(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】作動可能な外装部品要素
(51)【国際特許分類】
G04B 37/02 20060101AFI20240313BHJP
G04B 19/28 20060101ALI20240313BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20240313BHJP
【FI】
G04B37/02
G04B19/28 A
G04G21/00 304B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078081
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-11
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ユメル
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ・ドロー
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】実公昭5-14530(JP,Y1)
【文献】スイス国特許出願公開第716913(CH,A3)
【文献】特開2001-289976(JP,A)
【文献】実開昭53-53374(JP,U)
【文献】特開2016-114407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計(3)の機械的及び/又は機能的部品(2)のためのデュワーデバイス(1)であって、前記デュワーデバイス(1)は:
‐ブレスレット;
‐チャンバ(5)を含むハウジング(4)であって、前記チャンバ(5)内には、前記腕時計(3)のケース(6)を、前記ケース(6)のガラスがこのチャンバ(5)を画定する前記ハウジング(4)の一連の要素(10a、10b、10c)のうちのガラス(10a)に対面して配設されるように、配置できる、ハウジング(4);
‐前記腕時計(3)のケース(6)を、前記一連の要素(10a、10b、10c)から離間した状態に維持したまま、前記ハウジング(4)の前記チャンバ(5)内に固定する、少なくとも1つの固定デバイス(7);及び
‐このハウジング(4)の裏板(10b)の方向
への、前記ハウジング(4)の外装部品要素(10a、13、9)の並進移動によって、前記
腕時計(3)の少なくとも1つの制御要素と接触して、前記
少なくとも1つの制御要素を作動させる、作動デバイス(19)
を備える、デュワーデバイス(1)。
【請求項2】
前記作動デバイス(19)は、前記ハウジング(4)の外装部品要素(10a、13、9)を備え、前記外装部品要素(10a、13、9)は、このハウジング(4)の裏板(10b)の前記方向への少なくとも1つの前記外装部品要素(9、10a、13)の並進移動の実行中に、前記少なくとも1つの制御要素を作動させるよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項3】
前記外装部品要素(10a、13、9)は、前記ハウジング(4)のベゼル(13)であることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項4】
前記外装部品要素(10a、13、9)は、前記ハウジング(4)のガラス(10a)であることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項5】
前記外装部品要素(10a、13、9)は、前記ハウジング(4)のガラス‐ベゼル組立体(9)であることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項6】
前記作動デバイス(19)は、少なくとも1つの前記外装部品要素(10a、13、9)を起動位置から非起動位置へと戻すように構成された、少なくとも1つの復帰要素を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項7】
前記作動デバイス(19)は、前記ハウジング(4)の外装部品要素(10a、13、9)を備え、前記外装部品要素(10a、13、9)は、前記腕時計(3)の前記少なくとも1つの制御要素を、この前記少なくとも1つの制御要素に接触することによって起動できる、作動ゾーンを備えることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項8】
