(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】クローブ含有エアロゾル発生基体
(51)【国際特許分類】
A24B 15/14 20060101AFI20240313BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240313BHJP
【FI】
A24B15/14
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2021516366
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2019077254
(87)【国際公開番号】W WO2020074535
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デフォレル コリンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラング ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ルシュフルール セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルノス-ビゼ アリーヌ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1990/000019(WO,A2)
【文献】国際公開第2009/127894(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/007269(WO,A2)
【文献】国際公開第2010/069686(WO,A2)
【文献】欧州特許出願公開第03075266(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/178766(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0131858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/14
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体を備える加熱式エアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体が、粒子状植物材料で形成された均質化した植物材料を備え、前記粒子状植物材料が、前記粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~40重量パーセントのクローブ粒子、および60重量パーセント~90重量パーセントのたばこ粒子を含み、前記均質化した植物材料が、エアロゾル形成体と結合剤をさらに含む、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記粒子状植物材料が、20ミクロン以上のD90値~300ミクロン以下のD90値を有する、請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記均質化した植物材料が、結合剤によって凝集された粒子状植物材料を含む、請求項1または2のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記エアロゾル発生基体が、均質化した植物材料の一つ以上のシート、複数のストランド、または複数の断片を含む、請求項1~3のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生基体が、一つ以上のシートを含み、前記一つ以上のシートが各々個別に、
100μm~600μmの厚さ、または、
約100g/m
2~約300g/m
2の坪量、のうちの一つ以上を含む、請求項4に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生基体が、一つ以上のシートを含み、前記一つ以上のシートが各々個別に、
50N/m~400N/mの交差方向のピークにおける引張強さ、
または100N/m~800N/mの機械方向のピークにおける引張強さ、のうちの一つ以上を含む、請求項4または5に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記均質化した植物材料が、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料を含み、
前記第一の均質化した植物材料が、第一の粒子植物材料から形成され、前記第一の粒子植物材料が、前記第一の粒子植物材料の乾燥重量に基づいて、少なくとも50重量パーセント~100重量パーセントのクローブ粒子を含み、
前記第二の均質化した植物材料が、第二の粒子植物材料から形成され、前記第二の粒子植物材料が、前記第二の粒子植物材料の乾燥重量に基づいて、少なくとも50重量パーセント~100重量パーセントのたばこ粒子を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記第一の均質化した植物材料が、一つ以上のシートの形態であり、前記第二の均質化した植物材料が、一つ以上のシートの形態である、請求項7に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項9】
第一のプラグおよび第二のプラグをさらに備え、前記第一の均質化した植物材料が前記第一のプラグ内に位置し、前記第二の均質化した植物材料が前記第二のプラグ内に位置する、請求項7または8に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記第一の均質化した植物材料が第一のシートの形態であり、前記第二の均質化した植物材料が第二のシートの形態であり、前記第二のシートが少なくとも部分的に前記第一のシートの上にある、請求項7に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記第二の均質化した植物材料の前記第二のシートが、前記第一の均質化した植物材料の前記第一のシートの上にあり、
組み合わされた前記第一のシートと前記第二のシートが、集合してエアロゾル発生基体のプラグを形成する、請求項10に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項12】
エアロゾル修飾要素をさらに備える、請求項1~11のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生システムであって、
発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、
請求項1~12のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
請求項
4、5、6および8のいずれか一項に記載の前記加熱式エアロゾル発生物品の前記エアロゾル発生基体の前記均質化した植物材料の前記一つ以上のシートを作製する方法であって、前記方法が、
粒子状植物材料、水、結合剤およびエアロゾル形成体を含む混合物を形成する工程であって、前記粒子状植物材料が、前記粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~60重量パーセントのクローブ粒子および40重量パーセント~90重量パーセントのたばこ粒子を含有する、形成する工程と、
前記粒子状植物材料の前記混合物から前記シートを形成する工程と、
前記シートを乾燥させる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローブ粒子から形成された均質化した植物材料を備えたエアロゾル発生基体に関する。均質化した植物材料はまた、たばこ粒子を含んでもよい。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によって基体から放出され、物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
一部のエアロゾル発生物品は、消費者に異なる感覚体験を提供するため、例えば、エアロゾルの風味を高めるために物品の使用中に消費者に送達される風味剤を備える。風味剤は、エアロゾルを吸入するユーザーに、味覚(味わい)、嗅覚(匂い)、または味覚および嗅覚の両方を送達するのに使用されうる。風味剤を含む加熱式エアロゾル発生物品を提供することは公知である。
【0004】
また、たばこロッドが燃焼するように、紙巻きたばこのマウスピースの反対端を点火して吸入可能な煙を発生させることによって喫煙される従来の可燃性紙巻たばこに、風味剤を提供することも公知である。たばこが燃焼されるにつれて主流煙に追加的な風味を提供するために、典型的には一つ以上の風味剤がたばこロッド内のたばこと混合される。こうした風味剤は、例えば、天然クローブ材料(例えば、天然カットクローブ)の形態などの植物材料として、天然で提供されうる。こうした喫煙物品の一例は、クローブ粒子などのクローブ材料が、たばこロッド内のたばこと共に含まれている、「クレテック」紙巻たばことして公知である。クローブとたばこの割合は、クレテック紙巻たばこで異なるが、高い場合で50:50でありうる。クレテック紙巻たばこのクローブが燃焼されると、その風味および芳香が主流煙の中に放出される。こうした喫煙物品は、インドネシアなどの特定の国において一般的である。
【0005】
従来の可燃性紙巻たばこにおける風味を、エアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品によって再現することには困難さが伴う。これは、こうしたエアロゾル発生物品の加熱中に達する温度がより低温であり、それによって異なるプロファイルの揮発性化合物が放出されることに部分的に起因する。改善された風味送達を消費者に提供する加熱式エアロゾル発生物品のための新規なエアロゾル発生基体を提供することが望ましい。特に、可燃性クレテック紙巻たばこにおいて提供される風味に匹敵する、改善されたクローブ風味を消費者に提供するエアロゾル発生基体を提供することが望ましい。エアロゾル発生物品に容易に組み込むことができ、かつ既存の高速な方法および装置を使用して製造することができる、こうしたエアロゾル発生基体を提供することがさらに望ましい。
【0006】
EP3075266A1は、再構成たばこ材料および添加された風味から作製されたエアロゾル発生物品を開示する。風味は、クローブおよび/またはクローブ油および/またはその他のクローブ製品であってもよいが、これらの風味剤の量または技術的利点は開示されていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、基体の加熱に伴いクローブ芳香を提供するために、クローブ粒子から形成された均質化した植物材料を含むエアロゾル発生基体を提供した。基体は、発熱体を備えるエアロゾル発生装置での使用に適している。加熱に伴い、基体は、均質化した植物材料からエアロゾルを生成し、エアロゾルは、クローブ粒子からの一つ以上の風味剤、またはクローブ粒子およびたばこ粒子を混合物で含む。
【0008】
