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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】車両制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240313BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20240313BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240313BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
B62D6/00
B60W30/12
G08G1/16 C
B62D101:00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022541971
(86)(22)【出願日】2021-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021050322
(87)【国際公開番号】W WO2021140236
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】2000257.2
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】フスコーニ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】デイビーズ,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】シュタンガー,キーロン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-013560(JP,A)
【文献】特開2010-030424(JP,A)
【文献】特開2011-148479(JP,A)
【文献】国際公開第2018/224778(WO,A1)
【文献】特開2018-020629(JP,A)
【文献】特開2010-036645(JP,A)
【文献】特開2018-130970(JP,A)
【文献】特開2018-203156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B60W 30/12
G08G 1/16
B62D 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト車両(2)の軌道を制御するためにステアリングオーバーレイ信号(SOV)の生成を制御するための制御システム(1)であって、制御システム(1)は、1つ以上のコントローラ(20)を含み、
制御システム(1)は、
ホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)を特定し、
ホスト車両の位置を、ホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)に関連して監視し、
ホスト車両とホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)との間の横方向離間(DLAT)を決定し、
ホスト車両(2)の横方向速度(VLAT)を決定し、
ホスト車両がホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)に接近している又は横切っており、決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)以上であるという判断に依存して、ステアリングオーバーレイ信号を生成する、ように構成され
第1の横方向速度閾値(THV)は、決定された横方向離間(DLAT)に正比例して増加および減少する、
制御システム(1)。
【請求項2】
制御システム(1)は、決定した横方向離間(DLAT)が離間閾値(THD)以下の場合にステアリングオーバーレイ信号(SOV)を生成するように構成される、請求項1に記載の制御システム(1)。
【請求項3】
制御システムは、ホスト車両(2)に近接する他の車両(27)の有無を特定するように構成され、
ステアリングオーバーレイ信号(SOV)は、他の車両(27)の存在の特定に依存して生成される、請求項1または2に記載の制御システム(1)。
【請求項4】
ホスト車両(2)の軌道を制御するためにステアリングオーバーレイ信号の生成を制御するための制御システム(1)であって、制御システム(1)は、1つ以上のコントローラ(20)を含み、
制御システム(1)は、
ホスト車両(2)の外部にある物体(27)を特定し、
ホスト車両と特定された物体(27)との間の横方向離間(DLAT)を決定し、
ホスト車両(2)の横方向速度(VLAT)を決定し、
横方向離間(DLAT)が離間閾値(THD)以下であり、決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)以上であるという判断に依存して、ステアリングオーバーレイ信号(SOV)を生成する、ように構成され
第1の横方向速度閾値(THV)は、決定された横方向離間(DLAT)に正比例して増加および減少する、
制御システム(1)。
【請求項5】
ステアリングオーバーレイ信号(SOV)は、横方向離間(DLAT)を維持または増加させるために、ホスト車両の軌道を制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム(1)。
【請求項6】
前記制御システム(1)は、決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)未満である場合に、前記ステアリングオーバーレイ信号(SOV)の生成を抑制するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム(1)。
【請求項7】
制御システム(1)は、決定された横方向速度(VLAT)が第2の横方向速度閾値(THV)よりも大きいとき、前記ステアリングオーバーレイ信号(SOV)の生成を抑制するように構成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム(1)。
【請求項8】
制御システム(1)は、横方向速度ヒステリシスを適用するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御システム(1)を含む、車両
【請求項10】
ホスト車両(2)の軌道を制御する方法であって、
方法は、
ホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)を特定するステップと、
ホスト車両の位置を、ホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)に関連して監視するステップと、
ホスト車両とホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)との間の横方向離間(DLAT)を決定するステップと、
ホスト車両(2)の横方向速度(VLAT)を決定するステップと、
ホスト車両(2)がホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)に接近している、又は横切っており、決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)以上であるという判断に依存してホスト車両(2)の軌道を制御するステップと、を含み、
第1の横方向速度閾値(THV)は、決定された横方向離間(DLAT)に正比例して増加および減少する、
方法。
【請求項11】
ホスト車両(2)とホスト車両走行車線(LT-n)の横方向境界(BD-n)との間の横方向離間(DLAT)を決定するステップと、
決定された横方向離間(DLAT)が離間閾値(THD)以下である場合にホスト車両(2)の軌道を制御するステップと、を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
方法が、
ホスト車両(2)に近接する他の車両(27)の有無を特定するステップと、
他の車両(27)の存在の特定に依存してホスト車両(2)の軌道を制御するステップと、を含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ホスト車両(2)の軌道を制御する方法であって、
方法は、
ホスト車両(2)の外部にある物体(27)を特定するステップと、
ホスト車両と特定された物体(27)との間の横方向離間(DLAT)を決定するステップと、
ホスト車両(2)の横方向速度(VLAT)を決定するステップと、
横方向離間(DLAT)が離間閾値(THD)以下であり、決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)以上であるという決定に依存して、ホスト車両(2)の軌道を制御するステップと、を含み、
