(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/24 20060101AFI20240313BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240313BHJP
B01J 20/32 20060101ALI20240313BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240313BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C08J3/24 Z CEY
B01J20/26 D
B01J20/32 Z
A61F13/53 300
A61F13/15 320
(21)【出願番号】P 2020559740
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 JP2019036663
(87)【国際公開番号】W WO2020115988
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2018227231
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018227243
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】松山 泰知
(72)【発明者】
【氏名】松原 佑介
(72)【発明者】
【氏名】宮島 徹
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/044281(WO,A1)
【文献】特開2018-103183(JP,A)
【文献】特開2013-132434(JP,A)
【文献】特表2015-508836(JP,A)
【文献】特表2008-533213(JP,A)
【文献】特開2006-143972(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204302(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158975(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/030130(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170605(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16
15/18
15/20
15/22
15/24
15/26
15/28
15/30
15/32
15/34
15/36
15/38
15/40
15/42
15/44
15/46
15/48
15/50
15/52
15/54
15/56
15/58
15/60
15/62
15/64
B01J20/00-20/281
20/30-20/34
C08J3/00-3/28
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合して架橋重合体(A)の含水ゲルを得る重合工程と、架橋重合体(A)の含水ゲルを大きさ(最長径)は100μm~2cmに細分する工程と、細分したゲルをゲル温度40℃~120℃でさらに細断する工程と、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子(B)の表面を表面架橋剤(c)で表面架橋する工程とを有する、粒子の形状が不定形破砕状であり、下記(i)、(ii)を満たす吸水性樹脂粒子の製造方法であって、単量体組成物中のビニルモノマーはアクリル酸であり、内部架橋剤(b)はエチレン性不飽和基を2個以上有するものであり、表面架橋剤(c)はポリグリシジル化合物であり、内部架橋剤(b)の含有量は単量体組成物中のビニルモノマー単位の合計モル数に基づいて0.01~1モル%であり、表面架橋剤(c)の使用量は架橋前の架橋重合体(A)の重量に基づいては0.005~2重量%であり、下記式(2)で定義される粒子欠損度(CONV)が1%以下である粒子が、体積比で50%以下であり、粒子欠損度(CONV)が8%以上である粒子が、体積比で5%以下である、製造方法
であって、細断する工程は、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル又はミンチ機を用いて行う、製造方法。
(i)0.9重量%生理食塩水の60分後保水量が単位重量あたり30~50g/g
(ii)下記(1)式で定義される5分後毛管吸収量(CAP)が6g/g以上。
CAP(g/g)=(DW5分後吸収量)―(5分後保水量) (1)
(式(1)中、DW5分後吸収量は、吸水性樹脂粒子のDemand Wettability法で測定された5分後の生理食塩水吸収量を表す。)
CONV(%)={B/(A+B)}×100 (2)
(式(2)中、CONVは、粒子欠損度を表し、Aは、画像解析法により得られる対象粒子の投影面積を表し、Bは、画像解析法により得られる対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積からAで示す対象粒子の投影面積を引いた値を表す。)
【請求項2】
下記(3)式で定義される5分保水指数が70以上である請求項
1に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
5分保水指数=(0.9重量%生理食塩水の5分保水量)/(0.9重量%生理食塩水の60分保水量)×100 (3)
【請求項3】
前記細断工程後、水不溶性無機粒子(d)を架橋重合体の重量に基づいて0.01~1重量%混合する工程を含む請求項1
又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記細断工程後、多価金属塩(e)を架橋重合体の重量に基づいて0.01~5重量%混合する工程を含む請求項1
~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂粒子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等を主原料とする吸水性樹脂との組合せが吸収体として幅広く利用されている。近年の消費者は、より快適性を求める傾向にあり、よりドライ性が高くかつより薄型のものへと需要が遷移しており、これに伴ってドライ性が高く、更に親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。そのため、これまで親水性繊維が担ってきた初期の高い吸収速度や液拡散性の役割を吸水性樹脂それ自体に求められるようになった。また、吸収体の表面ドライ性を向上させるために、吸水性樹脂粒子自体の吸水速度だけでなく、吸収性物品に使用されている表面不織布からの液引きの速い吸水性樹脂粒子が強く望まれている。
【0003】
また、近年のQOL(quality of life)向上の観点からこれら衛生材料はより軽量かつ薄型のものへと需要が遷移しており、これに伴って親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。しかし、親水性繊維の使用量が減少すると排尿時の吸収体からの液漏れや液戻りが起こりやすくなる。そのため、これまで親水性繊維が担ってきた吸収体中での液拡散性や排尿初期に尿を保持する能力が吸水性樹脂それ自体に求められるようになり、通液性と初期の吸収速度が共に高い吸水性樹脂が要望されている。
【0004】
吸収速度を向上させる手法として、吸水性樹脂の表面積を物理的に大きくする方法が一般的である。例えばアクリル酸/アクリル酸塩水溶液をHLB8~12の界面活性剤の存在下で脂環族または脂肪族の炭化水素溶媒中に懸濁させ、アクリル酸/アクリル酸塩を逆相懸濁重合により重合して表面積の大きいパール状の吸水性樹脂粒子を製造する方法(逆相懸濁重合法)が知られている。しかしながら、製造時に用いられる炭化水素分散媒が揮発成分として粒子内部に残存し、吸水後に臭気が発生する問題があり、また、吸水性樹脂粒子を含む製品を使用した際の臭気が、使用者(装着者等)の快適さを損なう可能性があった。そこでこの課題を解決すべく吸水速度に優れ、かつ吸水後の揮発成分臭気の発生を抑制する方法(特許文献1)が知られているが、臭気を完全に抑制することはできていない。また、逆相懸濁重合以外では、吸水性樹脂の乾燥速度を上げて見掛け密度を低下させる方法(特許文献2)や吸水性樹脂の乾燥工程で内部発泡させ見掛け密度を低下させる方法(特許文献3)が知られている。また、吸水性樹脂粒子を造粒する手法(特許文献4)も知られている。しかし、いずれも粒子の機械的強度が弱く、おむつの製造工程で微粉を生じやすく、その微粉がおむつ製造工程中にゲルブロッキングを起こすことで工程の粒子詰まりの原因となる問題がある。更に、篩分工程で吸水性樹脂粒子の粒度を小さくすることで吸収速度を向上させる方法(特許文献5)も知られているが、吸水性樹脂の粒度を小さくすると耐吸湿性が低下し、上記同様おむつ製造工程での工程の粒子詰まりの原因となる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-103183号公報
【文献】特開2013-132434号公報
