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特許7453912均質化したアルカロイド含有材料を含むシートの調製のための方法、およびこの方法から調製された構成成分を含むエアロゾル形成物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】均質化したアルカロイド含有材料を含むシートの調製のための方法、およびこの方法から調製された構成成分を含むエアロゾル形成物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/14 20060101AFI20240313BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A24B15/14
A24B3/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020535537
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2018084644
(87)【国際公開番号】W WO2019129493
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】17211109.8
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャリオー マリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ルシュフルール セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シボス アラン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107319628(CN,A)
【文献】特開昭63-248379(JP,A)
【文献】特表2017-529848(JP,A)
【文献】特表2017-530704(JP,A)
【文献】特開平08-332068(JP,A)
【文献】米国特許第05551450(US,A)
【文献】米国特許第04823817(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
A24B 13/00-15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを調製するための方法であって、前記方法が、
- アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、水、エアロゾル形成体および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第一の添加剤とを含む混合物を形成することであって、前記第一の添加剤の量が、前記混合物の総重量の0.1重量パーセント~50重量パーセントである、形成することと、
- 前記混合物に、前記混合物1キログラムあたり少なくとも20ワット時の機械的エネルギーを適用して、前記第一の添加剤が、前記澱粉のアミロースおよびアミロペクチンポリマーと相互作用して、その結晶質および顆粒状構造を修飾するようにすることと、
- 前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成することであって、
- 前記混合物を、前記スラリーの総重量の55重量パーセント~90重量パーセントの量の水と組み合わせることを含む、形成することと、
- 前記スラリーからシートを形成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記機械的エネルギーが前記混合物に適用された後に前記第二の添加剤が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカロイド含有材料の前記粒子が、0.02ミリメートル~0.3ミリメートルの平均サイズを有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
混合物を形成する前記工程が、前記混合物の乾燥質量基準で重量当たり2パーセント~30パーセントの量の還元糖を添加することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物に機械的エネルギーを適用する前記工程が、
前記混合物を押出成形することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物に前記混合物1キログラム当たり少なくとも20ワット時の機械的エネルギーを適用する前記工程が、190℃以下の温度で実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物に前記混合物1キログラム当たり少なくとも20ワット時の機械的エネルギーを適用する前記工程が、10秒~80秒の適用時間の間実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成する前記工程が、前記スラリーの乾燥質量基準で重量当たり150パーセント~600パーセントの量の第二の添加剤を添加することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成する前記工程が、前記スラリーが、乾燥質量基準で45パーセント~93パーセントの前記アルカロイド含有材料の前記粒子を含むようなものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成する前記工程が、前記スラリーが、乾燥質量基準で1パーセント~10パーセントの前記結合剤を含むようなものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成する前記工程が、前記スラリーが、乾燥質量基準で5パーセント~30パーセントの前記エアロゾル形成体を含むようなものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成する前記工程が、前記スラリーが、乾燥質量基準で150パーセント~500パーセントの水を含むようなものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
