2個)を配置し、その上に被保冷物Xを載置した。更に、被保冷物Xの上に第二蓄冷材2(3個)を載置し、その上に第一蓄冷材1(4個)を載置した。
そして、蓋付き容器Yを約35℃の環境に配置すると共に、被保冷物Xの温度を所定時間毎に測定した。測定結果については、下記表4及び
図8のグラフに示す。
【0061】
[比較例5]
蓄冷材DをAL袋に収容しなかったこと以外は、実施例4と同一条件で試験を行った。被保冷物Xの温度の測定結果については、下記表4及び
図8のグラフに示す。
【0062】
【0063】
<試験4のまとめ>
図8のグラフを見ると、比較例5の方が実施例4よりも被保冷物Xの温度が急激に低下していることが認められる。また、実施例4の方が比較例5よりも被保冷物Xの温度変化が少ないことが認められる。つまり、凍結した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第一蓄冷材1とし、融解した状態の蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装して第二蓄冷材2とし、第一蓄冷材1と被保冷物Xとの間に第二蓄冷材2を配置して第一蓄冷材1と被保冷物Xとに第二蓄冷材2を接触させることで、被保冷物Xの急激な温度低下を抑制することができると共に、比較的長時間に亘って被保冷物Xを保冷することができる。また、第一蓄冷材1及び第二蓄冷材2の個数を増やすことで、上記の効果をより長時間に亘って維持することができる。
【0064】
<試験5>
[実施例5]
蓄冷材EをAL袋に収容し、斯かるAL袋を蓄冷材Eに沿って折り返して蓄冷材Eに密着させた。
そして、AL袋に収容した状態の蓄冷材Eを-15℃~-21℃の環境(凝固環境)に20時間放置して蓄冷材Eを凝固点以下の温度にした(凍結)させた。その後、AL袋に収容した状態の蓄冷材Eを29℃~30℃の環境(融解環境)に20時間放置した。
そして、凝固環境及び融解環境における蓄冷材Eの温度を所定時間毎に測定した。測定結果については、下記表5及び
図9のグラフに示す。
【0065】
[実施例6]
AL袋を2重にしたこと以外は、実施例5と同一条件で試験を行った。蓄冷材Eの温度の測定結果については、下記表5及び
図9のグラフに示す。
【0066】
[比較例6]
蓄冷材EをAL袋に収容しなかったこと以外は、実施例5と同一条件で試験を行った。蓄冷材Eの温度の測定結果については、下記表5及び
図9のグラフに示す。
【0067】
[比較例7]
実施例5のAL袋に代えてLDPE袋を用いたこと以外は、実施例5と同一条件で試験を行った。蓄冷材Eの温度の測定結果については、下記表5及び
図9のグラフに示す。
【0068】
[比較例8]
実施例5のAL袋に代えて発泡PE袋を用いたこと以外は、実施例5と同一条件で試験を行った。蓄冷材Eの温度の測定結果については、下記表5及び
図9のグラフに示す。
【0069】
【0070】
<試験5のまとめ>
図9のグラフを見ると、融解環境において実施例5の方が各比較例よりも温度上昇が緩やかであることが認められる。つまり、ブロー成形の容器に蓄冷成分が封入された蓄冷材においても、該蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装することで、蓄冷材の蓄冷効果を比較的長時間に亘って維持することができる。
【0071】
<伝導伝熱・輻射伝熱>
実施例1のように蓄冷材AをAL袋に収容した状態(蓄冷材と袋の間に隙間がないとした状態)について、蓄冷材Aの外寸から、表面積(伝熱面積)を0.016m2とし、下記(1)~(3)式により伝導伝熱を算出し、下記(4)~(6)式により輻射伝熱を算出した。伝導伝熱及び輻射伝熱については、下記表7に示す。なお、伝導伝熱及び輻射伝熱の算出では、蓄冷成分を収容する袋(蓄冷材外装)、アルミ蒸着フィルムのアルミニウム層(AL層)及びPET層(樹脂層)、空気、及び、ステンレス(恒温槽内装)の熱伝導率及び輻射率を下記表6の通りとした。
