(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】自動運転用交通規制情報登録システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240313BHJP
E01F 9/604 20160101ALI20240313BHJP
【FI】
G08G1/09 A
E01F9/604
G08G1/09 P
(21)【出願番号】P 2021090919
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208731
【氏名又は名称】真々田 忠博
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】福本 勝司
(72)【発明者】
【氏名】福井 真男
(72)【発明者】
【氏名】光谷 修平
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049347(JP,A)
【文献】特開2018-005523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
E01F 9/604
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通規制情報を登録するシステムであって、
交通規制に使用する機材に付属させたRFID或いはUWB
タグで機材の存在を特定して電磁波送受信機により紐づけた位置情報を、
専用サーバーを介して自動運転システム及び/又はカーナビシステムに交通規制に係る道路情報として登録するにあたり、
交通規制のために前記機材を設置した時に、前記位置情報を前記自動運転システム及び/又はカーナビシステムに登録し、
交通規制が解除された時に、前記位置情報を前記自動運転システム及び/又はカーナビシステムから消去する、
自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項2】
前記交通規制に使用する機材が、道路工事の際の交通規制に使用する機材(照明、看板、ロードコーン、路面点滅誘導灯等)、交通事故車両や落下物等の障害物の処理に伴う緊急的な交通規制に使用する緊急保安機材(路面点滅誘導灯等)の中から選択されたものである、請求項1に記載の自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項3】
交通規制を行う道路上に線状に設置した複数の前記機材の隣り合う機材どうしを結んだ線を規制ラインと構成すると、前記位置情報は、前記規制ラインを形成する前記機材に付属するRFID或いはUWB
タグから検出した規制ラインの位置情報であって、自動運転システムを稼働する車両が前記規制ラインを超えて走行しないように、前記規制ラインの位置情報を道路情報として登録することからなる、請求項1又は2に記載の自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項4】
前記位置情報は、前記障害物付近に設置された1個又は複数個の前記機材の位置情報から構成される障害物の存在地点の位置情報であって、自動運転システムを稼働する車両が当該障害物を回避して走行するように、前記障害物の存在地点の位置情報を道路情報として登録することからなる、請求項
2に記載の自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項5】
交通規制を行う現場において、前記機材に付属させたRFID或いはUWB
タグが破損して電磁波を発信しない場合、あるいは前記RFID或いはUWB
タグを付属させた機材が不足した場合に、前記専用
サーバーが、前記破損したRFID或いはUWB
タグが付属する機材の位置情報、あるいはRFID或いはUWB
タグが付属する機材が設置されるべき場所の位置情報を、電磁波送受信機により前記専用サーバーに入力及び削除する機能を備える、請求項1~4に記載の自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項6】
前記道路情報をカーナビシステムへのリンクが可能とする請求項1~5に記載の自動運転用交通規制情報登録システム。
【請求項7】
交通規制情報を登録する
にあたり、
電磁波遮蔽状態のRFID或いはUWB
タグの電磁波遮蔽を解除して交通規制に必要となる機材に
付属させ、
前記機材を交通規制を行うために道路上に配置し、アクティブタグ方式のRFID或いはUWB
タグを稼働させるか、又は、パッシブタグ方式あるいはセミアクティブタグ方式のRFIDを使用する場合は電磁波送受信機から電磁波を作用させて前記RFIDを
稼働させ、
