(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】外科的トレンデレンブルグ体位のための患者固定システム
(51)【国際特許分類】
A61G 13/04 20060101AFI20240313BHJP
A61G 13/12 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61G13/04
A61G13/12 A
(21)【出願番号】P 2021554371
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020023021
(87)【国際公開番号】W WO2020197835
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-11-08
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509238454
【氏名又は名称】オーガスティン バイオメディカル アンド デザイン,リミティド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】スコット ディー.オーガスティン
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0279007(US,A1)
【文献】特開2018-157923(JP,A)
【文献】特表2004-511363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140493(US,A1)
【文献】特開2001-248060(JP,A)
【文献】特表2019-514464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、手術台
マットレスまたはアンダーボディサポートへの固定部を有する患者固定オーバーレイであって、
手術台上で患者の胴体を支持するように構成されている布のシートを備え、
前記布のシートが、前記患者に面するように構成されている上面、および前記手術台マットレスまたはアンダーボディサポートに面するように構成されている下面を有し、
前記布のシートが、前記上面の少なくとも一部分に適用される摩擦増強要素を含み、
前記布のシートが、前記布のシートの足端部を前記手術台マットレスまたはアンダーボディサポートに固定するための、前記手術台マットレスまたはアンダーボディサポートの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、前記布のシートの前記足端部における延長部を含み、
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、前記布のシートと
、前記手術台マットレス
の下側または
前記アンダーボディサポートの下側のいずれかとの間の摩擦結合を改善する1つ以上の摩擦増強要素を含み、
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、
前記延長部以外の前記布のシートよりも
幅が狭く、
前記手術台がトレンデレンブルグ体位にあるときに、前記延長部が延伸して、前記患者が前記手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、前記布のシートの前記足端部における前記布のシートの前記延長部が、前記手術台マットレスまたは前記アンダーボディサポートの会陰切り欠きに対して固着する、患者固定オーバーレイ。
【請求項2】
前記布のシートと
、前記手術台マットレス
の下側または
前記アンダーボディサポートの
下側のいずれかとの間の前記摩擦結合を改善する前記1つ以上の摩擦増強要素が、前記布のシートに適用された接着剤を含む、請求項1に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項3】
前記布のシートと
、前記手術台マットレス
の下側または
前記アンダーボディサポートの
下側のいずれかとの間の前記摩擦結合を改善する前記1つ以上の摩擦増強要素が、三次元プラスチックまたはゴム摩擦増強要素を含む、請求項1に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項4】
前記布のシートが、前記布のシートの前記上面の少なくとも一部分を覆う発泡体材料の層に接着積層されている、請求項1に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項5】
前記布のシートが、前記布のシート上に円形、正方形、長方形、または長円形の摩擦増強要素の三次元隆起パターンを形成する、プラスチックまたはゴムの三次元摩擦増強要素のマトリックスを伴って、前記上面の少なくとも一部分上にコーティングされている、請求項1に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項6】
前記摩擦増強要素の三次元隆起パターンが、PVC発泡体、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、粘弾性高分子発泡体、ウレタン、PVC、ポリマー、またはゴムを含む、請求項5に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項7】
前記布のシートの前記上面上の前記摩擦増強要素の三次元隆起パターンによって形成された前記マトリックスが、前記布のシートに、前記摩擦増強要素の前記隆起パターンの間の領域において穴を残す、請求項5に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項8】
前記手術台マットレスまたはアンダーボディサポートが加熱され、
熱が、前記加熱された手術台マットレスまたはアンダーボディサポートから、前記布のシートの前記穴を通して前記患者に伝達される、請求項7に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項9】
トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、非加熱のアンダーボディサポートへの固定部を有する患者固定オーバーレイであって、
手術台上で患者の胴体を支持するように構成されている布のシート
、を備え、
前記布のシートが、前記患者に面するように構成されている上面、および前記非加熱のアンダーボディサポートに面するように構成されている下面を有し、
前記布のシートが、前記上面の少なくとも一部分に適用される摩擦増強要素を含み、
前記布のシートが、前記非加熱のアンダーボディサポートに前記布のシートの
足端部を固定するための、前記非加熱のアンダーボディサポートの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、前記布のシートの前記足端部における延長部を含み、
前記足端部における前記延長部が、プラスチック、金属、または繊維板を含む材料の平面状のシートを備える固着部を含み、
前記固着部が、前記非加熱のアンダーボディサポートの底部と前記非加熱
のアンダーボディサポートの前記足端部における
手術台マットレスの上部との間に取り外し可能に挿入可能であり、前記足端部固着部における前記布
のシートの前記延長部が、前記手術台が前記トレンデレンブルグ体位にあるときに、前記延長部が延伸して、前記患者が前記手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、前記非加熱のアンダーボディサポートの前記足端部に対して固着する、患者固定オーバーレイ。
【請求項10】
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、前記延長部の遠位端の近くに形成されたポーチを含み、前記ポーチが、前記固着部に適応するようにサイズ決定される、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項11】
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、接着結合、縫製、熱溶接、RF溶接、リベット、ステープル、または
面ファスナによって前記固着部に取り付けられている、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項12】
前記布のシートが、前記布のシートの前記上面の少なくとも一部分を覆う発泡体材料の層に接着積層されている、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項13】
前記布のシートが、前記布のシート上に円形、正方形、長方形、または長円形の摩擦増強要素の三次元隆起パターンを形成する、プラスチックまたはゴムの三次元摩擦増強要素のマトリックスを伴って、前記上面の少なくとも一部分にコーティングされている、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項14】
前記摩擦増強要素の三次元隆起パターンが、ポリマー、ゴム、PVC発泡体、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、粘弾性高分子発泡体、ウレタン、またはPVCを含む、請求項13に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項15】
前記布のシートの前記上面上の前記摩擦増強要素の三次元隆起パターンが、前記布のシートに、前記摩擦増強要素の前記隆起パターンの間の領域において穴を残すマトリックスを形成する、請求項13に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項16】
前記布のシートの前記足端部における前記布のシートの前記延長部の幅が、前記非加熱のアンダーボディサポートの会陰切り欠きの閉じた側とほぼ同じ幅である、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項17】
前記非加熱のアンダーボディサポートの前記足端部に対して前記布のシートを固定するように、かつ前記手術台が前記トレンデレンブルグ体位にあるときに、前記患者が前記手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、前記固着部が、前記非加熱のアンダーボディサポートの前記底部と前記非加熱
のアンダーボディサポートの前記会陰切り欠き内の前記手術台マットレスの前記上部との間に取り外し可能に挿入可能である、請求項16に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項18】
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、前記布のシートと
、手術台マットレス
の下側または前記非加熱のアンダーボディサポートの下側のいずれかまたは両方との間の摩擦結合を改善する三次元プラスチックまたはゴム摩擦増強要素を備える1つ以上の要素を含む、請求項9に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項19】
トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、手術台
マットレスへの固定部を有する患者固定オーバーレイであって、
手術台上で患者の胴体を支えるように構成されている布のシートを備え、
前記布のシートが、前記患者に面するように構成されている上面、および前記手術台マットレスに面するように構成されている下面を有し、
前記布のシートが、前記上面の少なくとも一部分に適用される摩擦増強要素を含み、
前記布のシートが、前記手術台マットレスに前記布のシートの前記足端部を固定するための、前記手術台マットレスの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、前記布のシートの前記足端部における延長部を含み、
前記布のシートの前記足端部における前記延長部が、
前記延長部以外の前記布のシートよりも
幅が狭く、
前記足端部における前記延長部が、プラスチック、金属、または繊維板を含む材料の平面状のシートを備える固着部を含み、
前記固着部が、前記手術台マットレスの底部と、前記患者の胴体を支持する前記手術台マットレスの部分の前記足端部における前記手術台の上部との間に取り外し可能に挿入可能であり、前記布のシートの前記足端部における前記布
のシートの前記延長部が、前記手術台が前記トレンデレンブルグ体位にあるときに、前記延長部が延伸して、前記患者が前記手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、前記手術台マットレスの会陰切り欠きに対して固着する、患者固定オーバーレイ。
【請求項20】
前記布のシートの前記足端部と前記固着部との間の前記布のシートの前記足端部における前記延長部の長さが、前記固着部を前記延長部に巻き付け戻し、前記患者の胴体を支持する前記手術台マットレスの前記部分の前記足端部において、前記手術台マットレスの前記底部と前記手術台の前記上部との間に余分な延長部材料を巻き付けた前記固着部を挿入することにより、異なる前記手術台マットレスの厚さに適応するように調整可能に短くなるように構成されている、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項21】
前記布のシートの前記足端部と前記固着部との間の前記布のシートの前記足端部における前記延長部の長さが、異なる手術台マットレスの厚さに適応するために
調整可能に短くなるように構成されている、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項22】
前記布のシートの前記足端部と前記固着部との間の前記布のシートの前記足端部における前記延長部の長さが、異なる手術台マットレスの厚さに適応するために、スナップ、ボタン、
面ファスナ、フック、バックル、およびストラップのうちの1つ以上を含む調節可能な留め具を使用して、調節可能に短くなるように構成されている、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項23】
前記固着部が、前記延長部の遠位端の近くにポーチを形成することによって、前記布のシートの前記足端部において前記延長部に取り付けられ、前記ポーチが、前記固着部に適応するようにサイズ決定される、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項24】
前記固着部が、接着結合、縫製、熱溶接、RF溶接、リベット、ステープル、または
面ファスナによって前記布のシートの前記足端部における前記延長部に取り付けられている、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【請求項25】
前記布のシートが、前記布のシートの前記上面の少なくとも一部分を覆う発泡体材料の層に接着積層されている、請求項19に記載の患者固定オーバーレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/824,911号、および2020年2月3日に出願された米国特許出願第16/780,136号の優先権を主張するものである。各出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
手術台が急峻な頭を下げた(トレンデレンブルグ)体位になったときに、患者が手術台から滑り落ちないようにすることは、手術担当者にとって常に課題であり、患者にとって危険である。この問題は、腹腔鏡手術の出現、特にロボット手術の出現により、近年悪化している。これらの例のいずれも、患者は、規則的に急峻なトレンデレンブルグ体位に配置され、それにより、重量は、腹腔鏡の邪魔にならないように内臓を移動させることができる。頭を下げたトレンデレンブルグ体位の角度または急峻さ、患者の体重、および支持面(例えば、ベッドシート)の構造によっては、患者がトレンデレンブルグ体位の手術台の頭端部から滑り落ちる危険性がある。これは特に骨盤手術(例えば、直腸、婦人科、泌尿器科)に当てはまり、重力を利用して腸および他の内臓を骨盤から遠ざけ、手術部位を見やすくするために、手術台の頭部を45°も下方に傾けることがある。
【0003】
多くのタイプの患者固定デバイスが、長年にわたって試されてきた。一般に、固定デバイスには、ストラップおよびテープ、ショルダーボルスタ、発泡体の手術台オーバーレイ、患者の周りで成形するビーンバッグ、患者に密着するジェルパッドを含むいくつかのカテゴリがある。胸部全体のストラップとテープは、安全ではないことが証明されている。肩の上のストラップは、腕神経叢の神経に伸展損傷をもたらしている。同様に、ベッドのサイドレールに固定された患者の肩における発泡体またはビーンバッグのボルスタも、腕神経叢の神経に伸展損傷を与える結果となっており、Association for Operating Room Nursesでは推奨していない。ゲルパッドは冷たく、何でも付着するため面倒である。
【0004】
