(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】介入検出型電子制御ユニットを有する乗物モジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 21/86 20130101AFI20240313BHJP
【FI】
G06F21/86
(21)【出願番号】P 2023501838
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2021068338
(87)【国際公開番号】W WO2022012973
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】イェルネユ、ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】キーズリンガー、ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト、マリオン
(72)【発明者】
【氏名】ハイデン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドロッシュ、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ザイベルト、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ソンスキー、イリ
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0073491(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0042751(US,A1)
【文献】特表2003-519852(JP,A)
【文献】特開平09-140902(JP,A)
【文献】特表2012-526973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入検出型の電子制御ユニット(1)を含む乗物モジュールであって、前記電子制御ユニットは、少なくとも1つの電気的に制御可能な乗物機
能を制御するよう、構成されており、前記電子制御ユニットは、以下のもの:
・前記電子制御ユニットによる制御の実行のための電気回路(2a)を含む、少なくとも1つの回路キャリア(2)
、
・前記回路キャリア(2)を少なくとも部分的に包囲するハウジング(3)、但し、前記ハウジング(3)は少なくとも2つの部分(3a、3b)を含み、前記ハウジング(3)の第1の部分(3a)には前記回路キャリア(2)が結合されており、前記ハウジング(3)の第2の部分(3b)は、前記ハウジング(3)を少なくとも部分的に閉鎖し、それによって前記回路キャリア(2)を少なくとも部分的に包囲するよう、前記第1の部分(3a)に結合可能であり、及び、
・前記ハウジング(3)内への侵入を検出するために前記回路キャリア(2)に配された、監視システム(4)
を含み、
この監視システム(4)は以下のもの:
前記ハウジング(3)によって包囲された監視されるべき空間(V)内へ電磁的監視信号(U
S)を放出する送信装置(5a)、但し、前記電磁的監視信号(U
S)は230nm~30mの波長領域にあり、
・前記監視されるべき空間(V)において非介入状態では少なくとも部分的にランダムに分布(分散)されており、放出された電磁的監視信号(U
S)を散乱するよう構成されている散乱材料(6)、
・前記監視されるべき空間(V)の内部において散乱された電磁的監視信号(U
S)を受信する受信装置(5b)、但し、非介入状態において少なくとも部分的にランダムな前記散乱材料の分布は、放出された監視信号(U
S)と散乱媒体内で散乱され受信された信号(U
S’)との対比によって、モジュール特異的なフィンガープリント(FP)の値が測定可能であるよう、選択されており、この値は非介入状態の目標値S
sollを表し、及び、
・非介入状態におけるモジュール特異的なフィンガープリント(FP)についての情報が少なくとも目標値の形で供給されている介入検出ユニット(7)、但し、前記介入検出ユニット(7)は、監視信号(U
S)の受信した実際状態を把握することによってモジュール特異的なフィンガープリント(FP)の実際値(S
ist)を導出するために、前記電気回路(2a)に接続されており、前記介入検出ユニット(7)は、前記フィンガープリント(FP)の前記実際値(S
ist)と前記目標値(S
soll)を対比し、前記対比の結果に依存して前記監視されるべき空間(V)への介入を推定するよう、構成されている、
を含むこと
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号(U
S)の波長領域は1000nm~230nmであること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体(6)は、ランダムに分散された光散乱性の散乱要素(6a)が含まれている透明材料を含むこと
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体(6)は、前記第1
の部分(3a)から前記第2
の部分(3b)を持ち上げる場合、前記散乱媒体(6)が互いに分離された少なくとも2つの材料領域に断裂するよう、構成され、配置され、及び、前記第2
の部分(3b)及び前記回路キャリア(2)に結合されていること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項5】
請求項2~4の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置(5a)は、前記監視信号(U
S)の放出のために、LED
又はSMD-LED、又はレーザ光源を含むこと
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号(U
S)の波長領域は30m~1mであること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体(6)は、前記回路キャリア(2)及び前記第2
の部分(
3b)に点状に接触し、これらと結合すること、
前記散乱媒体(6)は、前記監視されるべき空間(V)の5%~95%を充填すること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の乗物モジュールにおいて、
