(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】電極アセンブリ及び電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240313BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240313BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/494 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240313BHJP
H01M 50/595 20210101ALI20240313BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/474
H01M50/494
H01M50/489
H01M50/531
H01M50/543
H01M50/586
H01M50/595
(21)【出願番号】P 2021517412
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2020091385
(87)【国際公開番号】W WO2021232313
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 攀
(72)【発明者】
【氏名】陳 暁
(72)【発明者】
【氏名】劉 慧君
(72)【発明者】
【氏名】石 長川
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109755461(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109461879(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0229361(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083311(US,A1)
【文献】中国実用新案第206697567(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0044274(US,A1)
【文献】特開2010-212086(JP,A)
【文献】特開2018-170162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0587
H01M 50/474-50/494
H01M 50/531
H01M 50/543
H01M 50/586
H01M 50/595
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータとを含み、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される電極アセンブリであって、
前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置し、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆し、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1集電体の前記第2電極シートと後ろ向きの面には、前記第1活性物質層がコーティングされていなく、
前記電極アセンブリは、第1接着部材をさらに含み、前記第1接着部材は、前記電極アセンブリの外面に設けられ、
前記電極アセンブリは、第2接着部材をさらに含み、前記第1接着部材は、前記第2接着部材に接続され、前記第2接着部材は、前記第1電極シートの巻き終わり端に接続され、且つ前記電極アセンブリの外面の一部を被覆し、前記電極アセンブリの外面のうち、前記第2接着部材が貼り付けられていない領域は、前記第1接着部材によって覆われ
ることを特徴とする電極アセンブリ。
【請求項2】
前記第1接着部材は、スポットコーティング
またはコーティング
の方法によって電極アセンブリの外面に配置された半液体の粘性材料であることを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
前記第1接着部材の厚さは、20μmよりも小さいか若しくはそれに等しいことを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
第2接着部材の厚さは15μm~25μmであることを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