Q=-(λ/L)A(T2-T1)…(1)
Q=-(T2-T1)/ΣiRi…(2)
ΣiRi=(1/A)Σi(Li/λi)…(3)
E=εбT4…(4)
Q=бAφ12(T1
4-T2
4)…(5)
1/φ12=1/ε1+1/ε2-1…(6)
бはStefan-Boltzmann定数(5.669×10-8 W m-2 K-4)
【0072】
比較例1の蓄冷材Aについて、蓄冷材Aの外寸から、表面積(伝熱面積)を0.016m2とし、上記(1)~(3)式により伝導伝熱を算出し、上記(4)~(6)式により輻射伝熱を算出した。伝導伝熱及び輻射伝熱については、下記表7に示す。なお、伝導伝熱及び輻射伝熱の算出では、蓄冷成分を収容する袋(蓄冷材外装)、アルミ蒸着フィルムのアルミニウム層(AL層)及びPET層(樹脂層)、空気、及び、ステンレス(恒温槽内装)の熱伝導率及び輻射率を下記表6の通りとした。
【0073】
比較例2のように蓄冷材AをLDPE袋に収容した状態(蓄冷材と袋の間に隙間がないとした状態)について、蓄冷材Aの外寸から、表面積(伝熱面積)を0.016m2とし、上記(1)~(3)式により伝導伝熱を算出し、上記(4)~(6)式により輻射伝熱を算出した。伝導伝熱及び輻射伝熱については、下記表7に示す。なお、伝導伝熱及び輻射伝熱の算出では、蓄冷成分を収容する袋(蓄冷材外装)、アルミ蒸着フィルムのアルミニウム層(AL層)及びPET層(樹脂層)、空気、及び、ステンレス(恒温槽内装)の熱伝導率及び輻射率を下記表6の通りとした。
【0074】
実施例1及び比較例2のように蓄冷材Aを袋に収容した状態で、蓄冷材Aと袋との間に1mmの隙間を形成するとして、上記と同様に伝導伝熱及び輻射伝熱を算出した。伝導伝熱及び輻射伝熱については、下記表7に示す。
【0075】
<表面積(伝熱面積)の算出>
・蓄冷材Aの外寸:100mm×50mm×20mm
【0076】
・隙間なしの場合
{(100×50)×2+(100×20)×2+(50×20)×2}/106=0.01600(m2)
【0077】
・隙間1mmの場合
{(102×52)×2+(102×22)×2+(52×22)×2}/106=0.01738(m2)
【0078】
<伝導伝熱の算出>
・隙間なしの場合
ΣiRi=(1/A)Σi(Li/λi)…(3)
=(1/蓄冷材表面積)×{(蓄冷材袋LDPE厚み/LDPE熱伝導率)+(PET樹脂層厚み/PET樹脂層熱伝導率)+(AL層厚み/AL層熱伝導率)}
=(1/0.01600)×{(4e-05/0.33)+(3e-05/0.31)+(1e-09/236)}
=0.013624
Q=-(T2-T1)/ΣiRi…(2)
=-{(環境温度)-(蓄冷材初期温度)}/ΣiRi
=-{(273-20)-(273+20)}/0.013624
=2936
【0079】
・隙間1mmの場合
ΣiRi=(1/A)Σi(Li/λi)…(3)
=(1/蓄冷材表面積)×{(蓄冷材袋LDPE厚み/LDPE熱伝導率)+(PET樹脂層厚み/PET樹脂層熱伝導率)+(AL層厚み/AL層熱伝導率)+(隙間空間)/空気熱伝導率)}
=(1/0.01738)×{(4e-05/0.33)+(3e-05/0.31)+(1e-09/236)+(0.001/0.024)}
=2.4099
Q=-(T2-T1)/ΣiRi…(2)
=-{(環境温度)-(蓄冷材初期温度)}/ΣiRi
=-{(273-20)-(273+20)}/2.4099