本発明の第一の態様によれば、粒子状植物材料を含む均質化した植物材料を備えたエアロゾル発生基体が提供され、粒子状植物材料は、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~100重量パーセントのクローブ粒子、および0重量パーセント~90重量パーセントのたばこ粒子を含む。粒子状植物材料は、クローブ材料、またはクローブ材料とたばこ材料の混合物から成る、すなわち、クローブ材料、またはクローブ材料とたばこ材料の混合物は、粒子状植物材料の100パーセントを占める。粒子状植物材料は、たばこ粒子を含まず、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて100パーセントのクローブ粒子を含んでもよい。粒子状植物材料は、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~60重量パーセントのクローブ粒子と、40重量パーセント~約90重量パーセントのたばこ粒子を含むことが好ましく、30重量パーセント~40重量パーセントのクローブ粒子と、70重量パーセント~60重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましい。エアロゾル発生基体は、基体の乾燥重量に基づいて、40重量パーセント~90重量パーセントの総含有量のたばこ粒子、および10重量パーセント~60重量パーセントの総含有量のクローブ粒子を含んでもよい。
【0009】
エアロゾル発生基体は、発熱体を備えるエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品での使用に特に適切でありうる。
【0010】
たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて少なくとも2.5重量パーセントのニコチン含有量を有しうる。たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントのニコチン含有量を有しうることがより好ましく、少なくとも3.2重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも3.5重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも約4重量パーセントのニコチン含有量を有しうることが最も好ましい。エアロゾル発生基体がたばこ粒子をクローブ粒子と組み合わせて含む場合、高いニコチン含有量を有するたばこは、クローブ粒子を有さない典型的なエアロゾル発生基体に対して類似のレベルのニコチンを維持することが好ましいが、これは、そうでなければニコチンの総量がたばこ粒子をクローブ粒子と置換することに起因して低減されるためである。
【0011】
本発明による基体で使用される均質化した植物材料は、製紙、キャスティング、軟塊再構成、押出成形または任意のその他の適切なプロセスを含む様々なプロセスによって生成されうる。
【0012】
キャスティングおよび製紙などの一部のプロセスは、均質化した植物材料をシート形態で生成するのにより適している。「キャストリーフ」という用語は、植物粒子(例えば、クローブ粒子、またはたばこ粒子とクローブ粒子との混合物で)および結合剤(例えば、グアーガムなど)を含むスラリーを支持表面(ベルトコンベアなど)の上へとキャスティングすること、スラリーを乾燥させること、および乾燥したシートを支持表面から取り外すことに基づくキャスティングプロセスによって作製される製品を指す。キャストまたはキャストリーフプロセスの例は、例えば、キャストリーフたばこを作製するためのUS-A-5,724,998号に記載されている。キャストリーフプロセスでは、粒子状植物材料は、植物の一部を微粉砕、粉砕、または細分することよって生成される。一つ以上の植物体から生成された粒子は、液体成分、典型的には水と混合されてスラリーを形成する。スラリー中のその他の成分は、繊維、結合剤およびエアロゾル形成体を含みうる。粒子状植物材料は、結合剤の存在下で凝集されうる。スラリーを支持表面の上へとキャストし、均質化した植物材料のシートへと乾燥させる。本発明による物品で使用される均質化した植物材料は、キャスティングによって生成されうることが好ましい。こうした均質化した植物材料は、凝集した粒子状植物材料を含みうる。
【0013】
均質化した植物材料のシートを生成するための製紙プロセスは、植物材料と水を混合して、主に別個のセルロース繊維を含む希釈懸濁液を形成する第一の工程を含む。この第一の工程は、浸漬および熱の適用を伴いうる。懸濁液は、キャストプロセスで製造されるスラリーよりも粘度が低く、含水量が高い。次に、懸濁液は、固体の繊維成分を含む不溶性部分、および可溶性植物物質を含む液体または水性部分に分離されうる。不溶性繊維状部分内に残っている水は、シーブとして作用するスクリーンを通して排出されてもよく、ランダムに織り込まれた繊維のウェブが配置されてもよい。場合によっては吸引または真空による支援を受けてローラーで押し付けることにより、水はこのウェブからさらに除去されうる。大部分の水分が除去されると、概して平坦で、均一な植物繊維のシートが達成される。シートから除去された可溶性植物物質は濃縮されてもよく、そして濃縮された植物物質がシートに戻されて添加されて、均質化した植物材料のシートをもたらしうる。このプロセスは、US3,860,012号に記載される通り、たばこ紙としても公知の再構成たばこ製品を作製するためにたばこで使用されてきた。
【0014】
均質化した植物材料の製造に適用されうるその他の公知のプロセスは、例えば、US-A-3,894,544号に記載されるタイプの軟塊再構成プロセス、ならびに例えばGB-A-983,928号に記載されるタイプの押出成形プロセスである。一般に、押出成形プロセスおよび軟塊再構成プロセスにより生成された均質化した植物材料の密度は、キャスティングプロセスにより生成された均質化した植物材料の密度よりも大きい。
【0015】
引張強さは、材料のシートが破断するまで伸展するために必要な力の測定値である。製紙プロセスにより、通常、キャストリーフ、軟塊再構成、または押出成形により生成される引張強さよりも比較的高い引張強さを有するシートが得られる。可溶性植物材料が抽出されて再導入される製紙プロセスとは対照的に、より大きな引張強さを有し、それによって粒子状植物材料が結合剤によって凝集される、均質化した植物材料のシートを作製する方法を提供することが望ましい。キャストリーフプロセスでは、実質的にすべての可溶性分画が植物材料内に保持されるため、ほとんどの風味が有利なことに保たれる。また、エネルギー集約的な製紙工程も回避される。
【0016】
クローブおよびたばこは、独特の、一般的には芳香がする。典型的には、こうした植物によって放出される風味は、植物材料中の揮発性化合物であって加熱に伴い揮発する、一つ以上の風味剤の存在に起因する。例として、クローブ精油の主な成分は、オイゲノール(4-アリル-2メトキシフェノール、化学式:C10H12O2、Chemical Abstracts Service Registry Number 97-53-0)である。オイゲノールは、主にクローブ風味に関与する化合物であり、典型的には、クローブ精油の約70%~約90%を占める。しかしながら、クローブ風味はまた、その他の化合物、例えば、アセチルオイゲノール、β‐カリオフィレンおよびバニリン、マスリン酸、ビコルリンなどのタンニン、ガロタンニン酸、サリチル酸メチル、フラボノイドオイゲニン、ケンフェロール、ラムネチンおよびオイゲニチン、オレアノール酸などのトリテルペノイド、およびセスキテルペンも含むが、これらに限定されない。クローブ風味の存在は、均質化した植物材料のオイゲノール含有量(または、均質化した植物材料が加熱されたときに生成されるエアロゾルのオイゲノール含有量)を測定することによって決定されることが好ましい。ただし、クローブ風味の存在は、上記に列挙されたものを含むがそれらに限定されない、クローブ精油中に見られる他の化合物の含有量を測定することによっても決定されうる。
【0017】
本発明に関して本明細書で使用される「たばこ材料」という用語は、たばこの処理、取り扱い、および発送中に形成された粉砕または粉末たばこ葉ラミナ、粉砕または粉末たばこ葉茎、たばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物を包含する。対照的に、分離されたニコチンおよびニコチン塩は、たばこに由来する化合物であるが、本発明の目的上、たばこ材料とは見なされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0018】
本明細書の粒子サイズは、D値として述べられ、これによってD値は、所与のD値以下の直径を有する粒子の数の割合を指す。例えば、D90粒子サイズ分布では、粒子の90パーセントの数が所与のD90値以下の直径であり、粒子の10%の数が所与のD90値よりも大きい直径である。
【0019】
粒子状植物材料は、20ミクロン以上のD90値~300ミクロン以下のD90値を有しうる。これは、粒子状植物材料が所与の範囲内の任意のD90値によって表される分布のものでありうることを意味しており、すなわち、D90は、20ミクロン、またはD90は25ミクロン等であってもよく、D90は最大で300ミクロンまででありうる。粒子状植物材料は、30ミクロン以上のD90値~120ミクロン以下のD90値を有しうることが好ましく、40ミクロン以上のD90値~80ミクロン以下のD90値を有することがより好ましい。粒子状クローブ材料および粒子状たばこ材料は両方とも、20ミクロン以上のD90値~300ミクロン以下のD90値を有してもよく、30ミクロン以上のD90値~120ミクロン以下のD90値を有することが好ましく、40ミクロン以上のD90値~80ミクロン以下のD90値を有することがより好ましい。粒子状植物材料の100パーセントの直径は、350ミクロン以下、より好ましくは400ミクロン以下であってもよい。粒子状クローブ材料の100パーセントおよび粒子状たばこ材料の100パーセントの直径は、400ミクロン以下であってもよく、350ミクロン以下であることがより好ましい。クローブ粒子の粒子サイズ範囲は、クローブ粒子を既存のキャストリーフプロセスにおいてたばこ粒子と組み合わせることを可能にする。
【0020】
一部の実施形態において、たばこは、例えば、均質化した植物材料で使用するために、所定の粒子サイズ分布を有する粒子状たばこ材料を形成するために故意に粉砕されてもよい。これは、所望の粒子サイズ分布を提供するようたばこ粒子のサイズを制御することができるという利点を提供する。したがって、故意に粉砕されたたばこの使用は有利なことに、粒子状たばこ材料の均質性および均質化したたばこ材料の一貫性を改善する。これは、エアロゾルの一貫した送達を有するエアロゾル発生物品の提供を可能にする。
【0021】
さらに、たばこ植物の特定の部分を選択し、所望のサイズに粉砕してもよい。例えば、たばこラミナを粉砕して、粒子状たばこ材料を形成してもよい。これはまた、例えば、廃たばこを使用して形成された材料と比較して、均質化した植物材料の一貫性の改善にも寄与する。
【0022】
たばこ粒子は、一つ以上のたばこ植物の品種から調製されうる。任意のタイプのたばこがブレンドに使用されうる。使用されうるタイプのたばこ材料の例には、日光乾燥たばこ、火力乾燥たばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント種たばこ、バージニア種たばこ、その他の特殊たばこ、それらのブレンド等が含まれるが、これに限定されない。カストリは、クレテック紙巻たばで一般的に使用されている日光乾燥たばこの一種である。日光乾燥たばこのその他の例は、マドゥラ(Madura)およびジャティム(Jatim)である。バーレー種たばこは、多くのたばこブレンドにおいて重要な役割を果たしているたばこの一種である。バーレー種は独特の風味と芳香を有し、また、大量のケーシングを吸収する能力を有する。
【0023】
火力乾燥は、バージニア種たばこで特に使用されるたばこの乾燥方法である。火力乾燥プロセス中、加熱された空気が密集したたばこを通して循環する。第一の段階中に、たばこ葉が黄色くなって枯れる。第二の段階中に、葉のラミナが完全に乾燥する。第三の段階中に、葉の茎が完全に乾燥する。
オリエント種は、小さな葉を有し、高い芳香品質を有するたばこの一種である。ただし、オリエント種たばこは、例えばバーレー種よりもマイルドな風味を有する。したがって、概して、オリエント種たばこは、たばこブレンドにおいて比較的少ない割合で使用される。
【0024】
