(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20240313BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240313BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240313BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20240313BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/86
F24F11/79
(21)【出願番号】P 2021509440
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012946
(87)【国際公開番号】W WO2020196493
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019063095
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松浦 雄司
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119695(JP,A)
【文献】特開2011-038705(JP,A)
【文献】特開2007-147167(JP,A)
【文献】特開2018-207500(JP,A)
【文献】特開2008-090828(JP,A)
【文献】特開2018-084382(JP,A)
【文献】特開2016-090225(JP,A)
【文献】特開2015-052435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/64
F24F 11/74
F24F 11/86
F24F 11/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機に接続された熱交換器で熱交換された空気を送風するファンと、
前記ファンの風向きを変更するルーバと、
加熱調理器の加熱の強度に関する運転情報に基づいて設定された制御情報に基づいて、前記ファンおよび前記圧縮機の少なくとも一方を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記制御情報に基づいて、前記加熱調理器の位置に応じて予め設定された風向きと、前記予め設定された風向き以外の風向きとに、交互に送風されるように前記ルーバを制御し、
空気調和機の運転モードに応じて、前記予め設定された風向きに送風する時間と、前記予め設定された風向き以外に送風する時間とが変更される、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記空気調和機が冷房運転時に前記ファンおよび前記圧縮機の少なくとも一方の回転数を増加させる、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記空気調和機が暖房運転時に前記ファンおよび前記圧縮機の少なくとも一方の回転数を減少させる、請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、前記空気調和機が冷房運転時に前記予め設定された風向きに送風する時間を、前記予め設定された風向き以外に送風する時間よりも長くする、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記空気調和機が暖房運転時に前記予め設定された風向きに送風する時間を、前記予め設定された風向き以外に送風する時間よりも短くする、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
熱媒体を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機に接続された熱交換器で熱交換された空気を送風するファンと、
加熱調理器の加熱の強度に関する運転情報に基づいて設定された制御情報に基づいて、前記ファンおよび前記圧縮機の少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記加熱調理器の運転情報は、予め定められた加熱時間及び目標温度を含む調理工程を表す情報を含む
