(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】収縮性バイオポリマー繊維の使用
(51)【国際特許分類】
D01F 4/00 20060101AFI20240313BHJP
A41H 43/00 20060101ALI20240313BHJP
A43B 1/02 20220101ALI20240313BHJP
【FI】
D01F4/00 Z
A41H43/00 Z
A43B1/02
(21)【出願番号】P 2022018539
(22)【出願日】2022-02-09
(62)【分割の表示】P 2019525004の分割
【原出願日】2017-11-09
【審査請求日】2022-02-09
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511092996
【氏名又は名称】アムシルク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】クライン, ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ローマー, リン
(72)【発明者】
【氏名】ベルクフェルト, ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ラウアー, ヨーゼフ
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-507260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0297904(US,A1)
【文献】特開平09-031798(JP,A)
【文献】特開平07-252746(JP,A)
【文献】特表2012-531889(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002605(WO,A1)
【文献】特表2016-537186(JP,A)
【文献】国際公開第02/06789(WO,A2)
【文献】特開平02-099057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 1/00 - 17/00
A41C 1/00 - 5/00
A41D 1/00 - 31/32
A41F 1/00 - 19/00
A41G 1/00 - 11/02
A41H 1/00 - 43/04
A43B 1/00 - 23/30
A43C 1/00 - 19/00
A43D 1/00 - 999/00
B29D 35/00 - 35/14
D01F 4/00 - 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料品または靴を成形するための、組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用であって、
前記
衣料品または靴が、前記組換えクモ糸ポリペプチド繊維を含むか、または前記組換えクモ糸ポリペプチド繊維からなり、
前記繊維が、溶媒との接触後に、その全長に対して少なくとも10%収縮
し、それにより、前記衣料品または靴を成形する、組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項2】
前記衣料品または靴が、特別設計および/またはカスタマイズされた衣料品または靴である、請求項1に記載の組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項3】
前記衣料品または靴を成形することは、前記衣料品または靴を収縮させること、前記衣料品または靴を圧縮すること、および、前記衣料品または靴のサイズを低減すること、の少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項4】
前記繊維が、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示す、請求項1から請求項3のいずれかに記載の組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項5】
前記溶媒が、水溶液である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項6】
前記組換えクモ糸ポリペプチドが、(C)
m
、(C
Cys
)
m
、(C
kappa
)
m
、(C)
m
C
Cys
、C
Cys
(C)
m
、(C)
m
C
Cys
(C)
m
、(C)
m
NR
z
、NR
z
(C)
m
、およびNR
z
(C)
m
NR
z
からなる群から選択され、
ここで、Cは、配列番号1に従う配列を有するモジュールC、または、これに対して少なくとも94%の配列同一性を有するその変異型を表し、
mは、8から96の整数であり、
zは、1から3の整数であり、
NRは、非反復単位を表す、請求項1から請求項5のいずれかに記載の組換えクモ糸ポリペプチド繊維の使用。
【請求項7】
物体を成形する方法であって、
(i)組換えクモ糸ポリペプチド繊維を含むか、または組換えクモ糸ポリペプチド繊維からなる物体を用意するステップと、
(ii)組換えクモ糸ポリペプチド繊維を含むか、または組換えクモ糸ポリペプチド繊維からなる前記物体を溶媒と接触させ、前記繊維が、前記物体の前記溶媒との接触後に、その全長に対して少なくとも10%収縮し、それにより該物体を成形するステップと、を含
み、
前記物体が衣料品または靴である、方法。
【請求項8】
前記収縮が、前記物体の前記溶媒との第1の接触後、3~200秒の間で開始する、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記収縮が、前記物体の前記溶媒との第1の接触後、4~120秒の間で開始する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維が、10%~50%の間の収縮を示す、請求項
7から請求項
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記収縮が、前記収縮の開始後、30~700秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%まで完了する、請求項
7から請求項
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、水溶液である、請求項
7から請求項
11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記衣料品または靴が、特別設計および/またはカスタマイズされた衣料品または靴である、請求項7から請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記衣料品または靴を成形することは、前記衣料品または靴を収縮させること、前記衣料品または靴を圧縮すること、および、前記衣料品または靴のサイズを低減すること、の少なくとも1つを含む、請求項7から請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記組換えクモ糸ポリペプチドが、(C)
m
、(C
Cys
)
m
、(C
kappa
)
m
、(C)
m
C
Cys
、C
Cys
(C)
m
、(C)
m
C
Cys
(C)
m
、(C)
m
NR
z
、NR
z
(C)
m
、およびNR
z
(C)
m
NR
z
からなる群から選択され、
ここで、Cは、配列番号1に従う配列を有するモジュールC、または、これに対して少なくとも94%の配列同一性を有するその変異型を表し、
mは、8から96の整数であり、
zは、1から3の整数であり、
NRは、非反復単位を表す、請求項7から請求項14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサとしての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。第1の実施形態において、センサによって製品の真偽を判定することが可能になる。第2の実施形態において、センサによって溶媒の存在を判定することが可能になる。さらに、本発明は、製品の真偽を判定する方法に関する。さらに、本発明は、溶媒の存在を判定する方法に関する。さらに、本発明は、物体を成形するための収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。さらに、本発明は、物体を成形する方法に関する。さらに、本発明は、縫合材料または創傷包帯材としての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造消費財は、今日の一般的な問題である。偽造消費財は、ブランド所有者の許可なく別のブランド名で製造または販売される商品である。偽造消費財は、食品、飲料、服、靴、医薬品、電子機器、自動車部品、玩具、および通貨を含む、実質的にあらゆる領域で存在する。偽造品は世界中に広がっており、2008年には、国際商業会議所(ICC)による調査によって、全ての偽造品の世界的価値は年間6500億ドルに達すると推定された。同調査では、2015年には、偽造品および海賊品の世界的価値の上限が1兆7700億ドルとなり得ると予測された。デザイナーブランドから偽造された服、靴、宝石類、およびハンドバッグは、様々な品質で製造されており、時にその目的は、ラベルまたはタグのみを見て本物がどういうものかを知らないだまされやすい購入者を単に欺くことであるが、一方でファッションのディテールを模倣することに真剣に取り組んでいる者もいる。ほとんどの消費者は、購入する商品が偽造であるかどうかを気にせず、単に安価な商品を購入することを望んでいることを理解している者もいる。いくつかの偽造製品は、オリジナルから区別するのが困難であるように製造されている。これは、そのような製品の販売者にとって特に問題である。そのような製品の販売者は、その商品をブランド所有者により製造されたものとして売ることにより、ブランド所有者の商標、特許または著作権を侵害し得る。
【0003】
パッケージングは、パッケージ盗難または窃盗および製品の転売の危険性を低減するのに役立つように設計することができる。いくつかのパッケージはより盗難防止性が高く、いくつかは盗難表示シールを有する。これらの偽造防止技術により、偽造消費財、不正な販売(横流し)、材料の置き換えおよび改ざんは全て低減され得る。パッケージは、認証シールを含んでもよく、パッケージおよび内容物(これらも偽造されやすい)が偽造ではないことを示すのに役立つように、セキュリティ印刷を使用してもよい。パッケージはまた、ダイパック、RFIDタグ、または、出口ポイントでデバイスにより有効化もしくは検出され得、無効化するためには特殊ツールを必要とする電子物品監視タグなどの盗難防止デバイスを含んでもよい。パッケージングと共に使用され得る偽造防止技術は、例えば、タガント指紋認証(データベースから検証される一意にコードされた微視的材料)、暗号化マイクロ粒子(人間の目には見えない予測不可能なように配置されたマーク(数字、層、および色))、UV印刷(UV光下でのみ見えるマーク)、またはシリアルバーコードを含む。
【0004】
現在市場で使用されている偽造防止技術は、一部では効果がない、高価である、または実用するには扱いにくいという欠点を有する。
【0005】
したがって、製品の真偽を判定するために使用される、効果的で安価な使い易いシステムがさらに必要とされている。
【0006】
さらに、多くの製造セグメントにおいて、製品の品質を確保することが重要である。製品品質の低下は、深刻な公衆衛生および安全性の問題となり得る。さらに、製品品質の低下は、製品の機能的能力に悪影響を与える可能性がある。製品品質の低下をもたらす最も一般的な事象の1つは、製品内への液体/水分の浸入や、製品が湿潤することである。例えば、湿潤した薬物は、もはや適正な品質を有していない。これは、治療効果を失っている可能性がある。さらに、湿潤した電子デバイスは、もはや適正な品質を有していない。これは、十分に機能しない可能性や、もはや機能しない可能性もある。
【0007】
現在市場で使用されている液体/水分センサ/インジケータは、例えば、特定の液体/水分レベルを超えた場合に色の変化で液体/水分段階を示すものである。色の反応は水の吸収に依存する。最も知られているのは、塩化コバルトをブレンドしたシリカゲルである。このシリカゲルは紫からピンクに変色する。しかしながら、塩化コバルトは使用者にも消費者にも有毒である。代替の非毒性系は高価であることが多い。
【0008】
したがって、液体/水分の存在を判定するために使用することができる効果的で安価な非毒性系がさらに必要とされている。
【0009】
本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の収縮する能力により、バイオポリマー繊維をセンサとして使用することが可能になることを見出した。本発明者らは、前記収縮性バイオポリマー繊維によって、効果的で安価な使い易い形で、一方では製品の真偽を判定することが可能になり、他方では溶媒の存在を判定することが可能になることに気付いた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2006/008163号パンフレット
【文献】国際公開第2014/037453号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【文献】“A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)”, Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland
【発明の概要】
【0012】
第1の態様において、本発明は、センサとしての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。第1の実施形態において、センサによって製品の真偽を判定することが可能になる。第2の実施形態において、センサによって溶媒の存在を判定することが可能になる。
【0013】
第2の態様において、本発明は、製品の真偽を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維を溶媒と接触させるステップと、
(iii)溶媒との接触後に該繊維の収縮が生じるかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が製品の真偽を示す、方法に関する。
【0014】
第3の態様において、本発明は、溶媒の存在を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維の収縮が生じるかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が該繊維と接触している溶媒の存在を示す、方法に関する。
【0015】
この発明の概要は、必ずしも本発明の全ての特徴を説明しているわけではない。後続の発明を実施するための形態の考察から、他の実施形態が明らかとなる。
【0016】
第4の態様において、本発明は、物体を成形するための収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【0017】
第5の態様において、本発明は、物体を成形する方法であって、
(i)収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる物体を用意するステップと、
(ii)該物体を溶媒と接触させ、それにより物体を成形するステップと、を含む方法に関する。
【0018】
第6の態様において、本発明は、縫合材料としての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【0019】
第7の態様において、本発明は、創傷包帯材としての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】温度およびpHの影響に依存する、バイオポリマー繊維の収縮までの時間、収縮の開始、収縮期間および収縮完了を示す図である。一定の塩含有量を維持しながら3つの異なるpH値(pH2.8、10mM NaCl、pH7.0、10mM NaCl、pH11.6、10mM NaCl)、4つの異なる温度(8℃、16℃、24℃および35℃)で繊維を緩衝水溶液中に含浸した。各バーの0と最低値との間の時間範囲は、溶媒との第1の接触/溶媒の前記繊維との第1の接触と、収縮の開始との間の期間(収縮までの時間)に対応する。各バーの最低値は、収縮の開始時間(収縮の開始)に対応し、各バーの最高値は、収縮プロセスの終了(収縮完了)に対応し、各バーの最低値と最高値との間の値は、収縮の開始と繊維の縮みの終了時間/停止との間の時間範囲(収縮期間)に対応する。 バイオポリマー繊維は、温度により影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後/溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了した。温度の上昇は、溶媒の前記繊維との第1の接触と収縮の開始との間の期間(「収縮までの時間」)を短縮した。さらに、温度の上昇は、収縮が完了する時間範囲(「収縮完了」)を短縮することを示すことができた。さらに、バイオポリマー繊維は、pHにより影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。(より塩基性のpHへの)pHの増加は、収縮が完了する時間範囲(「収縮完了」)を短縮した。
【