- セルロース繊維を、前記アルカロイド含有材料に添加することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルカロイド含有材料がたばこ材料である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記均質化したアルカロイド含有材料を含む前記シートを乾燥する工程を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均質化したたばこ材料などの、均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを製造するための方法、およびこの方法から調製された構成成分を含むエアロゾル形成物品に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉の他に均質化したたばこ材料も使用される。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0003】
また、エアロゾル発生物品のための均質化したたばこ材料の製造のための出発材料は、それゆえ、ほとんどがカットフィラーをブレンドするためのたばことサイズおよび物理的特性が同一であるたばこ葉であってもよい。
【0004】
均質化したたばこ材料の考えられる形態としては、再構成たばこシートおよびキャストリーフが挙げられる。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、粉砕されたたばこと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上へとキャスティングすることによって、たばこウェブまたはシートを作り出すために使用される。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。
【0005】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、一般に移動する金属ベルトから排出されてからボビンに巻き取られるが、さらに加工されてエアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体として含まれるためには巻き出される必要がある。
【0006】
その生産性について、均質化したたばこ材料を含むシートを形成するプロセスを改善または修正することが望ましい。
【0007】
実際には、均質化したたばこ材料を含むシートは、その一貫性、熱に対する感度、粘性または引張強さの低さのために取り扱いおよび保管が困難である場合があり、また、シートを取り扱うために高過ぎる力を用いた場合には、シートが容易に破損する場合がある。例えば、均質化したたばこ材料のシートは、ボビンにコイル状に巻かれると、シートが位置付けられる移動する金属ベルトから取り外すこと、または巻き出すことが困難でありうる。
【0008】
さらに、均質化したたばこ材料のシートを含むボビンはまた、搬送が困難でありうる。さらに、そうでなければ、均質化したたばこ材料シートの巻き取りが一緒に結合して巻き出しを損なうことがあるため、ボビンは非常に短い時間枠内で使用されることが好ましい。その結果、こうしたボビンの安全在庫を構築することも困難な作業となる可能性がある。
【0009】
したがって、その上で搬送される移動ベルトから容易に取り外される、アルカロイド含有材料のシートを製造するための方法に対するニーズがある。ボビンからの巻き出しが容易であり、したがって材料の連続的な、一定の、そして規則的な、下流装置への供給を提供することを可能にし、その結果、残りの製造ラインで全体的な製造レートを増加させて、製造を向上させることができる、アルカロイド含有材料のシートを製造するための方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は上記のニーズの少なくとも一つを満たしうる。
【0011】
一態様では、本発明は、均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを調製するための方法に関し、該方法は、アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、水、エアロゾル形成体および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第一の添加剤とを含む混合物を形成することであって、第一の添加剤の量は、混合物の総重量の約0.1重量パーセント~約50重量パーセントである、形成することと、混合物に、混合物1キログラム当たり少なくとも約20ワット時の機械的エネルギーを適用することと、混合物を、水、エアロゾル形成体および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成することと、スラリーからシートを形成することと、を含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを調製するための方法に関し、該方法は、アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、混合物の総重量の約0.1重量パーセント~約50重量パーセントのある量の水とを含む混合物を形成することと、混合物に、混合物1キログラム当たり少なくとも約20ワット時の機械的エネルギーを適用することと、混合物を、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第二の添加剤と組み合わせてスラリーを形成することと、スラリーからシートを形成することと、を含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを調製するための方法に関し、該方法は、アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、混合物の総重量の約0.1重量パーセント~約50重量パーセントの第一の量の水とを含む混合物を形成することと、混合物に、混合物1キログラム当たり少なくとも約20ワット時の機械的エネルギーを適用することと、混合物を、スラリーの総重量の約55重量パーセント~約90重量パーセントの第二の量の水と組み合わせてスラリーを形成することと、スラリーからシートを形成することと、を含む。
