(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】音声出力装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20240313BHJP
H04M 1/21 20060101ALI20240313BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H04M1/00 U
H04M1/21 M
G08B23/00 520Z
(21)【出願番号】P 2023113739
(22)【出願日】2023-07-11
【審査請求日】2023-08-04
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519410024
【氏名又は名称】秋葉 美隆
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 美隆
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219600(JP,U)
【文献】特開昭63-108841(JP,A)
【文献】特開2014-072737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0068505(US,A1)
【文献】特開2016-019242(JP,A)
【文献】特開2002-164986(JP,A)
【文献】国際公開第01/61971(WO,A1)
【文献】米国特許第6275333(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04M1/00-1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔した第1発話者および第2発話者間での通信回線を介した音声通信を可能とする音声通信装置に備えられ、少なくとも前記第1発話者の発話音声を第1マイクにより集音するとともに、前記第2発話者の発話音声を第1スピーカにより出力するよう構成され、前記第1マイク及び前記第1スピーカが設けられる側とは反対側の受話部背面と、前記第1スピーカから前記第1マイクに向かう軸線方向に延びる一対の側面とを有する受話部、に取り付け可能な音声出力装置であって、
前記受話部に取り付けられ、前記第1発話者により把持される筐体と、
前記筐体に設けられ、
詐欺等犯罪行為を抑制する警告音を出力する第2スピーカと、
前記筐体に設けられ、前記第1発話者の把持に応じて押圧されたことを感知する第1感知部と、
前記筐体に設けられ、前記第1感知部による感知に基づいて、前記第2スピーカから前記警告音を出力する音声出力制御を行う制御部と、
を備え、
前記筐体は、前記受話部背面に対向する第1被覆部と、
前記一対の側面のうちいずれか一方に対向する第2被覆部と、
前記第1被覆部と前記第2被覆部を繋ぐ接続部と、
可撓性材料により構成され、前記筐体と共に前記受話部の一部を環状に覆い前記筐体を前記受話部に取り付ける取付具と、を有し、
前記第1感知部は、前記軸線方向に垂直かつ前記背面に沿った方向の成分を含む圧力を感知
し、
前記取付具は、
前記第1被覆部及び前記第2被覆部に固定され、又は、筒形状を呈して前記第1被覆部及び前記第2被覆部の一部を覆い、
前記取付具と前記第1被覆部及び前記第2被覆部との間に前記受話部の一部が介在した状態で前記筐体を前記受話部に取り付ける音声出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声出力装置であって、
前記筐体に設けられ、前記発話音声を集音する第2マイクと、
前記筐体に設けられ、前記第2マイクにより集音された前記発話音声を記録する記録部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記音声出力制御に加え、前記第1感知部による感知に基づいて、前記第2マイクにより集音された前記発話音声を記録する記録制御を行う音声出力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音声出力装置であって、
前記第1感知部を前記第2被覆部または前記接続部に設けた音声出力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音声出力装置であって、
前記受話部背面と前記第1被覆部の間、及び、前記受話部側面と前記第2被覆部の間に介在部材を配し、
前記介在部材は前記受話部の形状に合わせて変形する音声出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声通信を可能とする音声通信装置が備える受話部に取り付け可能な音声出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、悪意ある発呼者により、音声通信装置を介して行われる詐欺等犯罪行為を抑制するための技術が知られている。特許文献1は、詐欺電話警報装置を開示している。この装置は、少なくとも、本体部、音声出力部、及び、制御部を備えている。本体部は、電話機の受話器に固定される。音声出力部は、電話をかけてきた発呼者に対して、警告に相当する応答音声(以下、単に警告音とも称呼することもある。)を出力可能となっている。制御部は、本体部の動きが検出された場合、音声出力部に対して、警告音の出力指示を行う。これにより、機械に不慣れな者(例えば、高齢者等)であっても、簡易な操作にて、発呼者に対して警告することができる。
【0003】
また、特許文献2も、詐欺電話警報装置を開示している。この装置は、特許文献1の装置構成に加え、傾斜センサを更に備えている。傾斜センサにより、1軸の傾斜が検知されるようになっている。制御部は、上記傾斜が検知された場合、音声出力部に対して、上記応答音声の出力指示を行う。これにより、上述した特許文献1の効果に加え、例えば、ユーザが受話器を耳にあてる際、受話器を捻る動作を精度良く検出でき、誤作動を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3219600号
【文献】実用新案登録第3222594号
【発明の概要】
【0005】
特許文献1,2に記載の詐欺電話警報装置においては、傾斜センサを備える等により、本体部の傾斜や作動が検出されるようになっている。そして、当該検出により、警告音が出力される。一方で、詐欺電話警報装置が固定される受話器としては、機能やデザインの多様化に応じて、受信待ちの受話器の載置態様は、水平載置であったり、子機として直立載置であったりと、非常に幅広い。
【0006】
受話器を用いて通話する際、ユーザにより受話器を持ち上げる場合の傾斜度合いも様々となる。このため、特許文献1,2に記載の技術にて、警告音を確実に出力させるには、困難な場合が生じる。以上より、様々な態様の受話器においても、警告音を確実に出力できる構成が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、音声通信装置が備える受話部に設けられる音声出力装置において、警告音を確実に出力できるものを提供することにあり、ひいては賛同者との協働により当該音声出力装置の効果を広め、この不幸な被害撲滅の一助となることにある。
【0008】
本発明による音声出力装置は、互いに離隔した第1発話者および第2発話者間での通信回線を介した音声通信を可能とする音声通信装置に備えられ、少なくとも前記第1発話者の発話音声を第1マイクにより集音するとともに、前記第2発話者の発話音声を第1スピーカにより出力するよう構成され、前記第1マイク及び前記第1スピーカが設けられる側とは反対側の受話部背面と、前記第1スピーカから前記第1マイクに向かう軸線方向に延びる一対の側面とを有する受話部に取り付けられる。
【0009】
本発明による音声出力装置は、前記受話部に取り付けられ、前記第1発話者により把持される筐体と、
前記筐体に設けられ、詐欺等犯罪行為を抑制する警告音を出力する第2スピーカと、
前記筐体に設けられ、前記第1発話者の把持に応じて押圧されたことを感知する第1感知部と、
前記筐体に設けられ、前記第1感知部による感知に基づいて、前記第2スピーカから前記警告音を出力する音声出力制御を行う制御部と、
を備え、
前記筐体は、前記受話部背面に対向する第1被覆部と、前記一対の側面のうちいずれか一方に対向する第2被覆部と、前記第1被覆部と前記第2被覆部を繋ぐ接続部と、
可撓性材料により構成され、前記筐体と共に前記受話部の一部を環状に覆い前記筐体を前記受話部に取り付ける取付具と、を有し、
前記第1感知部は、前記軸線方向に垂直かつ前記背面に沿った方向の成分を含む圧力を感知し、
前記取付具は、
前記第1被覆部及び前記第2被覆部に固定され、又は、筒形状を呈して前記第1被覆部及び前記第2被覆部の一部を覆い、