図2】温度およびpHの影響に依存する、様々な直径の2つの異なるバイオポリマー繊維の収縮までの時間、収縮の開始、収縮期間および収縮完了を示す図である。 様々な直径の2つの異なる繊維(約250μmの直径を有する第1のシルクバイオポリマー多繊維および約76μmの直径を有する第2のシルクバイオポリマー繊維)の間の収縮挙動(収縮の開始および収縮期間)を決定した。したがって、第1および第2のバイオポリマー繊維を、水性溶媒と接触させた。各バーの0と最低値との間の時間範囲は、溶媒の前記繊維との第1の接触と収縮の開始との間の期間(収縮までの時間)に対応する。各バーの最低値は、収縮の開始時間(収縮の開始)に対応し、各バーの最高値は、収縮プロセスの終了(収縮完了)に対応し、各バーの最低値と最高値との間の値は、収縮の開始と繊維の縮みの終了時間/停止との間の時間範囲(収縮期間)に対応する。
図2Aは、第1のバイオポリマー繊維の収縮挙動を表す。
図2Bは、第2のバイオポリマー繊維の収縮挙動を表す。バイオポリマー繊維は、繊維の直径により影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。収縮プロセスは、溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了した。繊維の直径の減少は、脱イオン水および緩衝水溶液中での収縮までの時間および収縮期間を短縮した。 緩衝水溶液(pH12.8)中のバイオポリマー繊維の収縮挙動と比較した、脱イオン水(中性pH)中でのバイオポリマー繊維の収縮挙動は、(より塩基性のpHへの)pHの増加が、収縮までの時間および収縮期間を短縮したことを示している。第1および第2のバイオポリマー繊維の間で最低温度値は異なるため(第1のバイオポリマー繊維:7.5℃、第2のバイオポリマー繊維:4.3℃)、この最低温度値に対する結果は、第1および第2のバイオポリマー繊維の間で直接比較できない。より高い温度は、収縮までの時間および収縮期間の短縮をもたらすことが留意されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
以下で本発明を詳細に説明する前に、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコルおよび試薬は変動し得るため、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。別段に定義されていない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0022】
好ましくは、本明細書において使用される用語は、非特許文献1に記載のように定義される。
【0023】
本明細書の文章を通していくつかの文献が引用される。上記または下記に関わらず、本明細書において引用される文献(全ての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、説明書、GenBank受託番号配列登録等)はそれぞれ、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書において、本発明が以前の発明によるそのような開示に先行する権利がないことを認めていると解釈されるものはない。そのような組み込まれた参考文献の定義または教示と、本明細書に列挙された定義または教示との間に矛盾が生じる場合は、本明細書の文章が優先される。
【0024】
本発明による「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」等の変化形は、示された整数または整数の群を包含することを意味するが、任意の他の整数または整数の群を除外することを意味しない。本発明による「~から本質的になる」という用語は、示された整数または整数の群を包含する一方で、示された整数に大きく影響する、またはそれを大きく改変する変更または他の整数を除外することを意味する。本発明による「~からなる(consisting of)」という用語、または「~からなる(consists of)」等の変化形は、示された整数または整数の群を包含し、任意の他の整数または整数の群を除外することを意味する。
【0025】
本発明の説明の文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)使用される、「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の言及は、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されたい。
【0026】
「センサ」という用語は、本明細書において使用される場合、その環境中での事象または変化を検出し、次いで対応する出力を提供する能力を有する物体/材料を指す。より具体的には、「センサ」という用語は、本明細書において使用される場合、液体または水分との接触後に反応する物体/材料を指す。この反応は、任意選択で認識可能である。これは、形状変化、好ましくは収縮として示される。
【0027】
「バイオポリマー」という用語は、本明細書において使用される場合、多くの反復サブユニット/反復構成要素で構成される生物由来の大型分子または巨大分子を指す。バイオポリマーは、ポリペプチド、例えば組換えポリペプチドであってもよい。前記ポリペプチドは、アミノ酸で形成された反復サブユニット/反復構成要素を含む。好ましくは、ポリペプチドは、シルクポリペプチド、より好ましくはクモ糸ポリペプチドである。本発明において使用され得るバイオポリマーを生成するための例示的方法は、特許文献1に記載されている。
【0028】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本発明の文脈において同義的に使用される。これらは、アミノ酸の長ペプチド連結鎖、例えば少なくとも40アミノ酸の長さのものを指す。
【0029】
「シルクポリペプチド」という用語は、本明細書において使用される場合、他のポリペプチドと比較して、極めて異常なアミノ酸組成を示すポリペプチドを指す。特に、シルクポリペプチドは、大量の疎水性アミノ酸、例えばグリシンまたはアラニンを有するが、例えばトリプトファンを有さない(またはごくわずかに有する)。さらに、シルクポリペプチドは、特にその大きなコアドメインにおいて、高度反復アミノ酸配列または反復単位(繰り返し単位、モジュール)を含有する。
【0030】
DNA分析に基づき、シルクポリペプチドの全てが反復単位の鎖であり、これらはさらに限定されたセットの異なるより短いペプチドモチーフを含むことが示された。「ペプチドモチーフ」および「コンセンサス配列」という表現は、本明細書において同義的に使用され得る。一般に、シルクコンセンサス配列は、GPGXX、GGX、Axまたは(GA)nおよびスペーサーの4つの主要なカテゴリーに分類され得る。シルクポリペプチドにおけるペプチドモチーフのこれらのカテゴリーには、構造的役割が割り当てられている。例えば、GPGXXモチーフは、βターン螺旋に関与し、弾性を提供し得ることが示唆されている。GGXモチーフは、グリシンに富む31-へリックスに関与することが知られている。GPGXXおよびGGXモチーフは両方とも、結晶性領域を接続する非晶質マトリックスの形成に関与し、それにより繊維の弾性を提供すると考えられている。アラニンに富むモチーフは、典型的には、6~9個の残基を含み、結晶性βシートを形成することが判明している。スペーサーは、典型的には荷電基を含み、繰り返されるペプチドモチーフをクラスタに分離する。好ましくは、シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチドである。より好ましくは、シルクポリペプチド、例えばクモ糸ポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0031】
「バイオポリマー繊維」という用語は、本明細書において使用される場合、その幅よりも著しく長い物質を指す。これは、バイオポリマーを含むか、または、バイオポリマーからなる。
【0032】
「バイオポリマー繊維」という用語はさらに、本明細書において使用される場合、連続フィラメント、短繊維、または個別の細長い断片であるバイオポリマーを含むか、またはバイオポリマーからなる材料を指す。
【0033】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0034】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0035】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0036】
「バイオポリマー繊維」という用語は、本明細書において使用される場合、モノフィラメントまたはマルチフィラメントバイオポリマー繊維を包含する。モノフィラメントバイオポリマー繊維は、単一の(モノ)フィラメントで構成される。マルチフィラメントバイオポリマー繊維は、いくつかの(モノ)フィラメントで構成される。例えば、マルチフィラメント繊維は、2~1000の間の(モノ)フィラメント、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000の(モノ)フィラメントで構成されてもよい。
【0037】
「バイオポリマー繊維」という用語はさらに、本明細書において使用される場合、単一延伸および多重延伸(例えば二重延伸)繊維を包含する。前記繊維は、その調製プロセス、特に湿式紡糸プロセス中に、1回または複数回延伸されている。バイオポリマーを本発明において使用され得る繊維に加工するための例示的方法は、特許文献2に記載されている。
【0038】
「バイオポリマー繊維」という用語はまた、本明細書において使用される場合、1種または複数種の追加のポリマー、例えば追加のバイオポリマーおよび/または追加のプラスチックポリマーを含む/そのようなポリマーとブレンドされたバイオポリマー繊維を包含する。例えば、バイオポリマー繊維は、(組換え)シルクポリペプチド(例えば(組換え)クモ糸ポリペプチド、(組換え)虫糸ポリペプチド、および/または(組換え)カイコ(Bombyx mori)シルクポリペプチド)、コラーゲン(例えば天然および/または組換えコラーゲン)、ケラチン、ならびにポリオレフィン(例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリラクテート(PLA)および/またはポリヒドロキシブチレート(PHB))からなる群から選択される、1種または複数種の追加のバイオポリマーを含んでもよい/そのようなバイオポリマーとブレンドされてもよい。追加のプラスチックポリマーは、ポリアクリレートであってもよい。具体例において、(i)(組換え)シルクポリペプチド繊維は、バイオポリマーとして(組換え)シルクポリペプチドおよび追加のバイオポリマーとしてコラーゲンを含んでもよく、(ii)(組換え)シルクポリペプチド繊維は、バイオポリマーとして(組換え)シルクポリペプチドおよび追加のバイオポリマーとしてケラチンを含んでもよく、(iii)(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維は、バイオポリマーとして(組換え)クモ糸ポリペプチドおよび追加のバイオポリマーとして(組換え)虫糸ポリペプチドを含んでもよく、(iv)(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維は、バイオポリマーとして(組換え)クモ糸ポリペプチドおよび追加のバイオポリマーとして(組換え)カイコ(Bombyx mori)シルクポリペプチドを含んでもよく、または、(v)(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維は、バイオポリマーとして(組換え)クモ糸ポリペプチドおよび追加のバイオポリマーとして別の/異なる(組換え)クモ糸ポリペプチドを含んでもよい。
【0039】
好ましくは、バイオポリマー繊維内のバイオポリマーおよび/またはプラスチックポリマー等の1種または複数種の追加のポリマーの含量は、66重量%未満、より好ましくは50重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満、さらにより好ましくは15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、または1重量%未満である。代替として、バイオポリマー繊維内の1種または複数種の追加のポリマーの含量は、少なくとも0.1重量%、少なくとも1%重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30%重量%、もしくは少なくとも50重量%、および/または66重量%未満、50%重量%未満、30重量%未満、20%重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、もしくは1重量%未満であることが好ましい。したがって、バイオポリマー繊維内の1種または複数種の追加のポリマーの含量は、0.1~66重量%の間、1重量%~66重量%の間、5重量%~50重量%の間、5重量%~30重量%の間、5重量%~20重量%の間、または5重量%~10重量%の間の範囲内であることが特に好ましい。そのようなバイオポリマー繊維は、任意の所望の特性、例えば外観、柔軟性、重量、耐用性、撥水特性、改善された製造費を向上させ得る。前記特性は、医療、工業、または商業用途において有用となり得る。
【0040】
「収縮性バイオポリマー繊維」という用語は、本明細書において使用される場合、その長さが化学物質、例えば溶媒との第1の接触後に収縮可能/短縮可能であるバイオポリマー繊維を指す。これに関して、全収縮プロセス(化学物質、例えば溶媒との第1の接触時に開始し、収縮の完了時に終了する)は、完全に化学物質、例えば溶媒中で発生することが留意されるべきである。好ましくは、バイオポリマー繊維の長さは、化学物質、例えば溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも35%収縮可能/短縮可能である。
【0041】
「収縮性バイオポリマー繊維」という用語はまた、本明細書において使用される場合、その収縮(プロセス)が化学物質、例えば溶媒との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了するバイオポリマーを指す。これに関して、全収縮プロセス(化学物質、例えば溶媒との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後の収縮完了時に終了する)は、完全に化学物質、例えば溶媒中で発生することが留意されるべきである。好ましくは、バイオポリマー繊維の長さは、化学物質、例えば溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも35%収縮/短縮する。繊維は、特許文献2において生成されるような繊維であってもよい。
【0042】
「溶媒」という用語は、本明細書において使用される場合、水溶液またはアルコールを含む溶液を指す。水溶液は、緩衝水溶液、例えばTris/HCl、または水(H2O)、例えば工業用H2Oもしくは脱イオンH2Oであることが好ましい。別の好ましい実施形態において、水は、水道水、雨水、または海水であってもよい。また、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。
【0043】
この文脈において、「化学物質との第1の接触後」という用語は、本明細書に記載のバイオポリマー繊維が、その生成/形成後に、化学物質、例えば溶媒に始めて接触したことを意味する。化学物質、例えば溶媒との接触は、好ましくは、その全長に対して少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも35%の収縮をもたらす。好ましくは、収縮は、不可逆的である。
【0044】
「不可逆的収縮」という用語は、本明細書において使用される場合、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。
【0045】
「製品」という用語は、本明細書において使用される場合、要望または必要性を満たし得る、市場に提供され得る任意のものを指す。製品は、原材料として購入されてもよく、または完成品として販売されてもよい。製品は、医薬製品(例えば薬物)、化粧製品、電子製品、機械製品、鞄(例えばハンドバッグ)、靴または服であってもよい。真偽の証明に関して、製品は、好ましくは生地、例えば織地または編地である。より好ましくは、生地、例えば織地または編地は、衣服である。
【0046】
「製品の真偽」という用語は、本明細書において使用される場合、製品がオリジナルでありコピーではないか、または模造品であるかの判定を指す。
【0047】
「ラベル」または「タグ」という用語は、本明細書において使用される場合、製品に貼り付けられた/取り付けられた、もしくは製品の一部である、または製品のパッケージングに貼り付けられた/取り付けられた、もしくは製品を含むパッケージングの一部である一片のポリマー、例えば布を指す。これは、通常、製品に関する記述または印刷された情報を含む。本明細書に記載のバイオポリマー繊維は、好ましくは、ラベルまたはタグの一部である。
【0048】
「物体」という用語は、本明細書において使用される場合、収縮性バイオポリマー繊維により成形され得る任意の物体を指す。物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。一実施形態において、物体は、単一の収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または単一の収縮性バイオポリマー繊維からなる。別の実施形態において、物体は、2つ以上の収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または2つ以上の収縮性バイオポリマー繊維からなる。
【0049】
物体は、衣服、衣料品、医療用の物体、整形外科用の物体、靴を含むスポーツ用品、靴を含むアウトドア用品であることが好ましい。「物体」という用語はまた、靴を包含する。また、物体は、生地、例えば織地または編地であることが好ましい。生地、例えば織地または編地は、衣服であることが特に好ましい。衣服は、ファッション、スポーツ、アウトドア、医療用または整形外科用の衣服であってもよい。衣服は、ファッション物品、ファッション商品、シャツ、ソックス、ストッキング、例えば圧迫ストッキング、医療用ストッキング、もしくはサポートストッキング、タイツ、例えばサポートタイツ、パンツ、例えばスポーツもしくはアウトドア用パンツ、下着、例えばスポーツもしくはアウトドア用下着、手袋、帽子、ストームフード、靴またはバンデージであってもよい。