第2電極シートの巻き終わり端は、巻取方向に沿って、前記第1電極シートの巻き終わり端から張り出していることを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記セパレータの巻き終わり端は、巻取方向に沿って、前記第2電極シートの巻き終わり端から張り出していることを特徴とする請求項5に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記電極アセンブリは、前記第1電極シートに接続される第1タブと、前記第2電極シートに接続される第2タブと、をさらに含み、前記電極アセンブリの厚さ方向に沿って、前記第1タブと前記第2タブとの投影は重なり合わないことを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第1電極シートの巻き始め端には、第1裸箔領域が設けられ、前記第2電極シートの巻き始め端には、第2裸箔領域が設けられ、前記第1タブは、前記第1裸箔領域に設けられ、前記第2タブは、前記第2裸箔領域に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域に設けられ、且つ前記第1タブを被覆する第1絶縁部材を含むことを特徴とする請求項8に記載の電極アセンブリ。
【請求項10】
前記第1接着部材の接着力は100~1000N/mであり、引張破壊応力は4000N/mよりも小さいか若しくはそれに等しいことを特徴とする請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
電極アセンブリと、包装体と、を備える電池であって、
前記電極アセンブリは、請求項1~10の何れか一項に記載の電極アセンブリであり、且つ前記包装体の中に収容されており、前記電極アセンブリのタブは、前記包装体から張り出していることを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の分野に関し、特に、電極アセンブリと当該電極アセンブリを備える電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、巻回式電池の巻き終わり端において、電池セルの外層の電極シートのテール部には裸アルミ箔が一部存在(両面ともに活性物質コーティング層がない)する。また、電池セルは、一般的にアルミニウムプラスチックフィルムを用いて密封包装されており、電池セルと電池セルを密封する包装体との間には隙間がある。このような電池セルが重いものからの衝撃を受けた時に、アルミニウムプラスチックフィルムからなる包装体が一般的に良好な延性を有するため、破断したり、完全に破断したりはしないが、電池セル自身が破裂することがあり、破砕された屑、特に外輪の裸アルミ箔から発生する砕片が包装体に縛られて、電池セルの破砕した電極シートと接触して、短絡や発熱、ひいては爆発などの事故を起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
このような状況に鑑みて、外層には裸アルミ箔がなく、且つ安全性能が良好である電極アセンブリ、及びこの電極アセンブリを備えた電池が求められている。
【0004】
本願実施例に係る電極アセンブリは、第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータと、を含み、前記電極アセンブリは、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される。前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置する。前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆し、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1集電体の前記第2電極シートと後ろ向きの面には、前記第1活性物質層がコーティングされていない。前記電極アセンブリは、第1接着部材をさらに含み、前記第1接着部材は、前記電極アセンブリの外面に設けられている。
【0005】
一態様によると、前記第1接着部材は、スポットコーティング、コーティングなどの方法によって電極アセンブリの外面に配置された半液体の粘性材料である。
【0006】
一態様によると、前記第1接着部材の厚さは、20μmよりも小さいか若しくはそれに等しい。
【0007】
一態様によると、前記電極アセンブリは、第2接着部材をさらに含み、前記第1接着部材は、前記第2接着部材に接続され、前記第2接着部材は、前記第1電極シートの巻き終わり端に接続され、且つ前記電極アセンブリの外面の一部を被覆する。
【0008】
さらに、第2接着部材の厚さは15μm~25μmである。
【0009】
一態様によると、第2電極シートの巻き終わり端は、巻取方向に沿って、前記第1電極シートの巻き終わり端から張り出している。
【0010】
さらに、前記セパレータの巻き終わり端は、巻取方向に沿って、前記第2電極シートの巻き終わり端から張り出している。
【0011】
一態様によると、前記電極アセンブリは、前記第1電極シートに接続される第1タブと、前記第2電極シートに接続される第2タブと、をさらに含み、前記電極アセンブリの厚さ方向に沿って、前記第1タブと前記第2タブとの投影は重なり合わない。
【0012】
さらに、前記第1電極シートの巻き始め端には、第1裸箔領域が設けられ、前記第2電極シートの巻き始め端には、第2裸箔領域が設けられ、前記第1タブは、前記第1裸箔領域に設けられ、前記第2タブは、前記第2裸箔領域に設けられている。
【0013】