前記取付具と前記第1被覆部及び前記第2被覆部との間に前記受話部の一部が介在した状態で前記筐体を前記受話部に取り付ける。
【0010】
本発明によれば、受話部に支持された音声出力装置の筐体は、第1発話者により把持されるようになっている。第1発話者により筐体が把持されたとき、当該把持に応じて、第1発話者の身体の一部にて第1感知部が押圧されて、押圧したことが感知される。そして、第1感知部の押圧感知に基づいて、第2スピーカから警告音が出力される。このため、例えば、傾斜センサ等のモーションセンサにより、受話器自体の動きを検出する場合に比して、より確実に警告音を出力できる。
【0011】
特に、第1発話者として機械に不慣れな者(例えば、高齢者等)であっても、特段の操作が不要で、警告音を第2スピーカから出力できる。従って、悪意ある音声通信装置越しの第2発話者に対し、より確実に、警告することができる。
【0012】
本発明に係る音声出力装置においては、前記筐体に設けられ、前記発話音声を集音する第2マイクと、
前記筐体に設けられ、前記第2マイクにより集音された前記発話音声を記録する記録部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記音声出力制御に加え、前記第1感知部による感知に基づいて、前記第2マイクにより集音された前記発話音声を記録する記録制御を行うと、好適である。
【0013】
また、本発明に係る音声出力装置においては、前記第1感知部を前記第2被覆部または前記接続部に設けたものであると、好適である。
【0015】
また、本発明に係る音声出力装置においては、前記受話部背面と前記第1被覆部の間、及び、前記受話部側面と前記第2被覆部の間に介在部材を配し、
前記介在部材は前記受話部の形状に合わせて変形するものであると、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る音声出力装置を固定電話機に適用した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す音声出力装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す音声出力装置を適用した受話器をユーザが持ち上げた状態を説明するための図である。
【
図4】
図1に示す音声出力装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)は
図1に示す音声出力装置の縦断面図である。
図5(b)は
図1に示す音声出力装置の底面図である。
【
図6】
図6(a)は
図1に示す音声出力装置を受話部に適用した状態を示す斜視図である。
図6(b)は
図1に示す音声出力装置を受話部に取り付ける状態を示す斜視図である。
図6(c)は
図1に示す音声出力装置を受話部に適用した状態を示す(a)とは異なる角度から見た斜視図である。
【
図7】
図1に示す音声出力装置に介在部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示す音声出力装置の作動を説明するフローチャートである。
【
図9】
図1に示す音声出力装置を固定電話機に適用した状態を示す部分断面図である。
【
図10】
図1に示す音声出力装置の操作方法を示す部分断面図である。
【
図11】
図1に示す音声出力装置の操作方法を示す斜視図である。
【
図12】
図12(a)は
図1に示す音声出力装置の操作方法を示す側面図である。
図12(b)は第2感知部を操作した際の作動を説明するフローチャートである。
【
図13】
図1に示す音声出力装置をユーザが持ち上げた状態を示す斜視図である。
【
図14】受話部の各部の呼び方を説明する側面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態の変形例に係る音声出力装置を受話部に適用した状態を示す平面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態の変形例に係る音声出力装置を示す斜視図である。
【
図18】
図16に示す音声出力装置をインターホンに適用した状態を示す斜視図である。
【
図19】
図19(a)は
図16に示す音声出力装置を受話部に取り付けた状態を示す側面図である。
図19(b)は
図16に示す音声出力装置を(a)とは異なる形状の受話部に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図20】
図16に示す音声出力装置の構成を示すブロック図である。
【
図22】
図16に示す音声出力装置の作動を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る音声出力装置をユーザが把持した状態を示す側面図である。
【
図24】
図24(a)は本発明の第3実施形態に係る音声出力装置を子機に適用した状態を示す斜視図である。
図24(b)は本発明の第3実施形態に係る音声出力装置を子機に適用した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明による音声出力装置の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<固定電話機の構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る音声出力装置100は、固定電話機(音声通信装置)200に適用される。固定電話機200は、本体210、受話器(受話部)220、及び、コード230を備えている。
【0021】
本体210は、扁平略長方形状の筐体で形成されている。本体210の筐体は、樹脂で構成されている。本体210の頂面右側には、複数のボタン211が配置されている。ボタン211は、ユーザにより押圧されることで、通話先の番号を入力可能となっている。ボタン211は、本第1実施形態では、3個×4個の行列となるよう配置されて、各ボタン211が略円形となっているが、個数、配列、形状等、これに限定されない。
【0022】
受話器220は、略直方体状の筐体で形成されている。受話器220の筐体は、例えば、樹脂で構成することができる。受話器220は、本体210の頂面左側であってボタン211の左隣に、長軸が設置面に略水平となるよう、載置されている。受話器220の第1端部221及び第2端部222は、載置状態において、本体210側(鉛直下側)にそれぞれ突出している。第1端部221及び第2端部222は、それぞれ対応するように本体210に形成された凹部と、嵌合可能になっている。これらの嵌合により、受話器220は、載置状態において本体210からずれ落ちることが抑制される。なお、受話器220の載置位置、姿勢等、第1端部221及び第2端部222の形状等は、これに限定されない。例えば、第1端部221及び第2端部222は、上述のように突出せずに受話器220の下面が平坦であってもよい。
【0023】
受話器220の背面223は、載置状態においては受話器220の頂面となり、ユーザにより把持される場合には、ユーザの掌と対向する。背面223は、第1端部221から第2端部222にかけて、曲率を有している。受話器220は左右に側面224,225を形成している。背面223には、後に詳述する音声出力装置100が支持される。このように構成された受話器220は、載置状態から、音声出力装置100がユーザにより把持されて、音声出力装置100と一体的に容易に持ち上げることができるようになっている。なお、背面223、側面224,225の形状等は、これに限定されない。例えば、背面223は、上述のように曲率を有さず、第1端部221から第2端部222にかけて平面状に形成されても良い。
【0024】
第1端部221には、第1スピーカ221aが内蔵されている。ユーザが、音声出力装置100を把持し受話器220にて通話する際、第1スピーカ221aは、耳元に対向するように、第1端部221に配置されている。第1スピーカ221aは、通話先からの発話音声を出力する。第2端部222には、第1マイク222aが内蔵されている。ユーザが音声出力装置100を把持して通話する際、第1マイク222aは、口元に対向するように、第2端部222に配置されている。第1マイク222aは、ユーザの発話音声を集音する。なお、第1スピーカ221a及び第1マイク222aの配置等は、これに限定されない。第1スピーカ221a及び第1マイク222aは、ある程度離隔していれば配置は任意であり、必ずしも両端部に配置されなくてもよい。
【0025】