【0050】
「物体」という用語は、本明細書において使用される場合、1種または複数種のバイオポリマー繊維および1種または複数種の追加のポリマー繊維、例えば追加のバイオポリマー繊維または追加のプラスチックポリマー繊維を含む物体を包含する。例えば、物体は、(組換え)シルクポリペプチド繊維(例えば、(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維、(組換え)虫糸ポリペプチド繊維、および/または(組換え)カイコ(Bombyx mori)シルクポリペプチド繊維)、コラーゲン繊維(例えば、天然繊維および/または組換えコラーゲン繊維)、ケラチン繊維、ならびにポリオレフィン繊維(例えば、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリカプロラクトン(PCL)繊維、ポリラクテート(PLA)繊維、および/またはポリヒドロキシブチレート(PHB)繊維)からなる群から選択される追加のバイオポリマー繊維を含んでもよい。追加のプラスチックポリマー繊維は、ポリアクリレート繊維であってもよい。
【0051】
具体例において、物体は、(i)バイオポリマー繊維として(組換え)シルクポリペプチト繊維および追加のバイオポリマー繊維としてコラーゲン繊維を、(ii)バイオポリマー繊維として(組換え)シルクポリペプチド繊維および追加のバイオポリマー繊維としてケラチン繊維を、(iii)バイオポリマー繊維として(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維および追加のバイオポリマー繊維として(組換え)虫糸ポリペプチド繊維を、または(iv)バイオポリマー繊維として(組換え)クモ糸ポリペプチド繊維および追加のバイオポリマー繊維として(組換え)カイコ(Bombyx mori)シルクポリペプチド繊維を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、物体は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%まで(a)収縮性バイオポリマー繊維で構成され、および/または、物体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、少なくとも5%、もしくは少なくとも1%まで1種もしくは複数種の追加のポリマー繊維、例えば追加のバイオポリマー繊維もしくは追加のプラスチックポリマー繊維で構成される。
【0053】
より好ましくは、物体は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、もしくは100%まで(a)収縮性バイオポリマー繊維で構成され、および/または、物体は、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、少なくとも5%、もしくは少なくとも1%まで1種もしくは複数種の追加のポリマー繊維、例えば追加のバイオポリマー繊維もしくは追加のプラスチックポリマー繊維で構成される。
【0054】
「物体を成形する」という用語は、本明細書において使用される場合、例えば、物体を収縮させる、物体を圧縮する、および/または物体のサイズを低減することを包含する。
【0055】
「縫合材料」という用語は、本明細書において使用される場合、負傷または手術後に身体組織または身体血管を互いに保持するために使用される材料を指す。好ましい実施形態において、縫合材料は、縫合糸、例えば外科用縫合糸である。縫合材料の適用は、一般に、ある長さの糸または繊維を取り付けた針の使用を含む。いくつかの異なる形状、サイズ、および糸材料が開発されている。典型的には、外科医、医師、歯科医、足病医、眼科医、正看護師および他の教育を受けた看護職員、医者、および臨床薬剤師が、縫合を行う。縫合を固定するには、外科結びが使用される。
【0056】
「創傷包帯材」という用語は、本明細書において使用される場合、創傷治癒を促進し、創傷をさらなる損傷から保護するための、特に滅菌された形態のパッドまたは圧定布を指す。創傷包帯材は、創傷に直接接触するように設計される。好ましい実施形態において、創傷包帯材は、粘着性である。
【0057】
発明の実施形態
本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の収縮する能力により、バイオポリマー繊維をセンサとして使用することが可能になることを見出した。本発明者らは、前記収縮性バイオポリマー繊維によって、効果的で安価な使い易い形で、一方では製品の真偽を判定することが可能になり、他方では溶媒の存在を判定することが可能になることに気付いた。
【0058】
したがって、第1の態様において、本発明は、センサとしての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。前記センサは、真偽センサまたは液体/水分センサであってもよい。
【0059】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0060】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0061】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0062】
特に、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。前記特定の収縮挙動は、温度および/またはpHにより影響され得る/影響される。より具体的には、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後/溶媒の前記繊維との第1の接触後に開始する。さらにより具体的には、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後/溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、温度の上昇/温度上昇が、溶媒の第1の接触/溶媒の前記繊維との第1の接触と、収縮/収縮プロセスの開始との間の期間(「収縮までの時間」)を短縮すること、および/または、温度の上昇/温度上昇が、収縮が完了する時間範囲(「収縮期間」)を短縮することを見出した。さらに、本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、(より塩基性のpHへの)pHの増加が、収縮(プロセス)が完了する時間範囲(「収縮期間」)を短縮することを見出した。これに関して、全収縮プロセス(化学物質、例えば溶媒との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後の収縮完了時に終了する)は、完全に化学物質、例えば溶媒中で発生することが留意されるべきである。
【0063】
好ましい実施形態において、繊維は、コーティング/仕上げ加工される。本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、コーティングが収縮挙動に影響し得ることを見出した。コーティング/仕上げ加工は、溶媒の第1の接触/溶媒の前記繊維との第1の接触と、収縮/収縮プロセスの開始との間の期間(「収縮までの時間」)を延長し得る、および/または、収縮が完了する時間範囲(「収縮期間」)を延長し得る。
【0064】
収縮(プロセス)は、8℃~37℃の間、例えば15℃~25℃の間の温度で発生することが好ましい。換言すれば、収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる、または溶媒を収縮性バイオポリマー繊維と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、または24~35℃の間であることが好ましい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃であってもよい。
【0065】
代替として、または追加的に、収縮(プロセス)は、2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間のpHで発生することが好ましい。換言すれば、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であることが好ましい。例えば、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、または12.2であってもよい。
【0066】
第1の実施形態において、センサによって製品の真偽を判定することが可能になる。
【0067】
前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも15%の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示すことがさらにより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも35%の収縮を示すことが最も好ましい。例えば、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0068】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0069】
好ましくは、収縮は、製品の真偽を示す。
【0070】
さらに、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後3~200秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、17~47秒の間で開始する。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0071】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、溶媒との第1の接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0072】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0073】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0074】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0075】
溶媒は、水溶液またはアルコールを含む溶液であってもよい。水溶液は、緩衝水溶液、例えばTris/HCl、または水(H2O)、例えば工業用H2Oもしくは脱イオンH2Oであることが好ましい。また、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。
【0076】
好ましくは、製品は、生地、例えば織地または編地である。より好ましくは、生地、例えば織地または編地は、衣服である。
【0077】
好ましくは、収縮性バイオポリマー繊維は、ラベルまたはタグの一部である。ラベルまたはタグは、一片の布である。当業者には、ラベルまたはタグが2つ以上の繊維を含むことが明確である。実際に、ラベルまたはタグは、複数の繊維で構成される。換言すれば、ラベルまたはタグは、繊維を含むか、または繊維からなる。ラベルまたはタグは、織布であってもよい。この場合、当業者には、ラベルまたはタグが、互いに織り合わされた繊維を含むか、または互いに織り合わされた繊維からなることが明確である。また、単一のバイオポリマー繊維における収縮は一次元的に発生することが、当業者に理解される。それに対して、互いに織り合わされたバイオポリマー繊維を含むか、またはバイオポリマー繊維からなる織布における収縮は、多次元的に発生する。
【0078】
ラベルまたはタグは、製品に関する記述または印刷された情報をさらに含んでもよい。ラベルまたはタグは、製品に貼り付けられて/取り付けられてもよく、または製品の一部である。ラベルまたはタグが製品の一部である場合、これは、例えば、製品と共に供給される。代替として、ラベルまたはタグは、パッケージングに貼り付けられる/取り付けられる、または製品を含むパッケージングの一部である。これは、ラベルまたはタグが製品自体に直接貼り付けられる/取り付けられるのではなく、その中で製品が配送/販売される外装に貼り付けられる/取り付けられることを意味する。
【0079】
第2の実施形態において、センサによって、溶媒の存在/過去の任意の時点での溶媒の存在、例えば水の存在を判定することが可能になる。水は、水道水、雨水、または海水であってもよい。
【0080】
前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも15%の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示すことがさらにより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも35%の収縮を示すことが最も好ましい。例えば、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0081】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0082】
好ましくは、収縮は、溶媒の存在、過去の任意の時点での溶媒の存在、例えば水の存在を示す。水は、水道水、雨水、または海水であってもよい。
【0083】
さらに、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後3~200秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0084】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、溶媒との第1の接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0085】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0086】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0087】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0088】
溶媒は、水溶液、例えば水であってもよい。水は、水道水、雨水、または海水であってもよい。
【0089】
第1または第2の実施形態に関して、バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。(組換え)シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、例えば、コガネグモ(orb-web spider)(例えばAraneidaeもしくはAraneoids)の大瓶状腺(major ampullate)シルクポリペプチド、例えばドラグライン(dragline)シルクポリペプチド、小瓶状腺(minor ampullate)シルクポリペプチド、または鞭毛状(flagelliform)シルクポリペプチド、虫糸ポリペプチド、ムラサキイガイ足糸(mussel byssus silk)ポリペプチド、またはこれらの混合物であってもよい。コガネグモ(orb-web spider)は、Araneus diadematus、Nephila clavipes、およびLatrodectus hesperusからなる群から選択され得る。虫糸ポリペプチドは、Lepidoptera、特にBombycidae、例えばBombyx moriのものであってもよい。虫糸ポリペプチドはまた、Hymenoptera、特にApoidea、例えばAnthophilaのものであってもよい。好ましくは、シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、より好ましくは組換えクモ糸ポリペプチドである。
【0090】
シルクポリペプチドは、反復単位の少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%の複数のコピーを含むか、または複数のコピーからなるアミノ酸配列を有するポリペプチドであることがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。シルクポリペプチドは、反復単位の少なくとも95%の複数のコピーを含むか、または複数のコピーからなるアミノ酸配列を有するポリペプチドであることがより好ましい。前記反復単位は、同一または異なってもよい。シルクポリペプチドは、少なくとも2つの同一の反復単位を含むことが特に好ましい。例えば、シルクポリペプチドは、2~100の間の反復単位、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の反復単位を含んでもよい。
【0091】
シルクポリペプチドは、40~3000の間のアミノ酸からなることもまた(代替として、または追加的に)好ましい。シルクポリペプチドは、40~1500の間のアミノ酸からなることがより好ましい。シルクポリペプチドは、200~1200の間のアミノ酸からなることがさらにより好ましい。シルクポリペプチドは、250~600の間のアミノ酸からなることが最も好ましい。
【0092】