さらに、前記電極アセンブリは、前記第1裸箔領域に設けられ、且つ前記第1タブを被覆する第1絶縁部材を含む。
【0014】
一態様によると、前記第1接着部材の接着力は100~1000N/mであり、引張破壊応力は4000N/mよりも小さいか若しくはそれに等しい。
【0015】
また、本願の実施例に係る電池は、電極アセンブリと、包装体と、を備え、前記電極アセンブリは、上記の何れかの態様に記載の電極アセンブリであり、且つ前記包装体の中に収容されており、前記電極アセンブリのタブは、前記包装体から張り出している。
【発明の効果】
【0016】
上記の電極アセンブリは、第1裁断部をテール部とし、電極アセンブリの最外周の電極シートに裸アルミ箔を設けないことによって、単一の電池セルのアルミ箔の消耗材を節約し、アルミの砕屑が発生する可能性が大幅に減少させ、これにより、砕屑による危険な短絡が大量に除去され、電池セルの発火や爆発の危険性が回避され、極端な使用場面での電池セルの安全性能が向上する。また、電極アセンブリの表面には、第1接着部材がさらに設けられており、電極アセンブリが包装体に収容された場合には、第1接着部材が電極アセンブリの外面と包装体とを接着することなる。落下、衝撃などの外力を受けると、電極アセンブリは包装体と密接しており、両者の間に相対的な変位がなく、せん断破壊を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
【
図2】一実施例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
【
図3】一実施例における電極アセンブリの構造概略図である。
【
図4】一比較例における第1電極シートの展開構造を示す概略図である。
【
図5】一実施例における第1電極シートの展開構造を示す図である。
【
図6】一比較例における第1電極シートの展開構造を示す図である。
【
図7】一実施例における第1電極シートの展開構造を示す図である。
【
図8】一比較例における電極アセンブリの巻取構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願実施例における図面を合わせて、本願実施例における技術案を明確且つ全体的に説明するが、ここで述べる実施例は、あらゆる実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことが明らかである。本願の実施例に基づき、創造的な労働なしに当業者に得られるあらゆる他の実施例についても、本願の保護範囲内に属される。
【0019】
ある要素がもう1つの要素に「固定された」と称される場合、それは直接に前記もう1つの要素に存在してもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に固定されてもよい。1つの要素がもう1つの要素に「接続される」と考えられる場合、それは前記もう1つの要素に直接に接続されてもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に接続されてもよい。ある要素がもう1つの要素に「設けられる」と考えられる場合、それは前記もう1つの要素に直接に設けられてもよく、又は他の要素を介して前記もう1つの要素に設けられてもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及び類似する表現は、説明の目的だけに使用される。
【0020】
別段の定義がない限り、本文で使用するすべての技術及び科学的用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同様である。本願明細書において使用する用語は、具体的な実施例を説明する目的に過ぎず、本願を限定する旨ではない。本明細書で使用される用語「又は/及び」は、1つ又は複数の関連する項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0021】
本願実施例に係る電極アセンブリは、第1電極シートと、極性が前記第1電極シートと逆である第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に配置されたセパレータと、を含み、前記電極アセンブリは、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートが巻回することにより形成される。前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の表面に設けられた第1活性物質層とを含み、前記第1電極シートの巻き終わり端は、前記第2電極シートの巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置し、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1活性物質層は、前記第1集電体の前記第2電極シートに向かう側の表面を被覆し、前記第1電極シートの巻き終わり端における前記第1集電体の前記第2電極シートとは後ろ向きの面には、前記第1活性物質層がコーティングされていない。前記電極アセンブリは、第1接着部材をさらに含み、前記第1接着部材は、前記電極アセンブリの外面に設けられている。
