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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20240313BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240313BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20240313BHJP
   B23B 31/113 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B24B23/02
B23B31/02 601A
B23B31/113 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021500340
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056745
(87)【国際公開番号】W WO2019179964
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】102018106347.4
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520363443
【氏名又は名称】ベック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベック ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ベック マルク
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054933(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204925(JP,U)
【文献】実開平04-079051(JP,U)
【文献】特開平11-099460(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01795301(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00-57/04
B24D3/00-99/00
B23B31/00-33/00
B25F1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正接続要素と、
負接続要素と、を備える接続装置であって、
前記正接続要素は、基部領域と、前記基部領域(3)に配置された突出部(5)とを有し、
前記突出部は、n個のペグ(11a、11b、11c)を有し、nは2以上であり、前記n個のペグは、前記基部領域に垂直な共通の中心軸の周りに配置され、
前記ペグは、それぞれ、前記中心軸に対して半径方向に前記ペグを区切る端面(13a、13b、13c)を有し、
前記端面は、前記基部領域に対して90°未満の少なくとも1つの角度を有し、
前記負接続要素(2)は、接触面(4)を有し、前記接触面(4)には窪み部(6)が設けられ、
前記窪み部は、前記窪み部の内壁によって、前記接触面に垂直な窪み軸に対して前記半径方向に区切られ、
前記内壁は、前記窪み軸に対して挿入半径を有するn個の挿入部(12a、12b、12c)を有し、
前記内壁は、2n個の保持部を有し、
前記保持部のうちの2つのそれぞれは、前記窪み軸を中心として前記内壁に沿って両方向に前記挿入部に隣接し、
前記各保持部の領域における前記内壁は、前記接触面に対して270°より大きい角度を有し、前記窪み軸から前記挿入半径より小さい保持間隔と呼ばれ、前記内壁が前記接触面に隣接する点における最大間隔を有し、
前記端面と前記中心軸との間隔は、前記挿入半径以下であり、前記保持間隔より大きい、接続装置。
【請求項2】
負接続要素を有する接続装置であって、
前記負接続要素は、接触面を有し、前記接触面には窪み部が設けられ、
前記窪み部は、窪み部の内壁によって、前記接触面に垂直な窪み軸に対して半径方向に区切られ、
前記内壁は、前記窪み軸に対して挿入半径を有するn個の挿入部を有し、nは2以上であり、
前記内壁は、2n個の保持部を有し、
前記保持部のうちの2つのそれぞれは、前記窪み軸を中心として前記内壁に沿って両方向に前記挿入部に隣接し、
前記各保持部の領域における前記内壁は、前記接触面に対して270°より大きい角度を有し、前記窪み軸から前記挿入半径より小さい保持間隔と呼ばれ、前記内壁が前記接触面に隣接する点における最大間隔を有する、接続装置。
【請求項3】
前記ペグは、それぞれ、前記中心軸に関する周方向に対応する端面の中心に関して対称である、請求項1に記載の接続装置。