【文献】特表2015-508836号公報
【文献】特表2008-533213号公報
【文献】特開2006-143972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、吸水後に揮発成分による臭気を発生せず、不織布からの初期の液引きが速くドライ性が優れ、更にカブレ等の問題がない吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品を提供することである。本発明の目的はまた、これらの課題に加えて、初期の高い吸収速度、すなわち初期の高い保水能力、を発揮し、液戻りの少ない吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吸水性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含む吸水性樹脂粒子であって、粒子形状が不定形破砕状であり、下記(i)、(ii)を満たす吸水性樹脂粒子である。
(i)0.9重量%生理食塩水の60分後保水量が単位重量あたり30~50g/g
(ii)下記(1)式で定義される5分後毛管吸収量(CAP)が6g/g以上。
CAP(g/g)=(DW5分後吸収量)―(5分後保水量) (1)
式(1)中、DW5分後吸収量は、吸水性樹脂粒子のDemand Wettability法で測定された5分後の生理食塩水吸収量を表す。 また、本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合して架橋重合体(A)の含水ゲルを得る重合工程と、架橋重合体(A)の含水ゲルを細分する工程と、細分したゲルをゲル温度40℃~120℃でさらに細断する工程と、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子(B)の表面を表面架橋剤(c)で表面架橋する工程とを有する、粒子の形状が不定形破砕状であり、上記(i)、(ii)を満たす吸水性樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸水性樹脂粒子及び本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂粒子は、吸水後に揮発成分による臭気を発生せず、かつ初期に高い毛管吸収能力を発揮する。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を適用した吸収性物品は不織布からの初期の液引きが速く、ドライ性が優れ、更にカブレ等の問題がない。
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の吸水性樹脂粒子及び本発明の製造方法で得られる吸水性樹脂粒子は、吸水初期の保水能力と通液性が高い。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を適用した吸収性物品は排尿時の液戻り、液漏れが少なく、更にカブレ等の問題がない。
さらに、吸水性樹脂粒子の形状が不定形破砕状であり表面に凹凸を形成し、しかも一定の制御された割合の粒子に対して凹凸を形成することで、高い平均粒子径と毛管吸収能力と両立することができ、高湿度下でも吸収性物品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)を安定に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】粒子欠損度(CONV)を求める方法を説明する模式図である。(1)は粒子投影エリアを示す。(2)は粒子投影エリアの凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積を示す。
【
図2】ゲル通液速度を測定するための濾過円筒管の断面図を模式的に表した図である。
【
図3】ゲル通液速度を測定するための加圧軸及びおもりを模式的に表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0011】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a2)となるビニルモノマー(a2)(以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。)は特に限定はなく公知(たとえば、特許第3648553号公報の0024~0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005-75982号公報の0052~0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基(1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基、アシル基及びシアノ基等)を有するビニルモノマー)のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0012】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましい。水溶性ビニルモノマー(a1)としては、好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0013】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0014】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25~99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0015】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
【0016】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知(たとえば、特許第3648553号公報の0028~0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5~15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0017】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01~5が好ましく、さらに好ましくは0.05~3、よりさらに好ましくは0.08~2、特に好ましくは0.1~1.5である。なお、上述にもかかわらず、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0018】
内部架橋剤(b)(以下、単に架橋剤(b)ともいう)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)~(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、更に好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0020】
架橋重合体(A)の製造方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等)や、公知の懸濁重合法や逆相懸濁重合(特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等)によって得られる含水ゲル重合体(架橋重合体と水とからなる。)を必要により加熱乾燥、粉砕することで得ることができる。架橋重合体(A)は、1種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
【0021】
重合方法の内、好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0022】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。
水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0023】
重合に触媒を用いる場合、従来公知のラジカル重合用触媒が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合触媒の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0024】
重合方法が懸濁重合法又は逆相懸濁重合法である場合、必要に応じて、従来公知の分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、従来公知のキシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0025】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは5~80℃である。
【0026】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0027】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0028】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器[(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0029】