発泡体の手術台オーバーレイは、標準的な固定デバイスである。発泡体は一般に、患者の胴体と頭を支持する手術台の部分を覆うようにサイズ決定される。患者の皮膚に対する発泡体の摩擦係数にかかわらず、外科用マットレスの滑らかな表面は、通常、発泡体と患者の間の摩擦係数よりも低い、発泡体とマットレスの間の摩擦係数を創出する。したがって、マットレスと発泡体の手術台オーバーレイの間で、不要な滑りが発生する可能性が最も高くなる。マットレスと発泡体の手術台オーバーレイの間の接続を改善するために、発泡体オーバーレイは通常、手術台のサイドレールにテープで固定またはストラップで固定される。しかし、例えば特許文献1(米国特許第8,464,720号明細書)に記載されているような、発泡体の手術台に貼り付けられたテープ、または発泡体の手術台オーバーレイに接着されたストラップは、45°の頭を下げた角度において400ポンドの患者の体重がかかると、結合されなくなる危険性が著しく大きい。接着剤が効かないか、またはテープに接着したまま発泡体の手術台オーバーレイから発泡体の最上層が引き剥がされる。
【0005】
例えば、特許文献2(米国特許第10,045,902号明細書)に記載されているように、パッド上への患者の保持を助けるのに十分な深さを有する窪みを形成することを可能にするために、1インチの4分の3から3インチ以上の厚さを有する粘弾性パッドなど、より厚い発泡体パッドを使用することが提唱されている。本開示では、患者をパッドに固定するのを助けるのに十分な深さを有する窪みを形成することを、「ボルスタ効果」と呼んでいる。ボルスタ効果に全面的または部分的に依存する固定デバイスの欠点は、ボルスタタイプの固定が、肥満によく見られる過剰な体重および丸みを帯びた肩の形状に負ける可能性があることである。したがって、ボルスタ効果に部分的に依存する固定デバイスは、患者の体重と下降角度の両方を制限する使用説明書を提供する必要がある。
【0006】
トレンデレンブルグ体位の患者、特にロボット手術の場合、通常、腕は体の側面に沿って押し込まれる。特定の従来の腕保護および固定デバイスは、扱いにくく、かさばり、高価であり、腕の加熱を阻止する。腕保護デバイスの有無にかかわらず、患者の側面において腕を押し込む既知の方法は、腕を引き抜きシートで包み、引き抜きシートの端部患者の下に押し込むことに依存している。引き抜きシートの押し込まれた端部は、単純に広がり、単純に患者の下から引き抜かれ、腕が床に向かって落ちることが可能になるので、神経損傷を引き起こし得る。
【0007】
ロボット手術は通常、開腹手術よりも実行に時間がかかる可能性があるため、患者は、寒い手術室で、頻繁により低体温になる。患者の腕を脇に押し込んだ状態では、従来の強制空気加温では肩と頭の上部の皮膚表面領域しか温まらず、強制空気加温の効果が得られない。その結果、腕を押し込んで強制空気加温で温めた、トレンデレンブルグ体位または仰臥位で手術を行ったほとんどの患者は、非常に低体温になる。低体温症の同じ危険性の増加は、腕を押し込んで位置決めされているが、トレンデレンブルグ(頭を下に向けた)体位にない他の患者も経験する。
【0008】
トレンデレンブルグおよび他の普通でない体位のために、患者を手術台上で安定させるための、信頼性、安全性、および利便性の高い患者固定デバイスを提供することが望ましいであろう。トレンデレンブルグ体位での手術中に使用する、改良された患者保温デバイスを提供することも望ましいであろう。さらに、トレンデレンブルグ体位での手術中に使用する、より優れた腕保護および固定デバイスを提供することが望ましいであろう。さらに言えば、患者の腕を押し込んだ平らな仰臥位での手術中に使用する、より優れた患者保温デバイス、より優れた腕保護デバイス、より優れた腕固定デバイスを提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8,464,720号明細書
【文献】米国特許第10,045,902号明細書
【発明の概要】
【0010】
本開示のアンダーボディサポートマットレスおよびブランケットは、一般に医療現場での使用を意図している。これらには、手術室、緊急治療室、集中治療室、病室、介護施設、および他の治療場所が含まれる。
【0011】
様々な実施形態には、マットレス、マットレスオーバーレイ、およびパッドを含む、柔軟で適合性のある加熱されたアンダーボディサポートが含まれ、手術室設定における患者などの人に治療的な加温を提供する。様々な実施形態において、加熱されたアンダーボディサポートは、最大限に柔軟および適合性があり、例えば、下にあるマットレスの適応能力を低下させることなく、加熱表面が変形し、人に適応することを可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態では、高摩擦プラスチックまたはゴムなどの摩擦増強要素で両側が少なくとも部分的にコーティングされた布または他の材料のシートを、患者とアンダーボディサポートとの間に介在させて、それらの間の摩擦係数を増加させることができる。そのような摩擦増強要素の例は、布のシート上に三次元隆起ドットのパターンとして適用されるPVC発泡体またはシリコーンゴムであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、加熱ブランケットは、アンダーボディサポートの側縁に沿って位置決めされ得、外科用マットレスを左右に横切るベース膜層にそれらを取り付けることによって所定の位置に保持され得る。いくつかの実施形態では、加熱ブランケットは、アンダーボディサポートの側縁に取り付けられ得る。加熱ブランケットを患者の腕に巻き付けて、追加の加熱、ならびに腕および手の支持、固定、および保護を提供することができる。
【0014】
特定の実施形態は、トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、手術台のマットレスまたはアンダーボディサポートへの固定部を有する患者固定オーバーレイを提供する。患者固定オーバーレイは、手術台上で患者の胴体を支持するように構成されている布のシートを含む。布のシートは、患者に面するように構成されている上面、および手術台マットレスまたはアンダーボディサポートに面するように構成されている下面を有する。布のシートは、上面の少なくとも一部に適用される摩擦増強要素を含む。布のシートは、手術台マットレスまたはアンダーボディサポートに布のシートの足端部を固定するための、手術台マットレスの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、布のシートの足端部における延長部を含む。布のシートの足端部における延長部は、布のシートと手術台マットレスまたはアンダーボディサポートの下側のいずれかとの間の摩擦結合を改善する1つ以上の摩擦増強要素を含む。手術台がトレンデレンブルグ体位にあるときに、延長部が延伸して、患者が手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、布のシートの足端部における延長部は、布のシートよりも狭く、手術台マットレスまたはアンダーボディサポートの会陰切り欠きに対して固着する。
【0015】
特定の他の実施形態は、トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、非加熱のアンダーボディサポートへの固定部を有する患者固定オーバーレイを提供する。患者固定オーバーレイには、手術台のサイドレールに固定された非加熱のアンダーボディサポート、および手術台上の患者の胴体を支持するように構成されている布のシートが含まれる。布のシートは、患者に面するように構成されている上面、および非加熱のアンダーボディサポートに面するように構成されている下面を有する。布のシートは、その上面の少なくとも一部分に適用される摩擦増強要素を含む。布のシートはまた、非加熱のアンダーボディサポートに布のシートの足端部を固定するための、非加熱のアンダーボディサポートの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、布のシートの足端部における延長部を含む。足端部における延長部は、プラスチック、金属、または繊維板を含む材料の平面状のシートを備える固着部を含む。固着部は、非加熱のアンダーボディサポートの底部と非加熱のアンダーボディサポートの足端部における手術台マットレスの上部との間に取り外し可能に挿入することができる。手術台がトレンデレンブルグ体位にあるときに、延長部が延伸して、患者が手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、布のシートの足端部における布のシートの延長部は、非加熱のアンダーボディサポートの足端部に対して固着する。
【0016】
特定の他の実施形態は、トレンデレンブルグ体位での手術中に使用するための、手術台マットレスへの調整可能固定部を有する患者固定オーバーレイを提供する。患者固定オーバーレイは、手術台上で患者の胴体を支持するように構成されている布のシートを含む。布のシートは、患者に面するように構成されている上面、および手術台マットレスに面するように構成されている下面を有する。布のシートは、その上面の少なくとも一部に適用される摩擦増強要素を含む。布のシートは、手術台マットレスに布のシートの足端部を固定するための、手術台マットレスの足端部の下に押し込まれるように材料を提供する、布のシートの足端部における延長部を含む。布のシートの足端部における延長部は、布のシートよりも狭く、プラスチック、金属、または繊維板を含む材料の平面状のシートを備える固着部を含む。固着部は、患者の胴体を支持するように構成されている手術台マットレスの部分の足端部における、手術台マットレスの底部と手術台の上部との間に取り外し可能に挿入することができる。手術台がトレンデレンブルグ体位にあるときに、延長部が延伸して、患者が手術台の傾斜を滑り落ちることに関連付けられる力ベクトルとは正反対である力ベクトルを創出するように、布のシートの足端部における布のシートの延長部は、手術台マットレスの会陰切り欠きに対して固着する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられたアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態による、トレンデレンブルグ体位で手術台に横たわっている患者の側面図である。
【
図3】例示的な実施形態による、足部を下げ、砕石位のためにあぶみを取り付けた手術台の上面図である。
【
図4】例示的な実施形態による、結石摘出術およびトレンデレンブルグ体位で、手術台およびアンダーボディサポート上に横たわっている患者の側面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、固定パッドの斜視図である。
【
図6】例示的な実施形態による、結石摘出術およびトレンデレンブルグ体位で、手術台および固定パッド上に横たわっている患者の側面図である。
【
図7A】例示的な実施形態による、結石摘出術およびトレンデレンブルグ体位で、手術台、アンダーボディサポート、および布のシート上に横たわっている患者の側面図である。
【
図7B】例示的な実施形態による、トレンデレンブルグ体位でのアンダーボディサポートおよび布のシートを有する手術台の側面図である。
【
図8】例示的な実施形態による、布のシートの詳細な斜視図である。
【
図9】例示的な実施形態による、布のシートの詳細な上面図である。
【
図10】例示的な実施形態による、
図9の線10-10に沿った布のシートの詳細な断面図である。
【
図11】例示的な実施形態による、患者とアンダーボディサポートとの間に位置決めされた、
図9の線10-10に沿った布のシートの詳細な断面図である。
【
図12】例示的な実施形態による、スクリムの詳細な上面図である。
【
図13】例示的な実施形態による、
図9の線10-10に沿った布のシートの詳細な断面図である。
【
図14】例示的な実施形態による、
図9の線10-10に沿った布のシートの詳細な断面図である。
【
図15】例示的な実施形態による、発泡体材料の層を有する布のシートの斜視図である。
【
図16】例示的な実施形態による、布のシートを有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図17】例示的な実施形態による、固着部の縦断面図である。
【
図18】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図19】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図20A】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図20B】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図20C】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図21】例示的な実施形態による、布のシートおよび固着部を有する手術台マットレスの縦断面図である。
【
図22】例示的な実施形態による、手術台マットレスの縦断面図である。
【
図23】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられたアンダーボディサポート上の引き抜きシートの斜視図である。
【
図24】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられたアンダーボディサポート上の引き抜きシートの斜視図である。
【
図25】例示的な実施形態による、引き抜きシートの縦断面図である。
【
図26】例示的な実施形態による、引き抜きシートの縦断面図である。
【
図27】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられた腕固定フラップを有するアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図28】例示的な実施形態による、腕固定フラップを有するアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図29】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられた腕固定フラップを有するアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図30】例示的な実施形態による、布または膜のベースシートを有する腕固定フラップの上面図である。
【
図31】例示的な実施形態による、ベースストラップを有する腕固定フラップの上面図である。
【
図32】例示的な実施形態による、患者の腕に巻き付けられた腕固定フラップの断面図である。
【
図33】例示的な実施形態による、患者の腕に巻き付けられた引き抜きシートの断面図である。
【
図34】例示的な実施形態による、結石摘出術およびトレンデレンブルグ体位での、腕固定フラップを有する手術台およびアンダーボディサポート上に横たわっている患者の側面図である。
【
図35A】例示的な実施形態による、引き抜きシートで患者の腕に巻き付けられた腕固定フラップの断面図である。
【
図35B】例示的な実施形態による、引き抜きシートで患者の腕に巻き付けられた腕固定フラップの断面図である。
【
図36】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられた腕固定フラップを有するアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図37】例示的な実施形態による、手術台に取り付けられた腕固定フラップおよび手術台カバーを有するアンダーボディサポートの斜視図である。
【
図38】例示的な実施形態による、結石摘出術およびトレンデレンブルグ体位での、加熱ブランケットを固定する胸部ストラップを有する手術台およびアンダーボディサポートに横たわっている患者の側面図である。
【
図39】例示的な実施形態による、スライドシートおよび引き抜きシートを有する手術台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の発明を実施するための形態は本質的に例示的であり、決して本発明の範囲、適用性、または構成を限定することを意図しない。むしろ、以下の説明は、様々な例示的な実施形態を実施するための実際的な例示を提供する。構成、材料、寸法、および製造プロセスの例は、選択された要素に対して提供され、他のすべての要素は、この分野の当業者にとって既知のものが採用されている。当業者は、提供される例の多くが、利用することができる好適な代替物を有することを認識するであろう。
【0019】
いくつかの実施形態では、
図1に示されるように、実施形態は、加熱マットレス、加熱マットレスオーバーレイ、および加熱パッドを含む、加熱アンダーボディサポートなどのアンダーボディサポートを含む。アンダーボディサポートという用語は、手術を受けている可能性がある患者など、一般的に臥位にあるユーザの下に位置して支えるいずれかの表面を包含すると考えられ得、加熱マットレス、加熱マットレスオーバーレイ、および加熱パッドが含まれる。
【0020】
加熱マットレスオーバーレイの実施形態は、加熱パッドの実施形態と同一であり得るが、唯一の違いは、それらがマットレスの上で使用されるか否かである。さらに、加熱パッドの実施形態と加熱マットレスの実施形態との違いは、それらが提供する支持および適応の量であり得、いくつかのパッドは、マットレスのように単独で使用するには支持が不十分になる可能性がある。したがって、本明細書に記載される様々な態様は、特定の例に1つのタイプのサポートのみが示されている場合でも、マットレス、マットレスオーバーレイおよびパッドの実施形態に適用される。
【0021】
本開示では「加熱アンダーボディサポート」への繰り返しの言及があるが、当業者は、熱機能がすべての実施形態の必要な構成要素ではないことを理解するであろう。非加熱アンダーボディサポートの実施形態も、見込まれる。
【0022】
いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートは、ヒータアセンブリおよび圧縮性材料の層を含む。ヒータアセンブリは、上面、底面、第1の縁、対向する第2の縁、長さ、および幅を有する導電性布のシートを含む加熱要素を含み得る。導電性布は、導電性または半導電性材料で個別にコーティングされた糸を含み得、布のコーティングされた糸は、シートが柔軟で伸縮可能であるように、互いに対して滑ることができる。いくつかの実施形態では、導電性布は、炭素繊維などの導電性の糸で作製することができる。いくつかの実施形態では、シートは、ポリエステル膜などのポリマー膜に適用された導電性インクで作製され、したがって、導電性布では作製されない。いくつかの実施形態では、ヒータは、炭素または黒鉛を添加したプラスチック膜などの導電性膜で作製されている。
【0023】
ヒータアセンブリはまた、加熱要素の第1の縁全体に沿って延在し、電力の供給を受けるように適合された第1のバスバー、加熱要素の第2の縁全体に沿って延在する第2のバスバー、および温度センサを含み得る。圧縮性材料の層は、サポート上に載っている人からの圧力下で、人の体に合うように適合され得、圧力が除去されると、元の形状に戻るように適合され得る。それは、ヒータアセンブリの下に位置することができ、上面および反対側の底面、長さ、および幅を有し得、層の長さおよび幅は、ヒータアセンブリの長さおよび幅とほぼ同じである。
【0024】
いくつかの実施形態では、バスバーは編組ワイヤであり得る。いくつかの実施形態では、ヒータの構築中に、バスバーをシリコーンゴムなどの柔軟性ゴム材料でコーティングすることが望ましい場合がある。編組ワイヤは、繰り返しの屈曲には比較的耐性があるが、同じ場所で何度も屈曲すると、編組ワイヤのバスバーであっても破断して破損することがある。バスバーをシリコーンゴムでコーティングすると、バスバーの耐久性が大幅に向上し、繰り返しの屈曲に耐えることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、導電性または半導電性材料はポリピロールである。いくつかの実施形態では、圧縮性材料は発泡体材料を含み、いくつかの実施形態では、それは1つ以上の空気で満たされた空洞を含む。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートは、ヒータアセンブリを包む耐水性のシェルも含み、それらの縁に沿って一緒に封止されて結合縁を形成することができる上部シェルと下部シェルを含み、ヒータアセンブリは、ヒータアセンブリの1つ以上の縁に沿ってのみシェルに取り付けられる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、圧力がかかっていないとき、概して平面状の形状を有する。加熱要素は、圧力に応じて導電性を維持しながら、しわまたは折り目を付けずに三次元複合曲線に延伸するように適合されており、圧力が除去されるときと同じ概ね平面状の形状に戻ることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートは、上面、底面、第1の縁および対向する第2の縁、長さ、および幅を有する導電性布のシートを備える柔軟な加熱要素と、加熱要素の第1の縁に沿って延在し、電力の供給を受けるように適合された第1のバスバーと、加熱要素の第2の縁に沿って延在する第2のバスバーと、温度センサとを含むヒータアセンブリを含む。アンダーボディサポートは、ヒータアセンブリの下に位置する圧縮可能なサポート材料の層をさらに含み得、これは、圧力下で患者の体に適合し、圧力が除去されると元の形状に戻る。
【0027】
いくつかのそのような実施形態では、加熱要素は、導電性または半導電性の材料でコーティングされた布を含み、これは、炭素または金属を含むポリマーまたはインクであってもよく、あるいはポリピロールなどのポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートは、ヒータアセンブリを囲む2枚の柔軟なシェル材料を含むシェルも含み、シェルは、ヒータアセンブリの縁の近辺2枚のシートが一緒に封止された耐水性プラスチック膜または繊維強化プラスチック膜である。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートはまた、第1のバスバーへの電力の供給を調整するための電源およびコントローラを含む。
【0028】
いくつかのそのような実施形態では、圧縮性材料は発泡体材料である。ヒータアセンブリは、圧縮性材料の層の上面に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートは、ヒータアセンブリを包み、それらの縁に沿って一緒に封止されて結合縁を形成する上部シェルおよび下部シェルを有する耐水性シェルを含む。いくつかのそのような実施形態では、ヒータアセンブリの1つ以上のエッジは、結合縁内部に封止され得る。いくつかの実施形態では、ヒータアセンブリは、耐水性シェル材料の上層に取り付けられている。いくつかの実施形態では、ヒータアセンブリは、ヒータアセンブリの1つ以上の縁に沿ってのみシェルに取り付けられている。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートはまた、電気インレットを含み、インレットは、上部シェルおよび下部シェルに結合され、結合縁においてそれらの間を通過する。
【0029】
いくつかの実施形態では、温度センサは、加熱要素の温度を監視するように適合され、サポートの通常の使用中に患者が置かれる実質的に中央の場所で加熱要素と接触して位置する。いくつかの実施形態では、加熱アンダーボディサポートはまた、第1のバスバーへの電力の供給を調整するための電源およびコントローラを含む。加熱パッドおよびマットレスのいくつかの実施形態は、米国特許第8,604,391号、第9,962,122号、10,201,935号、および10,206,248号に開示されており、これらの開示全体は、参照により本開示に組み込まれる。
【0030】
本発明の特定の実施形態は、柔軟なシート状の加熱要素およびシェルを含む電気加熱ブランケットを含む。いくつかの実施形態では、加熱要素は、加熱アンダーボディ支持体の表面について、以前に説明および開示されたものと同様である。シェルは、加熱ブランケットを覆い、2枚の柔軟材料のシートが溶接されている。いくつかの実施形態では、溶接は、加熱要素の縁の周りでシートを共に結合する。いくつかの実施形態では、溶接は、シートの縁の周りでシートを結合する。加熱ブランケットのいくつかの実施形態は、米国特許第8,283,602号および第8,772,676号に開示されており、その開示全体が参照により本開示に組み込まれる。
【0031】
急峻なトレンデレンブルグ体位は、泌尿器科、婦人科、および大腸の手術中に、特にロボットまたは腹腔鏡を使った手術の場合によく使用される。
図2に示されるように、患者2は通常、脚をあぶみ6で高くした状態で、手術台4上に仰臥位で位置決めされる。場合によっては、各あぶみ6は、参照番号6Aおよび6Bとして図面に個別に示されている。手術台4は、任意選択的に、金属を含むことができる。外科医またはロボットが患者の会陰にアクセスできるように、手術台4の足端部8が下げられている。急峻なトレンデレンブルグ体位により、重力によって腹部の内容物を骨盤から引き出し、腹腔鏡による障害物のないアクセスと視覚化が可能になる。患者の臀部は通常、アンダーボディサポートの足端部10において、または患者2の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の足端部10において位置決めされる。患者の胴体を支持している手術台マットレス30のアンダーボディサポート16または部分12の足端部10は通常、
図3に示すように、会陰切り欠き14として知られる、足端部の中央から切り欠かれた切り欠きを有する。会陰切り欠き14は、患者の会陰が手術台マットレス30の中心の端にわずかに垂れ下がることを可能にする一方で、脚を上げたときに臀部の側方を支持することを提供する。会陰切り欠きは、外科医またはロボットが患者の会陰に妨げなくアクセスするのに役立つ。
【0032】
アンダーボディサポート16は、アンダーボディサポート16を手術台4に固着するための要素を含み得る。いくつかの実施形態では、固着するための要素は、手術台4の上面とアンダーボディサポート16の下面との間のベルクロ(登録商標)取り付け具であり得る。下面は、テーブルインターフェース面と呼ばれることもある。
【0033】
いくつかの実施形態では、アンダーボディサポート16を固着するための要素は、手術台4の側面とアンダーボディサポート16の耐久性シェルとの間のストラップ取り付け具であり得る。
図4に示されるように、ストラップ取り付け具のストラップ18は、手術台4のサイドレール20の周りに巻き付けられ、次いでそれ自体に固定され得る、非伸縮性の強化ストラップ材料で作製され得る。場合によっては、ストラップ18は、参照番号18Aおよび18Bとして図面に個別に示されている。ストラップ18A、18Bは、ボタン、スナップ、フック、バーブ、ベルクロ(登録商標)、または他の好適な安全な取り付け具で固定することができる。いくつかの実施形態では、ストラップ18Aおよび18Bは、アンダーボディサポート16の側面から、上部および下部シェル材料層の1つ以上のストラップ取り付け突起22でアンダーボディサポート16に取り付けられ得る。1つ以上のストラップ取り付け突起22は、先で考察されるアンダーボディサポート16の上部および下部シェル材料層との間の周囲溶接の一部であり得る。1つ以上のストラップ取り付け突起22は、強度を高めるためにナイロンなどの繊維のメッシュで補強することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、アンダーボディサポート16のシェル材料は、シェル材料の押し出しプロセス中にシェル材料に埋め込まれたナイロンなどの繊維のメッシュで補強することができる。繊維強化材は、下部シェル層、上部シェル層、または両方のシェル層に含めることができる。補強繊維は、重い患者が急峻なトレンデレンブルグ体位に置かれたときにシェル材料が延伸または変形することを防止し、アンダーボディサポートの層の間、またはアンダーボディサポート16と手術台マットレス30または手術台上部64との間に滑り力を生み出す。アンダーボディサポート16のこの強化された構造は、手術台4のサイドレール20に接続されたストラップ18A、18B、または手術台上部64に対するベルクロ(登録商標)取り付け具と共に、アンダーボディサポート16のストラップ取り付け突起22の強化された構造と併せて、患者が急峻なトレンデレンブルグ体位に置かれたときに、アンダーボディサポート16が安定したままであり、ずれないまたは滑らないことを保証する。いくつかの実施形態では、このアンダーボディサポート16の耐久性構造は、サポートの平面に平行ないずれの方向における変形および延伸も防止し、したがって、アンダーボディサポート16と手術台4との間の滑りを防止する。この構造によって提供される安定性、および手術台4の斜面を引っ張る患者の体重に応じて変形しないことは、従来の使い捨て固定パッドの比較的壊れやすい柔軟な構造とは対照的である。
図5および6に示すように、従来の(例えば、柔軟な)固定パッド26は、固定パッド26の平面に平行に加えられる力に応じて容易に変形し、この変形により、固定パッド26と手術台マットレス30の部分12との間に滑りがもたらされる。
【0035】
さらに、
図5に示されるように、そのようなタイプの固定パッド26は、固定パッド26を手術台4のサイドレール20に固着するパッドストラップ28A、28Bを含む。しかしながら、
図6に示されるように、これらのタイプの固定パッド26をサイドレール20に固着することは、固定パッド26と手術台4との間の自然な1~3インチの滑りを可能にする。このタイプの固定パッド26におけるこの滑りは、患者の体重の力が、通常は柔軟な粘弾性発泡体の伸縮可能なシートで作製された固定パッド26に接着された、非耐久性で伸縮可能なパッドストラップ28A、28Bの方向に対して垂直に加えられることによる。これらのパッドストラップ28A、28Bは、垂直方向に合わせられ、非耐久性であり、柔軟性があり、および伸縮可能であり、従来の固定パッド26(柔軟で変形可能な発泡体であることが多い)と組み合わせて延伸しし、固定パッド26が、急峻なトレンデレンブルグ体位で最大3インチまで手術台マットレス30を滑り落ち、その後滑り落ちを止めることを可能にする。固定パッド26に接着されたパッドストラップ28A、28Bにサイドレール20に垂直な力が加えられた場合(そのようなパッドが柔軟な発泡体パッドである場合)、テーブルの急な傾斜を下る滑り運動を防止することはできない。手術台4のサイドレール20は、既知のデバイスにとって好都合な取り付け点であるが、上述したパッドストラップ28A、28Bおよび固定パッド26を使用して、トレンデレンブルグ体位で手術台4の傾斜を1~3インチ滑り落ちるのを防止することはできない。
【0036】
いくつかの実施形態では、
図7Aおよび7Bに示されるように、摩擦増強要素34で両側が少なくとも部分的にコーティングされた布のシート32を、患者2とアンダーボディサポート16との間に介在させて、それらの間の摩擦係数を増加させることができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、布のシート32は、アンダーボディサポート16から分離することができ、アンダーボディサポート16上に取り外し可能に位置決めすることができる。摩擦増強要素34は、高摩擦プラスチックまたはゴム、あるいは同様の特性を有する材料であり得る。摩擦増強要素34の材料の例は、布上へ三次元パターンまたは三次元隆起ドットとして適用され得る、PVC、シリコーン、ポリエチレン、または他のプラスチックまたはゴム材料であり得る。
図8および9に示されるように、摩擦増強要素34は、パターンまたはドットの形態であり得、一方ではアンダーボディサポート16の上面を、他方では患者2の背部を把持し、患者2とアンダーボディサポート16の表面との間の摩擦係数を劇的に増加させ、両者が互いに滑るのを防止する。あるいは、摩擦増強要素34は、アンダーボディサポート16の上面に直接適用され得る。上面は、患者インターフェース面と呼ばれることもある。
【0037】
いくつかの実施形態では、布のシート32は、アンダーボディサポート16の上面と患者2の背部との間に介在され、これらの2つの表面間の摩擦係数を増加させる。布のシート32は、織布または不織布のいずれかであり得、ポリエステル、レーヨン、ナイロンまたは綿などのいずれかの耐久性のある繊維で作製されてもよい。布のシート32用の他の繊維も、見込まれる。いくつかの実施形態では、流体不浸透性層が望ましい場合、本開示の布のシート32は、プラスチック膜、または繊維状の布のシートの片面または両面にコーティングまたは積層されたプラスチック膜で作製されてもよい。プラスチック膜層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ウレタンまたは他の好適な膜で作製することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、布のシート32は、摩擦増強要素34で少なくともその上面36上に部分的にコーティングされている。摩擦増強要素34は、円形、正方形、長方形、または長円形の要素の三次元隆起パターンなどの、プラスチックまたはゴムの三次元摩擦増強要素であり得る。いくつかの実施形態では、摩擦増強要素34は、直径または断面が0.1インチ~0.5インチの間である。摩擦増強要素34には、PVC発泡体、粘弾性PVC発泡体、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、他の粘弾性高分子発泡体、ウレタン、PVC、ならびに他のポリマーおよびゴムが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図10および11に示されるように、布のシート32は、上面36および下面38の両方に、摩擦増強要素34で部分的にコーティングされている。摩擦増強要素34は、円形、正方形、長方形、または長円形の要素の三次元隆起パターンなどの、プラスチックまたはゴムの三次元摩擦増強要素であり得る。いくつかの実施形態では、上面36および下面38上の摩擦増強要素34は、布のシート32の各側でサイズおよび位置が互いに直接対向する三次元摩擦増強要素である。本明細書で使用されるように、サイズおよび場所の両方で互いに直接対向する摩擦増強要素34は、布のシート32の反対側に互いに直接対向して位置決めされ、互いに全く同じ寸法(または実質的に同じ寸法)を有する摩擦増強要素34を指す。布のシート32の両側の摩擦増強要素34の直接対向は、その時点で、アンダーボディサポート16の上面と患者の背部との間での力の伝達を改善する。布のシート32の各側の摩擦増強要素34が、一方で患者の背部2を、かつ他方でアンダーボディサポート16を窪ませることによって摩擦係数を増加させる能力は、布のシート32の各側の摩擦増強要素34が直接対向していない場合には減少する。いくつかの実施形態では、摩擦増強要素34は、患者の皮膚に押し付けて小さな窪みを作り、布のシート32と患者の皮膚との間の機械的な相互作用を増大させることを意図した三次元摩擦増強要素である。布のシート32と患者の皮膚との間のこの機械的な相互作用は、皮膚を窪ませ、2つの表面間の通常の摩擦係数を増大させる。布のシート32の各側で互いに直接対向する摩擦増強要素34を位置させることにより、各摩擦増強要素34が、アンダーボディサポート16から患者の背部に力を伝達する能力を最大化する。
【0040】