、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関する。本願は、2019年3月28日に、日本に出願された特願2019-063095号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内における熱源の位置と温度を検出する温度検出手段を備え、温度検出手段が検出した熱源の位置によって、風向を変更し、温度検出手段が検出した熱源の温度によって設定温度を低下させる空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機では、空気調和機本体に温度検出手段を備える必要があり、コストアップにつながってしまう。また、温度検出手段は、赤外線センサや赤外線カメラから構成されているため、加熱調理器(熱源)が遮蔽物により遮られている場合、温度を検出できず、熱源を考慮した空調制御を反映させることができない場合があった。
【0005】
上記の問題点に鑑み、本発明の一態様は、一例として、加熱調理器が遮蔽物により遮られている場合であっても、加熱調理器の熱量を考慮した空調制御を行うことができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気調和機は、熱媒体を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機に接続された熱交換器で熱交換された空気を送風するファンと、加熱調理器の加熱の強度に関する運転情報に基づいて設定された制御情報に基づいて、前記ファンおよび前記圧縮機の少なくとも一方を制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態1に係る空気調和システムのネットワーク構成図である。
【
図2】
図1に示した空気調和機の冷凍サイクルを示す図である。
【
図3】
図1に示した空気調和機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示した加熱調理器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示したサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示したサーバ装置のデータベースを示す図である。
【
図7】
図1に示したサーバ装置の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】(a)
図1に示したサーバ装置の制御部による冷房運転時の風向設定を示す図である(b)
図1に示したサーバ装置の制御部による暖房運転時の風向設定を示す図である。
【
図9】(a)
図1に示した空気調和システムの情報処理を示す図である(b)
図1に示した空気調和システムの情報処理の別実施形態を示す図である。
【
図10】
図1に示したサーバ装置による空気調和機の制御情報の設定処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図1に示したサーバ装置による空気調和機の強度設定処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図1に示したサーバ装置による空気調和機の風向設定処理を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態2に係る空気調和システムのサーバ装置のデータベースを示す図である。
【
図14】本発明の実施形態2に係る空気調和システムのサーバ装置による空気調和機の強度設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る空気調和システム100のネットワーク構成図である。空気調和システム100は、空気調和機200と、加熱調理器300と、サーバ装置400とを含んで構成される。空気調和システム100は、一例として、空気調和機200と、加熱調理器300と、がネットワークNWを介してサーバ装置400に接続されている。加熱調理器300は、空気調和機200によって空気を調和可能な空間に配置されている。すなわち、空気調和機200及び加熱調理器300は、同一空間に配置されている。サーバ装置400は、例えば、空気調和機200及び加熱調理器300が設けられている空間(室内)から離れた場所において、加熱調理器300及び空気調和機200をそれぞれ管理するための管理装置の一例として用いられる。なお、空気調和機200と、加熱調理器300と、がネットワークNWを介してサーバ装置400に接続されているが、これに限らず、例えば、空気調和機200と、加熱調理器300とが、スマートフォンと通信可能に構成されてもよい。
【0010】
図2を用いて、空気調和機200の冷凍サイクルについて説明する。
図2は、空気調和機200の冷凍サイクルを示す図である。空気調和機200は、セパレート式の空気調和機であって、主として、室内機210と、室外機220とから構成される。室内機210には、室内側熱交換器211、室内ファン212、室内ファン212からの風向きを変更するルーバ213(