コード230は、弾性変形可能な螺旋形状に構成されている。コード230は、受話器220の第2端部222と、本体210の左側面部との間に設けられている。受話器220に内蔵された第1スピーカ221a及び第1マイク222aは、コード230と電気的に接続されている。本体210に内蔵される回路基板は、コード230と電気的に接続されるとともに、モジュラケーブルを介して、外部の電話回線網にも電気的に接続されている。なお、通信態様はこれに限定されない。例えば、本体210及び受話器220の間において、コード230を要さない無線通信が確立されてもよいし、本体210は、LANケーブル又はWi-Fi(登録商標)を介して、外部のインターネット回線網に接続されてもよい。
【0026】
以上のように構成された固定電話機200は、互いに離隔した当該固定電話機200のユーザ(第1発話者)および他者(第2発話者)の間での、通信回線を介した音声通信を可能とする。受話器220は、ユーザにより音声出力装置100を介して把持された状態、又は、直接的に把持された状態で、ユーザの発話音声を第1マイク222aにより集音するとともに、他者の発話音声を第1スピーカ221aにより出力するよう構成されている。
【0027】
音声出力装置100は、
図2に示すように、受話器220の一部を覆うことで、筐体10を受話器220に取り付ける取付具300を備えている。本第1実施形態では、取付具300により、第1端部221(第1スピーカ221a)及び第2端部222(第1マイク222a)が、取付具300から露出するよう、受話器220が被覆される。取付具300の一端は、筐体10の一部に貫入して固定されている。取付具300の他端は、筐体10に固定された固定具300aに結合される。これにより、音声出力装置100は、受話器220に取り付けられるように構成されている。筐体10は取付具300に覆われず、露出しているため、ユーザが把持可能である。取付具300としては、伸縮材、面ファスナー付き繊維、糸などを用いることができる。
図3は音声出力装置100が受話器220に取り付けられ、ユーザにより感知部30が押圧された状態を示している。感知部30は、押圧されていない状態において
図3に破線により示すように、筐体10から大きく出っ張っているため、ユーザは容易に感知部30を押圧することができる。筐体10は、略L字型の断面を成しており、取付具300が環状に付勢して筐体10を受話器220に取り付けている。すなわち、第1被覆部10aが受話部背面223に向けて付勢され、第2被覆部10bが側面224(受話器端部AL)に向けて付勢され、受話器220と筐体10の配置が確定されている。これにより、第1感知部30は、左側端部13L(左側面12)の上にあるので最も左側に位置し、必ず出張ることを可能にしている。
【0028】
取付具300による受話器220及び音声出力装置100の被覆領域は、第1スピーカ221aから出力される音声、第1マイク222aへ集音される音声、及び、第2スピーカ20から出力される音声が、それぞれ遮蔽されない範囲であれば任意である。ここにおいて「音声が遮蔽されない」とは、可聴なように音声が伝播し得ることを、意味している。
【0029】
<音声出力装置の構成>
図4および
図5に示すように、音声出力装置100は、筐体10、第2スピーカ2、第1感知部30、第2感知部31、制御部40、記録部50、第2マイク60、第3マイク61、及び、音声伝達部70を備えている。
【0030】
図2に示すように、筐体10は、受話部背面223に対向する第1被覆部10aと、受話部の一対の側面224,225のうちいずれか一方に対向する第2被覆部10bと、両者を繋ぐ接続部10cと、を有し、上面11、左側面12、及び、下面13が、それぞれ規定される。
筐体10の長手方向は、各図において矢印により示す前後方向に対応している。
図6(a)に示すように、上面11における後方端部であって、左右方向の略中央部位には、第2スピーカ20が設けられている。第2スピーカ20は、筐体10内部に内蔵されたムービングコイル、振動板等を有する汎用的なスピーカである。第2スピーカ20は、制御部40からの電気信号を変換して、音声を上面11から上方向に出力するように構成されている。
【0031】
図2に示すように、筐体10の左側面12(第2面)には、第1感知部30が設けられている。四角柱状の第1感知部30は、左側面12に沿って、前後方向に延びている。感知部は図示しない弾発付勢材にて往復動(又は枢動)可能に支持され、最も出張った突出位置と最も後退した後退位置の間を移動する。突出位置以外の位置において後述する制御部40が作動信号を受ける。第1感知部30は、ユーザにより筐体10が把持されたとき、把持に応じてユーザの身体の一部にて押圧されて、当該押圧したことを感知するようになっている。第1感知部30は、静電容量式のタッチセンサ、荷重を感知するロードセル、押圧式の物理スイッチ(プッシュボタンなど)等により構成することができ、ユーザにより押圧されたとき、検出した電気信号を制御部40に送出するようになっている。第1感知部30は、左側面12に配置されて、略矩形状となっているが、個数、配列、形状等、これに限定されない。
【0032】
また、第1感知部30においては、ユーザにより容易に操作可能なよう、例えば、左側面12に占める押圧面積を比較的大きくし、後述する第3実施形態のように取付具300にて覆われた場合であっても押圧感知可能なように構成してもよい。また、第1感知部30が取付具300にて覆われる場合、第1感知部30が視認容易となるように、取付具300の色彩を透過色とし、第1感知部30に視認可能な色彩を付してもよい。また、意匠上の違和感を抑制するよう、第1感知部30を、左側面12と同一平面上に形成してもよい。
【0033】
本第1実施形態では、第1感知部30が、左側面12に設けられているが、これに限定されず、ユーザが筐体10を介して受話器220を持ち上げる際、筐体10が把持されるとともに、ユーザの手指や掌等が、第1感知部30の外表面を押圧(接触)できればよい。従って、下面13以外の筐体10の何れの面に第1感知部30が設けられてもよい。第1感知部30は、
図15に示す変形例のように、筐体10の前側面から筐体10の前方向に延長し、かつ屈曲して筐体左側面12よりも外側に第1方向に沿って延在してもよい。
【0034】
図6(b)に示すように、筐体10は、下面13(第1面)が受話器220の背面223の一部と接するように、受話器220に取り付けられる。
図6(b)に示すように、受話器220においては、領域A、軸線K、及び、受話器端部AL,AR(受話部端部)が、それぞれ規定される。領域Aは、背面223の一部であり、下面13と対向する部分である。換言すると、下面13は、受話器220において、第1マイク222a及び第1スピーカ221aが設けられる面とは反対側の背面223(
図14参照)における領域Aに対向する。軸線Kは、第1スピーカ221aから第1マイク222aに向かう方向の軸であり、軸線Kの方向は、前後方向と同じである。受話器端部AL,ARは、領域Aにおける、軸線Kの方向と直行し且つ軸線Kから遠ざかる方向(第1方向、左右方向)の端部である。即ち、受話器端部ALは、領域Aの左端部であり、受話器端部ARは、領域Aの右端部である。
【0035】
本第1実施形態においては、筐体10が受話器220に取り付けられた状態において、下面13及び領域Aが互いに接触するようにすることもできるが、これに代えて、
図7に示すように、下面13及び領域Aの間に、介在部材16を配置してもよい。介在部材16はスポンジ・ゴム・アルファゲルなど弾性・粘性体が好ましいが、セメント・接着剤などの固形材、両面テープなどの糊や膜でもよい。これらの材料は押し付けると相手との接触部形状に合わせて変形する性質を有している。変形することで、外力による位置ずれを抑え、復元力による防振や保護機能が備わる。
図3・19・23に示す取付具300がゴム等の伸縮材であれば、取付具300の張力と、介在部材16の復元力の協働により付勢効果が増して、筐体10の受話器220への取付け支持は、より強固なものとなる。
【0036】
制御部40及び記録部50は、筐体10内部に内蔵されている。制御部40は、マイコン、電気回路等を有し、記録部50は、メモリ、電気回路等を有している。
【0037】
図4に示すように、制御部40は、第2スピーカ20、第1感知部30、第2感知部31、記録部50、第2マイク60、第3マイク61、及び、これらの駆動源となるバッテリ(図示せず)と、それぞれ電気的に接続されている。バッテリは、ボタン電池等のように交換可能なものでもよいし、交換不要な充電式バッテリでもよい。また、バッテリの搭載に代えて、固定電話機200への給電を分岐させて、分岐したものを駆動用電源としてもよい。制御部40は、第1感知部30または第2感知部31から送出された電気信号を受けて、第2スピーカ20を介した音声出力と、第2マイク60、第3マイク61を介した記録部50での音声記録と、を制御するように構成されている。即ち、制御部40は、第1感知部30または第2感知部31にて押圧感知された場合に、制御処理として、第2スピーカ20への音声出力と、記録部50への音声記録と、を指示する。