【0022】
上記の電極アセンブリは、第1電極シートの巻き終わり端をテール部とし、電極アセンブリの最外周の電極シートに裸アルミ箔を設けないことによって、単一の電池セルのアルミ箔の消耗材を節約し、アルミの砕屑が発生する可能性を大幅に減少させ、これにより、砕屑による危険な短絡が大量に除去され、電池セルの発火や爆発の危険性が回避され、極端な使用場面での電池セルの安全性能が向上する。また、電極アセンブリの表面には、第1接着部材がさらに設けられており、電極アセンブリが包装体に収容された場合には、第1接着部材は電極アセンブリの外面と包装体とを接着することができる。落下、衝撃などの外力を受けると、電極アセンブリと包装体とは密接しており、両者の間に相対的な変位がなく、せん断破壊を低減することができる。
【0023】
本願のいくつかの実施例を詳細に説明する。衝突しない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。
【0024】
図1に示すように、本願の一実施例において、電極アセンブリ100は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、セパレータ30とを含む。第1電極シート10と第2電極シート20との極性は、逆である。セパレータ30は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に設けられる。電極アセンブリ100は、第1電極シート10とセパレータ30と第2電極シート20とが1つの巻針をめぐって巻き取られることによって、形成される。巻き取り過程が完了したら、電極アセンブリ100の中から巻針を取り出す。
【0025】
第1電極シート10は、第1集電体11と、第1集電体11の表面に設けられた第1活性物質層12とを含み、第1電極シート10の巻き終わり端は、第2電極シート20の巻き終わり端の巻芯から遠く離れた外側に位置している。
【0026】
本願の実施例では、第1電極シート10はカソードシートであり、第1集電体11はアルミ箔層を選択して使用し、第1活性物質層12はカソード活性物質層であり、LiCoO2、LiFePO4などのリチウムイオンの離脱または吸蔵が可能な電気化学的活性物質を選択することができる。第2電極シート20は、アノードシートであって、第2集電体21と、第2活性物質層22とを含む。第2集電体は、銅箔層であり、第2活性物質層22は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、Li4Ti5012などのリチウムイオンを吸蔵可能な電気化学的活性物質を選択することができる。
【0027】
第1電極シート10の巻き終わり端13は、電極アセンブリ100の最外層の電極シートであり、第1電極シート10の巻き終わり端13における第1活性物質層12は、第1集電体11の第2電極シート20に向かう表面を被覆し、第1電極シート10の巻き終わり端13における第1集電体11の第2電極シート20とは後ろ向きの面には、前記第1活性物質層12がコーティングされていない。
【0028】
電極アセンブリ100は、第1接着部材41と、第2接着部材42とをさらに含む。第1接着部材41は、電極アセンブリ100の外面に設けられて、電極アセンブリ100と包装体との間の組立隙間を小さくし又は除去するように、電極アセンブリ100と包装体とを接着する。第2接着部材42は、第1電極シート10の巻き終わり端に接続され、且つ電極アセンブリ100の外面の一部を被覆している。
【0029】
本願の実施例において、前記第1接着部材41は、スポットコーティング、コーティングなどの方法によって電極アセンブリ100の外面に配置された半液体の粘性材料である。電池が落下、衝撃などの外力を受けると、電極アセンブリ100は外部の包装体と密接しており、両者の間に相対的な変位がなく、せん断破壊が低減される。第1接着部材41は、ホットメルト層であってもよく、材料がゴム系接着剤、アクリル系粘着剤等であってもよく、一定の圧力(≦3MPa)と温度(≦120℃)の条件下で、粘りが出て、電極アセンブリ100の外面と包装袋とを強固に接着することができる。第1接着部材41の厚さが≦20μmであり、接着力が100~1000N/mであり、引張破断応力が≦4000N/mである。
【0030】
一態様において、第2接着部材42は、ホットメルト又は絶縁テープであり、厚さが15μm~25μmの極薄ホットメルトであることが好ましく、材料がゴム系接着剤であり、PETと併用することができる。第2接着部材42は、一定の圧力(≦3MPa)と温度(≦120℃)の条件下で、粘性を発生させることができる。つまり、第2接着部材42の熱溶融温度は120℃よりも小さいか若しくはそれに等しく、熱接着圧力は3MPaよりも小さいか若しくはそれに等しい。
【0031】
図1に示すように、電極アセンブリ100の外面は、第1平面101、第2平面102、第1弧面103及び第2弧面104を含む。電極アセンブリ100の厚さ方向(
図1の矢印Aで示す方向)に沿って、第1平面101と第2平面102とが対向して配置され、電極アセンブリ100の幅方向(