第1の横方向速度閾値(THV)は、決定された横方向離間(DLAT)に正比例して増加および減少する、
方法。
【請求項14】
ホスト車両(2)の軌道を制御するステップは、横方向離間(DLAT)を維持するステップ、または増加させるステップを含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
決定された横方向速度(VLAT)が第1の横方向速度閾値(THV)未満である場合に、ホスト車両(2)の軌道を制御するステップを含む、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
決定された横方向速度(VLAT)が第2の横方向速度閾値(THV)よりも大きい場合に、ホスト車両(2)の軌道を抑制制御するステップを含む、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
横方向速度ヒステリシスを適用するステップを含む、
請求項10~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
実行されたとき、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法を実行するように配置されるコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御システム及び方法に関する。本発明の態様は、ホスト車両の軌道を制御するための制御システム、制御システムを組み込んだ車両、ホスト車両の軌道を制御する方法、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体、及びコンピュータソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の動的制御を支援するための運転支援装置を道路車両に提供することが知られている。ホスト車両には、ホスト車両を現在の走行車線に維持することを支援するために、車線維持支援システム(lane keep assist system)が備えられてもよい。車線維持支援システムは、走行車線の境界を特定し、使用時には、ホスト車両が走行車線の境界の近くにいると判断したときに、ステアリングオーバーレイを生成する。ステアリングオーバーレイは、ホスト車両を境界から離れるようにステアリングするように動作する。他の車両がホスト車両に接近していることが確認された場合にも、同様の制御戦略を実施することができる。他の車両は、ホスト車両と同じ方向に走行していることもあれば、ホスト車両と反対方向に走行していることもある。例えば、ホスト車両が走行車線の境界線に接近していたが、ドライバは変更するつもりがなかったというシナリオでは、既知の車両システムによって予期せぬ介入が行われる可能性がある。あるシナリオでは、システムによる予期せぬ介入は、ホスト車両のドライバに不快感や警告を与える可能性がある。
【0003】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様および実施形態は、添付の請求項に記載の制御システム、車両、方法、非一時的なコンピュータ可読媒体、およびコンピュータソフトウェアを提供するものである。
【0005】
本発明のさらなる態様によれば、ホスト車両の軌道を制御するためにステアリングオーバーレイ信号の生成を制御する制御システムが提供され、制御システムは1つ以上のコントローラを備え、制御システムは、ホスト車両走行車線の横方向境界を特定すること、ホスト車両走行車線の横方向境界に対するホスト車両の位置を監視すること、およびホスト車両の横方向速度を決定すること、を行うよう構成されている。ステアリングオーバーレイ信号は、例えばパワー支援ステアリングシステムによってホスト車両のステアリングホイールに適用され得るステアリングトルクの生成を制御してもよい。制御システムは、車両の横方向速度に依存してステアリングオーバーレイ信号の生成を制御するように構成されてもよい。制御システムは、ホスト車両がホスト車両走行車線の横方向境界に接近または横断しており、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値以上であるという判断に依存して、ステアリングオーバーレイ信号を生成するように構成されてもよい。車両の横方向速度を参照することによって、ステアリングオーバーレイ信号は、ステアリングトルクの不必要な又は予期せぬ適用を低減又は防止するように制御されてもよい。少なくとも特定の実施形態では、ホスト車両の動的動作を考慮することによって、制御システムの誤った作動が低減または回避されてもよい。
【0006】
制御システムは、ホスト車両とホスト車両走行車線の横方向境界との間の横方向離間(lateral separation)を決定するように構成されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、決定された横方向離間が離間閾値(separation threshold)以下である場合に生成されてもよい。横方向境界は、車線マーキング、センターマーキング、道路の物理的限界又は境界などの道路縁、中央分離帯、障壁(一時的又は永久的)、ガードレール、及び駐車車両の列などの1つ又は複数の障害物のうちの1つ又は複数から構成されてもよい。このリストは、非網羅的であることが明らかである。
【0007】
制御システムは、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道を監視するように構成されてもよい。制御システムは、ホスト車両の位置及び/又は走行車線内のホスト車両の軌道に依存して、ホスト車両と走行車線の横方向境界との間の横方向離間を予測するように構成されていてもよい。制御は、予測された横方向離間が離間閾値以下であるという判断に依存して、ステアリングオーバーレイ信号を生成してもよい。
【0008】
制御システムは、ホスト車両に近接する他の車両の存在又は不在を特定するように構成されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、他の車両の存在の特定に依存して生成されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、他車両が検出された場合に出力されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、他の車両が検出されない場合、抑制されてもよい。制御システムは、ホスト車両に対して予め定められたエリア又は領域内に他車両が存在するか否かを特定してもよい。予め定められたエリア又は領域は、例えば、ドライバの死角に対応してもよい。他車両の有無は、死角支援システムによって判定されてもよい。死角支援システムは、死角検出エリア(blind spot detection area)を監視して他車両の有無を特定するように構成されてもよい。死角支援システムが他車両の存在を検出した場合、制御システムは、ホスト車両の横方向速度の分析に依存して、ステアリングオーバーレイ信号の生成を制御してもよい。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、ホスト車両の軌道を制御するためにステアリングオーバーレイ信号の生成を制御する制御システムが提供され、制御システムは、1つ以上のコントローラを備え、制御システムは、ホスト車両の外部の物体を特定し、ホスト車両と特定された物体との間の横方向離間を決定し、ホスト車両の横方向速度を決定するように構成されている。制御システムは、横方向離間が離間閾値以下であり、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値以上であるという判断に依存して、ステアリングオーバーレイ信号を生成するように構成されてもよい。制御システムは、横方向離間を決定するために、ホスト車両の位置を監視してもよい。
【0010】
制御システムは、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道を監視するように構成されてもよい。制御システムは、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道に依存して、ホスト車両と特定された物体との間の横方向離間を予測するように構成されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、予測された横方向離間が離間閾値以下であるという判断に依存して生成されてもよい。
【0011】
特定された物体は、他の車両を含んでもよい。他の車両は、ホスト車両と同じ方向に走行していてもよく、ホスト車両と反対方向に走行していてもよい。制御システムは、他の車両の位置及び/又は軌道を監視するように構成されてもよい。制御システムは、他の車両の予測された位置及び/又は軌道に依存して、ホスト車両と他の車両との間の横方向離間を予測するように構成されてもよい。特定された物体は、自転車又は歩行者を含み得る。
【0012】
