(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】物体をコーティングするための接着剤組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C08F 299/00 20060101AFI20240313BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240313BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240313BHJP
C09J 167/06 20060101ALI20240313BHJP
C09J 175/14 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C08F299/00
B32B27/30 A
B32B27/40
C09J167/06
C09J175/14
(21)【出願番号】P 2020506706
(86)(22)【出願日】2017-04-14
(86)【国際出願番号】 US2017027746
(87)【国際公開番号】W WO2018190876
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2020-03-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517299870
【氏名又は名称】ポリント コンポジッツ ユーエスエイ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519367429
【氏名又は名称】ティーアールユー-デザイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】スピアーズ リチャード アール
(72)【発明者】
【氏名】スプリングフィールド ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ラフランボワーズ アラン
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ マイケル アレン
(72)【発明者】
【氏名】パウアー リチャード ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ボクス スティーブン エル
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】▲吉▼澤 英一
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/044381(WO,A1)
【文献】特開2004-51665(JP,A)
【文献】特開2006-2110(JP,A)
【文献】特開2016-24240(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290/00
B29C64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェルポリマーがビニルエステル樹脂全体に分散しているコアシェルビニルエステル樹脂を含む第1の部分及び
ウレタンアクリラートを含む第2の部分
を含む複数部分接着剤組成物であって、
前記コアシェルビニルエステル樹脂は前記組成物の総質量の60~95%を構成し、
前記第1の部分と前記第2の部分を別々に調製し、組み合わせて前記接着剤組成物を得る、前記複数部分接着剤組成物。
【請求項2】
前記コアシェルビニルエステル樹脂が、前記組成物の総質量の75~95%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記コアシェルビニルエステル樹脂が、50~350nmの範囲の平均径を有するコアシェルポリマーを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ウレタンアクリラートが、前記組成物の総質量の2~25%を構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
さらにモノマーを含む第3の部分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
さらに1種以上の不飽和ポリエステル樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
さらに1種以上の添加剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記1種以上の添加剤が、架橋剤、硬化剤、チキソトロープ剤、エア抜き/湿潤剤、着色剤、無機若しくは有機フィラー、軽質フィラー、界面活性剤、無機若しくは有機ナノ粒子、又はその組み合わせを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が硬化すると、前記組成物は140°F(60℃)より高い熱変形温度を示し及び/又はASTM D638に規定の試験法下で測定して前記組成物は5%より多く伸長できる、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
下記:
1.0~10mmの範囲の表面プロファイルを有する表面を有するポリマー体を含む基体;及び
前記ポリマー体の表面の接着性コーティング
を含むポリマー複合品であって、前記接着性コーティングがコアシェルポリマーがビニルエステル樹脂全体に分散しているコアシェルビニルエステル樹脂を含み、
前記接着性コーティングがさらにウレタンアクリラートを含み、接着性コーティングが0.10mm未満の仕上がり表面プロファイルを有する、前記ポリマー複合品。
【請求項11】
前記接着性コーティングがさらに1種以上の添加剤を含
む、請求項10に記載の複合品。
【請求項12】
前記接着性コーティングが、硬化すると、0.08インチ(2.03mm)より大きい平均厚さを有する、請求項10又は11に記載の複合品。
【請求項13】
前記基体が、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸、又はその組み合わせを含み、それぞれ任意に、ガラス繊維、炭素繊維、竹、又はその組み合わせで強化されていてもよい、請求項10~12のいずれか1項に記載の複合品。
【請求項14】
前記接着性コーティングが硬化した後の前記基体の表面と前記接着性コーティングとの間の結合強度が少なくとも300psi(2.07×10
6Pa)である、請求項10~13のいずれか1項に記載の複合品。
【請求項15】
ポリマー複合品の製造方法であって、下記:
(a)1.0~10mmの範囲の表面プロファイルを有する表面を有するポリマー体を含む基体を形成すること;
(b)前記ポリマー体の表面に、コアシェルポリマーがビニルエステル樹脂全体に分散しているコアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティングを塗布すること;
(c)前記接着性コーティングを硬化させること
を含み、
前記接着性コーティングがさらにウレタンアクリラートを含み、前記接着性コーティングが0.10mm未満の仕上がり表面プロファイルを有する、前記方法。
【請求項16】
前記接着性コーティングがさらに1種以上の添加剤を含
む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基体が、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸、又はその組み合わせを含み、それぞれ任意に、ガラス繊維、炭素繊維、竹、又はその組み合わせで強化されていてもよい、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記塗布工程が、前記接着性コーティングを塗布して0.08インチ(2.03mm)より大きい厚さを有する組成物の層を得ることを含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
さらに下記:
(d)前記硬化した接着性コーティングを、前記基体表面の初期温度の10°F(5.6℃)以内に冷却すること;
(e)前記接着性コーティングの追加層を塗布すること;
(f)工程(e)で塗布した接着性コーティングを硬化させること;及び任意に、
(g)前記接着性コーティングの所望の平均厚さが得られるまで工程(d)~(f)を繰り返すこと
を含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
接着性コーティングが、ポリマー本体の表面に接着性コーティングを噴霧することによって、または組成物をスクイージー、ローラー、こて、へら、ペイントスティック、またはペイントブラシで塗布することによって適用される、請求項15~19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共同研究契約
本発明の態様は、共同研究契約の下記当事者によって又はその利益になるように作製された。共同研究契約は、本発明のデータ態様が作製されたとき又はその前に発効したものであり、本発明の態様は、共同研究契約の範囲内で行なわれた活動の結果として作製された。共同研究契約の当事者は、Polynt Composites USA Inc.、Polynt Composites Canada Inc.、及びTru-Design, LLCである。
【背景技術】
【0002】
背景
本出願は一般的に物体のコーティング又はシーラントとして有用な接着剤組成物に関する。特に、本組成物は、粗いか又は平らでない表面を有する物体、例えば付加製造(additive manufacturing)によって作られた物体のコーティング又はシーラントとして有用である。
3次元プリンティングとしても知られる付加製造は、人気を拡大してきており、今や物体を製造する幅広い産業で使用されている。しかしながら、付加製造によって作られた物体は粗い面を有し、その結果として、多くの意図した用途での使用、例えば、型又は試作品としての使用に適さない。従って、付加製造によって作られた物体の表面を改善するための改善された組成物及び方法が要望されている。