【0014】
本発明の方法では、アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、水、エアロゾル形成体および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第一の添加剤との混合物が形成される。この混合物では、第一の添加剤の量は、混合物の総重量の約0.1重量パーセント~約50重量パーセントである。
【0015】
混合物1キログラム当たり少なくとも約20ワット時の機械的エネルギーがこの混合物に適用される。理論に拘束されるものではないが、これらの条件において、第一の添加剤はアルカロイド含有材料に含有される澱粉と相互作用してこれを修飾し、その結果、結果として得られる混合物は、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含む第二の添加剤と組み合わせられてスラリーを形成すると、一貫性、熱に対する感度、粘性または引張強さに関して改善された特性を示すシートをもたらしうる。
【0016】
本明細書で使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約100ミリメートル~約300ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0017】
「アルカロイド含有材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えば、たばこの中に見出されうる。アルカロイド含有材料は、好ましくはたばこである。
【0018】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性、およびさらに弱酸性特性を有する一部の関連する化合物も含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、および、より稀に塩素、臭素、リンなどのその他の要素も含みうる。
【0019】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、動物を含む多種多様な生物体によって生成される。これらは、これらの生物体の粗抽出物から酸塩基抽出によって精製されうる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「澱粉」はアルカロイド含有材料の一部である。澱粉は、独立して添加されてもよい。
【0021】
澱粉は、グリコシド結合によって結合された多数のグルコース単位からなる高分子炭水化物である。澱粉は、ほとんどの緑色の植物体によってエネルギー貯蔵として生成される。澱粉は、ヒトの食事における最も一般的な炭水化物であり、ジャガイモ、コムギ、トウモロコシ(コーン)、米、およびたばこのような植物に含有される。澱粉は、二つのタイプのポリマー分子、直鎖および環状アミロース、および分枝状アミロペクチンからなり、半結晶粒状状態で植物内にある。本明細書で使用される「スラリー」という用語は、スラリーがなおも液体様、粘性またはペースト状の挙動を示す場合に、異なる液体様、粘性またはペースト状の材料の乳濁液を含み、特定の量の固体粒子を含みうる、液体様、粘性またはペースト状の材料を意味する。
【0022】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。それ故に、アルカロイド含有材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0023】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次に、たばこシートを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャスティングすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。
【0024】
たばこのシート材料は、再構成シート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ粒子状のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成されうる。このたばこ組成物は次に、キャスティング、押出成形、圧延、またはプレスされて、たばこ組成物からシート材料を形成する。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動するベルトの上にキャスティングされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0025】