ステアリングオーバーレイ信号は、横方向離間を維持または増加させるためにホスト車両の軌道を制御するように構成されてもよい。
【0013】
制御システムは、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値未満である場合、ステアリングオーバーレイ信号の生成を抑制するように構成されてもよい。第1の横方向速度閾値は、約0.1m/sであってもよい。
【0014】
制御システムは、決定された横方向速度が第2の横方向速度閾値よりも大きいとき、ステアリングオーバーレイ信号の生成を抑制するように構成されてもよい。上側横方向速度閾値(upper lateral velocity threshold)は、約0.7m/sであってもよい。制御システムは、横方向速度ヒステリシスを適用するように構成されてもよい。横方向速度ヒステリシスは、約0.05m/sであってもよい。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載された制御システムを備える車両が提供される。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、ホスト車両の軌道を制御する方法が提供され、この方法は、ホスト車両走行車線の横方向境界を特定することと、ホスト車両走行車線の横方向境界に対するホスト車両の位置を監視することと、ホスト車両の横方向速度を決定することと、を備える。本方法は、ホスト車両の決定された横方向速度に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。本方法は、ホスト車両がホスト車両走行車線の横方向境界に接近又は横断しており、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値以上であるという判断に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。ホスト車両の軌道は、例えば、ステアリングオーバーレイ信号を生成することによって制御されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、例えば、ステアリングオーバーレイトルクの適用を制御してもよい。
【0017】
本方法は、ホスト車両とホスト車両走行車線の横方向境界との間の横方向離間を決定することを含んでもよい。本方法は、決定された横方向離間が離間閾値以下である場合に、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。
【0018】
本方法は、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道を監視することを含んでもよい。
【0019】
本方法は、ホスト車両の位置及び/又は走行車線内のホスト車両の軌道に依存して、ホスト車両と走行車線の横方向境界との間の横方向離間を予測することを含んでもよい。本方法は、予測された横方向離間が離間閾値以下となる(例えば予め定められた時間内に)という判断に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。
【0020】
本方法は、ホスト車両の近傍にある別の車両の存在又は不在を特定することを含んでもよい。本方法は、他の車両の存在の特定に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。ホスト車両の軌道は、他の車両が検出された場合にのみ制御されてもよい。他の車両が検出されない場合、ホスト車両の軌道は制御されなくてもよい。本方法は、ホスト車両に対して予め定められたエリア又は領域内の他車両の有無を特定することを含んでもよい。予め定められたエリア又は領域は、例えば、ドライバの死角に対応してもよい。本方法は、死角検出エリアを監視して他の車両の存在又は不在を特定することを含んでもよい。他の車両の存在が検出された場合、本方法は、ホスト車両の横方向速度の分析に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、ホスト車両の軌道を制御する方法が提供され、この方法は、ホスト車両の外部の物体を特定することと、ホスト車両と特定された物体との間の横方向離間を決定することと、ホスト車両の横方向速度を決定することと、を含む。本方法は、横方向離間が離間閾値以下であり、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値以上であるという判断に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。ホスト車両の軌道は、例えば、ステアリングオーバーレイ信号を生成することによって制御されてもよい。ステアリングオーバーレイ信号は、例えば、ステアリングオーバーレイトルクの適用を制御してもよい。本方法は、ホスト車両の位置を監視することを含んでいてもよい。ホスト車両と特定された物体との間の横方向離間は、ホスト車両の決定された位置に依存して決定されてもよい。
【0022】
本方法は、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道を監視することを含んでもよい。本方法は、ホスト車両走行車線内のホスト車両の位置及び/又は軌道に依存して、ホスト車両と特定された物体との間の横方向離間を予測することを含んでもよい。本方法は、予測された横方向離間が離間閾値以下(例えば予め定められた時間内)になるという判断に依存して、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。
【0023】
特定された物体は、他の車両を含んでもよい。
【0024】
本方法は、横方向離間を維持または増加させるために、ホスト車両の軌道を制御することを含んでもよい。
【0025】
本方法は、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値未満である場合に、ホスト車両の軌道の制御の生成を抑制することを含んでもよい。ホスト車両のドライバは、依然としてホスト車両を制御することができることが明らかである。ホスト車両の軌道の制御を抑制することへの参照は、例えば車線維持支援システム等によるホスト車両の軌道の自動または半自動制御に関連する。本方法は、例えば、ステアリングオーバーレイ信号の生成を抑制することを含んでいてもよい。
【0026】
第1の横方向速度閾値は、約0.1m/sであってもよい。
【0027】
本方法は、決定された横方向速度が第2の横方向速度閾値よりも大きい場合に、ホスト車両の軌道の制御を抑制することを含んでいてもよく、第2の横方向速度閾値は、任意に約0.7m/sであってもよい。ホスト車両のドライバは依然としてホスト車両を制御することができることが明らかである。ホスト車両の軌道の制御を抑制することへの参照は、例えば車線維持支援システム等によるホスト車両の軌道の自動または半自動制御に関連する。本方法は、例えば、ステアリングオーバーレイ信号の生成を抑制することを含んでいてもよい。
【0028】
本方法は、横方向速度ヒステリシスを適用することを含んでもよい。横方向速度ヒステリシスは、約0.05m/sであってもよい。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、実行されると、本明細書に記載の方法をプロセッサに実行させる、そこに記憶された一連の命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、実行されると、本明細書に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェアが提供される。
【0031】
本願の範囲内で、前述の段落、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、例及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組み合わせで取り得ることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることが可能である。出願人は、元々そのように請求されていないが、他の請求項の任意の特徴に依存し、及び/又はそれを組み込むように、元々提出された請求項を修正する権利を含む、元々提出された請求項の変更又はそれに応じて新しい請求項を提出する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態が、次に、添付の図面を参照しながら、例としてのみ説明される。
【0033】
図1図1は、本発明の実施形態に係る制御システムを組み込んだホスト車両の概略図である。
図2A図2Aは、ホスト車両が道路の第1のセクションの走行車線を走行する様子を示す図である。
図2B図2Bは、ホスト車両が道路の第2のセクションの走行車線を走行する様子を示す図である。
図3A図3Aは、第1の動作シナリオにおいて車線維持支援トルクの生成を可能にする制御システムの動作を示す図である。