前記腕時計(3)の前記少なくとも1つの制御要素は、押しボタン又はクラウンであることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【請求項9】
前記チャンバ(5)は真空下又は準真空下にあることを特徴とする、請求項1に記載のデュワーデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計の機械的及び/又は機能的部品のためのデュワー(Dewar)デバイスに関し、上記デバイスは、作動デバイスであって、この作動デバイスの作動可能な外装部品要素を用いて、このデュワーデバイスのチャンバ内に配設された腕時計の少なくとも1つの制御要素を作動させるための、デバイスを備える。
【背景技術】
【0002】
腕時計、特に電子腕時計は従来、ブレスレットと、複数の電気又は電子部品を含む腕時計ケースとを備える。これらの部品のうちのいくつかは、極端な温度をサポートしておらず、このような温度では正常に機能しなくなることが、先行技術において公知である。典型的には、発光ダイオード又は水晶を用いるLCD(液晶ディスプレイ)は、およそ80℃(セルシウス度)未満かつ0℃以上の温度に耐える。しかしながら、例えば宇宙又は月面でのミッションといった特定の環境では、温度が実質的におよそ-150℃~+125℃の値に達することはしばしばあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、腕時計、特に電子腕時計を、このような極端な温度となり得る環境で使用できる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、腕時計の機械的及び/又は機能的部品のためのデュワーデバイスに関し、上記デバイスは:
‐ブレスレット;
‐チャンバを含むハウジングであって、上記チャンバ内には、上記腕時計のケースを、上記腕時計ケースのガラスがこのチャンバを画定する上記ハウジングの一連の要素のうちのガラスに対面して配設されるように、配置できる、ハウジング;
‐上記腕時計ケースを、上記一連の要素から離間した状態に維持したまま、上記ハウジングの上記チャンバ内に固定する、少なくとも1つの固定デバイス;及び
‐このハウジングの裏板の方向への外装部品要素の並進移動によって、上記腕時計の少なくとも1つの制御要素を作動させるための、デバイス
を備える。
【0005】
他の実施形態では:
‐上記作動デバイスは、上記ハウジングの外装部品要素を備え、上記外装部品要素は、このハウジングの裏板の方向への少なくとも1つの上記外装部品要素の並進移動の実行中に、上記少なくとも1つの制御要素を作動させるよう構成され;
‐上記外装部品要素は、上記ハウジングのベゼルであり;
‐上記外装部品要素は、上記ハウジングのガラスであり;
‐上記外装部品要素は、上記ハウジングのガラス‐ベゼル組立体であり;
‐上記作動デバイスは、上記少なくとも1つの外装部品要素を起動位置から非起動位置へと戻すように構成された、少なくとも1つの復帰要素を備え;
‐上記外装部品要素は、上記腕時計の上記少なくとも1つの制御要素を、この少なくとも1つの制御要素に接触することによって起動できる、作動ゾーンを備え;
‐上記腕時計の上記少なくとも1つの制御要素は、押しボタン又はクラウンであり;
‐上記チャンバは真空下又は準真空下にある。
【0006】
他の特徴及び利点は、以下の添付の図面を参照して、限定を目的とせず例示として以下に提供される説明から、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による、腕時計の少なくとも1つの制御要素を作動させるためのデバイスを備えた、腕時計の機械的及び/又は機能的部品のためのデュワーデバイスの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の上記実施形態による、非起動位置にある作動可能な外装部品要素を備える作動デバイスのデュワーデバイスの機能図である。
【
図3】
図3は、本発明の上記実施形態による、起動位置にある上記外装部品要素を備える作動デバイスのデュワーデバイスの機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、腕時計3の機械的及び/又は機能的部品2のための等温時計用デバイス1の図を示し、これは、「時計用デュワーデバイス」若しくは「保護デバイス」、又は本説明の残りの部分では更に簡単に「デュワーデバイス」とも呼ばれる。このようなデュワーデバイス1は、このデバイス1のハウジング4内にケース6が配設される腕時計3の機械的及び/又は機能的部品2に、特に良好な断熱を与えることに寄与できる。
