(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】方向制御バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/53 20060101AFI20240313BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20240313BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20240313BHJP
【FI】
F16K31/53
A47J31/46
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2022543545
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2021078967
(87)【国際公開番号】W WO2021218373
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】202010365402.7
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522081783
【氏名又は名称】蘇州▲か▼楽美▲か▼琲机科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 梅生
(72)【発明者】
【氏名】王 照亮
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-511807(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109998390(CN,A)
【文献】特開2016-223540(JP,A)
【文献】米国特許第4632024(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/44-31/62
F16K 31/00-31/05
A47J 31/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向制御バルブであって、
コーヒーメーカー中の流路を切り換えるために用いられ、
方向制御バルブコンポーネントと、方向制御バルブ伝動コンポーネントと、駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御装置とを備え、
前記駆動モータは、前記制御装置により制御されて、前記方向制御バルブ伝動コンポーネントが動力伝達を行うように駆動して、前記方向制御バルブコンポーネントが切換動作を実行するように動かし、
前記方向制御バルブ伝動コンポーネントは間欠歯車伝動コンポーネントであり、
前記間欠歯車伝動コンポーネントが前記駆動モータにより駆動されて少なくとも1回の伝動を行うたびに、前記制御装置は前記駆動モータが駆動を停止するように制御
し、
前記方向制御バルブコンポーネントは、同心で配置される方向制御可動部と方向制御メインチャンネル部を備えており、前記方向制御メインチャンネル部には複数の貫通穴が設けられ、前記方向制御可動部には少なくとも1つの連通溝が設けられ、
前記間欠歯車伝動コンポーネントは伝動を行うときに前記方向制御可動部を回転させ、それにより前記複数の貫通穴のうちの2つの貫通穴が前記連通溝によって連通されるようになって、前記コーヒーメーカーにおいて前記2つの貫通穴に対応する流路が導通される
ことを特徴とする方向制御バルブ。
【請求項2】
前記間欠歯車伝動コンポーネントは互いに噛み合う駆動歯車と伝動歯車を備え、
前記駆動歯車は前記駆動モータに接続され、前記伝動歯車は前記方向制御バルブコンポーネントに接続され、
前記駆動モータが前記制御装置により制御されて少なくとも1回の駆動を行うたびに、前記駆動歯車は前記伝動歯車を動かして所定の角度を回転させ、前記伝動歯車は回転するとともに前記方向制御バルブコンポーネントを動かして回転させて、切換動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の方向制御バルブ。
【請求項3】
前記駆動歯車の円弧面の一部には少なくとも1つの駆動歯部エリアが設けられ、駆動歯部エリアが設けられていない円弧面には少なくとも1つのディスク状突起台エリアが設けられ、1つの駆動歯部エリアと1つのディスク状突起台エリアが1つの駆動グループを構成し、
前記伝動歯車には少なくとも1つの伝動歯部グループが設けられており、それぞれの伝動歯部グループは前記駆動グループにマッチし、
前記駆動モータが少なくとも1回の駆動を行うたびに、前記駆動歯車上の駆動歯部エリアにおける駆動歯部は前記伝動歯車上の伝動歯部グループを動かして回転させる
ことを特徴とする請求項2に記載の方向制御バルブ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの駆動歯部エリアは1つの駆動歯部エリアを含み、前記駆動歯部エリアは1つ又は複数の駆動歯部を備え、前記少なくとも1つのディスク状突起台エリアは1つのディスク状突起台エリアを含み、前記ディスク状突起台エリアは駆動歯部エリアが設けられていない円弧面を囲む
ことを特徴とする請求項3に記載の方向制御バルブ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの駆動歯部エリアは複数の駆動歯部エリアを含み、前記少なくとも1つのディスク状突起台エリアは複数のディスク状突起台エリアを含み、前記複数の駆動歯部エリアは離間して配置され、前記複数のディスク状突起台エリアは前記複数の駆動歯部エリアの間の隙間においてそれぞれ配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の方向制御バルブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの駆動歯部エリアのうちの各駆動歯部エリアは複数の駆動歯部を備え、前記複数の駆動歯部は高さが不一致であ
り、
前記少なくとも1つの伝動歯部グループのうちの各伝動歯部グループは、前記複数の駆動歯部にマッチする、高さが不一致な伝動歯部と、停止溝とを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方向制御バルブ。
【請求項7】
前記駆動グループにおけるディスク状突起台エリアの高さは駆動歯部エリアにおける駆動歯部の高さより低く、
前記少なくとも1つの伝動歯部グループのうちの各伝動歯部グループは長い歯部と、前記駆動歯部と噛み合う短い歯部と、停止溝とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の方向制御バルブ。
【請求項8】
前記駆動グループにおけるディスク状突起台エリアの高さは駆動歯部エリアにおける駆動歯部の高さに等しく、