図3B図3Bは、第2の動作シナリオにおいて車線維持支援トルクの生成を抑制する制御システムの動作を示す図である。
図4図4は、ホスト車両の横方向速度に依存してホスト車両の軌道を制御するための制御システムの動作を示す第1のブロック図である。
図5図5は、他の車両が検出されたときにホスト車両の軌道を制御するための制御システムの動作を示す第2のブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る制御システムを実装するためのコントローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る制御システム1について、添付の図を参照しながら説明する。制御システム1は、本明細書においてホスト車両2と呼ばれる車両2に搭載される。本実施形態におけるホスト車両2は自動車であるが、コントローラ1は他の種類の陸上車両に用いられてもよいことは明らかである。ホスト車両2は、縦軸X、横軸Y、及び垂直軸Zを含む基準座標を参照して本明細書で説明される。ホスト車両2は、縦軸Xに沿って延びる縦中心線CLを有する。
【0035】
図1に示されるように、ホスト車両2は、4つの車輪W1-4を備える。車輪W1-4は、前後の車軸3、4に設けられている。図1に示されるように、前輪車軸3に設けられた第1及び第2の車輪W1、W2は、ホスト車両2の進行方向を制御するためにステアリング可能である。前輪車軸3に設けられた第1及び第2の車輪W1、W2のステアリング角αを制御するために、ドライバが操作するステアリングホイール5が設けられている。ドライバがステアリングホイール5に加えるステアリングトルクSTQ-Dを補完するステアリング支援トルクSTQ-PAを発生させるパワー支援ステアリングシステム6が設けられている。制御システム1は、パワー支援ステアリングシステム6によるステアリングオーバーレイの生成を制御するためのステアリングオーバーレイ信号SOVを生成するように構成される。本実施形態におけるステアリングオーバーレイは、ステアリング支援トルクSTQ-PAを補完するステアリングトルクオーバーレイを含み、少なくとも特定の実施形態において、ホスト車両2の軌道を制御するために有効である。パワー支援ステアリングシステム6は、パワー支援ステアリングコントローラ7と、ドライバがステアリングホイール5に加えるステアリングトルクを検出するためのトルクセンサ(図示せず)と、ステアリング支援トルクSTQ-PAを生成するためのパワー支援ステアリングアクチュエータ8とを含む。本実施形態では、パワー支援ステアリングシステム6は、ステアリング支援トルクSTQ-PAを生成するように動作可能な電気機械式アクチュエータを含む電動パワー支援ステアリングシステム(EPAS)である。なお、パワー支援ステアリングアクチュエータ7は、油圧アクチュエータなど、他の種類のものを用いてもよい。
【0036】
本明細書では、ホスト車両2について、1つ以上の走行車線LT-nを含む道路Rを参照しながら説明する。本明細書では、ホスト車両2が走行している走行車線LT-nをホスト車両走行車線LT-nと呼ぶ。制御システム1は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nを逸脱していることを特定する、又は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nを逸脱する可能性があることを予測する車線逸脱警報システム9を含む。車線逸脱警報システム9は、センサユニット10と、画像処理モジュール11とを含む。本実施形態におけるセンサユニット10は、ホスト車両2の前の、前方に延びる視野を有する光学カメラを含む。センサユニット10は、例えば、ステレオカメラなどの1つ以上の光学カメラを含んでもよい。代替的に、または追加的に、車線逸脱警報システム9は、レーダーシステムまたはLIDARシステムなどの他の種類のセンサを利用して、ホスト車両2の前方の領域の画像を取り込んでもよい。本実施形態におけるセンサユニット10は、フロントウインドグラスの上部に設けられたバックミラー(図示せず)の裏に配置されている。他の取付位置も可能であり、例えば、センサユニット10は、ホスト車両2フロントグリルの後方又はその中に設けられてもよい。車線逸脱警報システム9は、任意に、1つ以上の車両システムからの入力を受信してもよく、例えば、ドライバがサイドインジケータを作動させて、意図した走行車線LT-nの変更を通知したかどうかを判断してもよい。
【0037】
車線逸脱警報システム9は、ホスト車両走行車線LT-nの1つ以上の横方向境界を特定するように構成される。本実施形態では、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両走行車線LT-nの第1及び第2の横方向境界を特定するように構成されている。本明細書で説明するように、走行車線LT-nのホスト車車線の横方向境界BD-nは、例えば連続線又は断続線からなる又はなる1つ以上の車線マーキングからなる又はなってもよい。代替的に、又は追加的に、ホスト車両走行車線LT-nの横方向境界BD-nは、道路Rの物理的な縁又は限界を含む、又はそれらから構成されてもよい。本明細書では、道路Rの物理的な縁又は限界を道路縁(road edge)REと呼ぶ。ホスト車両走行車線LT-nは、典型的には、走行車線LT-nの対向する側に対応する第1及び第2の横方向境界を含んでいる。第1及び第2の横方向境界の各々は、車線マーキング(連続又は断続)、中央道路マーキング(連続又は断続)、中央分離帯などの障壁、及び道路縁REのうちの1つ以上によって規定されてもよい。車線逸脱警報システム9は、ホスト車両走行車線LT-nの第1及び第2の横方向境界の少なくとも1つを特定するように構成されている。車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2が走行車線LT-nの横方向境界の1つに接近又は横切るときを特定することによって、ホスト車両2が走行車線LT-nを逸脱していることを判定するように構成されている。
【0038】
画像処理モジュール11は、センサユニット10によって撮像された画像データを受信する。車線逸脱警報システム9は、センサユニット10によって取り込まれた画像データを少なくとも実質的にリアルタイムで処理するように構成される。画像データは、ホスト車両2が走行している道路Rの特徴を特定するために処理される。画像処理モジュール11は、画像データを処理して、ホスト車両走行車線LT-nの第1及び第2の横方向境界のうちの少なくとも1つを特定する。画像処理モジュール11は、画像データを処理して、道路R上の車線マーキングを特定してもよい。画像処理モジュール11は、例えば、画像処理技術を利用して、前方方向(すなわち、ホスト車両2の中心線CLに平行)に延びる連続線又は断続線を特定し得る。画像処理モジュール11は、中央道路マーキング15及び/又は車線マーキング16-nを特定するように構成される。画像処理モジュール11は、例えば、比較的滑らかであり得る路面(例えば、アスファルト、コンクリート又は他の表面処理材料によって画定される)と、比較的粗い(例えば、草、泥、砂利、砂及び雪のうちの1つ又は複数からなる)隣接面との間の移行又は境界を特定することによって、道路縁REを特定することができる。代替的に、又は追加的に、画像処理モジュール11は、横方向境界BD-nを示す可能性がある画像データのコントラスト及び/又は色の変化を特定してもよい。他の画像処理技術が、横方向境界BD-n又は各横方向境界を特定するために使用されてもよい。これにより、画像処理モジュール11は、ホスト車両2が現在走行している走行車線LT-nを特定する。
【0039】
車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2の長手方向中心線CLに最も近い横方向境界BD-nを特定し、特定した横方向境界BD-nとホスト車両2の近位側(すなわち、特定した境界線に最も近いホスト車両2の側)の間の横方向離間DLATを決定する。横方向離間DLATは、ホスト車両2の横軸Yに沿って測定されてもよい。代替的に、横方向離間DLATは、ホスト車両走行車線LT-nの横方向境界BD-nに実質的に直交する方向で測定されてもよい。車線逸脱警報システム9は、決定された横方向離間DLATを、予め定められた第1離間閾値THDと比較する。車線逸脱警報システム9は、決定された横方向離間DLATが第1離間閾値THDより小さい場合、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nから逸脱していると判定してもよい。車線逸脱警報システム9は、判定された横方向離間DLATが第1離間閾値THD以下である場合に、車線逸脱信号SLDを出力するように構成される。第1離間閾値THDは、例えば、20cm、30cm、又は50cmと規定されてもよい。
【0040】