【請求項4】
それぞれ隣接する全てのペグ及び/又はそれぞれ隣接するペグの前記端面の全ての中心は、互いに対して前記中心軸を中心に同じ角度を有する、請求項1又は3に記載の接続装置。
【請求項5】
全ての端面は、前記中心軸に関してn倍の回転対称で共に延在する、請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記基部領域に対して前記端面が有する角度は、前記端面の中心から前記端面の縁部まで前記中心軸に関する周方向に減少する、請求項1及び3~5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
全ての前記端面は、共通の円形線に平行に延在する、請求項1及び3~6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記基部領域は円周を有する、請求項1及び3~7のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記保持部の領域において前記接触面に対して前記内壁が有する角度は、対応する保持部に隣接するそれぞれの挿入部分から始まり増加する、請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項10】
前記内壁は、停止領域を有し、前記停止領域は、前記内壁が前記保持部において前記内壁と前記窪み軸との最小間隔より小さい前記窪み軸からの間隔を有し、前記停止領域は、対応する前記保持部によって隣接する前記挿入部と反対側で前記保持部のそれぞれに隣接する、請求項1、2及び9のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項11】
前記接触面は円周を有する、請求項1、2、9及び10のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項12】
前記負接続要素は成形要素を有し、
前記成形要素は、円筒壁によって区切られ、その円筒軸は前記接触面に垂直であり、前記円筒壁は前記接触面が延在する平面を越えて突出し、
前記正接続要素は、前記中心軸の周りに開口部を有し、前記開口部の内径は、前記円筒壁の外径に等しい、請求項1に記載の接続装置。
【請求項13】
前記正接続要素は、前記突出部と反対側の前記基部領域に研磨手段を有し、又は、前記負接続要素は、前記窪み部と反対側に研磨手段を有する、請求項1に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正接続要素と負接続要素とを有する接続装置に関する。正接続要素は、基部領域に配置された突出部を有し、負接続要素は、接触面に設けられ正接続要素の突出部が挿入され得る窪み部を有する。正接続要素と負接続要素とは、互いに対して回転させることによって、互いに接続され得る。
【背景技術】
【0002】
設定時間の最小化は、継続的な改善プロセスの典型的な目的である。したがって、特に、工具の迅速な交換のための解決策が求められている。位置決め部材と工具との間の工作機械のインターフェースは、工具クランプシステムとして知られている。工具クランプシステムは、精度、回転方向、バランス品質、力及びモーメントの伝達などすべての技術的要件を満たさなければならない。
【0003】
取り外し可能な接続(例えば、ネジ)による工具の工具コンセントへの接続は、一般的な技法である。別の解決策は、ネジ輪郭を有する急動締結具である。前記締結方法は、回転による緩みを防止するために、前記ネジ輪郭に起因して回転方向を強制する。ネジ輪郭は、不均衡を補正する必要性をもたらす。
【0004】
DE102015110115及びEP3108999は、前述のネジ輪郭を利用し、矩形面の中心の外側の矩形体に取り付けられる工作物を加工するための装置を開示している。オフセンター設計は、加工プロセス中の接続要素の固定につながる。
【0005】
102016000026584は、120°の角度で3回点対称にオフセットされた同様のネジ輪郭を開示している。この実施例は、基部領域にネジ輪郭の数に対応し、ロックに使用される放射状溝を有する。ロックは、対応物に順番に設けられた球形弁片によってもたらされる。
【0006】
さらに、プラグイン連結として知られるものが存在する。軸方向の緩みは、円形に配置されたボール要素又は横ボルトによって固定され、このボール要素は、通常のバネ式の変位可能なスリーブによって解放及び固定することができ、対応物の対応する溝に圧入される。モーメントの伝達は、横ボルト又は対応する対応物を有する非回転対称要素(例えば、六角形)によって行うことができる。このタイプの工具締結は、工具側にアダプタの取り付けを必要とする。
【0007】