重合によって得られる含水ゲル重合体は、細断後、乾燥することで架橋重合体(A)を得ることができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0030】
含水ゲルを細断する前に細分することが好ましい。細断工程前に細分することで、細断工程時、含水ゲルにかかる応力を緩和することができ、ゲル内部の形状を維持することができる。吸水性樹脂粒子内部の形状を維持することで吸水性樹脂粒子の機械的強度の低下を防ぐことができ、吸水性樹脂粒子の吸収性能が良好となる。また、吸水性樹脂粒子の機械的強度を維持したまま、粒子を形成させることができるため、本発明の吸水性樹脂粒子はオムツ製造工程での詰まりなどのトラブルの心配もなく、良好な初期の水保持能力を発揮することができるため、吸収体にしたときの液戻り量少なく、カブレの心配がない。
【0031】
細分の方法については特に限定はなく、例えばはさみで細分してもよいし、凍結した含水ゲルを粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)で粉砕してもよい。
【0032】
細分後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは500μm~1cmである。この範囲であると、後の細断工程で含水ゲル内部の構造を維持できるため、吸水性樹脂粒子内部の形状を維持したまま吸水性樹脂粒子表面に凹凸が形成され、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。また、必要に応じて、細分後のゲルにアルカリを混合して中和することもできる。
【0033】
アルカリは、公知{特許第3205168号公報等}のものが使用できる。これらのうち、吸水性能の観点から、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。中和率は、通液性の観点から、50~100%が好ましく、更に好ましくは、60~80%である。
【0034】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。細断時の含水ゲルの温度は、好ましくは40~120℃、より好ましくは60~100℃であり、細断回数は1~4回が好ましく、より好ましくは2~3回である。この範囲であると細断装置内での含水ゲルの付着を防ぐことができ、さらに装置内での含水ゲルの滞留時間を短くすることで含水ゲル内部へかかる剪断力(シア)を抑え、機械的強度を維持したまま吸水性樹脂粒子表面に凹凸を形成することができる。
【0035】
含水ゲル中の溶媒(水を含む)を留去する方法としては、80~230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0036】
含水ゲルを細断後、乾燥して架橋重合体(A)を得た後、更に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0037】
必要によりふるい分けされた架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、100~800が好ましく、更に好ましくは200~700、次に好ましくは250~600、特に好ましくは300~500、最も好ましくは350~450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0038】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンパニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0039】
また、架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、架橋重合体(A)の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0040】
架橋重合体(A)の形状については、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられるが、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。また、パール状の吸水性樹脂粒子を製造する逆相懸濁重合では炭化水素分散媒を使用し、臭気の原因となるため好ましくない。
【0041】
架橋重合体(A)又は前記重合ゲルを特開2013-231199等に記載の方法等により必要に応じて疎水性物質で処理してもよい。
【0042】
架橋重合体(A)は、表面架橋されていることが好ましい。表面架橋することにより更にゲル強度を向上させることができ、実使用において望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。
【0043】
架橋重合体(A)を表面架橋する方法としては、従来公知の方法、例えば、架橋重合体(A)、表面架橋剤(c)、水及び溶媒の混合溶液を混合し、加熱反応する方法が挙げられる。混合する方法としては、架橋重合体(A)に上記混合溶液を噴霧するか、上記混合溶液に架橋重合体(A)をディッピングする方法等が挙げられ、好ましくは、架橋重合体(A)に上記混合溶液を噴霧して混合する方法である。
【0044】
表面架橋剤(c)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物、グリセリン及びエチレングリコール等の多価アルコール、エチレンカーボネート、ボリアミン並びに多価金属化合物等が挙げられる。これらの内、比較的低い温度で架橋反応を行うことができる点で好ましいのは、ポリグリシジル化合物である。これらの表面架橋剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
表面架橋剤(c)の使用量は、架橋前の架橋重合体(A)の重量に基づいて、好ましくは0.001~5重量%、更に好ましくは0.005~2重量%である。表面架橋剤(c)の使用量が0.001重量%未満の場合は、表面架橋度が不足し、荷重下における吸収量の向上効果が不充分となる場合があるので好ましくない。一方、表面架橋剤(c)の使用量が5重量%を超える場合は、表面の架橋度が過度となりすぎて保水量が低下する場合があるので好ましくない。
【0046】
表面架橋時の水の使用量は、架橋前の架橋重合体(A)の重量に基づいて、好ましくは0.5~10重量%、更に好ましくは1~7重量%である。水の使用量が0.5重量%未満の場合、表面架橋剤(c)の吸水性樹脂粒子内部への浸透度が不充分となり、荷重下における吸収量の向上効果が乏しくなる場合があるので好ましくない。一方、水の使用量が10重量%を超えると、表面架橋剤(c)の内部への浸透が過度となり、荷重下における吸収量の向上は認められるものの、保水量が低下する場合があるので好ましくない。
【0047】
表面架橋時に水と併用して使用される溶媒としては従来公知のものが使用可能であり、表面架橋剤(c)の吸水性樹脂粒子内部への浸透度合い、表面架橋剤(c)の反応性等を考慮し、適宜選択して使用することができるが、好ましくは、メタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の水に溶解しうる親水性有機溶媒である。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、溶媒の種類により適宜調整できるが、表面架橋前の吸水性樹脂の重量に基づいて、好ましくは1~10重量%である。また、水に対する溶媒の比率についても任意に調整することができるが、好ましくは重量基準で20~80重量%、更に好ましくは30~70重量%である。
【0048】
反応温度は、好ましくは100~230℃、更に好ましくは120~180℃である。反応時間は、反応温度により適宜調整することができるが、好ましくは3~60分、更に好ましくは10~45分である。表面架橋して得られる粒子状の吸水性樹脂を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
【0049】
表面架橋の後、必要により篩別して粒度調整してもよい。粒度調整後に得られた粒子の重量平均粒径は、好ましくは100~600μm、更に好ましくは200~500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
【0050】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に水不溶性無機粒子(d)を含んでも良い。このために、後述する本発明の製造方法は、更に水不溶性無機粒子(d)と混合する工程を含んでも良い。細断工程後、水不溶性無機粒子(d)を混合する工程を有することが吸収特性の観点から好ましい。水不溶性無機粒子(d)を含むことで吸水性樹脂粒子に含まれる粒子の表面が水不溶性無機粒子(d)で表面処理されることにより、吸水性樹脂粒子の毛管吸収量が向上し、更に耐ブロッキング性及び通液性も向上する。
【0051】