代替的に、又は追加的に、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両走行車線LT-n内でのホスト車両2の横方向の動きを評価するために、横方向離間DLATの変化率を決定してもよい。変化率は、例えば、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nを逸脱する可能性が高い時期の予測を促進してもよい。変化率は、予め設定された閾値と比較されてもよい。決定された変化率が予め定められた閾値よりも大きい場合、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nを逸脱することを予測してもよい。車線逸脱警報システム9は、決定された横方向離間DLATに関わらず、これらの条件が確認された場合、車線逸脱信号SLDを生成してもよい。また、車線逸脱警報システム9は、例えば、ドライバが方向(側方)指示器を作動させた場合、車線逸脱信号SLDの出力を抑制するように構成されていてもよい。
【0041】
制御システム1は、車線逸脱信号SLDに依存してステアリングオーバーレイ信号SOVを生成するように構成されている。ステアリングオーバーレイ信号SOVは、ステアリングオーバーレイの生成を制御するために、パワー支援ステアリングシステム6に出力される。ここで説明したように、本実施形態におけるステアリングオーバーレイは、車線支援ステアリングオーバーレイSTQ-LDを含む。本実施形態における車線支援ステアリングオーバーレイSTQ-LDは、車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを含む、又は、それらから構成されている。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、パワー支援ステアリングシステム6が生成するステアリング支援トルクSTQ-PAにステアリングトルクオーバーレイとして適用される。ステアリングトルク要求は、トルク要求方向(+ve又は-ve)、及び任意にトルク要求の大きさも含んでいてもよい。変形例では、パワー支援ステアリングシステム6は、ホスト車両2を制御するためにステアリング角を利用してもよい。本明細書で説明するように、制御システム1は、ホスト車両2の1つ以上の動的操作パラメータに依存して、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御するように構成される。制御システム1は、それによって、車線支援ステアリングトルクSTQ-LDの生成を制御する。1つ以上の動的操作パラメータは、走行車線LT-nの1つ以上の横方向境界に対するホスト車両2の横方向移動など、ホスト車両2の走行車線LT-n内の移動に関連していてもよい。本実施形態では、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成は、ホスト車両2の決定された横方向速度VLATに依存して制御される。
【0042】
制御システム1は、横軸Yに沿ったホスト車両2の横方向速度VLATを決定する。横方向速度VLATは、ホスト車両2の基準速度VREFとスリップ角とに依存して決定される。ホスト車両2の基準速度VREFは、ホスト車両2の1つまたは複数の車輪W1-4の回転速度に依存して算出される。車輪速度センサ12-nは、各車輪W1-4に関連付けられており、車輪速度信号を制御システム1に出力する。基準速度VREFは、車輪速度信号に依存して算出され、制御システム1へ出力される。代替的に、または追加的に、基準速度VREFは、ホスト車両2の測定された縦加速度に依存してモデル化されてもよい。代替的に、または追加的に、基準速度VREFは、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)などの衛星ナビゲーション・システムに依存して決定されてもよい。
【0043】
ホスト車両2のスリップ角は、慣性計測ユニット(IMU)12によって決定される。スリップ角は、長手方向軸Xとホスト車両2の実際の進行方向との間の角度である。IMU13は、少なくとも1つの軸を基準としてホスト車両2の加速度を測定する。本実施形態に係るIMU13は、3軸IMU13である。IMU13は、3軸加速度センサ(図示せず)を含む。IMU13は、縦軸X、横軸Y及び垂直Zのうちの1つ以上に沿ったホスト車両2の加速度を測定するように動作可能である。IMU13はまた、縦軸X、横軸Y及び垂直軸Zのうちの1つ以上についてホスト車両2の加速度を測定する。変形例において、IMU13は、例えば2軸の加速度計を含む2軸IMU13であってもよい。IMU13は、任意にジャイロスコープを含んでもよい。IMU13は、横方向加速度(横軸Yに沿った加速度)及び垂直軸Zを中心とする角加速度(ヨー回転)を測定し、ホスト車両2のスリップ角を決定する。
【0044】
制御システム1は、基準速度VREFとスリップ角とに依存して、ホスト車両2の横方向速度VLATを決定する。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATを、予め定められた第1の横方向速度閾値THVと比較する。第1の横方向速度閾値THVは、システムメモリに記憶され、制御システム1によってアクセス可能である。第1の横方向速度閾値THVは、本実施形態では、0.1m/sとして設定される。しかしながら、第1の横方向速度閾値THVは、より高い値又はより低い値に較正することができることが明らかである。例えば、第1の横方向速度閾値THVは、0.05m/s、0.2m/s、又は0.3m/sとして定義することができる。決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、制御システム1は、パワー支援ステアリングアクチュエータ6に車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを生成するよう指示するステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を有効にする(すなわち許可または容認する)よう構成される。決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、制御システム1は、車線支援ステアリングトルクSTQ-LD又は路端支援ステアリングトルクSTQ-REを含むステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を抑制する(すなわち制限する又はその他の方法で防ぐ)よう構成される。変形例では、第1の横方向速度閾値THVは、動的であり得る。例えば、第1の横方向速度閾値THVは、決定された横方向離間DLATに依存して変更され得る。第1の横方向速度閾値THVは、決定された横方向離間DLATに正比例して増加および減少し得る。代替的に、複数の横方向速度閾値THVが定義されてもよい。横方向速度閾値THVは、決定された横方向離間DLATに依存して選択されてもよい。
【0045】
代替的に、または追加的に、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成は、ホスト車両2の決定された横方向加速度に依存して制御されてもよい。さらなる変形例では、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成は、ホスト車両2の、走行車線LT-nの横方向境界(BD-n)又は走行車線LT-nの主軸のうちの1つに対する決定された横方向移動に依存して制御されてもよい。さらなる変形例では、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成は、ホスト車両2と横方向境界BD-nとの間の決定された横方向離間DLATの決定された変化率に依存して制御され得る。
【0046】
制御システム1は、ホスト車両2が1つ以上の走行車線LT-nを有する道路Rを走行している場合に実施することができる。一例として、図2Aに第1の道路区間R-Aが示され、図2Bに第2の道路区間R-Bが示される。第1及び第2の道路区間R-A、R-Bは、同一の道路Rの一部を構成してもよいし、別々の道路Rであってもよい。第1の道路区間R-Aは、それぞれの第1及び第2の方向に走行する車両用の第1及び第2の走行車線LT-1、LT-2を有する二車線道路(「二車線ハイウェイ」とも呼ばれる)である。第2の道路区間R-Bは、同一方向に走行する車両用の2車線以上の走行車線LT-nを有する複数車線道路(「複数車線ハイウェイ」とも呼ばれる)で構成されている。本発明は、第1及び第2の道路区間R-A、R-Bに例示された特徴を有する道路での動作に限定されないことは明らかである。第1及び第2の道路区間R-A、R-Bは、それぞれ第1及び第2の道路縁RE-1、RE-2を含んでいる。図示された例では、第1及び第2の道路縁RE-1、RE-2は、舗装された路面(metalled road surface)の横方向の範囲をマークする。第1及び第2の道路縁RE-1、RE-2の一方又は両方は、例えば分離道路(dual carriageway)(「分割されたハイウェイ」とも呼ばれる)の車線を分離する、障壁又は仕切り部材を含んでもよいことが明らかである。第1及び第2の道路区間R-A、R-Bは、道路マーキング(本明細書では一般に参照符号14で示される)も含んでもよい。