目標運転時に前記電子制御ユニット(1)から放出されるビームは監視信号(U
S)として使用され、それによって、前記送信装置(5a)は前記電子制御ユニット(1)によって構成されるか、又は、電子制御ユニット(1)とは別個の高周波数混合器によって構成されること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項9】
請求項6~8の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、値1から少なくとも25%だけ異なる誘電率ε
r及び/又は透磁率μ
rを有すること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号(U
S)の波長領域は1mm~30cmであること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置(5a)は、前記回路キャリア(2)に配されており、前記電子制御
ユニット(1)の部品として構成されている、レーダ信号を放出するレーダチップ(5’)として構成されていること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置(5a)及び/又は前記受信装置(5b)は前記散乱媒体(6)によってカバーされており、該散乱媒体(6)はカバー領域において前記第2
の部分(3b)にまで延在していること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項13】
請求項1~11の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置(5a)及び/又は前記受信装置(5b)は空気によって包囲されており、前記散乱媒体(6)は前記送信装置(5a)及び/又は前記受信装置(5b)に対し離隔されていること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置(5a)と前記受信装置(5b)は、互いに対し離隔されており、前記送信装置(5a)と前記受信装置(5b)の間に前記監視されるべき空間(V)が存在すること、
前記送信装置(5a)と前記受信装置(5b)の間の距離は、前記回路キャリアの長さの少なくとも50%
又は少なくとも75%であること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記監視システム(4)は、前記フィンガープリント(FP)の検出された実際値(S
ist)と目標値(S
soll)とを対比し、所定の閾値を下回る差異がある場合、前記検出された実際値(S
ist)を新たな目標値(S
soll)として記憶し、次の対比のために使用するよう、構成されていること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項16】
請求項1~15の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記監視システム(4)は、前記フィンガープリント(FP)の実際値(S
ist)の検出及び目標値(S
soll)との対比を前記電子制御ユニット(1)の始動プロセス中にのみ実行し、介入が検出された場合、エラールーチンを開始すること
を特徴とする、乗物モジュール。
【請求項17】
請求項1~16の何れかに記載の乗物モジュール(10)を含む、自動車前照灯。
【請求項18】
請求項1~16の何れかに記載の乗物モジュール(10)の使用方法であって、
乗物モジュール(10)の製造及び組込プロセス中に、初期フィンガープリント(FP)が決定され、乗物モジュール及び外部の記憶装置に基準値として記憶される基準設定手続きが実行されること
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物モジュールに関する。
【0002】
更に、本発明は、本発明の乗物モジュールを含む自動車前照灯、並びに、本発明の乗物モジュールの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水分の侵入その他の環境の影響に対しても、外部からの介入(ないし不正操作:Manipulation)に対しても保護を行うために、乗物モジュールは、乗物モジュールの敏感な電子装置を包囲する密閉されたハウジングを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US 2020042751 A1
【文献】US 2008073491 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子装置への介入(不正操作)は、例えばハウジングを開くことによってもハウジング内に物体を侵入させることによっても行われ得る。例えば、介入(不正操作)は、ハウジングの蓋部が取り外されることなく、ハウジングのこの蓋部に穴が開けられることよって、行われ得るであろう。
【0006】
それ故、本発明の課題は、種々のタイプの介入(不正操作)を確実に(高信頼性を以って)検出する乗物モジュールを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、冒頭に掲げたタイプの乗物モジュールによって解決される。本発明の第1の視点により、該乗物モジュールは、介入検出型の電子制御ユニットを含み、
前記電子制御ユニットは、少なくとも1つの電気的に制御可能な乗物機能を制御するよう、構成されており、前記電子制御ユニットは、以下のもの:
・前記電子制御ユニットによる制御の実行のための電気回路を含む、少なくとも1つの回路キャリア、
・前記回路キャリアを少なくとも部分的に包囲するハウジング、但し、前記ハウジングは少なくとも2つの部分を含み、前記ハウジングの第1の部分には前記回路キャリアが結合されており、前記ハウジングの第2の部分は、前記ハウジングを少なくとも部分的に閉鎖し、それによって前記回路キャリアを少なくとも部分的に包囲するよう、前記第1の部分に結合可能であり、及び、
・前記ハウジング内への侵入を検出するために前記回路キャリアに配された、監視システム
を含み、
この監視システムは以下のもの:
前記ハウジングによって包囲された監視されるべき空間内へ電磁的監視信号を放出する送信装置、但し、前記電磁的監視信号は230nm~30mの波長領域にあり、
・前記監視されるべき空間において非介入状態では少なくとも部分的にランダムに分布(分配)されており、放出された電磁的監視信号を散乱するよう構成されている散乱材料、