図1参照)、室内温度を検知するサーミスタ(図示せず)等、が備えられている。室外機220には、圧縮機221、室外側熱交換器222、四方弁223、膨張弁224、外気温を検知するサーミスタ(図示せず)等が備えられている。空気調和機200では、室内側熱交換器211と、圧縮機221と、四方弁223と、室外側熱交換器222と、膨張弁224とにより冷凍サイクルが構成されている。冷凍サイクルにおいて、圧縮機221は、熱媒体を圧縮する。膨張弁224は、熱媒体を減圧する。室外側熱交換器222は、暖房運転時に蒸発器として機能するとともに、冷房運転時には凝縮器として機能する。室内側熱交換器211は、暖房運転時に凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。以上のように、圧縮機221に接続された熱交換器で熱交換された空気を室内ファン212によって送風することで、冷房運転、暖房運転、除湿運転などの各種の空調運転を可能としている。
【0011】
図3を用いて、空気調和機200のハードウェア構成について説明する。
図3は、空気調和機200のハードウェア構成を示すブロック図である。空気調和機200は、主として、制御部230と、メモリ240と、操作部250と、通信インターフェイス260と、機器駆動部270と、を備える。
【0012】
制御部230は、一例として、CPU(Central Processing Unit)からなる。制御部230は、CPUに限らず、MPU(Micro Processing Unit)から構成してもよい。制御部230は、メモリ240に記憶されるプログラムを読みだして実行することにより、空気調和機200の各部を制御するものである。メモリ240は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部230によって実行されるプログラムや、制御部230にて使用される各種パラメータ等を記憶する。
【0013】
操作部250は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等によって構成され、ユーザからの命令を受け付けて、制御部230に入力する。通信インターフェイス260は、外部機器(サーバ装置400)との間でデータを通信するためのものである。通信インターフェイス260は、一例として、無線LANなどの通信モジュールによって構成される。制御部230は、通信インターフェイス260を介してデータを送信する際に、空気調和機200の機器IDを紐づけて送信している。なお、通信インターフェイス260は、有線LANなどの通信モジュールによって構成されてもよい。
【0014】
機器駆動部270は、空気調和機200の空気調和機能を実現するためのものである。機器駆動部270は、モータやアクチュエータなどによって構成され、制御部230の指令に基づいて動作する。制御部230によって機器駆動部270を制御する、具体的には、圧縮機221の回転数や室内ファン212の回転数、ルーバ213の回動角度等を制御することで、室内温度、風量、風向等を調整している。
【0015】
図1及び
図4を用いて、加熱調理器300の全体構成について説明する。
図4は、加熱調理器300のハードウェア構成を示すブロック図である。加熱調理器300は、一例として、キッチン等に組み込んで用いられるビルトイン式のIHクッキングヒータ(IHコンロ)で構成されており、電力を用いて加熱を行う調理器である。加熱調理器300は、コンロ310と、グリル320と、を備える。コンロ310は、コイルの電磁誘導により、天板に載置される調理容器(例えば、鍋等)を加熱可能に構成される。コンロ310により、例えば、煮る、炒める、焼く、揚げる等の調理を可能としている。同様に、グリル320は、コイルの電磁誘導により、筐体の内部に設けられる加熱庫に収容される調理容器を加熱可能に構成される。グリル320により、例えば、炙る等の調理を可能としている。
【0016】
なお、加熱調理器300は、IHコンロから構成されているが、これに限らず、ガスコンロから構成されてもよい。また、加熱調理器300は、食材を加熱調理するものであればよく、コンロに限らない。
【0017】
図4を用いて、加熱調理器300のハードウェア構成について説明する。加熱調理器300は、主として、制御部330と、メモリ340と、操作部350と、通信インターフェイス360と、機器駆動部370と、を備える。
【0018】
制御部330は、一例として、CPU(Central Processing Unit)からなる。制御部330は、CPUに限らず、MPU(Micro Processing Unit)から構成してもよい。制御部330は、メモリ340に記憶されるプログラムを読みだして実行することにより、加熱調理器300の各部を制御するものである。メモリ340は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部330によって実行されるプログラムや、制御部330にて使用される各種パラメータ等を記憶する。
【0019】