前記RFID或いはUWB
タグから発信される電磁波を交通規制現場の電磁波送受信機で受信し位置情報を紐づけて専用サーバーに発信し、
前記位置情報を前記専用サーバーを介して自動運転用交通規制情報として自動運転システム及び/又はカーナビシステムに登録する方法において、
前記専用サーバーが、前記位置情報を規制ラインの位置情報又は障害物の存在地点の位置情報に変換し、変換した前記位置情報を自動運転システム及び/又はカーナビシステムに登録するステップ、及び
交通規制が解除された時点で、前記位置情報を前記自動運転システム及び/又は前記カーナビシステムから消去するステップ、を行う、
自動運転用交通規制情報登録方法。
【請求項8】
前記機材が、道路工事の際の交通規制に使用する機材(照明、看板、ロードコーン、路面点滅誘導灯等)、交通事故車両や落下物等の障害物の処理に伴う緊急的な交通規制に使用する緊急保安機材(路面点滅誘導灯等)の中から選択されたものである、請求項7に記載の自動運転用交通規制情報登録方法。
【請求項9】
前記専用サーバーにおいて、前記自動運転システム及び/又はカーナビシステム
から前記位置情報を消去するステップを、
前記電磁波送受信機を操作して位置情報を削除するコマンドを専用サーバーに送信することで行うことからなる、請求項7又は8に記載の自動運転用交通規制情報登録方法。
【請求項10】
前記専用サーバーにおいて、前記自動運転システム及び/又はカーナビシステム
から前記位置情報を消去するステップを、
前記RFID或いはUWB
タグを電磁波遮蔽状態に置くことにより、前記RFID或いはUWB
タグからの電磁波を電磁波送受信機で所定時間受信しなくなった時点で、自動運転システム及び/又はカーナビシステムへの位置情報の提供を自動的に終了するように前記専用サーバーを設定することにより行うことからなる、請求項7又は8に記載の自動運転用交通規制情報登録方法。
【請求項11】
前記RFIDを電磁波遮蔽状態に置くのは、前記RFIDを電磁波がシールドされている容器に収納することで行い、前記所定時間は実施状況に適合した適切な時間、例えば5分であることからなる、請求項10に記載の自動運転用交通規制情報登録方法。
【請求項12】
交通規制を行う現場において、前記機材に付属させたRFID或いはUWB
タグが破損して電磁波を発信しない場合、あるいは前記RFID或いはUWB
タグを付属させた機材が不足した場合に、前記破損したRFID或いはUWB
タグが付属する機材の位置情報、あるいはRFID或いはUWB
タグが付属する機材が設置されるべき場所の位置情報を、電磁波送受信機により前記専用サーバーに入力及び削除することにより行うことからなる、請求項7~11に記載の自動運転用交通規制情報登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事に伴う交通規制や、交通事故車両等の障害物がある場合の交通規制の情報を、自動運転に必要なデータベースに登録する自動運転用交通規制情報登録システムに関する。通常の交通規制は、必要機材を走行路に沿って路面に設置して車両の走行を誘導することで行われるが、本発明は、そのような交通規制に使用する機材の位置情報を、自動運転に必要なデータベースに登録することにより、臨時の交通規制が行われる道路においても自動運転を実施可能とするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通量の少ない夜間に行われる道路工事では、工事区域を区画して車線規制が行われるのが一般的である。そして、車線規制を行う際に使用する機材は、交通規制開始とともに必要箇所に設置され、道路工事が終了して交通規制が解除されたのちに撤去される。このため、交通規制中の道路における自動運転を円滑に行うためには、交通規制に使用する機材の位置情報を、その機材を交通規制のために設置した時点から交通規制解除による機材撤去の時点まで、タイムリーに自動運転システムに反映しなくてはならない。
【0003】
また、例えばトラック1台が故障で走行できなくなった場合などには、後続する走行車両に障害物があることを知らせるために、障害物周辺に路面点滅誘導灯や道路設置用三角表示板等の機材が設置される。これにより、後続の走行車両に対して障害物を避けて走行するよう注意喚起を行っている。
障害物発生の事態に対応して、このような情報を速やかに自動運転システムに統合されることが、自動運転を円滑に行う上では必要なことである。
【0004】