第1の道路区間R-Aは、中央道路マーキング15を含む道路マーキング14を有する。図2Bに示すように、中央道路マーキング15は、第2の道路区間R-Bの中心線を構成している。第2の道路区間R-Bの道路マーキング14は、同一方向又は反対方向に走行する車両の走行車線LT-nの横方向境界BD-nを表す1つ又は複数の車線マーキング16-nを含む。1つ以上の車線マーキング16-nは、車線ラインを含んでもよい。図示された配置では、第2の道路区間R-Bは、第1、第2及び第3の走行車線LT-1、LT-2、LT-3を区画するための第1及び第2の車線マーキング16-1、16-2を含む。中央道路マーキング15及び/又は1つ以上の車線マーキング16-nは、それぞれ、連続線(図示せず)又は断続線(図3A及び図3Bに示す)を含んでもよい。道路マーキング14は、それぞれ、例えば単線又は複線の形態で、1つの線又は複数の線を含んでもよい。中央道路マーキング15は、典型的には、反対方向への走行を意図した第1又は第2の道路区間R-A、R-Bの区間を区別する。代替的に、または追加的に、道路マーキング14は、インボード車線の縁を示すための縁線を含んでいてもよく、縁線は、関連する第1または第2の道路縁RE-1、RE-2から分離されていてもよい。図3Bに示す第2の道路区間R-Bは、中央道路マーキング15と、複数の走行車線LT-nを規定する車線マーキング16とを含む。
【0047】
図2Aでは、ホスト車両2が第1の走行車線LT-1内を走行している様子が図示されている。ホスト車両走行車線LT-1は、第1の道路縁RE-1によって規定される第1の横方向境界BD-1と、中央道路マーキング15によって規定される第2の横方向境界BD-2とを有する。図2Bでは、ホスト車両2が第2の走行車線LT-2内を走行している様子が図示されている。ホスト車両走行車線LT-2は、第1の車線マーキング16-1によって規定される第1の横方向境界BD-1と、第2の車線マーキング16-2によって規定される第2の横方向境界BD-1とを有する。ホスト車両走行車線LT-nの第1及び第2の横方向境界BD-1、BD-2の他の組み合わせが企図される。例えば、ホスト車両走行車線LT-nは、車線マーキング16-nを含む第1の横方向境界BD-1と、中央道路マーキング15又は第1の道路縁RE-1を含む第2の横方向境界BD-1とを有してもよい。さらなる例では、走行車線LT-nのホスト車両は、第1の道路縁RE-1を含む第1の横方向境界BD-1と、第2の道路縁RE-2を含む第2の横方向境界BD-1とを有していてもよい。
【0048】
ホスト車両2と第1及び第2の横方向境界BD-1、BD-2の一方との横方向離間DLATが離間閾値THD以下である場合、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nから逸脱していると判定する。次に、車線逸脱警報システム9は、車線逸脱信号SLDを制御システム1へ出力する。車線逸脱信号SLDは、ホスト車両2が第1及び第2の横方向境界BD-1、BD-2のいずれかをホスト車両2の右側又は左側のいずれで横切っているかを示す表示を含む。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATを第1の横方向速度閾値THVと比較する。判定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、制御システム1は、パワー支援ステアリングアクチュエータ6にステアリングオーバーレイ信号SOVを出力する。図3Aに示すように、パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、ホスト車両2のホスト車両走行車線LT-nからの移動に対抗するための車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを生成する。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、パワー支援ステアリング装置6が生成するステアリング支援トルクSTQ-PAにステアリングホイールトルクオーバーレイとして適用される。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、ステアリングホイール5に伝達され、ホスト車両2のドライバに触覚信号を提供する。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、ホスト車両2をホスト車両走行車線LT-nに維持するために適切な方向でステアリングホイール5に出力される。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDの大きさは、必要に応じて、ドライバが車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを無効にして(override)、例えば、走行車線LT-nの計画変更を実施することができるように制御される。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、例えば、3Nmの最大値を有していてもよい。決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、制御システム1は、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を抑制する。図3Bに示すように、パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを生成させない。このシナリオでは、横方向速度VLATは横方向速度閾値THV以下であり、ドライバは、ホスト車両2をホスト車両走行車線LT-nに維持するために、ステアリングホイール5に適切なステアリングトルクを加える。制御システム1は、ステアリングオーバーレイ信号SOVをパワー支援ステアリングアクチュエータ6に出力することが明らかである。
【0049】
図4に、制御システム1の動作を表す第1のブロック図100を示す。制御システム1が起動される(BLOCK105)。画像処理モジュール11は、センサによって取得された画像データを処理する(BLOCK110)。ホスト車両走行車線LT-nの1つ以上の横方向境界が特定される(BLOCK115)。車線逸脱警報システム9は、特定された横方向境界に対するホスト車両2の車線内位置を監視する(BLOCK120)。ホスト車両2と横方向境界との間の横方向離間が予め定められた離間閾値THD以下である場合、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nから離れると判断し、車線逸脱信号SLDを出力する(BLOCK125)。制御システム1は、ホスト車両2の走行車線LT-n内の横方向速度VLATを決定する(BLOCK130)。横方向速度VLATは、予め設定された横方向速度閾値THVと比較される(BLOCK135)。横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、制御システム1は、ステアリングオーバーレイ信号SOVをパワー支援ステアリングアクチュエータ6に出力する(BLOCK140)。パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、車線支援ステアリングトルクSTQ-LAをステアリングトルクオーバーレイとして適用する(BLOCK145)。横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、制御システム1は、パワー支援ステアリングアクチュエータ6へのステアリングオーバーレイ信号SOVの出力を抑制する(BLOCK150)。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATの監視を継続する。この処理は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-n内を走行している間、継続的に実行される。制御システム1は、ホスト車両2が停止し、イグニッションがオフにされると、非活性化される(BLOCK155)。
【0050】
制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATの変化を考慮して、横方向速度ヒステリシスを適用するように構成されてもよい。例えば、横方向速度ヒステリシス値は、0.05m/sと定義されてもよい。
【0051】