操作部350は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等によって構成され、ユーザからの命令を受け付けて、制御部330に入力する。通信インターフェイス360は、外部機器(サーバ装置400)との間でデータを通信するためのものである。通信インターフェイス360は、一例として、無線LANなどの通信モジュールによって構成される。制御部330は、通信インターフェイス360を介してデータを送信する際に、加熱調理器300の機器IDを紐づけて送信している。なお、通信インターフェイス360は、有線LANなどの通信モジュールによって構成されてもよい。
【0020】
機器駆動部370は、加熱調理器300のコンロ310やグリル320の調理機能を実現するためのものである。機器駆動部370は、モータやアクチュエータやヒータなどによって構成され、制御部330の指令に基づいて動作する。制御部330によって機器駆動部370を制御することで、コンロ310やグリル320の加熱温度や加熱時間などを調整している。
【0021】
図5を用いて、サーバ装置400のハードウェア構成について説明する。
図5は、サーバ装置400のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置400は、一例として、空気調和機200及び加熱調理器300をそれぞれ管理するための装置であり、ネットワークNWに接続されて空気調和機200及び加熱調理器300からのアクセスを可能としている。サーバ装置400は、主として、制御部410と、メモリ420と、操作部430と、表示部440と、通信インターフェイス450と、を備える。
【0022】
制御部410は、一例として、CPU(Central Processing Unit)からなる。制御部410は、CPUに限らず、MPU(Micro Processing Unit)から構成してもよい。制御部410は、メモリ420に記憶されるプログラムを読みだして実行することにより、サーバ装置400の各部を制御するものである。メモリ420は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部410によって実行されるプログラムや、制御部410にて使用される各種パラメータ等を記憶する。
【0023】
操作部430は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等によって構成され、ユーザ等からの命令を受け付けて、制御部410に入力する。表示部440は、ディスプレイ等によって構成され、制御部410からの信号に基づいて、文字や画像を表示する。通信インターフェイス450は、外部機器(空気調和機200や加熱調理器300)との間でデータを通信するためのものである。通信インターフェイス450は、一例として、有線LANなどの通信モジュールによって構成される。制御部410は、通信インターフェイス450を介してデータを送信する際に、サーバ装置400の機器IDを紐づけて送信している。なお、通信インターフェイス450は、無線LANなどの通信モジュールによって構成されてもよい。
【0024】
図6を用いて、メモリ420に格納されるデータベース420aについて説明する。
図6は、サーバ装置400のメモリ420に格納されるデータベース420aを示す図である。データベース420aには、加熱調理器300の加熱の強度(加熱度合)に応じた圧縮機221及び室内ファン212の回転数の変化量が格納されている。加熱調理器300は、一例として、加熱の強度を複数段階(強火、中火、弱火、とろ火等)に設定可能に構成されている。圧縮機221及び室内ファン212の回転数の変化量は、加熱調理器300の加熱の強度に応じて発生する熱量(消費電力)を基準として、予め定められる値である。具体的には、圧縮機221及び室内ファン212の回転数の変化量は、回転数の変化によって反映される冷房能力又は暖房能力が、加熱調理器300から発生する熱量に相当するように設定されている。
【0025】
図7は、サーバ装置400の制御部410の機能構成を示すブロック図である。
図7に示すように、制御部410は、加熱調理器300の加熱の強度に関する運転情報(以下、加熱調理器300の運転情報とも称する)を取得する調理情報取得部411と、空気調和機200の運転情報を取得する空調情報取得部412と、加熱調理器300の運転情報から加熱調理器300が作動中(加熱運転中)であるか否かを判定する加熱運転判定部413と、空気調和機200の運転情報から冷房運転中又は暖房運転中であるか否かを判定する空調運転判定部414と、空気調和機200の強度に関する制御情報を設定する強度設定部415と、空気調和機200の風向に関する制御情報を設定する風向設定部416と、を備える。
【0026】
調理情報取得部411は、通信インターフェイス450を介して加熱調理器300の加熱の強度に関する運転情報を取得している。加熱調理器300の加熱の強度に関する運転情報とは、加熱の強度(加熱度合)を示す情報に加えて、作動状態を示す情報を含んで構成される。