上述のように、シルクポリペプチドは、少なくとも2つの同一の反復単位を含むことが特に好ましい。一実施形態において、反復単位は、モジュールC(配列番号1)またはその変異型、モジュールCCys(該モジュールはまた、モジュールCCとして指定され得る)(配列番号2)、およびモジュールCkappa(配列番号3)からなる群から独立して選択される。モジュールCCys(配列番号2)は、モジュールC(配列番号1)の変異型である。このモジュールにおいて、25位におけるアミノ酸S(Ser)は、アミノ酸C(Cys)により置き換えられている。モジュールCkappa(配列番号3)もまた、モジュールC(配列番号1)の変異型である。このモジュールにおいて、20位におけるアミノ酸E(Glu)は、アミノ酸K(Lys)により置き換えられている。
【0093】
モジュールC変異型は、それが得られる参照モジュールCから、アミノ酸配列における最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸変化だけ異なる(すなわち、置換、付加、挿入、欠失、N-末端切断および/またはC-末端切断)。そのようなモジュール変異型は、代替として、または追加的に、それが得られる参照モジュールに対するある程度の配列同一性によって特徴付けられ得る。したがって、モジュールC変異型は、それぞれの参照モジュールCに対する少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはさらに99.9%の配列同一性を有する。好ましくは、配列同一性は、少なくとも5、10、15、18、20、24、27、28、30、34、35、またはそれ以上のアミノ酸の連続的広がりにわたるもの、好ましくはそれぞれの参照モジュールCの全長にわたるものである。
【0094】
配列同一性は、それぞれの参照モジュールCの全長にわたり少なくとも80%であってもよく、全長にわたり少なくとも85%であってもよく、全長にわたり少なくとも90%であってもよく、全長にわたり少なくとも95%であってもよく、全長にわたり少なくとも98%であってもよく、または、全長にわたり少なくとも99%であってもよい。代替として、配列同一性は、それぞれの参照モジュールCの少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも80%であってもよく、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも85%であってもよく、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも90%であってもよく、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも95%であってもよく、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも98%であってもよく、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、もしくは30アミノ酸の連続的広がりにわたり少なくとも99%であってもよい。
【0095】
モジュールCの断片(または欠失)変異型は、好ましくは、そのN-末端および/またはC-末端に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸の欠失を有する。欠失はまた、内部的であってもよい。
【0096】
さらに、モジュールC変異型または断片は、変異型または断片が基づいているアミノ酸配列に対する改変が、センサとして機能するシルクポリペプチドの能力に悪影響を及ぼさない場合、本発明の文脈において単にモジュールC変異型または断片とみなされる。当業者は、モジュールC変異型または断片を含むシルクポリペプチドがまだ、例えば製品の真偽を判定することまたは溶媒の存在を判定することが可能になるセンサとして機能し得るかどうかを容易に評価することができる。これに関しては、本特許出願の実験の項に含まれる収縮の例を参照されたい。
【0097】
CCysまたはCkappa変異型もまた、本発明に包含され得る。CCysまたはCkappa変異体に関して、モジュールC変異型に対して行われたのと同じ説明/定義が適用される(上記参照)。
【0098】
さらに、シルクポリペプチドは、少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。前記非反復(NR)単位は、N-および/またはC-末端に含まれてもよい。一実施形態において、NR単位は、NR3(配列番号4)またはその変異型、NR4(配列番号5)またはその変異型、NR5(配列番号6)またはその変異型、およびNR6(配列番号7)またはその変異型からなる群から選択される。NR3(配列番号4)単位は、クモAraneus diadematusのADF-3のアミノ酸配列に基づき、NR4(配列番号5)単位は、クモAraneus diadematusのADF-4のアミノ酸配列に基づく(特許文献1)。さらに、NR5(配列番号6)単位およびNR6(配列番号7)単位は、Latrodectus hesperusから得られる。
【0099】
NR3、NR4、NR5、またはNR6単位変異型に関して、モジュールC変異型に対して行われたのと同じ説明/定義が適用される(上記参照)。
【0100】
さらに、NR3、NR4、NR5、またはNR6単位変異型または断片は、変異型または断片が基づいているアミノ酸配列に対する改変が、センサとして機能するシルクポリペプチドの能力に悪影響を及ぼさない場合、本発明の文脈において単にNR3、NR4、NR5、またはNR6単位変異型または断片とみなされる。当業者は、NR3、NR4、NR5、またはNR6単位変異型または断片を含むシルクポリペプチドがまだ、例えば製品の真偽を判定することまたは溶媒の存在を判定することが可能になるセンサとして機能し得るかどうかを容易に評価することができる。これに関しては、本特許出願の実験の項に含まれる収縮の例を参照されたい。
【0101】
1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0102】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0103】
上述のように、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。前記収縮挙動は、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)によりさらに影響され得る/影響される。より具体的には、収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後/溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)の増加が、溶媒の第1の接触/溶媒の前記繊維との第1の接触と、収縮(プロセス)の開始との間の期間を増加させること、および/または、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)の増加が、収縮が完了する時間範囲を増加させることを見出した。好ましくは、バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有する。より好ましくは、バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有する。バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0104】
上記を考慮して、バイオポリマー繊維は、バイオポリマー繊維の温度、pH、および/または厚さ(直径)という因子により影響され得る/影響される特定の収縮挙動を有する。収縮挙動は、追加的な因子により影響され得る/影響される場合がある。
【0105】
さらに、本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類によって影響され得ることを見出した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の延伸の程度により影響され得る/影響されることを見出した。上述のように、バイオポリマー繊維は、単一延伸または多重延伸(例えば二重延伸)繊維であってもよい。前記繊維は、その調製プロセス、特に湿式紡糸プロセス中に、1回または複数回延伸されている。ここで、本特許出願の発明者らは、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の延伸の程度が高いほど、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが高いことを観察した。好ましくは、収縮の度合いは、紡糸プロセス中および/または紡糸プロセス後のバイオポリマー繊維の延伸の程度を変化させることにより、10%および50%の範囲に調節され得る。より好ましくは、収縮の度合いは、紡糸プロセス中および/または紡糸プロセス後のバイオポリマー繊維の延伸の程度を変化させることにより、10%および35%の範囲に調節され得る。例えば、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いは、単一延伸バイオポリマー繊維(例えば少なくとも10%)に比べ、多重延伸(例えば二重延伸)バイオポリマー繊維(例えば少なくとも20%)においてより高い。
【0106】
上記に基づき、バイオポリマー繊維は、バイオポリマー繊維の温度、pH、厚さ(直径)、および/または出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類(例えば単一延伸もしくは多重延伸バイオポリマー繊維)という因子により影響され得る/影響される特定の収縮挙動を有する。
【0107】
上述のような本発明の第1の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第1の態様において、本発明は、収縮性バイオポリマー繊維が使用される検知方法に関する。
【0108】
第2の態様において、本発明は、製品の真偽を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維を溶媒と(第1に)接触させるステップと、
(iii)溶媒との接触後に該繊維の収縮が生じる/生じたかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が製品の真偽を示す、方法に関する。
【0109】
上述のように、本発明の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の収縮する能力により、バイオポリマー繊維をセンサとして使用することが可能になることを見出した。本発明者らは、前記収縮性バイオポリマー繊維によって、効果的で安価な使い易い形で、製品の真偽を判定することが可能になることに気付いた。
【0110】
好ましくは、製品は、生地、例えば織地または編地である。より好ましくは、生地、例えば織地または編地は、衣服である。製品はまた、鞄(例えばハンドバッグ)または靴であってもよい。
【0111】
本発明の第2の態様の方法のステップ(i)において、収縮性バイオポリマー繊維がセンサとして提供される。バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。(組換え)シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、例えば、コガネグモ(orb-web spider)(例えばAraneidaeもしくはAraneoids)の大瓶状腺(major ampullate)シルクポリペプチド、例えばドラグライン(dragline)シルクポリペプチド、小瓶状腺(minor ampullate)シルクポリペプチド、または鞭毛状(flagelliform)シルクポリペプチド、虫糸ポリペプチド、ムラサキイガイ足糸(mussel byssus silk)ポリペプチド、またはこれらの混合物であってもよい。コガネグモ(orb-web spider)は、Araneus diadematus、Nephila clavipes、および Latrodectus hesperusからなる群から選択され得る。虫糸ポリペプチドはまた、Hymenoptera、特にApoidea、例えばAnthophilaのものであってもよい。好ましくは、シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、より好ましくは組換えクモ糸ポリペプチドである。
【0112】
シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明されたポリペプチドであることがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。
【0113】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。前記非反復(NR)単位は、N末端および/またはC末端に含まれてもよい。
【0114】
1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0115】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0116】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0117】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0118】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0119】
好ましくは、収縮性バイオポリマー繊維は、ラベルまたはタグの一部である。ラベルまたはタグは、一片の布である。当業者には、ラベルまたはタグが2つ以上の繊維を含むことが明確である。実際に、ラベルまたはタグは、複数の繊維で構成される。換言すれば、ラベルまたはタグは、繊維を含むか、または繊維からなる。ラベルまたはタグは、織布であってもよい。この場合、当業者には、ラベルまたはタグが、互いに織り合わされた繊維を含むか、または互いに織り合わされた繊維からなることが明確である。
【0120】
ラベルまたはタグは、製品に関する記述または印刷された情報をさらに含んでもよい。ラベルまたはタグは、製品に貼り付けられて/取り付けられてもよく、または製品の一部である。ラベルまたはタグが製品の一部である場合、これは、例えば、製品と共に供給される。代替として、ラベルまたはタグは、パッケージングに貼り付けられる/取り付けられる、または製品を含むパッケージングの一部である。これは、ラベルまたはタグが製品自体に直接貼り付けられる/取り付けられるのではなく、それを用いて製品が配送/販売される外装に貼り付けられる/取り付けられることを意味する。
【0121】
本発明の第2の態様の方法のステップ(ii)において、前記収縮性バイオポリマー繊維は、溶媒と接触される/接触された。収縮性バイオポリマー繊維の溶媒との接触は、前記収縮性バイオポリマー繊維上に溶媒を滴下することにより、前記収縮性バイオポリマー繊維を溶媒中に浸漬することにより、または前記収縮性バイオポリマー繊維上に溶媒を噴霧することにより生じ得る/生じた。
【0122】
上述のように、収縮性バイオポリマー繊維は、ラベルまたはタグの一部であることが好ましい。ラベルまたはタグは、繊維を含むか、または繊維からなる。この場合、繊維を含む、もしくは繊維からなるラベルもしくはタグ上に溶媒が滴下される/滴下された、繊維を含む、もしくは繊維からなるラベルもしくはタグが溶媒中に浸漬される/浸漬された、または、繊維を含む、もしくは繊維からなるラベルもしくはタグ上に溶媒が噴霧される/噴霧された。溶媒との接触のために、ラベルまたはタグは、製品上に、または商品を含むパッケージング上に残されてもよい。代替として、ラベルまたはタグは、該ラベルまたはタグを溶媒と接触させるために、製品から取り外されてもよい。ラベルまたはタグのサイズに依存して、ラベルまたはタグはまた、該ラベルまたはタグを溶媒と接触させるために、一部のみが製品から取り外されてもよい。
【0123】
溶媒は、水溶液またはアルコールを含む溶液であってもよい。水溶液は、緩衝水溶液、例えばTris/HCl、または水(H2O)、例えば工業用H2Oもしくは脱イオンH2Oであることが好ましい。また、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。
【0124】
本発明の第2の態様の方法のステップ(iii)において、溶媒との接触後の前記繊維の収縮が生じるか/過去の任意の時点で生じたかどうかが観察される。前記収縮は、ステップ(ii)において、溶媒との(第1の)接触後に発生する/開始する。収縮は、任意選択で認識可能である。収縮はまた、測定されてもよい。例えば、収縮が生じる/発生する/開始するかどうかを判定するために、溶媒との接触前および接触後に繊維の長さが測定されてもよい。
【0125】
これに関して、前記繊維の全長に対する少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも35%の収縮が、製品の真偽を示すことが留意されるべきである。例えば、前記繊維の全長に対する少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮が、製品の真偽を示す。
【0126】
また、前記繊維の全長に対する10%~50%の間の収縮が、製品の真偽を示すことが好ましい。前記繊維の全長に対する15%~35%の間の収縮が、製品の真偽を示すことがより好ましい。前記繊維の全長に対する15%~25%の間の収縮が、製品の真偽を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維の全長に対する10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮が、製品の真偽を示す。
【0127】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0128】