本発明者らは、撤去可能な状態で路面に敷設され、点滅灯を点滅させてドライバーに走行路のラインを容易に視認させることにより、走行路に沿って車両が走行するように誘導する路面案内灯装置を開発している(特許文献1)。この路面案内灯装置は、配線ケーブルと、該配線ケーブルに連結されて、所定のピッチで前記配線ケーブルに沿って取り付けられる複数の点滅照明部とをからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記路面案内灯装置を使用するとしても、道路工事中の走行路に設けられた規制ラインや障害物が存在すことを、ドライバーが肉眼で確認することが求められていた。このため、上記路面案内灯装置等の交通規制に使用する機器の表示により、所定の走行路に沿って走行車両は効果的に誘導されるものの、これを自動運転システムに統合することはできない。
本発明は、道路工事や障害物の存在等が原因で実施される交通規制の位置情報を、速やかに自動運転システムで使用されるデータベースに登録することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決することを目的としてなされたもので、請求項1に係る発明は、交通規制情報を登録するシステムであって、交通規制に使用する機材に付属させたRFID或いはUWBで機材の存在を特定して電磁波送受信機により紐づけた位置情報を、交通規制のために当該機材を設置した時刻から撤収した時刻まで、専用サーバーを介して自動運転システムに交通規制に係る道路情報として登録する、自動運転用交通規制情報登録システムである。
【0008】
請求項3、4に係る発明は、請求項1における位置情報が、複数の機材の隣り合う機材どうしを結んだ線からなる規制ラインの位置情報であるか、障害物の存在地点の位置情報であり、自動運転システムを稼働する車両が規制ラインを越えて走行しないように、又は、障害物を回避して走行するように、前記位置情報を道路情報として登録することからなる自動運転用交通規制情報登録システムである。
【0009】
請求項5に係る発明は、機材に付属させたRFID或いはUWBが破損して電磁波を発信しない場合や、RFID或いはUWBを付属させた機材が不足した場合に、前記位置情報をWeb機能により専用サーバーに入力及び削除する機能を備える自動運転用交通規制情報登録システムである。
【0010】
請求項7に係る発明は、アクティブ型のRFID或いはUWBを付属させた機材を、交通規制ラインに沿って連続的に並べることにより、路車連携型の自動運転車両に対する自動運行補助施設として機能させ、発信される機材の位置情報を直接自動運転システムに登録する自動運転用交通規制情報登録システムである。
【0011】
請求項8に係る発明は、GPSトラッカーを付属させた機材を交通規制を行うために道路上に配置し得られる位置情報を、基地局で受信し専用サーバーを介して交通規制に係る道路情報として自動運転システム及び/又はカーナビシステムに登録する自動運転用交通規制情報登録システムである。
【0012】
請求項9~16に係る発明は、請求項1~8に係る自動運転用交通規制情報登録システムの発明を、方法の発明に書き換えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、RFID或いはUWB等の位置情報発信手段から取得した情報を、事前に登録されている工事情報と紐付けすることで、交通規制の開始時刻と解除時刻、交通規制を行う規制の位置情報・車線規制情報を、自動運転システムのデータベースに統合することが可能となる。これにより、交通規制の詳細な位置情報をほぼリアルタイムで自動運転の情報基盤となるデータベースで活用することができるので、交通規制が実施されている区間においても安全な自動運転を実施することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(ダイナミックマップ)
本発明では、道路工事や障害物に起因する交通規制に関する情報を、自動運転システムで使用するダイナミックマップに反映することに第1の特徴がある。
ダイナミックマップとは、道路及びその周辺に係る自車両の位置が車線レベルで特定できる高精度3次元地理空間情報(基盤的地図情報)及び、その上に自動走行などをサポートするために必要な各種の付加的地図情報(例えば、速度制限などの静的情報に加え、事故・工事情報など動的情報を含めた交通規制情報など)を載せたものである。
すなわち、交通規制や工事情報、事故や渋滞情報、歩行者や信号情報など刻々と変わる膨大な動的情報と、高精度3次元位置情報(路面情報、車線情報、3次元構造物)等の静的情報を組み合わせたデータベースである。自動運転に必要な各種の情報を、情報の更新頻度に応じて、静的情報、准静的情報、准動的情報、動的情報の4つのレベルに分けて、収集、分析、更新、配信等の管理を行っている。
【0015】
ここで、道路工事に伴う交通規制情報は、道路工事自体が通常は事前申請を経て行われるので准静的情報に分類される。しかし、工事現場での事故発生等の予定外の事象が発生した場合には准動的情報として扱われるし、事故車両や故障車両等の障害物の出現は唐突に行われるので、これに伴う交通規制の情報は准動的情報に分類することができる。