【0027】
空調情報取得部412は、通信インターフェイス450を介して空気調和機200の運転情報を取得している。空気調和機200の運転情報とは、暖房運転や冷房運転等の各種の運転モード及び運転モードにおける強度(例えば、室内ファン212や圧縮機221の回転数)を示す情報に加えて、作動状態を示す情報を含んで構成される。
【0028】
加熱運転判定部413は、加熱調理器300の運転情報から加熱調理器300が加熱運転中であるか否かを判定している。空調運転判定部414は、空気調和機200の運転情報から空気調和機200の運転モードを判定して、空気調和機200が冷房運転中又は暖房運転中であるか否かを判定している。
【0029】
制御部410は、加熱運転判定部413により、加熱調理器300が加熱運転中であり、かつ、空調運転判定部414により、空気調和機200が冷房運転中又は暖房運転中であると判定された場合に、加熱調理器300の加熱の強度に関する運転情報に基づいて、空気調和機200の制御情報を設定する。空気調和機200の制御情報とは、加熱調理器300の加熱運転に連動して空気調和機200を制御するための情報である。制御情報には、空気調和機200の強度に関する制御情報や風向に関する制御情報が含まれる。
【0030】
強度設定部415は、加熱調理器300の加熱の強度に関する運転情報に基づいて、空気調和機200の強度に関する制御情報を設定している。まず、強度設定部415は、加熱調理器300の加熱の強度と、データベース420aとを参照して、圧縮機221及び室内ファン212の回転数の変化量を取得する。
【0031】
そして、強度設定部415は、空調運転判定部414によって空気調和機200が冷房運転中であると判定されている場合、現在の圧縮機221の回転数に、取得した圧縮機221の回転数の変化量を足し合わせた回転数を、空気調和機200の強度に関する制御情報として設定する。同様に、現在の室内ファン212の回転数に、取得した室内ファン212の回転数の変化量を足し合わせた回転数を、空気調和機200の強度に関する制御情報として設定する。以上のように、強度設定部415は、空気調和機200が冷房運転時に室内ファン212及び圧縮機221の回転数を増加させるように強度に関する制御情報を設定する。
【0032】
また、強度設定部415は、空調運転判定部414によって空気調和機200が暖房運転中であると判定されている場合、現在の圧縮機221の回転数から、取得した圧縮機221の回転数の変化量を差し引いた回転数を、空気調和機200の強度に関する制御情報として設定する。同様に、現在の室内ファン212の回転数から、取得した室内ファン212の回転数の変化量を差し引いた回転数を、空気調和機200の強度に関する制御情報として設定する。以上のように、強度設定部415は、空気調和機200が暖房運転時に室内ファン212及び圧縮機221の回転数を減少させるように強度に関する制御情報を設定する。
【0033】
これにより、圧縮機221及び室内ファン212の回転数を、加熱調理器300から発生する熱量を加味した回転数に設定することができる。ゆえに、加熱調理器300を使用中であっても、ユーザに不快感を与えることなく、空気を調和することができる。
【0034】
なお、加熱調理器300が加熱運転中である場合は、加熱の強度に関わらず、予め定められた所定の回転数を、圧縮機221の回転数の変化量としてもよい。同様に、加熱調理器300が加熱運転中である場合は、加熱の強度に関わらず、予め定められた所定の回転数を、室内ファン212の回転数の変化量としてもよい。なお、空気調和機200の強度に関する制御情報として、圧縮機221及び室内ファン212の回転数を設定しているが、これに限定されず、圧縮機221及び室内ファン212のうち、少なくとも一方に関する回転数のみを設定してもよい。
【0035】
空気調和機200では、加熱調理器300との連動時において基準となる風向き(指定方向D1とも称する)が設定されている。基準となる風向きとは、加熱調理器300の位置に応じて設定されるものである。具体的には、空気調和機200から加熱調理器300の近傍に送風可能な方向を指す。ユーザが操作部250を介して指定方向D1を入力することで、加熱調理器300との連動時に対応付けてメモリ240に記憶されている。指定方向D1に係るデータは、例えば、空気調和機200の運転情報に紐づけられている。なお、空気調和機200において、指定方向D1を設定しているが、これに限らず、サーバ装置400において操作部430を介して指定方向D1を設定してもよい。
【0036】