図1の矢印Bで示す方向)に沿って、第1弧面103と第2弧面104が対向して配置される。また、第1弧面103と第2弧面104は、第1平面101と第2平面102との間に接続されている。
【0032】
第1電極シート10の巻き終わり端13は、第1平面101と第1弧面103との境目に略位置している。第2接着部材42は、第1電極シート10の巻き終わり端に接続され、且つ第1弧面103に貼り付けられて、第2接着部材42が電極アセンブリ100の厚さを増加させないようにする。第1接着部材41は、第2接着部材42に接続されており、且つ第1平面101、第2平面102及び第2弧面104を被覆している。言い換えれば、電極アセンブリ100の外面における第2接着部材42が貼付されていない領域は、第1接着部材41により被覆される。他の実施例において、第1タブの巻き終わり端は、第1平面101または第2平面102に位置していてもよく、これに応じて、接着部材40も、第1平面101または第2平面102に貼り付けられている。
【0033】
さらに、第2電極シート20の端部がリチウムを析出することによるバリがセパレータ30を突き抜けて、第1電極シート10と接触して短絡を引き起こすことを回避するために、第2電極シート20の巻き終わり端が電極シートの巻取方向に沿って第1電極シート10の巻き終わり端13から張り出しており、張り出した長さL1が2mmより大きいか若しくは2mmに等しい。セパレータ30の巻き終わり端31は、巻取方向に沿って第2電極シート20の巻き終わり端から張り出しており、且つ第2接着部材42の内面に貼り付けられる。セパレータ30の巻き終わり端31の長さL2は、4mmより大きいか若しくは4mmに等しい。第2電極シート20の巻き終わり端は、セパレータ30の巻き終わり端31により被覆され、これにより、第2電極シート20の巻き終わり端を保護して絶縁させる。
【0034】
図1及び
図3に示すように、電極アセンブリ100は、第1電極シート10に接続される第1タブ50と、第2電極シート20に接続される第2タブ60とをさらに備える。電極アセンブリ100の厚さ方向に沿って、第1タブ50と第2タブ60との投影は重ならず、電極アセンブリ100の長手方向(
図3の矢印Cで示す方向)に沿って、第1タブ50と第2タブ60は、電極アセンブリ100の同一端から張り出している。他の実施例では、第1タブ50と第2タブ60は、電極アセンブリ100の異なる端から張り出してもよく、本願はこれに限定されない。
【0035】
さらに、第1電極シート10の巻き始め端には、第1裸箔領域14が設けられ、第2電極シート20の巻き始め端には、第2裸箔領域23が設けられている。第1タブ50は、第1裸箔領域14に設けられ、第2タブ60は、第2裸箔領域23に設けられている。電極アセンブリ100は、第1絶縁部材70を含む。第1絶縁部材70は、第1裸箔領域14に設けられ且つ第1タブ50を被覆し、第1タブ50でのバリがセパレータ30を突き抜けて第2電極シート20と接触して短絡することを防止する。一実施例では、第1絶縁部材70は、絶縁テープであり、第1タブ50から第1活性物質層12の開始端まで延伸し、第1裸箔領域14の全体をほぼ覆いかぶさって、第1裸箔領域14を効果的に保護し、割れや短絡等が生じないようにする。
【0036】
一実施例では、第2裸箔領域23が第1裸箔領域14から延出し、第2タブ60が第2裸箔領域23における第1裸箔領域14から延出する領域に設けられており、第2タブ60でのバリがセパレータ30を突き抜けても、第2タブ60が第2電極シート20に接触し、第1電極シート10に接触することで短絡が生じることは防止される。また、電極アセンブリ100は、第2絶縁部材80を含み、第2絶縁部材80は、第1裸箔領域14の端部を被覆し、第1裸箔領域14の端部でのバリがセパレータ膜30を突き抜けて第2電極シート20に接触することを回避する。
【0037】
図2に示すように、本願の一実施例では、第1タブ50は、第1集電体11における第1活性物質層12がコーティングされている領域に設けられ、第2タブ60は、第2集電体21における第2活性物質層22がコーティングされている領域に設けられている。第1タブ50及び第2タブ60には、短絡の問題を回避するために第1絶縁部材70が設けられている。第1タブ50と第1集電体11とを接続する際には、第1集電体11の一部が第1活性物質層12から露出するように、一部の第1活性物質層12を先に取り除く必要がある。その後、露出した部分の第1集電体11に第1タブ50が溶接される。第2タブ60と第2集電体21との接続形態は同様であり、ここでは説明を省略する。他の実施例では、第1タブ50と第2タブ60とは、一方が電極アセンブリ100の巻芯における裸箔領域に設けられ、他方が電極シートの他の位置に設けられていてもよく、本願はこれに限定されない。
【0038】
図4及び
図5に示すように、図面の破線で示す位置は、隣接する2つの第1電極シート10の製造工程における裁断位置である。第1タブ50が第1裸箔領域14に設けられる場合、比較例の電極アセンブリの最外周には1段の裸アルミ箔が設けられるため、
図4に示される比較例における裸アルミ箔領域の長さL3は、