本発明に係る自動運転用交通規制情報登録システムは、道路工事や障害物に起因する交通規制に関する准静的あるいは准動的情報を、自動運転に対応できるようリアルタイムでダイナミックマップに統合する技術に関する。
【0016】
(位置情報発信手段)
本発明では、道路工事や障害物に起因する交通規制の位置情報を、道路情報としてRFID、UWB、及びGPSトラッカーを用いて検出し、自動運転用交通規制情報登録システムに登録することに第2の特徴がある。以下では、交通規制の位置情報を検出する3つの手段について具体的に述べる。
なお、これらの位置情報の検出は電磁波送受信機を用いて行われるが、電磁波送受信機には、スマートフォン、iPad(登録商標)等のタブレット端末、モバイルPC等が含まれる。また、本発明で使用する電磁波送受信機は、位置測位提供サービスのアプリケーションを備えていることが必要である。
【0017】
(RFID:Radio Frequency IDentifier)
RFIDとは、RFIDタグと呼ばれる媒体に記憶された個別情報を、電波や電磁波を用いた近距離無線通信により読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新等)を行う自動認識システムである。RFIDタグを交通規制用の機材に設置し、そのタグからの電磁波をスマートフォン等の電磁波送受信機で読み取ることで位置情報を発信することができる。
内部に電池を有してタグ自体が電波を発信するアクティブタグ方式と、電磁波送受信装置からの電波で駆動し無線電波を発信するパッシブタグ方式、セミアクティブタグ方式のRFIDが知られている。
【0018】
(UWB:Ultra Wide Band)
ウルトラ・ワイド・バンドである8.5GHz~9.5GHz程度の広帯域無線を使用し、最低2台のセンサーから発信されたUWB信号の到達時差と入射角度を利用して位置測位を行う技術である。広帯域無線を使用するため、RFIDに比較して遠距離の無線通信を高精度で行うことができる。また、具体的な動作はRFIDと同じであり、UWBタグから発信される電磁波をスマートフォンで受信し、スマートフォンの位置情報を紐付けして専用サーバーを介してダイナミックマップに統合する。
【0019】
(RFIDとUWBの位置情報の登録)
アクティブタグ方式のRFIDとUWBは、外部からの入力を要することなく駆動し、電磁波を発信することができる。そのため、交通規制情報の発信前においては電磁波遮蔽シールドを取り付けて電磁波の発信を停止し、交通規制のために配置された時点で電磁波遮蔽シールドを取り除き、5分程度の一定時間連続的に電磁波を照射して稼働させる。その後に、例えば1分間程度の一定時間間隔で電磁波を発信するよう設定する。
【0020】
また、パッシブタグやセミアクティブタグ方式のRFIDについては、一定時間間隔で電磁波送受信機からの電磁波を作用させて稼働させ、その電磁波を動力源としてタグから発信された一定時間間隔の電磁波を、交通規制現場においてスマートフォン等の電磁波送受信機で受信する。
以上のような作用でRFID又はUWBから発信される電磁波は、交通規制用機材の位置情報を示すもので、専用サーバーを介して道路情報として自動運転システムに登録される。
【0021】
RFIDとUWBでは、スマートフォン等の電磁波送受信機の位置情報を、上記タグを付属させた機材の位置情報として把握し、その位置情報を紐付けて専用サーバーに発信する。
ここで、これらのRFIDやUWBのタグは、それ自身からは位置情報を発信しない。しかし、稼働中のRFIDやUWBが発信する電磁波をスマートフォン等の電磁波送受信機で受信することで、スマートフォンの位置情報を、これらのタグが付属する交通規制用機材の位置情報として把握することができる。この位置情報を、専用サーバーを介して自動運転システムに道路情報として登録する。
【0022】
アクティブタグ方式のRFIDやUWBからの交通規制用の機材の位置情報は、交通規制現場の電磁波の届く範囲内の場所にスマートフォン等の電磁波送受信機を設置し、一定の時間間隔でアクティブタグ方式のRFIDやUWBから発信される電磁波をスマートフォン等が受信することで、専用サーバーを介して自動運転システムに登録される。
また、パッシブタブ方式、セミアクティブタブ方式のRFIDは、電磁波送受信機からの電磁波照射を受けて稼働状態になる。このため、交通規制のために機材が道路上に配置された時点で、スマートフォン等の電磁波送受信機から電磁波を照射してRFIDを稼働状態にする。そして、一定時間ごとにスマートフォン等の電磁波送受信機から電磁波を照射し、これに対応して発信された電磁波に基づいて、交通規制用の機材の位置情報を自動運転システムに登録される。