これらの物体の粗い面を取り扱う試みの前に物体を研磨して滑らかな面を作り出してから物体を塗装して最終製品を与えることが含まれた。しかしながら、物体の研磨は非常に時間がかかり、多大なダストを生じさせ、その炭素又は他の繊維の含量が原因で問題になることが多く、リアルワールド用途の付加製造プロセスの有用性を制限する。さらに、塗料が物体の膨張と収縮に耐えられないため塗装の失敗が一般的である。
【0003】
付加製造によって作られた物体、特に大型物体用の既存のコーティング組成物は、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の一般的基体への十分な接着を欠くことが多い。さらに、既存のコーティング組成物は、種々の条件下での基体の膨張及び/又は収縮が原因で機能しなくなる。従って、一般的基体に十分に接着することができ、滑らかな表面を有する物体を与えるコーティング組成物が要望されている。
付加製造で作られた大型物体は、参照することによりその内容全体をここに援用するSudbury et al., Int J Adv Manuf Technol. (2016年9月28)により部分的に詳述されている多くの他の技術的課題を有する。これらの課題としては、限定するものではないが、塗料又は接着剤シーラントの貯留及びその深割れ(cracking)が挙げられる。従って、付加製造によって作られた大型物体に伴う既知問題を克服できるコーティング組成物が要望されている。
既知の組成物及び方法により仕上げられた付加製造で作られた物体は、耐久性の欠如を被る。伝統的材料製の型は、10回より多く、50回より多く、又は100回より多くの引っ張りに耐えることができる。しかしながら、付加製造で作られた物体を含む型は、5回未満又は10回未満の引っ張りにしか耐えられない。従って、型の標準的使用に伴う機械的力に耐えることができるコーティング組成物が要望されている。
付加製造で作られた物体は、部品を物体上に付加するためのさらなる加工を受け得る。これらの物体は、真空下でオートクレーブ処理を受ける。先行技術の組成物は、真空下でのオートクレーブ処理に伴う温度と圧力の変化に耐えられなかった。従って、付加製造によって作られた物体の仕上げに伴う温度と圧力の変化に耐えられるコーティング組成物が要望されている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、コアシェルビニルエステル樹脂及びウレタンアクリラートを含む組成物に関する。コアシェルビニルエステル樹脂は、組成物の総質量の25~95%を構成してよく及び/又は50~350nmの平均径を有するコアシェルポリマーを含有し得る。ウレタンアクリラートは、組成物の総質量の2~25%を構成し得る。
本組成物は、任意にさらにモノマー、1種以上の添加剤、及び/又は1種以上の不飽和ポリエステル樹脂を含んでよい。特に適切なモノマーはスチレン又はその誘導体である。適切な添加剤としては、架橋剤、硬化剤、チキソトロープ剤、エア抜き/湿潤剤、着色剤、エア抜き、無機若しくは有機フィラー、軽質フィラー、界面活性剤、無機若しくは有機ナノ粒子、又はその組み合わせが挙げられる。
本組成物は、0.1~10%のカルバミン酸結合含量を有してよく;140°F(60℃)より高い熱変形温度を示し;及び/又は組成物は5%より多く伸長できる。
本開示はさらに、表面を有するポリマー体と、コアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティング又はコアシェルビニルエステル樹脂及びウレタンアクリラートの本組成物とを含む、好ましくは付加製造によって作られたポリマー複合品に関する。ポリマー複合品は、基体からできており、この基体タイプはアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン(polypenylsulfone)、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸、又はその組み合わせであり得る。これらの基体タイプは、限定するものではないが、ガラス繊維、炭素繊維、竹、又はその組み合わせで強化可能である。
【0005】
接着性コーティングをポリマー複合品に塗布するとき、組成物が基体表面に0.08インチ(2.03mm)より大きい平均厚さを有するような方法で塗布してよい。硬化するとすぐに、接着性コーティングは、(1)基体の表面に接着し;(2接着性コーティングと基体表面との間の結合強度は300psi(2.07×106Pa)より大きく;及び/又は(3)硬化した後、接着性コーティングは0.10mm未満の仕上がり表面プロファイルを有し得る。
本開示はさらに、本組成物を用いてポリマー複合品、例えば型又は試作品を製造する方法であって、(a)表面を有するポリマー体を含む基体を形成すること;(b)コアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティングをポリマー体の表面に塗布すること;及び(c)(b)で塗布した接着性コーティングを硬化させることを含む方法に関する。塗布工程は、スクイージー、ローラー、こて、へら、ペイントスティック、ペイントブラシ、又は他の機械的手段の使用を介して達成することができる。これとは別に、塗布工程は、噴霧器を用いて組成物を物体上に噴霧することによって達成できるであろう。噴霧工程の結果は、0.08インチ(2.03mm)より大きい厚さを有する接着性コーティングの層であり、所望特性を達成することができる。
場合によっては、複数回の接着性コーティングの塗布が必要とされる。これらの場合、前塗布の接着性コーティングは、基体表面の初期温度の10°F(5.6℃)以内に冷めるべきである。次に前塗布の接着性コーティングの上に接着性コーティングの追加塗布を行なって硬化させることができる。
添付図面と共に読むと、下記詳細な説明から本開示をより良く理解することができる。図は必ずしも正確な縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】完成物品を形成するために本明細書で開示する方法で
接着性コーティング又はシーラントとして基体の表面に塗布された本組成物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本接着剤組成物は、特定基体に存在する粗いか又は平らでない表面を有する物体のボイドを埋めるために機能する接着剤組成物として使用可能である。本接着剤組成物はさらに、特定基体を含む物体に共通する温度と圧力の変化に耐えられるシーラントとして使用可能である。両物体は、付加製造プロセスにより作製され得る。
本明細書で開示する組成物及び使用方法は、粗いか又は平らでない表面を有する物体と共に使用するためにデザインされる。本明細書で使用する場合、「物体」には、製造品、好ましくはポリマー複合品、さらに好ましくは付加製造によって作られたポリマー複合品、最適には、大規模付加製造によって作られたポリマー複合品が含まれる。好ましい実施形態では、物体は型又は試作品である。物体は、広範なポリマー基体、例えば、限定するものではないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(polypenylsulfone)(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸(PLA)等を含み得る。これらの基体は、任意にガラス繊維、炭素繊維、竹等、又はその組み合わせで強化可能である。当業者は、他の同様の基体を本組成物と共に使用できることを認めるであろう。
【0008】
実施形態において、本組成物は、1.0~10mm;或いは2~7.5mm;或いは2.5~5.0mmの範囲の表面プロファイルを有する基体に接着する。
本組成物を粗いか又は平らでない表面を有する物体に接着性コーティング又はシーラントとして塗布し、硬化させると、気体又は液体に不浸透性又は実質的に不浸透性である物体をもたらす。言い換えれば、本組成物の使用は、物体の基体への気体又は液体の侵入を阻止する。
接着性コーティング又はシーラントとしての使用時に本組成物は、基体表面に内在する欠陥を示すことなく、又は真空シールを失うことなく、標準的かつ実験的熱サイクルに耐えることが分かった。特定の理論によって拘束されるものではないが、これらの熱的変化に変形せずに耐える能力は、本組成物の伸長特性に少なくとも部分的に起因する。
【0009】
実施形態において、接着性コーティング又はシーラントとして使用時に本組成物は、付加製造により作られた物体に共通する全てのプリント欠陥を埋めるためにも機能する。共通欠陥の非限定リストとしては、ボイド、幾何学的不完全、消失又は破壊ビード、欠肉(under-fill)空洞及び表面の輪郭/テクスチャー/分解の問題が挙げられる。この機能の結果として、本組成物の使用は、最終仕上げ(例えば、塗装)に受容性の滑らかな面を有する物体をもたらす。該物体は型又は試作品としての使用に理想的である。
本組成物は、コアシェルビニルエステル樹脂及びウレタンアクリラートを含む。本明細書で使用する場合、「コアシェルビニルエステル樹脂」は、ビニルエステル樹脂とコアシェルポリマーを意味し、コアシェルポリマーがビニルエステル樹脂全体に分散している。ある例示ビニルエステルは、参照することによりその内容全体をここに援用するWO1997/043339に開示されている。該樹脂は、「強化ビニルエステル樹脂」と呼ばれることもある。最も広く知られ、用いられているビニルエステル樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)とメタクリル酸から生成される。典型的には、アミン塩又はトリフェニルホスフィンを用いて反応を約120℃の温度で4~5時間触媒する。90~95%のメタクリル酸が反応してビニルエステルを形成する。スチレンを添加して合成中の粘度を下げることができる。これとは別に、メタクリル酸グリシジルを多官能フェノールと反応させてビニルエステル樹脂を形成することができる。
【0010】