さらに、EP20130186867のようなプラグイン接続、又は、とりわけ、EP1910024のような回転を防ぐためのガイドストリップも有するネジ接続が存在する。
【0008】
さらに、クリップ連結として知られているものが特に衛生工学の分野で使用されている。機能原理は、回転によって互いに接続された2つの対向するクリップの相互係合に基づいている。緩みを防ぐために、クリップにはかかりが設けられている。かかりは所定の位置に固定される必要があることから、接続は軸方向に弾性である必要がある(例えば、シール、スプリング)。
【0009】
カメラとレンズとを連結する場合、バヨネット締結具が使用される。レンズは、回転させることによって、カメラのレンズ容器に接続される。レンズは、通常、60~90°の回転で所定の位置に固定される。レンズを解放するためには、レンズのロックを解除する作動ボタンが必要である。
【0010】
また、回転締結は、ツイストオフスクリューリッドとも呼ばれ、保存瓶にねじ込む際に使用される。回転リッドは、DIN EN ISO 9100に準拠して標準化されている。スクリューリッドとは対照的に、閉鎖後にバネ張力を受けるラグは、容器を確実に閉める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、接続装置を示すことである。接続装置は、回転軸に関する両方向のトルクが一方の接続要素から他方の接続要素に伝達され得るように、2つの接続要素が回転によって互いに接続され得るように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、請求項1、2及び3に記載の接続装置によって達成される。各従属項は、本発明による接続装置の有利な改良を示している。
【0013】
本発明によれば、正接続要素と呼ばれる第1の接続要素と、負接続要素と呼ばれる第2の接続要素とを有する接続装置が提供される。
【0014】
正接続要素は、突出部が配置される基部領域を有する。この場合、突出部は、有益には、基部領域に肩部を形成することができる。特に、突出部は、基部領域にメサ状に形成することができる。有益には、基部領域を実質的に平坦にすることができる。
【0015】
本発明によれば、突出部はn個のペグを有し、nは2以上の整数である。n個のペグは、本明細書では、基部領域に垂直な共通の仮想中心軸の周りに配置される。ペグは、それぞれ、中心軸に対して半径方向に前記ペグを区切る端面を有する。
【0016】
1つの有益な構成では、ペグは、それぞれ、半径方向に区切られた角度範囲において、突出部の基体又は中央領域を越えて突出する突出部の部分として構成することができる。
【0017】
本発明によれば、ペグの端面は、それぞれ、基部領域に対して90°未満の少なくとも1つの角度を有する。したがって、端面は、それぞれ、基部領域を有する少なくとも鋭角を形成する。その結果、突出部の一部は、基部領域を越えて突出することもできる。この角度は、本明細書では、半径方向外向きの角度とすることができ、したがって、角度は、接続要素の外側になる。突出部は、有益には、中心軸を有する中央領域を有してもよく、特に有益には、中心軸に関して円形に延在する縁部を有する。ペグは、前記縁部に配置され、前記縁部を越えて突出することができる。
【0018】
ペグは、有益には、周方向において端面の端部にそれぞれ当接する半径方向側面を有する。同じペグの半径方向側面は、それぞれ、中心軸に対し、好ましくは5°以上、特に好ましくは10°以上、特に好ましくは15°、及び/又は25°以下、特に好ましくは20°以下の角度を有する。この構成では、端面と中心軸との間隔と共に、それぞれのペグの側面の間の角度は、中心軸に関する周方向における端面の長さを決定する。
【0019】
特に有益には、突出部の中央領域は中心軸に関する円周を有し、各ペグは半径方向側面によって中央領域の縁部に亘って延在し、端面は円形線に沿って前記側面間を延在する。有益には、基部領域と反対側の突出部の表面は、基部領域のコースに平行及び/又は平坦である。
【0020】
本発明によれば、負接続要素は接触面を有し、接触面には窪み部が設けられている。接触面は、接続状態において、正接続要素の基部領域に当接するように設けられている。したがって、接触面は、有益には、接続状態において、負接続要素に対向する正接続要素の基部領域に平行に延在するように構成することができる。接触面は、特に好ましくは平坦でもよい。
【0021】
本発明によれば、窪み部は、窪み部の内壁によって、接触面に垂直な窪み軸に対して半径方向に区切られている。本明細書において、窪み部の内壁は、有益には、窪み部の底面から接触面まで延在することができる。本明細書に記載される軸は、方向の目的のための仮想軸として理解されることが意図される。
【0022】