【0038】
記録部50のメモリには、第2スピーカ20にて出力される音声に対応する第1音声データ、プログラム等が記憶されており、制御部40のマイコンにより読み出し、参照が可能となっている。第1音声データには第1感知部対応データと第2感知部対応データが含まれる。記録部50は、制御部40及びインターフェイスを介して第2マイク60と電気的に接続されており、第2マイク60により集音された発話音声に対応する第2音声データを、メモリにて記録可能に構成されている。第2マイク60は相手の音声を収音するのに対し、第3マイク61は使用者の音声を収音する。第2マイク60は構成上、使用者の音声を集音しにくいため、第3マイク61は使用者の口元の近く(第1マイクの近く)に配置する。感知部30を押圧して後退位置の状態でも、
図3に示すように段差があり、身体の一部で第3マイク61がふさがれることはない。使用者の肉声を録音できるのでメモ取りの代用となる機能も果たす。
【0039】
上記第1音声データは、固定電話機200越しの他者(第2発話者)に向けて警告するための警告音に対応する第1感知部対応データを含む。当該警告音は、例えば、悪意を挫くための文言の音声等であり、具体的には「通話は録音されます」などであるが、これらに限定されない。なお、出力される警告音は、1種類のみでもよいし、複数種類でもよい。警告音を複数種類とする場合、例えば、複数の第1音声データを予め記録部50のメモリに記憶しておき、感知部30の押圧時間の長さや押圧回数等に応じて、出力する警告音を選択・切替できるようにしてもよい。また、これに代えて、第1感知部30が、音声データの種類と同数のボタンを備え、複数の音声データに対応する各ボタンを押し分けることで、上記出力音声の切替を指示するようにしてもよい。
【0040】
上記第2音声データは、固定電話機200越しの他者(第2発話者)の発話音声であって、第1スピーカ221aから出力されて第2マイク60にて集音される音声と、第3マイク61にて集音されるユーザ(第1発話者)の発話音声であって、第2マイク60にて集音される音声と、第3マイク61にて集音される音声に対応するデータである。記録部50に記録された第2音声データは、メモリから抽出可能となっており、別の音声再生装置等を用い再生可能でもよいし、図示しない操作部の操作により第2スピーカ20からの出力でもよい。
【0041】
上記プログラムは、第1感知部30の押圧感知に応じて、第1音声データの音声出力の実行、及び、第2音声データの音声記録の実行が、制御部40により達成されるようになっている。
【0042】
図5(a)は、軸線Kに沿って切断された音声出力装置100の縦断面図である。
図5(b)は、音声出力装置100の底面図である。第2マイク60、及び、音声伝達部70は、筐体10内部に配置されている。音声伝達部70は、リム部70a、ダイヤフラム部71、及び、パイプ部72を備えている。リム部70aは、下面13略中央部よりも前側の円形貫通孔13aにおける縁部位に配設されている。ダイヤフラム部71は、筐体10の下面13に配したリム部70aを介し、下面13の円形貫通孔13aから露出しつつ受話器220の領域Aと接続される。パイプ部72の一端は、ダイヤフラム部71に接続されており、パイプ部72の他端は、第2マイク60に接続されている。これにより、第1スピーカ221aからの音声が、受話器220の領域Aから、ダイヤフラム部71で増幅されパイプ部72を伝達して、第2マイク60に到達する。即ち、音声伝達部70は、受話器220に接続され、第1スピーカ221aから出力された発話音声を、第2マイク60まで伝達するようになっている。下面13から露出したリム部70aは前述した取付具300の伸縮力によって受話器220の領域Aの面に密着しており、受話器220からの高効率での収音を可能にしている。
【0043】
<音声出力装置の作動>
図8は、音声出力装置100における作動を表すフローチャートである。
図8に示すように、本第1実施形態の音声出力装置100を固定電話機200に適用した状態において、先ず、ステップ600から開始する。次に、ステップ601にて、固定電話機200に呼び出しがあったか否かが、ユーザにより判定される。固定電話機200に呼び出しがない限り、「No」と判定されて、ステップ601に留まる。一方、固定電話機200に呼び出しがあった場合、「Yes」と判定されて、ステップ602に進む。
【0044】
ステップ602にて、ユーザにより本体210から受話器220が持ち上げられ、第1端部221及び第2端部222を、それぞれ耳元及び口元に位置させる。
図3に示すように、音声出力装置100の筐体10においては、左側端部13Lが、受話器端部ALより左側に位置する。このため、ユーザが受話器220を持ち上げようとする際、筐体10のみ、又は、筐体10を含みつつ受話器220を把持せざるを得なくなる。つまり、筐体10以外の箇所は、第1端部221又は、第2端部222となり、狭い領域を安定して把持できないので、心理的にその箇所を避けて、筐体10を含んだ把持となる。筐体10を把持すると、ユーザの把持力をもって手指にて第1感知部30を押圧することになる。
【0045】
次に、ステップ603にて、第1感知部30が押圧されたことを感知して、制御部40は、第1音声データ内の第1感知部対応データに基づく音声出力、及び、第2音声データの音声記録を開始する。
【0046】
次に、ステップ604にて、ユーザ及び固定電話機200越しの他者の間で会話が実施される。この際、第2スピーカ20から、第1音声データに対応する警告音が出力される。第2スピーカ20から出力された警告音は、ユーザの掌等に反響して、第1マイク222aに到達する。当該到達した警告音は、第1マイク222aにて集音されて、ユーザの発話音声とともに、固定電話機200越しの他者へ送信される。これと同時に、第1スピーカ221aから出力された発話音声は、音声伝達部70により伝達されて、第2マイク60に到達する。当該到達した発話音声は、第2マイク60にて集音されて、第3マイク61にて集音されたユーザの発話音声とともに、第2音声データとして記録部50に記録される。
【0047】
そして、ステップ605にて、ユーザ及び固定電話機200越しの他者の間で会話を完了し、受話器220を本体210に載置して、把持されていた筐体10からユーザの手が離れる。これにより、感知部30からも手指が離れて、押圧感知されなくなり、制御部40は、第1音声データの音声出力、及び、第2音声データの音声記録を完了する。
【0048】
図9は、受話器220を受話器ホルダ(本体210)に置いた状態を示す部分断面図である。受話器220を使用しないとき、この状態での載置となる。筐体10の上面11には第2感知部31が配されている。受話器220のスピーカ221aが自重により受話器ホルダのスピーカ受け部に接触し、また、受話器220のマイク222a付近が自重により受話器ホルダのマイク受け部に接触し安定した状態で受話器220が置かれている。音声出力装置100の筐体10は受話器220の背面223に配され、取付具300により受話器220の一部を環状に覆って受話部に取り付けられ、受話器220と筐体10の間に受話器220との接触部形状に合わせて変形する介在部材16を配している。
【0049】
図10は
図9の音声出力装置100付近の部分断面図である。筐体10内の第2感知部31の内部にはセンサ32が配されており、センサ32から第2感知部31側にプローブ33が設けられている。操作前は、
図10の左側に示す通り第2感知部31とプローブ33の間にはすき間δが確保されている。第2感知部31を押圧するとプローブ33と第2感知部31が押圧し、センサ32と電気的に接続された制御部40の制御により、第2スピーカ20から記録部50内の第2感知部31対応データに基づく警報音が出力される。ここでの警報音は第1感知部30が感知した時の第2発話者に警告するための言語出力でなく、非常事態を周囲にとどろかす大音量の警報サイレンである。
図12(a)に示すように、例えば対象者の悪意をくじく「Police officer will be soon」など言語音声でもよい。これにより、住居内で対象者をたじろがせると共に、周囲へ発信でき、安全確保に役立つ。
図12(b)はユーザが第2感知部を操作した際の作動をフローチャートである。
図12(b)に示すように、警報音は電池を外すまで出力されても良いが、これに限らず、ユーザが所定の操作を行った際に出力が停止するものとしても良い。
【0050】
図10の左側は第2感知部31が感知していない状態を示す。第2感知部31は筐体10の上面11に設けられ、筐体10内に埋没した低強度部31aを介して上面11と一体的に設けられている。第2感知部31は上面11より上方に突出していることで視認性が増す。拳などで第2感知部31を上から下に叩くと