カストリたばこおよび火力乾燥たばこがブレンドに使用されてたばこ粒子を生成することが好ましい。したがって、粒子状植物材料中のたばこ粒子は、カストリたばこと火力乾燥たばこのブレンドを含みうる。
【0025】
本発明の目的上、非たばこ材料とみなされるが、ニコチンは、随意に基体に組み込まれてもよい。ニコチンは、クエン酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンから成るリストから選択された一つ以上のニコチン塩を含みうる。ニコチンは、ニコチン含有量が低いたばこに加えて、または低減されたもしくはゼロのたばこ含有量を有することを意図する基体中にたばこの代替として組み込まれてもよい。
【0026】
既知であるように、クローブは、チョウジノキ(フトモモ科)の花蕾および茎を効果的に乾燥させたものであり、スパイスとして一般的に使用されている。したがって、各クローブは、萼片の萼、および萼に取り付けられたボール様の部分を形成する未開花の花弁の花冠を含む。本明細書で使用される場合、「クローブ材料」という用語は、チョウジノキの蕾および茎に由来する粒子を包含し、クローブ全体、粉砕された、または押しつぶされたクローブ、または別の方法で物理的に加工されて粒子サイズが低減されたクローブを含みうる。対照的に、クローブ精油およびオイゲノールは、クローブに由来する化合物であるが、本発明の目的上、クローブ材料とは見なされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0027】
単独の植物材料として、またはたばこ材料との組み合わせのいずれかで本明細書で提供されるエアロゾル発生基体中の均質化した植物材料へのクローブ粒子の包含は、クローブ油などのクローブ添加剤の添加と比較して、エアロゾル発生物品内でのエアロゾル発生基体の使用中に、改善されたクローブ芳香を提供することが現時点で見出されている。発明者らは、クローブ粒子を含まず、代わりにクローブ油を含む基体は、バランスの取れたクローブ芳香を送達しないことを見出した。さらに、本明細書で提供される特定のエアロゾル発生基体では、クローブ粒子は望ましいクローブ芳香を提供するのに十分なレベルで組み込まれ、一方で消費者に望ましいレベルのニコチンを提供するのに十分なたばこ材料を維持する。一実施形態では、エアロゾル発生基体は、粒子状植物材料から形成された一つ以上の均質化した植物材料のシートを含む。一実施形態では、均質化した植物材料のシートは、たばこ粒子およびクローブ粒子を同一のシート内に含有してもよい。他の実施形態では、均質化した植物材料のシートは、たばこ粒子およびクローブ粒子を異なるシート内に含有してもよい。
【0028】
均質化した植物材料は、固体またはゲルの形態であることが好ましい。しかしながら、一部の実施形態において、均質化した材料は、ゲルではない固体の形態であってもよい。均質化した材料は、膜の形態ではないことが好ましい。
【0029】
本発明によるエアロゾル発生基体の均質化した植物材料は、有利なことに、エアロゾル発生基体に組み込むのに必要な粒子状植物材料の全てを含みうる。均質化した植物材料の組成物は、有利なことに、異なる植物粒子の望ましい量および種類をブレンドすることによって調整されうる。これは、エアロゾル発生基体は、例えば従来のカットフィラーの製造の場合のように、異なるブレンドの組み合わせまたは混合を必要とせずに、望ましい場合、単一の均質化した植物材料から形成することを可能にする。したがって、エアロゾル発生基体の製造が潜在的に簡略化されうる。
【0030】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指す。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生したエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、加熱または燃焼されることが適切であって意図されるエアロゾル発生基体を備える、エアロゾルを生成するための物品を指す。従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当てて、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供された局在化した熱は、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルはたばこなどのエアロゾル発生基体を加熱することによって発生される。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては例えば、電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体に伝達することによってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「プラグ」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面を有する概して円筒状の要素を意味する。
【0032】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形状、長円形状または楕円形状の断面の、概して円筒状の要素を指す。ロッドは、プラグの長さ以上の長さを有してもよい。典型的には、ロッドは、プラグの長さよりも大きい長さを有する。ロッドは、一つ以上のプラグを備えてもよい。
【0033】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は10mmよりも大きく、20mm、30mm、50mm、100mm、120mm、130mm、または150mmよりも大きいことが好ましい。
【0034】
均質化した植物材料は、粒子状植物材料を凝集させるのに役立つ一つ以上の結合剤を含んでもよい。別の方法として、または加えて、均質化した植物材料は、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒およびこれらの組み合わせを含むがそれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0035】
結合剤は、粒子状植物材料に対して内在性であっても外来性であってもよい。本明細書に記載する均質化した植物材料のシートに含める適切な結合剤は、当業界で公知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。結合剤はグアーガムを含みうることが好ましい。結合剤は、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、約1重量パーセント~約10重量パーセントの量、好ましくは、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で存在してもよい。
【0036】
均質化した植物材料は、揮発性成分(例えば、エアロゾル形成体、オイゲノール、およびニコチン)の拡散を促進するための一つ以上の脂質を含んでもよい。均質化した植物材料に含めるための好適な脂質には、以下に限定されないが、中鎖トリグリセリド、ココアバター、パーム油、核油、マンゴー油、シアバター、大豆油、綿実油、ココナッツ油、水素化されたココナッツ油、カンデリラワックス、カルナウバワックス、シェラック、ヒマワリワックス、ヒマワリ油、ライスブラン、およびRevel A、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0037】
均質化した植物材料は、一つ以上のタイプの繊維を含みうる。均質化した植物材料に含めるための適切な繊維は当業界で公知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、非たばこ材料および非クローブ材料から形成された繊維を含む。均質化した植物材料に含める前に、繊維は当業界で公知の適切なプロセスによって処理されてもよく、これには機械式パルプ化、精製、化学的パルプ化、漂白化、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。典型的には、繊維は、その幅よりも大きな長さを有する。好適な繊維は、典型的には、400μmよりも大きく、4mm以下の長さを有し、0.7mm~4mmの範囲内の長さを有することが好ましい。均質化した植物材料は、粒子状植物材料と、非たばこ材料および非クローブ材料から形成された繊維との組み合わせで形成されてもよい。非たばこおよび非クローブ材料の重量割合は、粒子状植物材料の総重量に基づいて重量割合を決定する際に、粒子状植物材料の重量に加えられない。
【0038】
均質化した植物材料は、一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、均質化した植物材料がエアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時に揮発してエアロゾル中のニコチンおよび風味剤を運びうる構成要素である。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の動作温度で実質的に熱分解耐性のある、任意の適切な化合物または化合物の混合物としてもよい。異なるエアロゾル形成体は異なる温度で気化する。それ故に、エアロゾル形成体は、室温またはその付近で安定性を保つが、より高い温度、例えば40~450℃で揮発するその能力に基づいて選ばれてもよい。
【0039】
エアロゾル形成体はまた、均質化した植物材料中で望ましいレベルの水分を保つのに役立つ湿潤剤タイプの特性を有しうる。特に、一部のエアロゾル形成体は、湿潤剤として機能する吸湿性材料である。
【0040】
均質化した植物材料に含めるための適切なエアロゾル形成体および湿潤剤は当業界で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0041】
例えば、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で約10重量%~約25重量%、または乾燥重量基準で、約15重量%~約20重量%など、乾燥重量基準で約5重量%~約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、乾燥重量基準で約5重量%~約30重量%のエアロゾル形成体を含みうることが好ましい。基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。
【0042】
均質化した植物材料は、均質化した植物材料の一つ以上のシートの形態であることが好ましい。
【0043】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、100μm~600μm、好ましくは150μm~300μm、最も好ましくは200μm~250μmの厚さを有しうる。個々の厚さは個々のシートの厚さを指し、組み合わされた厚さはエアロゾル発生基体を構成するすべてのシートの合計厚さを指す。例えば、エアロゾル発生基体が二つの個々のシートから形成される場合、組み合わされた厚さは、二つの個々のシートの厚さ、または二つのシートの測定された厚さの合計であり、それらはエアロゾル発生基体内に積み重ねられる。
【0044】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約100 g/m2~約300 g/m2の坪量を有しうる。
【0045】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約0.3g/cm3~約1.3g/cm3の密度を有してもよく、約0.7g/cm3~約1.0g/cm3の密度を有することが好ましい。
【0046】