いくつかの実施形態では、
図9、10および11に示されるように、摩擦増強要素の三次元的隆起パターンであり得る、布のシート32の上面36上の摩擦増強要素34は、摩擦増強要素の隆起パターンの間の領域に穴40を有する布のシート32を残すマトリックスを形成してもよい。布のシート32の穴40は、有利には、布のシート32を通る熱、空気、および湿気の自由な通過を可能にすることができる。アンダーボディサポート16が加熱アンダーボディサポートである場合、穴40は、アンダーボディサポート16からの熱が布のシート32を自由に通過して患者に伝わり、効果的な加温を提供することを可能にする。これは、効果的なアンダーボディの患者加温を妨げる従来の(例えば、発泡体を含む)固定パッド26の断熱品質とは対照的である。本開示の布のシート32の穴40はまた、有利にも布のシート32を通る水分の自由な通過を可能にし、患者の皮膚に接触して、皮膚が圧力傷害を受けやすくする可能性のある汗または皮膚調製消毒液を除去することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図12に示すように、三次元であり、布の両側で直接対向する摩擦増強要素34を有し、摩擦増強要素34の間に穴またはコーティングされていない空間40を有する布のシート32の構造は、ポリエステルまたは他の好適な繊維で作製された布スクリムであり得るスクリム42から始めることによって作製されてもよい。スクリム42の糸44は、例えば、糸44のマトリックス間にオープン空間46を有する市松模様などのパターンに織るか、または編むことができる。糸の間のオープン空間46は、直径が約0.05インチ~約0.25インチの間であり得る。市松模様上の黒い空間と同様に、オープン空間46では、織りまたは編みプロセス中に追加の糸48を追加することができる。
図9に示すように、このスクリム42の布のシート32に発泡PVCコンパウンドをコーティングすると、追加の糸48が追加された空間に液体PVCが付着し、追加の糸が追加されなかったオープン空間46には、開放穴または未コーティングの空間40が形成される。発泡PVCは、自然かつ有利に、追加の糸48が追加された布のシート32の両側に、互いに直接対向する三次元摩擦増強要素となり得る摩擦増強要素34を形成し、摩擦増強要素34の間に穴または未コーティングの空間40を残す(Kittrich Corp)。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つの穴40の面積は、有利には、摩擦増強要素34のうちの1つの面積よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、穴40のうちの1つの面積は、有利には、0.1875平方インチ未満であり得る。0.1875平方インチよりも大きい穴40は、患者の体の重さを支える皮膚の面積と、摩擦増強要素34と皮膚の間の自然な粘着性の両方に不利である。さらに、0.1875インチ四方よりも大きい穴40は、穴40に突出した患者の皮膚内に静水圧勾配を創出し、その結果、点状出血またはあざのパターンをもたらす可能性がある。
【0043】
いくつかの実施形態では、
図10に示されるように、布のシート32の(例えば、目の粗い織り)スクリム42上に形成された摩擦増強要素34は、全体の厚さが約0.125インチである。そのような摩擦増強要素34は、発泡PVC三次元摩擦増強要素であり得る。出願人は、ドットの間に空間があるマトリックス形成のこれらの0.125インチの厚さのドットまたはビーズが、軽度の点状出血(あざまたは血管外漏出、市松模様のオープン空間に押し込まれる支持されていない皮膚組織への血液の漏出)を引き起こす可能性があることを発見した。点状出血のこの問題は、それらの摩擦増強要素34が丸みを帯びた三次元摩擦増強要素である場合に、少なくとも摩擦増強要素34を布のシート32の上面36上で平らにすることによって緩和され得る。いくつかの実施形態では、
図13に示されるように、発泡PVC三次元摩擦増強要素であり、間にオープン空間46を有する摩擦増強要素34を有する布のシート32は、三次元ドットを厚さ約0.125インチから厚さ約0.05~0.10インチに平らにすることができる熱積層プロセスにそれを通すことによって平坦化することができる。場合によっては、各オープン空間46は、参照番号46Aおよび46Bとして図面に個別に示されている。発泡PVC三次元摩擦増強要素を平坦化しても、摩擦増強要素34間の穴40の市松模様は閉じないが、隣接する摩擦増強要素34の表面積と比較して、穴40の表面積がわずかに小さくなる。いくつかの実施形態では、ヒートラミネータは、布のシート32を2つの圧縮ローラに通す前に、それを加熱することができる。あるいは、布のシート32は、一方または両方が加熱される2つの圧縮ローラを通過することができる。より小さな直径の穴40を間に有する平坦化された摩擦増強要素50(発泡PVC三次元摩擦増強要素であり得る)は、点状出血を引き起こし得るだけでなく、患者をそれほど効果的に把持しない。
【0044】
摩擦増強要素34が発泡PVC三次元摩擦増強要素である場合、熱ラミネータプロセスにおいてこれらの摩擦増強要素34を平坦化することにより、発泡PVC材料の表面特性も変化し、実質的に粘着性が高くなる。加熱および圧縮プロセスは、硬化する際に発泡体の表面に形成される通常の「皮膚」を破壊する。表面の「皮膚」を破壊すると、「粘着性の高い」内部発泡体が露出する。粘着性の高いPVC発泡体は、アンダーボディサポート16と患者2との間の摩擦係数をさらに増加させる。「粘着性の高い」PVC発泡体は、皮膚を有する発泡体よりも患者によく密着し得るが、接着剤にはあまり密着しない。発泡体内の露出した可塑剤は、接着剤の接着を妨げる。したがって、布のシート32の断片が引き抜きシート76または他の材料に接着結合されることを意図している場合、布のシート32の非圧縮側に接着結合することが有利であり得る。下面38の発泡PVC材料の本来の「皮膚」特性は、接着結合に役立つ。アンダーボディサポート16からの熱および患者2の体重からの圧力の存在下での、粘着性の高い発泡体PVCは、アンダーボディサポート16に付着した発泡体の目障りな残留物を残す可能性がある。いくつかの実施形態では、この接着残留物は、下面38上の発泡PVC材料の元々の「皮膚」特性を実質的に変化させずに粘着性を抑えたまま、布のシート32の上面36上の摩擦増強要素34を加熱して平坦にすることで防止することができる。下面38の発泡PVC材料の本来の「皮膚」特性は、発泡体の残留物がアンダーボディサポート16に付着するのを防止するのに役立つ。
【0045】
いくつかの実施形態では、
図14に示されるように、布のシート32の上面36上に摩擦増強要素50を形成するための摩擦増強要素34の平坦化は、上面を加熱すること、および/または上部の圧縮ローラまたはその両方を加熱することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、圧縮プロセス中に、上面を加熱し、下面を最小限に加熱し、および/または下側の圧縮ローラを冷却することによって、布のシート32の下面38上の摩擦増強要素34の元の構造、形状、および表面の完全性を維持することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、摩擦増強要素34(発泡PVC三次元摩擦増強要素でありうる)を有し、それらの間に未コーティングの空間または穴40を有する布のシート32は、加熱圧縮プロセスに通すことによって平坦化し、薄くすることができる。加熱圧縮プロセスは、(従来の厚い発泡体パッド固定デバイスと比較して)非常に薄い厚さでありながら、把持特性のほとんどを保持する患者固定デバイスを有利に製造することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、アンダーボディサポート16はまた、容量結合電気手術接地電極として機能し得る。効果的な容量結合では、2つの導電体を、薄い誘電体(電気絶縁体)だけで分離する必要がある。RF電気エネルギーの容量結合は、薄い誘電体または電気絶縁材料によって患者の皮膚が接地アンテナから分離されている場合に、最も効率的かつ効果的である。例えば0.5インチを超える厚い誘電体は、効果的な容量結合電気外科的接地を妨げる。本開示の布のシート32上の摩擦増強要素34(三次元摩擦増強要素であり得る)は、薄い誘電体を創出する。この誘電体の厚さは、平坦化された摩擦増強要素50を形成するために、上記のように2つのローラ間で摩擦増強要素34を加熱および圧縮することによって、さらに薄くすることができ、これは容量結合の有効性をさらに高める。いくつかの実施形態では、本発明の布のシート32の薄い性質(0.125インチ未満の厚さなど)は、効果的な容量結合電気外科的接地を可能にする。容量結合は、摩擦増強要素34、50の間に形成される穴または未コーティングの空間40によってさらに増強され得、ここで、布のシート32によって引き起こされる追加の電気絶縁(誘電)特性はない。本開示の発明は、容量結合電気外科的接地での使用に独自に適している。対照的に、従来の(例えば、厚い発泡体)固定パッド26は、効果的な容量結合が発生するのを妨げる。
【0048】
いくつかの実施形態では、布地のシート32の上36および下38の両方の表面上の(例えば、3次元の)摩擦増強要素34の各々の総厚は、0.25インチ未満である。いくつかの実施形態では、
図15に示されるように、軟質発泡体材料の層52が、布のシート32の上面36に接着積層される。場合によっては、軟質発泡体材料の層52は、0.75インチ未満の厚さである。軟質発泡体材料の層52を布のシート32に積層すると、軟質発泡体材料の層52の強度、安定性、および引裂抵抗が実質的に増加する。既知の固定パッドと比較して、もたらされる患者固定オーバーレイ54の厚さが最小限であるため、特に肩において患者を取り囲む非体重支持発泡体が厚くなった場合に生じるボルスタ効果が排除される。軟質発泡体材料の層52が比較的薄い場合、患者は、ボルスタ効果を創出するために、目につくほど発泡体に沈むことができない。これは、ボルスタ効果による患者の固定の有効性が、患者の体重とその肩の形状によって制限されるため、有利である。例えば、体重の重い患者および丸みを帯びた肩は、滑りを防止するボルスタの能力を超え得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、厚さを0.75インチ未満に制限することによって、患者固定用オーバーレイ54における体重制限のある患者固定ボルスタ効果を最小限にするか、あるいは排除することでも、患者と患者固定用オーバーレイ54との間のほぼ摩擦係数のみで決定される患者固定効果が得られる。摩擦係数は、定義上、患者の体重とは無関係である。いくつかの実施形態では、摩擦係数の物理的特性のために、この患者固定デバイスの有効性は、患者の体重とは無関係であり、下降角度によってのみ制限される。したがって、摩擦係数の物理的特性により、本開示の患者固定デバイスは、制限なしに、いずれのサイズまたは体重の患者に適応することができる。このデバイスの使用説明書は、下降角度を制限するのみであり得る。最も知られているボルスタタイプの患者固定デバイスは、特定の重量、通常は300~400ポンドに制限されている。ボルスタタイプのデバイスの使用説明書は、患者の下降角度と体重の両方を制限する。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図7Aおよび7Bに示されるように、患者固定オーバーレイ54は、手術台4上で患者2の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の足端部の少なくとも一部分に有利に固着される。いくつかの実施形態では、患者固定オーバーレイ54は、アンダーボディサポート16の足端部10の少なくとも一部分に有利に固着されている。患者固定用オーバーレイ54を、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に固着することで、患者がトレンデレンブルグ体位にあるときに、2つの層間に確実な結合が創出される。手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12は、手術テーブル4に確実に固着することができ、患者固定オーバーレイ54は、アンダーボディサポート16の足端部10の少なくとも一部分に、または手術台マットレス30に確実に固着することができ、したがって、患者固定オーバーレイ54は、手術台4に確実かつ独自に、間接的に固着される。
【0051】
図3に示されるように、手術台4上で患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の足端部10は、通常、手術台マットレス30の部分12の足端部の中央に会陰切り欠き14を含む。手術台マットレス30のセクション12の会陰切り欠き14は通常、手術台マットレス30の足端部における先細りの3~6インチの窪みであり、窪みの開放側では通常10~14インチの幅を有し、窪みの閉鎖側では4~8インチの幅を有する。会陰切り欠き14の各側の外側には、手術台マットレス30の側方延長部56である。側方延長部は、会陰切り欠き14の各側から約4~6インチ延びることができる。会陰切り欠き14は、患者の会陰が手術台マットレス30の中央の端部にわずかに垂れ下がることを可能にする一方で、患者の脚があぶみに上がっているときに、側方延長部56が臀部の側面にサポートを提供することを可能にするものである。会陰切り欠き14は、外科医またはロボットが患者の会陰に妨げなくアクセスするのに役立つ。
【0052】
いくつかの実施形態では、アンダーボディサポート16の会陰切り欠き14は、アンダーボディサポート16の足端部に設けられた先細りの3~6インチの窪みであってもよく、窪みの開放側で10~20インチの幅を有し、窪みの閉鎖側で4~12インチの幅を有していてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、
図7Aおよび7Bに示すように、患者固定オーバーレイ54は、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の足端部10の少なくとも一部分に巻き付き、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下に固定された布のシート32の足端部延長部58によって、手術台4上で患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に有利に固着される。いくつかの実施形態では、足端部延長部58は、固着部分として患者固定オーバーレイ54に追加される別個の材料片である。
【0054】
いくつかの実施形態では、足端部延長部58の幅は、患者固定オーバーレイ54の幅未満である。いくつかの実施形態では、足端部延長部58の幅は、有利には、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の会陰切り欠き14の窪みの閉じた側の幅にほぼ等しい。いくつかの実施形態では、足端部延長部58の幅は、4~20インチの間であり得る。いくつかの実施形態では、アンダーボディサポート16の会陰切り欠き14の幅は、手術台マットレス30の会陰切り欠き14の幅よりも大きくてもよい。アンダーボディサポート16の会陰切り欠き14が、手術台マットレス30の会陰切り欠き14の幅よりも広い場合、有利には、布のシート32のより広い、したがって、より強い足端部延長部58がアンダーボディサポート16の会陰切り欠き14の周りに巻き付き、かつ会陰切り欠き14内にそれでも収まることが有利に可能になる。
【0055】
いくつかの実施形態では、布のシート32の足端部延長部58を会陰切り欠き14の閉塞側に巻き付けると、足端部延長部58を患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の足端部10に巻き付けるよりも、著しく大きな保障が提供される。第1に、会陰切り欠き14の各側の手術台マットレス30の部分12の側方延長部56は、バットレス効果を創出し、患者が急峻なトレンデレンブルグ体位にあるときに、会陰切り欠き14の閉塞側の上縁が、頭端部に向かって倒れるのを防止する。第2に、会陰切り欠き14の閉塞側に隣接する領域の真上に中心を置く患者の臀部の重量は、この重量を、足端部延長部58を固着しているアンダーボディサポート16の下の正確な領域に集中させる。他のすべての既知の外科用マットレスカバーおよびシートは、会陰切り欠き14の各側にある手術台マットレスの側方延長部56、ならびに手術台4の頭および足端部における追加のマットレス部分を含むマットレス全体を覆うように設計されている。いくつかの実施形態では、布のシート32を固着するための布のシート32の足端部延長部58は、最大の保障および強度のために、会陰切り欠き14の閉塞側の周りに巻き付けられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、患者固定オーバーレイ54は、手術台マットレス30またはアンダーボディ16の部分12の頭端部62の少なくとも一部分を包み込み、患者の胴体を支持し、かつ手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下に固定された布のシート32の頭端部延長部60によって、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の頭端部62の少なくとも一部分に有利に固着される。いくつかの実施形態では、患者固定オーバーレイ54の頭端部を固着するための頭端部延長部60は、布のシート32への延長部として追加される別個の布のシートである。