風向設定部416は、空気調和機200の制御情報に基づいて、より具体的には、空気調和機200の制御情報に含まれる加熱調理器300の作動状態に応じて、指定方向D1(予め設定された風向き)にルーバ213を制御している。風向設定部416は、加熱調理器300が作動中であると判定された場合に、指定方向D1と、指定方向D1とは異なる方向(指定外方向D2と称する)と、に交互に送風するように風向きに係る制御情報を設定している。そして、風向設定部416は、空気調和機200の制御情報に基づいて、より具体的には、空気調和機200の制御情報に含まれる空気調和機200の運転モードに基づいて、指定方向D1に送風する時間を調節するように風向きに係る制御情報を設定している。
【0037】
図8を用いて、風向設定部416による風向制御の一例について説明する。
図8に示すように、室内は、リビングと、キッチンとに区切られており、空気調和機200と加熱調理器300とは壁Wを隔てて設けられている。ユーザは、キッチン(加熱調理器300)側に送風する方向を指定方向D1として設定している。
【0038】
図8に示すように、風向設定部416は、一例として、指定方向D1(キッチン側)と、指定外方向D2(リビング側)と、に交互に送風するように風向きに係る制御情報を設定している。
図8(a)に示すように、風向設定部416は、空気調和機200が冷房運転中であると判定された場合、指定方向D1に送風する時間(例えば、3分)を、指定外方向D2に送風する時間(例えば、1分)よりも長くなるように風向きに係る制御情報を設定している。
図8(b)に示すように、風向設定部416は、空気調和機200が暖房運転中であると判定された場合、指定外方向D2に送風する時間(例えば、3分)を、指定方向D1に送風する時間(例えば、1分)よりも長くなるように風向きに係る制御情報を設定している。
【0039】
これにより、冷房運転中において、指定方向D1に送風する時間を長くすることで、加熱調理器300近傍の空気を重点的に冷却することで、効率よく空気を調和させることができる。また、暖房運転中において、指定方向D1に送風する時間を短くすることで、すなわち、指定外方向D2に送風する時間を長くすることで、加熱調理器300から離れた箇所の空気を重点的に暖めることで、効率よく空気を調和させることができる。なお、指定外方向D2は、指定方向D1と異なる方向としているが、ルーバ213によるスイング動作を含んでもよい。
【0040】
なお、空気調和機200が冷房運転中であると判定された場合、指定方向D1に送風する時間を、指定外方向D2に送風する時間よりも短くなるように設定してもよい。これにより、例えば、空気調和機200の送風による影響(温度低下)を加熱調理器300に極力与えない、すなわち、加熱調理器300による加熱動作を、空気調和機200による空調動作よりも優先させることができる。
【0041】
また、風向設定部416は、空気調和機200の制御情報に基づいて、より具体的には、空気調和機200の制御情報に含まれる加熱調理器300の加熱の強度に基づいて、指定方向D1に送風する時間を調節するように風向きに係る制御情報を設定してもよい。例えば、空気調和機200が冷房運転中で、かつ、加熱調理器300の加熱の強度が高い場合、空気調和機200の運転モードのみに基づいて、指定方向D1に送風する時間を調整している場合と比較して、指定方向D1に送風する時間をさらに長くするように調整してもよい。また、同様に、空気調和機200が暖房運転中で、かつ、加熱調理器300の加熱の強度が高い場合、指定方向D1に送風する時間をさらに短くするように調整してもよい。
【0042】
図9(a)を用いて、空気調和システム100の情報処理について説明する。
図9(a)は、空気調和システム100の情報処理を示す図である。
図9(b)は、空気調和システム100の情報処理の別実施形態を示す図である。空気調和システム100において、各装置(空気調和機200や加熱調理器300やサーバ装置400)は、同一空間に配置される空気調和機200や加熱調理器300の機器IDを記憶しており、データに紐づけされる機器IDから連動すべき機器を判別しているものとする。
【0043】
加熱調理器300は、所定時間毎に、その運転情報をサーバ装置400に送信している(ステップS101)。加熱調理器300の運転情報をサーバ装置400が受信すると、以下の処理を実行する。
【0044】
サーバ装置400は、加熱調理器300の運転情報を取得すると、対応する空気調和機200に運転情報の送信要求を行う(ステップS102)。そして、空気調和機200は、運転情報をサーバ装置400に送信する(ステップS103)。サーバ装置400は、空気調和機200の運転情報を受信(取得)すると、加熱調理器300の運転情報及び空気調和機200の運転情報から空気調和機200の制御情報を設定する。サーバ装置400は、設定した制御情報を、空気調和機200に送信する(ステップS104)。空気調和機200は、サーバ装置400において設定された制御情報に基づいて、圧縮機221及び室内ファン212の少なくとも一方と、ルーバ213を制御している。
【0045】
図10を用いて、サーバ装置400による制御情報の設定処理について説明する。