本発明によれば、内壁は、n個の挿入部、好ましくは正確にn個を有し、これらの挿入部は、それぞれ、窪み軸に対して挿入半径を有する。したがって、挿入半径は、挿入部の領域における内壁と窪み軸との間隔である。本明細書では、nは2以上の数である。本発明によれば、内壁は、2n個の保持部、好ましくは正確に2n個を有し、保持部の1つは、窪み軸を中心とする内壁に沿った両方向にn個の挿入部のそれぞれに隣接する。したがって、保持部の1つは、窪み軸に関する両周方向において各挿入部に隣接してもよい。
【0023】
各保持部の領域において、内壁は、接触面に対して270°より大きい角度を有する。本明細書では、例えば、窪み部が存在せず、窪み軸の方向に上向きの負接続要素の表面の領域を接触面と考えることができる。窪み部が底面によって底部で区切られている場合、内壁は、したがって、90°未満の角度、すなわち、鋭角を有することができ、前記底面は、各保持部の領域内にある。本明細書において有益に意味されるのは、負接続要素の外側にある角度である。本明細書において、底面は、有益には、接続状態において、正接続要素の突出部の表面に平行に延在し及び/又は平坦であるように構成することができる。底面は、任意に、底面に設けられた構造を有することができ、その結果、この場合の底面は、このタイプの構造の外側の領域において、平行に延在し及び/又は突出部の表面に平行である。
【0024】
各保持部の領域において、内壁は、窪み軸からの保持間隔と呼ばれる最大間隔を有する。最大間隔は、挿入半径、すなわち、挿入部における内壁と窪み部との間隔より小さい。有益には、保持間隔は、内壁が接触面に隣接する点における保持部の領域における内壁の間隔とすることができる。
【0025】
正接続要素が負接続要素に接続された状態では、ペグの端面と中心軸との間隔が挿入半径以下であることが意図される。その結果、挿入部でペグを窪み部に挿入することができる。さらに、ペグの端面と中心軸との間隔は、記載された保持間隔より大きくなるように意図されている。最初に、ペグが保持部の領域において窪み部の内壁に位置するように、ペグが挿入部で窪み部に挿入され、次に、正接続要素が負接続要素に対して回転されると、正接続要素の突出部が窪み部に保持される。保持部が両側の挿入部にそれぞれ隣接しているという事実により、このような保持状態は、窪み軸又は中心軸に関する両方向に負接続要素に対して正接続要素を回転させることによって達成することができる。
【0026】
本発明の1つの有益な構成では、ペグの端面、及び、有益には、ペグ自体は、それぞれ、中心軸に関する周方向に、それぞれの端面の中心に関して対称とすることができる。この場合、特に対応するペグの側面が延在するその角度の角度二等分線である角度、又は、端面が延在する円周に沿った任意の線分の中心は、例えば、端面の中心であると考えることができる。
【0027】
本発明の1つの有益な構成では、それぞれ隣接する全てのペグは、互いに対して同じ角度を有することができる。特に、それぞれ隣接するペグの端面のすべての中心は、互いに対して中心軸に対して同じ角度を有することができる。これに対応して、それぞれ隣接する挿入部及び/又は隣接する挿入部の中心は、窪み軸に対して同じ角度を有することができる。この構成において、回転用途に対して不均衡のない接続装置を実現することができる。
【0028】
本発明の1つの有益な構成では、ペグの端面は、中心軸に関してn倍の回転対称に延在することができる。これに対応して、負接続要素の挿入部は、また、窪み軸に関してn倍の回転対称に延在することができる。この構成によって、また、回転用途に対しても不均衡のない接続装置を実現することができる。
【0029】
本発明の1つの有益な構成では、基部領域に対して端面が有する角度は、中心軸に関する周方向に、端面の中心から端面の縁部まで減少することもある。この構成では、接触面又は任意に窪み部の側面に対して保持部が有する角度は、一定であってもよい。端面の角度を変えることによって、正接続要素を窪み部に固定することができる。
【0030】
有益には、ペグの全ての端面は、共通の円形線に平行に延在することもできる。特に好ましくは、全ての端面は、基部領域から所定の距離で見たときに、共通の円形線に延在する。
【0031】
本発明の1つの有益な構成では、基部領域は、円周を有することができるが、例えば、正方形又は長方形などの他の周形状も可能である。
【0032】
本発明の1つの有益な構成では、対応する保持部に隣接するそれぞれの挿入部から見て、保持部の領域において接触面に対して窪み部の内壁が有する角度は、増加することもある。窪み部が底部によって区切られる底面を有する場合、同様の方法によって、保持部の領域において前記底面に対して内壁が有する角度は、それぞれの挿入部から始まり減少することができる。この構成によって、挿入部の領域に挿入された後の窪み軸又は中心軸に対する回転によって正接続要素が固定される。