均質化したたばこ材料シートは次に、ボビンに巻き込まれて、さらに処理するため、例えばエアロゾル形成物品の部分となるためには、巻き出される必要があり、これがエアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体に含まれるようになりうる。「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品では、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこシート中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこの大半を含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成物が実質的に、均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。
【0026】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを生成する能力を有する材料を意味する。たばこは、その他の化合物と一緒に、エアロゾル形成材料、特にエアロゾル形成体を含む均質化したたばこのシートとして分類されうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含みうるか、またはエアロゾル形成材料から成ってもよい。
【0027】
均質化したたばこ材料の特性は、後者を含むシートを形成するためのプロセスに影響を与えうる。
【0028】
実際、一般に、均質化したたばこ材料は「粘着性」である、すなわち、隣接した物体に接着し、また同時に比較的低い引張強さを有し、どちらかというと脆弱性である。理論に束縛されるものではないが、このような特性は、均質化したたばこ材料中のグアーおよびグリセリンなどの結合剤およびエアロゾル形成体の存在に起因すると考えられる。
【0029】
本発明の方法によれば、アルカロイド含有材料のシートが製造される。
【0030】
アルカロイド含有材料の粒子および澱粉と、水、エアロゾル形成体および結合剤からなる群から選択される構成成分を含むある量の第一の添加剤との混合物が形成される。
【0031】
この混合物では、第一の添加剤の量は、混合物の総重量の約0.1重量パーセント~約50重量パーセントである。第一の添加剤の重量は、混合物の総重量の0.1~50パーセントを表す。
【0032】
混合物中の第一の添加剤の量とアルカロイド含有材料の澱粉の量との重量比(すなわち、混合物中の第一の添加剤の重量と澱粉の重量との比)は、約2~約80であることが好ましい。
【0033】
第一の添加剤の量は、混合物の総重量の約5重量パーセント~約40重量パーセントであることが好ましく、約10重量パーセント~30重量パーセントであることがより好ましい。
【0034】
混合物は、上述の群からの複数の第一の添加剤を含みうる。粒子および第一の添加剤は、任意の公知のツールによって混合されることが好ましい。
【0035】
第一の添加剤は水であることが好ましい。混合物中の、混合物の総重量に対する水の量は、約5重量パーセント~約30重量パーセントであることが好ましく、約10重量パーセント~約20重量パーセントであることがより好ましく、約10重量パーセント~約18重量パーセントであることがさらにより好ましい。
【0036】
その後、この混合物に、混合物1キログラム当たり少なくとも約20ワット時の機械的エネルギーを適用する。
【0037】
エネルギーは、任意の公知の手段、例えば、攪拌、混合、または他の方法によって適用される。
【0038】
これらの条件では、第一の添加剤は、アルカロイド含有材料に含有される澱粉と相互作用し、場合によっては澱粉を修飾する。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、第一の添加剤は、澱粉のアミロースおよびアミロペクチンポリマーと相互作用して、その結晶質および顆粒状構造を修飾しうる。
【0039】
このようにして、澱粉は、結果として得られる混合物の特性を修飾し、その後、混合物は、水、エアロゾル形成体、および結合剤からなる群から選択される構成成分を含む第二の添加剤と組み合わせられて、スラリーを形成する。次に、スラリーからシートが形成され、シートは、エアロゾル発生物品の構成成分として使用されるのに最適な、一貫性、熱に対する感度、粘性または引張強さの特性を示す場合がある。特に、シートは、同一のスラリーから形成されるが、シートの形成前に、アルカロイド含有材料の澱粉構成成分が、適用される機械的エネルギーの特定の条件下で特定の量の第一の添加剤と相互作用しないシートと比較して、改善された引張強さ、良好な熱抵抗性、または低い粘性または良好な一貫性を有しうる。
【0040】
第二の添加剤は、機械的エネルギーが混合物に適用された後に添加されることが好ましい。
【0041】
スラリーを形成することは、混合物を、スラリーの総重量の約55重量パーセント~約90重量パーセントの量の水と組み合わせることを含むことが好ましい。水は第二の添加剤とすることができ、またはさらなる第二の添加剤とともに添加してもよい。
【0042】
スラリーを形成する工程は、第二の添加剤を混合物と混合することを含むことが好ましい。
【0043】
さらに、シートは、同一のスラリーから形成されるが、シートの形成前に、アルカロイド含有材料が、適用される機械的エネルギーの特定の条件下で特定の量の第一の添加剤と相互作用しないシートと比較して、不良が少ない滑らかな表面などの、良好な表面属性を示しうる。
【0044】
さらに、同一のスラリーは、その粘性および密度に関連する最適な特性を示しうるが、これは時間の経過とともに安定したままでありうる。
【0045】
アルカロイド含有材料の粒子は、約0.02ミリメートル~約0.3ミリメートルの平均サイズを有することが好ましい。平均サイズは、約0.05ミリメートル~約0.2ミリメートルであることがより好ましい。
【0046】
約0.02ミリメートル~約0.3ミリメートルの平均サイズは、たばこ細胞が少なくとも部分的に破壊されうるサイズを表す。こうした平均サイズを有するアルカロイド含有材料の使用は、有利なことにアルカロイド含有材料の下流の加工工程における滑らかかつ均一なスラリーをもたらす。