【0057】
トレンデレンブルグ体位では、患者の体重の力ベクトルが、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に巻き付く布のシート32の方向に平行に印加される。いくつかの実施形態では、この発明の固着機構である、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に巻き付き、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下に固定されている布のシート32の足端部延長部58は、患者がトレンデレンブルグ体位にあるときに、患者の体重によって印加される力の方向とは正反対である力ベクトルを印加している。患者の胴体を支持し、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下に固定された手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に巻き付く布のシート32の足端部延長部58によって提供される確実な結合は、延伸または屈曲せず、したがって、患者固定オーバーレイ54と手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16との間の滑りまたは変形を実質的に制限する(例えば、可能にしない)。いくつかの実施形態では、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10における本開示の固着機構は、トレンデレンブルグ体位で患者が手術台4の傾斜を滑り落ちる力ベクトルとは有利に正反対である固着力ベクトルを創出する。これは、固着力ベクトルがトレンデレンブルグ体位で手術台4の傾斜を滑り落ちる患者の力ベクトルに対して横方向または垂直である既知の固定パッド26とは対照的である。滑りを防止するための垂直方向の力ベクトルは、平行方向の力ベクトルほど安全ではない。
【0058】
いくつかの実施形態では、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に巻き付く布のシート32の部分は、布のシート32の幅よりも狭い。有利なことに、いくつかの実施形態では、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10の少なくとも一部分に巻き付く布のシート32の部分は、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10における会陰切り欠き14の基部または閉塞側の幅とほぼ同じ幅である。会陰切り欠き14の強化された性質は、会陰切り欠き14のない手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の平らな端部が提供できるよりも安全な固着場所を提供する。会陰切り欠き14の側面に隣接する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の側方延長部56は、トレンデレンブルグ体位で手術台4の傾斜を滑り落ちる患者の力ベクトルに対抗する会陰切り欠き14に補強を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の足端部10および頭端部62の少なくとも一部分にそれぞれ巻き付くための布のシート32の足端部延長部58および頭端部延長部60は、足端部延長部58および頭端部延長部60と、アンダーボディサポート16の下側、患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12および/または手術台上部64のいずれかまたは両方との間の摩擦結合を改善する1つ以上の要素を含む。いくつかの実施形態では、この摩擦結合を改善する1つ以上の要素には、プラスチックまたはゴムであり得、布のシート32の足端部延長部58および頭端部延長部60に適用される低粘着性接着剤または三次元摩擦増強要素が含まれる。
【0060】
例えば、Post-it Notes(登録商標)(3M Corporation)で使用される接着剤を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られているいずれかの低粘着性接着剤を使用して、この摩擦結合を改善することができる。使用できるプラスチックまたはゴムの三次元摩擦増強要素には、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、粘弾性PVC発泡体、他の粘弾性高分子発泡体、ウレタン、PVC、ならびに他のポリマーおよびゴムが含まれるが、これらに限定されない。三次元摩擦増強要素であり得る摩擦増強要素34は、布のシート32の足端部延長部58および頭端部延長部60に適用されてもよく、または足端部延長部58および頭端部延長部60を形成する布のシート32に接着結合されるか、熱接着または縫製された別個の布片であってもよい。
【0061】
図16に示されるように、いくつかの実施形態では、布のシート32または足端部延長部58および頭端部延長部60と、アンダーボディサポート16、手術台マットレス30、および手術台上部64の下側のいずれかまたはすべてとの間の摩擦結合を改善する1つ以上の要素は、ベルクロ(登録商標)、スナップ、またはフックを含む。いくつかの実施形態では、
図17に示されるように、布のシート32の足端部における足端部延長部58は、固着部66を含む。場合によっては、固着部66は、プラスチック、金属、繊維板、または他の好適な平らおよび堅い材料の一片などの平らで堅い材料で作製されている。本明細書で定義されるように、「堅い」とは、室温において所与の力で変形を防止する固着部66の能力を指し、これは、厚さ0.03125インチ(1/32インチ)の低密度ポリエチレン(LDPE)の同様にサイズ決定された断片を変形させるのに必要な力と同等以上である。固着部66は、いずれかのサイズまたは形状であり得る。いくつかの実施形態では、固着部66は、長さが2~8インチの間、幅が4~20インチの間の長方形(または実質的に長方形)の形状である。いくつかの実施形態では、固着部66の幅は、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10における会陰切り欠き14の基部または閉塞側の幅に対応する。
【0062】
図17および18に示されるように、いくつかの実施形態では、布のシート32の足端部における足端部延長部58は、固着部66を含む。場合によっては、固着部66は、平らおよび堅い材料(例えば、プラスチック、金属、繊維板、または他の好適な材料)で作製された1つ以上の固着プレート67を備える。本明細書で定義されるように、「堅い」とは、室温において所与の力で変形を防止する固着部66の能力を指し、これは、厚さ0.03125インチ(1/32インチ)の低密度ポリエチレン(LDPE)の同様にサイズ決定された断片を変形させるのに必要な力と同等以上である。固着プレート67は、実質的に長方形であり得るか、またはいずれかの他の好適な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、固着プレート67は、厚さ約0.0625インチ(1/16インチ)の低密度ポリエチレン(LDPE)で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、固着プレート67は、固着部66を創出するために足端部の近くに形成されたポーチ68に挿入することによって、布のシート32の足端部または足端部延長部58に取り付けられ得る。ポーチ68は、布のシート32の遠位端または足端部延長部58をそれ自体に折り返すことによって形成することができる。あるいは、ポーチ68は、布のシート32の遠位端または足端部延長部58に追加の布片を追加することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、ポーチ68は、固着プレート67の周囲の一部またはすべてを、RFシール、超音波シール、ヒートシール、接着結合、または縫製で取り囲み、固着プレート67を覆う布のシート32または足端部延長部58の2つの層の間にシール82を創出して、それによってポーチ68を形成してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、
図19に示されるように、固着部66は、1つまたは2つの固着プレート67を、布のシート32の遠位端または足端部延長部58の片側または両側に取り付けることによって、創出することができる。固着プレート67は、実質的に長方形であり得るか、またはいずれかの他の好適な形状を有し得る。固着プレート67は、プラスチック、金属、繊維板、または他の好適な材料で作製することができる。固着プレート67は、摩擦増強要素72をさらに含み得る。摩擦増強要素72は、例えば、プラスチックまたはゴムを含むことができる。摩擦増強要素72には、PVC発泡体、粘弾性PVC発泡体、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、他の粘弾性高分子発泡体、ウレタン、PVC、ならびに他のポリマーおよびゴムが含まれるが、これらに限定されない。1つまたは2つの(例えば、プラスチック、金属、または繊維板を含み得る)固着プレート67は、縫製、接着結合、熱およびRF溶接、リベット、ステープル、ベルクロ(登録商標)、または他の好適な取り付け具によって、布のシート32の遠位端または足端部延長部58の片側または両側に取り付けられてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、
図18に示されるように、(平らおよび堅い可能性がある)固着具66は、手術台マットレス30の底部と手術台上部64との間、またはアンダーボディサポート16と手術台マットレス30との間に挿入され得る。アンダーボディサポート16の足端部10または患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12に横たわっている患者の臀部の重量は、手術台マットレス30とアンダーボディサポート16、または手術台マットレス30と手術台上部64との間の固着部66を確実に捕捉する。固着部66の剛性は、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の足端部における布のシート32または足端部延長部58の上向きの力が、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の端部を上昇させること、または手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下から固着部66を取り外すことを防止する。本開示の固着部66は、非常に使いやすく、しかも非常に安全である。
【0065】
いくつかの実施形態では、布のシート32、または布のシート32の足端部を(プラスチックまたは金属であり得る)固着部66に接合する布のシート32の足端部における足端部延長部58は、異なる厚さの手術台マットレス30に適応するように長さが調整可能である。手術台マットレス30は通常、2~4インチの厚さである。
図18に示すように、布のシート32のネック70、または布のシート32の足端部を(プラスチックまたは金属であり得るか、またはこれを含み得る)固着プレート67を含むポーチ68に接合する布のシート32の足端部における足端部延長部58は、異なる厚さの手術台マットレス30に適応するように、異なる長さで有利に製造され得る。例えば、2インチのネック70は、2インチの厚さの手術台マットレス30を有する顧客に供給され得、一方、4インチのネック70は、4インチの厚さの手術台マットレス30を有する顧客に供給され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、
図20Aに示されるように、布のシート32のネック70、または布のシート32の足端部を(プラスチックまたは金属を含み得る)固着プレート67を含むポーチ68に接合する布のシート32の足端部における足端部延長部58は、手術台マットレス30のうちの最も厚いものにも適応するように、3~6インチの長さにすることができる。いくつかの実施形態では、例えば
図20Bに示されるように、5インチの長さのネック70は、固着部66を手術台マットレス30の下に挿入する前に、便宜上2インチ長さの固着部66を自分自身に半巻きで巻き付け戻すことによって、2~3インチの厚さの範囲にある手術台マットレス30に適応するために、ユーザによって2インチ短くすることができる。この例では、ハーフラップによりネック70が約2インチ短くなる。この同じ例では、
図20Cに示されるように、2インチの長さの固着部66が自分自身に全巻きで巻き付け戻される場合、長さ5インチのネック70は、約1インチの厚さの手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16に適応するためにユーザによって約4インチ短縮され得る。いくつかの実施形態では、患者固定オーバーレイ54の単一サイズは、様々な厚さの手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16に適応することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、
図21に示されるように、布のシート32のネック70、または布のシート32の足端部を固着部66に接合する布のシート32の足端部における足端部延長部58は、スナップ、ボタン、ベルクロ(登録商標)、フック、バックルおよびストラップなどの調整可能な留め具90を使用して調整可能に短縮することができる。他の調節可能な留め具90が、見込まれる。調節可能な留め具90は、所与の手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の厚さに合わせてネック70を短くするために、足端部延長部58のネック70における余分な材料を減らし、集めて保持するために使用することができ、単一の設計が、いずれかの厚さを有する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16上で効果的に機能することを可能にする。
【0068】
いくつかの実施形態では、布のシート32のネック70、または布のシート32の足端部を(プラスチック、金属、繊維板、または他の好適な材料であり得る)固着部66に接合する布のシート32の足端部における足端部延長部58は、PVC発泡体、粘弾性PVC発泡体、粘弾性ポリウレタン発泡体、またはポリウレタン発泡体などの摩擦増強要素を膜の形態に溶融および圧縮することによって強化することができる。加熱プレスまたはRFプレスでこれらの材料を圧縮すると、発泡体構造が崩壊し、材料が膜のように変化する。膜状の構造は、発泡体構造よりも強力であり、いくつかの用途では、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の端部に巻き付くための優れた構成であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、
図15に示されるように、軟質発泡体材料の層52が、布のシート32の上面36に接着積層され得る。軟質発泡体材料の層52を布のシート32に積層することは、患者の胴体を支持する手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の部分12の足端部10に巻き付く布のシート32または足端部延長部58の確実な滑り止め固着を有利に利用するので、アンダーボディサポート16と手術台マットレス30、または手術台マットレス30と手術台上部64の間の布のシート32または足端部延長部58が確実に捕捉される。布のシート32が確実に固着されると、軟質発泡材料の層52もまた確実に固着される(例えば、布のシート32の上面に積層される)。これは、
図6に示されるように、軟質発泡体材料の層を手術台4のサイドレール20に固着する既知のパッドストラップ28A、28Bとは対照的である。布のシート32はまた、軟質発泡体材料の層52を強化し、軟質発泡体材料の層52が、例えば、0.25~0.75インチの厚さから比較的薄くなることを可能にする。布のシート32は、トレンデレンブルグ体位にある患者の体重下で、軟質発泡体材料の層52が裂けること、延伸すること、または変形することを防止する。
【0070】
いくつかの実施形態では、軟質発泡体材料の層52は、任意のタイプの好適な発泡体材料であり得る。いくつかの実施形態では、軟質発泡体材料の層52は、粘弾性ウレタン発泡体またはウレタン表皮発泡体であり得る。他の粘弾性発泡体材料を含む他の発泡体材料が見込まれ、軟質発泡体材料の層52として使用することができる。軟質発泡体材料の層52は、約0.25インチ~約3インチの間のいずれかの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、軟質発泡体材料の層52は、0.5インチ未満の厚さであり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、