水不溶性無機粒子(d)としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、クレー及びタルク等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、コロイダルシリカ及びフュームドシリカが好ましく、更に好ましいのはコロイダルシリカである。水不溶性無機粒子(d)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0052】
水不溶性無機粒子(d)の使用量(重量%)は、コストの観点から少ないほど好ましいが、吸収性能の観点から架橋重合体の重量に基づいて0.01~1が好ましく、更に好ましくは0.05~1、特に好ましくは0.1~1である。この範囲であると、60分保水量に対する毛管吸収量、通液との性能バランスが良好となり、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。
【0053】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に多価金属塩(e)を含有してもよく、このために、後述する本発明の製造方法は、更に多価金属塩(e)と混合する工程を含んでも良い。多価金属塩(e)を含有することで、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液性が向上する。多価金属塩(e)としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と前記の無機酸又は有機酸との塩が挙げられる。
【0054】
多価金属塩(e)としては、入手の容易性や溶解性の観点から、アルミニウムの無機酸塩及びチタニウムの無機酸塩が好ましく、更に好ましいのは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、特に好ましいのは硫酸アルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、最も好ましいのは硫酸ナトリウムアルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い
【0055】
多価金属塩(e)の使用量(重量%)は、吸収性能及び耐ブロッキング性の観点から架橋重合体の重量に基づいて、0.01~5が好ましく、更に好ましくは0.05~4、特に好ましくは0.1~3である。
【0056】
多価金属塩(e)と混合するタイミングとしては特に制限はないが、前記の含水ゲル重合体を乾燥して架橋重合体を得た以降に混合することが吸収性能及び耐ブロッキング性の観点から好ましい。
【0057】
本発明の吸水性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003-225565号、特開2006-131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001~10が好ましく、さらに好ましくは0.01~5、特に好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.5である。
【0058】
本発明の吸水性樹脂粒子の形状は、吸水性樹脂粒子表面に凹凸を形成し、毛管吸収量が高く、不織布からの液引きに優れるという観点から不定形破砕状である。また、不定形破砕状であれば、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がない。
【0059】
本発明の吸水性樹脂粒子は0.9重量%生理食塩水の60分保水量が30~50g/gである。60分保水量は、後述する方法で測定することができ、吸収性物品の漏れを抑制できる観点から好ましくは33~49g/gであり、36~48g/gが更に好ましく、39~47g/gが特に好ましい。30g/g未満であると、繰り返し使用時に漏れが生じやすい。また、50g/gを超えるとブロッキングしやすくなる。さらに、0.9重量%生理食塩水の5分保水量が23~49g/gであることが好ましい。5分保水量は、後述する方法で測定することができ、吸収性物品の液戻り量を抑制できる観点からより好ましくは25~48g/gであり、28~47g/gが特に好ましく、最も好ましくは30~47g/gである。23g/g未満であると、吸収性物品の液戻り量が多くなり、好ましくない。また49g/gを超えると吸収体への浸透速度が遅くなり、モレが生じやすくなり好ましくない。保水量は、架橋剤(b)および表面架橋剤(c)の種類と量で適宜調整することができる。例えば、保水量を上げる必要がある場合、架橋剤(b)および表面架橋剤(c)の使用量を低下させることで実現することができる。
【0060】
本発明の吸水性樹脂粒子のDemand Wettability法(以下、DW法ともいう。)で測定された5分後の生理食塩水吸収量(DW5分後吸収量ともいう)は、40g/g以上であることが好ましい。DW試験は後述する方法で行うことができる。
【0061】
本発明の吸水性樹脂粒子の下記(1)式で定義される5分後毛管吸収量(CAP)は6g/g以上である。
CAP(g/g)=(DW5分後吸収量)―(5分後保水量) (1)
【0062】
5分後毛管吸収量が高ければ、吸収性物品に使用されている表面不織布からの液引きが良く、吸収体の表面ドライ性に優れる。表面ドライ性の観点から、好ましくは8g/g以上であり、更に好ましくは10g/g以上である。毛管吸収量が6g/g未満の場合としては、式(1)からわかるように、ある一定の5分後保水量に対してDW5分後吸収量が低い場合と、ある一定のDW5分後吸収量に対して5分後保水量が高い場合がある。前者の場合は吸水性樹脂粒子の不織布からの液引きが悪く、表面ドライ性の観点から好ましくない。後者の場合は吸水性樹脂粒子の膨潤速度が速く粒子間の通液性が悪くなり、吸収体の液投入部に液が溜まりやすく表面ドライ性の観点から好ましくない。
このように、DW5分後吸収量と5分後保水量のそれぞれを一定の数値以上にするだけでは、不織布からの液引き性や通液性の観点から表面ドライ性を有さず、5分後毛管吸収量を満足させることでドライ性が優れることを見出した。
【0063】
本発明の吸水性樹脂粒子は、JIS標準ふるいを用いて300~600μmの範囲にふるい分けた粒子のうち、下記(2)式で定義される粒子欠損度(CONV)が1%以下である粒子が、体積比で50%以下であることが好ましい。また、300~600μmの範囲にふるい分けた粒子のうち、粒子欠損度が8%以上である粒子の体積比が5%以下であることが好ましい。
CONV(%)={B/(A+B)}×100 (2)
式(2)中、CONVは、粒子欠損度を表し、Aは、画像解析法により得られる対象粒子の投影面積を表し、Bは、画像解析法により得られる対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積からAで示す対象粒子の投影面積を引いた値を表し、粒子の欠損部の面積を表す。なお、粒子欠損度は、0%以上100%未満であり、0%に近いほど粒子に凹凸がなく、なめらかな表面であることを意味する。
粒子欠損度を求める方法を
図1により説明する。対象粒子の投影面積(A)が、
図1の「粒子投影エリア」から求められる。次に、粒子投影エリアの凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積(A+B)が、対象粒子の投影面積(A)であるA部と欠損部であるB部を含んだ面積として求められる。これらの値からB部の面積が求められる。
【0064】
JIS標準ふるいを用いて300~600μmの範囲にふるい分けた粒子のうち、上記粒子欠損度が1%以下である粒子の体積比が50%以下であれば、なめらかな表面を持つ粒子の割合が小さく、吸水性樹脂粒子が十分な凹凸を有しているため、良好な毛管吸収能力を発揮し、吸収性物品にしたときに不織布からの初期の液引きが良く、表面ドライ性に優れ、耐カブレ性が良好となる。一方、粒子欠損度は値が大きいほど粒子の凹凸が増し吸収速度は速くなるが、吸水性樹脂粒子の壊れ性が増し、オムツ製造工程で微粉が増加する。JIS標準ふるいを用いて300~600μmの範囲にふるい分けた粒子のうち、粒子欠損度が8%以上である粒子の全粒子に対する体積比が5%以下であることが壊れ性の観点から好ましい。このことにより、吸水性樹脂粒子の機械的強度を落とすことを抑制することができる。
【0065】
本発明の吸水性樹脂粒子は、好ましくは、下記(3)式で定義される5分保水指数が70以上である。
5分保水指数=(0.9重量%生理食塩水の5分保水量)/(0.9重量%生理食塩水の60分保水量)×100 (3)
【0066】
(3)式で定義される5分保水指数は、吸収初期における保水能力を示す指標であり、値が大きいほど60分保水量に近い保水量を5分後に到達できることを示している。この5分保水指数は、保水量の絶対値からは調整することができない液戻り性を示す指標として有用であり、70以上の数値を示すことで液戻り抑制が極めて良好となることを見出した。吸収性物品の液戻りを抑制できる観点から70以上であり、75以上が好ましく、80以上が特に好ましい。70未満であると、吸収性物品の液戻りが多くなる。5分保水指数は、例えば、吸水性樹脂粒子の表面の形状を制御することで調整することができる。5分保水指数を上げるためには、細分した含水ゲルを細断し、乾燥を行えばよく、5分保水指数を下げるためには、細分した含水ゲルを細断せずに乾燥を行えばよい。また、表面形状の異なる吸水性樹脂粒子を混合調整することで制御することも可能である。