【0047】
第一の添加剤は水を含むことが好ましい。
【0048】
第一の添加剤は結合剤を含むことが好ましい。
【0049】
第一の添加剤として使用される結合剤は、本明細書の以下に記述されるガムまたはペクチンのうちのいずれかとしうる。結合剤として使用されうる、ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press(G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press (2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0050】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。第一の添加剤で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0051】
第一の添加剤は、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。
【0052】
第一の添加剤として適切なエアロゾル形成体は当業界で公知であり、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0054】
混合物の形成工程は、混合物の乾燥質量基準で重量当たり約2パーセント~約30パーセントの量の還元糖を添加することが好ましく、混合物の乾燥質量基準で重量当たり約5パーセント~約25パーセントの量の還元糖を添加することがより好ましく、混合物の乾燥質量基準で重量当たり約10パーセント~約15パーセントの量の還元糖を添加することがより好ましく、そして混合物の乾燥質量基準で重量当たり約11パーセント~約14パーセントの量の還元糖を添加することがさらにより好ましい。
【0055】
還元糖は、機械的エネルギーが混合物に適用されると、アルカロイド含有材料を修飾し、その結果、結果として得られる材料は、還元糖が添加されていないアルカロイド含有材料と比較して、アルカロイド含有材料の組成物について異なる特性を有しうる。これらの差異は、シートの最終的な特性に影響する。
【0056】
還元糖とアルカロイド含有材料との間の反応は、特に、アンモニアおよびアンモニウム含有化合物が後者に含有される場合に、生じる可能性がある。この反応は、アルカロイド含有材料の組成を修飾し、その結果、結果として得られる材料は、還元糖が添加されていないアルカロイド含有材料と比較して、少ない量のアンモニアまたはアンモニウム含有化合物を有するため、該材料から発生するエアロゾルは、所望の、または例えば風味において異なる特性を示しうる。
【0057】
この還元糖の量は、最終製品において所望の特性を得るために最適であることが証明されている。例えば、所望のレベルのアンモニアが得られうる。
【0058】
還元糖は、グルコース、フルクトース、キシロース、リボース、ガラクトース、およびこれらの混合物から選択されることが好ましい。還元糖は、グルコース、フルクトース、およびこれらの混合物であることがより好ましい。
【0059】
還元糖は、粉末形態の、液体形態の、またはスラリー形態のアルカロイド含有材料と混合されることが好ましい。
【0060】
アルカロイド含有材料は、還元糖と混合する前に任意の所望の形態にありうる。
【0061】
第一の添加剤の量は、アルカロイド含有材料の澱粉構成成分の乾燥質量基準で重量当たり約10パーセント~約70パーセントであることが好ましく、アルカロイド含有材料の澱粉構成成分の乾燥質量基準で重量当たり約20パーセント~約60パーセントであることがより好ましく、アルカロイド含有材料の澱粉構成成分の乾燥質量基準で重量当たり約30パーセント~約50パーセントであることがさらにより好ましい。
【0062】
混合物1キログラム当たり少なくとも約50ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることが好ましく、混合物1キログラム当たり少なくとも約100ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることがより好ましく、混合物1キログラム当たり少なくとも約150ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることがより好ましく、混合物1キログラム当たり約150ワット時~約350ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることがより好ましく、混合物1キログラム当たり約200ワット時~約300ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることがより好ましく、混合物1キログラム当たり約225ワット時~約275ワット時の機械的エネルギーが混合物に適用されることがさらにより好ましい。
【0063】
適用される機械的エネルギーは、ニコチン損失を回避または最小化するために、混合物1キログラム当たり約350ワット時より低いことが好ましい。
【0064】
混合物に機械的エネルギーを適用する工程は、混合物を押出成形することを含むことが好ましい。
【0065】
押出成形は、材料、この場合には上記混合物を、所望の断面のダイを通して押し出してオブジェクトを生成するために使用されるプロセスである。ダイにおいて混合物は、圧縮応力と剪断応力に遭遇する。したがって、混合物は、エネルギーを実質的に吸収する間に、押出成形機の入力から出力へと押し出される。
【0066】
押出成形は、機械的エネルギーを混合物に適用する好ましい方法であり、第一の添加剤と、アルカロイド含有材料の澱粉構成成分との相互作用の改善に寄与しうる。
【0067】
機械的エネルギーを適用する工程は、約190℃以下の温度で実施されることが好ましく、約30℃~約190℃の温度で実施されることがより好ましい。エネルギーを適用する工程の間に到達する最大温度は、約140℃~約190℃であることがより好ましく、約175℃~約185℃であることがさらにより好ましい。
