IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカイジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図1
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図2
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図3
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図4
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図5
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図6
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図7
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図8
  • 特許-ソーラーパネルの取り付けレール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】ソーラーパネルの取り付けレール
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/20 20140101AFI20240313BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240313BHJP
【FI】
H02S20/20 200
E04D13/18 ETD
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021166156
(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公開番号】P2023056756
(43)【公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】515010578
【氏名又は名称】スカイジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133802
【弁理士】
【氏名又は名称】富樫 竜一
(74)【代理人】
【識別番号】100197181
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 泰子
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 信太郎
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176254(JP,A)
【文献】特開2016-141971(JP,A)
【文献】特開2014-051824(JP,A)
【文献】特開2018-031224(JP,A)
【文献】特開2020-026717(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198411(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02546585(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04H 6/02
H02S 20/00-20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に長手方向に亘ってソーラーパネルの載置および取り付けを可能にした取付部を設け、
前記ソーラーパネルを前記取付部に対して固定する固定手段を有し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側から前記固定手段による固定操作が可能となるように構成し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側において、当該ソーラーパネルと空間的な間隔を隔てた位置で不燃板を装着可能とする装着部を設け
前記不燃板を装着可能とする装着部が、当該不燃板の側縁を収容可能な溝状の空間であることを特徴とするソーラーパネルの取り付けレール。
【請求項2】
上部に長手方向に亘ってソーラーパネルの載置および取り付けを可能にした取付部を設け、
前記ソーラーパネルを前記取付部に対して固定する固定手段を有し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側から前記固定手段による固定操作が可能となるように構成し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側において、当該ソーラーパネルと空間的な間隔を隔てた位置で不燃板を装着可能とする装着部を設け、
前記固定手段が、前記ソーラーパネルの外縁に装着されたフレームおよび前記取付部を貫通して挿通されるボルトおよび当該ボルトに締結されるナットによって構成され
前記不燃板を装着可能とする装着部が、当該不燃板の側縁を収容可能な溝状の空間であることを特徴とするソーラーパネルの取り付けレール。
【請求項3】
上部に長手方向に亘ってソーラーパネルの載置および取り付けを可能にした取付部を設け、