本開示のビニルエステル樹脂に分散しているコアシェルポリマーは一般的に、エマルション重合中にコアシェルポリマーの構造に対して所望の組成バリエーションを得るためにモノマー供給原料の組成を変える制御されたエマルション重合によって生成される。種々の特性を有する多くのコアシェルポリマーが利用可能であるが、本組成物に用いるのに適したコアシェルポリマーは典型的に周囲条件でゴム状であり、ブタジエン及びアクリル酸アルキル等のモノマーを重合させることによって生成されるコアを有する。「周囲条件でゴム状」によって、コアシェルポリマーのコアが周囲温度より低いTgを有することが分かる。好ましいコアシェルポリマーとしては、限定するものではないが、下記の重合バージョンが挙げられる:ブタジエン;ブタジエン及びスチレン;ブタジエン、メタクリル酸メチル及びスチレン;ブタジエン、メタクリル酸アルキル、及びアクリル酸アルキル;ブタジエン、スチレン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル及びメタクリル酸;ブタジエン、スチレン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸及び低分子量ポリエチレン(流れ調整剤として);アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチル;メタクリル酸アルキル、ブタジエン及びスチレン;アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル及びメタクリル酸グリシジル;並びにアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル。コアシェルポリマーは、50~350nm;或いは、100~300nm;或いは、150~250nm;或いは、約200nm;或いは、200nmの平均径を有し得る。本組成物に用いるのに特に好ましいコアシェルポリマーは、コア成分としてブタジエンを組み入れたコアシェルポリマーである。好ましいシェル成分はポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)である。コアシェルポリマーは、アミン末端ブタジエンニトリルゴム(ATBN)ナノ粒子であり得る。ある適切なコアシェルポリマーは、ポリ(メタクリル酸メチルco-スチレン)シェルを有するポリブタジエンコアである。コアシェルポリマーは、任意に担体樹脂内に配置されていてもよい。担体樹脂は、当業者に周知の一般的目的のビスフェノールエポキシ樹脂又はその誘導体であり得る。例えば、好ましい担体樹脂はビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びその拡張バージョンである。担体樹脂はジエポキシ樹脂、例えばNovalacであり得る。
【0011】
実施形態において、コアシェルビニルエステル樹脂は、本組成物の総質量の約25~約95%;或いは、25~95%;或いは、50~95%;或いは、60~95%;或いは75~95%を構成する。
本明細書で使用する場合、「ウレタンアクリラート」は、ジイソシアナートと、オレフィン二重結合を有する-OH官能分子と、任意的な単官能、二官能、又は多官能-OH含有物質との反応生成物を意味する。本組成物に用いる1つの例示ウレタンアクリラートは、参照することによりその内容全体をここに援用する米国特許第4,485,226号及び第4,507,458号に開示されている。本明細書で使用する場合「ジイソシアナート」は、各分子上のいずれのタイプの芳香族、脂肪族、脂環式及び芳香族-脂肪族ポリイソシアナート、2種以上のイソシアナート基をもダイマー及びトリマーを含めて意味する。例示芳香族ポリイソシアナートとしては、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)及びトルエンジイソシアナート(TDI)が挙げられる。例示脂肪族ポリイソシアナートとしては、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)が挙げられる。「オレフィン二重結合を有する-OH官能分子」には、多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸の部分エステル、例えば、エチレングリコールモノアクリラート又はモノメチルアクリラート、1,2-若しくは1,3-プロパンジオールモノアクリラート又はモノメチルアクリラート、1,4-ブタンジオールモノアクリラート又はモノメタクリラート(monomethyacrylate)、1,6-ヘキサンジオールモノアクリラート又はモノメタクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、グリセリンジアクリラート、ペンタエリスリトール(pentaertythritol)トリアクリラート並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールのモノ(N-メチロールアクリルアミド)-エーテル及びモノ(N-メチロールメタクリルアミド)-エステルが挙げられる。「単官能、二官能、又は多官能OH含有物質」には、多官能アルコール、例えば2~8個の炭素原子のジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等、トリオール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオール、ペンタエリスリトール(pentaertythritol)等;又は1分子のアルコールと1~50、好ましくは15~30分子のエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドの反応によって調製されるポリエーテル-ポリオールが含まれ得る。ポリエステルポリオールには、多塩基酸、例えばアジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等と多価アルコール、例えば1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6-ヘキサングリコール及びネオペンチルグリコール等の反応生成物が含まれ得る。
【0012】
実施形態において、ウレタンアクリラートは、下記特質の1つ以上を有する:0.1~10%、或いは、0.5~5%、或いは、0.5~4%、或いは、0.5~3%のカルバミン酸結合含量;600~5000、好ましくは1500~3000の公称分子量;及び60℃で約4000cpsの粘度。
実施形態において、ウレタンアクリラートは、本組成物の総質量の約2~約25%;或いは、2~25%;或いは5~20%を構成する。
本組成物は、エア抜き/湿潤剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー共力剤、反応抑制剤、反応開始剤、触媒、界面活性剤、フィラー、及びパラフィンワックスから選択される1種以上の添加剤をさらに含んでよい。本組成物は、複数の同タイプの添加剤(例えば、1種以上のフィラー)又は異なるタイプの添加剤び組み合わせ(例えば、少なくとも1種の触媒と少なくとも1種の界面活性剤)を含んでよい。
存在するとき、1種以上の添加剤は、本組成物の総質量の約0.1~約40%;或いは、0.1~40%;或いは、0.1~20%;或いは、0.1~15%を構成し得る。
【0013】
本組成物は、さらにモノマーを含み得る。例示モノマーとしては、限定するものではないが、スチレン、メタクリル酸メチル、ビニルトルエン、ヒドロキシメチルメタクリラート、ヒドロキシメチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、αメチルスチレン、及びジビニルベンゼンが挙げられる。さらなる例示モノマーとしては、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、アクリル酸メチル、t-ブチルスチレン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート;グリセリルプロポキシトリアクリラート;プロピレングリコールジアクリラート;エチレングリコールジアクリラート;エチレングリコールジメタクリラート;エチレングリコールジアクリラート;テトラエチレングリコールジアクリラート;トリエチレングリコールジメタクリラート;トリプロピレングリコールジメタクリラート;ポリプロピレングリコールジアクリラート;ポリエチレングリコールジメアクリラート(dimeacrylate);ブタンジオールジアクリラート;ブタンジオールジメタクリラート;ペンタエリスリトール(pentaerythlitol)トリアクリラート;ペンタエリスリトールテトラアクリラート;エトキシル化ビスフェノールAジアクリラート;ヘキサンジオールジアクリラート;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリラート;ネオペンチルグリコールジアクリラート;ネオペンチルグリコールジメタクリラート;及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラートが挙げられる。好ましい実施形態では、モノマーはスチレン又はその誘導体の1つである。
モノマーは、本組成物の総質量の0.1~約40%;或いは、0.1~40%;或いは、0.1~30%;或いは、0.1~20%を構成し得る。
【0014】
本組成物は、各部分を調製してから組み合わせて本組成物に到達する複数部分組成物を構成し得る。これらの実施形態では、本組成物は、コアシェルビニルエステル樹脂を含む第1の部分;及びウレタンアクリラートを含む第2の部分を含む。本組成物は、任意にさらに、本明細書に記載のモノマーを含む第3の部分を含んでよい。
第1の部分は、本組成物の総質量の約25~約95%;或いは、25~95%;或いは、30~95%;或いは、50~90%;或いは、55~85%;或いは、60~80%;或いは、65~75%;或いは、70~75%を構成し得る。
第2の部分は、本組成物の総質量の約2~約25%;或いは、2~25%;或いは、5~20%;或いは、5~15%;或いは、10~15%を構成し得る。