さらに、収縮(プロセス)は、溶媒との(第1の)接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との(第1の)接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との(第1の)接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒との(第1の)接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、溶媒との(第1の)接触後3~200秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0129】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との(第1の)接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との(第1の)接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、溶媒との(第1の)接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0130】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0131】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0132】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0133】
また、単一のバイオポリマー繊維における収縮は一次元的に発生することが、当業者に理解される。それに対して、互いに織り合わされたバイオポリマー繊維を含むか、または互いに織り合わされたバイオポリマー繊維からなる織布における収縮は、多次元的に発生する。
【0134】
バイオポリマー繊維の温度、pH、厚さ(直径)、および/または出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類(例えば、単一延伸もしくは多重延伸バイオポリマー繊維)という因子により影響され得る/影響される収縮性バイオポリマー繊維の特定の収縮挙動に関しては、本発明の第1の態様を参照されたい。
【0135】
第3の態様において、本発明は、溶媒の存在を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維の収縮が生じる/生じたかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が該繊維と接触している溶媒の存在を示す、方法に関する。
【0136】
上述のように、本発明の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の収縮する能力により、バイオポリマー繊維をセンサとして使用することが可能になることを見出した。本発明者らは、前記収縮性バイオポリマー繊維によって、効果的で安価な使い易い形で、溶媒の存在を判定することが可能になることに気付いた。この場合、収縮性バイオポリマー繊維は、液体/水分センサとして機能する。
【0137】
溶媒は、水溶液、例えば水であってもよい。水は、水道水、雨水、または海水であってもよい。溶媒は、ある領域またはある場所で、例えば船腹、住空間、地下ガレージ、または地階の部屋に存在し得る。溶媒は、領域またはある場所、例えば船腹、住空間、地下ガレージ、または地階の部屋に浸入し得る。溶媒はまた、例えば製品のパッケージング内に存在し得る。溶媒は、例えばこの製品のパッケージングに浸入し得る。溶媒は、前記製品の品質を低下させ得る、または製品を破壊し得る。製品は、例えば、医薬製品、化粧製品、電子製品、または機械製品であってもよい。
【0138】
本発明の第3の態様の方法のステップ(i)において、収縮性バイオポリマー繊維がセンサとして提供される。バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。(組換え)シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、例えば、コガネグモ(orb-web spider)(例えばAraneidaeもしくはAraneoids)の大瓶状腺(major ampullate)シルクポリペプチド、例えばドラグライン(dragline)シルクポリペプチド、小瓶状腺(minor ampullate)シルクポリペプチド、または鞭毛状(flagelliform)シルクポリペプチド、虫糸ポリペプチド、ムラサキイガイ足糸(mussel byssus silk)ポリペプチド、またはこれらの混合物であってもよい。コガネグモ(orb-web spider)は、Araneus diadematus、Nephila clavipes、およびLatrodectus hesperusからなる群から選択され得る。虫糸ポリペプチドはまた、Hymenoptera、特にApoidea、例えばAnthophilaのものであってもよい。好ましくは、シルクポリペプチドは、クモ糸ポリペプチド、より好ましくは組換えクモ糸ポリペプチドである。
【0139】
シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明されたポリペプチドであることがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。
【0140】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。前記非反復(NR)単位は、N末端および/またはC末端に含まれてもよい。
【0141】
1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0142】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0143】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0144】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0145】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0146】
好ましくは、収縮性バイオポリマー繊維は、糸の一部である。糸は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。
【0147】
本発明の第3の態様の方法のステップ(ii)において、前記繊維の収縮が生じる/発生する/開始するかどうかが観察される。前記収縮は、溶媒の前記繊維との(第1の)接触後に生じる/発生する/開始する。収縮は、任意選択で認識可能である。収縮はまた、測定されてもよい。例えば、収縮が生じる/発生する/開始するかどうかを判定するために、溶媒との接触前および接触後に繊維の長さが測定されてもよい。収縮はまた、個人(例えば使用者)にその旨を知らせる出力(例えば、信号または状態の変化)を提供する、電子または機械デバイスにより認識され得る。例えば、収縮性バイオポリマー繊維がスコットランドへの発送品の一部である場合、水の侵入(たとえ少量であっても)に起因する前記繊維の収縮は、電子または機械デバイスにより認識され得、これによりスコットランドへの発送品が即時に停止される。代替として、収縮性バイオポリマー繊維がスコットランドへの発送品の一部である場合、水の侵入(たとえ少量であっても)に起因する前記繊維の収縮はまた、直接(電子または機械デバイスの介在なしに)スコットランドへの発送品の即時停止をもたらし得る。さらに、例えば、収縮性バイオポリマー繊維が薬物パッケージングの一部である場合、水の浸透に起因する前記繊維の収縮は、個人(例えば使用者)に、製品がおそらくはもはやその元の品質を有していないことを知らせる。さらに、例えば、収縮性バイオポリマー繊維が電子または機械デバイスのパッケージングの一部である場合、水の浸入に起因する前記繊維の収縮は、個人(例えば使用者)に、製品がおそらくは不具合を有し、したがって作動させるべきではないことを知らせる。
【0148】
これに関して、前記繊維の全長に対する少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも35%の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示すことが留意されるべきである。例えば、前記繊維の全長に対する少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示す。
【0149】
また、前記繊維の全長に対する10%~50%の間の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示すことが好ましい。前記繊維の全長に対する15%~35%の間の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示すことがより好ましい。前記繊維の全長に対する15%~25%の間の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維の全長に対する10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮が、前記繊維と接触している溶媒の存在を示す。
【0150】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0151】
さらに、収縮(プロセス)は、溶媒の前記繊維との接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒の前記繊維との接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒の前記繊維との接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、溶媒の前記繊維との接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、溶媒の前記繊維との接触後3~200秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。溶媒と繊維との間の接触の時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0152】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒の前記繊維との接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒の前記繊維との接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、溶媒の前記繊維との接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0153】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。溶媒と繊維との間の接触の時点での温度は、8℃~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0154】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0155】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0156】
バイオポリマー繊維の温度、pH、厚さ(直径)、および/または出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類(例えば、単一延伸もしくは多重延伸バイオポリマー繊維)という因子により影響され得る/影響される収縮性バイオポリマー繊維の特定の収縮挙動に関しては、本発明の第1の態様を参照されたい。
【0157】
第4の態様において、本発明は、物体を成形するための収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【0158】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0159】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0160】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0161】
好ましくは、物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。一実施形態において、物体は、単一の収縮性バイオポリマー繊維を含む/単一の収縮性バイオポリマー繊維からなる。別の実施形態において、物体は、2つ以上の収縮性バイオポリマー繊維、例えばいくつかのバイオポリマー繊維、または単にバイオポリマー繊維を含む/そのような繊維からなる。
【0162】
物体は、衣服、衣料品、医療用の物体、整形外科用の物体、靴を含むスポーツ用品、靴を含むアウトドア用品であることが好ましい。また、物体は、生地、例えば織地または編地であることが好ましい。生地、例えば織地または編地は、衣服であることが特に好ましい。衣服は、ファッション、スポーツ、アウトドア、医療用または整形外科用の衣服であってもよい。衣服は、ファッション物品、ファッション商品、シャツ、ソックス、ストッキング、例えば圧迫ストッキング、医療用ストッキング、もしくはサポートストッキング、タイツ、例えばサポートタイツ、パンツ、例えばスポーツもしくはアウトドア用パンツ、下着、例えばスポーツもしくはアウトドア用下着、手袋、帽子、ストームフード、靴またはバンデージであってもよい。
【0163】
特に、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。前記特定の収縮挙動は、温度および/またはpHにより影響され得る/影響される。より具体的には、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後/溶媒の物体との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。上述のように、物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。したがって、前記繊維の収縮は、最終的に物体の成形をもたらす。
【0164】
本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、温度の上昇/温度上昇が、溶媒の前記物体との第1の接触と、収縮/収縮プロセスの開始との間の期間(「収縮までの時間」)を短縮すること、および/または、温度の上昇/温度上昇が、収縮が完了する時間範囲(「収縮期間」)を短縮することを見出した。さらに、本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、(より塩基性のpHへの)pHの増加が、収縮(プロセス)が完了する時間範囲を短縮することを見出した。
【0165】
収縮(プロセス)は、8℃~37℃の間、例えば8~35℃の間、15℃~25℃の間、16~24℃の間、または24~35℃の間の温度で発生することが好ましい。換言すれば、物体を溶媒と接触させる、または溶媒を物体と接触させる時点での温度は、8℃~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、または24~35℃の間であることが好ましい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃であってもよい。
【0166】
代替として、または追加的に、収縮(プロセス)は、2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間のpHで発生することが好ましい。換言すれば、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であることが好ましい。例えば、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、または12.2であってもよい。
【0167】
前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも15%の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示すことがさらにより好ましい。前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも35%の収縮を示すことが最も好ましい。例えば、前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0168】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0169】
さらに、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後3~300秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。物体を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0170】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、物体の溶媒との第1の接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、物体の溶媒との第1の接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、物体の溶媒との第1の接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0171】