前記ソーラーパネルを前記取付部に対して固定する固定手段を有し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側から前記固定手段による固定操作が可能となるように構成し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側において、当該ソーラーパネルと空間的な間隔を隔てた位置で不燃板を装着可能とする装着部を設け、
前記ソーラーパネルの取付部と前記不燃板を装着可能とする装着部の間に、上方に向かって開口を有した雨水を誘導する樋を設けたことを特徴とするソーラーパネルの取り付けレール。
【請求項4】
上部に長手方向に亘ってソーラーパネルの載置および取り付けを可能にした取付部を設け、
前記ソーラーパネルを前記取付部に対して固定する固定手段を有し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側から前記固定手段による固定操作が可能となるように構成し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側において、当該ソーラーパネルと空間的な間隔を隔てた位置で不燃板を装着可能とする装着部を設け、
前記固定手段が、前記ソーラーパネルの外縁に装着されたフレームおよび前記取付部を貫通して挿通されるボルトおよび当該ボルトに締結されるナットによって構成され、
前記ソーラーパネルの取付部と前記不燃板を装着可能とする装着部の間に、上方に向かって開口を有した雨水を誘導する樋を設けたことを特徴とするソーラーパネルの取り付けレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルの取り付けレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根に対する太陽電池パネル(ソーラーパネル)の設置が進んでいるが、近年では設置スペースが減少していることもあり、カーポートと称される屋外の駐車スペースを覆う構造物の屋根を利用してソーラーパネルを設置する事例が増えている。ソーラーパネルを設置したカーポートとしては、特許文献1、特許文献2等に記載されたものがある。これらのカーポートの屋根に設置するソーラーパネルは、住宅用のソーラーパネルと同じものが用いられている。
一方、住宅の屋根にソーラーパネルを設置する場合には、固定用の枠組みを取り付けた後に防火対策として延焼防止用の金属板(不燃材による仕切り板)を施設し、その上にソーラーパネルを設置するようになっている。このような構造であるため、ソーラーパネルの取り付け工事はソーラーパネル表面側から行うようになっていた。
【0003】
従来のカーポートは、地表に埋設した支柱の上部に屋根の下地を構成するフレームを設け、そのフレームに対して屋根材となるパネル類を取り付けるようになっている。また、住宅用のソーラーパネルを従来構造のカーポートに取り付ける場合において、防火対策用の不燃板を設置した後にソーラーパネルを取り付けようとすると、地上高の低い位置での作業でありながら高所作業と同様に鉄筋パイプによる足場を設けた作業が必要になるなど、設置に要する工数や費用が嵩む事例が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-017315号公報
【文献】特開2013-117097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、地上高の比較的低い位置においてソーラーパネル設置の作業を行うことが可能である場合においても、屋根表面(ソーラーパネル表面)側から取り付けを行わなければならなかった。これは、工事の安全性、工事期間、工事費用等の種々の面で改善すべき課題を有している。
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、ソーラーパネルの設置工事において、防火対策を施しつつソーラーパネルの裏面側から設置工事をすることができる工法および当該工法に用いる部材の提供によって、上記の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、
上部に長手方向に亘ってソーラーパネルの載置および取り付けを可能にした取付部を設け、
前記ソーラーパネルを前記取付部に対して固定する固定手段を有し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側から前記固定手段による固定操作が可能となるように構成し、
前記載置したソーラーパネルの裏面側において、当該ソーラーパネルと空間的な間隔を隔てた位置で不燃板を装着可能とする装着部若しくは装着手段を設けたことを特徴とするソーラーパネルの取り付けレール。
【0007】
また、上記ソーラーパネルの取り付けレールにおいて、
前記固定手段が、前記ソーラーパネルの外縁に装着されたフレームおよび前記取付部を貫通して挿通されるボルトおよび当該ボルトに締結されるナットによって構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、上記ソーラーパネルの取り付けレールにおいて、
前記不燃板を装着可能とする装着部が、当該不燃板の側縁を収容可能な溝状の空間であることを特徴とする。
【0009】
また、上記ソーラーパネルの取り付けレールにおいて、
前記ソーラーパネルの取付部と前記不燃板を装着可能とする装着部の間に、上方に向かって開口を有した雨水を誘導する樋を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るソーラーパネルの取り付けレールは、ソーラーパネルの取り付けを裏面側から行えるものである。このため、一般的な建築物よりも屋根の高さが低いカーポートであれば、脚立を使用して無理なく届く程度の高さでソーラーパネルの設置作業が行えるという効果を有している。