第3の部分は、本組成物の総質量の約1~約75%;或いは、1~75%;或いは、2~40%;或いは、10~30%;或いは、10~20%;或いは、15~20%を構成し得る。
【0015】
第1の部分は、本明細書に記載のコアシェルビニルエステル樹脂を含み得る。第1の部分は、エポキシ樹脂とメタクリル酸又はその誘導体の反応生成物を含んでよく、コアシェルポリマーがエポキシ樹脂に分散している(disbursed)。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の液体エポキシ樹脂を含み得る。例えば、ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の1つの適切な液体エポキシ樹脂は、Dow(Midland, MI 48674)から入手可能なD.E.R.(商標)331である。ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の別の適切な液体エポキシ樹脂は、Hexion Specialty Chemicals (Columbus, OH 43215)から入手可能なEPON(商標)樹脂828である。実施形態において、ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の液体エポキシ樹脂は、185~192の範囲のエポキシド当量(g/eq)、25℃で110~150Pの粘度、25℃で9.7lbs/gal(1.16g/cm3)の密度、77℃で約0.03mmHgの蒸気圧、25℃で約1.5の屈折率、及び/又は約0.5BTU/lb/°F (0.5cal/g℃)の比熱を有する樹脂である。実施形態において、ビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の液体エポキシ樹脂は、182~192の範囲のエポキシド当量(g/eq)、22.4~23.6%のエポキシド百分率、5200~5500のエポキシド基含量、25℃で11000~14000mPa-sの範囲の粘度、及び/又は約1.16g/mlの密度を有する樹脂である。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂は、本明細書に記載のビスフェノールA/エピクロロヒドリン由来の2種以上の液体エポキシ樹脂の混合物である。
エポキシ樹脂は、第1の部分の総質量の約10~約55%;或いは、10~40%;或いは、15~35%;或いは、20~30%;或いは、25~30%を構成し得る。
結果として生じる第1の部分のコアシェルビニルエステル樹脂は、第1の部分の約60~約95%;或いは、60~95%;或いは、65~95%;或いは、70~95%;或いは、75~95%を構成し得る。
【0016】
実施形態において、第1の部分はさらに、本明細書に記載のモノマーを含んでよく、第1の部分の総質量の約10~約80%;或いは、10~70%;或いは、20~40%;或いは、25~35%を構成し得る。好ましい実施形態では、モノマーはスチレン又はその誘導体の1つである。
第1の部分はさらに1種以上の添加剤を含んでよい。特に適切な添加剤は、第1の部分及び/又は最終的に全体的な本組成物の貯蔵寿命又は安定性を助長する安定剤である。第1の部分に適した1つの添加剤は、Sigma-Aldrich Co., LLC (St. Louis, MO 63103)から入手可能なヒドロキノンである。存在するとき、ヒドロキノンは、第1の部分の総質量の1%未満;或いは、0.05%未満;或いは、0.01~0.05%;或いは、約0.03%;或いは、0.03%を構成する。第1の部分に適した別の添加剤は、Sigma-Aldrich Co., LLC (St. Louis, MO 63103)から入手可能な4-メトキシフェノールである。存在するとき、4-メトキシフェノールは、第1の部分の総質量の0.1%未満;或いは、0.05%未満;或いは、0.001~0.015%;或いは、約0.01%;或いは、0.01%を構成する。第1の部分に適した別の添加剤は、Sigma-Aldrich Co., LLC (St. Louis, MO 63103)から入手可能なp-ベンゾキノンである。存在するとき、p-ベンゾキノンは、第1の部分の総質量の1%未満;或いは、0.5%未満;或いは、0.2~0.4%を構成する。第1の部分に適した別の添加剤は、Sigma-Aldrich Co., LLC (St. Louis, MO 63103)から入手可能な無水マレイン酸である。存在するとき、無水マレイン酸は、第1の部分の総質量の1%未満;或いは、0.2~0.6%;或いは、0.3~0.5%を構成する。第1の部分に適した別の添加剤は、Sigma-Aldrich Co., LLC (St. Louis, MO 63103)から入手可能な2-ヒドロキシエチルメタクリラートであう。存在するとき、2-ヒドロキシエチルメタクリラートは、第1の部分の総質量の約1~約10%;或いは、1~10%;或いは、2~8%;或いは、3~6%;或いは、約5%;或いは、5%wt.パーセントを構成する。
【0017】
ウレタンアクリラートは、第2の部分の総質量の約40~約90%;或いは、40~90%;或いは、50~90%;或いは、60~0%;或いは、70~90%を構成し得る。
第2の部分は、さらに1種以上の添加剤を含み得る。第2の部分に適した1つの添加剤はメチルヒドロキノンである。存在するとき、メチルヒドロキノンは、100~500 ppm;或いは、300~400ppmを構成し得る。モノマーを第2の部分に添加してもよい。存在するとき、モノマーは、第2の部分の総質量の0.5~60%;或いは、5~40%;或いは、10~25%を構成し得る。
一実施形態では、本組成物は、表1にリストする成分を含む。
【0018】
【0019】
表1に記載の添加剤は、複数部分の開示で述べた個々の成分又は組成物全体に直接添加可能である。別の実施形態では、本組成物は、表2にリストする成分を含み得る。
【0020】
【0021】
表2に記載の添加剤は、複数部分の開示で述べた個々の成分又は組成物全体に直接添加可能である。
さらに別の実施形態では、本組成物は、表3にリストする成分を含み得る。
【0022】
【0023】
コアシェルビニルエステル樹脂又は第1の部分は下記手順に従って作製可能である。撹拌器、乾燥空気スパージ(sparge)及び加熱マントルを備えたきれいな乾燥したガラス製反応器にビスフェノールAエポキシ及びエポキシに分散したコアシェルポリマーを入れて混合する。次に混合物を約115℃に加熱する。エポキシ数が安定するまで115~120℃の温度を維持しながらテトラメチルアンモニウムクロリドとビスフェノールAをゆっくり添加する。この時点でモノマー、ヒドロキノン、及び2,4,6-トリ(ジメチルアミノメチル)フェノールを添加して混合することができる。次に酸価が安定するまで約115℃に温度を維持しながら2時間かけてメタクリル酸を少しずつ加えて混合する。次に混合物を室温に冷却する。本明細書で開示する添加剤を冷却混合物に添加して第1の部分を形成することができる。
【0024】
ウレタンアクリラート又は第2の部分は下記手順に従って作製可能である。乾燥空気スパージ及び撹拌器を備えた湿気のないきれいなガラス製反応器にトルエンジイソシアナート及びトリフェニルアンチモンを加えて反応器を撹拌し始める。次に乾燥空気スパージを開始し、130°F(54.4℃)未満の温度を維持しながら2時間かけてヒドロキシエチルアクリラートを加える。次に混合物を30分間125°F(51.7℃)で保持する。次にメチルヒドロキノンを加えて混合する。次に130°F(54.4℃)で1時間かけてポリオールを少しずつ加える。イソシアナート反応の完了時に、100ppmのメチルヒドロキノン及びモノマーを加えて混合する。そして混合物を室温に冷却する。本明細書で開示する添加剤を冷却混合物に加えて第2の部分を形成することができる。
【0025】
本組成物は、高せん断ミキサー(例えば、リボンブレンダー)を用いて製造してよい。実施形態において、コアシェルビニルエステル樹脂又は第1の部分をウレタンアクリラート又は第2の部分と一緒に添加し、120°F(48.9℃)未満の温度範囲で約3分間高せん断ミキサーによって混合する。次にモノマー若しくは第3の部分及び/又は1種以上の添加剤を混合物に添加して所望の物理的性質を得る。好ましい実施形態では、第1の部分及び第2の部分を一緒に添加して、65~85°F(18~29℃)未満の温度範囲で約3分間高せん断ミキサーによって混合する。次に混合物にモノマー及び添加剤を添加して至適物理的性質を得ることができる。例えば、本組成物が下記特性の1つ以上を示すまでモノマー及び添加剤を添加することができる:20rpmで10,000~30,000cPsの粘度;20rpmで16,000~20,000cPsの粘度;3より大きいチキソトロピー指数;4より大きいチキソトロピー指数;室温で6~10分のゲル化時間;0.50~1.0g/cm3の範囲の密度;又は0.70~0.80g/cm3の範囲の密度。これらの特性を得るために特に適切な添加剤としては、エア抜き/湿潤剤、1種以上のレオロジー改質剤、チキソトロピー共力剤、1種以上の反応抑制剤、1種以上の反応開始剤、1種以上の触媒、1種以上の界面活性剤、1種以上のフィラー、パラフィンワックスが挙げられる。
【0026】