物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含み、またはからなり、バイオポリマー繊維の収縮は、物体の成形をもたらす。
【0172】
物体は収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなるため、物体と溶媒との接触がまた、収縮性バイオポリマー繊維と溶媒との接触をもたらすことが、当業者には明確なはずである。
【0173】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮性バイオポリマー繊維を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0174】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0175】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0176】
繊維を含むか、または繊維からなる物体にも同様のことが適用される。
【0177】
溶媒は、水溶液またはアルコールを含む溶液であってもよい。水溶液は、緩衝水溶液、例えばTris/HCl、または水(H2O)、例えば工業用H2Oもしくは脱イオンH2Oであることが好ましい。また、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。
【0178】
バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、第1の態様において既に説明された組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。
【0179】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0180】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0181】
上述のように、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。前記特定の収縮挙動は、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)によりさらに影響され得る/影響される。より具体的には、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との第1の接触後/溶媒の物体との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。上述のように、物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。したがって、前記繊維の収縮は、最終的に物体の成形をもたらす。本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)の増加が、物体の溶媒との第1の接触/溶媒の物体との第1の接触後と、収縮(プロセス)の開始との間の期間を増加させること、および/または、バイオポリマー繊維の厚さ(直径)の増加が、収縮が完了する時間範囲を増加させることを見出した。好ましくは、バイオポリマー繊維は、5μm~200μmの間の厚さ(直径)を有する。より好ましくは、バイオポリマー繊維は、50μm~150μmの間の厚さ(直径)を有する。
【0182】
上記を考慮して、バイオポリマー繊維は、バイオポリマー繊維の温度、pH、および/または直径という因子により影響され得る/影響される特定の収縮挙動を有する。
【0183】
さらに、本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類によって影響され得ることを見出した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の延伸の程度により影響され得る/影響されることを見出した。上述のように、バイオポリマー繊維は、単一延伸または多重延伸(例えば二重延伸)繊維であってもよい。前記繊維は、その調製プロセス、特に湿式紡糸プロセス中に、1回または複数回延伸されている。ここで、本特許出願の発明者らは、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の延伸の程度が高いほど、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが高いことを観察した。例えば、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いは、単一延伸バイオポリマー繊維(例えば少なくとも10%)に比べ、多重延伸(例えば二重延伸)バイオポリマー繊維(例えば少なくとも20%)においてより高い。
【0184】
上記に基づき、バイオポリマー繊維は、バイオポリマー繊維の温度、pH、直径、および/または出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類(例えば単一延伸もしくは多重延伸バイオポリマー繊維)という因子により影響され得る/影響される特定の収縮挙動を有する。
【0185】
上述のような本発明の第4の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第4の態様において、本発明は、収縮性バイオポリマー繊維が使用される、物体を成形する方法に関する。
【0186】
第5の態様において、本発明は、物体を成形する方法であって、
(i)収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる物体を用意するステップと、
(ii)該物体を溶媒と(第1に)接触させ、それにより物体を成形するステップと、を含む方法に関する。
【0187】
本発明の第5の態様の方法のステップ(i)において、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる物体が提供される。バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、第1の態様において既に説明された組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。
【0188】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。前記非反復(NR)単位は、N末端および/またはC末端に含まれてもよい。
【0189】
1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0190】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0191】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0192】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0193】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0194】
本発明の第5の態様の方法のステップ(i)において言及されているように、物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。一実施形態において、物体は、単一の収縮性バイオポリマー繊維を含む/単一の収縮性バイオポリマー繊維からなる。別の実施形態において、物体は、2つ以上の収縮性バイオポリマー繊維、例えばいくつかのバイオポリマー繊維を含む/そのような繊維からなる。
【0195】
物体は、衣服、衣料品、医療用の物体、整形外科用の物体、靴を含むスポーツ用品、靴を含むアウトドア用品であることが好ましい。また、物体は、生地、例えば織地または編地であることが好ましい。生地、例えば織地または編地は、衣服であることが特に好ましい。衣服は、ファッション、スポーツ、アウトドア、医療用または整形外科用の衣服であってもよい。衣服は、ファッション物品、ファッション商品、シャツ、ソックス、ストッキング、例えば圧迫ストッキング、医療用ストッキング、もしくはサポートストッキング、タイツ、例えばサポートタイツ、パンツ、例えばスポーツもしくはアウトドア用パンツ、下着、例えばスポーツもしくはアウトドア用下着、手袋、帽子、ストームフード、靴またはバンデージであってもよい。
【0196】
本発明の第5の態様の方法のステップ(i)において提供される物体は、成形物品、例えば人工的な身体部位に装着されてもよい。身体部位はまた、生きている人間のものであってもよく、例えば、成形される物体が手袋である場合には、人間の手であってもよく、または、成形される物体がバンデージ/靴である場合には、人間の脚/足であってもよい。
【0197】
したがって、本発明の第5の態様の方法は、特別設計および/またはカスタマイズされた物体の製造を可能にする。
【0198】
本発明の第5の態様の方法のステップ(ii)において、前記物体は、溶媒と接触される。物体の溶媒との接触は、前記物体上に溶媒を滴下することにより、前記物体を溶媒中に浸漬することにより、または前記物体上に溶媒を噴霧することにより生じ得る。物体は収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなるため、物体と溶媒との接触がまた、収縮性バイオポリマー繊維と溶媒との接触をもたらすことが、当業者には明確なはずである。
【0199】
溶媒は、水溶液またはアルコールを含む溶液であってもよい。水溶液は、緩衝水溶液、例えばTris/HCl、または水(H2O)、例えば工業用H2Oもしくは脱イオンH2Oであることが好ましい。また、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。
【0200】
上述のように、物体は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。物体の溶媒との(第1の)接触後、物体に含まれるバイオポリマー繊維は収縮し始める。これは、物体の成形をもたらす。好ましくは、バイオポリマー繊維は、前記物体の溶媒との(第1の)接触後に、その全長に対して少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも35%の収縮を示す。例えば、バイオポリマー繊維は、前記物体の溶媒との(第1の)接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、前記物体の溶媒との(第1の)接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、前記物体の溶媒との(第1の)接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、前記物体の溶媒との(第1の)接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、前記物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0201】
さらに、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との(第1の)接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との(第1の)接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との(第1の)接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、物体の溶媒との(第1の)接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、物体の溶媒との(第1の)接触後3~200秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。物体を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0202】
収縮(プロセス)は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、溶媒との第1の接触後4~120秒の間に開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、物体の溶媒との(第1の)接触後20~60秒の間に開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、物体の溶媒との(第1の)接触後4~25秒の間に開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、物体の溶媒との(第1の)接触後25~45秒の間に開始することが最も好ましい。
【0203】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。物体を溶媒と接触させる時点での温度は、8~37℃の間、例えば8~35℃の間、15~25℃の間、16~24℃の間、もしくは24~35℃の間であってもよく、および/または、溶媒のpHは、pH2.8~12.2の間、例えばpH6~8の間であってもよい。例えば、温度は、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37℃であってもよく、および/または、pHは、pH2.8、2.9、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12.1、もしくは12.2であってもよい。
【0204】
収縮は、8~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~550秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)110~275秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、24~35℃の間の温度、および/またはpH2.8~12.2の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)33~150秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがさらにより好ましい。収縮は、16~24℃の間の温度、および/またはpH6~8の間のpHで、(収縮(プロセス)の開始後)115~230秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが最も好ましい。
【0205】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。一般に、当業者に知られている技術により、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸により、収縮したバイオポリマー繊維をほぼその元の形状に再び伸長させることが可能である。次いで、繊維を2回目に/再び溶媒と接触させることにより、前記繊維を収縮させることが可能である。しかしながら、本発明の発明者らは、そのようなバイオポリマー繊維の収縮挙動が、溶媒との第1の接触後に収縮するバイオポリマー繊維とは異なることに気付いた。
【0206】
収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる物体にも同様のことが適用される。
【0207】
単一のバイオポリマー繊維における収縮は一次元的に発生することが、当業者に理解される。それに対して、バイオポリマー繊維を含むか、またはバイオポリマー繊維からなる物体における収縮は、多次元的に発生し得る。例えば、互いに織り合わされたバイオポリマー繊維を含むか、または互いに織り合わされたバイオポリマー繊維からなる織布における収縮は、多次元的に発生する。
【0208】
本発明の第5の態様の方法は、物体を乾燥させるステップをさらに含む。物体の乾燥は、当業者に知られている任意のプロセスにより達成され得る。乾燥は、例えば、空気中での乾燥、ベーキング、加熱チャンバの使用、真空チャンバ、(例えば窒素もしくは二酸化炭素等のガスの)層流、放射線、またはファン(低温、室温もしくは高温で)により行うことができる。
【0209】
代替として、または追加的に、本発明の第5の態様の方法は、物体を固定するステップをさらに含む。物体が成形物品に装着される場合、物体は、固定後に前記物品から取り外されてもよい。物体の固定は、形成された物体がその形態/形状を、特に物体が成形物品上で形成した形態/形状をそれ以上変化させないという効果を有する。物体は、化学的または物理的手段により固定され得る。物体を固定するために、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂等の接着剤および樹脂からなる群から選択される1種または複数種の試薬が使用され得る。物体の固定は、1種もしくは複数種の固定試薬を前記物体上に滴下すること、前記物体を1種もしくは複数種の固定試薬中に浸漬すること、1種もしくは複数種の固定試薬を前記物体上に噴霧すること、前記物体に1種もしくは複数種の固定試薬を塗ること、または1種もしくは複数種の固定試薬を前記物体上に刷毛で塗布することにより生じ得る。代替として、物体は、機械的に、例えば結束またはクランピングにより固定されてもよい。
【0210】
上述のように、物体はまた、生きている人間の身体部位に、例えば、成形される物体がバンデージ、ストッキングまたは靴である場合には、人間の脚/足に装着されてもよい。いずれの場合においても、バイオポリマー繊維の収縮は、生きている人間の身体部位、例えば人間の脚の圧迫をもたらす。これは、スポーツの分野において、例えば心臓への十分な血流を保証するために望ましくなり得る。
【0211】