本実施形態の変形例では、制御システム1は、死角支援システム26と連動して動作するように構成されている。死角支援システム26は、例えばホスト車両2の後方3/4位置(rear three-quarter position)(ニアサイド又はオフサイド)のドライバの死角を走行する他の車両27を検出するように構成されていてもよい。ホスト車両2及び車両27は、隣接する走行車線LT-nを走行していてもよい。死角支援システム26は、死角検出エリア29(図2Bにおいてハッシュ線で表される)を設定するように配置された1つ以上のセンサ28を含む。センサ28は、例えば、1つ以上の光学カメラ、レーダーシステム又はLIDARシステムを含む撮像センサ30を含んでいてもよい。死角支援システム26は、死角検出エリア29内に車両27が検出された場合、車両検出信号SVDを生成する。車両検出信号SVDは、ホスト車両2に対する車両27の位置を特定する。車両検出信号SVDは、制御システム1へ出力される。制御システム1は、死角支援システム26からの車両検出信号SVD及び車線逸脱警報システム9からの車線逸脱信号SLDに依存して、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御するように構成される。制御システム1は、ホスト車両走行車線LT-nからの逸脱が、死角支援システム31によって検出された車両27に向かう方向であるか離れる方向であるかを判断する。制御システム1は、ホスト車両2のドライバが意図された操縦を知らせるためにサイドインジケータを作動させたかどうかに関係なく動作してもよい。
【0052】
制御システム1は、死角支援システム26が死角検出エリア29内の車両27を検出したことを判断するように構成され、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両走行車線LT-nを逸脱(車両27に向かう方向)していると判断するように構成されている。これらの条件が特定された場合、制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATに依存して、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御する。制御システム1は、ホスト車両2の決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を抑制する。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満であると判定した場合、車線支援ステアリングトルクSTQ-LAを適用しない。制御システム1は、ホスト車両2の決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を可能にする。ステアリングオーバーレイ信号SOVは、車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを生成するパワー支援ステアリングアクチュエータ6に出力される。車線支援ステアリングトルクSTQ-LDは、パワー支援ステアリングシステム6が生成するステアリング支援トルクSTQ-PAにステアリングホイールトルクオーバーレイとして適用される。車線支援ステアリングトルクSTQ-LAは、制御システム1が、ホスト車両2の横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上であると判断した場合に適用される。
【0053】
死角支援システム26と連携した制御システム1の動作を表す第2のブロック図200図5に示されている。制御システム1が起動される(BLOCK205)。画像処理モジュール11は、センサによって取得された画像データを処理する(BLOCK210)。ホスト車両走行車線LT-nの1つ以上の横方向境界が特定される(BLOCK215)。車線逸脱警報システム9は、特定された横方向境界に対するホスト車両2の車線内位置を監視する(BLOCK220)。ホスト車両2と横方向境界との間の横方向離間が予め定められた離間閾値THD以下である場合、車線逸脱警報システム9は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-nから離れると判断し、車線逸脱信号SLDを出力する(BLOCK225)。死角支援システム26は、死角検出エリア29を監視し、ホスト車両2の進行方向に対応する側の死角検出エリア29に車両27が存在するか否かを特定する(BLOCK230)。死角検出エリア29に車両27が存在するか否かのチェックが実行される(BLOCK235)。死角支援システム26が死角検出エリア29に車両27を検出した場合、制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATを決定する(BLOCK240)。横方向速度VLATは、予め設定された横方向速度閾値THVと比較される(BLOCK245)。横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、制御システム1は、パワー支援ステアリングアクチュエータ6にステアリングオーバーレイ信号SOVを出力する(BLOCK250)。死角支援システム26が死角検出エリア29内の車両27を検出しない場合、制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATを監視することなく、ステアリングオーバーレイ信号SOVを出力する。パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、車線支援ステアリングトルクSTQ-LAをステアリングトルクオーバーレイとして適用する(BLOCK255)。横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、制御システム1は、パワー支援ステアリングアクチュエータ6へのステアリングオーバーレイ信号SOVの出力を抑制する(BLOCK260)。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATの監視を継続する。この処理は、ホスト車両2がホスト車両走行車線LT-n内を走行している間、継続的に実行される。ホスト車両2が停止し、イグニッションがオフになると、制御システム1は非活性化される(BLOCK265)。
【0054】
死角支援システム31は、任意に、車両27の速度及び/又は軌道を推定してもよい。死角支援システム31は、それによって、ホスト車両2に対する車両27の位置の変化を予測してもよい。
【0055】
図6を参照すると、本明細書に記載された方法を実施するために適合され得るような制御システム1の簡略化された例が図示されている。制御システム1は、1つまたは複数のコントローラ20を含み、ホスト車両2の軌道αを制御するためにステアリングオーバーレイ信号の生成を制御するように構成されている。制御システム1は、1つ以上のコントローラ20を含み、ホスト車両2の横方向速度を決定するように構成されている。制御システム1は、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値THV以上であるとき、ステアリングオーバーレイ信号を生成する。制御システム1は、決定された横方向速度が第1の横方向速度閾値THV未満である場合、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を抑制する。
【0056】
各コントローラ20は、1つ以上の電子プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)等)を有する制御ユニット又は計算装置を含んでもよく、単一の制御ユニット又は計算装置を含んでもよく、あるいは代わりに、各コントローラ20の異なる機能が異なる制御ユニット又は異なる計算装置の中で具体化されてもよく、又はそれらをホストとしてその中にあってもよいと理解される。本明細書で使用される場合、用語「コントローラ」、「制御ユニット」、または「計算装置」は、単一のコントローラ、制御ユニット、または計算装置、および必要な制御機能を提供するために集合的に動作する複数のコントローラ、制御ユニット、または計算装置を含むと理解される。実行されると、コントローラ20に本明細書に記載される制御技術(本明細書に記載される方法に必要とされる機能の一部または全部を含む)を実施させる命令のセットが提供され得る。命令のセットは、コントローラ20の前述の1つ以上の電子プロセッサに埋め込まれ得て、または代替的に、命令のセットは、コントローラ20において実行されるソフトウェアとして提供され得る。第1のコントローラまたは制御ユニットは、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実行され得る。1つ以上の他のコントローラまたは制御ユニットは、1つ以上のプロセッサ、任意で第1のコントローラまたは制御ユニットと同じ1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実行されてもよい。他の配置も有用である。
【0057】
図6に示される例では、各コントローラ20は、1つまたは複数の入力信号を受信するための1つまたは複数の電気入力22と、1つまたは複数の出力信号を出力するための1つまたは複数の電気出力23とを有する少なくとも1つの電子プロセッサ21を含む。各コントローラ20は、少なくとも1つの電子プロセッサ21に電気的に結合され、そこに記憶された命令25を有する少なくとも1つのメモリデバイス24をさらに含む。少なくとも1つの電子プロセッサ21は、少なくとも1つのメモリデバイス24にアクセスし、その上で命令25を実行するように構成される。