図10の右図に示すように低強度部31aが破損する。これにより第2感知部31が移動してプローブ33と干渉し、その結果、制御部40の制御により記録部50内の第2感知部31対応データに基づく警報サイレンが発出される。低強度部31a(破損部)が埋没して配置されていることにより破損部と拳は接触しない。また、右図のように第2感知部31の高さの設定でプローブ33の押量が確保される。加えて、前述したように安定した状態で受話器220が受話器ホルダ(本体210)に載置していることと、音声出力装置100が安定した状態で受話器220に取りつけられていることで受話器220を受話器ホルダに置いたまま、第2感知部31を拳などで叩いても、受話器や本装置の位置ずれ又は脱落などの第2感知部31操作の失敗を抑制する安定性を備えている。
【0051】
図11は固定電話機200無線受話器である子機240に音声出力装置100を取り付けた状態を示している。子機240は載置態様が直立のためホルダとの支持が不安定であり、載置のまま第2感知部31を瞬時に押圧することは難しい。この課題を解決する使用例としては、子機240を把持した後、第2感知部31を押圧すべく机等に第2感知部31を衝突させ
図10の右側に示す状態にする。これにより瞬時に第2感知部31対応データに基づく警報サイレンが発出される。
【0052】
第2感知部31は、上記のように住居で危険に遭遇した場合のほか、例えば緊急的に身体の異常を感じたときも有効である。警報サイレン発出により周囲に救助 を求める手段となる。また、住居以外では店舗など接客の場面においても有効である。本装置をあえて目立つよう設置・彩色すれば、対象者に対して牽制となり防犯効果も得られる。
【0053】
(変形例)
図16は本第1実施形態に係る音声出力装置100の変形例を示す斜視図である。
図16に示すように音声出力装置100は第2感知部31を有していない構成とすることもできる。なお、これとは反対に、音声出力装置100は第1感知部30を有さず、第2感知部31を有する構成とすることもできる。
図17は
図16に示す音声出力装置100の側面図である。
図18は
図16に示す音声出力装置100をインターホンに適用した例を示す斜視図である。このように、本願の音声出力装置100はインターホンに適用することもできる。
図19は
図16に示す音声出力装置100を異なる形状の受話器220に取り付けた状態を示す側面図である。
図19に示すように、音声出力装置100は様々な形状の受話器220に適用することができる。
【0054】
図20および
図21に示すように、
図16に示す音声出力装置100は、筐体10、第2スピーカ20、感知部(第1感知部)30、制御部40、記録部50、第2マイク60、及び、音声伝達部70を備えている。
図20および
図21において、前・後方向、左・右方向、上・下方向は、矢印にて示される前・後方向、左・右方向、上・下方向にそれぞれ対応している。
【0055】
筐体10は、略直方体形状を呈しており、上面11、左側面12、及び、下面13が、それぞれ規定される。筐体10の長手方向は、前後方向に対応している。上面11における後方端部であって、左右方向の略中央部位には、第2スピーカ20が設けられている。第2スピーカ20は、筐体10内部に内蔵されたムービングコイル、振動板等を有する汎用的なスピーカである。第2スピーカ20は、制御部40からの電気信号を変換して、音声を上面11から上方向に出力するようになっている。
【0056】
下面13(第1面)とは異なる筐体10の面である左側面12(第2面)には、感知部30が設けられている。矩形状の感知部30は、左側面12に沿って、前後方向に伸長している。感知部30は、ユーザにより筐体10が把持されたとき、把持に応じてユーザの身体の一部にて押圧されて、当該押圧したことを感知するように構成されている。感知部30は、静電容量式のタッチセンサ、荷重を感知するロードセル、押圧式の物理スイッチ(プッシュボタンなど)等であり、ユーザにより押圧されたとき、検出した電気信号を制御部40に送出するようになっている。感知部30は、本変形例では、左側面12に配置されて、略矩形状となっているが、個数、配列、形状等、これに限定されない。
【0057】
また、感知部30は、ユーザにより容易に操作可能なよう、例えば、左側面12に占める押圧面積を比較的大きくし、取付具300にて覆われた場合であっても押圧感知可能なように構成してもよい。また、感知部30が取付具300にて覆われる場合、感知部30の視認が容易となるように、取付具300の色彩を透過色とし、感知部30に視認可能な色彩を付してもよい。また、感知部30の配置部位に対応して、取付具300に貫通孔を設け、感知部30が取付具300から露出するようにしてもよい。更に、押圧の感触を確認し易いよう、感知部30を、左側面12よりある程度突出する構造としてもよいし、意匠上の違和感を抑制するよう、感知部30を、左側面12と同一平面状に形成してもよい。
【0058】
本変形例では、感知部30が、左側面12に設けられているが、これに限定されず、ユーザが筐体10を介して受話器220を持ち上げる際、筐体10が把持されるのとともに、ユーザの手指や掌等が、感知部30の外表面を押圧(接触)できればよい。従って、下面13とは異なる筐体10の何れの面に、感知部30が設けられてもよい。
【0059】
本変形例においては、筐体10が受話器220に支持された状態において、下面13及び領域Aが互いに接触するようになっているが、これに代えて、下面13及び領域Aの間に、所定部材を介装させてもよい。介装する所定部材としては、例えば、下面13及び領域A間の振動伝播を促進する観点では、所定部材の音響インピーダンスを、筐体10及び受話器220の材料のものに近づけると、有効である。一方、当該振動伝播を抑制する観点では、所定部材の音響インピーダンスを、筐体10及び受話器220の材料のものと異ならせると、有効である。
【0060】
制御部40及び記録部50は、筐体10内部に内蔵されている。制御部40は、マイコン、電気回路等を有し、記録部50は、メモリ、電気回路等を有している。
【0061】
図20に示すように、制御部40は、第2スピーカ20、感知部30、記録部50、第2マイク60、及び、これらの駆動源となるバッテリ(図示せず)と、それぞれ電気的に接続されている。バッテリは、ボタン電池等のように交換可能なものでもよいし、交換不要な充電式バッテリでもよい。また、バッテリの搭載に代えて、固定電話機200への給電を分岐させて、分岐したものを駆動用電源としてもよい。制御部40は、感知部30から送出された電気信号を受けて、第2スピーカ20を介した音声出力と、第2マイク60を介した記録部50での音声記録と、を制御するようになっている。即ち、制御部40は、感知部30にて押圧感知された場合に、制御処理として、第2スピーカ20への音声出力と、記録部50への音声記録と、を指示する。
【0062】
記録部50のメモリには、第2スピーカ20にて出力される音声に対応する第1音声データ、プログラム等が記憶されており、制御部40のマイコンにより読み出し、参照が可能となっている。また、記録部50は、制御部40及びインターフェイスを介して第2マイク60と電気的に接続されており、第2マイク60により集音された発話音声に対応する第2音声データを、メモリにて記録可能に構成されている。
【0063】
上記第1音声データは、固定電話機200越しの他者(第2発話者)に向けて警告するための警告音に対応するデータである。当該警告音は、例えば、悪意を挫くための文言の音声等であり、具体的には「通話は録音されます」など、これらに限定されない。なお、出力される警告音は、1種類のみでもよいし、複数種類でもよい。警告音を複数種類とする場合、例えば、複数の第1音声データを予め記録部50のメモリに記憶しておき、感知部30の押圧時間の長さや押圧回数等に応じて、出力する警告音を選択・切替できるようにしてもよい。また、これに代えて、感知部30が、音声データの種類と同数のボタンを備え、複数の音声データに対応する各ボタンを押し分けることで、上記出力音声の切替を指示するようにしてもよい。
【0064】
上記第2音声データは、固定電話機200越しの他者(第2発話者)の発話音声であって、第1スピーカ221aから出力されて第2マイク60にて集音される音声と、ユーザ(第1発話者)の発話音声であって、第2マイク60にて集音される音声と、に対応するデータである。記録部50に記録された第2音声データは、メモリから抽出可能となっており、別の音声再生装置等を用い再生可能である。
【0065】
上記プログラムは、感知部30の押圧感知に応じて、第1音声データの音声出力の実行、及び、第2音声データの音声記録の実行が、制御部40により達成されるようになっている。
【0066】