第6の態様において、本発明は、縫合材料としての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。収縮性バイオポリマー繊維は、創傷に縫合材料として適用され得る。縫合材料は、好ましくは、縫合糸、例えば外科用縫合糸である。収縮性バイオポリマー繊維は、糸の一部であってもよい。糸は、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。
【0212】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0213】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0214】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0215】
特に、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。より具体的には、収縮(プロセス)は、バイオポリマー繊維の液体(溶媒として)との、例えば組織液、血液、または爛れからの液体等の創傷箇所に存在する液体との第1の接触後/液体、例えば組織液、血液、または爛れからの液体等の創傷箇所に存在する液体の第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。したがって、縫合糸としてのバイオポリマー繊維の、創傷箇所における組織液、血液または爛れからの液体(組織液、血液および爛れからの液体は、溶媒として水を含む水溶液である)との接触は、バイオポリマー繊維の収縮を誘引し、これが縫合後の創縁の引き締めをもたらす。縫合糸としての収縮性バイオポリマー繊維を使用することにより、好ましくは、切り傷または大きな傷口の処置が可能になる。
【0216】
好ましくは、収縮(プロセス)は、36℃~40℃の間、より好ましくは37℃の温度で発生する。
【0217】
前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも15%の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示すことがさらにより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも35%の収縮を示すことが最も好ましい。例えば、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0218】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0219】
さらに、収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後3~300秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。
【0220】
液体は、好ましくは、創傷箇所に存在する液体、例えば組織液、血液または爛れからの液体である。
【0221】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。
【0222】
創傷箇所における含水率または残留含水率がバイオポリマー繊維の収縮に十分でない場合、バイオポリマー繊維は、追加的に、または代替として、別の溶媒、例えば水または等張性生理食塩水等の生理食塩水で湿潤または加湿されてもよい。
【0223】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。
【0224】
好ましくは、繊維は、コーティング/仕上げ加工される。
【0225】
バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、第1の態様において既に説明された組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。
【0226】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0227】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0228】
好ましくは、バイオポリマー繊維は、5μm~200μmの間の厚さ(直径)を有する。より好ましくは、バイオポリマー繊維は、50μm~150μmの間の厚さ(直径)を有する。
【0229】
本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類によって影響され得ることを見出した。例えば、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いは、単一延伸バイオポリマー繊維(例えば少なくとも10%)に比べ、多重延伸(例えば二重延伸)バイオポリマー繊維(例えば少なくとも20%)においてより高い。
【0230】
上述のような本発明の第6の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第6の態様において、本発明は、収縮性バイオポリマー繊維が(縫合材料として)使用される、創傷を縫合する方法に関する。特に、収縮性バイオポリマー繊維は、縫合材料として創傷に適用される。収縮性バイオポリマー繊維で創傷を縫合することにより、前記繊維は創傷箇所で液体と、例えば組織液、血液または爛れからの液体と接触する。縫合糸としてのバイオポリマー繊維の液体との接触は、バイオポリマー繊維の収縮を誘引し、これが縫合後の創縁の引き締めをもたらす。それにより、好ましくは、対象の切り傷または大きな傷口の処置が可能になる。創傷箇所における含水率または残留含水率がバイオポリマー繊維の収縮に十分でない場合、バイオポリマー繊維は、追加的に、または代替として、別の溶媒、例えば水または等張性生理食塩水等の生理食塩水で湿潤または加湿されてもよい。上述のような本発明の第6の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第6の態様において、本発明は、縫合材料としての使用のための収縮性バイオポリマー繊維に関する。
【0231】
第7の態様において、本発明は、創傷包帯材としての収縮性バイオポリマー繊維の使用に関する。
【0232】
特に、収縮性バイオポリマー繊維は、創傷包帯材として創傷に適用される。創傷包帯材は、好ましくは、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。創傷包帯材は、ティッシュ、織地または不織地の形態を有することが好ましい。また、収縮性バイオポリマー繊維は、ティッシュ、織地または不織地の一部であることが好ましい。換言すれば、ティッシュ、織地または不織地は、好ましくは、創傷包帯材として使用される収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。収縮性バイオポリマー繊維からティッシュ、織地または不織地を製造するための技術は、当業者に知られている。代替として、収縮性バイオポリマーは、複合材料(例えば膏薬またはバンデージ)の一部であることが好ましい。
【0233】
バイオポリマー繊維は、20%以下、例えば20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することが好ましい。バイオポリマー繊維は、10%以下、例えば10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下または0%の残留含水率を有することがより好ましい。0%の残留含水率の場合、繊維は乾燥している。好ましくは、繊維の含水率は、2%~10%の間である。
【0234】
バイオポリマー繊維は、1~700デシテックス(dtex)の線密度を有することがさらに(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、10~300dtexの線密度を有することがより好ましい。バイオポリマー繊維は、50~250dtexの線密度を有することがさらにより好ましい。バイオポリマー繊維は、60~200dtexの線密度を有することが最も好ましい。
【0235】
バイオポリマー繊維は、0.5μm~300μmの間の厚さ(直径)を有することもまた(代替として、または追加的に)好ましい。バイオポリマー繊維は、1μm~200μmの間の厚さ(直径)を有することがより好ましい。
【0236】
特に、バイオポリマー繊維は、特定の収縮挙動を有する。より具体的には、収縮(プロセス)は、バイオポリマー繊維の液体(溶媒)との、例えば組織液、血液、または爛れからの液体等の創傷箇所に存在する液体との第1の接触後/液体、例えば組織液、血液、または爛れからの液体等の創傷箇所に存在する液体の第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了する。したがって、創傷包帯材としてのバイオポリマー繊維の、創傷箇所における組織液、血液または爛れからの液体(組織液、血液および爛れからの液体は、溶媒として水を含む水溶液である)との接触は、創傷包帯材または複合材料の構成要素としてのバイオポリマー繊維の収縮を誘引し、これが創縁の引き締めまたは創傷の圧迫をもたらす。
【0237】
好ましくは、収縮(プロセス)は、36℃~40℃の間、より好ましくは37℃の温度で発生する。
【0238】
前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも15%の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも25%の収縮を示すことがさらにより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも35%の収縮を示すことが最も好ましい。例えば、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%の収縮を示す。また、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間の収縮を示すことが好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して15%~35%の間の収縮を示すことがより好ましい。前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して15%~25%の間の収縮を示すことがさらにより好ましい。例えば、前記繊維は、液体との第1の接触後に、その全長に対して10%~50%の間、11%~49%の間、12%~48%の間、13%~47%の間、14%~46%の間、15%~45%の間、16%~44%の間、17%~43%の間、18%~42%の間、19%~41%の間、20%~40%の間、21%~39%の間、22%~38%の間、23%~37%の間、24%~36%の間、25%~35%の間、26%~34%の間、27%~33%の間、28%~32%の間、および29%~31%の間の収縮を示す。
【0239】
収縮中、バイオポリマー繊維の断面積は増加する。
【0240】
さらに、収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後3~200秒の間で開始することが好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後4~120秒の間で開始することがより好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後20~60秒の間で開始することがさらにより好ましい。収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後20~50秒の間で開始することが最も好ましい。例えば、収縮(プロセス)は、液体との第1の接触後3~300秒の間、4~150秒の間、5~140秒の間、6~130秒の間、7~120秒の間、8~110秒の間、9~100秒の間、10~60秒の間、11~58秒の間、12~55秒の間、13~52秒の間、14~50秒の間、15~49秒の間、16~48秒の間、または17~47秒の間で開始する。
【0241】
液体は、好ましくは、創傷箇所に存在する液体、例えば組織液、血液または爛れからの液体である。
【0242】
また、収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することが好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも90%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%まで完了することがより好ましい。収縮は、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、100%まで完了することがさらにより好ましい。
【0243】
創傷箇所における含水率または残留含水率がバイオポリマー繊維の収縮に十分でない場合、バイオポリマー繊維は、追加的に、または代替として、別の溶媒、例えば水または等張性生理食塩水等の生理食塩水で湿潤または加湿されてもよい。
【0244】
好ましくは、収縮は、不可逆的である。上述のように、不可逆的とは、外部からの衝撃/影響なしには、特に力の印加、例えば繊維押出、繊維伸長、または繊維延伸なしには、繊維がその元の形状に戻らないことを意味する。
【0245】
バイオポリマーは、シルクポリペプチドであることが好ましい。バイオポリマーは、第1の態様において既に説明された組換えシルクポリペプチドであることがより好ましい。
【0246】
さらに、シルクポリペプチドは、第1の態様において既に説明された少なくとも1つの非反復(NR)単位を含むことが特に好ましい。1つの好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、(C)m、(CCys)m、(Ckappa)m、(C)mCCys、CCys(C)m、(C)mCCys(C)m、(C)mNRz、NRz(C)mおよびNRz(C)mNRzからなる群から選択され、式中、mは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61,62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96であり、zは、1~3の整数、すなわち1、2、または3であり、NRは、非反復単位を表す。
【0247】
1つのより好ましい実施形態において、シルクポリペプチドは、C8、C16、C32、C48、Ckappa
8、Ckappa
16、Ckappa
32、Ckappa
48、C8CCys、C16CCys、C32CCys、C48CCys、CCysC8、CCysC16、CCysC32、およびCCysC48からなる群から選択される。
【0248】
好ましくは、バイオポリマー繊維は、5μm~200μmの間の厚さ(直径)を有する。より好ましくは、バイオポリマー繊維は、50μm~150μmの間の厚さ(直径)を有する。
【0249】
本特許出願の発明者らは、驚くべきことに、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いが、出発材料として使用されるバイオポリマー繊維の種類によって影響され得ることを見出した。例えば、バイオポリマー繊維の全長に対する収縮の度合いは、単一延伸バイオポリマー繊維(例えば少なくとも10%)に比べ、多重延伸(例えば二重延伸)バイオポリマー繊維(例えば少なくとも20%)においてより高い。
【0250】
上述のような本発明の第7の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第7の態様において、本発明は、(創傷包帯材としての)収縮性バイオポリマー繊維で創傷を処置/被覆する方法に関する。特に、収縮性バイオポリマー繊維は、創傷包帯材として創傷に適用される。創傷包帯材は、好ましくは、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。創傷包帯材は、ティッシュ、織地または不織地の形態を有することが好ましい。また、収縮性バイオポリマー繊維は、ティッシュ、織地または不織地の一部であることが好ましい。換言すれば、ティッシュ、織地または不織地は、好ましくは、創傷包帯材として使用される収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる。代替として、収縮性バイオポリマーは、複合材料(例えば膏薬またはバンデージ)の一部であることが好ましい。
【0251】
収縮性バイオポリマー繊維で創傷を処置/被覆することにより、前記繊維は創傷箇所で液体に、例えば組織液、血液または爛れからの液体と接触する。創傷包帯材としてのバイオポリマー繊維の液体との接触は、バイオポリマー繊維の収縮を誘引し、これが創縁の引き締めまたは創傷の圧迫をもたらす。創傷箇所における含水率または残留含水率がバイオポリマー繊維の収縮に十分でない場合、バイオポリマー繊維は、追加的に、または代替として、別の溶媒、例えば水または等張性生理食塩水等の生理食塩水で湿潤または加湿されてもよい。上述のような本発明の第7の態様は、代替として以下のように言い換えることができる。第7の態様において、本発明は、創傷包帯材としての使用のための収縮性バイオポリマー繊維に関する。
【0252】
本明細書に記載の使用および方法は、好ましくは、非治療的使用および/または方法であることが留意されるべきである。
【0253】
本発明は、以下のように要約される。
【0254】
1.センサとしての収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0255】
2.前記繊維が、温度および/またはpHにより影響され得る特定の収縮挙動を有する、項1に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0256】
3.前記繊維が、溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示す、項1または2に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0257】