また、ソーラーパネルの裏面に不燃板を取り付けることができるので、防火、延焼防止効果を有したカーポートや建築物等を構成することができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係るレールの端面形状を表した説明図である。
図2】本実施の形態に係るレールの中間部を省略して表した外観斜視図である。
図3】本実施の形態に係るレールを使用したカーポートの側面図である。
図4】本実施の形態に係るレールを使用したカーポートの外観イメージを表した斜視図である。
図5】本実施の形態に係るレールを使用したカーポートの屋根構造を説明するための斜視図である。
図6】本実施の形態に係るレールを使用したカーポートの屋根構造を一部断面図として表した説明図である。
図7】本実施の形態に係る他のレールの端面形状を表した説明図である。
図8】本実施の形態に係るさらに他のレールの端面形状を表した説明図である。
図9】ソーラーパネルの構造を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図を用いて説明する。
図1はソーラーパネルSの取り付けレール(以下「レール」という)1の断面図、図2はレール1の外観斜視図を表している。レール1は図1に示した端面形状を有するアルミニウム素材によって形成した長尺の押し出し材として形成されており、予め適宜の長さに裁断され長穴等を穿設する加工を行った後に施工現場において使用されるものである。
【0013】
図1に示した端面の図を用いてレール1の形状を説明する。レール1はアルミニウム製の構造材として形成された長尺の押し出し材である。本実施の形態においては、全長は収容する車両の全長を覆うことが出来る程度の約5m程度の寸法に形成されている。
レール1は中心線CLを中心として左右対称の端面形状を有している。具体的には、レール1は中央に中空角形状のパイプ部2を有し、パイプ部2の上部において側方に突出させたフランジ部3(3a、3b)を有し、パイプ部の側壁を構成するウェブ4(4a、4b)から外側に向かって突出させた樋部5(5a、5b)を有し、ウェブ4(4a、4b)の下方において外側に向かって突出させたフランジ状突出片6(6a、6b)を有している。
【0014】
一例として、フランジ部3(3a、3b)の表面(上面)は、最適な例としてパイプ部2の上面から連続する平面として形成されている。この平面は後述するソーラーパネルSを載置し取り付ける取付面を構成するようになっている。なお、取付面はソーラーパネルSの載置及び取り付けが可能であればよく、ソーラーパネルSと嵌合する凹凸、段部や溝等を構成してもよく、必ずしも平坦な平面として形成する必要は無い。
【0015】
パイプ部2から突出した両方のフランジ部3a、3bには、長手方向に亘る複数箇所に孔10が表裏貫通して設けられている。孔10の形状は、円形若しくは長円形を成しており、本実施例では最適な例として長孔を穿設している。孔10は、ソーラーパネルSの取り付けに使用するボルトを挿通させるためのものである。
なお、ソーラーパネルSの取り付け方法は、本実施例では直接ソーラーパネルSのフレームに対してボルトとナットを用いてレール1に固定する方法を採用している。しかしながら、フランジ部3a、3bとソーラーパネルSのフレームとを挟み込んで固定するような金具を使用して、両者を締結するように構成してもよい。
【0016】
左右のウェブ4a、4bは、それぞれフランジ部3(3a、3b)を含むパイプ部2の上部壁から平行に垂下した板状の部位であり、パイプ部2の上部と下部とを連結することでレール1の曲げ、捻れ等に対する機械的強度を高める部位となっている。
左右のウェブ4a、4bに設けた樋部5a、5bは、上方に向かって開口した水受けおよび流路を形成する突出部13(13a、13b)によって構成されるものであり、フランジ部3の端縁よりも寸法的に長く側方に突出するようになっている。樋部5は、ソーラーパネルSとフランジ部3との隙間から流れ出た雨水を受け止め、傾斜して配置したレール1の傾きによって水を下流方向へ誘導し、カーポートC内に対する水の落下を防ぐ作用を有している。
【0017】
左右のウェブ4a、4bの下端付近から側方に突出させた幅の狭い板状のフランジ状突出片6a、6bは、樋部5a、5bの裏面との間に側方に向かって開口した溝状の空間7(7a、7b)を構成している。空間7は、詳細には後述する不燃板9を保持する作用を有するとともに、タッピングビス等のファスナ手段によってフランジ状突出片6a、6bの下面から不燃板9を固定するようになっている。
なお、本実施の形態においては、突出部13(13a、13b)の水受け部分は中空の二重構造に形成されており、水を受ける面と後述する不燃板9に接触する面との間に空間14(14a、14b)が形成されている。タッピングビス等を使用した不燃板9の固定は、上記の方法の他に、例えば突出部13(13a、13b)の下面に不燃板9を固定するようにしてもよい。この場合、タッピングビスが貫通した部位は空間14(14a、14b)であるので、タッピングビスによって水が流れる水受け面に孔が開くのを防止できるようになっている。突出部13(13a、13b)の二重構造は、このような不燃板9を取り付ける際の効果と、突出した部位自体の外力に対する強度を高める作用も有している。
【0018】
パイプ部2の下端面には、レール1の固定に使用する内部空間の広い細幅の開口を有したアリ溝のような嵌合溝8が設けられている。
嵌合溝8は、内部にナット若しくはボルトの頭部を収容し、これらに螺合するボルト若しくはナットによって、レール1を支える構造部材との結合を行わせる部位として設けられている。