前記少なくとも1つの伝動歯部グループのうちの各伝動歯部グループは前記駆動歯部エリアにおける駆動歯部と噛み合う伝動歯部を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方向制御バルブ。
【請求項9】
前記制御装置はメモリを備えており、
前記メモリは、前記間欠歯車伝動コンポーネントの回転位置情報と、前記駆動モータの駆動回数と、前記方向制御バルブコンポーネントの位置変化とのうちの少なくとも1つを記録するように構成される
ことを特徴とする請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の方向制御バルブ。
【請求項10】
前記方向制御バルブはリセット装置を更に備え、
前記リセット装置は、前記制御装置により制御されて、前記間欠歯車伝動コンポーネントが毎回の伝動動作を実行する前に自動的にリセットするように動かす
ことを特徴とする請求項
9に記載の方向制御バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料マシンにおける蒸気/液体の方向制御の技術分野に関し、特に方向制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、飲料マシン、特にコーヒーメーカーの分野においては、一般に、様々な飲料(例えば様々な風味や種類のコーヒー)を製作する必要があり、それに、様々な液体又は気体(例えば、コーヒーの製作には牛乳、泡立て牛乳、お湯又はスチームなど)を使用する必要がある。これらの目的を達成するために、通常の飲料マシンにおいては、その内部に複数の単方向バルブが配置されており、単方向バルブを手動制御又はプログラムによる自動制御によってお湯発生器、スチーム発生器、お湯出口ノズル又はスチーム出口ノズルなどのような機能素子に接続させて、必要に応じて相応しい機能素子に対応する単方向バルブを開放する。しかし、このような方式には、使用される部品の数が多く、装着工程が複雑との欠点がある。それで、単方向バルブの代わりに制御を実現する多方向バルブが現れた。
【0003】
しかしながら、飲料マシンにおける切換動作が頻繁に行われることを満すために、従来の多方向バルブ(例えばジェネバ機構ディスクバルブなど)は、製作プロセスが複雑であり、摩耗及び騒音が発生しやすく、高頻度の適用場面と長期の寿命要件を満足できず、飲料マシンの使用体験に影響を与えてしまう。よって、コストの低減と製作プロセスの簡素化を実現するとともに、安定して信頼性よく作動でき、且つ騒音が小さくて使用体験を向上できる飲料マシンを提供することが、現在注目されている研究課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、動力伝達が安定し、摩耗に強く、寿命が長く、且つ安定して信頼性よく作動できるとともに騒音も小さい方向制御バルブを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の従来技術における課題を解決するために、本発明は、コストの低減及び製作プロセスの簡素化を考慮したうえ、安定して信頼性よく作動できるとともに騒音が小さい方向制御バルブを提案する。本発明に係る方向制御バルブは、方向制御バルブコンポーネントと、方向制御バルブ伝動コンポーネントと、駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御装置と、を備える。前記駆動モータは、前記制御装置により制御されて前記方向制御バルブ伝動コンポーネントが動力伝達を行うように駆動し、ひいては前記方向制御バルブコンポーネントが連動して段々と定位する。前記方向制御バルブ伝動コンポーネントは間欠歯車伝動コンポーネントであり、前記間欠歯車伝動コンポーネントが前記駆動モータにより駆動されて少なくとも1回の動力伝達を行うたびに、制御装置は、前記駆動モータが駆動を停止するように制御する。
【0006】
前記間欠歯車伝動コンポーネントは互いに噛み合う駆動歯車と伝動歯車を備える。前記駆動歯車は駆動モータと接続され、前記伝動歯車は方向制御バルブコンポーネントと接続され、前記駆動モータが制御装置により制御されて少なくとも1回の駆動を行うたびに、前記駆動歯車は前記伝動歯車を動かして所定の角度を回転させる。前記伝動歯車が回転時、前記方向制御バルブコンポーネントは連動して回転し、前記方向制御バルブコンポーネントの切換動作を実現する。本発明において採用される間欠歯車伝動コンポーネントは歯車の噛み合いによって動力伝達を実現しており、噛み合う歯車同士の間の接触面積が広くて圧力が低いので、作動中の伝動が穏やかで騒音が小さいだけでなく、使用頻度が高い場合にも耐摩耗性が十分であって、飲料マシンの長時間作動による摩耗に耐えることができる。
【0007】
前記駆動歯車の円弧面の一部にはいくつかの駆動歯部エリアが設けられており、駆動歯部エリアが設けられていない円弧面にはディスク状突起台エリアが設けられており、1つの駆動歯部エリアと1つのディスク状突起台エリアは1つの駆動グループを構成する。前記伝動歯車にはいくつかの伝動歯部グループが設けられており、各伝動歯部グループはそれぞれの駆動グループにマッチする。駆動モータが少なくとも1回の駆動を行うたびに、前記駆動歯車における駆動歯部エリア中の駆動歯部は前記伝動歯車における伝動歯部グループを動かして回転させる。
【0008】
上述の技術案に基づいて、本発明は以下通りの3つの可能な好ましい実施形態を提案する。1つ目の好ましい実施形態において、前記駆動歯車は1つの駆動歯部エリアを備えており、前記駆動歯部エリアは1つ又は複数の駆動歯部を含む。この場合、前記ディスク状突起台エリアは駆動歯部エリアが配置されていない領域を囲む。2つ目の好ましい実施形態において、前記駆動歯車は複数の駆動歯部エリアを備えており、前記複数の駆動歯部エリアは離間して配置される。この場合、前記ディスク状突起台エリアは前記複数の駆動歯部エリアの間にある間隔において間欠的に設けられる。3つ目の好ましい実施形態において、前記駆動歯部エリアは複数の駆動歯部を含み、前記複数の駆動歯部は高さが同一ではない。上述の3つの可能な好ましい実施例はいずれも歯車の噛み合いに基づく手段によって動力伝達を行っており、動力伝達が穏やかで信頼性よく行われ、騒音が小さい。
【0009】
上述の1つ目及び2つ目の可能な好ましい実施形態のもとに、優先的に2つの可能な案が提示される。そのうちの1つの可能な案として、前記駆動グループにおけるディスク状突起台エリアの高さは前記駆動歯部エリアにおける駆動歯部の高さより低い。対応するように、前記伝動歯車上の伝動歯部グループにおいて、いずれの伝動歯部グループも長い歯部と、前記駆動歯部と噛み合う短い歯部と、停止溝とを含む。駆動歯部が短い歯部を駆動完了後、ディスク状突起台エリアはその後にくる停止溝の中に入り込んで動作停止し、駆動歯部は続いて無負荷で回転して初期位置に戻る。もう1つの可能な案として、前記駆動グループにおけるディスク状突起台エリアと前記駆動歯部エリアとは高さが一致する。対応するように、前記伝動歯車上の伝動歯部グループにおいて、いずれの伝動歯部グループも前記駆動歯部エリアの駆動歯部と噛み合う伝動歯部を含む。駆動歯部は、対応する伝動歯部を駆動完了後、続いて無負荷で回転して初期位置に戻る。