【0009】
このデュワーデバイス1は、これらの機械的及び/又は機能的部品2のために適切な断熱を生成するために、そのハウジング4と、腕時計3のケース6との組み合わせによって形成される。この構成では、腕時計3のケース6はハウジング4のチャンバ5内に配設され、その一方で、このチャンバ5を画定するハウジング4の要素10a~10c、即ちこのハウジング4のガラス10a、中間部10cの内周壁12、及び裏板10bの全てから離間した状態に、又はこれらからある距離に、維持される。なお、この内周壁12は上記チャンバ5の内周壁でもある。
【0010】
従ってこの文脈において、このデバイス1はハウジング4を備え、これは、好ましくは2対のラグ14を備えた中間部10cを含み、上記ラグ14には、このデバイス1のユーザが例えば手首にこのデバイス1を装着できるようにするブレスレットが設置される。このハウジング4はまた、
図1で確認できる裏板10bと、腕時計3のケース6のガラス11よりも実質的に大きな、又は厳密に大きな表面を備えることが好ましいガラス10aといった、作動可能な外装部品要素10a、13、9とを含む。
【0011】
このハウジング4はまた、中間部10cに対して回転移動可能に設置できるベゼル13といった、外装部品要素10a、13、9を備える。このようなベゼル13は略円形である。これは外面を有する本体を備え、この外面には目盛りを設けることができる。
【0012】
図1~3を参照すると、このデュワーデバイス1はまた、ハウジング4の外装部品要素10a、13、9の、このハウジング4の裏板10bの方向の並進移動によって、上記腕時計3の少なくとも1つの制御要素を作動させるためのデバイス19を備える。ここでは、このような外装部品要素10a、13、9は好ましくはガラス‐ベゼル組立体9である。このような組立体9において、ハウジング4のガラス及びベゼルは、特に上述の並進移動を実行するために、しっかりと接続されて設置される。ある代替例では、このガラスと上記ベゼルとは、一体部品を形成する。
【0013】
他の代替例では、この外装部品要素10a、13、9は、ハウジング4のベゼル13、又はこのハウジング4のガラス10aとすることができる。
【0014】
この文脈において、この外装部品要素10a、13、9は、上記少なくとも1つの外装部品要素10a、13、9の、このハウジング4の裏板10bの方向の並進移動の実行中に、上記少なくとも1つの制御要素を作動させるよう構成されていることが理解される。このような並進移動は、ハウジング4の中心軸Oに対して平行又は略平行な方向において実行される。
【0015】
この外装部品要素10a、13、9は、上記腕時計3の制御要素に接触していない非起動位置と、この外装部品要素10a、13、9がこの腕時計3の制御要素を作動させる起動位置との間で、移動できる。
【0016】
このデュワーデバイス1では、作動デバイス19は、外装部品要素10a、13、9を制御して、
図2で確認できる非起動位置から
図3で確認できる起動位置まで、及びその逆にガイドするための、機構も備える。この機構は、上記少なくとも1つの外装部品要素10a、13、9を起動位置から非起動位置に戻すよう構成された、少なくとも1つの復帰要素を特に備える。
【0017】
上述のように、この外装部品要素10a、13、9は、デュワーデバイス1のハウジング4の中間部10cに対して並進移動できる。このような外装部品要素10a、13、9は、ハウジング4内に、密閉又は気密状態で設置される/組み付けられる。換言すれば、外装部品要素10a、13、9は、このハウジング4の中間部10cに対して、密閉又は気密状態で接続される/設置される/組み付けられる。
【0018】
この外装部品要素10a、13、9は、支持ゾーンの全体又は一部を形成する第1の部分8aを備える。この支持ゾーンは、腕時計3の少なくとも1つの制御要素を作動させるためにデュワーデバイス1のユーザがこの外装部品要素10a、13、9に印加する圧力を、受け止めることができる。
【0019】