図22に示されるように、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の底部の少なくとも一部分は、プレート74で補強され得る。プレート74は、堅い、または比較的堅いプレートであり得、プラスチック、金属、木材、繊維板、または他の好適な補強材で作製することができる。プレート74に関して、「堅い」は、本明細書では、手術台マットレスの幅のプレートが、台表面の縁を越えて外向きに12インチ延び、支持されていない遠位縁に5ポンドの重さが印加されたときに、1インチを超える変形に抵抗する能力として定義されている。プレート74は、手術台マットレス30の保護カバーの内側で、手術台マットレスの発泡体パッドの下に位置させることができる。プレート74は、足端部10において手術台マットレス30の下隅を安定させ、本開示の患者固定オーバーレイ54と組み合わせて使用される場合に特に有利であり得る。患者の体重が手術台マットレス30によって支持されると、プレート74は、手術台マットレス30の足端部の下に押し込まれ得る布のシート32の足端部において足端部延長部58から印加される上向きの引っ張り力に応じて、手術台マットレス30の下側の角を足端部10において安定させ、それにより、上向きまたは頭端部側に向かって曲げる、または圧縮することができないようにしている。
【0072】
いくつかの実施形態では、プレート74は、それが手術台マットレス30の足端部の下に押し込まれたときに、布のシート32の足端部における足端部延長部58の固着保障を改善する。いくつかの実施形態では、プレート74はまた、発泡体で構成されている場合、手術台マットレス30が足端部10において圧縮するのを防止する。手術台マットレス30の足端部10を頭端部に向けて圧縮すると、布のシート32または足端部延長部58が足端部10に巻き付けられたときに、急峻なトレンデレンブルグ体位の手術台4の頭端部に向けて、下向きに約1~3インチの患者の変位を可能にすることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、プレート74は、患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12のサイズに近似し得る。いくつかの実施形態では、プレート74は、足端部10の約10~24インチ以内の領域に限定され、患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の足端部10の幅に近似し得る。プレート74に対する他のサイズも見込まれ、本開示の範囲内である。
【0074】
いくつかの実施形態では、手術台4上での患者2の滑り運動を支持および制限する方法が提供される。この方法は、以下のステップを含むことができる。(i)手術台4上で患者2を支持するように構成されているアンダーボディサポート16を提供するステップであって、アンダーボディサポート16が、手術台4に面するように構成されている下面を有する基層の反対側で患者2に面するように構成されている上面を有する圧縮性材料層を含む、提供するステップと、(ii)アンダーボディサポート16を手術台4に結合するステップと、(iii)アンダーボディサポート16の上面と患者2との間に布のシート32を配置するステップであって、布のシート32が、布のシート32の片側または両側に摩擦増強要素34を備え、布のシート32が、患者がアンダーボディサポート16からうっかり滑り落ちるのを防止するために、アンダーボディサポート16と患者2の両方を把持するように構成されている、配置するステップと、(iv)患者2をアンダーボディサポート16上に位置決めするステップと、を含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、
図23に示されるように、引き抜きシート76は、患者2(図示せず)を持ち上げるために、アンダーボディサポート16の上に位置決めされ得る。引き抜きシート76は、手術台4を横切って左右に位置決めされ、実質的に患者2の胴体の下に位置する細長い布のシートである。引き抜きシート76の端部は、患者2の各側に延在し、外科スタッフが、患者またはスタッフへの損傷を回避しながら、手術台4からガーニまで患者2を持ち上げることを可能にする。既知の引き抜きシートには、幅が約18~36インチ、長さが約6~7フィートの細長いシートに長手方向に折り畳まれたベッドシートが含まれる。引き抜きシート76は使い捨てであり得、織布または不織布のいずれかから作製され得る。いくつかの実施形態では、使い捨ての引き抜きシート76を使用することができ、長さが60~84インチの間であり、幅が12~36インチの間であり得る。
【0076】
患者固定デバイスと患者の間で、いずれか患者固定デバイスの上部に置かれた布のシートは、患者固定デバイスの効果を低下し得ることは、当業者には理解されるであろう。この理由の1つは、綿またはポリエステル織物などのしっかりと織られた布が、固定デバイスに対して滑る可能性があるためである。既知の引き抜きシートのこの制限に対処するために、いくつかの実施形態では、本開示の引き抜きシート76は、ポリエステル繊維を含むがこれに限定されない不織布で有利に作製することができる。比較的緩い繊維を有する不織布は、固定パッド26(例えば、発泡体固定パッド)または本開示の摩擦増強要素34と相互作用して、織布と比較して比較的滑りにくい界面を生成し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、不織布は、繊維が引き抜きシート76の患者の体重を持ち上げる軸である長軸に主に配向していれば非常に強く、しかも使い捨てであるため、引き抜きシート76に使用するものとして選択することができる。さらに、いくつかの実施形態では、引き抜きシート76の不織布繊維は、ベルクロ(登録商標)フックおよびループファスナのループ部分に類似している。不織布繊維で作製された引き抜きシート76の押し込まれた端部は、アンダーボディサポート16の下側、または手術台マットレス30の下側、またはベースシート106(例えば、布または膜のシート)の下側に取り付けられたベルクロ(登録商標)フック材料に確実に固定され得る。引き抜きシート76の端部が、アンダーボディサポート16、または手術台マットレス30の下側、またはベースシート106の下側の下に押し込まれている場合、ベルクロ(登録商標)フックと引き抜きシート76との間の確実な接続、この例の不織布引き抜きシートであるが、引き抜きシート76が引き出されて広げられることを防止する。この配置により、患者の押し込まれた腕に対して、非常に安全で信頼性の高い支持が創出される。
【0078】
いくつかの実施形態では、
図24に示されるように、引き抜きシート76は、摩擦増強要素80を含む。摩擦増強要素80は、三次元摩擦増強要素であり得、またプラスチックまたはゴムであり得る(または含み得る)。摩擦増強要素80には、PVC発泡体、粘弾性PVC発泡体、シリコーン、粘弾性ポリウレタン発泡体、他の粘弾性高分子発泡体、ウレタン、PVC、ならびに他のポリマーおよびゴムが含まれるが、これらに限定されない。摩擦増強要素80は、引き抜きシート76の上面にのみ適用されてもよく、または引き抜きシート76の底面にのみ適用されてもよく、または引き抜きシート76の上面と底面の両方に適用されてもよい。引き抜きシート76の上面の摩擦増強要素80は、引き抜きシート76の中心近くの、患者2の背部に接触する可能性が最も高い場所に位置し得る。患者の背部の場所に対応する引き抜きシート76の上面の中央領域に適用される摩擦増強要素80は、引き抜きシート76が介在していなかった場合に布のシート32と患者の背部によって提供されたであろう同様の摩擦係数を、引き抜きシート76と患者の背部との間に提供し得る。
【0079】
摩擦増強要素80は、引き抜きシート76の端部78と患者に接触する中央領域との間で、引き抜きシート76の上および/または下面に適用され得る。引き抜きシート76の端部78と患者に接触する中央領域との間に適用される摩擦増強要素80は、引き抜きシート76と手術台マットレス30、アンダーボディサポート16、または手術台上部64との間の摩擦係数を増加させる。引き抜きシート76の端部78に摩擦増強要素80を追加すると、押し込まれたときに、引き抜きシート76の端部78を、手術台マットレス30、アンダーボディサポート16、または手術台上部64の間から引っ張るのに必要な力が実質的に増加する。引き抜きシート76の端部78と患者に接触する中央領域との間に適用される摩擦増強要素80は、引き抜きシート76の端部78が、手術台マットレス30、アンダーボディサポート16、または手術台上部64の間からうっかり引き出されるのを防止し、患者の腕が落ちて怪我をするのを防止するのに役立つ。
【0080】
いくつかの実施形態では、
図25に示されるように、引き抜きシート76は、三次元摩擦増強要素であり得る摩擦増強要素34を含む、前述の布のシート32の材料の小片を含む。布のシート32の材料の小片は、例えば、約24インチ四方であり得、RFシール、ヒートシール、縫製、または接着剤取り付けによって引き抜きシート76の上面の中央領域に取り付けられ得る。引き抜きシート76に取り付けられた布のシート32の材料の小片の他のサイズおよび形状が、見込まれる。引き抜きシート76の上部にある摩擦増強要素80は、布のシート32上の摩擦増強要素34と同じ方法で患者の背部に係合する。したがって、布のシート32による固定の有効性は、布のシート32または他の既知の固定パッド26と患者の背部との間に本開示の引き抜きシート76を介在させることによって、悪影響を受けない。
【0081】
三次元摩擦増強要素であり得る摩擦増強要素34を有する布のシート32の小片を引き抜きシート76に取り付けることにより、引き抜きシート76は、最大300ポンドの体重の患者を持ち上げることができる強力で非伸縮性の不織布材料となることが可能になる。同時に、三次元摩擦増強要素であり得る摩擦増強要素34を有する布のシート32の小片は、摩擦増強要素34の最適な形成のためにスクリム材料で有利に作製され得、なおかつ、患者の体重を持ち上げるために、より弱いスクリム材料が必要となることはない。この組み合わせは、各材料の長所を最適化し、各材料の短所を補完する。
【0082】
引き抜きシート76の上面に取り付けられた布のシート32の材料の小片はまた、患者の下で引き抜きシート76を安定させるのに役立つ。これは、引き抜きシート76上に横たわっている患者に応答して、引き抜きシート76の側面が、引き抜きシート76をまとめて狭くすることを防止する。
【0083】
いくつかの実施形態では、
図26に示されるように、布のシート32材料の断片は、引き抜きシート76の端部78と患者に接触する中央領域との間で、引き抜きシート76の上および/または下面に取り付けられて、三次元摩擦増強要素となり得る摩擦増強要素80を提供してもよい。場合によっては、布のシート32の各片は、図面において32A、32B、32C、および32Dとして個別に示されている。布のシート32の断片は、幅が約0.5~約2インチであり、引き抜きシート76の一方の縁から他方の縁に実質的に達する細長片であり得る。布のシート32の断片は、RFシール、ヒートシール、縫製、または接着剤取り付けによって引き抜きシート76に取り付けることができる。布のシート布32の断片の他のサイズおよび形状が、見込まれる。引き抜きシート76の端部78に、三次元摩擦増強要素であり得る摩擦増強要素80を追加すると、押し込まれたときに、引き抜きシート76の端部78を、手術台マットレス30、アンダーボディサポート16、または手術台上部64の間から引っ張るのに必要な力が実質的に増加する。
【0084】
いくつかの実施形態では、
図27に示されるように、腕固定フラップ84の形態の横方向延長部が、患者の胴体を支持するアンダーボディサポート16または手術台マットレス30の部分12に追加されて、患者の腕を、患者の側面に押し込まれたときの支持および保持を助けることができる。場合によっては、腕固定フラップ84は、参照番号84Aおよび84Bとして図面に個別に示されている。「腕を押し込んだ」位置は、トレンデレンブルグ体位で行われる外科手術中では、非常に一般的である。腕固定フラップ84は、患者の胴体を支持するアンダーボディサポート16または手術台マットレス30の部分12の側縁に、取り外し可能に有利に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、アンダーボディサポート16の側面に恒久的に取り付けられ得る。
【0085】
「腕が押し込まれる」位置は、心臓外科などのトレンデレンブルグ体位では実行できない可能性のある外科手術中では、非常に一般的である。特定の手順、例えばロボット心臓手術では、(トレンデレンブルグまたは逆トレンデレンブルグ体位のように一方の端または他方の端とは対照的に)手術台4を一方の側または他方の側に傾けることができる。これは、横傾斜位置と呼ばれることがある。横傾斜位置では、患者2は、手術台4から横方向に滑り落ちる危険があり得る。いくつかの実施形態では、布のシート32を使用して、患者2が手術台4から横方向に滑り落ちるのを防止することができる。布のシート32は、トレンデレンブルグ体位について前述した縦方向の滑りを防止するのと同じように、横方向の滑りを防止する。
【0086】
横傾斜位置では、患者2は、手術台4から横に転がる危険があり得る。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84を使用して、患者が手術台4から横に転がるのを防止することができる。腕固定フラップ84は、アンダーボディサポート16および手術台4に固定されたアンダーボディサポート16のいずれか、またはその下に固定されている。したがって、腕固定フラップ84は、間接的ではあるが確実に手術台に固着されている。腕固定フラップ84が患者の腕94の周り、特に肩の近くの脇の下まで巻き付けられ、引き抜きシート76によって所定の位置に保持されるとき、腕固定フラップ84は、患者2が手術台4で横に転がるのを確実に防止する。腕固定フラップ84を使用して転がりを防止することは、腕が患者の体2の最も横方向または最も外側に位置する取り付け位置であり、転がりを防止するために最も有利な機械的なテコを持っているという事実を有利に利用している。横転を防止するこの設計と方法により、患者の胸部に安全ストラップを配置する必要が独自になくなる。明らかに、患者の胸部にわたる安全ストラップは、心臓および胸部外科手術中に利用することができず、したがって、腕固定フラップ84で患者を手術台4に固定することは、これらの処置中に特に有利である。他の外科的処置のための腕固定フラップ84による横転防止も、見込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、本開示において先で考察されるアンダーボディサポート16と同じ材料であり、一般に同じ構造で作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、長さが約18~約36インチの間であり、アンダーボディサポート16の側面から約10~約24インチの間で延びることができる。腕固定フラップ84は、一般に長方形の形状であってもよく、または様式化されていてもよい。例えば、腕固定フラップ84は、上腕において広く、手において狭くなる先細りであり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84を加熱することができる。腕固定フラップ84は、米国特許第8,772,676号に開示されているように、加熱ブランケットであり得、参照によりその全体が本開示に組み込まれている。腕固定フラップ84が加熱されると、それらは、プラスチック膜で作製された防水シェルに柔軟なシート状の加熱要素を封入することによって、作製され得る。シェルは、加熱要素を覆い、加熱要素の縁の周りで一緒に溶接された2枚の柔軟なプラスチック膜材料を含む。シェルはまた、断熱材の1つ以上の層、および発泡体パディングまたは他の保護材料の1つ以上の層を覆うことができる。腕固定フラップ84が加熱されると、それらは、低体温症を予防または治療する患者へのより多くの熱伝達を可能にするために、腕の利用可能な皮膚表面(各腕は体表面積の約9%である)を利用する。腕および手を加熱することによって患者に熱を送達することに加えて、腕および手への熱は血管拡張を引き起こし、血流を改善し、したがってIVの流れを改善する。血流が増加すると、パルスオキシメータおよび動脈経路などのいずれかの血管内モニタリングデバイスの精度も向上する。
【0089】
いくつかの実施形態では、
図28に示されるように、腕固定フラップ84は、患者の胴体を支持するアンダーボディサポート16または手術台マットレス30の部分12の側縁に取り外し可能に取り付けられ得る。腕固定フラップ84は、各腕固定フラップ84の縁をアンダーボディサポート16の縁に固定するために、タブ86などの2つ以上の取り付け点を有し得る。場合によっては、タブ86は、参照番号86Aおよび86Bとして図面に個別に示されている。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、腕固定フラップ84の縁をアンダーボディサポート16の縁に固定するために、タブ86などの複数の取り付け点を有し得る。複数の取り付け点により、どの取り付け点が互いに一致しているかに応じて、アンダーボディサポート16と比較して、腕固定フラップ84の相対的な位置決めの調整が可能になる。例えば、背の低い患者または非常に長い腕を有する患者は、足端部に近いタブ86に取り付けられた腕固定フラップ84を有するか、またはアンダーボディサポート16または患者の胴体を支える手術台マットレス30の部分12の足端部を越えて延びることさえできる。背の高い患者または非常に胴が長い患者は、アンダーボディサポート16または患者の胴体を支持する手術台マットレス30の部分12の頭端部により近いタブに取り付けられた腕固定フラップ84を有し得る。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、アンダーボディサポート16の縁に恒久的に固定され得る。
【0090】