存在するとき、エア抜き/湿潤剤は、ポリアクリラート、シリコーン、鉱物油又はその組み合わせから選択される。存在するとき、レオロジー改質剤は、ヒュームドシリカ;粘土、特に有機処理粘土;ヒマシ油;ポリアミド;及びその組み合わせから選択される。存在するとき、触媒は、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、水酸化コバルト、オクタン酸カリウム、ナフテン酸カリウム(potassium naphthanate)、マンガン塩、鉄塩、N.N-ジメチルアニリン、N.N-ジメチル-p-トルイジンから選択される。好ましい実施形態では、本組成物は、2種の触媒の組み合わせ、そうでなければ本明細書で触媒及び共触媒として記載するものを使用する。好ましい実施形態では、意図した用途によって決まる所望の硬化性能のために適用する前に1種以上の触媒及び共触媒を本組成物に添加する。存在するとき、反応抑制剤は、ゲル化時間を延長し、及び/又は本組成物の貯蔵寿命を延長できる化学薬品であり得る。例示反応抑制剤としては、限定するものではないが、t-ブチルカテコール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、ナフテン酸銅、トリフェニルアンチモンが挙げられる。存在するとき、フィラーは、1種以上の有機フィラー、1種以上の無機フィラー、又はその組み合わせであり得る。例示有機フィラーとしては、限定するものではないが、低収縮添加剤、ポリエチレン、架橋ポリエステル、架橋アクリル、架橋ウレタン、abs、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、及び炭素繊維が挙げられる。例示低収縮添加剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン等が挙げられる。例示無機フィラーとしては、限定するものではないが、炭酸カルシウム、粘土、タルク、珪灰石、フライアッシュ、ガラスマイクロバルーン、硫酸亜鉛、ナノ粘土、ナノシリカ、ナノ亜鉛、及びガラス繊維が挙げられる。存在するとき、着色剤は、樹脂組成物の色を変えることで知られているいずれの標準的な顔料添加剤であってもよい。例示着色剤としては、限定するものではないが、酸化鉄、カーボンブラック、及び酸化チタンが挙げられる。
【0027】
本組成物の硬化は、技術上周知の有機金属化合物、UV、電子ビーム、熱又は他のペルオキシド系の使用により促進することができる。ペルオキシド系を利用する好ましい実施形態では、ペルオキシド系は、好ましくは0.5~4%の濃度のペルオキシド又はヒドロペルオキシドであり得る。例示ペルオキシド又はヒドロペルオキシドとしては、限定するものではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド(MEKP)、t-ブチルペルベンゾアート(perbenzoate)等が挙げられる。熱によって硬化させると、本組成物は、使用する反応開始剤に応じて50~350℃の温度で硬化し得る。硬化すると、本組成物は、本明細書に記載の使用にとって特に注目に値する1つ以上の特性を示し得る。第1の説明に役立つ例として、硬化すると、本組成物は、140°F(60℃)より高い、或いは160°F(71℃)より高い;或いは、180°F(82℃)より高い熱変形温度を示し得る。第2の説明に役立つ例として、硬化すると、本組成物は、参照することによりその内容全体をここに援用するASTM D638に規定の試験法下で測定して5%より多く;或いは、6%より多く;或いは、7%より多く伸長できる。当業者は認めるように、この伸長計量は本組成物の弾性の説明に役立つ。第3の説明に役立つ例として、硬化すると、本組成物は、4回より多くの引っ張り;或いは、10回より多くの引っ張り;或いは、20回より多くの引っ張り;或いは、50回より多くの引っ張り;或いは、100回より多くの引っ張り;或いは、200回より多くの引っ張りに耐えることができる可能性がある。当業者は、引っ張り計量が耐久性を決める標準値であることを認めるであろう。引っ張り回数を決める1つの実験プロトコルを本明細書の実施例1に開示する。好ましい実施形態では、硬化すると、本組成物は、ここに記載の熱変形、耐久性、及び弾性特性の組み合わせを示す。当業者は、本組成物がこれらの特性の組み合わせを示すのは驚くべきことだと分かるであろう。例えば、耐久性でもあり弾性でもある組成物をデザインすることは当技術分野では困難である。
【0028】
今までに述べた本組成物は、プレゲル及び/又はプロモーションパッケージと組み合わせて、物体上に噴霧し、真空下でのオートクレーブ処理に伴う温度と圧力の変化に耐えるシーラントを形成するのに特に適した接着剤組成物を形成することができる。
プレゲルは、スチレン、粘土組成物、及び1種以上の添加剤を含み得る。プレゲルのスチレンは、組成物全体の約10~約40質量%;或いは、10~40質量%;或いは、15~35質量%;或いは、15~30質量%;或いは、15~25質量%;或いは、20~25質量%を構成し得る。1種以上の添加剤は、本明細書に記載の添加剤の1種以上を含み得る。プレゲルの粘土組成物は、粘土が存在する組成物を含む。当業者は、本明細書に記載の用途での使用に適した粘土組成物のタイプを理解するであろう。例えば、粘土組成物はナノ粘土を含んでよく、その例は、Neutrino Corporation (Tehran, Iran)から商品名Cloisite(登録商標)10Aで入手可能である。
【0029】
この組成物の説明に役立つ製造方法として、スチレン及びメタクリル酸メチルを一緒に添加して約80°F(27℃)に加熱する。次に粘土組成物をゆっくり増加的に混合物に添加し、高せん断混合を施す。集塊が存在しないか又は最小限になると、混合物はさらなる加工の準備が整っている。そのときに混合物をスチレン及び本組成物と混ぜ合わせて、10分間高せん断混合を施す。化学的硬化剤として1種以上の添加剤、例えばオクタン酸コバルト又は水酸化コバルト等を利用する場合、化学的硬化剤を混合物に添加して、さらに10分間の高せん断混合を施す。最後に、かつ任意に、1種以上の添加剤を混合物に加え、全部で又は導入添加剤によっては添加剤毎に10分間高せん断混合を施す。
本組成物をプレゲル及び/又はプロモーションパッケージと組み合わせる実施形態においては、組成物全体が下記特性の1つ以上を有し得る:約75分のゲル化時間;25℃で75~100cpsの粘度;及び/又は20~40%;好ましくは、30~40%;最適には30~35%の範囲の不揮発性物質の割合。
【0030】
本組成物は、1種以上の追加樹脂と組み合わせてもよい。追加樹脂の説明に役立つ例は不飽和ポリエステル樹脂である。不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオールとポリカルボン酸のポリエステル化によって調製され、その少なくとも一部がエチレン性不飽和を含有するいずれの樹脂であってもよい。典型的な有用な不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオールとしていずれかの低分子量グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等を含有し;かつマレイン酸、無水マレイン酸若しくはフマル酸又はおそらく他の不飽和ジカルボン酸、例えばイタコン酸、シトラコン酸を含有し;かつエチレン性不飽和を含有しない他のジカルボン酸又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等の量を含有してよい。ポリエステルは、例えば、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンの添加によって変性してもよい。本組成物への1種以上の追加樹脂の添加は、組成物が本明細書で特定する基体に接着する能力に影響を与えるべきでない。
【0031】
コアシェルビニルエステル樹脂、本組成物の第1の部分、又は上記いずれかの実施形態の本組成物は、当業者にすぐに明らかになるいくつかの方法で使用し得る。例えば、基体のボイドは、明細書に記載の接着性コーティングとしていくつかの方法で本コアシェルビニルエステル樹脂、本組成物の第1の部分、又は本組成物を用いて埋めることができる。基体は、未加工のプリント物体又はある程度まで機械加工された物体であってよい。第1の説明に役立つ例として、手混合材料(カップ又はバケツ内で適切な比で正確に混合した硬化性原材料)をスクイージー、ローラー、こて、へら、ペイントスティック、ペイントブラシ、又はコーティング材料をボイド中へ完全に押しつけやすくする任意の機械的手段で塗布することができる。第2の説明に役立つ例として、静的ミキサーを除去せずに噴霧装置から噴霧チップを除去することができる。そしてこの構造を用いて、適切に惹起されたコーティング材料を物体のボイド中に押し出すことができる。サイズ、形状及び基体表面に存在するボイドの数に応じて、第1及び第2の説明に役立つ例の組み合わせを最大の有効性まで使用することができ、これは実質的に第3の例示適用方法となる。非常に大きいか又は深いボイドの場合、接着性コーティング材料がエアボイドを含有することなく、接着性コーティング材料が基体表面のボイドを確実に完全に埋めるために振動エネルギー源を使用する必要があり得る。
【0032】
実施形態では、本組成物を基体表面に塗布し、硬化させてから接着性コーティングの硬化層にコアシェルビニルエステル樹脂、本組成物の第1の部分、又は本組成物の別の層を塗布する付加様式で、コアシェルビニルエステル樹脂、本組成物の第1の部分、又は本組成物を接着性コーティングとして基体表面に塗布することができる。所望表面が得られるまでこの方法を繰り返してよい。この塗布方法は、大きいボイドが基体表面に存在するときに特に好ましい。これらの実施形態では、本組成物の別の層を塗布する前に、硬化材料を基体表面の初期温度の約10°F(5.6℃)以内の温度に至らせるのが好ましい。基体表面に塗布されるときには接着性コーティングの塗布及びその後の硬化は発熱反応をもたらし得る。従って、接着性コーティングの最適な物理的特性を得るためには冷却時間が必要である。層毎の平均厚さが0.025~0.25インチ(0.635~6.35mm);或いは、0.08~0.12インチ(2.03~3.05mm)の範囲である場合に接着性コーティングの各層を塗布してよい。コーティングが完全に硬化すると、物体は滑らかになり及び/又は標準的加工技術(鋭いエッジの除去等)により必要とされる形状になり得る。
【0033】
基体表面上の接着性コーティングの平均厚さは、本明細書に記載の性能を達成するために0.05~0.50インチ(1.27~12.7mm);或いは、0.1~0.45インチ(2.54~11.4mm);或いは、0.15~0.40インチ(3.81~10.1mm);或いは、0.20~0.40インチ(5.08~10.2mm);或いは0.20~0.35インチ(5.08~8.89mm);或いは、0.20~0.30インチ(5.08~7.62mm)の範囲;或いは;約0.25インチ(6.35mm);或いは、0.25インチ(6.35mm)であり得る。