【0010】
上述の3つ目の可能な好ましい実施形態の場合、好ましく、前記伝動歯車上の伝動歯部グループにおいて、いずれの伝動歯部グループも前記複数の駆動歯部にマッチし且つ互いに高さが同一でない伝動歯部を含む。伝動歯部グループ同士の間には停止溝が形成されている。前記複数の駆動歯部が伝動歯部を駆動完了後、前記駆動歯車におけるディスク状突起台エリアは前記停止溝に入り込んで動作停止し、駆動歯部は続いて無負荷で回転して初期位置に戻る。
【0011】
本発明に係る前記方向制御バルブにおける制御装置はメモリを備える。前記メモリは前記間欠歯車伝動コンポーネントの回転位置情報、駆動モータの駆動回数及び/又は方向制御バルブコンポーネントの位置変化を記録するために構成される。メモリを設けることによって、間欠歯車伝動コンポーネント、駆動モータ及び/又は方向制御バルブコンポーネントの関連情報をタイムリーに記憶することができる。制御装置はこれらの関連情報に基づいて間欠歯車伝動コンポーネント及び駆動モータに対して精度よく制御して、飲料マシンの動作の信頼性及び安定性を保証することができる。
【0012】
前記方向制御バルブはリセット装置を更に備える。前記リセット装置は前記制御装置により制御されて、前記間欠歯車伝動コンポーネントが毎回の動作の前に自動的にリセットするように駆動する。好ましく、前記リセット装置は微動スイッチであってもよい。リセット装置を設けることによって、毎回の動作の前に前記間欠歯車伝動コンポーネントが初期位置に戻るようにして、毎回の動作が1つの完全な動作過程となるように保証することができ、したがって前記間欠歯車コンポーネントが作動時に角度を精度高く特定できるようにより一層保証することができる。
【0013】
前記間欠歯車伝動コンポーネントの駆動歯車及び伝動歯車はいずれもプラスチック製であり、いずれも一体成型で製作される。従来技術によるジェネバ機構動力伝達装置に比べると、コストを低減できるだけでなく、製作プロセスもより簡単である。
【0014】
前記方向制御バルブにおける方向制御バルブコンポーネントは、同心で配置される方向制御可動部と方向制御メインチャンネル部を備える。前記方向制御メインチャンネル部にはいくつかの貫通穴が設けられており、前記方向制御可動部にはいくつかの連通溝が設けられており、前記方向制御可動部における連通溝は前記方向制御メインチャンネル部における少なくとも2つの貫通穴を連通させる。
【0015】
前記方向制御メインチャンネル部にはいくつかの連通溝が設けられており、前記方向制御可動部と前記方向制御メインチャンネル部上の連通溝とは互いに係り合うことによって前記方向制御メインチャンネル部上の少なくとも2つの貫通穴を連通させる。具体的に、前記方向制御バルブコンポーネントにおける方向制御可動部は前記間欠歯車伝動コンポーネントにおける伝動歯車に接続する。駆動モータが前記間欠歯車伝動コンポーネントを駆動して伝動させるとき、前記方向制御可動部は前記伝動歯車に連動して回転する。それによって、前記方向制御可動部上の連通溝は前記方向制御メインチャンネル部における異なる貫通穴を連通させて、異なるパイプの切換動作を実現し、飲料マシンのマルチ機能切換の可能性をかなえて、現在の飲料マシンにおいて必要となる、様々な飲料を製作することと、清浄などの他の機能を実行することへの要求を満足することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る技術案は以下の有益な効果を有する。
本発明で採用される間欠歯車伝動コンポーネントは歯車の噛み合いによって動力伝達を行う。噛み合う歯車同士は接触面積が大きくて圧力が小さいため、作動中の伝動が穏やかで騒音が小さいだけでなく、使用頻度が高い場合にも耐摩耗性が十分であって、飲料マシンの長時間作動による摩耗に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の具体的な実施例に係る技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述に必要となる図面について簡単に紹介する。明らかに、ここで紹介される図面は本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者であれば、創造的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1の全体構造の分解模式図である。
【
図2】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1の間欠歯車伝動コンポーネントの局部を拡大した構造模式図である。
【
図3a-3c】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1の間欠歯車伝動コンポーネントの、実際に噛み合い動作を駆動する際の平面構造模式図である。
【
図4a-4b】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1における駆動歯車及び伝動歯車の、動作プロセス中の一部のプロセスを示す立体構造模式図である。
【
図5】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1における方向制御バルブコンポーネント及び分岐シートコンポーネントの局部構造の拡大図である。
【
図6a-6f】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例1における方向制御バルブコンポーネントの、方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の係合を示す平面構造模式図であ
る。
【
図7a-7b】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例2における間欠歯車伝動コンポーネントの立体構造模式図である。
【
図8a-8b】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例2における間欠歯車伝動コンポーネントの、噛み合い動作を行う際の平面構造模式図である。
【
図9】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例3における間欠歯車伝動コンポーネントの駆動歯車及び伝動歯車の構造模式図である。
【