【0068】
押出成形温度は、第一の添加剤とアルカロイド含有材料に含有される澱粉との間の相互作用に影響を与えうる。押出成形機におけるこの押出成形温度は、第一の添加剤とアルカロイド含有材料に含有される澱粉との間の相互作用を得るために最適であることが証明されている。
【0069】
押出成形の押出成形時間などのその他の処理条件も、第一の添加剤とアルカロイド含有材料の澱粉との間の相互作用に影響を与えうるため、関連因子でありうる。
【0070】
機械的エネルギーを適用する工程は、約10秒~約80秒の適用時間の間実施されることが好ましく、約10秒~約60秒の適用時間の間実施されることがより好ましく、約15秒~約50秒の適用時間の間実施されることがより好ましく、約20秒~約30秒の適用時間の間実施されることがより好ましく、約22秒~約27秒の適用時間の間実施されることがさらにより好ましい。
【0071】
本発明の方法では、第二の添加剤は、第一の添加剤と同一でもよく、または異なってもよい。
【0072】
第二の添加剤は水を含むことが好ましい。
【0073】
第二の添加剤は結合剤を含むことが好ましい。第二の添加剤で使用される結合剤は、第一の添加剤に関して上述したガムまたはペクチンのいずれかでありうることが好ましい。第二の添加剤で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0074】
第二の添加剤は、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。第二の添加剤で使用されるエアロゾル形成体は、第一の添加剤に関して上述したエアロゾル形成体のいずれかとしうる。第二の添加剤における好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0075】
第二の添加剤の量は、スラリーの乾燥質量基準で重量当たり約200パーセント~約550パーセントであることが好ましく、スラリーの乾燥質量基準で重量当たり約200パーセント~約500パーセントであることがより好ましい。
【0076】
スラリーは、乾燥質量基準で約45パーセント~約93パーセントのアルカロイド含有材料の粒子を含むことが好ましい。スラリーは、乾燥質量基準で約65パーセント~約83パーセントのアルカロイド含有材料の粒子を含むことがより好ましい。
【0077】
スラリーは、乾燥質量基準で約1パーセント~約10パーセントの結合剤を含むことが好ましい。スラリーは、乾燥質量基準で約4パーセント~約8パーセントの結合剤を含むことがより好ましい。
【0078】
スラリーは、乾燥質量基準で約5パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。スラリーは、乾燥質量基準で約15パーセント~約25パーセントのエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。
【0079】
スラリーは、乾燥質量基準で約150パーセント~約500パーセントの水を含むことが好ましい。
【0080】
シート形成工程の前に、スラリーは、重量当たり約10パーセント~約90パーセントの含水量を有することが好ましく、重量当たり約20パーセント~約80パーセントの含水量を有することがより好ましく、重量当たり約40パーセント~約80パーセントの含水量を有することがなおより好ましく、約60パーセント~約80パーセントの含水量を有することがさらにより好ましい。
【0081】
本発明の方法では、スラリーを形成する工程は、スラリーを均質化することを含むことが好ましい。
【0082】
本発明の方法では、スラリーを均質化する工程は、約20℃~約60℃の温度で実施されることが好ましく、約25℃~約55℃で実施されることがより好ましい。
【0083】
本発明の方法は、アルカロイド含有材料にセルロース繊維を添加することを含むことが好ましい。
【0084】
セルロース繊維がスラリー内に導入されてもよい。スラリー内のへのセルロース繊維の導入は、典型的にはアルカロイド含有材料の引張強さを増加し、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することは、アルカロイド含有材料の弾力性を増加する場合がある。
【0085】
均質化したたばこ材料などのアルカロイド含有材料に添加するためのセルロース繊維は当業界で公知であり、これには針葉樹の繊維、広葉樹の繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な処理を受けてもよい。
【0086】
セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄または他のたばこ植物材料を含む場合がある。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0087】
セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たり平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。
【0088】
さらに、アルカロイド含有材料に既に存在するセルロース繊維に加えて、そのアルカロイド含有材料に添加されるセルロース繊維の量は、スラリーの総重量の乾燥質量基準で約1パーセント~約7パーセントであることが好ましい。
【0089】
本発明の方法は、さらなるアルカロイド含有材料をスラリーに添加する工程を含むことが好ましい。
【0090】
スラリーからシートを形成する工程は、スラリーをシート内にキャスティングすることを含むことが好ましい。
【0091】
本発明の方法は、均質化したアルカロイド含有材料を含むシートを乾燥する工程を含むことが好ましい。
【0092】