好ましい実施形態では、硬化した接着性コーティングを基体表面(又は場合によっては接着性コーティングの別の層に)に塗布する。この硬化した接着性コーティングは、熱的寸法変化の証拠を示さないか又は最小限の証拠しか示さない。当業者は、熱的寸法変化の証拠を表さないか又は最小限の証拠しか表さないことを容易に認めるであろう。例えば、熱的寸法変化の証拠がないか又は最小限の証拠しかないことは、硬化した接着性コーティングに存在するいずれのピーク又は谷をもヒトの目は確認できないことを意味する。別の例として、熱的寸法変化の証拠がないか又は最小限の証拠しかないことは、0.10mm未満、0.05mm未満;或いは、0.04mm未満;或いは、0.03mm未満の仕上がり表面プロファイルに相当する。
接着剤組成物は、セルフレベリング(self-leveling)特性を示し、これは顕著なポストキュア(post-curing)加工の必要性を回避するが、塗装、サンダー仕上げ(sanding)、及び/又はバフ仕上げ(buffing)の通常の手段を用いて接着性コーティングを完成することができる。完成すると、物体の表面は、本明細書で規定したように熱的寸法変化の証拠を示さないか又は最小限の証拠しか示さない。
本組成物を特にプレゲル及び/又はプロモーションパッケージと組み合わせてシーラーとして利用する塗布方法では、本組成物を単一又は一連の塗布で基体上に噴霧して、0.004~0.01インチ(0.102~0.254mm)、好ましくは0.006~0.008インチ(0.152~0.203mm)の範囲の層を得ることができる。各塗布後にコーティングを室温で1時間硬化させてからさらに1時間120℃でポストキュアする。本組成物をシーラーとして使用するとき、本組成物は、熱サイクルに耐えるのに特に適している。
【0034】
本組成物は、型又は試作品の製造方法であって、(a)表面を有するポリマー体を含む基体を形成すること;(b)ポリマー体の表面に、コアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティングを塗布すること;及び(c)接着性コーティングを硬化させることを含む方法に使用し得る。この方法は、さらに、(d)硬化した接着性コーティングを基体の初期温度の10°F(5.6℃)以内に冷却すること;(e)接着性コーティングを塗布すること;及び(f)工程(e)で塗布した接着性コーティングを硬化させることを含み得る。接着性コーティング又はシーラーの所望の厚さが得られるまで必要に応じて工程(d)~(e)を繰り返すことができる。好ましい実施形態では、基体への接着剤の各塗布が、0.08インチ(0.203mm)より大きい接着性コーティングの平均厚さをもたらす。接着性コーティングは、さらにウレタンアクリラートを含み得る。接着性コーティングは、本明細書に記載の本組成物のいずれの実施形態を含んでもよい。接着性コーティングを塗布し、引き続き硬化させた後、接着性コーティングの表面プロファイルは基体表面の最初の表面プロファイル未満である。実施形態において、形成工程(a)は、付加製造法、好ましくは大規模付加製造法である。
型又は試作品の製造方法は、塗料又は別のシーラントを接着性コーティングに塗布することをさらに含み得る。
【0035】
次に、本明細書に記載の方法で本組成物の一実施形態を基体に塗布して物体、特に製造品を形成する図を検討してみる。図は、物体を形成するために基体に塗布された本組成物の一実施形態を開示するが、当業者は、本開示の教示はこれらの実施形態に限定されないことを認めるであろう。
図1は、ポリマー基体1の断面の模式図を示し、その表面は、本組成物によって覆われて
接着性コーティング2を形成している。コーティング2は、さらにコアシェル粒子3を含有する。基体1は、特徴的な表面プロファイル5を有する作製されたままの表面4を有する。コーティング2は、ある程度のセルフレベリングを有するので、コーティングの外面6は、本明細書で大いに詳述したように、実質的に基体1の表面プロファイル5未満である表面プロファイル7を有する。1コートより多くコーティング2を塗布し得ることが分かり、さらに一般に逐次コートの表面プロファイルは次第に低減する(すなわち、より多くのコートが塗布されるにつれて表面が滑らかになる)ことが分かるであろう。
具体的な実施形態について詳述したが、当業者には、本開示の教示全体を考慮して当該詳細に対する種々の変更形態及び代替形態を開発できることが分かるであろう。特に、本明細書に記載の本組成物は、付加製造によって作られた物体を必ずしも伴わないいくつもの異なる方法及び異なる用途で使用し得る。従って、本明細書の開示は、単に説明に役立つだけであり、その範囲に関して限定しない意図であり、添付の特許請求の範囲及びそのいずれかの等価物の全容を与えるものとする。
【実施例】
【0036】
実施例1. 耐久性。コーティングが破損する前に接着性コーティングが耐えることができた引っ張り回数の評価を通じて本組成物の耐久性を試験した。この分析の結果を表3にに示す。コンパレーターAは、商品名PiloGrip(登録商標)Plastic Repair 3で販売されているValvoline (Lexington, KY)の市販製品である。コンパレーターBは、商品名PlioGrip(登録商標)Finishing Creamで販売されているValvoline (Lexington, KY)の市販製品である。コンパレーターCは、商品名PlioGrip(登録商標)Panel 60で販売されているValvoline (Lexington, KY)からの市販製品である。コンパレーターDは、商品名Z-Glasで販売されているClausen (Fords, NJ)の市販製品である。コンパレーターEは、商品名EZ sand Flexible Parts Repair Adhesiveで販売されている3M (St. Paul, MN)の市販製品である。コンパレーターFは、商品名Dent Filling Compound Body Fillerで販売されている3M (St. Paul, MN)の市販製品である。この試験では、各接着性コーティングを炭素繊維充填ABSに塗布し、その接着又は粘着特性の低下を評価した。
【0037】
【0038】
上記結果は、本組成物が市販代替品より顕著に耐久性があることを示している。
実施例2. 接着。参照することによりその内容全体をここに援用するASTM D4541に従って本組成物の接着を試験した。要するに、接着剤組成物をドリー(dolly)の裏側に塗布し、次にこれを試験用基体の上に置く。各製品のデータシートに記載の適切な硬化条件後、冠鋸又はカッターを用いて、コーティングを通って基体の方へ又は基体のまさに中までドリーの周りをカットする。次にDeFelsko (Ogdensburg, NY)から市販されているPosiTest Pull-Off Adhesion Testerを利用して手で圧力を与えた。接着剤組成物の破損をもたらした圧力を表4に示す。この実施例で用いたシリコーン接着剤は、商品名S120でDevco (Tulsa, OK)から市販されている。表4に記載の実施形態A及び実施形態Bは、組成物に異なるモノマーを用いたため粘度が異なるだけである。
【0039】
【0040】
上記結果は、本組成物の両実施形態が市販のシリコーン接着剤より顕著によく基体に接着することを示している。さらに、上記結果は、コアシェルビニルエステル樹脂のみを含有する組成物より本組成物が基体に顕著によく接着することを示している。これらの結果から、成分が相乗的かつ驚くべき効果で作用して、報告した接着特性を達成することが分かる。
実施例3. 弾性。参照することによりその内容全体をここに援用するASTM D638に従って本組成物の弾性を試験した。要するに、固定部材とグリップで締め付けた可動部材との間に硬化した接着剤組成物を置く。次に本組成物に弾性ひずみを与えるように制御して可動部材を固定部材から離す。この試験は、表5に示す最大伸長を測定した。
【0041】
【0042】
上記結果は、本組成物が本組成物の一態様より弾性があることを示している。当業者は、本明細書に記載の他の物理的性質、特に実施例1及び2に記載の接着及び耐久特性を考えると、驚くほど弾性であることが容易に分かるであろう。
【0043】
実施形態
上記記述は、接着剤組成物の1つ以上の特定実施形態を記載、説明及び例示する。この記述は、本明細書に記載の実施形態に本開示を限定するために提供されたものではなく、むしろ種々の原理を説明及び教示して当業者がこれらの原理を理解できるようにし、当該理解によって、本明細書に記載の実施形態のみならず、これらの原理に従って頭に浮かび得る他の実施形態をもそれらを適用して実施することができる。本開示の範囲は、文献的又は均等論のどちらでも、添付の特許請求の範囲内に入り得る全ての該実施形態をカバーすることを意図している。本開示は、少なくとも以下の実施形態を含め、種々の実施形態が本明細書で開示されることを指摘する。
【0044】
A. コアシェルビニルエステル及びウレタンアクリラートを含む組成物。
A.1. コアシェルビニルエステルがビニルエステル樹脂及び1種以上のコアシェルポリマーを含む、Aの組成物。
A.2. コアシェルビニルエステル樹脂が、本組成物の総質量の25~95%;好ましくは、50~95%;さらに好ましくは、60~95%;又は最適には75~95%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
A.3. ウレタンアクリラートが、本組成物の総質量の2~25%;好ましくは5~20%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
A.4. さらにモノマーを含む、いずれかの先行する実施形態の組成物。
A.4.a. モノマーが、本組成物の総質量の0.1~40%;好ましくは0.1~30%;さらに好ましくは0.1~20%を構成する、A.4の組成物。
A.5. さらに1種以上の添加剤を含む、いずれかの先行する実施形態の組成物。
A.5.a. 1種以上の添加剤が、本組成物の総質量の0.1~40%;好ましくは、0.1~20%;さらに好ましくは、0.1~15%を構成する、A.5の組成物。
【0045】
B. コアシェルビニルエステルを含む第1の部分と、ウレタンアクリラートを含む第2の部分とを含む組成物。