図10】本発明に係る方向制御バルブの具体的な実施例4における間欠歯車伝動コンポーネントの駆動歯車及び伝動歯車の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例に係る技術手段について明確で完全に説明する。明らかに、ここで説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が創造的な労働をせずに本発明による実施例に基づいて得られる他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属するべきである。
【0019】
現在、多方向バルブとして広く使用されているのはセラミックスディスクバルブである。当該セラミックスディスクバルブは、互いに係り合う方向制御可動部と方向制御メインチャンネル部を備える。その中、方向制御メインチャンネル部には複数の貫通穴が設けられており、各貫通穴はそれぞれ1つの機能素子に対応する。方向制御可動部には連通溝が設けられており、当該連通溝は方向制御メインチャンネル部における貫通穴のうちの2つの貫通穴を連通させることができる。つまり、当該連通溝は、方向制御メインチャンネル部上の2つの貫通穴に対応する機能素子を間接的に連通させることができる。例えば、スチーム発生器とスチーム出口ノズルを連通させるか、又はお湯発生器とお湯出口ノズルを連通させる。機能を切り換えようとするとき、駆動コンポーネントで方向制御可動部を回転させることによって、方向制御可動部における連通溝と方向制御メインチャンネル部における貫通穴との間の位置関係を変更して、それぞれの機能素子の間の連通と隔絶を切り換える。従来技術によるセラミックスディスクバルブは主に、1つの固定したセラミックスディスクと、それと同心の1つの回転可能なセラミックスディスクとからなる。その中、固定したセラミックスディスクは、制御対象となる液体又はスチームの入口パイプ及び出口パイプに固定接続されている貫通穴を備える。その一側には弾性密封部が設けられており、当該弾性密封部を介して流路パイプを連通させる。その他側は回転ディスクバルブと接触するように配置される。作動時には、当該回転ディスクバルブを既定の回転角度位置に回転させることによって、固定したセラミックスディスクの入口、出口との間の相互接続を実現する。セラミックスディスクバルブの調節に用いられる駆動モータは手動のものであってもよく、プログラムにより自動的に制御されるものであってもよい。
【0020】
接続対象となるディスクバルブにおける開口部を速やかで正確に覆うためにディスクバルブの角度位置を精度よく特定することは、多方向バルブが均一な流量を提供するための保証である。従来技術において、一般的且つ互換性がよいディスクバルブとしては、例えばジェネバ機構ディスクバルブが挙げられる。それは、駆動モータとセラミックスディスクバルブとの間に配置されるジェネバ機構動力伝達装置を有する。当該動力伝達装置は、径方向駆動溝を有する1つのジェネバ機構ディスクと、駆動モータに接続される駆動ピンとを備える。駆動ピンは駆動モータにより駆動されて、1回の回転を行うたびに前記ジェネバ機構ディスク上の径方向駆動溝の中に入り込んでジェネバ機構ディスクが1ステップ回転するように駆動する。前記ジェネバ機構ディスクは、前記回転ディスクバルブに回転させることによって、パイプの連通形態を切り換えることを実現する。
【0021】
しかしながら、飲料マシンの場合、液体/蒸気パイプの切換動作を頻繁に行う必要がある。そこで、液体/蒸気パイプの切り換えに用いられるバルブは、耐摩耗性及び剛性の面で高く要求される。このような要求を満たすためには、ジェネバ機構自身の十字型駆動構造という特徴に合わせて、金属材料からなる駆動ピン軸と、プラスチックからなる土台とを一体に組み合わせて当該装置の駆動ピンを作製することができる。こうすると、金属材料は耐摩耗性及び剛性の要求を満たすことができるとともに、土台にプラスチックが採用されるため材料コストがある程度低減できる。しかしながら、このような設計を採用すると、製作プロセスに対する要求が高くなってしまって、製作プロセスがより複雑になってしまう。また、飲料マシンにおいては流路の切換動作が頻繁に行われ、且つ駆動ピン軸の加速度が回転の始端及び終端で激しく変化してなめらかな衝撃が発生するため、摩耗が発生しやすい。このような摩耗は一度発生すると急激に進んでしまうため、高頻度の適用場面を満足できず、長期の寿命要件も満たすことができない。さらに、ジェネバ機構ディスクにおける互いに係り合う駆動ピンと溝輪の係合において、一方が金属製であって他方がプラスチック製であるため、両者の材料強度が相違する。故に、摩耗によって隙間ができた場合、駆動ピンの出入りして衝撃が発生時には騒音がより発生しやすくなって、飲料マシンの使用体験が低下してしまう。
【0022】
<具体的な実施例1>
本実施例は方向制御バルブを開示する。当該方法制御バルブは、方向制御バルブコンポーネントと、方向制御バルブ伝動コンポーネントと、駆動モータと、前記駆動モータを制御する制御装置とを備える。前記駆動モータは、前記制御装置により制御されて前記方向制御バルブ伝動コンポーネントが動力伝達を行うように駆動し、ひいては前記方向制御バルブコンポーネントが連動して段々と定位する。前記方向制御バルブ伝動コンポーネントは間欠歯車伝動コンポーネントであり、前記間欠歯車伝動コンポーネントが前記駆動モータにより駆動されて少なくとも1回の動力伝達を行うたびに、制御装置は、前記駆動モータが駆動を停止するように制御する。
【0023】
前記間欠歯車伝動コンポーネントは互いに噛み合う駆動歯車と伝動歯車を備える。前記駆動歯車は駆動コンポーネントと接続され、前記伝動歯車は方向制御バルブコンポーネントと接続され、前記駆動モータが少なくとも1回の駆動を行うたびに、前記駆動歯車は前記伝動歯車を動かして所定の角度を回転させる。前記伝動歯車が回転するとき、前記方向制御バルブコンポーネントは連動して回転する。それによって、前記方向制御バルブコンポーネントの切換動作が実現される。
【0024】
具体的に、本実施例は方向制御バルブを例示的に開示する。当該方向制御バルブは
図1の分解構造模式図に示すとおり、方向制御バルブ本体1と、前記方向制御バルブ本体1の一側に順次配置される間欠歯車伝動コンポーネント2及び駆動コンポーネント3と、前記方向制御バルブ本体1の他側に順次配置される方向制御バルブコンポーネント4及び分岐シートコンポーネント5と、を備える。前記方向制御バルブ本体1には1つの収容溝11が設けられており、前記間欠歯車伝動コンポーネント2の一部と前記方向制御バルブコンポーネント4の一部とは前記収容溝11の中で互いに接続する。また、本実施例による方向制御バルブは前記駆動コンポーネント3を制御するための制御装置(図示せず)を更に備える。前記駆動コンポーネント3は前記制御装置により制御されて前記間欠歯車伝動コンポーネント2が伝動するように駆動して、ひいては前記方向制御バルブコンポーネント
4が連動して段々と定位して、方向制御バルブコンポーネント
4の切換動作を実現することができる。本実施例による駆動コンポーネント3が1回の駆動を行うたびに、前記制御装置は前記駆動コンポーネント3を制御して駆動を停止させる。