取り付け点は、シェルの周辺結合から外側に延びるシェル材料から作製されたタブ86またはフラップであり得る。これらの取り付け点またはフラップは、強度を高めるために、例えば、ナイロンメッシュで繊維強化することができる。タブ86またはフラップは、腕固定フラップ84またはアンダーボディサポート16上のボタン穴88、およびボタン穴88と整合可能な対応するボタン89を含み得る。タブ86またはフラップは、腕固定フラップ84またはアンダーボディサポート16上のベルクロ(登録商標)フック、およびフックと整合する関連するベルクロ(登録商標)ループを含み得る。ストラップ、スナップ、バーブ、タイ、または他の留め具が、見込まれる。かなりの厚さを有するボタンおよびスナップなどの留め具は、ボタンが患者ではなく手術台マットレス30に面するように有利に位置決めされ得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84の縁をアンダーボディサポート16の縁に固定するための、タブ86であり得る複数の取り付け点が存在する。この場合、アンダーボディサポート16の縁に対する腕固定フラップ84の位置は、患者の異なる高さおよび腕の長さ、ならびに手術台4上のそれらの相対位置に適応するように調整可能である。腕固定フラップ84は、アンダーボディサポート16の縁のいずれかの部分に固定することができ、次の患者に適応するために必要に応じて動かすことができる。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、アンダーボディサポート16に取り付けられており、それから取り外すことはできない。
【0092】
いくつかの実施形態では、
図29に示されるように、腕固定フラップ84は、手術台上部4の幅に近似するベースシート106(例えば、布または膜のシート)の側縁に固定され得る。ベースシート106は、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下または上に位置決めされ、手術台4の一方の側から他方の側に実質的に延びることができる。腕固定フラップ84は、ボタン、ベルクロ(登録商標)、ストラップ、スナップ、バーブ、またはタイなどを含むが、これらに限定されない、腕固定フラップ84を手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16に取り外し可能に取り付けるために、上に開示したのと同じ留め具でベースシート106の縁に固定することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、馬のサドルバッグのように、ベースシート106の側面に恒久的に取り付けられ得る。恒久的な取り付けは、ベースシート106の側縁への腕固定フラップ84のRFシール、熱または超音波シール、縫製、または接着結合によって達成することができる。いくつかの実施形態では、ベースシート106は、強度を高めるためにナイロンなどの繊維を用いて、プラスチック膜内に繊維強化材を含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、
図30に示されるように、ベースシート106は、ウレタンまたはPVC膜の1つ以上の層で作製されている。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84は、それらの近位側が手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の側縁に近接するように、ベースシート106の各側に取り付けられ得る。膜の第2の層は、ベースシート106の一部またはすべてに取り付けられ、一方の腕固定フラップ84から手術台を横切って他方の腕固定フラップ84まで横断する密閉空間またはブリッジを作成することができる。いくつかの実施形態では、ワイヤは、この空間を横断して、一方の腕固定フラップ84のヒータを他方の腕固定フラップ84のヒータに接続することができる。この接続により、単一のプラグインで両方のヒータを好都合に作動させることが可能になる。この接続により、単一のコントローラで両方のヒータを制御および電力供給することも可能になる。
【0095】
いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84およびベースシート106のシェル材料は、一方の腕固定フラップ84の遠位端から他方の腕固定フラップ84の遠位端まで延びるプラスチック膜の連続層から作製することができる。シェル材料の連続層を使用して、腕固定フラップ84およびベースシート106の両方の外側シェルを創出するこの構造は、ベースシート106を形成するシェル材料の層の間に密閉された空間を有利に創出することができ、これは、一方の腕固定フラップヒータから他方の腕固定フラップヒータへと横断するワイヤを収容して保護することができる。2つの腕固定フラップ84を覆うシェル材料の延長部を使用するこの構造は、2つの腕固定フラップ84のシェルおよびベースシート106(例えば、膜のシート)を、RFプレスで単一のシールを用いて製造することを可能にし得る。シェル材料の連続片により、2つの腕固定フラップ84とベースシート106との間の取り付け具におけるエラー、故障、および漏れの可能性が低くなる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ベースシート106は、様々な患者の位置で患者の腕を覆うための腕固定フラップ84を最適に位置決めするために、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の長さに沿って移動可能である。例えば、あぶみ6で脚を上げている砕石位では、患者は手術台4の足端部に向かって移動され、腕固定フラップ84は、手術台4の実質的に中央部分に位置させることができる。仰臥位では、患者は手術台4上の通常の位置にあり、腕固定フラップ84は、手術台4の頭端部に向かって位置させることができる。手術台4上の患者の位置に応じて、腕固定フラップ84は、患者の腕の場所に一致するように手術台4の長さに沿って容易に調整することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、
図31に示されるように、腕固定フラップ84は、手術台上部の幅に近似する2つ以上のベースストラップ108に固定され得る。ベースストラップ108は、手術台マットレス30またはアンダーボディサポート16の下または上に位置決めされ、手術台の一方の側から他方の側に延びることができる。ベースストラップ108の長さは、異なる幅の患者に適応するように調整可能であり得る。腕固定フラップ84は、ベースストラップ108の各端部に固定することができる。いくつかの実施形態では、ベースストラップ108をベースシート106に組み込んで、幅の調整可能性を改善することが可能になる。
【0098】
腕固定フラップ84の目的は、腕が誤って後方または下方に落下して腕神経叢神経損傷を引き起こすのを防止するために、患者の押し込まれた腕に保障および安全性を提供することと、手術器具によって誤って印加され得る圧力による、圧力損傷から腕と指を保護することと、肘における尺骨神経などの露出した神経を、印加された圧力から保護することと、患者の側面において腕を確実に位置決めして保持することである。本開示の腕固定フラップ84は、これらの保護を提供するのに、独自に適格である。
【0099】
加熱されているかどうかにかかわらず、本開示の腕固定フラップ84は、繊維状断熱材または発泡体材料などのパッド入り材料の層96を含み得る。シェル材料およびヒータ材料と組み合わせて、内部材料の層は、患者の腕および指を外部の圧力点および偶発的な傷害から保護する柔軟なパディングを提供する。
【0100】
いくつかの実施形態では、
図32に示されるように、アンダーボディサポート16またはベースシート106の縁への腕固定フラップ84の取り付けは、患者2の腕94をその上に置くことができるシェルフ92を提供する(特に、患者が肥満で、その腕が手術台の縁にぶら下がっている場合)。シェルフ92は、アンダーボディサポート16またはベースシート106に固定されている腕固定フラップ84の近位側によって規定されている。このシェルフ92は、
図33に示されている既知の腕押し込み操作よりも、重いアームの重量を支持するには、はるかに安全である。既知の腕の押し込みは、引き抜きシート76の端部が患者の下から抜け落ちて腕を落とさないことに完全に依存している。既知の腕の押し込みは、保持については患者の体重に依存しているが、特定の保持強化機能はない。対照的に、本開示の腕固定フラップ84は、
図32に示されるように、引き抜きシート76の押し込まれた端部が確実に押し込まれたままであることに依存するのではなく、腕固定フラップ84の近位側をアンダーボディサポート16またはベースシート106に確実に固定する。腕固定フラップ84とアンダーボディサポート16との間の確実な接続によって提供される保障は、特定の既知の引き抜きシートの端部を患者の下に押し込むことによって提供される保障よりもはるかに信頼性が高い。
【0101】
いくつかの実施形態では、比較的堅い発泡体の層であり得る発泡体の層104を、腕固定フラップ84のシェルの内側に追加して、腕固定フラップ84のシェルフ効果を高めることができる。いくつかの実施形態では、発泡体104の比較的堅い層は、一方向に曲げることができるが(単純曲線)、二方向に曲がることに抵抗する(複合曲線)独立気泡ポリエチレン、独立気泡ポリウレタン、または独立気泡PVC発泡体から作製することができる。腕固定フラップ84をアンダーボディサポート16に取り付けることによって創出されたシェルフ92の相対的な保障により、手術台4に別個に取り付ける必要がある金属トボガンまたは金属腕サポートの必要性がなくなる。シェルフ92はまた、患者の幅に合うように、2つの腕サポート間の幅を自動的に調整する。手術台の側縁にぶら下がっている大柄な患者の腕は、腕の周りに上向きに巻き付ける前に、アンダーボディサポート16の側面から離れて延びる腕固定フラップ84によって支持される。腕が大きな幅広の患者は、自動的に腕固定用フラップ84がシェルフ92により多く含まれるようになる。逆に、腕が小さい細い患者は、シェルフ92となるアンダーボディサポート16の側縁に腕を置くことができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、
図32および34に示されるように、腕固定フラップ84は、底部から腕の上部に向かって腕に巻き付けられた後、脇の下および腕94と胴体130の間の空間に押し込まれる。腕固定フラップ84が腕周囲と比較して広すぎる場合、腕固定フラップ84の遠位端98はそれ自体で折り返され、折り返された遠位加熱面を患者の胴体の側面と接触させたままにすることができ、熱伝達表面積を有利に増加させる。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84の遠位端98をそれ自体に折り返すことにより、実質的に長方形のヒータを有する実質的に長方形のフラップが、大きな周囲を有し得る上腕と、比較的小さな周囲を有する前腕および手首とにフィットすることが可能になる。結果として生じる折り返し領域は、上腕よりも手首において大きくなるが、腕94は、腕固定フラップ84によって均一に囲まれるであろう。長方形の形状であり得る腕固定フラップ84は、手(円錐の先端)の近くで余分なヒータをそれ自体で折り返し、折り返したヒータを胴体の隣接する側面に当てて熱伝達を加えることで、実質的に円錐形の腕でもしっかりと巻き付けることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、巻き付けられると、手首の腕固定フラップ84の遠位端98をそれ自体で容易に折り返して、IV部位の好都合な検査のために、手および手首を露出させることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、
図35Aおよび35Bに示されるように、引き抜きシート76は、まず胴体130の側(腕94と胴体130の間)に沿って上向きに引っ張り、次に上から腕94の周りに下に向かって巻き付けて、アンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106の下に押し込むことで、従来の方法で巻き付けてもよい。腕固定フラップ84に対する引き抜きシート76の逆回転巻き付けにより、独特で非常に安全な腕ラップを創出する。腕固定フラップ84は、底部から上向きに腕の周囲に巻き付き、引き抜きシート76は、上から下向きに腕の周囲に巻き付く。腕固定フラップ84および引き抜きシート76は、腕の反対側にそれらの固着された縁を有し、互いに交差し、互いを所定の位置に固定する。アンダーボディサポート16またはベースシート106に取り付けられた腕固定フラップ84は、引き抜きシート76の押し込まれた端部をその押し込まれた位置から引き抜くことができる、患者の腕からの力を効果的に無効化する。
【0105】
図35Bに示されるように、腕固定フラップ84に対する引き抜きシート76の逆回転巻き付けは、従来の押し込まれた引き抜きシートが患者の下から自然に引き出されるような力を、実質的にすべて防止することができる。従来の引き抜きシートを患者の下の押し込まれた位置から通常引き抜き得る腕の重さの力は、腕固定フラップ84の近位側がアンダーボディサポート16またはベースシート106に取り付けられていることによって完全に防止される。いくつかの実施形態では、摩擦増強要素80が、アンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106に接触する押し込まれた領域の引き抜きシート76に追加される場合、アームラップの保障をさらに高めて、引き抜きシート76が上記のように押し込まれたときに、引き抜きシート76の偶発的な脱落を防止することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、摩擦増強要素80を、腕固定フラップ84と接触する領域で引き抜きシート76に追加して、腕固定フラップ84に対する引き抜きシート76の逆回転巻き付きの確実な相互作用をさらに強化することができる。いくつかの実施形態では、ベルクロ(登録商標)面ファスナのフック部分128をアンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106に取り付けて、ループ部分として機能する引き抜きシート76の不織布との確実な接続を創出し、引き抜きシート76と腕固定フラップ84との間の反回転接続の偶発的な脱落をほぼ不可能にすることができる。場合によっては、フック部分128は、参照番号128Aおよび128Bとして図面に個別に示されている。
【0107】
腕固定フラップ84に対する引き抜きシート76の逆回転巻き付けは、独自の非常に安全なラップを創出する一方で、ユーザにとってはまた、それは単純で直感的なものとなる。腕固定フラップ84を底部から上向きに腕に巻き付けることは直感的であり、両手で容易に達成される(3つの手を必要とする外科患者のための他の従来の腕保護デバイスとは対照的に、片手は腕を保持し、2つの手はデバイスを腕に巻き付け、ストラップで所定の位置に固定する)。アンダーボディサポート16の側面から垂れ下がっている腕固定フラップ84は、腕に腕固定フラップ84で巻き付ける前に、ユーザが最初に引き抜きシートを押し込むことを効果的に防止する。腕が腕固定フラップ84で底部から上向きに腕の周りに巻き付けられると、引き抜きシート76は上から下に巻き付けられ、ユーザがすでに慣れ親しんでいるシートの押し込み方法で従来のアンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106の下に押し込まれる。
【0108】
いくつかの実施形態では、2つの腕固定フラップ84を、
図27に示すようにアンダーボディサポート16または手術台マットレス30の側縁に取り付けた、または
図29に示すようにベースシート106に取り付けた、または
図31に示すようにベースストラップ108に取り付けたアンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106の3パネル構造は、単一のヒータ構造の単一部分と比較して、多くの理由で有利であり得る。例えば、加熱アンダーボディサポートであるアンダーボディサポートの最大安全温度は39℃であるが、加熱腕固定ラップである腕固定ラップの最大安全温度は43℃である。3パネル構造を有することで、各部分を独立して安全に温度制御することが可能になる。アンダーボディサポート16または手術台マットレス30の最適な構造は、圧縮可能であり得るが、特に軟質ではない発泡体パッドを含む。対照的に、腕固定フラップ84の最適な構造は、薄い繊維状の断熱層を含んでおり、これは圧縮できないが、最適な巻き付けと皮膚への接触のために非常に柔軟である。アンダーボディサポート16または手術台マットレス30は、手術台4の幅に対応する固定の予測可能な幅であり得る。対照的に、腕固定フラップ84の幅は、好都合にも、痩せた患者では狭く、肥満患者では広くあり得る。腕固定フラップ84は、ベースシート106に取り外し可能または取り付け可能であり、様々な患者の幅、および肥満手術などのニーズに合わせて調整することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、