【0067】
本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.5~0.7が好ましく、更に好ましくは0.52~0.69、特に好ましくは0.54~0.68である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性が更に良好となる。吸水性樹脂粒子の見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0068】
本発明の吸水性樹脂粒子は荷重下吸収量が10~27g/gであることが好ましい。荷重下吸収量は、後述する方法で測定することができ、吸収特性の観点から、13~27がより好ましく、さらに好ましくは16~27、特に好ましくは19~27である。
【0069】
本発明の吸水性樹脂粒子のゲル通液速度(ml/分)は5~250であることが好ましい。ゲル通液速度は後述する方法で測定することができ、吸収特性の観点から、さらに好ましくは10~230、特に好ましくは30~210である。
【0070】
本発明の吸水性樹脂粒子の吸湿ブロッキング率(%)は、20以下であることが好ましい。吸湿ブロッキング率は、後述する方法で測定することができ、おむつ製造工程での粒子詰まりを抑制する観点から、15以下がより好ましく、さらに好ましくは10以下であり、特に好ましくは5以下である。
【0071】
本発明の吸水性樹脂粒子の白化速度は100秒以下であることが好ましい。白化速度は後述する方法で測定することができ、表面ドライ性の観点からより好ましくは95秒以下であり、さらに好ましくは90秒以下である。粒径を小さくすることで白化速度を低下させることが可能であるが、小粒径化により、耐吸湿性が悪くなるため、おむつ製造工程での工程の樹脂粒子詰まりの原因となる場合がある。また、逆相懸濁重合により、小さい一次粒子径の凝集体である吸水性樹脂粒子を製造することで白化速度を低下させる場合は、製造時に用いられる炭化水素分散媒が揮発成分として粒子内部に残存し、吸水後に臭気が発生する問題がある。本発明では、CAPを6g/g以上とすることで上記白化速度を満足させ、粒子形状を不定形破砕状とし、望ましくは、粒子欠損度がある特定の範囲とすることで製造工程での樹脂粒子詰まりや吸収後の揮発成分臭気発生をさせることなく、吸収体にしたときに良好な表面ドライ性を発揮することができる。
【0072】
本発明の吸水性樹脂粒子を用いて作製される吸収体の液戻り量は15g以下であることが好ましい。吸収体の作製方法、液戻り量の測定は、後述する方法で実施することができ、耐カブレ性の観点から液戻り量はより好ましくは14g以下であり、さらに好ましくは13g以下である。
【0073】
液戻り量を抑制するには、粒径を小さくし、吸水性樹脂粒子の保水能力に対して初期の保水能力を向上させ、5分保水指数を向上させればよいが、耐吸湿性が悪くなるため、おむつ製造工程での樹脂粒子詰まりの原因となる問題がある。また、逆相懸濁重合により、小さい一次粒子の凝集体である吸水性樹脂粒子を製造すればよいが、製造時に用いられる炭化水素分散媒が揮発成分として粒子内部に残存し、吸水後に臭気が発生する問題がある。本発明では、粒子形状を粒子欠損度がある特定の範囲にある不定形破砕状とし、5分保水指数を70以上とすることで吸収体にしたときに上記液戻り量を抑制し、耐カブレ性が良好となり、吸水後に臭気が発生する問題も生じない。
【0074】
本発明の吸水性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合して架橋重合体(A)の含水ゲルを得る重合工程と、架橋重合体(A)の含水ゲルを細分する工程と、細分したゲルをゲル温度40℃~120℃で細断する工程と、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子(B)の表面を表面架橋剤(c)で表面架橋する工程とを有する、製造方法で好ましく製造することができる。本発明の製造方法において、細断工程前に細分することで、吸水性樹脂粒子内部の形状を維持し、吸水性樹脂粒子の機械的強度の低下を防ぐことができ、製造される吸水性樹脂粒子の吸収性能が良好となる。
【0075】
本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子を含有する。吸収体としては、吸水性樹脂粒子を単独で用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。
他の材料としては繊維状物等が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等)と同様である。
【0076】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0077】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0078】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0079】
これらの繊維状物の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水体の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0080】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1~200mm、太さは0.1~100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0081】
吸水性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸水性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸水性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は40/60~90/10が好ましく、更に好ましくは70/30~80/20である。
【0082】
本発明の吸収性物品は上記吸収体を用いる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、後述する各種水性液体の吸収剤や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。ただし、以下の本文及び表において、実施例9、10、9a、10aは、それぞれ、参考例9、10、9a、10aと読み替えるものとする。
DW5分後吸収量、保水量、毛管吸収量、粒子欠損度、荷重下吸収量、ゲル通液速度、液戻り量、白化速度、吸湿ブロッキング試験、臭気官能試験は、25±2℃、湿度50±10%の室内でそれぞれ以下の方法で測定した。なお、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用した。
【0084】
<DW5分後吸収量の測定方法>
吸水性樹脂粒子と生理食塩水とを用いて特開2014-005472号明細書0117~0121段落に記載されたDW法に準じて測定するものであり、測定開始から5分経過後における吸水性樹脂粒子1g当たりの吸収量(g)を求めた。
【0085】
<保水量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9%)1,000ml中に無撹拌下、規定時間浸漬した。5分保水であれば浸漬時間を5分、60分保水であれば浸漬時間を60分とした。その後、引き上げ、ティーバッグごと遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
保水量(g/g)=(h1)-(h2)
(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0086】
<5分後毛管吸収量(CAP)の算出方法>
上記手法より測定されるDW5分後吸収量と5分後保水量の値から下記(1)式により算出した。
CAP(g/g)=(DW5分後吸収量)―(5分後保水量) (1)
【0087】
<粒子欠損度の測定方法> 吸水性樹脂粒子の粒子欠損度は、Camsizer(登録商標)image analysis system(Retsch Technology GmbH社製)を用いて測定した。装置上部のサンプルフィーダーより、標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて300~600μmの範囲にふるい分けした測定試料5.00gを少量ずつ自由落下させ、落下する測定サンプルをCCDカメラで連続的に撮影した。撮影した画像を解析することで測定サンプルの粒子欠損度を導いた。分析点数N=3で導いた粒子欠損度の算術平均値を本発明の粒子欠損度とした。また、全粒子に対する測定はふるい分けしない以外は上記と同様にして測定した。
【0088】