【0033】
本発明の1つの有益な構成では、それぞれの保持部に隣接する窪み部の内壁は、停止領域を有することができる。この場合、停止領域は、対応する保持部に隣接する挿入部と反対側の端面においてそれぞれの保持部を区切ることができる。この停止領域の領域において、内壁は、対応する保持部の領域における内壁と窪み軸との最小間隔より小さい窪み軸からの間隔を有することができる。正接続要素の対応するペグは、挿入領域に挿入された後及び当該保持領域を通過した後に、正接続要素が負接続要素に対して回転すると、この停止領域に当接することができる。その結果、過回転が防止される。
【0034】
1つの有益な構成では、接触面は、円周を有することができるが、接触面は、正方形若しくは長方形、又は、異なる形状の周形状を有することも可能である。
【0035】
特に有益には、負接続要素は、成形要素を有することができる。成形要素は、円筒壁によって半径方向に区切られ、円筒壁の円筒軸は、接触面に垂直であり、接触面が延在する平面を越えて突出する。前記成形要素の円筒軸は、窪み軸と同軸であることが好ましい。次いで、正接続要素は、同様の方法で中心軸の周りに開口部を有することができ、その内径は、円筒壁の外径と同一である。代替方法として、正要素は成形要素であってもよく、成形要素は、円筒壁によって区切られ、その円筒軸は、基部領域に対して垂直であり、成形要素は突出部の表面を越えて突出する。円筒軸は、中心軸に対して同軸であることが好ましい。その場合、負接続要素は、窪み軸の周りに開口部を有することができ、開口部の内径は、成形要素の円筒壁の外径と同一である。
【0036】
本発明の1つの特に有益な構成では、正接続要素は、突出部と反対側の基部領域に研磨手段を有することができ、又は、負接続要素は、窪み部と反対側に研磨手段を有することができる。有益には、接続装置は、工具クランプシステムとして構成することができる。
【0037】
本発明の1つの有益な構成では、負接続要素に対する正接続要素の許容回転方向を選択するためのピンを挿入することができる孔を窪み部の底部に設けることもできる。この場合、正接続要素が負接続要素に挿入されたとき、孔に挿入されたピンがペグの側面の1つに突き当たるように、孔は配置されることが好ましい。有益には、孔と窪み軸との間隔は、内壁と窪み軸との間隔より小さいが、任意に設けられた正接続要素の中央領域と中心軸との間隔より大きい。
【0038】
本発明は、両方向に回転させることによって、2つの接続要素を接続可能にする。有益な対称構造によって、本発明は、回転する実施例の場合、重心が中心軸又は窪み軸に対応することができる回転軸上にあることとから、重心又は不均衡に関して有益である。
【0039】
図面の発明は、以下の例によって説明されることが意図される。また、図示の特徴は、特定の図とは独立して実現されてもよく、異なる図の間で組み合わされてもよい。同じ参照符号は、同一又は対応する特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は正接続要素の斜視図を示す。
図2図2は正接続要素の平面図を示す。
図3図3図2に示された正接続要素の断面図を示す。
図4図4は負接続要素の斜視図を示す。
図5図5は負接続要素の平面図を示す。
図6図6は負接続要素の側面図を示す。
図7図7は負接続要素の平面図を示す。
図8図8は互いに垂直な2つの断面図を有する負接続要素の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1及び図2は、本発明に係る正接続要素を示す。正接続要素1は、図示の例では、円周を有し、平面状の基部領域3を有する。突出部5が基部領域3に配置されている。突出部5及び基部領域3は、中心貫通開口部7を有する。中心貫通開口部7は、図示の例では、中心軸に関する円形として構成されている。基部領域3及び突出部の中央領域9は、中心軸に対して半径方向に対称的に延在する。
【0042】
図示の例では、突出部5は、共通の中心軸の周りに配置された3つのペグ11a、11b、11cを有する。本明細書において、共通の中心軸は、基部領域3に垂直な仮想軸である。
【0043】
各ペグは、中心軸に対して半径方向に前記ペグ11a、11b、11cを区切る端面13a、13b、13cを有する。
【0044】
端面13a、13b、13cは、それぞれ、基部領域3に対して90°未満の角度、すなわち、鋭角を有する。
【0045】
中央領域9及び端面13a、13b、13cは、それらのコースにおいて、中心軸が延在する中心点を通る円形形状に倣う。突出部5は、ペグ11a、11b、11cの領域において、それらの間の中央領域9の領域よりも、中心軸に対して半径方向の広がりが大きい。
【0046】