=16.6
【0080】
<輻射伝熱の算出>
・隙間なしの場合
(恒温槽内表面からAL袋表面(蓄冷材表面)への輻射伝熱)
1/φ12=1/ε1+1/ε2-1…(6)
=1/(恒温槽内装輻射率)+(1/AL層袋輻射率)-1
=(1/0・9)+(1/0.06)-1
=16.78
Q=бAφ12(T1
4-T2
4)…(5)
=(Stefan-Boltzmann定数)×(蓄冷材表面積)×φ12×{(蓄冷材初期温度)4-(恒温槽内表面温度)4}
=(5.669×10-8)×0.01600×(1/16.78){(273+20)4-(273-20)4}
=0.177
【0081】
・隙間1mmの場合
(恒温槽内表面からAL袋表面への輻射伝熱)
1/φ12=1/ε1+1/ε2-1…(6)
=1/(恒温槽内装輻射率)+1/(AL層袋輻射率)-1
=(1/0.9)+(1/0.06)-1
=16.78
Q=бAφ12(T1
4-T2
4)…(5)
=(Stefan-Boltzmann定数)×(蓄冷材表面積)×φ12×{(蓄冷材初期温度)4-(恒温槽内表面温度)4}
=(5.669×10-8)×0.01738×(1/16.78)×{(273+20)4-(273-20)4}
=0.192
【0082】
・AL袋表面から蓄冷材表面への輻射伝熱
1/φ12=1/ε1+1/ε2-1…(6)
=1/(AL層袋輻射率)+1/(蓄冷材袋輻射率)-1
=(1/0.06)+(1/0.95)-1
=16.72
Q=бAφ12(T1
4-T2
4)…(5)
=(Stefan-Boltzmann定数)×(蓄冷材表面積)×φ12×{(蓄冷材初期温度)4-(AL層袋表面温度)4}
=(5.669×10-8)×0.01738×(1/16.72)×{(273+20)4-(273-20)4}
=0.193
【0083】
【0084】
【0085】
<伝導伝熱・輻射伝熱のまとめ>
表7を見ると、実施例1の方が比較例1よりも伝導伝熱が低いことが認められる。つまり、蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装することで、伝導伝熱を低くすることができる。
また、実施例1の方が比較例1,2よりも輻射伝熱が低いことが認められる。つまり、蓄冷材をアルミ蒸着フィルムで包装することで、輻射伝熱を低くすることができる。
【0086】
また、アルミ蒸着フィルムの各層の熱伝導率(λ)と厚み(L)とから下記(7)式を用いて算出されるアルミ蒸着フィルムの熱貫流率としては、アルミニウム層の厚みが1000Å、樹脂層の厚みが200μmである場合は、1550(W/m2・K)であり、アルミニウム層の厚みが10Å、樹脂層の厚みが20μm弱である場合は、16500(W/m2・K)であり、アルミニウム層の厚みが10Å、樹脂層の厚みが20μmである場合は、15500(W/m2・K)であり、アルミニウム層の厚みが10Å、樹脂層の厚みが30μmである場合は、10300(W/m2・K)であったことから、1500~17000(W/m2・K)であることが好ましく、6000~17000(W/m2・K)であることがより好ましい。このような熱貫流率を得るうえでは、アルミ蒸着フィルムの厚みとしては、20~50μmであることが好ましい。
熱貫流率=1/(L/λ)…(7)
【0087】
また、アルミニウムの輻射率は、一般的に、よく磨いた面で0.039~0.057、普通の面で0.04~0.08、粗面で0.055、酸化面で0.08~0.18であることから、アルミ蒸着フィルムの輻射率は0.08以下が好ましい。
【符号の説明】
【0088】
1…第一蓄冷材、2…第二蓄冷材、3…アルミ蒸着フィルム、10…蓄冷材、X…被保冷物、Y…容器