<荷重下吸収量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、標準ふるいを用いて250~500μmの範囲にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:210.6g、外径:24.5mm、)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾けて底部に付着した水を一箇所に集めて水滴として垂らすことで余分な水を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
荷重下吸収量(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16
【0089】
<ゲル通液速度の測定方法>
図2及び
図3で示される器具を用いて以下の操作により測定した。
測定試料0.32gを150ml生理食塩水1(食塩濃度0.9%)に30分間浸漬して含水ゲル粒子2を調製した。そして、垂直に立てた円筒3{直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から60mlの位置及び40mlの位置にそれぞれ目盛り線4及び目盛り線5が設けてある。}の底部に、金網6(目開き106μm、JIS Z8801-1:2006)と、開閉自在のコック7(通液部の内径5mm)とを有する濾過円筒管内に、コック7を閉鎖した状態で、調製した含水ゲル粒子2を生理食塩水と共に移した後、この含水ゲル粒子2の上に、金網面に対して垂直に結合する加圧軸9(重さ22g、長さ47cm)を有する円形金網8(目開き150μm、直径25mm)を、金網と含水ゲル粒子とが接触するように載せ、更に加圧軸9におもり10(88.5g)を載せ、1分間静置した。引き続き、コック7を開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線4から40ml目盛り線5になるのに要する時間(T1;秒)を計測し、次式よりゲル通液速度(ml/min)を求めた。
ゲル通液速度(ml/min)=20ml×60/(T1-T2)
なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行い、T2は測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。
【0090】
<液戻り量の測定方法>
12cm×35cmに裁断したバックシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)の上に10cm×30cmに裁断した不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置し、吸水性樹脂粒子6gを均一に手で撒き、最表面に10cm×30cmに裁断した不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置して吸収体を作製した。得られた吸収体の中心部に滴下ロートで生理食塩水(食塩濃度0.9%)80mlを高さ1cmのところから滴下し、5分静置、さらに生理食塩水(食塩濃度0.9%)80mlを高さ1cmのところから滴下し5分静置した。その後、10cm×10cmに裁断したろ紙(ADVANTEC社製 No.2)30±1gを注入部の中心に置き、10cm×10cm、48gのアクリルプレートを載せ、さらに12gの錘を載せた。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測定し、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量の測定は、N=10サンプルについて行ったものの算術平均値とした。
【0091】
<白化速度の測定方法>
12cm×35cmに裁断したバックシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)の上に10cm×30cmに裁断した不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置し、吸水性樹脂粒子6gを均一に手で撒き、最表面に10cm×30cmに裁断した不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置して吸収体を作製した。得られた吸収体の中心部に滴下ロートで生理食塩水(食塩濃度0.9%)80mlを高さ1cmのところから滴下し、吸収体と接触したと同時に時間の計測を開始した。表面不織布に保持された生理食塩水が吸水性樹脂に吸収され、表面不織布全体が白く見えるまでの時間を記録し、白化速度とした。白化速度の測定は、N=3サンプルについて行ったものの算術平均値とした。
【0092】
<吸湿ブロッキング試験方法>
測定試料2.0gを直径3cmのアルミ製の皿に均一に入れ40℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中で1.5時間放置した。放置後の吸水性樹脂の重量を測定し、その後12メッシュの金網で軽く篩い、吸湿によりブロッキングして12メッシュをパスしない吸水性樹脂の質量を測定し、下式により吸湿ブロッキング率を求めた。
吸湿ブロッキング率(%)=(放置後の12メッシュ網に残る吸水性樹脂の質量/放置後の吸水性樹脂の質量)×100
【0093】
<臭気官能試験>
吸水性樹脂粒子の膨潤時の不快な臭気を次の方法にて評価した。内容積140mLの蓋付ガラス容器(マヨネーズ瓶)に、生理食塩水20.0gを加え、長さ3cmの回転子を入れて攪拌した。吸水性樹脂粒子2.0gを上記ガラス容器に添加し密閉した。当該ガラス容器中の不快な臭気のありなしを5名の分析者が判定し、ありと判定した人数を評価結果とした。
【0094】
<実施例1> アクリル酸(a1){三菱化学株式会社製、純度100%}131部、内部架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.44部及び脱イオン水362部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.1部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲルを得た。
【0095】
次にこの含水ゲルをはさみで約1mm角に細分し、45%水酸化ナトリウム水溶液162部を添加した。更に目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)でゲル温度80℃で4回細断後、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲(重量平均粒子径として400μm)に調整して、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。
【0096】
ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製フレキソミックスFXD100:回転数3000rpm、フィード速度50kg/h)しながら、これに水不溶性無機粒子(d)としてKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を1.0重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-1)を得た。
【0097】
<実施例2>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(P-2)を得た。
【0098】
<実施例3> 水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を0.5重量部としたこと以外、実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(P-3)を得た。
【0099】
<実施例4> 水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を0.5重量部としたこと以外、実施例2と同様にして吸水性樹脂粒子(P-4)を得た。
【0100】
<実施例5> アクリル酸(a1){三菱化学株式会社製、純度100%}131部、内部架橋剤(b-2){ポリエチレングリコールジアクリレート(Mw=508)、新中村化学株式会社製}0.4部、45%水酸化ナトリウム水溶液162部、及び脱イオン水362部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.1部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲルを得た。
【0101】
次にこの含水ゲルをはさみで約1mm角に細分し、目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)でゲル温度80℃で4回細断後、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲(重量平均粒子径として400μm)に調整して、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。
【0102】
ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製フレキソミックスFXD100:回転数3000rpm、フィード速度50kg/h)しながら、これに水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を1.0重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-5)を得た。
【0103】
<実施例6>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例5と同様にして吸水性樹脂粒子(P-6)を得た。
【0104】
<実施例7> 水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を0.5重量部としたこと以外、実施例5と同様にして吸水性樹脂粒子(P-7)を得た。
【0105】
<実施例8> 水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を0.5重量部としたこと以外、実施例6と同様にして吸水性樹脂粒子(P-8)を得た。
【0106】
<実施例9> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得、乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲(重量平均粒子径として200μm)に調整して、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子(P-9)を得た。
【0107】
<実施例10>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例9と同様にして吸水性樹脂粒子(P-10)を得た。
【0108】
<比較例1>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.01重量部としたこと以外、実施例1と同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-1)を得た。
【0109】
<比較例2> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例1と同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-2)を得た。
【0110】
<比較例3> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例2と同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-3)を得た。
【0111】
<比較例4> 約1mm角に細分した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例5と同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-4)を得た。
【0112】
<比較例5> 約1mm角に細分した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例6と同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-5)を得た。
【0113】
<比較例6> 特表2017-222875号公報の0088~0091段落に開示されている方法をトレースして含水ゲルの乾燥体を得た。即ち、アクリル酸100g、架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(Mw=523)0.5g、UV開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド0.033g、50%苛性ソーダ水溶液(NaOH)83.3g、および水89.8gを混合して、単量体の濃度が45重量%のモノマー水溶液組成物を製造した。つぎに、前記モノマー水溶液組成物を連続移動するコンベヤベルトからなる重合器の供給部を介して投入した後、UV照射装置により紫外線を照射(照射量:2mW/cm2)し、2分間UV重合を進行させて、含水ゲル重合体を製造した。前記含水ゲル重合体を切断機に移送した後、0.2cmに切断した。この時、切断された含水ゲル重合体の含水率は50重量%であった。
【0114】
次に、前記含水ゲル重合体に対して160℃の温度の熱風乾燥機で30分間乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲(重量平均粒子径として400μm)に調整して、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。
【0115】
ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製フレキソミックスFXD100:回転数3000rpm、フィード速度50kg/h)しながら、これに水不溶性無機粒子(d)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、粒径25nm)を1.0重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、比較用の吸水性樹脂粒子(R-6)を得た。
【0116】
<比較例7> 特開2018-103183号公報の0181~0185段落に開示されている方法をトレースして比較用の吸水性樹脂粒子(R-7)を得た。即ち、還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼(フッ素樹脂を表面にコートしたもの)を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコ(以下、丸底フラスコという)を準備した。丸底フラスコに炭化水素分散媒としてn-ヘプタン660mLを加え、界面活性剤としてソルビタンモノラウレート(日油社製、商品名ノニオンLP-20R;HLB8.6)1.10gを添加し、45℃まで昇温して界面活性剤をn-ヘプタンに溶解した。
【0117】
一方、内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92g(1.03モル)を加えた。アクリル酸水溶液を氷水冷しながら、ビーカーに20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して、アクリル酸のうち75モル%の中和を行った。その後、ビーカーに親水性高分子分散剤としてポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名GH-20;質量平均分子量約1300000、けん化度88)1.10g、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.10g(0.00037モル)を加えて溶解し、水性液を調製した。この水性液のポリマー固形分量は91g、水分量は148.6gであった。
【0118】
撹拌機の回転数を700rpmとして撹拌しながら、上記水性液の全量を上記丸底フラスコに添加した。系内を窒素で30分間置換した後、丸底フラスコを70℃の水浴に浸漬して系内を昇温し、重合反応を1時間行うことにより、含水ゲル状重合体を得た。
【0119】
次いで、120℃の油浴を使用して系内を昇温し、水とn-ヘプタンを共沸させることにより、n-ヘプタンを還流しながら、111.7gの水を系外へ抜き出した(1次乾燥工程)。その後、丸底フラスコに後架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.14g(0.00048モル)を添加し、後架橋剤を含む混合物を得た。この時の丸底フラスコ内の水分量は40.9gであり、1次乾燥後(後架橋時)の含水ゲル状重合体の水分率は、45質量%であった。後架橋剤を含む混合物を調製後、約80℃で2時間保持した(後架橋工程)。その後、n-へプタンを120℃にて蒸発させて乾燥させること(2次乾燥工程)によって、顆粒状(パール状)の比較用の吸水性樹脂粒子(R-7)を89.2g得た。
【0120】
実施例1~10の吸水性樹脂粒子(P-1)~(P-10)及び比較例1~7の吸水性樹脂粒子(R-1)~(R-7)についての粒子形状、DW5分後吸収量、保水量(60分、5分)、毛管吸収量、粒子欠損度(1%以下、8%以上(ふるい分け粒子及び全粒))、重量平均粒子径(μm)、見掛け密度(g/ml)、荷重下吸収量(g/g)、ゲル通液速度(ml/分)、白化速度(秒)、吸湿ブロッキング率、臭気官能試験の評価結果を表1、2に示す。なお、見掛け密度はJIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定した。
【0121】
【0122】
【0123】
表1、2の結果から、本発明の吸水性樹脂粒子は、比較例1~6の吸水性樹脂粒子に比べ、保水量がある特定の範囲にあり、初期の毛管吸収量が高いことで、本発明の吸水性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、白化速度も飛躍的に速くなり、ドライ性に優れることがわかる。特に、本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂粒子の表面に凹凸を形成した不定形破砕状とすることで、高い平均粒子径と毛管吸収能力と両立することができ、吸湿ブロッキング性に優れ、安定して製造できることがわかる。また、本願発明の吸水性樹脂粒子は、比較例7と比べて、製造工程に炭化水素分散媒を使用しないことで臭気を抑制できている。