図36に示されるように、布のシート32の横方向延長部100は、腕固定フラップ84を実質的に覆うように外側に延ばすことができる。横方向延長部100は、腕固定フラップ84のサイズに近似し得る。いくつかの実施形態では、横方向延長部100は、摩擦増強要素を含み、いくつかの実施形態では、横方向延長部100に穴または空間を含む、布のシート32と同じ材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、横方向延長部100は、布のシート32とは異なる材料、例えば、患者の腕の皮膚が、加熱腕固定フラップ84に直接接触することから単に保護する織布または不織布で作製することができる。いくつかの実施形態では、横方向延長部100は、ポリマー膜の層に積層された不織布で作製することができる。不織布は、例えば、ポリエステル繊維で作製されていてもてもよいが、不織布には他の材料が見込まれる。横方向延長部100のポリマー薄膜の層は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンで作製することができるが、他の膜材料が見込まれ、使用することができる。いくつかの実施形態では、横方向延長部100は、厚さ0.7~2.0mill(0.0007~0.002インチ)のポリプロピレン膜で片面を押し出しコーティングした、約1.0~1.4oz/sqydのスパンボンド式不織布ポリプロピレン繊維で作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、横方向延長部100が布のシート32とは異なる材料で作製されている場合、横方向延長部100は、接着結合、熱接着、RF結合、または縫製によって布のシート32に取り付けられ得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、発泡体パッド102は、患者2の肘が位置すると見込まれる横方向延長部100に有利に取り付けられ得る。発泡体パッド102は、肘が腕固定フラップ84によって創出されたシェルフ92上にあるときに、肘における尺骨神経に圧力が印加されるのを防止するのに役立つ。発泡体パッド102は、肘および腕の最適なパディングのために粘弾性「記憶」発泡体で作製することができる。いくつかの実施形態では、発泡体パッド102は、厚さ約0.05~1.0インチ、幅約4~8インチ、および長さ約6~16インチの間であり得る。場合によっては、発泡体パッド102は、参照番号102Aおよび102Bとして図面に個別に示されている。
【0111】
いくつかの実施形態では、手術台4上で患者2の腕を支持、保護、および加熱する方法が提供される。この方法は、(i)手術台4上で患者2を支持するように構成されているアンダーボディサポート16を提供することであって、アンダーボディサポート16が、手術台4に面するように構成されている下面を有するベース層の反対側に患者2に面するように構成されている上面を有する圧縮性材料層を含む、提供することと、(ii)アンダーボディサポート16を手術台4に結合することと、(iii)加熱腕固定フラップを備える腕固定フラップ84を、アンダーボディサポート16またはベースシート106の側縁に取り付けることと、(iv)アンダーボディサポート16の上面と患者2との間に布のシート32を配置することであって、布のシート32が、布のシート32の片側または両側に摩擦増強要素34を備え、布のシート32が、患者がアンダーボディサポート16から不注意に滑り落ちるのを防止するために、アンダーボディサポート16と患者2の両方を把持するように構成されており、布のシート32が、腕固定フラップ84を実質的に覆う横方向延長部100をさらに含む、配置することと、(v)患者2をアンダーボディサポート16上に位置決めすることと、(vi)引き抜きシート76を胴体に沿って上方に引っ張ることと、(vii)加熱腕固定フラップおよびそれに対応する横方向延長部100を含む各腕固定フラップ84を、底部から上に向かってそれぞれの腕の周りに巻き付けることと、(viii)次に、引き抜きシート76の端部を上から腕の周りに下向きに巻き付け、それをアンダーボディサポート16、手術台マットレス30、またはベースシート106の下に押し込むことと、を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、
図37に示されるように、加熱され得るアンダーボディサポート16は、腕固定フラップ84(これも加熱され得る)を有する手術台4上の患者2(図示せず)を支持するように構成されており、トレンデレンブルグ体位で行われない外科手術に有利に使用することができる。例えば、心臓手術では、患者の腕をその側方において押し込む必要があり、患者の前面全体が「準備」されているため、積極的な表面加温のために利用できる表面積はほとんどない。同様に、腹部または胸部のロボット手術では、ロボットを患者の隣に置くための十分なスペースを確保するために、腕を押し込む必要があり得る。他の外科的処置も見込まれる。患者の背中と腕を温めるだけでなく、患者の腕を支えて保護することが、非常に望ましい場合がある。患者が急峻なトレンデレンブルグ体位に配置される予定がない場合、摩擦増強要素34を有する布のシート32は必要とされない可能性がある。この状況では、アンダーボディサポート16または手術台マットレス30の上に位置決めされた布のシート32は、腕固定フラップ84を覆う横方向延長部またはバリアフラップ114を提供するように変更された手術台カバー110と交換することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、織布または不織布のポリマーまたは天然繊維の布片であり、手術台マットレス112の上面全体を覆うようにサイズ決定され、手術台カバー110の縁を手術台マットレス112の下に押し込むのに十分な余分材料を有している。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、押し込むための手術台マットレス112の一部またはすべての側面に、約12~18インチの余分材料を有するようにサイズ決定されてもよい。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、プラスチック膜の層に積層されて手術台上部の防水プロテクタを創出する、織布または不織布ポリマーまたは天然繊維の布片である。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、厚さ0.7~2.0mill(0.0007~0.002インチ)のポリプロピレン膜で片面を押し出しコーティングした、約1.0~1.4oz/sqydのスパンボンド式不織布ポリプロピレン繊維で作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはレーヨンで作製された不織布繊維で作製されている。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、スパンレースポリマー繊維(例えば、Sontara、Jacob Holm Corp.)で作製されている。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、綿織物またはポリマー織物繊維で作製されている。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、セルロース充填剤材料を含み得る。いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、他の流体吸収材料を含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、手術台カバー110は、手術台カバー110の側縁から約12~18インチ内側に延びる各側に2つのスリット116を有する。スリット116は、腕固定フラップ84の場所に対応し得る2つのバリアフラップ114を創出する。スリット116の最も内側の点は、手術台マットレス112の幅にほぼ対応する。手術台カバー110の端部が手術台マットレス112の下に押し込まれている場合、2つのバリアフラップ114は、広げられて、腕固定フラップ84を覆っているままであり得る。これは、腕固定フラップ84がその場所での手術台カバー110の押し込みを防止するので、特に好都合であり得る。いくつかの実施形態では、腕固定フラップ84を覆う2つのバリアフラップ114は、腕固定フラップ84上にあり得る残留洗浄液から患者の腕を保護する。
【0115】
いくつかの実施形態では、
図35Aおよび35Bに示されるように、患者が急峻なトレンデレンブルグ体位に配置されない場合、以前に開示された引き抜きシート76は、患者の背部に接触する引き抜きシート76の上面に摩擦増強要素80を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、平らな台の上での外科的処置のための引き抜きシート76は、前述のように、腕固定フラップ84との逆回転係合の保障を助けるため、かつ引き抜きシート76の押し込まれた端部の保障を有して、患者の背部の下ではない領域に摩擦増強要素80を依然として含むことができる。いくつかの実施形態では、引き抜きシート76の端部近くの摩擦増強要素80は、引き抜きシート76に直接適用される発泡体プラスチックまたはゴムの三次元要素であり得る。いくつかの実施形態では、引き抜きシート76の端部近くの摩擦増強要素80は、接着剤、RF、熱または縫製結合で引き抜きシートに結合された布地のシート32材料の断片であり得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、ベルクロ(登録商標)面ファスナのフック部分をアンダーボディサポート16、手術台マットレス12、またはベースシート106に取り付けて、ループ部分として機能する引き抜きシート76の不織布との確実な接続を創出し、引き抜きシート76と腕固定フラップ84との間の反回転接続の偶発的な脱落をほぼ不可能にすることができる。引き抜きシート76を不織布で作製することにより、ベルクロ(登録商標)面ファスナのフック部分がその長さに沿ってどこにでも接着することが、都合よく可能になる。
【0117】
いくつかの実施形態では、
図38に示されるように、2つの胸部ストラップ118が布のシート32の側縁に取り付けられてもよく、または2つの胸部ストラップ118は、布のシート32の下の手術台4の一方の側から別の側に延びる単一のストラップの露出端であり得る。各側からの胸部ストラップ118は、患者2の胸部を越えることができ、胸部ストラップ118の自由端は、ベルクロ(登録商標)または他の留め具で共に固定することができる。これらの胸部ストラップ118は、加熱ブランケット120を患者2の胸部に固定するように位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、胸部ストラップ118は、面(ベルクロ(登録商標))ファスナのループ側として機能することができる不織布繊維材料で作製することができる。他方の(例えば、不織布の)胸部ストラップ118の長さに沿ってどこにでもしっかりと係合することができる、ベルクロ(登録商標)フック材料の一部を、胸部ストラップ118の一方または両方に取り付けることができる。
【0118】
図38に示されるように、2つの胸部ストラップ118は、布のシート32の側縁に取り付けることができる。これらのストラップ118は、そうでなければ手術室の看護師によって、手術台4のサイドレール20に取り付けられ得るストラップに取って代わることができる。これらのストラップ118を布のシート32に事前に取り付けることは、好都合であり、看護時間を節約する。いくつかの実施形態では、ストラップ118は、加熱ブランケット120を患者の胸部の上に固定することのみを目的としているので、したがって、それらは比較的狭い(幅0.5~1.25インチ)。細いストラップは、加熱ブランケット120などの軽い物体を固定することのみができる場合がある。有利なことに、狭いストラップ118は、患者を手術台に固定することを意図した安全ストラップと間違えられることはない。
【0119】
通常、患者は、頭が手術台4の頭端部の近くにある状態で、全身麻酔で麻酔され、麻酔医には、挿管のために頭部と気道への容易なアクセスが提供される。麻酔導入後、患者は、砕石位に位置決めするために、手術台4の足端部に向かって移動する必要がある。典型的には、この移動は、患者の頭部、肩、および足も持ち上げながら、引き抜きシート76の各側を持ち上げることによって、アンダーボディサポート16から患者を持ち上げることによって達成される。手術室のスタッフは、重い患者を持ち上げて背部を損傷させることがよくある。重い患者は持ち上げるのが非常に難しいため、持ち上げ運動よりも滑り運動になり得る。患者を滑らせることに関する問題は、摩擦増強要素34を有する布のシート32、ならびに他の発泡体固定パッド26が、この滑り運動を防止するように設計されており、したがって、患者の再位置決めが非常に困難になることである。
【0120】
いくつかの実施形態では、
図39に示されるように、スライドシート122は、布のシート32または他の発泡体固定パッド26の上部に位置決めされて、手術台4の足端部に向かって患者を容易に滑らせることを可能にし得る。引き抜きシート76は、患者を手術台4の足端部に向かって滑らせることを容易にするために、スライドシート122の上部に配置することができる。引き抜きシート76の患者側と布側の両方が、持ち上げなくても、スライドシート122の滑りやすい表面に対して容易に滑り、布のシート32と摩擦増強要素34から分離される。スライドシート122は、プラスチック膜、不織布、織布、またはプラスチック膜に積層された不織布で作製することができる。プラスチック膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、または他の好適なプラスチックであり得る。不織布または織布は、ポリエステルまたはポリプロピレン繊維、あるいは他の好適なプラスチックまたは天然繊維で作製することができる。いくつかの実施形態では、スライドシート122の不織布繊維側は、スライドシート122の滑りやすい品質を最大化し、患者が横たわるのに最適に快適になるように、上向きに配置される。いくつかの実施形態では、スライドシート122の端部は、患者2の移動中のスライドシート122の滑り防止を助けるために、患者の胴体を支持するアンダーボディサポート16または手術台マットレス部分12の頭および足端部の下に押し込むことができる。いくつかの実施形態では、スライドシート122の端部は、患者2の移動中のスライドシート122の滑り防止を助けるために、手術台マットレス30の頭および/または足端部の下に押し込むことができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、スライドシート122の足端部は、患者2を手術台4に横向きに座った状態(例えば、脊椎ブロックのため)から、手術台4に縦向きに寝かせた状態に再位置決めすることを容易にするために使用することができる。この再位置決め操作では、患者を仰向けに寝かせる前に、座ったまま90°回転させる必要がある。このように座っている患者を回転させることは、布のシート32の摩擦増強要素34および引き抜きシート76または他の発泡体固定パッド26によって防止されるであろう。しかしながら、患者がスライドシート122上に座っている場合、患者を90°回転させることは容易であり、布のシート32または引き抜きシート76または他の発泡体固定パッド26はその過程で変位しない。
【0122】
患者が再位置決めされたら、スライドシート122を患者2の下から取り外さなければならず、さもないと、固定デバイスまたは他の発泡体固定パッド26の摩擦増強要素34の目的全体が無効になる。いくつかの実施形態では、
図39に示されるように、スライドシート122は、端から端までスライドシート122の実質的に中央を長手方向に延びる穿孔ライン124を有し得る。穿孔ライン124は、スライドシート122の2つの側を互いに分離することを可能にし、その結果、各側は、患者の下から独立して引き出され得る。スライドシート122の各側は、正中線を横切る必要なしに、患者2のその側の下から有利に引き出され得る。いくつかの実施形態では、プルタブ126は、頭または足端部のいずれかにおいて、穿孔ライン124の近くで、スライドシート122の各側に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、プルタブ126は、頭端部からスタートして、足端部で止まるまで、スライドシート122の半分を患者の下から一度に引き出すために、引っ張り力が横方向に向けられるように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、プルタブ126は、患者2の下からスライドシート122を最も容易に取り外すために、引っ張り力がスライドシート122の緩い端部を残りのスライドシート122の上で滑らせ、残りのスライドシート122によって摩擦増強要素34から分離するように位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、プルタブ126は、患者をトレンデレンブルグ体位に配置する前に、患者の下からスライドシート122を取り除くことを麻酔医に思い出させるために、赤または黄色などの明るい色にしてもよい。場合によっては、プルタブ126は、参照番号126Aおよび126Bとして図面に個別に示されている。プルタブ126は、スライドシート122材料の延長部であり得るか、または穿孔ライン124の近くでスライドシート122に取り付けられた追加材料であり得る。
【0123】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的で説明されてきたが、本明細書に記載の実施形態に記載されるように、本発明から逸脱することなく詳細の多数の変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。