【0019】
図3はレール1を用いたカーポートCの全体の側面図、図4はカーポートC全体の外観イメージを表している。カーポートCは、屋根部分を支える複数本の支柱V、隣接する支柱V同士を連結する梁材R、レール1及びレール1との結合によってソーラーパネルSを取り付けるための格子状の下地枠を構成する複数の水平材Hを有している。カーポートCの大きさは、収容する車両の台数、設置する敷地の大きさ等に応じて設定されるものであり、各使用部材を増減することで仕様に応じた大きさのカーポートを建築することが可能になっている。
【0020】
図5は、支柱Vの上端に設けたレール1、レール100a、レール100b及び水平材Hによって構成したソーラーパネルSを取り付ける下地枠と、ソーラーパネルSを取り付けた屋根構造を説明するための斜視図である。また、図6はソーラーパネルSの取り付け構造を説明するために一部を断面図として表した説明図である。なお、図3及び図4に示した図は屋根の周囲に雨樋11、12を設けた状態を表しているが、図5は雨樋を省略して示している。
レール1、レール100aおよびレール100bは、平行に配置された2本の水平材Hに対して直交する角度で取り付けられている。水平材Hの上部には取付金具20を装着可能な筒状部21が一体的に設けられている。取付金具20は2分割された部材であり、2つの部材を結合することによって筒状部21を挟持する挟着部を有し、筒状部21を挟着した状態で各レール100a、100bを支えて固定する取付部22を有している。
【0021】
レール1の端面形状は図1に示した通りである。また、レール100aの端面形状を図7、レール100bの端面形状を図8に示している。各図とも、屋根の軒側(下側)から棟側(上側)を見た方向からの形状を表している。各レールはアルミニウムを主成分とした押し出し材として形成されており、長手方向の何れの部位において切断した場合であっても、その基本的な断面形状は図に示した端面の形状と同一である。
【0022】
レール1は、一本のレール上に並列して配置した2枚のソーラーパネルを搭載可能な共通レールであるため左右対称の形状を成している。
これに対してレール100aは、屋根の軒側から見て左端に配置されるものであり、右側のみの片持ち状態でソーラーパネルを載置するものであるため、レール1が備えた構成要素から不要な構成要素を省き左側の側壁を平坦な側壁面109aとして形成している。
また、レール100bは、屋根の軒側から見て右端に配置されるものであり、左側のみの片持ち状態でソーラーパネルを載置するものであるため、レール1が備えた構成要素から不要な構成要素を省き右側の側壁を平坦な側壁面109bとして形成している。
【0023】
レール1と対比してレール100aの構造を説明すると、レール100aはレール1のパイプ部2と同様のパイプ部102aを有している。また、同様にフランジ部3aと同様のフランジ部103a、ウェブ4aと同様のウェブ104a、樋部5aと同様の樋部105a、フランジ状突出片6aと同様のフランジ状突出片106a、空間7aと同様の空間107a、突出部13aと同様の突出部113a、空間14aと同様の空間114a、嵌合溝8と同様の嵌合溝108aを有している。
フランジ部103aには、レール1と同様に長手方向に亘る複数箇所に孔が表裏貫通して設けられている。
【0024】
また、レール1と対比してレール100bの構造を説明すると、レール100bはレール1のパイプ部2と同様のパイプ部102bを有している。また、同様にフランジ部3bと同様のフランジ部103b、ウェブ4bと同様のウェブ104b、樋部5bと同様の樋部105b、フランジ状突出片6bと同様のフランジ状突出片106b、空間7bと同様の空間107b、突出部13bと同様の突出部113b、空間14bと同様の空間114b、嵌合溝8と同様の嵌合溝108bを有している。
フランジ部103bには、レール1と同様に長手方向に亘る複数箇所に孔が表裏貫通して設けられている。
【0025】
平行に配置された水平材Hに対するレール1、レール100aおよびレール100bの取り付けは、前述したように取付金具20を用いて行われる。取付金具20に対する各レールの固定は、取付部22の底面から差し込んだボルト23と、レール1底面の嵌合溝8(108a、108b)内に配置したナット24との締結によって行われるようになっている。
適正な間隔で配置されたレール1、レール100aおよびレール100bの上面を構成する各フランジ部(3a、3b、103a、103b)には、図4に示したように複数枚のソーラーパネルが配置され固定される。
【0026】
ソーラーパネルSは住宅の屋根用として多用されているものが用いられる。図9に示したソーラーパネルSは、発電を行うセルS1とセルS1の四辺を取り囲むフレームによって構成されている。このフレームは、セルS1を取り付ける溝と設置に用いるフランジ部を形成した部材(S2、S3、S4、S5)によって構成されており、セルS1を取り囲むように装着することでソーラーパネルSを構成するようになっている。
部材S2、S3のフランジ部には、表裏方向に穿設した長孔S6が設けられており、この長孔S6を利用してボルト等の締結手段によってソーラーパネルSを任意の箇所に固定できるようになっている。この長孔S6は、ソーラーパネルSの背面側に設けられているものであるため、背面側から行う作業によって取り付けを行うことができるようになっている。
なお、図示しての説明は省略するが、別途ソーラーパネルSのフレームに装着可能かつ背面側からの作業を可能とする取付金具を設けて、背面側からの取付作業ができるようにしてもよい。
【0027】