「引張強さ」という用語は、本明細書を通して、均質化した植物材料のシートを破壊するまで引き伸ばすために必要な力の測定値を示すために使用される。より具体的には、引張強さはシート材料が破壊する前に耐えることになる単位幅当たりの最高引張り力であり、シート材料の機械方向または交差方向で測定される。これはニュートン/材料のメートル(N/m)の単位で表現される。シート材料の引張強さ測定のための試験は周知である。好適な試験は、下記の表題で2014年版国際標準ISO1924-2に説明されている。「紙および板紙-引張特性試験方法-第2部:定速伸長法」。試験方法のさらなる詳細は、本明細書の見出し「試験方法」以下に提供される。
【0047】
本明細書に記載する一つ以上のシートは、各々個別に、交差方向のピークにおいて50N/m~400N/m、または好ましくは150N/m~350N/mの引張強さを有して、215μmのシート厚さに正規化されうる。正規化については、実施例2に関して本明細書に説明される。本明細書に記載する一つ以上のシートは、各々個別に、機械方向のピークにおいて100N/m~800N/m、または好ましくは280N/m~620N/mの引張強さを有して、215μmのシート厚さに正規化されうる。機械方向とは、シート材料がボビン上に巻かれる、またはボビンから巻き出されて機械に供給される方向を指し、交差方向とは、機械方向に直角を成す。引張強さのこうした値は、本明細書に記載のシートおよび方法を、機械的応力を伴う後続動作に対して特に好適にする。
【0048】
上記に定義するレベルの厚さ、坪量、および引張強さを有するシートの提供は、有利なことに、エアロゾル発生基体を形成するためのシートの機械加工性を最適化し、シートの引き裂きなどの損傷がシートの高速処理中に回避されることを確実にする。
【0049】
一つ以上のシートは、一つ以上のシートの集合体の形態であることが好ましい。
【0050】
均質化した植物材料のシートは、その長軸方向軸に対して横断方向に集合され、ラッパーで取り囲まれて連続的なロッドまたはプラグを形成しうることが好ましい。連続的なロッドは、複数の個別のロッドまたはプラグに切り離されてもよい。ラッパーは、紙ラッパーまたは非紙ラッパーとしうる。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙ラッパーは当業界で公知であり、紙巻たばこペーパーおよびフィルタープラグラップを含むが、これに限定されない。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙以外のラッパーは当業界で公知であり、均質化したばこ材料を含むがこれに限定されない。均質化したたばこラッパーは、エアロゾル発生基体が粒子状植物材料で形成された均質化した植物材料の一つ以上のシートを含む実施形態での使用に特に好適であり、粒子状植物材料は、乾燥重量に基づいて、20重量パーセント~0重量パーセントなどの低い重量パーセントのたばこ粒子と組み合わせてクローブ粒子を含有する。
【0051】
本明細書で使用される「集合」という用語は、均質化した植物材料のシートが、プラグまたはロッドの円筒軸に対して実質的に横断方向に渦巻き状にされる、折り畳まれる、または別の方法で圧縮または収縮されていることを意味する。本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。本明細書で使用される「長さ」という用語は、長軸方向における構成要素の寸法を指し、また「幅」という用語は、横断方向における構成要素の寸法を指す。例えば、円形断面を有するプラグまたはロッドの場合、最大幅は円の直径に対応する。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。気流経路の下流端は、エアロゾルが物品のユーザーに送達される端である。
【0052】
均質化した植物材料のシートは、捲縮、エンボス加工、穿孔を通して、あるいは、集合または断片に切断される前にテクスチャ加工されてもよい。均質化した植物材料のシートは、均質化した植物材料が捲縮したシートの形態、より好ましくは捲縮したシートの集合体の形態となりうるように、集合の前に捲縮されることが好ましい。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0053】
別の方法として、均質化した植物材料は、複数の断片、ストランド、または細片の形態であってもよい。断片、ストランドまたは細片は、プラグを形成するために使用されうる。本明細書で使用される「ストランド」という用語は、その幅および厚さより実質的に大きい長さを有する材料の細長い要素を説明する。「ストランド」という用語は、細片、断片、および類似の形態を有する任意のその他の均質化した植物材料を包含するものとみなされる。均質化した植物材料のストランドは、例えば、切断もしくは細断によって、または他の方法、例えば、押出成形方法によって、均質化した植物材料のシートから形成されてもよい。
【0054】
一部の実施形態において、ストランドは、エアロゾル発生基体の形成中の均質化した植物材料のシートの分割またはひびの結果として、例えば、捲縮の結果として、エアロゾル発生基体内でin situで形成されうる。エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料のストランドは、相互から分離されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料のストランドそれぞれは、ストランドの長さに沿った隣接したストランド(複数可)に少なくとも部分的に接続されてもよい。例えば、隣接したストランドは、一つ以上の繊維によって接続されてもよい。これは、例えば、上述したエアロゾル発生基体の製造中の均質化した植物材料のシートの分割に起因してストランドが形成される場合に生じうる。
【0055】
典型的には、こうした断片、ストランドまたは細片の幅は、約5mm、または約4mm、または約3mm、または約2mm以下である。断片、ストランドまたは細片の長さは、約5mmよりも大きく、約5mm~約15mm、約8mm~約12mm、または約12mmであってもよい。断片、ストランドまたは細片の長さは、それによってロッドがより短いプラグに切断される製造プロセスによって決定されてもよく、断片、ストランドまたは細片の長さはプラグの長さに対応する。断片、ストランドまたは細片は壊れやすく、特に移送中に破損する可能性がある。こうした場合、断片、ストランドまたは細片の一部の長さは、プラグの長さよりも短くなりうる。
【0056】
複数のストランドは、長軸方向軸と整列して、実質的にエアロゾル発生基体の長さに沿って延在することが好ましい。したがって、複数のストランドは相互に実質的に平行に整列していることが好ましい。これは、比較的均一で規則的な構造を提供し、この構造は、エアロゾル発生基体への内部ヒーター要素の挿入を容易にし、加熱の効率を最適化する。
【0057】
一実施形態において、基体は、エアロゾル発生基体の単一のプラグの形態であってもよい。エアロゾル発生基体のプラグは、均質化した植物材料の一つ以上のシートを含みうることが最も好ましい。均質化した植物材料の一つ以上のシートは、実質的にプラグの円筒軸に平行な複数の隆起または波形を有するように捲縮されうることが好ましい。これは、有利なことに、均質化した植物材料の捲縮したシートを集合してプラグを形成することを容易にする。均質化した植物材料の一つ以上のシートが集合されうることが好ましい。当然のことながら、均質化した植物材料の捲縮したシートは、別の方法としてまたは追加的に、ロッドの円筒軸に対して鋭角または鈍角を成す複数の実質的に平行な隆起または波形を有しうる。シートは、シートの完全性が複数の平行な隆起部または波形において中断され、材料の分離を引き起こし、均質化した植物材料の断片、ストランドまたは細片の形成をもたらす程度に捲縮されうる。
【0058】
エアロゾル発生物品は、本発明による基体を備えうる。エアロゾル発生物品は、ロッドを含みうる。ロッドは、一つ以上のプラグ内に本発明による基体を含んでもよく、随意に、物品の製造中に組み合わされる一つ以上のフィルターセグメントをさらに含んでもよい。ロッドが随意のフィルターセグメントを含む場合、約5mm~約130mmのロッド長さを有しうる。ロッドが随意のフィルターセグメントを含まない場合、約5mm~約120mmの長さを有しうる。ロッドは、エアロゾル発生基体の一つ以上のプラグを備えてもよい。エアロゾル発生基体の単一のプラグがロッドを形成する場合、ロッドおよびプラグの両方が、約10~約40mm、より好ましくは約10mm~15mm、最も好ましくは約12mmの長さを有することが好ましい。ロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm~約10mmの直径を有しうる。
【0059】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体はプラグの形態である。好ましい実施形態では、均質化した植物材料は、均質化した植物材料の一つ以上のシートの形態である。したがって、好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、粒子状植物材料から形成された均質化した植物材料の一つ以上のシートを含むプラグの形態であり、粒子状植物材料は、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~100重量パーセントのクローブ粒子、および0重量パーセント~90重量パーセントのたばこ粒子を含む。
【0060】
エアロゾル発生基体の別の実施形態において、均質化した植物材料は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料を含み、第一の均質化した植物材料は、第一の粒子状植物材料で形成され、第一の粒子状植物材料は、第一の粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量パーセント~100重量パーセントのクローブ粒子を含み、第二の均質化した植物材料は、第二の粒子状植物材料で形成され、第二の粒子状植物材料は、第二の粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて少なくとも50重量パーセント~100重量パーセントのたばこ粒子を含む。概して、本発明によれば、粒子状植物材料は、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、10重量パーセント~100重量パーセントのクローブ粒子と、0重量パーセント~90重量パーセントのたばこ粒子とを含む。
【0061】
随意に、第一の粒子状植物材料は、少なくとも60重量パーセントのクローブ粒子を含んでもよく、第二の粒子状植物材料は、少なくとも60重量パーセントのたばこ粒子を含んでもよい。随意に、第一の粒子状植物材料は、少なくとも90重量パーセントのクローブ粒子を含んでもよく、第二の粒子状植物材料は、少なくとも90重量パーセントのたばこ粒子を含んでもよい。随意に、第一の粒子状植物材料は、少なくとも95重量パーセントのクローブ粒子を含んでもよく、第二の粒子状植物材料は、少なくとも95重量パーセントのたばこ粒子を含んでもよい。
【0062】
こうした配設では、第一の均質化した植物材料は、主な割合のクローブ粒子を有する第一の粒子状植物材料を含み、第二の均質化した植物材料は、主な割合のたばこ粒子を有する第二の粒子状植物材料を含む。
【0063】
第一の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよく、第二の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよい。
【0064】
随意に、基体は、一つ以上のプラグを備えてもよい。基体は、第一のプラグおよび第二のプラグを含んでもよく、第一の均質化した植物材料は第一のプラグ内に位置し、第二の均質化した植物材料は第二のプラグ内に位置しうることが好ましい。
【0065】