B.1. 第1の部分が、本組成物の総質量の25~95%;好ましくは、30~95%;さらに好ましくは、50~90%;最適には、65~75%を構成する、Bの組成物。
B.1.a. コアシェルビニルエステルが、第1の部分の総質量の60~95%;好ましくは、65~95%;さらに好ましくは、70~95%;最適には、75~95%を構成する、B又はB.1.の組成物。
B.1.b. 第1の部分が、さらにモノマー及び/又は1種以上の添加剤を含む、B又はB.1.a.の組成物。
B.1.b.i. モノマーが、第1の部分の総質量の10~80%;好ましくは、10~70%;さらに好ましくは、20~40%;最適には、25~35%を構成する、B.1.b.の組成物。
B.2. 第2の部分が、本組成物の総質量の2~25%;好ましくは、5~20%;さらに好ましくは、5~15%;最適には、10~15%を構成する、B又はB.1.の組成物。
B.2.a. ウレタンアクリラートが、第2の部分の総質量の40~90%;好ましくは、50~90%;さらに好ましくは、60~90%;最適には、70~90%を構成する、B.2の組成物。
B.2.b. 第2の部分が、さらにモノマー及び/又は1種以上の添加剤を含む、B.2又はB.2.a.の組成物。
B.2.b.i. 1種以上の添加剤が、組成物の硬化及び/又は組成物の成分の架橋を促進する、B.2.b.の組成物。
B.3. モノマーを含む第3の部分をさらに含む、実施形態B~B.2.b.i.のいずれか1つの組成物。
B.3.a. 第3の部分が、本組成物の総質量の1~75%;好ましくは、2~40%;さらに好ましくは、2~40%;さらに好ましくは、10~30%;最適には、10~20%を構成する、B.3.の組成物。
コアシェルビニルエステルが、組成物の総質量の45~95%、50~95%、50~90%、55~85%、60~80%、65~75%、又は70~75%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
B.4. ウレタンアクリラートが、組成物の総質量の5~25%、5~20%、5~15%、又は10~15%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
B.5. ウレタンアクリラートが、第2の部分の総質量の40~80%、50~70%、又は60~70%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
B.6. 第2の部分が、組成物の総質量の2~25%、5~20%、5~15%、又は10~15%を構成する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
【0046】
C.1. ビニルエステル樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びメタクリル酸から生成される、いずれかの先行する実施形態の組成物。
C.2. ビニルエステル樹脂が、メタクリル酸グリシジルと多官能フェノールとの間の反応から生成される、いずれかの先行する実施形態の組成物。
C.3. コアシェルポリマーが、下記の重合バージョン:ブタジエン;ブタジエン及びスチレン;ブタジエン、メタクリル酸メチル及びスチレン;ブタジエン、メタクリル酸アルキル、及びアクリル酸アルキル;ブタジエン、スチレン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル及びメタクリル酸;ブタジエン、スチレン、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸及び低分子量ポリエチレン(流れ調整剤として);アクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチル;メタクリル酸アルキル、ブタジエン及びスチレン;アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル及びメタクリル酸グリシジル;並びにアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル、好ましくはブタジエンから選択される、いずれかの先行する実施形態の組成物。
C.4. コアシェルポリマーが、50~350nm、好ましくは、100~300nm、さらに好ましくは、150~250nm;最適には200nmの平均径を有する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
【0047】
D.1. ウレタンアクリラートが、ジイソシアナートと、オレフィン二重結合を有する-OH官能分子と、任意的な単官能、二官能、又は多官能-OH含有物質との反応生成物である、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.1.a. ジイソシアナートが芳香族又は脂肪族である、D.1.の組成物。
D.1.a.i. ジイソシアナートが、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、トルエンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、又はその組み合わせから選択される、D.1.又はD.1.a.の組成物。
D.2. ウレタンアクリラートが、100~115の平均ヒドロキシ含量を有する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.3. ウレタンアクリラートが、0.1~10%;好ましくは、0.5~5%;さらに好ましくは、0.5~4%;最適には0.5~3%のカルバミン酸結合含量を有する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.4. ウレタンアクリラートが、600~5000、好ましくは1500~3000の分子量を有する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.5. ウレタンアクリラートが、60℃で4000cpsの粘度を有する、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.6. ウレタンアクリラートが、実施形態D.2.~D.5.の2つ以上の特質を備える、いずれかの先行する実施形態の組成物。
D.7. ウレタンアクリラートが、実施形態D.2.~D.5.の3つ以上の特質を備える、いずれかの先行する実施形態の組成物。
【0048】
E.1. モノマーが、スチレン、メタクリル酸メチル、ビニルトルエン、ヒドロキシメチルメタクリラート、ヒドロキシメチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、αメチルスチレン、及びジビニルベンゼンから選択される、いずれかの先行する実施形態の組成物。さらなる例示モノマーとして、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、アクリル酸メチル、t-ブチルスチレン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート;グリセリルプロポキシトリアクリラート;プロピレングリコールジアクリラート;エチレングリコールジアクリラート;エチレングリコールジメタクリラート;エチレングリコールジアクリラート;テトラエチレングリコールジアクリラート;トリエチレングリコールジメタクリラート;トリプロピレングリコールジメタクリラート;ポリプロピレングリコールジアクリラート;ポリエチレングリコールジメアクリラート(dimeacrylate);ブタンジオールジアクリラート;ブタンジオールジメタクリラート;ペンタエリスリトールトリアクリラート;ペンタエリスリトールテトラアクリラート;エトキシル化ビスフェノールAジアクリラート;ヘキサンジオールジアクリラート;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリラート;ネオペンチルグリコールジアクリラート;ネオペンチルグリコールジメタクリラート;及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリアクリラート;好ましくはスチレンが挙げられる。
【0049】
E.2. 組成物がさらにプレゲルを含む、いずれかの先行する実施形態の組成物。
E.2.a. プレゲルが、組成物全体の10~40質量%;好ましくは、15~35質量%;さらに好ましくは、15~30質量%;さらに好ましくは、15~25質量%、最適には20~25質量%を構成する、I.1の組成物。
E.2.b. プレゲルが、スチレン、粘土組成物、及び1種以上の添加剤を含む、I.1又はI.1.aの組成物。
【0050】
F.1. 1種以上の添加剤が、エア抜き/湿潤剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー共力剤、反応抑制剤、反応開始剤、触媒、界面活性剤、フィラー、及びパラフィンワックスから選択される、いずれかの先行する実施形態の組成物。
F.1.a. 反応抑制剤が、t-ブチルカテコール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、ナフテン酸銅、及びトリフェニルアンチモン;又はその組み合わせから選択される、F.1.の組成物。
F.1.b. 触媒が、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、水酸化コバルト、オクタン酸カリウム、ナフテン酸カリウム(potassium naphthanate)、マンガン塩、鉄塩、N,N-ジメチルアニリン、及びN,N-ジメチル-p-トルイジン;又はその組み合わせから選択される、F.1.の組成物。
F.1.c. レオロジー改質剤が、ヒュームドシリカ、粘土、有機処理粘土、ヒマシ油、及びポリアミド;又はその組み合わせから選択される、F.1.の組成物。
F.1.d. エア抜き/湿潤剤が、ポリアクリラート、シリコーン、及び鉱物油:又はその組み合わせから選択される、F.1.の組成物。
F.1.e. 着色剤が、酸化鉄、カーボンブラック、及び酸化チタン;又はその組み合わせから選択される、F.1.の組成物。