【0025】
詳しくは
図1に示すとおり、前記方向制御バルブ本体1の一側において、前記駆動コンポーネント3は駆動モータ31と、前記駆動モータ31と一体に集積される減速機32とを備える。前記減速機32には出力シャフト33が設けられており、前記出力シャフト33は前記駆動モータ31及び減速機32により駆動されて回転することができる。
【0026】
前記間欠歯車伝動コンポーネント2は順次配置される駆動歯車21、方向制御歯車固定シート22及び伝動歯車23を備える。前記駆動歯車21と前記伝動歯車23とは互いに噛み合う。
【0027】
前記駆動歯車21の一部の円弧面にはいくつかの駆動歯部エリアが設けられている。駆動歯部エリアが設けられていない円弧面にはディスク状突起台エリアが設けられている。1つの駆動歯部エリアと1つのディスク状突起台エリアが1つの駆動グループを構成する。前記伝動歯車23にはいくつかの伝動歯部グループが設けられており、各伝動歯部グループはそれぞれの駆動グループにマッチする。駆動モータ31が少なくとも1回の駆動を行うたびに、駆動歯車21における駆動歯部エリア中の駆動歯部は伝動歯車23における伝動歯部グループが動力伝達を行うように駆動する。
【0028】
具体的に、本実施例は1つの好ましい形態を提示する。
図2は当該好ましい形態による前記駆動歯車21及び前記伝動歯車23の局部拡大図である。前記駆動歯車21は1つの駆動歯部エリアを備え、前記駆動歯部エリアは1つの駆動歯部212を備える。前記ディスク状突起台エリア213は他の、駆動歯部が設けられていないエリアを囲む。
【0029】
より具体的に、本実施例による前記駆動歯車21におけるディスク状突起台エリア213の高さは前記駆動歯部エリア中の駆動歯部212の高さより低い。対応するように、前記伝動歯車23における複数の伝動歯部グループのうち、いずれの伝動歯部グループも長い歯部231と、前記駆動歯部212に噛み合う短い歯部230と、停止溝とを含む。詳しく、
図2に示すように、本実施例による前記駆動歯車21はベース部210と、前記ベース部210の底部に設けられる駆動シャフト211と、前記ベース部210に設けられる駆動歯部212と、前記駆動歯部212を囲み且つ高さが前記駆動歯部212より低いディスク状突起台エリア213と、を備える。前記ベース部210の底部における駆動シャフト211は、前記減速機32における出力シャフト33に接続され、前記出力シャフト33に連動して回転して、前記駆動歯車21が全体的に回転するように伝動することができる。前記方向制御歯車固定シート22には、前記駆動歯車21を収容するように設けられる貫通穴220と、前記伝動歯車23が装着されるように構成される支持シャフト221とが設けられる。前記駆動歯車21上の駆動歯部212と、前記駆動歯部212を囲むディスク状突起台エリア213とは、前記貫通穴220を通して他側に届いて、前記伝動歯車23に噛み合う。前記伝動歯車23は前記方向制御歯車固定シート22の支持シャフト221に外嵌される。前記伝動歯車23には短い歯部230及び長い歯部231が交互に設けられる。1つの短い歯部230と1つの長い歯部231が1つの伝動歯部グループとなる。任意の2つの隣接する長い歯部と、それらの間にある短い歯部とにより画定される空間は停止溝となる。本実施例における前記短い歯部230の歯幅は前記長い歯部231の歯幅の半分であるが、本発明はそれに限られない。つまり、前記駆動歯車21上の駆動歯部212が前記伝動歯車23上の短い歯部230を動かすことと、前記ディスク状突起台エリア213が前記停止溝に入り込むことさえ保証できれば、前記短い歯部230と前記長い歯部231の歯幅の比は変更されてもよい。前記伝動歯車23は、前記短い歯部230及び長い歯部231と、前記駆動歯車21における駆動歯部
212及びディスク状突起台エリア213との間の噛み合いによって、間欠的な伝動を実現する。
【0030】
前記間欠歯車伝動コンポーネント2の詳しい作動過程は
図3a乃至図3cの平面模式図に示す通りである。初期状態では、前記駆動歯車21と前記伝動歯車23との間の相対的な位置は
図3aに示す通りである。このとき、前記駆動歯車21上の駆動歯部212は前記伝動歯車23の1つの短い歯部230aとその次の1つの長い歯部231
aの間に位置する。
図3bに示すように、駆動モータ31が駆動開始後、1つの駆動周期の間、前記駆動コンポーネント3上の出力シャフト33は前記駆動歯車21上の駆動歯部212を動かして、前記駆動歯車21上の駆動歯部212が前記伝動歯車23上の前記短い歯部230aを動かして進めさせるようにする。このとき、前記ディスク状突起台エリア213は、前記長い歯部231aと、次の短い歯部230b及び長い歯部231bとにより構成される停止溝の中に入り込むように、噛み合い始まる。前記ディスク状突起台エリア213が噛み合うとき、前記ディスク状突起台エリア213は長い歯部231aを動かして、前記ディスク状突起台エリア213の先端部分が停止溝の中に完全に入るまでに、長い歯部231aに所定の距離を進めさせる。その後、前記伝動歯車23の動作を停止する。動作が停止する間、前記駆動歯車21上の駆動歯部212は続いて無負荷で回転して初期状態の位置に戻る。詳しく、無負荷で回転することは
図3cに示す通りである。
【0031】
また、本実施例による駆動歯車21及び伝動歯車23の動作過程を更に明示するために、
図4a及び図4bによって両者の噛み合い過程を示す立体構造模式図を開示する。ここで、
図4aは前記駆動歯車21及び前記伝動歯車23が初期位置にあるときの立体構造模式図であって、
図3aによる平面模式図に対応する。
図4bは、前記駆動歯車21が1つの伝動歯部グループ230a及び231aを駆動完了後、前記ディスク状突起台エリア213が前記長い歯部231aと次の伝動歯部グループ230b及び231bとにより構成される停止溝の中に入り込むことを示す構造模式図であって、
図3cによる平面模式図に対応する。
【0032】
本実施例に係る前記間欠歯車伝動コンポーネント2における前記駆動歯車21及び前記伝動歯車23は、いずれもプラスチック製であり、両者のいずれも一体成型の構造となる。従来技術によるジェネバ機構動力伝達装置の、プラスチック製のベースに金属製の駆動ピンが集積される構造設計に比べて、本実施例はコストを低減できるだけでなく、製作プロセスもより簡単であり、且つ構造安定性も向上している。
【0033】
本実施例において、
図1に示すように、前記方向制御バルブ本体1の他側に配置される方向制御バルブコンポーネント4及び分岐シートコンポーネント5は、前記方向制御バルブ本体1における収容溝11を介して、前記間欠歯車伝動コンポーネント2と互いに接続する。具体的に、前記間欠歯車伝動コンポーネント2の伝動歯車23の一部が前記方向制御バルブ本体1の収容溝11の中まで延在し、前記伝動歯車23の、前記収容溝11の中に位置する部分には2つの固定耳232が設けられており、固定耳232は前記方向制御バルブコンポーネント4と係合接続するように構成される。