二つ以上のプラグは、端と端をつないで当接関係で組み合わせられてロッドを形成するように延在してもよい。二つのプラグは、それらの間に隙間を有して長軸方向に定置され、それによってロッド内にくぼみを作り出してもよい。プラグは、ロッド内の任意の適切な配設にあってもよい。
【0066】
例えば、好ましい配設では、主な割合のクローブを含む下流プラグが、主な割合のたばこを含む上流プラグに当接してロッドを形成してもよい。また、それぞれのプラグの上流および下流位置が互いに対して変更される代替な構成も想定される。第三の均質化した植物材料が主な割合のクローブ、または主な割合のたばこのいずれかを含んで第三のプラグを形成する、代替的な構成もまた想定される。例えば、重量の主な割合のクローブを含むプラグは、それぞれが重量の主な割合のたばこを含む二つのプラグの間に挟まれてもよく、または、重量の主な割合のたばこを含むプラグは、それぞれが重量の主な割合のクローブを含む二つのプラグの間に挟まれてもよい。さらなる構成が当業者によって想定されうる。二つ以上のプラグが提供される場合、均質化した植物材料は、各プラグにおいて同じ形態で、または各プラグにおいて異なる形態で、すなわち、集合されて、または細断されて提供されうる。
【0067】
第一のプラグは、第一の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよく、第二のプラグは、第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよい。プラグの長さの合計は、約10mm~約40mm、好ましくは約10~約15mm、より好ましくは約12mmであってもよい。第一のプラグおよび第二のプラグは、同じ長さであってもよく、または異なる長さを有してもよい。第一のプラグおよび第二のプラグが同じ長さを有する場合、各プラグの長さは、好ましくは約6mm~約20mmでありうる。第二のプラグは、基体におけるたばこ粒子とクローブ粒子の望ましい比を提供するために、第一のプラグよりも長くてもよいことが好ましい。概して、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体内に、粒子状植物材料は、乾燥重量基準で、60~70重量パーセントのたばこ粒子および30~40重量パーセントのクローブ粒子を含むことが好ましい。第二のプラグは、第一のプラグよりも少なくとも40パーセント~50パーセント長いことが好ましい。
【0068】
第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が一つ以上のシートの形態である場合、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、シートの集合体でありうることが好ましい。第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、捲縮したシートでありうることが好ましい。当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0069】
エアロゾル発生基体のさらなる別の実施形態において、第一の均質化した植物材料は第一のシートの形態であり、第二の均質化した植物材料は第二のシートの形態であり、第二のシートは少なくとも部分的に第一のシートの上にある。
【0070】
第一のシートがテクスチャ加工されたシートであって、第二のシートがテクスチャ加工されていないシートであってもよい。
【0071】
第一および第二のシートの両方は、テクスチャ加工されたシートであってもよい。
【0072】
第一のシートは、第二のシートとは異なる方法でテクスチャ加工されたテクスチャ加工されたシートであってもよい。例えば、第一のシートが捲縮されて、第二のシートが穿孔されてもよい。別の方法として、第一のシートが穿孔されて、第二のシートが捲縮されてもよい。
【0073】
第一および第二のシートの両方は、互いに形態的に異なる捲縮したシートであってもよい。例えば、第二のシートは、第一のシートと比較して、異なる数の単位幅当たりの捲縮を有して捲縮されてもよい。
【0074】
シートを集合してプラグを形成してもよい。集合してプラグを形成するシートは、異なる物理的寸法を有してもよい。シートの幅および厚さは変化してもよい。
【0075】
それぞれが異なる厚さを有する、またはそれぞれが異なる幅を有する二つのシートを集合することが望ましい場合がある。これにより、プラグの物理的特性が変化しうる。これは、異なる化学的組成のシートからの、エアロゾル発生基体のブレンドされたプラグの形成を容易にしうる。
【0076】
第一のシートは第一の厚さを有してもよく、第二のシートは第一の厚さの倍数である第二の厚さを有してもよく、例えば、第二のシートは、第一の厚さの2倍または3倍の厚さを有してもよい。
【0077】
第一のシートが第一の幅を有してもよく、第二のシートが第一の幅とは異なる第二の幅を有してもよい。
【0078】
第一のシートおよび第二のシートは、一緒に集合される前、または一緒に集合される時に、重なり合う関係で配置されてもよい。シートは、同じ幅および厚さを有してもよい。シートは異なる厚さを有してもよい。シートは異なる幅を有してもよい。シートは、異なるようにテクスチャ加工されてもよい。
【0079】
第一のシートおよび第二のシートの両方がテクスチャ加工されることが望ましい場合、シートは、集合される前に同時にテクスチャ加工されてもよい。例えば、シートは、重なり合う関係にされて一対の捲縮ローラーなどのテクスチャ加工手段を通過してもよい。同時捲縮のための適切な装置およびプロセスは、WO2013/178766の
図2を参照して説明される。好ましい実施形態において、第二の均質化した植物材料の第二のシートは、第一の均質化した植物材料の第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、集合してエアロゾル発生基体のプラグを形成する。随意に、シートは、集合の前に一緒に捲縮されて集合を容易にしてもよい。
【0080】
別の方法として、各シートは別個にテクスチャ加工された後、一緒にプラグへと集合されてもよい。例えば、二つのシートが異なる厚さを有する場合、第一のシートを第二のシートに対して異なるように捲縮することが望ましい場合がある。
【0081】
当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0082】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のすぐ下流に中空のセルロースアセテートチューブを備えうる。管の一つの機能は、エアロゾル発生基体を、発熱体と接触できるように、エアロゾル発生物品の遠位端に向けて位置付けることである。管は、発熱体がエアロゾル発生基体の中に挿入された時に、エアロゾル発生基体が他の下流要素に向かってエアロゾル発生物品に沿って強制されるのを防止するように作用する。また、管は、下流要素をエアロゾル発生基体から分離するためのスペーサー要素として作用する。
【0083】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の下流かつ中空のセルロースアセテートチューブのすぐ下流に、一つ以上のスペーサーまたはエアロゾル冷却要素を備えうる。使用時に、エアロゾル発生基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素を通り過ぎ、かつエアロゾル冷却要素によって冷却される。スペーサーは、中空のセルロースアセテートチューブと等しい外径であるが、これよりも大きい内径の中空管でありうる。スペーサーまたはエアロゾル冷却要素は、金属箔、箔でラミネートされた紙、ポリマーシート、および実質的に非多孔質の紙または厚紙などの、任意の適切な材料で作製されうる。一部の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテート(CA)およびアルミ箔から成る群から選択される材料で作製された一つ以上のシートを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、およびセルロースアセテート(CA)から成る群から選択される材料の織られた繊維、または不織フィラメントで作製されてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、フィルター紙内に巻かれた捲縮して集合したポリ乳酸シートである。別の好ましい実施形態において、スペーサーは、長軸方向チャネルを備え、紙で巻かれた織られたポリ乳酸フィラメントで作製される。
【0084】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体および中空のアセテートチューブ、スペーサーまたはエアロゾル冷却要素の下流にフィルターまたはマウスピースを備えてもよい。フィルターは、粒子状成分、ガス状成分、またはそれらの組み合わせを除去するための一つ以上の濾過材料を含みうる。適切な濾過材料は当業界で公知であり、例えば、セルロースアセテートトウなどの繊維質の濾過材料、および紙、例えば活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるいおよびシリカゲルなどの吸着剤、例えば、ポリ乳酸(PLA)、マタビー(登録商標)、およびバイオプラスチックを含む生分解性高分子、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。フィルターはエアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルターは約7mmの長さであるが、約5mm~約10mmの長さを有してもよい。
【0085】
一実施形態において、エアロゾル発生物品は約45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品の外径は約7.3 mmとしうる。
【0086】
エアロゾル発生物品は、一つ以上のエアロゾル修飾要素をさらに備えてもよい。エアロゾル修飾要素は、エアロゾル修飾剤を提供しうる。本明細書で使用される場合、エアロゾル修飾剤という用語は、使用時に、フィルターを通過するエアロゾルの一つ以上の特徴または特性を修正する任意の物質を説明するために使用される。適切なエアロゾル修飾要素には、限定はされないが、使用中に、フィルターを通過するエアロゾルに味わいまたは芳香を付与する物質が含まれる。
【0087】
エアロゾル修飾要素は、水分または液体風味剤のうちの一つ以上であってもよい。水または水分は、例えば、発生されたエアロゾルを湿らせることによって、ユーザーの感覚的体験を修正してもよく、これはエアロゾルに冷却効果をもたらし、ユーザーによって経験されるえぐみの知覚を低減しうる。エアロゾル修飾要素は、一つ以上の液体風味剤を送達するための風味送達要素の形態であってもよい。
【0088】
一つ以上の液体風味剤は、エアロゾル発生物品の使用中に生成されるエアロゾルの味わいを高めるために、風味送達要素内に液体の形態で放出可能なように配置するのに適した任意の風味化合物または植物抽出物を含みうる。液体または固体の風味剤はまた、セルロースアセテートトウなどのフィルターを形成する材料に直接配置されうる。適切な風味または風味剤としては、メントール、ミント(ハッカおよびオランダハッカなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果物風味、γ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、オイゲノール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、ジンジャー油、およびたばこ風味などが挙げられるが、これらに限定されない。その他の適切な風味としては、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせ、またはこれらのブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が挙げられうる。