【0058】
各電子プロセッサ21は、電子命令を実行するように構成された任意の適切な電子プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASICなど)を含んでもよい。各電子メモリデバイスは、任意の適切なメモリデバイスを含んでもよく、様々なデータ、情報、閾値(1つまたは複数)、ルックアップテーブルまたは他のデータ構造、および/または命令をその中に又はその上に記憶してもよい。一実施形態において、メモリデバイス24は、本明細書に記載される方法の全て又は一部を決定し得る、その中又はその上に記憶されたソフトウェア、ファームウェア、プログラム、アルゴリズム、スクリプト、アプリケーション等のための情報及び命令を有する。前述のプロセッサ、または各電子プロセッサ21は、メモリデバイス24にアクセスし、それらの命令および情報を実行および/または使用して、本明細書に記載される機能および方法の一部または全部を実行または実行してもよい。
【0059】
少なくとも1つのメモリデバイス24は、機械または電子プロセッサ/計算機によって読み取り可能な形態で情報を記憶するための任意の機構を含んでいてもよいコンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一過性の記憶媒体)を含んでいてもよく、これには、磁気記憶媒体(例えばフロッピーディスク)、光学記憶媒体(例えばCD-ROM)、光磁気記憶媒体、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルメモリ(例えばEPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、または情報/命令を記憶するための、その他の電気または他の種類の媒体が含まれるが、それらに限定されない。
【0060】
例示的なコントローラ20は、少なくとも1つのメモリデバイス24内に記憶された電子命令を実行するように構成された少なくとも1つの電子プロセッサ21を含んで説明されており、実行されると、本明細書に記載されているような方法を実行させる。しかし、本発明は、プログラム可能な処理装置の方法によって実施されることに限定されず、本発明の機能および/または方法ステップの少なくともいくつかが、およびいくつかの実施形態ではそれらすべてが、プログラム不可能なASIC、ブール論理回路などの方法によるような、プログラム不可能なハードウェアの方法によって同様に実施されてもよいと考えられる。
【0061】
次に、制御システム1のさらなる実施形態について説明する。同様の構成要素には、同様の参照符号を用いる。本実施形態では、前述の実施形態との相違点に着目して説明する。
【0062】
本実施形態に係る制御システム1は、ホスト車両2に近接する外部物体の特定に依存してステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御するように構成されている。外部物体は、例えば、他の車両27であってもよい。ホスト車両2及び車両27は、道路R上を逆方向に走行している可能性があるが、本実施形態は、ホスト車両2及び車両27が道路R上を同方向に走行している場合に特に適用される。ホスト車両2及び車両27は、例えば、隣接する走行車線LT-nを走行していても良い。車両27は、ホスト車両2のドライバの死角、例えば後方3/4位置(ホスト車両2のニアサイド又はオフサイド)に位置していてもよい。
【0063】
ホスト車両2は、車両27の有無を特定するように構成された死角支援システム31を含む。死角支援システム31は、死角検出エリア29を確立するように配置された1つ以上のセンサを含む。本実施形態では、1つ以上のセンサは、画像データを生成する光学カメラ、レーダーシステム、又はLIDARシステムなどの撮像センサを含む。画像処理モジュール11は、画像データを解析して死角検出エリア29内の車両27を特定するために提供される。また、画像処理モジュール11は、ホスト車両2に対する車両27の相対的な位置を決定する。死角支援システム31は、ホスト車両2と車両27との間の横方向離間DLATを決定する。横方向離間DLATは、ホスト車両3の横軸Yに沿って決定されてもよい。代替的に、又は追加的に、横方向離間DLATは、ホスト車両走行車線LT-nの車線境界、例えばホスト車両2及び車両27の走行車線LT-n間の車線境界に直交するように決定されてもよい。死角支援システム31は、任意に、ホスト車両2と車両27との間の縦方向離間も決定してもよい。画像処理モジュール11は、任意選択で、車両27の速度及び/又は軌道を推定するために、時間に関して画像データを処理してもよい。死角支援システム31は、それによって、車両27の相対位置の変化を予測してもよい。
【0064】
ホスト車両2と車両27との間の横方向離間DLATが離間閾値THD以下である場合、死角支援システム31は、車両検出信号SVDを制御システム1に出力する。制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度VLATを第1の横方向速度閾値THVと比較する。制御システム1は、横方向速度VLATと第1の横方向速度閾値THVとの比較に依存して、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御するように構成される。
【0065】
決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV以上である場合、制御システム1は、ステアリングオーバーレイ信号SOVをパワー支援ステアリングアクチュエータ6に出力する。パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、死角支援ステアリングトルクSTQ-BSを生成する。死角支援ステアリングトルクSTQ-BSは、パワー支援ステアリングシステム6が生成するステアリング支援トルクSTQ-PAにステアリングホイールトルクオーバーレイとして適用される。死角支援ステアリングトルクSTQ-BSは、ステアリングホイール5に伝達され、ホスト車両2のドライバに触覚信号を提供する。死角支援ステアリングトルクSTQ-BSは、車両27を回避するためにホスト車両2の軌道を調整するように適切な方向にステアリングホイール5へ出力される。死角支援ステアリングトルクSTQ-BSの大きさは、必要に応じて、ドライバが死角支援ステアリングトルクSTQ-BSを無効にして、例えば、走行車線LT-nの計画変更を実施するためのホスト車両2の軌道変更を実施できるように制御される。死角支援ステアリングトルクSTQ-BSは、例えば、3Nmの最大値を有していてもよい。決定された横方向速度VLATが第1の横方向速度閾値THV未満である場合、制御システム1は、ステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を抑制する。図3Bに示すように、パワー支援ステアリングアクチュエータ6は、車線支援ステアリングトルクSTQ-LDを生成させない。このシナリオでは、横方向速度VLATは横方向速度閾値THV以下であり、ドライバは、ホスト車両2をホスト車両走行車線LT-nに維持するために、ステアリングホイール5に適切なステアリングトルクを加える。
【0066】
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を加えることができることは明らかである。絶対横方向速度VLATに依存してステアリングオーバーレイ信号SOVの生成を制御するのではなく、制御システム1は、ホスト車両2の横方向速度を、走行車線LT-nの第1及び第2の車線境界のうちの1つに対する相対速度として決定し得る。ステアリングオーバーレイ信号SOVは、それによって、走行車線LT-n内のホスト車両2の横方向移動に依存して制御されてもよい。
【0067】
ステアリングオーバーレイ信号SOVは、ホスト車両の横方向速度に正比例するステアリングトルクまたはステアリング角を生成するように構成されてもよい。横方向速度が小さい場合、ステアリングオーバーレイ信号SOVは、小さなステアリングトルクまたは小さなステアリング角の適用をもたらす可能性がある。横方向速度が大きい場合、ステアリングオーバーレイ信号SOVは、大きなステアリングトルクまたは大きなステアリング角の適用をもたらす結果となる可能性がある。
【0068】
ステアリングホイールオーバーレイ信号は、本明細書において、例えばトルク方向及びトルクの大きさからなるトルク要求を含むもの、又はトルク要求からなるものとして説明されてきた。変形例では、ステアリングホイールオーバーレイ信号は、パワー支援ステアリングシステム6を制御して目標ステアリング角を提供するためのステアリング角信号を含んでもよい。パワー支援ステアリングシステム6は、ステアリング角信号に依存して、ステアリングトルクオーバーレイを適用してもよい。
【0069】
フローチャートラベル
【0070】
フローチャートラベル
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6