この外装部品要素10a、13、9はまた、第1の部分8aに対して略垂直又は厳密に垂直に、ハウジング4の裏板10bの方向に延在する、第2の部分8bを備える。このような第2の部分8bは、デュワーデバイス1の中間部10cの横断面の形状と略同様の形状を有する横断面を有する。この第2の部分8bの横断面は、中間部10cの横断面の寸法より小さな寸法を有する。換言すれば、この第2の部分8bの横断面が円形である場合、この断面の直径は、デュワーデバイス1の中間部10cの横断面の直径より小さい。なお、この第2の部分8b及び中間部10cの上記横断面は、デュワーデバイス1のハウジング4の中心軸Oに対して垂直又は略垂直である。
【0020】
この第2の部分8bは、腕時計3の制御要素に接触することによって上記制御要素を起動できる少なくとも1つの作動ゾーンを備えた、周壁8bを形成する。この作動ゾーンは例えば、周壁8bの内面15a及び/又は自由端15bに配設できる。自由端15bとは、デュワーデバイス1のハウジング4の裏板10bに略又は厳密に対面するように配設された、この周壁8bの部分を意味する。更に、この作動ゾーンは、腕時計3の上記少なくとも1つの制御要素と直接接触できることに留意されたい。この作動ゾーンが内面15aに配設されている場合、これは、腕時計3の対応する制御要素の作動を実行できる、隆起部を備えることができる。
【0021】
このような周壁8bは、外装部品要素10a、13、9がハウジング4の裏板10bに向かう並進移動を実行する際に、デュワーデバイス1のハウジングのチャンバ5に全体的又は部分的に進入でき、これによって、上記少なくとも1つの制御要素を作動させることができる。この周壁8bはこのチャンバに、摺動によって進入できる。
【0022】
なお、この周壁8bは少なくとも1つの中空部を備えることができ、その中には、以下で説明される、外装部品要素10a、13、9が起動位置にあるときに腕時計3のケースを固定するためのデバイス7を配設できる。
【0023】
特にこのデバイス1のユーザが、このデバイス1の操作を可能とするユーザの身体の一部についてあまり器用でない場合に、このような作動デバイス19がデュワーデバイス1の使用を改善できることが理解される。このような器用さの欠如は、障害に起因するものである場合も、又はこのユーザが手に分厚いグローブをはめているため、このデュワーデバイス1を指で正確に操作できなくなることによるものである場合もある。この文脈では、このようなデュワーデバイス1は特に、宇宙服を着用した宇宙飛行士、又はより一般的には、例えば圧力、温度、湿度等に関して極端な条件の環境で動作するスーツを着たユーザ/冒険家による使用に、特に適していることに留意されたい。
【0024】
上述のように、腕時計3のケース6は、ハウジング4のチャンバ5内に配設され、その一方で、このハウジング4の要素10a~10cの全てから離間した状態に、又はこれらからある距離に、維持される。このような離間又は距離又は分離は、ハウジング4内に設けられた腕時計3のケース6を固定するための少なくとも1つのデバイス7に基づいて、構成される。換言すれば、固定デバイス7は、上記ケース6と、このハウジング4の上記チャンバ5を形成するハウジング4の要素10a、10b、10cの全てとの間の、分離を実行する、又は分離を維持するよう構成される。この固定デバイス7は、中間部10cの内周壁12及び/又は裏板10b及び/又はガラス10aと、腕時計3のケース6、特にこのケース6の外面全体との間のいずれの熱伝導の、削減、又は排除にさえ寄与する。この外面全体(outer global face)は、この腕時計3のケース6のガラス11を含む上面と、上記ケース6の裏板を含む下面と、このケース6の中間部の外周壁とを含む。上記下面及び上記上面は互いに対向していることが理解される。なお、固定デバイス7は、ハウジング4のチャンバの内周壁12上に配設される。この構成では、固定デバイス7は、特に可逆的な様式で、腕時計3のケース6を、ハウジング4のチャンバの内周壁12に機械的に接続する。更に、デュワーデバイス1は、チャンバ内に配設された2つの固定デバイス7を、互いに対向した状態で備えることができる。
【0025】
なお、このようなケース6は、例えばクオーツ式腕時計である電子腕時計、又は機械式腕時計であってよい、腕時計3が備えるものである。
【0026】
上述の腕時計3の機械的及び/又は機能的部品2は、限定的かつ包括的なものではないが、ヒゲゼンマイ、歯車、時報機構、文字盤、針、リング、ジョイント、並びに/又は電子及び/若しくは電気部品2といった、ムーブメントの機械的要素を含む。特にこのような電子及び/又は電気部品2は、例えばディスプレイデバイス、プロセッサ、目盛り、エネルギ貯蔵用部品、モータ、集積回路、及び電子発振器等を含むことに留意されたい。
【0027】