ペグ11a、11b、11cは、それぞれ、2つの側面15aa、15ab、15bb、15ba、15cb、15caを有する。図示の例では、これらの側面は、同じペグ11aの側面15aa、15abがそれぞれ互いに平行になるように延在する。しかしながら、側面15aa、15ab、15bb、15ba、15cb、15caは、それぞれ、中心軸に対して半径方向に延在することも有益である。この場合、同じペグ11aの側面15aa、15abは、それぞれ、例えば、15°の角度を有することができる。本明細書において、単一のペグ11aについて記載する場合、その記載は、他のペグ11b及び11cにも有益に且つ相応して適用される。
【0047】
図1に示す例では、突出部5は多数の凹部17を有する。この凹部の間には、支柱が形成されている。凹部17は、任意であり、接続要素の重量を減らす役割を果たす。
【0048】
図示の例では、ペグ11a、11b、11cは、それぞれ、中心軸に関する周方向に対応する端面13a、13b、13cの中心に関して対称である。さらに、ペグ11a、11b、11cは、それぞれ隣接するすべてのペグ11a、11b、11c及び/又はそれぞれ隣接するペグの端面13a、13b、13cのすべての中心が互いに中心軸に対して同じ角度を有するように、周方向に等距離で配置される。前記角度は、3つのペグを有する図1に示す例では、一般的に、360°/n、すなわち、120°に等しいことが有益である。端面13a、13b、13cは、中心軸に対して3倍の回転対称で共に延在していることがわかる。
【0049】
基部領域3に対して端面13a、13b、13cが有する角度は、中心軸に関する周方向に端面13a、13b、13cの中心から端面の端部まで有益に減少することができる。このような特徴は、オプションであり、図1には示されていない。
【0050】
図3は、図2に示す断面線A-Aに沿った断面を示す。この断面は、ペグ11cと貫通開口部7によって貫通されている中央領域9とを通って延在する。図2に示す側面と反対側の正接続要素の側面には、構造19、本明細書では、窪み部19が設けられている。この窪み部19は中心軸を円形状に取り囲み、接続要素1が工具クランプシステムの一部として使用される場合に、例えば、研磨手段を窪み部に配置することができる。このような種類の研磨手段は、例えば、DE102016220766.0に示されるように構成されてもよい。
【0051】
図4は本発明に係る負接続要素2の斜視図を示す。図5は対応する平面図を示す。本明細書において、負要素2は接触面4を有する。接触面4には、窪み部6が設けられている。図示の例では、窪み部6は、底面8によって底部で区切られる。
【0052】
窪み部6は、窪み部の内壁10によって、接触面4に垂直な窪み軸に対して半径方向に区切られる。本明細書において、窪み軸は、内壁10によって取り囲まれた仮想軸である。図示の例では、負接続要素2は円周を有し、その結果、窪み軸は前記円周の中心点を通って延在する。
【0053】
図示の例では、内壁10は、3つの挿入部12a、12b、12cを有する。これらの挿入部は、窪み軸に対していわゆる挿入半径を有する。さらに、内壁10は、6つの保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbを有する。これらの保持部は、保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbのうちの1つが、窪み軸を中心に内壁10に沿って両方向に3つの挿入部12a、12b、12cのそれぞれに隣接するように配置される。これにより、例えば、挿入部12aは、反時計回りに保持部14aaに、時計回りに保持部14bに隣接する。他の挿入部12b、12cについても同様である。
【0054】
内壁10は、各保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbの領域において、接触面4に対して270°より大きい角度を有する。これに対応して、内壁10は、実施例に示される底面8に対して90°未満の角度を有する。
【0055】
さらに、各保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbの領域において、内壁10は、窪み軸から以下に保持間隔と呼ばれる最大間隔を有する。この最大間隔は、挿入部10の領域における挿入半径より小さい。図4に示される負接続要素2が図1~3に示される正接続要素1への接続のために構成される場合、正接続要素1の端面13a、13b、13cと前記正接続要素の中心軸との間隔は、挿入半径以下であり、前記保持間隔より大きい。
【0056】