【0034】
具体的に、
図5は、前記方向制御バルブ本体1の他側に位置する方向制御バルブコンポーネント4及び分岐シートコンポーネント5の局部構造拡大図である。前記方向制御バルブ本体1の他側に位置する方向制御バルブコンポーネント4は、順次配置される方向制御ブロックベース41、方向制御可動部42、方向制御メインチャンネル部43及び弾性密封接続部44を備える。前記方向制御ブロックベース41、方向制御可動部42、方向制御メインチャンネル部43は、前記方向制御バルブ本体1の収容溝11の中において順次配置される。前記方向制御バルブコンポーネント
4の方向制御メインチャンネル部43及び前記方向制御可動部42は同心で設けられる。前記方向制御メインチャンネル部43にはいくつかの貫通穴が設けられており、前記方向制御可動部42にはいくつかの連通溝が設けられており、前記方向制御可動部42における連通溝は前記方向制御メインチャンネル部43における少なくとも2つの貫通穴を連通させる。前記方向制御メインチャンネル部43には弾性密封接続部44が設けられており、前記弾性密封接続部44においては前記方向制御メインチャンネル部43に対応する貫通穴が設けられている。前記方向制御メインチャンネル部43は前記弾性密封接続部44を介して前記分岐シートコンポーネント5との間の密封接続を実現する。
【0035】
1つの好ましい技術形態として、本実施例において、前記方向制御ブロックベース41はセラミックス製の円環であり、当該円環の外周には定位突起部410が設けられる。前記定位突起部410は前記方向制御バルブ本体1の収容溝11の内部形状に適合するように設けられて、装着時には容易に位置を特定して装着することができる。前記方向制御可動部
42は前記
方向制御ブロックベース41上に設けられる。前記方向制御可動部42は円形のセラミックス製の方向制御可動部であり、前記方向制御可動部42の、前記方向制御メインチャンネル部43に向く面には1つの円弧状の連通溝が設けられており、他の面には前記伝動歯車23における2つの固定耳232に対応する2つのスロット(図示せず)が設けられる。前記伝動歯車23における2つの固定耳232は前記2つのスロットに挿入するように設けられ、それによって伝動歯車23は回転するときに前記方向制御バルブコンポーネント4における方向制御可動部42を動かして回転させることができる。前記方向制御メインチャンネル部43は円形のセラミックス製の方向制御メインチャンネル部であり、詳しくは
図6a乃至図6fに示すように、方向制御メインチャンネル部43は前記方向制御可動部42上に設けられる。前記方向制御メインチャンネル部43においては、6つの貫通穴が環状になるように均一に配置される。前記方向制御可動部42における円弧状の連通溝L1は、前記方向制御メインチャンネル部43における任意の隣接する2つの貫通穴の間の連通を実現することができる。本実施例による前記方向制御メインチャンネル部43における6つの貫通穴の配列としては、スチーム圧力開放口H1、スチーム入口H2、スチーム出口H3、泡立て牛乳器洗浄出口H4、お湯入口H5、お湯出口H6が逆時計回りに順次配置される。それに対応するように、本実施例による前記弾性密封接続部44には環状に配列される6つの貫通穴が設けられており、前記方向制御メインチャンネル部43は前記弾性密封接続部44によって前記分岐シートコンポーネント5と密封接続される。
【0036】
前記分岐シートコンポーネント5は
図5に示すように、いくつかの流路パイプを備える。前記いくつかの流路パイプは前記方向制御メインチャンネル部43におけるいくつかの貫通穴にそれぞれ対応する。接続されるとき、前記いくつかの流路パイプは、一端が前記方向制御メインチャンネル部43におけるいくつかの貫通穴にそれぞれ対応するように接続され、他端が飲料マシン(例えばコーヒーメーカー)内の機能ユニットに接続される。ここで、前記機能ユニットは例えばスチーム発生器、お湯発生器、泡立て牛乳器及び他の機能を提供する出口ノズルなどであってもよい。具体的に、本実施例による前記分岐シートコンポーネント5には6つの流路パイプが設けられており、前記6つの流路パイプは、一端が前記方向制御メインチャンネル部
43における6つの貫通穴に連通され、他端はコーヒーメーカー内の機能ユニットに連通される。本実施例による前記分岐シート
コンポーネント5における6つの流路パイプはそれぞれ、スチーム圧力開放口パイプM1、スチーム入口パイプM2、スチーム出口パイプM3、泡立て牛乳洗浄出口パイプM4、お湯入口パイプM5及びお湯出口パイプM6である。上述の6つの流路パイプは、一端がそれぞれ前記方向制御メインチャンネル部
43における6つの貫通穴に接続され、他端がそれぞれスチーム圧力開放ノズル、スチーム発生器、スチーム出口ノズル、泡立て牛乳器、お湯発生器及びお湯出口ノズルに接続される。
【0037】
本実施例における前記方向制御バルブコンポーネント4と前記分岐シートコンポーネント5との間の接続関係にあたる基本的思想としては、方向制御可動部42上の連通溝を用いて前記方向制御メインチャンネル部43における複数の貫通穴の間の連通を実現することである。前記方向制御メインチャンネル部43における貫通穴と前記分岐シートコンポーネント5における各流路パイプとを接続すると、前記方向制御メインチャンネル部43において連通される複数の貫通穴に対応する複数の流路パイプも連通される。なお、このような思想によれば、前記方向制御可動部42における連通溝の長さ、形状、幅などを変更することによって、前記方向制御メインチャンネル部43における任意の複数の貫通穴を連通させることができる。このように、前記分岐シートコンポーネント5における任意の数の流路パイプを連通することができる。なお、連通される流路パイプの数は実際のニーズに応じて決められることができる。
【0038】
本実施例に係る方向制御バルブコンポーネント4及び前記分岐シートコンポーネント5の具体的な作動過程は
図6a-
図6fに示す通りである。
ここで、図6aは初期の準備状態にある方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の相対的位置関係であり、図6bは圧力開放状態にある方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の相対的位置関係であり、図6cは暖かい牛乳/暖かい泡立て牛乳を製作するときの方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の相対的位置関係であり、図6dはお湯を供給するときの方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の相対的位置関係であり、図6eは泡立て牛乳器の洗浄が実行されるときの方向制御メインチャンネル部と方向制御可動部の相対的位置関係であり、図6fはどのような機能も実行しない状態である。初期準備状態において、