よって、この構成では、このデュワーデバイス1は、従来技術において公知のデュワーチューブ/フラスコと同一の特性及び特徴を有することが理解される。上述のように、このデュワーデバイス1の特性及び特徴は、このようなデバイス1が置かれる可能性がある外部環境に存在し得る特に極端な温度に対して、良好な断熱を与えることに寄与する。
【0028】
上述のように、このデバイス1のガラス10a、中間部10c、及び裏板10bは、腕時計3のケース6を受け入れることができるこのハウジング4のチャンバ5を画定する。ハウジング4のこれら3つの要素10a~10c、即ち中間部10c、ガラス10a、及び裏板10bは、一体に接合されてこのチャンバ5を構築する、別個の要素とすることができる。あるいは、ハウジング4の中間部10c及び裏板10bが一体部品を形成でき、上記一体部品が、裏板10bに対向する開口を画定し、この開口をガラス10aによって、可逆的に及び密閉状態に閉鎖できる。ある代替例では、腕時計3のハウジング4の中間部10c及びガラス10aが一体部品を形成でき、上記一体部品が、ガラス10aに対向する開口を画定し、この開口を裏板10bによって、これもまた可逆的に及び密閉状態に閉鎖できる。
【0029】
中間部10c又は裏板10bは、ガラス10aと同様に、デュワーデバイス1のハウジング4の透明要素とすることもできる。このような構成では、中間部10cの周壁12、及び裏板10bの内面は、例えば銀の層等の、金属製反射性コーティング等でコーティングされていてよい。
【0030】
しかしながら、中間部10c又は裏板10bは好ましくは、限定的かつ包括的なものではないが、金属材料製、又はカーボンファイバー若しくはガラスファイバーで補強された熱硬化性若しくは熱可塑性ポリマー樹脂製、又はセラミック材料製であることに留意されたい。
【0031】
更にデバイス1は、ハウジング4の外面全体、即ちこの腕時計3のケース6の中間部10cの外周壁並びに/又はガラス10a及び裏板10bの外面に配設された、干渉フィルタを備えることができる。この干渉フィルタは、ハウジング4の外面全体にコーティングを形成する、グリッド又はネットとすることができる。このグリッド又はネットのメッシュは、典型的には可視範囲の波長である所定の波長の電磁スペクトルのみを通過させるような寸法を有する。
【0032】
更に、デバイス1を、空気を含む環境での使用のために提供する場合、腕時計ケース6を含むハウジング4のチャンバ5は、真空下又は準真空下である。換言すれば、このチャンバ内では、このケース6と、中間部10cの内周壁12、裏板10b、及びガラス10aとの間に画定される空間は、物質を含まないか又は略含まない。なお、このデバイス1を、空気を含まない又は略含まない環境で使用する場合、そのチャンバを真空下としないこともでき、又は対照的に真空下若しくは準真空下とすることもできる。
【0033】
その使用又は操作が上記作動デバイスによって促進される、このようなデュワーデバイス1は、腕時計ケース6内に配設された部品の放射による熱損失を長期間にわたって低減する、又は防止さえすることによって、腕時計3の機械的及び/又は機能的部品2に、外部環境に対する極めて良好な断熱を提供することに寄与する。よって、デバイス1の外側の温度が極端な値、典型的にはおよそ-125~+125℃に達する場合、チャンバ5内の温度は、腕時計3のケース6がハウジング4内に配設されている間、腕時計3のケース6内に存在する温度、典型的にはおよそ20℃に略等しいままとなる。なお、デュワーデバイス1の環境に存在する温度条件にかかわらず、腕時計3のケース6内に存在する温度は、腕時計3の適切な動作を妨げない温度である。この温度は、上述のような特に極端な温度が存在するような環境内に直接配置されている間(即ちデュワーデバイスのハウジングの外側に置かれている間)に、このような腕時計3のケースがその部品2の動作温度を保持できる期間よりも、5~18倍長い期間にわたって維持される。よって、このような構成が、腕時計3の機械的及び/又は機能的部品2を保護できること、並びに極端な外部温度条件における最適な様式での上記部品2の動作の保証に寄与できることが理解される。
【符号の説明】
【0034】
1 デュワーデバイス
2 機械的及び/又は機能的部品
3 腕時計
4 ハウジング
5 チャンバ
6 ケース
7 固定デバイス
9 外装部品要素、ガラス‐ベゼル組立体
10a ハウジング4の要素、外装部品要素、ガラス
10b ハウジング4の要素、裏板
10c ハウジング4の要素
13 外装部品要素、ベゼル
19 作動デバイス、デバイス