【0089】
一つ以上のエアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、またはエアロゾル発生基体内に位置しうる。典型的には、エアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、最も典型的には、エアロゾル発生物品のフィルター内、例えば、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。一つ以上のエアロゾル修飾要素は、スレッド、カプセル、マイクロカプセル、ビーズまたは高分子マトリクス材料のうちの一つ以上の形態であってもよい。
【0090】
エアロゾル修飾要素がスレッドの形態である場合、WO2011/060961に記載されるように、スレッドは、フィルタープラグラップなどの紙から形成されてもよく、スレッドは、少なくとも一つのエアロゾル修飾剤を装填され、フィルターの本体内に位置してもよい。
【0091】
エアロゾル修飾要素がカプセルの形態である場合、WO2007/010407、WO2013/068100およびWO2014/154887に記載されるように、カプセルは、フィルター内に位置した壊れやすいカプセルであってもよく、カプセルの内部コアは、フィルターが外力に供されたときにカプセルの外部シェルの破損に伴い放出されうるエアロゾル修飾剤を含有する。カプセルは、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。
【0092】
エアロゾル修飾要素が高分子マトリクス材料の形態である場合、高分子マトリクス材料は、WO2013/034488に記載されるように、高分子マトリクスが高分子マトリクス材料の融点を超えて加熱されるときなど、エアロゾル発生物品が加熱されると、風味剤を放出する。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、エアロゾル発生基体内のビーズ内に位置しうる。別の方法として、または追加的に、風味剤は、高分子マトリクス材料のドメイン内に閉じ込められ、高分子マトリクス材料の圧縮に伴い高分子マトリクス材料から放出可能であってもよい。こうした風味修飾要素は、WO2013/068304に記載されるように、少なくとも5ニュートンの範囲の力にわたって、液体風味剤の持続的な放出を提供しうる。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、フィルター内のビーズ内に位置しうる。
【0093】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体とを備えてもよく、エアロゾル発生基体は、本発明の第一の態様に関して上述した通りである。
【0094】
例えば、本明細書に記載の基体は、WO-A-2009/022232号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうるが、これは可燃性炭素系熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体と、可燃性炭素系熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接した前方部分の周りにありそれらと接触した熱伝導性要素とを備える。ただし、当然のことながら、本明細書に記載の基体はまた、その他の構造を有する可燃性熱源を備えた加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0095】
第二の態様によると、本発明は、発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置と使用するエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムを提供しており、エアロゾル発生物品は、本発明の第一の態様に関して上述するエアロゾル発生基体を含む。
【0096】
好ましい実施形態において、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される電気的に作動するエアロゾル発生システムで使用するための加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0097】
例えば、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、EP-A-0 822 760で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0098】
こうした加熱式エアロゾル発生物品の発熱体は、熱を伝導する任意の適切な形態であってもよい。エアロゾル発生基体の加熱は、内部から、外部から、または両方から達成されうる。発熱体は、基体が内部から加熱されるように、基体に挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはピンでありうることが好ましい。別の方法として、発熱体は、基体を部分的または完全に取り囲み、基体を外部から加熱してもよい。
【0099】
別の態様では、本発明は、加熱式エアロゾル発生物品中のエアロゾル発生基体として使用するための均質化した植物材料を作製する方法を含む。均質化した植物材料を形成するために、粒子状植物材料、水、およびエアロゾル形成体を含む混合物が形成される。粒子状植物材料およびエアロゾル形成体はいずれも、本発明の第一の態様に関して上述したとおりである。混合物からシートを形成し、次いで、シートを乾燥させる。
【0100】
混合物は水性混合物であることが好ましい。混合物は、均質化した混合物であってもよい。本明細書で使用される場合、「乾燥重量基準」とは、割合で表される、混合物における全ての水以外の成分の重量の合計に対する粒子状の水以外の成分の重量を指す。水性混合物の組成物は、「乾燥重量パーセント」によって言及されうる。これは、割合として表される、水性混合物全体の重量に対する水以外の成分の重量を指す。
【0101】
混合物はスラリーであってもよい。本明細書で使用される場合、「スラリー」とは、比較的低い乾燥重量を有する均質化した水性混合物である。本明細書の方法で使用されるスラリーは、5パーセント~60パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0102】
別の方法として、混合物は軟塊であってもよい。本明細書で使用される場合、「軟塊」とは、比較的高い乾燥質量を有する水性混合物である。本明細書の方法で使用される軟塊は、少なくとも60パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0103】
混合物はまず、粒子状植物材料、水、およびエアロゾル形成体を混合することによって生成される。随意に、混合物はまた、結合剤を含んでもよい。随意に、混合物はまた、繊維を含んでもよい。随意に、混合物はまた、一つ以上のニコチン塩を含んでもよい。低粘度の混合物、すなわち一部のスラリーについて、混合は、高エネルギーミキサーまたは高剪断ミキサーを用いて実施されることが好ましい。こうした混合は、混合物の様々な相を壊して均一に分布させる。高粘度の混合物、すなわち一部の軟塊について、混練プロセスは、混合物の様々な相を均一に分布させるのに使用されうる。
【0104】
方法は、混合物を振動させて様々な成分を分布させる工程をさらに含みうる。混合物を振動させること、すなわち、例えば、均質化した混合物が存在するタンクまたはサイロを振動させることは、特に混合物が低粘度の混合物、すなわち、一部のスラリーである場合に混合物の均質化に役立ちうる。混合と共に振動も実施される場合、キャスティングするために最適な標的値まで混合物を均質化するために必要とされる混合時間がより短くなる場合がある。
【0105】
混合物がスラリーである場合、均質化した植物材料のウェブは、ベルトコンベアなどの支持表面上にスラリーをキャスティングすることを含むキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。均質化した植物材料の製造方法は、該キャストウェブを乾燥させてシートを形成する工程を含む。キャストウェブは、室温で、または摂氏80~160度の周囲温度で、好適な長さの時間乾燥させてもよい。乾燥後のシートの含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。次いで、シートは、乾燥後に支持表面から取り外されてもよい。キャストシートは、機械的に操作され、破損または変形することなくボビンに巻く、またはボビンから巻き出されうるように、引張強さを有する。
【0106】
均質化した混合物が軟塊である場合、押出成形された混合物を乾燥する工程の前に、軟塊をシート、ストランド、または細片の形態で押出成形してもよい。軟塊は、シートの形態で押出成形されうることが好ましい。押出成形された混合物は、室温で、または摂氏80~160度の周囲温度で適切な時間乾燥させてもよい。乾燥後の押出成形された混合物の含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。スラリーから形成されたウェブに対して有意に低い含水量の結果として、軟塊から形成されたシートは、より少ない乾燥時間および/またはより低い乾燥温度を必要とする。
【0107】
シートを乾燥させた後、方法は、WO2015/082652の開示に記載されるように、好ましくはエアロゾル形成体と共に、ニコチン塩をシート上に被覆する工程を随意に含んでもよい。
【0108】
シートが乾燥された後、方法は、シートを断片、ストランド、または細片に切断する工程を随意に含んでもよい。
【0109】
シートが乾燥された後、方法は、シートをボビン上に巻くさらなる工程を随意に含んでもよい。
【0110】
30パーセントを超える乾燥重量および軟塊を含むスラリーが、本方法において好ましい。一次データは、クローブ風味に主に関与する化合物であるオイゲノールの損失が、30パーセント未満の乾燥重量を含むスラリーと比較して少なくとも10%減少しうることを示唆している。したがって、高い乾燥重量が使用される場合、乾燥プロセスにおいて揮発するオイゲノールが少ないため、高いオイゲノール含有量が保持されうる。
【0111】
驚くべきことに、本発明による加熱式エアロゾル発生物品から発生するエアロゾルは、同じ均質化したたばこブレンドを使用するが、クローブを添加せずに生成される類似の物品からのエアロゾルと比較して、低減されたレベルのアクリルアミド、カテコール、ヒドロキノン、フェノール、イソプレン、およびアセトアルデヒドを含有することも見出された。これは、実施例2にさらに詳述されている。さらに、100%のたばこ粒子を含む同等の密度のシートと比較して、本明細書に記載のクローブ粒子を含む均質化したシートは、100%のたばこキャストリーフシートの基準範囲よりも高い、交差方向および機械方向の両方のピークで引張強さを示すことも見出された。これは、実施例3にさらに詳述されている。
【0112】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】
図1は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第一の実施形態を示し、
【
図2】
図2は、エアロゾル発生物品と、電気発熱体を含むエアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システムを示す。
【
図3】
図3は、エアロゾル発生物品および可燃性発熱体を含むエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを図示する。
【
図4】