図6aに示すように、前記方向制御バルブコンポーネント4における方向制御可動部42上の円弧状の連通溝L1は方向制御メインチャンネル部43におけるスチーム圧力開放口H1とお湯出口H6との2つの貫通穴を連通させる。このとき、前記分岐シートコンポーネント5におけるスチーム圧力開放パイプM1と前記お湯出口パイプM6とが連通されて、この2つのパイプの両端に接続されているスチーム圧力開放ノズルとお湯出口ノズルとが連通される。このとき、この2つのノズルはいずれも大気圧に連通しているため、連通されたパイプはどのような機能も具備しない。作業開始後、圧力開放動作を実施しようとする場合、
図6bに示すように、前記駆動モータ31が駆動を行うたびに、前記駆動歯車21上の長い駆動歯部212及びディスク状突起台エリア213は駆動されて、前記伝動歯車23上の1つの短い歯部230及び1つの長い歯部231を動かして回転させ、ひいては前記方向制御可動部42が連動して逆時計回りで60°回転して、前記方向制御可動部42上の円弧状の連通溝L1が次の互いに隣接する1対の貫通穴、すなわちスチーム圧力開放口H1とスチーム入口H2との2つの貫通穴に切り換える。このとき、前記分岐シートコンポーネント5におけるスチーム圧力開放口パイプM1とスチーム入口パイプM2とが連通され、ひいてはスチーム入口パイプM2の一端に接続されているスチーム発生器からのスチームが前記スチーム圧力開放パイプM1の一端に接続されているスチーム圧力開放ノズルを介して大気へ開放されて、圧力開放機能が実現される。暖かい牛乳及び/又は暖かい泡立て牛乳の作製機能が実現されるときには、
図6cに示すように、前記駆動モータ31は初期状態から2回の駆動を行い、前記方向制御可動部
42は逆時計回りで120°回転し、前記方向制御可動部42における円弧状の連通溝L1は前記方向制御メインチャンネル部43上のスチーム入口H2とスチーム出口H3を連通させる。このとき、前記分岐シートコンポーネント5上のスチーム入口パイプM2とスチーム出口パイプM3が連通されて、前記スチーム入口パイプM2の一端にあるスチーム発生器からのスチームを前記スチーム出口パイプM3の一端にあるスチーム出口ノズルへ送って、スチームを用いて牛乳及び/又は泡立て牛乳を加熱する。同じように、お湯の輸送が実現されるときには、
図6dに示すように、前記駆動モータ31は5回の駆動を行い、前記方向制御可動部42は初期準備の位置から逆時計回りで300°回転して、前記方向制御メインチャンネル部43上のお湯入口H5とお湯出口H6が連通される。このとき、前記分岐シートコンポーネント5上の前記お湯入口パイプM5と前記お湯出口パイプM6が連通されて、前記お湯入口パイプM5の一端に接続されているお湯発生器と、前記お湯出口パイプM6の一端に接続されているお湯出口ノズルとが連通されて、お湯発生器からのお湯がお湯出口ノズルから出される。泡立て牛乳器の洗浄が実現されるときには、
図6eに示すように、前記方向制御可動部42上の連通溝L1は前記方向制御メインチャンネル部43上の泡立て牛乳洗浄出口H4とお湯入口H5を連通させる。このとき、前記分岐シートコンポーネント5上の泡立て牛乳洗浄
出口パイプM4とお湯入口パイプM5が連通されて、前記お湯入口パイプM5の一端に接続されているお湯発生器からのお湯が前記泡立て牛乳洗浄出口パイプM4の一端に接続されている泡立て牛乳器へ送られて泡立て牛乳器を洗い流す。本実施例に係る方向制御バルブと分岐シートの協働に基づいて、6つのパイプのうちのそれぞれの機能を有するパイプの間の連通切換を実現できるため、牛乳の加熱、泡立て牛乳の加熱、お湯の製作、泡立て牛乳の洗浄などの機能を実現することができる。
【0039】
さらに、本実施例による前記方向制御バルブはリセット装置を更に備える。前記リセット装置は制御装置により制御されて、前記間欠歯車
伝動コンポーネント
2が毎回の駆動動作の前に自動的にリセットするように動かす。好ましく、
図1に示すように、本実施例で採用されるリセット装置は微動スイッチ
であって、2つの構成部分(240及び241)を備える。当該2つの部分はそれぞれ前記方向制御歯車固定シート22と前記方向制御バルブ本体1に装着されており、前記間欠歯車
伝動コンポーネント
2における前記駆動歯車21及び伝動歯車23が毎回の駆動動作前に初期状態の噛み合い位置に戻るように確保する。
【0040】
なお、上述の駆動モータ31は制御装置に駆動されて逆回転機能を実行することも可能である。つまり、例えばお湯の輸送が実現されるときには、初期位置から時計回りで60°回転すればよい。また、前記方向制御バルブコンポーネント4は駆動モータ31により駆動されて初期位置から段々と回転して順番通りに機能を切り換えてもよく、駆動モータ31により複数回も駆動されて初期位置から所望の機能に対応する位置に直接切り換えてもよい。
【0041】
なお、本実施例に係る方向制御メインチャンネル部43には6つの貫通穴が等間隔に設けられるため、前記方向制御可動部42上の連通溝が前記間欠歯車伝動コンポーネント2により駆動されて1回の動作を実行するたびに、方向制御可動部は60°を回転する必要がある。ただし、本実施例に係る方向制御メインチャンネル部における貫通穴は他の配列形態で設けられてもよく、前記方向制御可動部上の連通溝も前記方向制御メインチャンネル部上の貫通穴の配列に従って複数本も設けられてもよい。さらに、連通溝の長さ、形状、幅などを変更することによって、前記方向制御メインチャンネル部における少なくとも2つの貫通穴を連通することを実現することもできる。それとともに、貫通穴の配列方式及び連通溝の変更に従って、前記間欠歯車の毎回の伝動動作に必要な回転角度も変化しなければならない。本実施例では少なくとも60°の回転が必要であるが、他の可能な実施例においては、歯車における歯の疎密度を調整すれば、他の任意の角度で切換動作を実現することも可能である。
【0042】
さらに、本実施例において、前記駆動歯車21は1つのみの駆動歯部エリアを備え且つ当該エリアには1つのみの駆動歯部212しか設けられていないが、本発明はこの例に限られない。つまり、実際に必要となる切換角度に応じて、本発明による前記駆動歯車21上の駆動歯部エリアにおいては複数の駆動歯部212が設けられてもよい。前記複数の駆動歯部は連続的に配列され、前記ディスク状突起台エリアは複数の駆動歯部の開始端及び終了端から駆動歯部エリアが設けられていないエリアの一周を囲むように配置される。対応するように、前記伝動歯車23における各伝動歯部グループは前記複数の駆動歯部212に対応する複数の短い歯部230を含む。
【0043】
<具体的な実施例2>
本実施例と具体的な実施例1との差異として、本実施例に係る間欠歯車伝動コンポーネントにおける駆動歯車及び伝動歯車は構造及び伝動形態が相違する。
【0044】
本実施例において、前記駆動歯車上のディスク状突起台エリアは前記駆動歯部エリア中の駆動歯部と高さが同一である。対応するように、前記伝動歯車上の伝動歯部グループのうちの各伝動歯部グループは前記駆動歯部エリア中の駆動歯部に噛み合う伝動歯部を備える。前記駆動歯車上の駆動歯部がそれに対応する1つの伝動歯部グループを駆動完了後、前記駆動歯部は続いて無負荷で回転して初期位置に戻る。