次に、水平材Hと、水平材H上に固定されたレール1、レール100aおよびレール100bによって固定された骨格状のベースに対するソーラーパネルSの取り付け方法について説明する。
軒から棟を見る方向において、左端にレール100aが配置され、次いで複数本のレール1が配置され、右端にレール100bが配置される。これらの各レールは発電効率および設置強度の観点からソーラーパネルSが最適な位置に固定されるように等間隔で配置される。
【0028】
図5に示した例のように、左端のレール100aと隣り合うレール1の2本のレールによってソーラーパネルSのフレームを支持し固定する取り付け用の基台を構成する。また、この基台を構成するレール1とこのレール1に隣り合うレール1aによっても、同様にソーラーパネルSaを取り付けるための基台を構成する。このようにして、隣り合う一対のレールによって構成される基台をカーポートの大きさに応じて複数列構成し、屋根の表面に複数枚のソーラーパネルSを設置する。
【0029】
ソーラーパネルSの設置手順は様々であるが、本発明が提供するカーポートの屋根部分には、ソーラーパネルSの背面に不燃板9が配置されるようになっており、近隣で生じた火災によってソーラーパネルSに延焼が及んだとしても、不燃板9によってそれ以上の延焼の拡大を防止するようになっている。このため、ソーラーパネルSとともに不燃板9の設置も同時に行われる。
【0030】
図6は、図5に示したY矢示の方向から見たソーラーパネルSおよび不燃板9の設置部位に関する説明図である。同図に示したように、レール100aとレール1の上面にソーラーパネルSを設置し、ボルト30とナット31を用いて固定している。
そして、設置したソーラーパネルSの背面と平行に不燃板9が配置される。不燃板9は、レール100aが有する空間107aとレール1が有する空間7bによって両縁部が保持されるようになっている。空間107aと空間7bは、それぞれの開口が対向した装着部として作用するものであり、この空間107aと空間7bをガイドとして軒側若しくは棟側から差し込むことで不燃板9をソーラーパネルSの背面に装着するようになっている。装着したソーラーパネルSは、空間107aと空間7bを構成するフランジ状突出片106a、6bの背面側からタッピングビス32等を打ち込むことによって、レール100aおよびレール1に固定される。
また、タッピングビス32を打ち込む際に、不燃板9を押し上げてしまうが、空間107aと空間7bの上面を構成する雨樋を兼ねた部材の底面が、不燃板9の浮き上がりを防止してタッピングビス32の打ち込みを容易にする作用を有している。
なお、別途、空間107aと空間7bと共同若しくは単独の部材として不燃板9を装着し固定することができる装着手段を設けてもよい。
【0031】
以上説明したソーラーパネルを設置したルーフを有するカーポートは、ソーラーパネルの設置および固定と、防火対策用の不燃板の設置および固定を、全て屋根裏である背面側から行うことが可能である。
従来工法では、ソーラーパネルの背面に不燃板を設置する場合には不燃板を配置した後に、ソーラーパネルを重ねて配置して固定していた。この従来工法は、家屋の屋根に対する取り付け作業を前提としているために、全ての作業をソーラーパネルの表面側から行えるように各部材が作られていた。また、カーポートにおいて屋根裏面からソーラーパネルを取り付ける場合であっても、先に不燃板を設置してしまうとソーラーパネルの取り付けが出来なくなっていた。
【0032】
本発明は、このような問題点を解決し、ソーラーパネルと不燃板の設置および固定の全ての作業を屋根裏側から作業できるように構成したものである。このため、作業時に大がかりな足場を組む必要のない、脚立を使用する程度の作業で防火対策を施したソーラーパネルを有する屋根を設けたカーポートの提供を可能とするものである。
また、上記したレールは、ソーラーパネルと不燃板の間に雨樋を設けている。この雨樋は、雨水の排出とソーラーパネルと不燃板との間に空間を設ける作用を兼ねたものであり、ソーラーパネルと不燃板の接触を断つことで直接的な伝熱を阻害し、延焼の防止効果を高めるものとなっている。
【0033】
なお、以上の説明は本発明の一例であって、特許請求の範囲を上記の例に限定することを意図したものではない。また、上記発明の実施の形態は、特許録請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更、追加、組み合わせ、置き換え、省略等を行うことが可能であり、これらについても特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、ユニット型の建築物や物置、バルコニーの庇、その他各種の建築物の屋根に利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1、1a、100a、100b レール
2、102a、102b パイプ部
3(3a、3b)、103a、103b フランジ部
4(4a、4b)、104a、104b ウェブ
5(5a、5b)、105a、105b 樋部
6(6a、6b)、106a、106b フランジ状突出片
7(7a、7b)、107a 空間
8、108a、108b 嵌合溝
9 不燃板
109a、109b 側壁面
10 孔
11、12 雨樋
20 取付金具
21 筒状部
22 取付部
23 ボルト
24 ナット
30 ボルト
31 ナット
32 タッピングビス
C カーポート
H 水平材
R 梁材
S ソーラーパネル
S1 セル
S2、S3、S4、S5 部材(フレーム)
S6 長孔
V 支柱

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9