図4aおよび4bは、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第二の実施形態を図示する。
【
図5】
図5は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第三の実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、エアロゾル修飾要素をさらに含むフィルター1050の断面図である。
図6aは、フィルタープラグ内の球状のカプセルまたはビーズの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。
図6bは、フィルタープラグ内のスレッドの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。
図6cは、フィルター内のくぼみ内の球状のカプセルの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。
【
図7】
図7は、ビーズの形態のエアロゾル修飾要素をさらに含むエアロゾル発生基体1020のプラグの断面図である。
【
図8】
図8は、測定原理と、本明細書に記載の乾燥引張強さ測定試験における伸展前および伸展中における関連する試験用標本の寸法を図示したものである。
【
図9】
図9は、単一の試験用標本について得られた典型的な力/伸張曲線および破断時の引張強さおよび伸展を計算するための関連公式を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1は、本明細書に記載の基体を含む加熱式エアロゾル発生物品1000を図示する。物品1000は、エアロゾル発生基体1020と、中空のセルロースアセテートチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という四つの要素を備える。これら4つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。
図1に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル発生基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するのに特に適切である。
【0115】
組み立てられた時、物品1000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。
【0116】
エアロゾル発生基体1020は、たばこ粒子およびクローブ粒子を含む均質化した植物材料のシートから形成されたプラグを備える。シートを集合、捲縮して、フィルターペーパー(図示せず)で巻いてプラグを形成する。シートは、エアロゾル形成添加物としてのグリセリンを含む添加物を含む。
【0117】
図1に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル発生基体1020に挿入される発熱体を備えうる。
【0118】
エアロゾル発生装置と係合されると、ユーザーは喫煙物品1000の口側の端1012を吸い、エアロゾル発生基体1020が摂氏約375度の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物がエアロゾル発生基体1020から放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0119】
図2は、エアロゾル発生物品1000のエアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を利用した電気的に作動するエアロゾル発生システム2000の一部を図示する。加熱用ブレードは、電気的に動作するエアロゾル発生装置2010のエアロゾル物品受入れチャンバー内に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、空気がエアロゾル発生物品1000に流れるようにするための複数の空気穴2050を画定する。空気の流れは、
図2の矢印で示されている。エアロゾル発生装置は電源および電子部品を含むが、
図2では図示されていない。
図2のエアロゾル発生物品1000は、
図1に関して説明した通りである。
【0120】
図3に示される代替的な構成では、エアロゾル発生システムは、可燃性発熱体と共に示されている。
図1の物品1000はエアロゾル発生装置と併せて消費されることが意図されるが、
図3の物品1001は、点火して熱をエアロゾル発生基体1020に伝達させて吸入可能なエアロゾルを形成しうる可燃性熱源1080を含む。可燃性熱源80は、ロッド11の遠位端13でエアロゾル発生基体に近接して組み立てられる木炭要素としうる。
図1の各要素と本質的に同じ要素には同じ番号が付けられている。
【0121】
図4aおよび4bは、加熱式エアロゾル発生物品4000a、4000bの第二の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体4020a、4020bは、主にクローブ粒子を含む粒子状植物材料から形成された第一の下流プラグ4021と、主にたばこ粒子を含む粒子状植物材料から形成された第二の上流プラグ4022とを備える。均質化した植物材料は、シートの形態であり、シートは、捲縮されて、フィルターペーパー(図示せず)に巻かれる。シートは両方とも、エアロゾル形成添加剤としてのグリセリンを含む添加剤を含む。
図4aに示す実施形態において、プラグは、端と端をつないで当接する関係で組み合わされてロッドを形成しており、それぞれ約6mmの長さである。より好ましい実施形態(図示せず)において、第二のプラグは、第一のプラグよりも長いことが好ましく、例えば、2mm長いことが好ましく、3mm長いことがより好ましく、その結果、第二のプラグは、7または7.5mmの長さであり、第一のプラグは5または4.5mmの長さであって、基体中のたばこ粒子とクローブ粒子の望ましい比を提供する。
図4bでは、セルロースアセテートチューブ支持要素1030は省略されている。
【0122】
図1の物品1000と類似の物品4000a、4000bは、
図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。
図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、
図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第二の実施形態で代替的に使用されうることは、当業者に想定されうる。
【0123】
図5は、加熱式エアロゾル発生物品5000の第三の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体5020は、主にクローブ粒子を含む粒子状植物材料で形成される均質化した植物材料の第一のシートと、主にキャストリーフたばこを含む均質化した植物材料の第二のシートとから形成されるロッドを備える。第二のシートは第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、捲縮、集合され、少なくとも部分的に第一のフィルターペーパー(図示せず)で巻かれてロッドの一部であるプラグを形成する。両方のシートは、エアロゾル形成添加剤としてのグリセリンを含む添加剤を含む。
図1の物品1000と類似の物品5000は、
図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。
図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、
図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第三の実施形態で代替的に使用されうることは、当業者に想定されうる。
【0124】
図6は、エアロゾル修飾要素をさらに備えるフィルター1050の断面図である。
図6aにおいて、フィルター1050は、球状カプセルまたはビーズ605の形態のエアロゾル修飾要素をさらに備える。
【0125】
図6aの実施形態において、カプセルまたはビーズ605はフィルターセグメント601内に埋め込まれ、フィルター材料603によってすべての側が囲まれている。この実施形態で、カプセルは外部シェルおよび内部コアを備え、その内部コアは液体風味剤を含む。液体風味剤は、フィルターを提供されたエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾルを風味付けるためのものである。カプセル605は、例えば消費者による圧迫によってフィルターが外力に供された時に、液体風味剤の少なくとも一部を放出する。図示した実施形態において、カプセルは概して球状であり、液体風味剤を含む実質的に連続した外側シェルを有する。
【0126】
図6bの実施形態において、フィルターセグメント601は、フィルター材料603のプラグと、フィルター1050の長軸方向軸に平行にフィルター材料603のプラグを通して軸方向に延在する中央風味支持スレッド607とを備える。中央風味支持スレッド607は、中央風味支持スレッド607の端部がフィルターセグメント601の端部において見えるように、フィルター材料603のプラグと実質的に同じ長さである。
図6bにおいて、フィルター材料603は、セルロースアセテートトウである。中央風味支持スレッド607は、ねじれたフィルタープラグラップから形成され、エアロゾル修飾剤が装填されている。
【0127】
図6cの実施形態において、フィルターセグメント601は、二つ以上のフィルター材料のプラグ603、603’を備える。フィルター材料603、603’のプラグは、エアロゾル発生物品によって提供されるエアロゾルを濾過することができるように、セルロースアセテートから形成される。ラッパー609が周りに巻かれ、フィルタープラグ603、603’を接続する。くぼみ611の内部には、外部シェルおよび内部コアを含むカプセル605があり、内部コアは液体風味剤を含む。あるいは、カプセルは
図6aの実施形態と類似している。
【0128】
図7は、ビーズ705の形態のエアロゾル修飾要素をさらに備えるエアロゾル発生基体1020の断面図である。エアロゾル発生基体1020は、たばこ粒子およびクローブ粒子を含む均質化した植物材料のシートから形成されるプラグ703を備える。ビーズ705の風味送達材料は、材料を220℃を超える温度に加熱するのに伴い放出される風味剤を組み込んでいる。したがって、風味剤は、使用中にプラグの一部が加熱されるのに伴いエアロゾル中に放出される。
【0129】
試験方法
乾燥引張強さ試験
乾燥引張強さ試験(ISO 1924-2)は、乾燥状態で調整された均質化した植物材料のシートの引張強さを測定する。引張強さは、本規格に定義される条件下で破断する前にシートが耐える単位幅当たりの最高引張り力の測定値である。
【0130】
材料および設備:
・ 万能引張/圧縮試験機、Instron 5566、またはその等価物
・ 引張ロードセル100ニュートン、Instron、またはその等価物
・ 空気圧作用グリップ2個
・ 鋼ゲージブロック:180±0.25ミリメートル長(幅:~10ミリメートル、厚さ:~3ミリメートル)
・ 二枚刃ストリップカッター、サイズ15±0.05×~250ミリメートル、Adamel Lhomargy、またはその等価物
・ 外科用メス
・ 取得用ソフトウェア、Merlin、またはその等価物を実行するコンピュータ
・ 圧縮空気
【0131】
標本の準備:
・ 試験の前に、均質化した植物材料のシートを摂氏22±2度、相対湿度60±5%で少なくとも24時間調整する。
・ ダブルブレードストリップカッターで、機械方向または交差方向にサンプルを以下の寸法:~250×15±0.1ミリメートルに切断する。試験片の端は、きちんと切断されなければならない。三つを越える試験用標本を同時に切断しないこと。
【0132】
計器のセットアップ:
・ 引張ロードセル100ニュートンを取り付ける