【0045】
具体的に、
図7a及び
図7bに示すように、本実施例に係る前記間欠歯車伝動コンポーネント
2は駆動歯車21’、方向制御歯車固定シート及び伝動歯車23’を備える。ここで、前記方向制御歯車固定シートは具体的な実施例1による方向制御歯車固定シート22と同一であるため、ここでは説明を省略する。前記駆動歯車21’はベース部210’と、前記ベース部210’の底部に配置される駆動シャフト211’と、前記ベース部210’上に配置される駆動歯部エリアとを備える。前記駆動歯部エリアは2つの駆動歯部(212’a及び212’b)を含む。前記2つの駆動歯部の一周を囲むように、前記2つの駆動歯部と高さが等しいディスク状突起台エリア213’が設けられる。前記ベース部210’の底部にある駆動シャフト211’は、前記駆動コンポーネントにおける減速機の出力シャフトに接続されて、前記出力シャフトに連動して回転して、前記駆動歯車21’が全体的に回転するように動かすことができる。
【0046】
本実施例による伝動歯車23’には形状が同一であり且つ等間隔に配列される伝動歯部230’が設けられる。前記伝動歯車23’における2つずつの伝動歯部230’が1つの伝動歯部グループとなる。前記駆動歯車21’における2つの駆動歯部212’a及び212’bは、前記伝動歯車23’における2つの伝動歯部を継続的に動かすことができる。動かし動作が完了後、駆動されない状態では、前記伝動歯車23’は自身のダンピング抵抗によって慣性回転が自動的に止まる。このとき、2つの駆動歯部212’a及び212’bは続いて無負荷で回転して初期位置に戻り、そして次の駆動動作時に再び前記伝動歯車23’における次の伝動歯部グループを動かす。
【0047】
本実施例に係る駆動歯車21’及び伝動歯車23’の伝動過程を更に説明するために、
図8aによって前記駆動歯車21’及び前記伝動歯車23’の初期位置における噛み合い状態の模式図を示し、
図8bによって前記駆動歯車21’上の駆動歯部212’aが1つの伝動歯部を駆動完了後、次の駆動歯部212’bが次の伝動歯部を駆動する直前の状態の模式図を示す。
【0048】
なお、本実施例における2つの駆動歯部212’a及び212’bは、前記伝動歯車23’上の隣接する2つの伝動歯部230’を継続的に動かしてもよく、必要に応じて隣接する2つの駆動歯部212’a及び212’bの間隔を調整することによって前記伝動歯車23’上の離間する2つの伝動歯部230’を動かしてもよく、詳しくは前記方向制御バルブコンポーネントの毎回の切換角度によって設定される。
【0049】
なお、上述した駆動歯部212’同士の間隔を調整することによって毎回の移動動作に対応する切換角度を調整すること以外にも、前記伝動歯車23’上の伝動歯部230’の疎密度を変更することによって切換角度を調整することもできる。つまり、本実施例による前記伝動歯車23’上の伝動歯部230’は等間隔で配列されており且つ前記伝動歯車の一周を完全に占めるように設けられるが、実際に設計する際には、前記伝動歯車23’の一周を占める伝動歯部の配列間隔は、実際に必要となる回転角度に応じて調整されることができる。それについての例示的な説明は具体的な実施例4により記載される。ただし、本発明はこれに限られない。
【0050】
また、前記駆動歯車21’における駆動歯部212’も本実施例に係る2つの駆動歯部212’a及び212’bに限られない。前記駆動歯部212’の数は実際に必要となる角度に応じて増加又は減少することができる。
【0051】
前記伝動歯車23’上の伝動歯部はグループに分けて離間して配置されることができ、いくつかの伝動歯部が1つのグループとなり、グループ同士の間隔は調整可能であり、グループ同士の間の隙間は停止溝になる。対応するように、前記駆動歯車21’における駆動歯部の数は、前記伝動歯車23’における各グループ中の伝動歯部の数に対応する。これについての例示的な実施例は省略する。
【0052】
<具体的な実施例3>
本実施例は他の間欠歯車伝動コンポーネントの例示的な形態を提示する。
【0053】
本実施例による前記駆動歯車は複数の駆動歯部エリアを備え、前記複数の駆動歯部エリアは離間して配置され、前記ディスク状突起台エリアは前記2つの駆動歯部エリアの間の隙間の中に間欠的に配置される。
【0054】
具体的に、
図9に示すように、本実施例による駆動歯車は具体的な実施例1による間欠歯車伝動コンポーネントの駆動歯車21とは相違する。伝動歯車は同一であるが、本実施例による前記駆動歯車には2つの駆動歯部エリアが設けられ、各駆動歯部エリアは1つの駆動歯部を備え、前記2つの駆動歯部エリアの間には2つのディスク状突起台エリアが間欠的に設けられる。詳しく言うと、本実施例による前記駆動歯車21”には2つの駆動歯部212”a及び212”bが設けられており、前記2つの駆動歯部212”a及び212”bは180°の角を挟むように前記駆動歯車21”のベース部において対向で設けられる。前記2つのディスク状突起台エリア213”a及び213”bは2つの駆動歯部の間の隙間において間欠的に設けられる。対応するように、本実施例の駆動過程において、前記駆動歯車21”は180°回転するたびに、前記伝動歯車23”が進めて1つの伝動歯部グループを動かすように、駆動することができる。
【0055】
<具体的な実施例4>
本実施例は具体的な実施例2の補充としての例示的な説明である。詳しくは
図10に示すように、本実施例における前記伝動歯車上の歯の数は16であり、具体的な実施例2における歯の数は12である。つまり、本実施例における伝動歯車が1つの歯を動かすたびに回転する角度は、具体的な実施例2において1つの歯を動かすたびに回転する角度と相違する。つまり、歯車の疎密度を変更することによって毎回の伝動に対応する回転角度を調整することができる。
【0056】
上述した例示的な実施例以外にも、本発明に係る間欠歯車伝動コンポーネントは他の可能な変形した形態を更に含む。当該可能な変形した形態は具体的に以下の通りである。駆動歯車の一部の円弧面における駆動歯部エリアは複数の駆動歯部を備え、前記複数の駆動歯部は高さが不一致である。対応するように、前記伝動歯車における伝動歯部グループのうちの各伝動歯部グループは前記複数の駆動歯部にマッチする、高さが不一致な伝動歯部と、停止溝とを備える。
【0057】
以上においては本発明に係る方向制御バルブについて詳しく説明しており、本明細書においては具体的な例を挙げて本発明の構造及び作動原理について説明した。以上の実施例に対する説明は本発明による方法及び基本思想がうまく理解されるために提供するものに過ぎない。なお、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提で本発明に対して改善や修飾を行うことができ、このような改善や修飾も本発明の特許請求の範囲に属する。