均質化したアルカロイド含有材料を含むシートは、乾燥後、重量当たり約7パーセント~約15パーセントの含水量を有することが好ましい。
【0093】
均質化したアルカロイド含有材料を含むシートは、乾燥質量基準で約45パーセント~約93パーセントのアルカロイド含有材料を含むことが好ましい。
【0094】
アルカロイド含有材料は、均質化したたばこ材料を含むことが好ましい。こうした場合、材料に含有されるアルカロイドはニコチンを含みうる。
【0095】
本発明の第二の態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様による方法から調製された構成成分を含む、エアロゾル形成物品に関する。
【0096】
第二の態様の利点については、第一の態様を参照しながら既に概説したため、ここでは繰り返さない。
【0097】
本発明によるエアロゾル形成物品は、フィルター付き紙巻たばこ、またはたばこ材料が燃焼して煙を形成するその他の喫煙物品の形態であってもよい。本発明は、たばこ材料を燃焼ではなく加熱してエアロゾルを形成する物品、および燃焼又は加熱を用いずにたばこ材料からニコチン含有エアロゾルを生成する物品をさらに包含する。
【0098】
本発明によるエアロゾル形成物品は、完全な組み立てられたエアロゾル形成物品であってもよく、または例えば加熱式喫煙装置の消耗部品などの、エアロゾルを生成するために組み立てられた物品を提供する目的で一つ以上の他の構成要素と組み合わせられるエアロゾル形成物品の構成要素であってもよい。
【0099】
エアロゾル形成物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを生成する物品であってもよい。エアロゾル形成物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ていてもよく、またたばこを含んでもよい。エアロゾル形成物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル形成物品は、別の方法として、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能又は交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0100】
エアロゾル形成物品は、可燃性紙巻たばこも含んでもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル形成物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0101】
本発明のすべての態様では、アルカロイド含有材料は、均質化したたばこ材料であることが好ましい。こうした場合、材料に含有されるアルカロイドはニコチンを含みうる。
【0102】
均質化したたばこシートは、たばこ葉(例えば、たばこ茎およびラミナなど)から粉砕されたたばこ粒子を含む。
【0103】
均質化したたばこシートはまた、たばこの処理、取り扱い、および移送中に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0104】
均質化したたばこ材料中に存在するたばこは、たばこの大部分、または実質的に、エアロゾル発生物品中に存在するたばこの総量さえも構成してもよい。
【0105】
本発明の特定の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1図1は、本発明による均質化したたばこ材料を含むシートの製造方法のフロー図を示す。
図2図2は、押出成形された混合物を製造するために使用される押出成形機の概略側面図を示す。
図3図3は、押出成形された混合物を製造するために使用される押出成形機で使用される押出成形機の熱プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
最初に図1を参照すると、本発明による均質化したアルカロイド含有材料のシートの製造方法が表される。
【0108】
第一の工程100では、アルカロイド含有材料の粒子、還元糖および第一の添加剤の混合物が形成される。アルカロイド含有材料は、アルカロイドニコチンを含有するたばこ材料である。さらに、たばこは澱粉を含有する。還元糖はフルクトースである。第一の添加剤は水である。
【0109】
混合物は、(総混合物の重量パーセントで)
64~82%のたばこ粉末、
8~18%の添加された糖、
10~18%の添加された水、を含むことが好ましい。
【0110】
方法は、例えば、混合物が、入口201および出口202を含む押出成形機200(図2に表される)においてエネルギーを受ける、さらなる工程101を含む。押出成形機200において、混合物は、図2で矢印203によって示される、入口201と出口202との間に画定される押出成形の方向に沿って移動し、熱機械的処理に供される。
【0111】
混合物1キログラム当たり約180~約435ワット時の機械的エネルギーが適用されることが好ましい。機械的エネルギーは、混合物1キログラム当たり約225ワット時~混合物1キログラム当たり約275ワット時であることがより好ましい。
【0112】
エネルギー適用の間、例えば押出成形機において、還元糖は、たばこ材料のアンモニアとアンモニウム含有化合物との反応を受けることが好ましい。さらに、たばこ中に存在する澱粉も水との反応を受ける。
【0113】
図3では、本発明の方法の押出成形プロセスの押出成形の方向203に沿った概略的な熱プロファイルが示される。押出成形は、考えられるエネルギー適用の一例である。
【0114】
図1の工程101は、混合物が押出成形機200に供給される下位工程301を含む。
【0115】