図21(a)は、前後方向に切断された音声出力装置100の縦断面図である。
図21(b)は、音声出力装置100の底面図である。第2マイク60、及び、音声伝達部70は、筐体10内部に配置されている。音声伝達部70は、リム部70a、ダイヤフラム部71、及び、パイプ部72を備えている。リム部70aは、下面13略中央部よりも前側の円形貫通孔13aにおける縁部位に配設されている。ダイヤフラム部71は、筐体10の下面13に配したリム部70aを介し、下面13の円形貫通孔13aから露出しつつ受話器220の領域Aと接続される。パイプ部72の一端は、ダイヤフラム部71に接続されており、パイプ部72の他端は、第2マイク60に接続されている。これにより、第1スピーカ221aからの音声が、受話器220の領域Aから、ダイヤフラム部71で増幅されパイプ部72を伝達して、第2マイク60に到達する。即ち、音声伝達部70は、受話器220に接続され、第1スピーカ221aから出力された発話音声を、第2マイク60まで伝達するようになっている。下面13から露出したリム部70aは前述した取付具300の伸縮力によって受話器220の領域Aの面に密着しており、受話器220からの高効率での収音を可能にしている。
【0067】
図22は本変形例に係る音声出力装置100における作動を表すフローチャートである。
図22に示すように、音声出力装置100を固定電話機200に適用した状態において、先ず、ステップ600から開始する。次に、ステップ601にて、固定電話機200に呼び出しがあったか否かが、ユーザにより判定される。固定電話機200に呼び出しがない限り、「No」と判定されて、ステップ601に留まる。一方、固定電話機200に呼び出しがあった場合、「Yes」と判定されて、ステップ602に進む。
【0068】
ステップ602にて、ユーザにより本体210から受話器220が持ち上げられ、第1端部221及び第2端部222を、それぞれ耳元及び口元に位置させる。音声出力装置100の筐体10においては、左側端部13Lが、受話器端部ALより左方向側に位置する。このため、ユーザが受話器220を持ち上げようとする際、筐体10のみ、又は、筐体10を含みつつ受話器220を把持せざるを得なくなる。つまり、筐体10以外の箇所は、第1端部221又は、第2端部222となり、狭い領域を安定して把持できないので、心理的にその箇所を避けて、筐体10を含んだ把持となる。筐体10を把持すると、ユーザの把持力をもって手指にて感知部30を押圧することになる。
【0069】
次に、ステップ603にて、感知部30が押圧されたことを感知して、制御部40は、第1音声データの音声出力、及び、第2音声データの音声記録を開始する。
【0070】
次に、ステップ604にて、ユーザ及び固定電話機200越しの他者の間で会話が実施される。この際、第2スピーカ20から、第1音声データに対応する警告音が出力される。第2スピーカ20から出力された警告音は、ユーザの掌等に反響して、第1マイク222aに到達する。当該到達した警告音は、第1マイク222aにて集音されて、ユーザの発話音声とともに、固定電話機200越しの他者へ送信される。これと同時に、第1スピーカ221aから出力された発話音声は、音声伝達部70により伝達されて、第2マイク60に到達する。当該到達した発話音声は、第2マイク60にて集音されて、ユーザの発話音声とともに、第2音声データとして記録部50に記録される。
【0071】
そして、ステップ605にて、ユーザ及び固定電話機200越しの他者の間で会話を完了し、受話器220を本体210に載置して、把持されていた筐体10からユーザの手が離れる。これにより、感知部30からも手指が離れて、押圧感知されなくなり、制御部40は、第1音声データの音声出力、及び、第2音声データの音声記録を完了する。
【0072】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態およびその変形例に係る音声出力装置100によれば、受話器220に支持された音声出力装置100の筐体10は、ユーザ(第1発話者)により把持されるようになっている。ユーザの手により筐体10が把持されたとき、当該把持に応じて、ユーザの身体の一部にて第1感知部30が押圧されて、押圧したことが感知される。そして、第1感知部30の押圧感知に基づいて、第2スピーカ20から警告音が出力される。このため、例えば、特許文献1や特許文献2で開示の傾斜センサ等のモーションセンサにより、受話器自体の動きを検出する場合に比して、より確実に警告音を出力できる。
【0073】
特に、ユーザとして機械に不慣れな者(例えば、高齢者等)であっても、特段の操作が不要で、警告音を第2スピーカ20から出力できる。従って、悪意ある固定電話機200越しの他者に対し、より確実に、警告を促すことができる。
【0074】
また、筐体10は、受話器220の領域Aと対向する下面13(第1面)を有し、感知部30は、下面13(第1面)とは異なる筐体10の面(第2面)に設けられている。第2面は、ユーザが筐体10を把持した際に、ユーザの手指、掌等の身体の一部にて、押圧され易い部位や、構造上押圧せざるを得ない部位となり得る。これによれば、第1感知部30を、押圧され易い部位や、構造上押圧せざるを得ない部位に設置できる。従って、筐体10が把持される際に、より確実に第1感知部30を押圧できる。第1感知部30が感知する荷重を、受話部を把持するために必要な荷重より低く設定することで、受話部を把持するためにはおのずと設定荷重以上の荷重で把持することとなり、よって第1感知部30は把持時に必ず感知することができる。
【0075】
また、筐体10は、受話器220の領域Aと対向する下面13(第1面)を有し、受話器220においては、軸線K、及び、受話器端部AL,ARが、それぞれ規定される。
図3に示すように、第1面は、左側端部13L(第1端部)及び右側端部13R(第1端部)を有しており、左側端部13Lは、左方向において受話器端部ALよりも、軸線Kから遠ざかるよう(左方向側に)位置する。つまり、第1被覆部10aが受話部背面223に向けて付勢され、第2被覆部10bが側面224(受話器端部AL)に向けて付勢され、受話器220と筐体10の配置が確定し、第1感知部30は、左側端部13Lの上に配置しているので最も左側に位置することとなる。これによれば、筐体10を、ユーザにより受話器220が持ち上げられる際に、把持され易く、又は、構造上把持せざるを得ないよう構成することができる。従って、受話器220が持ち上げられる際に、より確実に筐体10を把持でき、第1感知部30での感知が成される。
【0076】
また、音声出力装置100は、受話器220の一部と、筐体10の一部とを覆うことで、筐体10を受話器220に取り付ける取付具300を備えている。これによれば、取付具300により、筐体10を受話器220に、簡易且つ確実に支持できる。特許文献1,2では貼り付けており離脱するリスクがあるが、この離脱するリスクを抑制できる。
【0077】
また、取付具300及び音声出力装置100の他の構成は、廉価な部品・材料を活用できるとともに、簡易な構成をとり得、製造コストを抑制できるため、全体として非常に安価なものとすることができる。
【0078】
取付具300は、伸縮性素材にて構成されてもよい。この場合、伸縮性素材の弾性的な復元力を利用でき、受話器220及び筐体10に対して、取付具300の着脱を容易にすることができるとともに、取付具300を一旦着装すると、受話器220及び筐体10に、確実に保持され得る。更に、取付具300を、受話器220及び筐体10に着装する場合、筐体10の受話器220に対する相対配置を、容易に且つ任意回数で、調整および変更することができる。
【0079】
また、第1実施形態では特に、音声出力装置100は、第1スピーカ221aから出力された発話音声を集音する第2マイク60及びユーザの肉声を収音する第3マイク61と、第2マイク60及び第3マイク61により集音された発話音声を記録する記録部50と、を備える。制御部40は、第2スピーカ20の出力制御に加え、第1感知部30による感知に基づいて、第2マイク60により集音された発話音声を記録する記録制御を行う。これによれば、第1感知部30の押圧感知に基づいて、より確実に発話音声を記録できる。従って、悪意ある固定電話機200越しの他者からの発話音声を記録し、確実な証拠保全が可能となる。これに対し、特許文献1,2に記載の警報装置においては、傾斜センサを備える等により、本体部の傾斜や作動が検出されるようになっているが、発話音声を記録する記録制御の停止手段はタイマーである。タイマーの場合、通話の継続又は、終了に関わらず設定時間に達すると強制的に停止するため発話音声記録の過不足や消費電力の無駄が生じ、確実な証拠保全ができない。一方、本第1実施形態は、ユーザが通話中に行う筐体10の把持行為の期間に限定し記録できるので、過不足なく証拠保全され、上記先行技術の問題はない。この点が大きな優位点である。