図5に示される本願の実施例における裸アルミ箔領域の長さL4よりも明らかに長い。本願実施例における裸アルミ箔領域の長さL4は、電極アセンブリ100の巻き始め端のパラメータ条件を満たすだけでよい。これにより、アルミ箔の消耗材を節約した上に、最外周の裸アルミ箔も除去し、極端な破壊の場合、アルミ屑が発生する可能性が大幅に減少し、これによって、砕屑による危険な短絡が大量に解消され、電極アセンブリ100が発火して爆発する危険性を回避し、極端な使用を受けた場合の安全性能を向上させる。
【0039】
なお、
図6及び
図7に示すように、第1集電体11における第1活性物質層12がコーティングされている領域に第1タブ50が設けられる場合、比較例の電極アセンブリの最外周には一段の裸アルミ箔が設けられているため、
図6に示された比較例においては、隣り合う2枚の第1電極シート10の間には第1電極シート10の巻き終わり端13とする片面領域と、一段の裸アルミ箔とが存在している。これに対して、
図7に示される本願の実施例においては、隣り合う2枚の第1電極シート10の間の裸アルミ箔が除去され、一段の片面領域(第1電極シート10の巻き終わり端13)しか残っていなく、これにより、第1集電体11の下面の第1活性物質層12が連続的に存在し、第1電極シート10の製造過程を簡略化することができ、生産性の向上に役立つ。
【0040】
また、
図8に示すように、一比較例において、電極アセンブリの外層テール部には裸アルミ箔105(両面ともに活性物質コーティング層がなし)が一部存在し、そして、テール部の裸アルミ箔とそのテール部のコートエッジには絶縁テープ106が一層貼り付けられている。裸アルミ箔105及び絶縁テープ106は、いずれも電極アセンブリの第1平面101又は第2平面102に位置している。
【0041】
比較例と本願実施例の電極アセンブリ100に対する衝突試験の具体的内容は、次の通りである。フル充電された電極アセンブリを平面鉄板上に載置し、直径φ15.8±0.1mm、長さが少なくとも6cmである丸棒を試料(タブ位置)に垂直にさせて、9.1±0.1Kgの重いハンマーで、丸棒と試料とが交差する箇所から61±2.5cm、垂直自由状態で落下させて、電極アセンブリの通過率を比較した。判定基準で試験を完了すると、電極アセンブリは発火せず、爆発しない。
【0042】
比較例と本願実施例の電極アセンブリ100についての衝撃試験データを、下記の表に示す。
【0043】
【0044】
比較例と本願実施例の電極アセンブリ100に対する落下試験の具体的内容は、次の通りである。電極アセンブリを半充電して、専用の治具に入れて適宜に固定し、その後、治具を1m箇所に置いて落下試験を行い、六面四隅が1回落下して1ラウンドとなり、全部で4ラウンド落下して、電池セルの通過率を比較する。試験が完了した後、トップシールが突き飛ばされ、液が漏れ、24h圧力降下>30mV、アルミ箔が破れる。
【0045】
第1グループの試験における電極アセンブリの厚みは3mm(11層巻回される)であり、試験結果は以下の表に示す。
【0046】
【0047】
第2グループの試験における電極アセンブリの厚みは5mm(19層巻回される)であり、試験結果は以下の表に示す。
【0048】
【0049】
図4~
図8と上記の表で示されたデータとから分かるように、本願の実施例は、比較例と比べて、電極アセンブリ100の最外周には裸アルミ箔が設けられていなく、アルミの砕屑が発生する可能性を大幅に減少させ、これにより、砕屑による危険な短絡が大量に除去され、電極アセンブリ100の発火や爆発の危険性が回避され、極端な使用場面での電極アセンブリ100の安全性能が向上する。また、電極アセンブリ100の外面に設けられた第1接着部材41は電極アセンブリ100と外部の包装体とを緊密に接着し、両者の間に相対的な変位がなく、せん断破壊が減少された。
【0050】
図9に示すように、本願の実施例は、包装体201と、上記の実施例に記載した電極アセンブリ100とを備える電池200をさらに開示した。電極アセンブリ100は、包装体201の中に収容される。電極アセンブリ100のタブは、包装体201から張り出している。
【0051】
以上の実施例は、本出願の技術的な態様を説明するのみ用いられるものであり、限定するものではない。以上のより良い実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者が本出願の技術的な態様を修正または同等に置換しても本出願の技術案の精神及び範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0052】
100 電極アセンブリ
101 第1平面
102 第2平面
103 第1弧面
104 第2弧面
105 裸アルミ箔
106 絶縁テープ
10 第1電極シート
11 第1集電体
12 第1活性物質層
13 巻き終わり端
14 第1裸箔領域
20 第2電極シート
21 第2集電体
22 第2活性物質層
23 第2裸箔領域
30 セパレータ
31 巻き終わり端
41 第1接着部材
42 第2接着部材
50 第1タブ
60 第2タブ
70 第1絶縁部材
80 第2絶縁部材
200 電池
201 包装体