F.1.g. フィラーが、有機又は無機フィラーを含む、F.1.の組成物。
F.1.g.i. 有機フィラーが、ポリエチレン、架橋ポリエステル、架橋アクリル、架橋ウレタン、abs、グラファイト、及び炭素繊維;又はその組み合わせから選択される、F.1.gの組成物。
F.1.g.ii. 無機フィラーが、炭酸カルシウム、粘土、タルク、珪灰石、フライアッシュ、ガラスマイクロバルーン、硫酸亜鉛、ナノ粘土、ナノシリカ、ナノ亜鉛、及びガラス繊維;又はその組み合わせから選択される、F.1.g.の組成物。
【0051】
G.1. 組成物が1種以上の追加樹脂をさらに含む、いずれかの先行する実施形態の組成物。
G.1.a. 1種以上の追加樹脂が1種以上の不飽和ポリエステル樹脂である、G.1の組成物。
G.1.a.i. 不飽和ポリエステル樹脂が、ポリオールとポリカルボン酸のポリエステル化によって調製される、G.1.a.の組成物。
G.1.a.ii. 不飽和ポリエステル樹脂が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、又はネオペンチルグリコールを含む、G.1.a.又はG.1.a.i.の組成物。
G.1.a.iii. 不飽和ポリエステル樹脂が、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、及びアゼライン酸から選択される、実施形態G.1.a.~G.1.a.iiのいずれか1つの組成物。
G.1.a.iv. 不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも一部がエチレン性不飽和を含有する、実施形態G.1.a.~G.1.a.iiiのいずれか1つの組成物。
G.1.a.v. 不飽和ポリエステル樹脂が、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンで変性されている、実施形態G.1.a.~G.1.a.ivのいずれか1つの組成物。
【0052】
H.1. 組成物が硬化すると、組成物は140°F(60℃)より高い、好ましくは160°F(71℃)より高い、さらに好ましくは、180°F(82℃)より高い熱変形温度を示す、いずれかの先行する実施形態の組成物。
H.2. 組成物が、5%より多く、好ましくは6%より多く、さらに好ましくは、8%より多く伸長できる、いずれかの先行する実施形態の組成物。
H.2.a. 伸長がASTM D638に従って決定される、H.2.の組成物。
H.3. 本組成物が、4回より多くの引っ張り;好ましくは、10回より多くの引っ張り;さらに好ましくは、20回より多くの引っ張り;さらに好ましくは、50回より多くの引っ張り;さらに好ましくは、100回より多くの引っ張り;最適には、200回より多くの引っ張りに耐えることができる可能性がある、いずれかの先行する実施形態の組成物。
H.4. 組成物が、有機金属化合物、UV、電子ビーム、熱又は他のペルオキシド系を利用して硬化される、いずれかの先行する実施形態の組成物。
【0053】
I. 表面を有するポリマー体;及びポリマー体の表面に、コアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティングを含む、物体。
I1. 接着性コーティングがさらにウレタンアクリラートを含む、Iの物体。
I2. コアシェルビニルエステル樹脂、いずれかの先行する実施形態の第1の部分、又はいずれかの先行する実施形態の組成物が、0.08インチ(2.03mm)より大きい平均厚さを有する、I又はI1の物体。
I3. 接着性コーティングが、層毎に0.025~0.25インチ(0.635~6.35mm)、好ましくは0.08~0.12インチ(2.03~3.05mm)の平均厚さを有する、実施形態I~I2のいずれか1つの物体。
I4. 基体表面の接着性コーティングの平均厚さが、0.05~0.50インチ(1.27~12.7mm);好ましくは、0.1~0.45インチ(2.54~11.4mm);さらに好ましくは、0.15~0.40インチ(3.81~10.1mm);さらに好ましくは、0.20~0.40インチ(5.08~10.2mm);さらに好ましくは、0.20~0.35インチ(5.08~8.89mm);最適には、0.20~0.30インチ(5.08~7.62mm)である、実施形態I~I3のいずれか1つの物体。
I5. 接着性コーティングをポリマー体の表面に塗布して硬化させると、物体は気体又は液体に不浸透性又は実質的に不浸透性である、いずれか1つの実施形態I~I4の物体。
I6. 接着性コーティングが、基体への気体又は液体の侵入を阻止する、実施形態I~I5のいずれか1つの物体。
I7. 接着性コーティングが、基体のボイド、幾何学的不完全、消失又は破壊ビード、欠肉空洞、又は表面の輪郭若しくはテクスチャーを埋める、実施形態I~I6のいずれか1つの物体。
I8. 接着性コーティングが、1種以上の架橋剤、硬化剤、チキソトロープ剤、エア抜き/湿潤剤、着色剤、無機フィラー、有機フィラー、軽質フィラー、界面活性剤、無機ナノ粒子、有機ナノ粒子、及びその組み合わせをさらに含む、実施形態I~I7のいずれか1つの物体。
I9. 基体が、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン(polypenylsulfone)、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸、又はその組み合わせを含む、実施形態I~I8のいずれか1つの物体。
I10. 基体が、ガラス繊維、炭素繊維、竹、又はその組み合わせで強化されている、実施形態I~I9のいずれか1つの物体。
I11. 接着剤組成物がポリマー体の表面に接着して接着性コーティングと基体との間に結合を形成し、このコーティングと基体との間の結合強度が300psi(2.07×106Pa)より大きい、実施形態I~I10のいずれか1つの物体。
I12. ポリマー体の表面が第1の表面プロファイルを有し、かつ硬化後のコーティングの表面が、第1の表面プロファイル未満の第2の表面プロファイルを有する、実施形態I~I11のいずれか1つの物体。
I13. 基体が、組成物の付加前に1.0~10mm;好ましくは、2~7.5mm、さらに好ましくは、2.5~5.0mmの表面プロファイルを有する、実施形態I~I12のいずれか1つの物体。
I14. 接着性コーティングが、ポリマー体の表面で硬化すると、0.1mm未満;好ましくは、0.08mm未満;さらに好ましくは、0.05mm未満;さらに好ましくは、0.04mm未満;最適には、0.03mm未満の仕上がり表面プロファイルを有する、実施形態I~I13のいずれか1つの物体。
I15. 物体がポリマー複合品である、実施形態I~I14のいずれか1つの物体。
I16. 物体又はポリマー複合品が、付加製造法によって作り出される、実施形態I~I15のいずれか1つの物体。
I17. 物体又はポリマー複合品が、大規模付加製造法によって作り出される、実施形態I~I16のいずれか1つの物体。
I18. 接着性コーティングが、実施形態A~H4のいずれか1つの組成物を含む、実施形態I~I17のいずれか1つの物体。
【0054】
J. 下記:
(a)表面を有するポリマー体を含む基体を形成すること;
(b)ポリマー体の表面に、コアシェルビニルエステル樹脂を含む接着性コーティングを塗布すること;
(c)(b)で塗布した接着性コーティングを硬化させること
を含む、物体の製造方法。
J1. 接着性コーティングがさらにウレタンアクリラートを含む、Jの方法。
J2. 塗布工程が、組成物をスクイージー、ローラー、こて、へら、ペイントスティック、ペイントブラシ、又は他の機械的手段で塗布することを含む、J又はJ1の方法。
J3. 塗布工程が、接着性コーティングをポリマー体の表面上に噴霧することを含む、実施形態J~J2のいずれか1つの方法。
J3.a. 接着性コーティングが、0.004~0.01インチ(0.102~0.254mm)、好ましくは0.006~0.005インチ(0.152~1.27mm)の厚さを有する層を形成する、J3の方法。
J3.b. 接着剤組成物が、E2~E2.bのいずれか1つの実施形態に記載のプレゲル及び/又はプロモーションパッケージをさらに含む、J3又はJ3.a.の方法。
J4. 接着性コーティングを塗布し、硬化させてから、この硬化した層に接着性コーティングの別の層を塗布する、実施形態J~J3.bのいずれか1つの方法。
J5. 塗布工程が、組成物を塗布して0.08インチ(2.03mm)より大きい厚さを有する組成物の層を得ることを含む、実施形態J~J4のいずれか1つの方法。
J6. 硬化が、UV光、電子ビーム、有機金属化合物、ペルオキシド、又は熱を用いて行なわれる、実施形態J~J5のいずれか1つの方法。
J7. 硬化が、基体を50~350℃の温度で加熱することによって行なわれる、実施形態J~J6のいずれか1つの方法。
J8. 接着性コーティングが硬化すると、接着性コーティングは140°F(60℃)より高い、好ましくは、160°F(71℃)より高い、さらに好ましくは、180°F(82℃)より高い熱変形温度を示す、実施形態J~J7のいずれか1つの方法。
J9. 方法がさらに下記:
(d)硬化した接着性コーティングを基体表面の初期温度の約10°F(5.6℃)以内に冷却すること;
(e)接着性コーティングの追加層を塗布すること;及び
(f)工程(e)で塗布した接着性コーティングの少なくとも1つの層を硬化させること、及び任意に、
(g)接着性コーティングの所望の平均厚さが得られるまで工程(d)~(f)を繰り返すこと
を含む、実施形態J~J8のいずれか1つの方法。
J10. 物体がポリマー複合品である、実施形態J~J9のいずれか1つの方法。
J11. 物体又はポリマー複合品が付加製造法によって作り出される、実施形態J~J10のいずれか1つの方法。
J12. 物体又はポリマー複合品が大規模付加製造法によって作り出される、実施形態J~J11のいずれか1つの方法。
J13. 物体又はポリマー複合品が型又は試作品である、実施形態J~J12のいずれか1つの方法。
J14. 接着性コーティングが、実施形態A~H4のいずれか1つの組成物を含む、実施形態J~J13のいずれか1つの方法。