【0080】
また、本第1実施形態及びその変形例では、音声出力装置100は、受話器220に接続され、第1スピーカ221aから出力された発話音声を第2マイク60まで伝達する音声伝達部70を備える。これによれば、第1スピーカ221aから出力された発話音声を、第2マイク60に効率よく伝達できる。従って、第2マイク60にて、感度良く集音できるため、第1スピーカ221aの出力ゲインが小さい場合であっても、ノイズを抑制できる。さらに特許文献1と特許文献2においては、収音部が筐体から別体で延在しており、受話部のスピーカ近傍に張り付けられるため、収音部が受話器使用の邪魔となり、また、離脱しやすい欠点を有していた。本発明の第1実施形態では、収音部を筐体10に内蔵したため、先行技術の上述の欠点を解消できる。また、特許文献1,2においては、電話機の操作性を損ねないよう装置の小型化が求められるが、本第1実施形態では筐体10を把持させる特性上、小型化の必要性は限定的である。装置を一定程度大きくできるので、部品の選択肢が広がると共に、配置設計に余裕ができ、結果として製造コストの抑制と信頼性の高い設計が成されることを可能にする。加えて、装置を一定程度大きくできることにより、高齢者には小さすぎて扱いにくいボタン電池ではなく、安価でかつ、扱いやすい単四または単三電池が搭載可能となり、電池切れで作動できない状態で放置されるリスクを抑制できる。
【0081】
また、音声出力装置100は、第1被覆部10aと第2被覆部10bを有し、可撓性材料にて環状(輪状)に付勢して受話器220に取り付けられるため、誰が取り付けても簡単・確実に第1被覆部10aと第2被覆部10bが受話器210に向けて付勢され、安定した支持が確定する。また、
図19に示すように、受話器220の大きさ、形状(細長、湾曲、厚み)を問わず安定して支持される。また、第2被覆部10bが受話器220に付勢されているため、第1感知部30を強く押圧しても第2被覆部10bが荷重の受け部となり位置ずれしない。また、第1被覆部10a側とは逆側(右側)部分の大型化を抑制できる。
【0082】
第2感知部31による警告サイレン発出機能を本装置に搭載した効果は、日常使用される電話機の特徴を活かしたことにより得られる。つまり、通常の緊急サイレンは平時に使用することはないため、装置の状態を点検する機会は少なく、故障の状態で放置されるリスクがある。これに対し、受話器に取付けた本装置は電話機を使用する都度、故障の有無を点検することとなり、電池切れなどの異常があれば、補修され常に健全な状態で維持されやすい。また、受話器はユーザの身近に設置されているため、即応可能である。本装置においては、受話器背面223側の最も外部に露出した装置上面11に第2感知部31を配したため、視認性が高く、即応操作しやすい。
【0083】
また、音声出力装置100は、2つの面(第1被覆部10aと第2被覆部10b)が受話器220側に向けて付勢されているので、受話器220に強固に支持され、素早い持ち上げ動作に伴う慣性力に耐えてずれにくい。また、第1実施形態の音声出力装置100は、受話器220の第1スピーカ221aと第1マイク222aのほぼ中央に配置されるため、受話器220を受話器ホルダに置いたまま第2感知部31を叩いても受話器220がホルダから外れない。また、第2感知部31が配されている上面11は使用時にユーザが触れない領域であり、邪魔にならない。
【0084】
(第2実施形態)
図23は本願の第2実施形態に係る受話器220および音声出力装置100を前側から見た側面図である。本第2実施形態は、第1感知部30が第1被覆部10aの右側面に設けられている点において上記第1実施形態とは異なる。第1感知部30は、第1方向において、受話器220の側面よりも軸線Kから遠ざかる側に突出している。本第2実施形態の構成によっても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。本第2実施形態においても、第1感知部30および第2感知部31をいずれも設けても良いが、いずれか一方のみを設けるものとしても良い。
【0085】
(第3実施形態)
図24(a)は本願の第3実施形態に係る受話器220および音声出力装置100の斜視図である。本第3実施形態において、取付具300は、開口上端310から開口下端320まで連通する筒形状を呈している。取付具300は、伸縮性素材で構成されており、その上下方向長軸の長さは、受話器220の長軸方向の長さよりも短く、音声出力装置100の長軸方向の長さと略同一となっている。なお、取付具300の長軸方向の長さは、上述の被覆領域の範囲に応じて調整可能である。第1感知部30は取付具300に形成された長孔より露出し、外側に大きく出っ張っている。取付具300には、第3マイク61による集音を阻害しないように、第3マイク61に対応した位置に、内外を連通した空隙又は穴部が形成されている。
【0086】
取付具300にて受話器220及び音声出力装置100を被覆する際、先ず、開口上端310及び開口下端320を径方向に広げ、開口下端320より、第1端部221を先端として取付具300内部に侵入させる。次いで、開口上端310から第1端部221を露出させるとともに、径方向に広げた状態の取付具300内部に、開口上端310及び開口下端320のうち何れか一方から、音声出力装置100を進入させる。音声出力装置100を、取付具300内部にて、受話器220と接するよう所定部位に配置した後、取付具300の復元力を利用して、取付具300の内壁を、受話器220及び音声出力装置100の外面とフィットさせる。音声出力装置100は、受話器220の背面223に配置された状態で、音声出力装置100及び受話器220は、取付具300の内面との摩擦力で保持される。このように、音声出力装置100の受話器220への支持は、取付具300にて被覆されることで達成される。
【0087】
取付具300は、開口下端320の近傍に、貫通孔330を有してもよい。音声出力装置100が取付具300により被覆された状態において、音声出力装置100の第2スピーカ20が、貫通孔330を介して外側に向けて露出するように、貫通孔330が位置すると好適である。なお、貫通孔330は、開口下端320に対応する縁部に設けられる切り欠きであってもよい。
【0088】
取付具300を構成する伸縮性素材としては、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、NBR、合成ラテックス、エラストマ(TPE、TPR)等の合成高分子系材料や、天然ゴム、天然ラテックス等の天然高分子系材料や、網材や、布材等であってもよく、これに限定されない。また、取付具300の色彩は任意であるが、例えば、受話器220の外観に調和する色彩や、視認透過性等を、素材に備えさせてもよい。また、取付具300の機能性も任意であるが、例えば、把持した際に滑り難い高摩擦性や、把持した際に温かみを感じる低熱伝導性や、外力による衝撃を吸収分散しやすい耐衝撃性や、殺菌・抗菌性等を、素材に備えさせてもよい。
【0089】
なお、本第3実施形態においては、音声出力装置100の受話器220への取付は、両者が取付具300にて被覆されることで達成されるが、これに代えて、受話器220のみカバーにて被覆されて、カバーの外表面に音声出力装置100を接続することで、音声出力装置100が支持されてもよい。また、取付具300が用いられなくてもよい。具体的には、受話器220と音声出力装置100とを接続する接続具や、接着する接着部材などを用いて、音声出力装置100を受話器220に支持してもよい。
【0090】
本第3実施形態に係る音声出力装置100は、本体210に載置可能な受話器220にも取付可能であるが、例えば、
図24(a),(b)に示すように、固定電話機200が子機(受話部)240を備え、当該子機240に音声出力装置100が支持されるようにしてもよい。
【0091】
図24(a),(b)に示すように、子機240は、1軸的に伸びる略直方体状の筐体で形成されている。子機240の筐体は、樹脂で構成されている。なお、子機240において、本体210及び受話器220がそれぞれ備える構成要素と同一・等価なものについては、同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0092】
図24(a),(b)は、子機240の斜視図及び側視図を示している。子機240は、水平面に対して、直立して載置可能なよう構成されている。子機240を水平面に載置する場合には、第1スピーカ221a側の第1端部221を上方に向け、第1マイク222a側の第2端部222を底面として水平面に置かれる。また、子機240は、本体210から離れて、本体210と無線通信可能となっている。
【0093】