・ 万能引張/圧縮試験機およびコンピュータのスイッチをオンにする
・ ソフトウェアで予め設定された測定方法を選択する(毎分8ミリメートルに設定された試験速度)
・ 引張ロードセルを較正する
・ 空気圧作用グリップを取り付ける
・ 空気圧作用グリップ間の試験距離を鋼ゲージブロックによって180±0.5ミリメートルに調節する
・ 距離および力をゼロに設定する
【0133】
試験手順:
・ 試験用標本をグリップ間にまっすぐにかつ中央に置き、試験対象の領域に指で触れないようにする。
・ 上側グリップを閉じ、紙細片を開かれた下側グリップ内につるす。
・ 力をゼロに設定する。
・ 紙細片を軽く引き下げてから、試験用標本への力を維持することで下側グリップを閉じる。開始時の力は0.05~0.20ニュートンでなければならない。
・ 測定を開始する。グリップが上方向に移動する間、試験用標本が破断するまで徐々に増大する力がかけられる。
・ 残りの試験用標本で同じ手順を繰り返す。
【0134】
注意:結果は、試験用標本がグリップから10ミリメートルを越える距離で破断した時に有効である。そうでない場合、その結果を不合格にして、追加的な測定を実施する。
【0135】
図8は、測定原理と、試験前および試験中の伸展時における関連する試験用標本の寸法を図示したものである。
【0136】
図9は、単一の試験用標本について得られた典型的な力/伸張曲線および破断時の引張強さおよび伸展を計算するための関連公式を図示したものである。
【実施例】
【0137】
実施例1
エアロゾル発生基体のプラグを含み、紙ラッパーによって囲まれた約7mmの直径を有するロッドを調製した。約12mmの長さを有するプラグは、粒子状植物材料から形成された均質化した植物材料の捲縮したシートを含む。約45mmの全長を有するロッドはまた、口側の端に、セルロースアセテートフィルター(約7mmの長さ)、次にポリ乳酸の捲縮したシート(約18mmの長さ)、次にエアロゾル発生基体のプラグに隣接した中空のアセテートチューブ(約8mmの長さ)を含む。
【0138】
水性スラリーを、表1に従い以下の含有量で調製した。すべてのサンプル中の粒子状植物材料は、均質化した植物材料の乾燥重量の76.1%を占め、グリセリン、グアーガム、およびセルロース繊維は、均質化した植物材料の乾燥重量の残りの23.9%を占める。以下の表において、%DWBは、「乾燥重量基準」を指し、この場合、均質化した植物材料の乾燥重量に対して計算された重量パーセントである。粒子状植物材料のD90は、120μmであった。
表1.スラリーの乾燥含有量
【表1】
【0139】
この実施例では、2種類のたばこ、カストリおよび火力乾燥たばこをそれぞれ使用した。クローブ粉末は、約110mg/gのオイゲノール含有量を有する。スラリーをキャスティングバー(0.6mm)を使用してガラス板上にキャストし、オーブンで7分間140℃で乾燥させ、次いで第二のオーブンで30秒間120℃で乾燥させた。
【0140】
均質化した植物材料の単一の連続的なシートから各プラグを生成したが、シートはそれぞれ100mm~125mmの幅を有する。個々のシートは、約220μmの厚さおよび約200g/m2の坪量を有した。各シートの切断幅を、各シートの厚さに基づいて適合させ、匹敵する容積のロッドを製造した。シートを165μm~170μmの高さに捲縮し、12mmの長さおよび6.9mm~7.2mmの直径を有するプラグへと丸め、紙ラッパーで取り囲んだ。プラグを、口側の端から中空のアセテートチューブの隣にある予め組み立てられたロッドの中にさらに手動で挿入した。一般的なチッピングペーパーを適用した。
【0141】
エアロゾル発生物品を、市販のPhilip Morris International製のiQOS(登録商標)加熱非燃焼式装置を使用してクレテック紙巻たばこを喫煙した経験のある製品開発者によって試験した。感覚評価の結果を以下の表2に示す。
表2.感覚評価
【表2】
【0142】
乾燥重量基準約30%のクローブの包含が両パネリストによって好まれ、サンプルAの約23%では不十分なクローブ芳香をもたらすことが分かった。基体中の乾燥重量基準約30%のクローブは、粒子状植物材料中の約40重量%のクローブに相当し、粒子状植物材料は、クローブ粉末およびたばこ粉末を含有している。
【0143】
表2の感覚評価からの結果は、均質化した植物材料のシートにクローブ粒子を含めることは、従来のクレテック紙巻たばこの感覚的体験に近い感覚的体験を可能にすることを示す。
【0144】
実施例2
エアロゾル発生基体のプラグを含み、紙ラッパーによって囲まれた約7mmの直径を有するロッドを、実施例1に記載されるように調製した。約12mmの長さを有するプラグは、粒子状植物材料から形成された均質化した植物材料の捲縮したシートを含む。約45mmの全長を有するロッドはまた、口側の端に、セルロースアセテートフィルター(約7mmの長さ)、次にポリ乳酸の捲縮したシート(約18mmの長さ)、次にエアロゾル発生基体のプラグに隣接した中空のアセテートチューブ(約8mmの長さ)を含む。
【0145】
比較サンプルEは、均質化したたばこ材料の連続的なシートから生成される対照プラグであり、クローブを含有しない。このシートは、水性スラリー(25%乾燥重量)からキャスティングプロセスによって生成され、シートは、132mmの幅、215μmの厚さ、202g/m2の坪量および11~12%の含水量を有する。連続的なシートは、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、乾燥重量基準約76.1%のたばこ材料、乾燥重量基準17.7%のグリセリン、乾燥重量基準2.3%のグアーガム、および乾燥重量基準3.9%のセルロースを含む。たばこ粉末は、乾燥重量基準で3.8%のニコチン含有量を有する、66.6重量%の火力乾燥たばこおよび33.3重量%のインドネシアカストリたばこから成るブレンドであった。
【0146】
混合物を、乾燥重量基準45%のたばこ粉末および乾燥重量基準30%のクローブ粉末(両方とも均質化した植物材料の乾燥重量に基づく)を使用して調製した。たばこ粒子のD95値は55μm、クローブ粒子のD90値は60μmであった。混合物をキャスティングプロセスにおいて使用して、均質化した植物材料の連続的なシートを生成し、サンプルFのロッドを生成した。たばこ粉末は、比較サンプルEと同じたばこブレンドおよびニコチン含量を有した。連続的なシートはまた、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、乾燥重量基準で約17.7%のグリセリン、乾燥重量基準で2.3%のグアーガム、および乾燥重量基準で3.9%のセルロース繊維を含んだ。連続的なシートは、水性スラリーからキャスティングプロセスによって生成され、シートは、125mmの幅および270μmの厚さを有する。シートの厚さの増加により、比較サンプルEの対照プラグと同様の体積を達成するために、シートの幅を縮小した。
【0147】
エアロゾル発生物品を、市販のPhilip Morris International製のiQOS(登録商標)加熱非燃焼式装置を使用して試験した。
【0148】
比較サンプルEおよびサンプルFのエアロゾル発生物品の5回の吸煙群別のエアロゾルにおける様々な化合物の含有量を、吸煙容積55ml、吸煙持続時間2秒、および吸煙間隔30秒による30回の吸煙にわたるカナダ保健省の機械喫煙レジメン下で測定する。ISO/TR 19478を参照のこと。吸入回数5回群のそれぞれが、Cambridgeフィルターパッドで収集され、その後、液体溶剤を用いて抽出した。その結果得られた液体がガスクロマトグラフィーで分析され、エアロゾル含有量が決定される。3回反復し、各値について標準偏差が報告された。結果は表3に示した。
表3.エアロゾル中の様々な化合物の含有量
【表3】
【0149】
表3に示されるように、クローブ粉末を含有するサンプルFによって生成されるエアロゾルは、同じたばこブレンドを使用するがクローブを添加することなく生成された比較サンプルEにおけるエアロゾルのレベルと比較して、アクリルアミド、カテコール、ヒドロキノン、イソプレン、フェノール、およびアセトアルデヒドのレベルの減少をもたらす。このフェノールおよびカテコールの観察された減少は、従来の紙巻たばこのエアロゾルの化学的性質と、31~33重量%のクローブを含有するクレテック紙巻たばこのエアロゾルの化学的性質を比較する従来の研究が、クローブ含有紙巻たばこにおけるこれらの化合物のレベルが高いことを見出しているため、特に予想外である(Piade et al.,Regul.Toxicol.Pharmacol.2014,70 S15-S25)。
【0150】
実施例3
比較例
以下の組成物を用いて従来のキャストリーフプロセスによって均質化した粒子状たばこシートが調製された:
粒子状たばこ材料としての100重量%の粒子状植物材料。
【0151】
基体の乾燥重量に基づいて、76.1重量%のたばこ粒子、2.3重量%のグアーガム、17.7重量%のグリセリン、および3.9重量%のセルロース繊維。
【0152】
乾燥たばこ材料を乾燥粉砕およびスクリーニングする粉砕機に供給し、その後たばこスラリーを形成するために高剪断混練機内でグアールを結合剤として含む水性媒体と接触した。次にたばこスラリーは移動式のエンドレスベルト上に置かれた。キャストスラリーはその後乾燥アセンブリを通過し、キャストリーフシートを形成するために水分を除去した。最後に、ドクターブレードを用いてシートをベルトから取り外した。
【0153】
得られた100%たばこのキャストリーフシートは、以下の表4のサンプル番号1に示す特性を有した。
実施例
【0154】
均質化した粒子状植物材料シートを、本発明によるキャストリーフプロセスに従って、クローブ粒子またはクローブ粒子およびたばこ粒子から調製した。サンプルは以下の組成物を有した:
基体の乾燥重量に基づいて、76.1重量%の粒子状植物材料、2.3重量%のグアーガム、17.7重量%のグリセリン、および3.9重量%のセルロース系繊維。
【0155】
粒子状植物材料の乾燥重量に基づく、クローブ粒子の重量パーセントを以下の表4に示す。粒子状植物材料の重量の残りは、粒子状たばこの異なるブレンドで構成された。
【0156】
粒子状植物材料を粒子へと乾燥粉砕およびスクリーニングする粉砕機に供給し、その後スラリーを形成するために高剪断混練機内でグアールを結合剤として含む水性媒体と接触した。次にスラリーは移動式のエンドレスベルト上に置かれた。キャストスラリーはその後乾燥アセンブリを通過し、シートを形成するために水分を除去した。最後に、ドクターブレードを用いてシートをベルトから取り外した。
【0157】
得られたシートは、表4のサンプル番号2~8に示す特性を有していた。引張強さ値(すなわち、両方向のFmaxおよびΔl)を正規化するために、実際の引張強さ値および対応する厚さを使用して、215マイクロメートルの厚さのシートの引張強さ値を計算する。以下の式が使用される:
正規化された値=実数値*215/実際の厚さ
表4.シートの物理的特性
【表4】
【0158】
サンプル2に列挙された値は、二つのクローブ100%のサンプルから得られた値の平均である。
【0159】
表4で、「MD」とは機械方向、すなわち、シート材料がボビン上に巻かれる、またはボビンから巻き出されて機械に供給される方向を指し、「CD]とは交差方向、機械方向に直角を成す方向を指す。
図8および
図9を参照のこと。
【0160】
表4から、本明細書に記載のクローブ粒子を含む均質化したシートは、同等の密度100%のたばこキャストリーフシートよりも高い、交差方向および機械方向の両方のピークで引張強さを呈することが分かる。
【0161】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を示し、説明したが、当業者には、多数の変形および代替的な実施形態が生じるであろう。こうした変形および代替的な実施形態が企図されており、本発明の範囲から逸脱することなくなすことができる。