【0124】
<実施例1a>
実施例1と同様にして、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、多価金属塩(e)としての硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.6重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-1a)を得た。
【0125】
<実施例2a>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例1aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-2a)を得た。
【0126】
<実施例3a> 中和した含水ゲルを目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)でゲル温度80℃で2回細断したこと以外、実施例1aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-3a)を得た。
【0127】
<実施例4a> 中和した含水ゲルを目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)でゲル温度80℃で2回細断したこと以外、実施例2aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-4a)を得た。
【0128】
<実施例5a> 実施例5と同様にして、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、多価金属塩(e)としての硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.6重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、本発明の吸水性樹脂粒子(P-5a)を得た。
【0129】
<実施例6a>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例5aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-6a)を得た。
【0130】
<実施例7a> 約1mm角に細分した含水ゲルを目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)でゲル温度80℃で2回細断したこと以外、実施例5aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-7a)を得た。
【0131】
<実施例8a>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例7aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-8a)を得た。
【0132】
<実施例9a> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得、乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710~150μmの粒子径範囲(重量平均粒子径として200μm)に調整して、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得たこと以外は実施例1aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-9a)を得た。
【0133】
<実施例10a>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.12重量部としたこと以外、実施例9aと同様にして吸水性樹脂粒子(P-10a)を得た。
【0134】
<比較例1a>
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.01重量部としたこと以外、実施例1aと同様にして吸水性樹脂粒子(R-1a)を得た。
【0135】
<比較例2a> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例1aと同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-2a)を得た。
【0136】
<比較例3a> 中和した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例2aと同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-3a)を得た。
【0137】
<比較例4a> 約1mm角に細分した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例5aと同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-4a)を得た。
【0138】
<比較例5a> 約1mm角に細分した含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断せずに、通気型乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得たこと以外、実施例6aと同様にして比較用の吸水性樹脂粒子(R-5a)を得た。
【0139】
<比較例6a> 比較例6と同様にして、架橋重合体粒子を含む樹脂粒子を得た。ついで、得られた樹脂粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、多価金属塩(e)としての硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.6重量部、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.08重量部及び溶剤としての45%プロピレングリコール水溶液を3.3重量部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で60分間静置することで乾燥して、比較用の吸水性樹脂粒子(R-6a)を得た。
【0140】
<比較例7a> 比較例7で得られた、顆粒状(パール状)の吸水性樹脂粒子(R-7)を、比較用の吸水性樹脂粒子(R-7a)として用いた。
【0141】
実施例1a~10aの吸水性樹脂粒子(P-1a)~(P-10a)及び比較例1a~7aの吸水性樹脂粒子(R-1a)~(R-7a)についての粒子形状、保水量(60分、5分)、5分保水指数、DW5分後吸収量、毛管吸収量、粒子欠損度(1%以下、8%以上(ふるい分け粒子及び全粒))、重量平均粒子径(μm)、見掛け密度(g/ml)、荷重下吸収量(g/g)、ゲル通液速度(ml/分)、液戻り量、吸湿ブロッキング率、臭気官能試験の評価結果を表3、4に示す。なお、見掛け密度はJIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定した。
【0142】
【0143】
【0144】
表3、4の結果から、本発明の吸水性樹脂粒子は、比較例1a~6aの吸水性樹脂粒子に比べて、保水量がある特定の範囲にあり、保水指数が70以上と高いことで、液戻り量も飛躍的に少なくなっていることがわかる。実施例9a、10aでは、重量平均粒子径を小さくすることで、5分保水指数を高めることができ、液戻り量も少なくなっているが、吸湿により、ブロッキングしやすい。
また、粒子欠損度1%以下の割合がふるい分けられた粒子の50%以下と少なく、粒子欠損度が8%以上である粒子の、ふるい分けられた粒子に対する体積比が5%以下であり、好ましくはさらに、粒子欠損度が8%以上である粒子の全粒子に対する体積比が5%以下であることにより、機械的強度を落とすことがない。さらにまた、見掛け密度、平均粒子径に大きな差がないことから、5分保水指数が吸収体の液戻り量に大きく寄与していることがわかる。比較例7aと比べては、製造工程に炭化水素分散媒を使用しないことで臭気を抑制できていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキンおよび医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤および人口雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0146】
1 生理食塩水
2 含水ゲル粒子
3 円筒
4 底部から60mlの位置の目盛り線
5 底部から40mlの位置の目盛り線
6 金網
7 コック
8 円形金網
9 加圧軸
10 おもり
A 画像解析法により得られる対象粒子の投影面積
B 画像解析法により得られる対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積からAで示す対象粒子の投影面積を引いた粒子の欠損部の面積