<第3実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る音声出力装置100によれば、受話器220に支持された音声出力装置100の筐体10は、ユーザ(第1発話者)により把持されるようになっている。ユーザの手により筐体10が把持されたとき、当該把持に応じて、ユーザの身体の一部にて感知部30が押圧されて、押圧したことが感知される。そして、感知部30の押圧感知に基づいて、第2スピーカ20から警告音が出力される。このため、例えば、傾斜センサ等のモーションセンサにより、受話器自体の動きを検出する場合に比して、より確実に警告音を出力できる。
【0094】
特に、ユーザとして機械に不慣れな者(例えば、高齢者等)であっても、特段の操作が不要で、警告音を第2スピーカ20から出力できる。従って、悪意ある固定電話機200越しの他者に対し、より確実に、警告を促すことができる。
【0095】
また、本第3実施形態では、筐体10は、受話器220の領域Aと対向する下面13(第1面)を有し、感知部30は、下面13(第1面)とは異なる筐体10の面(第2面)に設けられている。第2面は、ユーザが筐体10を把持した際に、ユーザの手指、掌等の身体の一部にて、押圧され易い部位や、構造上押圧せざるを得ない部位となり得る。これによれば、感知部30を、押圧され易い部位や、構造上押圧せざるを得ない部位に設置できる。従って、筐体10が把持される際に、より確実に感知部30を押圧できる。感知部30が感知する荷重を、受話部を把持するために必要な荷重より低く設定することで、受話部を把持するためにはおのずと設定荷重以上の荷重で把持することとなり、よって感知部は把持時に必ず感知することができる。
【0096】
また、本第3実施形態では、筐体10は、受話器220の領域Aと対向する下面13(第1面)を有し、受話器220においては、軸線K、及び、受話器端部AL,ARが、それぞれ規定される。第1面は、左側端部13L(第1端部)及び右側端部13R(第1端部)を有しており、左側端部13Lは、左方向において受話器端部ALよりも、軸線Kから遠ざかるよう(左方向側に)位置する。これによれば、筐体10を、ユーザにより受話器220が持ち上げられる際に、把持され易く、又は、構造上把持せざるを得ないよう構成することができる。従って、受話器220が持ち上げられる際に、より確実に筐体10を把持できる。
【0097】
また、本第3実施形態では、音声出力装置100は、受話器220の一部と、筐体10の一部とを覆うことで、筐体10を受話器220に支持する取付具300を備えている。これによれば、取付具300により、筐体10を受話器220に、簡易且つ確実に支持できる。特許文献1,2では貼り付けており離脱するリスクがあるが、この離脱するリスクを抑制できる。
【0098】
また、取付具300は、受話器220及び筐体10を把持し易くしたり、受話器220及び筐体10を保護したり、意匠性を向上させる等の役割を達成しつつ、筐体10を受話器220に支持する構造をとり得る。筐体10を支持する取付具300の構造は任意であるが、例えば、取付具300で筐体10を受話器220ごと被覆したり、受話器220を被覆した取付具300に筐体10を締結させることができる。この様な取付具300の構造をとりつつ、例えば、第2スピーカ20に対応する部位に、貫通孔330を有してもよい。
【0099】
従って、本第3実施形態の効果として、筐体10を受話器220にて確実に支持でき、且つ、貫通孔330により警告音が遮られ難い取付具300を実現できる。更に、取付具300及び音声出力装置100の他の構成は、廉価な部品・材料を活用できるとともに、簡易な構成をとり得、製造コストを抑制できるため、全体として非常に安価なものとすることができる。
【0100】
また、取付具300は、伸縮性素材にて構成されてもよい。この場合、伸縮性素材の弾性的な復元力を利用でき、受話器220及び筐体10に対して、取付具300の着脱を容易にすることができるとともに、取付具300を一旦着装すると、受話器220及び筐体10に、確実に保持され得る。更に、取付具300を、受話器220及び筐体10に着装する場合、筐体10の受話器220に対する相対位置を、容易に調整および変更することができる。
【0101】
また、本第3実施形態では、音声出力装置100は、第1スピーカ221aから出力された発話音声を集音する第2マイク60と、第2マイク60により集音された発話音声を記録する記録部50と、を備える。制御部40は、第2スピーカ20の出力制御に加え、第1感知部30による感知に基づいて、第2マイク60により集音された発話音声を記録する記録制御を行う。これによれば、第1感知部30の押圧感知に基づいて、より確実に発話音声を記録できる。従って、悪意ある固定電話機200越しの他者からの発話音声を記録し、確実な証拠保全が可能となる。これに対し、特許文献1,2に記載の警報装置においては、傾斜センサを備える等により、本体部の傾斜や作動が検出されるようになっているが、発話音声を記録する記録制御の停止手段はタイマーである。タイマーの場合、通話の継続又は、終了に関わらず設定時間に達すると強制的に停止するため発話音声記録の過不足や消費電力の無駄が生じ、確実な証拠保全ができない。一方、本第3実施形態は、ユーザが通話中に行う筐体10の把持行為の期間に限定し記録できるので、過不足なく証拠保全され、上記先行技術の問題はない。この点が大きな優位点である。
【0102】
(発明の経緯)
発明者は、先行技術において傾斜センサによるモーション感知の曖昧さとタイマーに頼る録音に改善の余地(課題)があると認識した。
受話器は、使用者の耳元と口元に添えるため把持して使用する。発明者は、この把持する行為を活用できないかと考え、把持力を装置のアウトプットとインプットの起因とすれば、警告音発出と通話音声の収音記録が確実に行えると気付いた。まず、受話器220の把持する部分を考察した。前後(軸線K)方向端部の把持は手指のサイズに比して無理である。また、上下方向の把持は載置状態からホルダ(本体210)と受話器220の間に手指を入れる無意味で面倒な行為が生じると共に手指が顔に触れる違和感がある。これに対し、左右方向(第1方向)の把持は、常識に立って至極自然な把持方向である。よって、「左右方向の把持」に対象を据えて解決を試みた。
先行技術(特許文献1、特許文献2)から見て取れるように装置は把持時に触れないよう小型化すべきという常識(阻害要因)が存在する。この常識に逆らって、把持時に触れるよう左右方向の一方を受話器から延出する大型化を試みた。
その結果、装置の筐体が把持力を得て、把持に基づく確実な警告音発出と、過不足のない通話記録が可能となり、先行技術の二つの課題を一挙に解決できた。
更に発明者は、装置の筐体に受話器側面の一方を被覆する部分を設けた。その結果、第1感知部を押圧しやすい配置が確定できると共に、被覆部の反対側の大型化を抑制できた。加えて様々な受話器形状にも簡便に取り付くなど複数の効果を獲得した。
更に発明者は、受話器は常に使用者の身近にあることと、装置が受話器に安定して強固に取付けできていることに着目し、叩いて即応可能な第2感知部による緊急サイレン機能を追加した。緊急サイレン機能は、住居でのアクシデントだけでなく店舗など対人接客場面においても被害の最小化と加害の抑制効果が見込める。
防犯機能付き電話機への買い替えやデバイスの追加設置とは異なり、本装置は手持ち受話器に簡便に後付けでき、かつ特段の設定と操作が要らないため、高齢者にとって受け入れやすい。
【符号の説明】
【0103】
10…筐体、12…左側面、13…下面、13L…左側端部、13R…右側端部、14…係止孔、15…端部、20…第2スピーカ、30…第1感知部(感知部)、31…第2感知部、40…制御部、50…記録部、60…第2マイク、61…第3マイク、70…音声伝達部、71…ダイヤフラム部、72…パイプ部、100…音声出力装置、200…固定電話機、220…受話器、221a…第1スピーカ、222a…第1マイク、223…背面、300…カバー、A…領域、AL…受話器端部、AR…受話器端部、K…軸線
【要約】 (修正有)
【課題】警告音を確実に出力できる、音声通信を可能とする音声通信装置が備える受話部に取り付け可能な音声出力装置を提供する。
【解決手段】本体、受話器220及びコードを備える固定電話機に適用される音声出力装置100は、警告音を出力する第2スピーカ20と、筐体10に設けられ、第1発話者の把持に応じて押圧されたことを感知する第1感知部30と、筐体10に設けられ、第1感知部30による感知に基づいて、第2スピーカ20から警告音を出力する音声出力制御を行う制御部と、を備える。筐体10は、受話器の背面223に対向する第1被覆部と、受話器の一対の側面のうちいずれか一方に対向する第2被覆部を有し、第1感知部30は、軸線K方向に垂直かつ受話器の背面に沿った方向の成分を含む圧力を感知する。
【選択図】
図6