図示の例では、内壁10は、保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbのそれぞれに隣接する停止領域16a、16b、16cを有する。これらの停止領域は、内壁10が保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbの領域における内壁10と窪み軸との最小間隔より小さい窪み軸からの間隔を有する領域に設けられている。
【0057】
図4に示す構成は、それぞれ、停止領域16aと、第1保持部14aaと、挿入領域12aと、第2保持領域14abと、第2停止領域16bとを備える内壁10の部分領域が対応する挿入領域12aの中心に関する周方向に対称となるように設計されている。挿入領域12b、12cについても同様である。
【0058】
図示の例では、負接続要素2は、円筒状の外壁20によって区切られた成形要素18を有する。この成形要素の円筒軸は、接触面4に垂直である。成形要素は、接触面4が延在する平面を超えて突出する。これは、図6の側面図で特によく分かる。図4に示す負接続要素2が図1図3に示す正接続要素1への接続のために設けられる場合、成形要素18を正接続要素1の貫通開口部7に挿入することができ、その結果、センタリング作業を簡単にすることができる。また、正接続要素1の貫通開口部7は、対応して、円筒壁2の外径と同一の内径を有することができる。図示の例では、成形要素18は、例えば、駆動軸を受け入れるために設けることができる中央開口部22を有する。
【0059】
保持部14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbの領域において、接触面4に対して内壁10が有する角度は、図4及び図5に示す例では、それぞれの挿入部12a、12b、12cから始まり増加する。このようにして、正接続要素1のペグ11a、11b、11cは、それぞれ、停止領域16a、16b、16cに当接するまで、ここで固定することができる。これは、正接続要素1が負接続要素2に対して両方向に回転している場合に分かる。
【0060】
底面8には、孔20ab、20ba、20bb、20ca、20cbが設けられている。この孔には、負接続要素に対して正接続要素を回転させることができる回転方向を選択するためのピンを挿入することができる。前記孔は、それぞれ、保持領域14aa、14ab、14ba、14bb、14ca、14cbの前に対応して配置される。
【0061】
図7は、図4図6に示された接触面4と反対側の負接続要素2の平面図を示す。負接続要素2が正接続要素1に接続されている状態では、図7に示されている側面は、正接続要素1と反対側を向いている。負接続要素2は、例えば、駆動軸を挿入する目的で設けることができる中央開口部72を有することが分かる。さらに、前記表面は、駆動又はトルク伝達要素を導入することができる多数のさらなる孔74を有する。このようにして、接続装置は、例えば、バリ取り加工のような回転用途のための工具クランプシステムとして使用することができる。
【0062】
図8は、断面軸A-Aに沿った断面図、断面軸B-Bに沿った断面図、及び、図4図7に示された負接続要素2を再度示す。接触面4と反対側に設けられた孔74と開口部73とが見られる。断面A-Aは、停止領域16c及び挿入領域12bを通る。断面B-Bは、一方では保持領域14abを通り、他方では保持領域14caを通る。図8に示すさらなる特徴に関しては、図4図7に関する説明を参照されたい。
【0063】
要約すると、装置は、2つの接続要素から構成されると考えることができる。接続要素が軸方向に接続され、次いで回転すると、形成嵌合接続が行われる。回転運動に応じて、接続要素の対称設計により、所望の回転方向に対応した接続が実現できる。対称的な設計は、重心が常に回転軸上に存在できることから、特に、不均衡に関して有益である。
【0064】
接続領域において、要素は、例えば、15°の角度を有する楔形の幾何形状を有することができる。ここで、2つの接続要素のうちの1つは、相補的な楔形の幾何形状を有することができる。一方の接続要素の楔形の輪郭は、回転対称に構成することができるが、他方の接続要素は、確実又は安定接続を実現するために、接続領域において、テーパ形状の輪郭を有することが有益である。
【0065】
接続の過回転を防止するために、ネジ、リベット、又は、材料の蓄積の形態の過回転防止要素を使用することができる。誤った回転方向での接続は、ネジ、リベット、又は、材料の蓄積の形態によって、同様に防止することができる。
【0066】
接続要素の意図しない緩みは、例えば、追加の固定要素によって防止することができる。固定素子は、例えば、戻り止め部品、圧力素子などのロック要素の形成で構成することができる。
【0067】
接続要素の孔、プレスされたレリーフ等の形状の窪みは、装置を開閉するために使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8