図10は、サーバ装置400による空気調和機200の制御情報の設定処理を示すフローチャートである。
【0046】
調理情報取得部411は、通信インターフェイス450を介して加熱調理器300の運転情報を取得する(ステップS201)。加熱運転判定部413は、加熱調理器300の運転情報から加熱調理器300が加熱運転中であるか否かを判定している(ステップS202)。加熱運転判定部413により、加熱運転中であると判定された場合(ステップS202において、YESの場合)、ステップS203に進む。加熱運転判定部413により、加熱運転中でないと判定された場合(ステップS202において、NOの場合)、終了となる。空調情報取得部412は、通信インターフェイス450を介して空気調和機200の運転情報の送信要求を行い、空気調和機200から運転情報を取得する(ステップS203)。空調運転判定部414は、空気調和機200の運転情報から冷房運転中又は暖房運転中であるか否かを判定している(ステップS204)。空調運転判定部414により、冷房運転中又は暖房運転中であると判定された場合(ステップS204において、YESの場合)、ステップS205に進む。ステップS205では、空気調和機200の制御情報の設定処理が行われ、ステップS104に進む。ステップS104では、ステップS205において設定される制御情報を空気調和機200に送信して終了となる。空調運転判定部414により、冷房運転中又は暖房運転中でないと判定された場合(ステップS204において、NOの場合)、終了となる。
【0047】
図11及び
図12を用いて、サーバ装置400による空気調和機200の制御情報の設定処理について説明する。
図11は、サーバ装置400による空気調和機200の強度に関する制御情報の設定処理(以下、強度設定処理とも称する)を示すフローチャートである。
図12は、サーバ装置400による空気調和機200の風向に関する制御情報の設定処理(以下、風向設定処理とも称する)を示すフローチャートである。サーバ装置400は、空気調和機200の制御情報の設定処理において、一例として、強度及び風向に関する制御情報を設定するように構成されている。
【0048】
図11を用いて、サーバ装置400による強度設定処理について説明する。強度設定部415は、データベース420aを参照して、加熱調理器300の加熱の強度に応じた空気調和機200の強度(圧縮機221及び室内ファン212の回転数)の変化量を取得する(ステップS301)。強度設定部415は、空気調和機200が冷房運転中であるか否かを判定する(ステップS302)。強度設定部415は、冷房運転中であると判定された場合(ステップS302において、YESの場合)、取得した変化量だけ強度を上げる(回転数を増やす)ように強度に関する制御情報を設定して(ステップS303)、終了となる。強度設定部415は、暖房運転中であると判定された場合(ステップS302において、NOの場合)、取得した変化量だけ強度を下げる(回転数を減らす)ように強度に関する制御情報を設定して(ステップS304)、終了となる。
【0049】
図12を用いて、サーバ装置400による風向設定処理について説明する。風向設定部416は、指定方向D1の設定があるか否かを判定する(ステップS401)。風向設定部416は、指定方向D1の設定があると判定された場合(ステップS401において、YESの場合)、空気調和機200が冷房運転中であるか否かを判定する(ステップS402)。風向設定部416は、冷房運転中であると判定された場合(ステップS402において、YESの場合)、指定方向D1と指定外方向D2とに交互に送風するとともに、指定方向D1に送風する時間を長くするように風向に関する制御情報を設定して(ステップS403)、終了となる。風向設定部416は、暖房運転中であると判定された場合(ステップS402において、NOの場合)、指定方向D1と指定外方向D2とに交互に送風するとともに、指定外方向D2に送風する時間を長くするように風向に関する制御情報を設定して(ステップS404)、終了となる。風向設定部416は、指定方向D1の設定がないと判定された場合(ステップS401において、NOの場合)、ユーザに報知して(ステップS405)、ステップS401に戻る。
【0050】
なお、空気調和機200の強度設定処理は、サーバ装置400により行われているが、これに限定されず、例えば、
図9(b)に示すように、空気調和機200(制御部230)により行われるように構成してもよい。この場合、サーバ装置400が受信(取得)した加熱調理器300の運転情報は、通信インターフェイス450を介して空気調和機200に送信される(ステップS105)。また、データベース420aは、空気調和機200のメモリ240に記憶されており、空気調和機200がデータベース420aを参照して、空気調和機200の強度設定処理を行うように構成される。
【0051】
同様に、空気調和機200の風向設定処理は、サーバ装置400により行われているが、これに限定されず、空気調和機200により行われるように構成してもよい。