4.センサによって、製品の真偽を判定することが可能になる、項1から3に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0258】
5.収縮が、製品の真偽を示す、項2から4に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0259】
6.センサによって、溶媒の存在を判定することが可能になる、項1から5のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0260】
7.収縮が、溶媒の存在を示す、項2から6のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0261】
8.製品の真偽を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維を溶媒と接触させるステップと、
(iii)溶媒との接触後に該繊維の収縮が生じる/生じたかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が製品の真偽を示す、方法。
【0262】
9.溶媒の存在を判定する方法であって、
(i)センサとしての収縮性バイオポリマー繊維を用意するステップと、
(ii)該繊維の収縮が生じる/生じたかどうかを観察するステップと、を含み、
該繊維の全長に対する少なくとも10%の収縮が該繊維と接触している溶媒の存在を示す、方法。
【0263】
10.収縮(プロセス)が、溶媒との(第1の)接触後/溶媒の前記繊維との(第1の)接触後3~200秒の間で開始する、項3から7のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8もしくは9に記載の方法。
【0264】
11.収縮(プロセス)が、溶媒との(第1の)接触後/溶媒の前記繊維との(第1の)接触後4~120秒の間、好ましくは20~60秒の間、より好ましくは20~50秒の間で開始する、項10に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0265】
12.前記繊維が、10%~50%の間、好ましくは15%~35%の間、より好ましくは15%~25%の間の収縮を示す、項3から7、10もしくは11のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
13.収縮が、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%まで完了する、項3から7もしくは10から12のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
14.収縮が、不可逆的である、項2から7もしくは10から13のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【0268】
15.溶媒が、水溶液、好ましくは水、またはアルコールを含む溶液である、項3から7、もしくは10から14のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
16.バイオポリマーが、シルクポリペプチドである、項1から7もしくは10から15のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8から15のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
17.シルクポリペプチドが、組換えシルクポリペプチドである、項16に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0271】
18.シルクポリペプチドが、少なくとも2つの同一の反復単位を含む、項16または17に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0272】
19.反復単位が、配列番号1に従う配列を有するモジュールCまたはその変異型、配列番号2に従う配列を有するモジュールCCys、および配列番号3に従う配列を有するモジュールCkappaからなる群から独立して選択される、項18に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0273】
20.シルクポリペプチドが、少なくとも1つの非反復(NR)単位を含む、項16から19のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0274】
21.製品が、生地である、項4から7もしくは10から20のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8もしくは10から20のいずれか一項に記載の方法。
【0275】
22.製品が、織地または編地である、項21に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0276】
23.生地が、衣料品または衣服である、項21または22に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0277】
24.前記繊維が、ラベルまたはタグの一部である、項1から7もしくは10から23のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項8もしくは10から23のいずれか一項に記載の方法。
【0278】
25.ラベルもしくはタグが、製品に取り付けられている、もしくは製品の一部である、または、ラベルもしくはタグが、製品を含むパッケージングに取り付けられている、もしくはパッケージングの一部である、項24に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0279】
26.物体を成形するための、収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0280】
27.前記繊維が、温度および/またはpHにより影響され得る特定の収縮挙動を有する、項26に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0281】
28.物体が、収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる、項26または27に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0282】
29.前記繊維が、物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示す、項26から28に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0283】
30.前記繊維の収縮が、物体の成形をもたらす、項29に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用。
【0284】
31.物体を成形する方法であって、
(i)収縮性バイオポリマー繊維を含むか、または収縮性バイオポリマー繊維からなる物体を用意するステップと、
(ii)該物体を溶媒と接触させ、それにより物体を成形するステップと、を含む方法。
【0285】
32.前記繊維が、前記物体の溶媒との第1の接触後に、その全長に対して少なくとも10%の収縮を示す、項31に記載の方法。
【0286】
33.収縮(プロセス)が、前記物体の溶媒との(第1の)接触後3~200秒の間に開始する、項29もしくは30に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項32に記載の方法。
【0287】
34.収縮(プロセス)が、前記物体の溶媒との(第1の)接触後4~120秒の間、好ましくは20~60秒の間、より好ましくは20~50秒の間で開始する、項33に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0288】
35.前記繊維が、10%~50%の間、好ましくは15%~35%の間、より好ましくは15%~25%の間の収縮を示す、項29、30、33もしくは34に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
36.収縮が、(収縮(プロセス)の開始後)30~700秒の間、好ましくは33~550秒の間、より好ましくは110~250秒の間の時間範囲の後に、少なくとも80%まで完了する、項29、30、33から35のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項32から35のいずれか一項に記載の方法。
【0290】
37.収縮が、不可逆的である、項29、30、33から36のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【0291】
38.溶媒が、水溶液、好ましくは水、またはアルコール、好ましくはエタノールもしくはイソプロパノールを含む溶液である、項29、30、もしくは33から37のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【0292】
39.バイオポリマーが、シルクポリペプチドである、項26から30もしくは33から38のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用、または項31から38のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
40.シルクポリペプチドが、組換えシルクポリペプチドである、項39に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0294】
41.シルクポリペプチドが、少なくとも2つの同一の反復単位を含む、項39または40に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0295】
42.反復単位が、配列番号1に従う配列を有するモジュールCまたはその変異型、配列番号2に従う配列を有するモジュールCCys、および配列番号3に従う配列を有するモジュールCkappaからなる群から独立して選択される、項41に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0296】
43.シルクポリペプチドが、少なくとも1つの非反復(NR)単位を含む、項39から42のいずれか一項に記載の収縮性バイオポリマー繊維の使用または方法。
【0297】
本発明の様々な修正および変形例は、本発明の範囲から逸脱せずに、当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に制限されるべきでないことが理解されるべきである。実際、関連分野の当業者には明らかである本発明を実施するための説明された形態の種々の修正は、本発明に含まれることを意図する。
【0298】
以下の図面および実施例は、単に本発明の例示であり、添付の特許請求の範囲により示される本発明の範囲を限定するように決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0299】
以下に示される実施例は、単に例示を目的とし、上で説明された本発明を何ら限定するものではない。
【0300】
実施例1:溶媒との第1の接触後の繊維の収縮の開始時間、および収縮プロセスの開始と収縮プロセスの終了との間の期間の決定
定義
溶媒との接触 溶媒との第1の接触
収縮までの時間 溶媒との第1の接触/溶媒の前記繊維との第1の接触と、収縮の開始との間の期間
収縮の開始 繊維の収縮/第1の縮みの開始時間
収縮期間 繊維の第1の縮み(「収縮の開始」)と繊維の縮みの停止との間の時間範囲
収縮完了 繊維の縮みの終了時間/停止
【0301】
溶媒との第1の接触後の繊維の収縮/第1の縮みの開始時間(「収縮の開始」)、および繊維の収縮の開始と縮みの終了時間/停止(「収縮完了」)との間の時間範囲(「収縮期間」)を決定するために、C32シルクバイオポリマー多繊維を水性溶媒と接触させた。溶媒との接触と収縮の開始との間の時間範囲、および収縮の開始と収縮の終了(「収縮完了」)との間の時間範囲を測定した。
【0302】
したがって、各溶媒を満たしたガラスシリンダ/メスシリンダ内に3つのC32シルク繊維を含浸した。繊維の一端を、ガラスシリンダの上部に固定した。繊維の他端に固定された金属ナットは、繊維を完全に延ばすための重りとして機能した。溶媒との第1の接触(「溶媒との接触」)の時点でタイマーをゼロに設定した。溶媒との接触と、繊維の縮みの第1の動き(「収縮の開始」)との間の時間範囲は、「収縮までの時間」という時間範囲を表していた。繊維の第1の縮み(「収縮の開始」)と繊維の縮みの停止との間の時間範囲は、「収縮期間」を表していた。
【0303】
シルクバイオポリマーは、100%のC32NR4シルクタンパク質で構成されていた。シルクタンパク質は、特許文献1に記載のように調製した。次いで、タンパク質を、特許文献2に記載のように繊維に加工した。実験に使用した繊維は、40のモノフィラメントからなるマルチフィラメントである。繊維は、約140μmの全体的直径を有する。
【0304】
実験は、4つの異なる温度(8℃、16℃、24℃、35℃)で3回行った。第1の実験では、一定の塩含有量を維持しながら3つの異なるpH値(pH2.8、10mM NaCl、pH7.0、10mM NaCl、pH11.6、10mM NaCl)で繊維を緩衝水溶液中に含浸した。第2の実験では、一定のpH値を維持しながら異なる塩含有量(50mM NaCl、pH7.0、100mM NaCl、pH7.0、200mM NaCl、pH7.0)で繊維を緩衝水溶液中に含浸した。
【0305】
結果を
図1に示す。バイオポリマー繊維は、温度により影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。収縮(プロセス)は、溶媒との第1の接触後/溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了した。温度の上昇は、溶媒の前記繊維との第1の接触と収縮の開始との間の期間(「収縮までの時間」)を短縮した。さらに、温度の上昇は、収縮が完了する時間範囲(「収縮完了」)を短縮することを示すことができた。さらに、バイオポリマー繊維は、pHにより影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。(より塩基性のpHへの)pHの増加は、収縮が完了する時間範囲(「収縮完了」)を短縮した。
【0306】
実施例2:収縮挙動に対する繊維の厚さの影響
様々な直径の2つの異なる繊維の間の異なる収縮挙動(収縮の開始および収縮期間)を決定するために、第1のシルクバイオポリマー多繊維(約250μmの直径を有する)および第2のシルクバイオポリマー繊維(約76μmの直径を有する)を、水性溶媒と接触させた。溶媒との接触と収縮の開始および収縮完了との間の時間範囲を測定した。
【0307】
したがって、各溶媒を満たしたガラスシリンダ/メスシリンダ内に、第1および第2のシルクバイオポリマー繊維を含浸した。バイオポリマー繊維の一端を、ガラスシリンダの上部に固定した。繊維の他端に固定された金属ナットは、繊維を完全に延ばすための重りとして機能した。溶媒との第1の接触の時点でタイマーをゼロに設定した。溶媒との接触と、繊維の縮みの第1の動き(「収縮の開始」)との間の時間範囲は、「収縮までの時間」という時間範囲を表す。繊維の第1の縮み(「収縮の開始」)と繊維の縮みの停止との間の時間範囲は、「収縮期間」を表す。
【0308】
第1および第2のシルクバイオポリマー繊維は、100%のC32NR4シルクタンパク質で構成されていた。シルクタンパク質は、特許文献1に記載のように調製した。次いで、タンパク質を、特許文献2に記載のように繊維に加工した。実験に使用した第1のバイオポリマー繊維は、3つのマルチフィラメントを含むマルチフィラメントであり、各マルチフィラメントは、40のモノフィラメントからなっていた。3つのマルチフィラメントを、3つのマルチフィラメントを含む糸に撚り、各マルチフィラメントは、40のモノフィラメントからなっていた。得られる繊維は、約250μmの全体的直径を有する。実験に使用した第2のバイオポリマー繊維は、約76μmの直径を有する30のモノフィラメントからなるマルチフィラメントであった。
【0309】
実験は、異なる温度で行った(第1のバイオポリマー繊維:7.5℃、16.9℃、22.3℃、24.8℃;第2のバイオポリマー繊維:4.3℃、15.7℃、22.63℃、25.0℃)。第1の実験では、第1および第2のバイオポリマー繊維を、脱イオン水中に含浸した。第2の実験では、第1および第2のバイオポリマー繊維を、緩衝水溶液(pH12.8、100mM NaCl)中に含浸した。
【0310】
結果を
図2に示す。
図2Aは、第1のバイオポリマー繊維の収縮挙動を表す。
図2Bは、第2のバイオポリマー繊維の収縮挙動を表す。バイオポリマー繊維は、繊維の直径により影響される特定の収縮挙動を有することを実証することができた。収縮プロセスは、溶媒の前記繊維との第1の接触後のある期間後に開始し、ある時間範囲の後に完了した。繊維の直径の減少は、両方の実験(脱イオン水および緩衝水溶液)において、収縮までの時間および収縮期間を短縮した。
【0311】
緩衝水溶液(pH12.8)中のバイオポリマー繊維の収縮挙動と比較した、脱イオン水(中性pH)中でのバイオポリマー繊維の収縮挙動は、(より塩基性のpHへの)pHの増加が、収縮までの時間および収縮期間を短縮したことを示している。第1および第2のバイオポリマー繊維の間で最低温度値は異なるため(第1のバイオポリマー繊維:7.5℃、第2のバイオポリマー繊維:4.3℃)、この最低温度値に対する結果は、直接比較できない。より高い温度は、収縮までの時間および収縮期間の短縮をもたらすことが留意されるべきである。
【配列表】