下位工程301の後、工程101は、押出成形機200の内側に存在する混合物を約190℃以下の第一の温度に加熱するさらなる下位工程302を含む。第一の温度は約90℃~約190℃であることが好ましく、約140℃~約190℃であることがより好ましく、約175℃~約185℃であることがさらにより好ましい。加熱は、押出成形機200の第一の部分204において実施されることが好ましい。押出成形機の第一の部分における滞留時間は、約18秒~約22秒であることが好ましい。
【0116】
混合物を第一の温度へと加熱する下位工程302の後、押出成形機200の内側に存在する混合物を、第一の温度から70℃以下の第二の温度へと冷却するさらなる下位工程303が実施される。第二の温度は約30℃~約70℃であることが好ましく、約35℃~約50℃であることがより好ましく、約35℃~約45℃であることがさらにより好ましい。冷却は、押出成形機200の第一の部分204の押出成形の方向203に下流にある、押出成形機200の第二の部分205内で実行されることが好ましい。押出成形機の第二の部分205内の滞留時間は、約18秒~約22秒であることが好ましい。
【0117】
図3に示すように、押出成形工程101は、混合物を冷却する工程の前に、ある特定の滞留時間の間、好ましくは押出成形機200の第一の部分204内に、混合物を第一の温度に維持することを含みうる。この滞留時間は、約6秒~約40秒であることが好ましい。この滞留時間は約7秒~約11秒であることがより好ましい。
【0118】
第一の温度から第二の温度まで混合物を冷却する下位工程303の後、混合物を第二の温度で押出成形機200から排出する、さらなる工程304が実施される。このようにして、たばこ混合物は、押出成形プロセスの前のたばこ材料と比較して、アンモニアまたはアンモニウム含有化合物のより低い量を有する。さらに、澱粉は水と反応してもよい。
【0119】
押出成形された混合物は、たばこ粉末は同一のままであるが、スラリーが(重量パーセントで)、
5~8%の水、
2~6%の糖類(これらはアンモニアと反応している)を含有する、というこれらの特性を有することが好ましい。
【0120】
押出成形工程101の後、押出成形された混合物は後続のスラリー調製工程102で使用される。
【0121】
スラリー調製工程102の前またはスラリー調製工程102の間に、本発明の方法は、二つのさらなる工程、繊維を水中に均一に分散して精製するためにセルロース繊維5と水6をパルプ化するパルプ調製工程103と、エアロゾル形成体7と結合剤8を予混合する懸濁液調製工程104とを含む。エアロゾル形成体7はグリセロールを含み、結合剤8はグアーを含むことが好ましい。有利なことに、懸濁液調製工程104は、水を導入することなくグアーとグリセロールとを予混合することを含む。
【0122】
スラリー調製工程102は、エアロゾル形成体と結合剤の予混合溶液をスラリー混合タンクに移動することと、パルプをスラリー混合タンクに移動することとを含むことが好ましい。さらに、スラリー調製工程は、押出成形機を出た押出成形されたたばこ粉末を、パルプが入ったスラリー混合タンクへと投与し、グアーとグリセロールの懸濁液を投与することを含む。追加的なたばこ粉末を添加してもよい。この工程は、スラリーの均一性および均質性を確保するために高剪断ミキサーを用いてスラリーを処理する工程も含むことがより好ましい。
【0123】
スラリー調製工程102はまた、水を添加する工程を含むことが好ましく、所望の粘性および含水量を得るためにスラリーに水が添加される。
【0124】
スラリーの組成は、以下のようであることが好ましい。
【0125】
押出成形機から出た混合物をセルロース繊維と混合する。得られた混合物を(予混合したグアーガムグリセリン)および水と混合して、以下の(重量パーセントで)、
- 押出成形プロセスから出た15~30%のたばこ混合物、
- 65~75%の水、
- 0.5~1.5%の添加されたセルロース繊維、
- 0.1~1%のグアーガム、
- 2~7%のグリセリン、のスラリーを得る。
【0126】
均質化したたばこ材料を含むシートを形成するために、工程102によって形成されたスラリーは、キャスティング工程105でキャストされることが好ましい。このキャスティング工程105は、キャスティングステーションにスラリーを搬送することと、支持体上で均質でフィルム厚さが均一なシートへとスラリーをキャスティングすることとを含むことが好ましい。キャスティング中、キャストシートの厚さ、含水量、および密度がキャスティングの直後に制御されることが好ましく、またプロセス全体にわたりスラリー測定装置を使用して連続的にモニターしてフィードバック制御することもより好ましい。
【0127】
次に、均質化したキャストシートは、例えば無限ステンレス鋼製ベルトドライヤーでキャストシートを均一かつ穏やかに乾燥することを含む、乾燥工程106で乾燥される。無限ステンレス鋼製ベルトドライヤーは、個別の制御可能ゾーンを備えてもよい。乾燥工程は、各乾燥ゾーンで穏やかな乾燥プロファイルを確保するために各乾燥ゾーンにおけるキャストシート温度をモニターすることと、均質化したキャストウェブが形成される支持体を加熱することとを含むことが好ましい。乾燥プロファイルは、いわゆるTLC乾燥プロファイルであることが好ましい。
【0128】
ウェブ乾燥工程106の最後に、乾燥したウェブ中の含水量および存在する欠陥の数を測定するために、モニターする工程(図示せず)が実行される。
【0129】
標的とされた含水量まで乾燥した均質化したたばこを含むシートは、次に、例えば、単一のマスターボビンを形成するために、巻き取り工程107で巻き取られることが好ましい。本発明による均質化したたばこを含むシートの特性が改善されるために、シートは、シートの著しい破損なしにマスターボビンから容易に排出または巻き出され、全体的なプロセスの生産性が増大する。その後、切り込みを入れて小さいボビンを形成するプロセスによって、より小さいボビンの製造を実施するために、このマスターボビンが容易に使用されうる。その後、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のために、より小さいボビンを使用してもよい。
図1
図2
図3