【0052】
また、加熱調理器300は、所定時間毎に、その運転情報をサーバ装置400に送信するように構成されているが、これに限定されず、例えば、加熱調理器300の運転に関する状態が変化した場合にサーバ装置400に送信するように構成してもよい。加熱調理器300の運転に関する状態が変化した場合とは、例えば、加熱調理器300が加熱運転を開始した場合や停止した場合等の作動状態が変化した場合や、加熱の強度を変更した場合等を含む。
【0053】
(第2の実施形態)
図13及び
図14を用いて、第1の実施形態と異なる構成の空気調和システム100aについて説明する。
図13は、サーバ装置400のメモリ420に格納されるデータベース420bを示す図である。
図14は、サーバ装置400による空気調和機200の強度設定処理を示すフローチャートである。
【0054】
加熱調理器300は、調理レシピを用いた自動調理を可能としている。具体的には、加熱調理器300やサーバ装置400には、複数の調理レシピが記憶されており、制御部330は、操作部350によりユーザが選択した調理レシピにしたがって、コンロ310又はグリル320の加熱時間及び加熱温度を制御することで、自動調理を可能としている。
【0055】
図13を用いて、メモリ420に格納されるデータベース420bについて説明する。データベース420bでは、調理レシピの種類と、調理レシピの調理工程と、調理レシピにおける見込み熱量と、が対応付けて格納されている。調理工程は、調理レシピの種類によって一又は複数の工程からなり、各工程において、目標温度、加熱時間等が予め定められている。見込み熱量とは、調理レシピを構成する調理工程が全て完了するまでに発生するであろう熱量を指す。見込み熱量は、各工程において、加熱時間及び目標温度から算出される熱量を足し合わせることで、算出されており、本実施の形態では、予めデータベース420bに格納されている。
【0056】
制御部410は、データベース420bを参照して、見込み熱量を取得すると、見込み熱量に応じた圧縮機221及び室内ファン212の回転数の変化量を算出している。変化量は、空気調和機200の現在の冷房能力(又は暖房能力)と、室内温度と、外気温と、見込み熱量を相殺する予定時間と、に基づいて算出している。
【0057】
変化量の算出において、例えば、調理工程が完了するまでに30分かかる場合、30分間に発生するであろう熱量を25分で相殺するように空気調和機200の強度の変化量を算出してもよい。このように、見込み熱量を相殺する予定時間をユーザが設定可能とすることで、例えば、室温の上昇を早めに抑えることができ、快適性が損なわれることを低減することができる。なお、制御部410は、見込み熱量を予めデータベース420bに格納しているが、これに限らず、調理レシピの加熱時間及び目標温度から算出してもよい。
【0058】
図14を用いて、サーバ装置400による強度設定処理について説明する。ここでは、加熱調理器300において自動調理が選択されており、加熱調理器300の運転情報は、サーバ装置400に送信される。加熱調理器300の運転情報は、調理レシピの情報、すなわち、予め定められた加熱時間及び目標温度を含む調理工程を表す情報が含まれている。
【0059】
強度設定部415は、データベース420bを参照して、調理レシピに応じた見込み熱量を取得している(ステップS501)。強度設定部415は、見込み熱量に応じて空気調和機200の強度の変化量を算出している(ステップS502)。強度設定部415は、空気調和機200が冷房運転中であるか否かを判定する(ステップS503)。強度設定部415は、冷房運転中であると判定された場合(ステップS503において、YESの場合)、算出した変化量だけ強度を上げる(回転数を増やす)ように強度に関する制御情報を設定して(ステップS504)、終了となる。強度設定部415は、暖房運転中である(冷房運転中でない)と判定された場合(ステップS503において、NOの場合)、算出した変化量だけ強度を下げる(回転数を減らす)ように強度に関する制御情報を設定して(ステップS505)、終了となる。
【0060】
これにより、自動調理によって発生するであろう熱量に応じて、空調制御を行うことができる。なお、サーバ装置400の制御部410は、自動調理の途中又は完了時点において、実際の加熱温度及び加熱時間から、実際に発生した熱量を算出して、見込み熱量と実際に発生した熱量との差異に基づいて、空気調和機200の強度を補正してもよい。
【0061】
なお、空気調和システム100では、空気調和機200と、加熱調理器300と、がネットワークNWを介してサーバ装置400に接続されているが、これに限らず、空気調和機200と加熱調理器300とが直接接続されるように構成してもよい。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。