【0023】
(位置情報の消去)
交通規制が終了して機材を撤去する際には、次の(1)又は(2)のいずれかの方法により、RFID或いはUWBの位置情報を消去し、自動運転システムから交通規制に関する登録情報を抹消する。
(1)機材に付属させたRFID或いはUWBからの発信を停止し、その位置情報を消去するコマンドをスマートフォン等の電磁波送受信機から専用サーバーに送信する。
(2)予め専用サーバーに対し、電磁波遮蔽状態であることの送信を受けた場合には、所定時間(例えば5分)経過後に自動運転システム及び/又はカーナビシステムへの位置情報の提供を終了するように作動することを設定しておく。そのうえで、RFID或いはUWBを電磁波遮蔽状態に置くとともに、電磁波遮蔽状態に置いたことをスマートフォンから専用サーバーに送信する。その結果、専用サーバーの作動により、交通規制に関する道路情報は自動運転システムから消去される。
【0024】
これらの操作により、交通規制の開始と終了を、タイムリーに自動運転システムに反映することができ、安全で信頼性のある自動運転を実現することができる。
【0025】
(自動運転補助施設としての使用)
アクティブ型のRFIDやUWBは、磁気マーカと同様にレベル4以上の自動運転補助施設に使用される。このため、専用サーバーを介することなく直接的に自動運転車両に位置情報を送信することができる。これを利用して、路車連携型の自動運転システムに使用することができる。
【0026】
(GPSトラッカー)
GPSトラッカーは、衛星測位機能により位置情報を取得し、それを携帯電話回線やIoTネットワークなどを使って送信する端末で、離れた場所からリアルタイムに機器の位置を確認できる。本発明では、GPSトラッカーを交通規制用の機材に付属させることにより、スマートフォン等の電磁波送受信機を介さずに基地局で位置情報を受信し、専用サーバーを介してダイナミックマップに登録することができる。
【0027】
(機材)
RFID或いはUWBを貼着して交通規制に使用する機材としては、特に制限を受けない。照明、看板、ロードコーン、路面点滅誘導灯などの、道路工事の際に交通規制に使用する機材であればどのようなものでもよい。また、交通事故車両や落下物等の障害物の処理に伴う緊急的な交通規制に使用する機材(路面点滅誘導灯等)であってもよい。
【0028】
(規制ラインの位置情報)
交通規制を開始するにあたって、RFID或いはUWBが貼着された機材を工事を行う区間の道路上に配置し、電磁波を作用させるなどしてRFID或いはUWBを稼働状態に設定する。
例えば、路肩部分を利用した工事区域を区画するために車線規制を行う場合、カラーコーン(登録商標)や路面点灯誘導灯等の機材を所定間隔で線状に並べ、これらの機材により規制ラインを構成することにより交通規制が行われる。この場合には、RFID或いはUWBタグには、交通規制ライン形成用であること、及び隣り合うRFIDタグとの間でラインを形成するという情報を入力しておき、カラーコーン(登録商標)や路面点灯誘導灯に貼着する。
これらのRFID或いはUWBからの情報を受け取った専用サーバーは、規制ラインの位置情報としてダイナミックマップに規制ライン情報を統合すると、自動運転中の車両はその規制ラインを超えて走行しないように自動運転を行うことができる。
【0029】
(障害物の存在地点の位置情報)
また、交通事故車両や落下物等の障害物がある場合に、これを処理するまでの間に緊急的に交通規制を行う場合には、障害物周囲に1個又は複数個の機材を設置して交通規制が行われる。この場合には、RFID或いはUWBタグには、スマートフォンにより障害物の種類や大きさ等のデータを入力しておき、路面点滅誘導灯等の緊急保安機材に貼着する。
これらのRFID或いはUWBからの情報を受け取った専用サーバは、障害物の存在地点の位置情報としてダイナミックマップに位置情報を統合し、自動運転中の車両は障害物を回避して走行することができる。
【0030】
(スマートフォンによる情報発信の代行)
交通規制を行う現場において、機材に貼着したRFID或いはUWBが破損して位置情報を発信しなくなってしまう事態が発生することがある。また、RFID或いはUWBの数が不足して全ての必要な機材にRFID或いはUWBを貼着できないことも発生しうる。
そのような場合でも、専用サーバーに特定の設定をしておくことにより、スマートフォン等の電磁波送受信機から位置情報を発信して、RFIDからの位置情報の代替情報とすることができる。
【0031】
(カーナビシステムへのリンク)
交通規制による位置情報は、カーナビシステムへリンクすることで、カーナビの画面に表示されるように設定することが好ましい。