・前記監視されるべき空間の内部において散乱された電磁的監視信号を受信する受信装置、但し、非介入状態において少なくとも部分的にランダムな前記散乱材料の分布は、放出された監視信号と散乱媒体内で散乱され受信された信号との対比によって、モジュール特異的なフィンガープリントの値が測定可能であるよう、選択されており、この値は非介入状態の目標値を表し、及び、
・非介入状態におけるモジュール特異的なフィンガープリントについての情報が少なくとも目標値の形で供給されている介入検出ユニット、但し、前記介入検出ユニットは、監視信号の受信した実際状態を把握(認識ないし検出)することによってモジュール特異的なフィンガープリントの実際値を導出するために、前記電気回路に接続されており、前記介入検出ユニットは、前記フィンガープリントの前記実際値と前記目標値を対比し、前記対比の結果に依存して前記監視されるべき空間への介入を推定するよう、構成されている、
を含む(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の乗物モジュールを含む、自動車前照灯が提供される(形態17)。
本発明の第3の視点により、本発明の乗物モジュールの使用方法が提供される。該方法においては、乗物モジュールの製造及び組込プロセス中に、初期フィンガープリントが決定され、乗物モジュール及び外部の記憶装置に基準値として記憶される基準設定手続きが実行される(形態18)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここに本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は1000nm~230nmであることが好ましい。
(形態3)形態2の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、ランダムに分散された光散乱性の散乱要素が含まれている透明材料を含むことが好ましい。
(形態4)形態2又は3の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、前記第1の部分から前記第2の部分を持ち上げる場合、前記散乱媒体が互いに分離された少なくとも2つの材料領域に断裂するよう、構成され、配置され、及び、前記第2の部分及び前記回路キャリアに結合されていることが好ましい。
(形態5)形態2~4の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記送信装置は、前記監視信号の放出のために、LED又はSMD-LED、又はレーザ光源を含むことが好ましい。
(形態6)形態1の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は30m~1mであることが好ましい。
(形態7)形態6の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、前記回路キャリア及び前記第2の部分に点状に接触し、これらと結合すること、
前記散乱媒体は、前記監視されるべき空間の5%~95%を充填することが好ましい。
(形態8)形態6又は7の乗物モジュールにおいて、
目標運転時に前記電子制御ユニットから放出されるビームは監視信号として使用され、それによって、前記送信装置は前記電子制御ユニットによって構成されるか、又は、電子制御ユニットとは別個の高周波数混合器によって構成されることが好ましい。
(形態9)形態6~8の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、値1から少なくとも25%だけ異なる誘電率εr及び/又は透磁率μrを有することが好ましい。
(形態10)形態1の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は1mm~30cmであることが好ましい。
(形態11)形態10の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置は、前記回路キャリアに配されており、前記電子制御ユニットの部品として構成されている、レーダ信号を放出するレーダチップとして構成されていることが好ましい。
(形態12)形態1~11の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記送信装置及び/又は前記受信装置は前記散乱媒体によってカバーされており、該散乱媒体はカバー領域において前記第2の部分にまで延在していることが好ましい。
(形態13)形態1~11の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記送信装置及び/又は前記受信装置は空気によって包囲されており、前記散乱媒体は前記送信装置及び/又は前記受信装置に対し離隔されていることが好ましい。
(形態14)形態1~13の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記送信装置と前記受信装置は、互いに対し離隔されており、前記送信装置と前記受信装置の間に前記監視されるべき空間が存在すること、
前記送信装置と前記受信装置の間の距離は、前記回路キャリアの長さの少なくとも50%又は少なくとも75%であることが好ましい。
(形態15)形態1~14の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記監視システムは、前記フィンガープリントの検出された実際値と目標値とを対比し、所定の閾値を下回る差異がある場合、前記検出された実際値を新たな目標値として記憶し、次の対比のために使用するよう、構成されていることが好ましい。
(形態16)形態1~15の何れかの乗物モジュールにおいて、
前記監視システムは、前記フィンガープリントの実際値の検出及び目標値との対比を前記電子制御ユニットの始動プロセス中にのみ実行し、介入が検出された場合、エラールーチンを開始することが好ましい。
(形態17)上記本発明の第2の視点参照。
(形態18)上記本発明の第3の視点参照。
【0009】
送信装置及び/又は受信装置は電極からフリーに構成可能である。散乱媒体のランダム(zufaellig)な分布(分散)は、一方では、散乱媒体のランダムな空間的分配(分散配置)によって(従って散乱媒体の手作業又は機械による導入(介入)プロセス中に)形成することができる。これに付加的に又は代替的に、モジュール特異的なフィンガープリントが測定可能であるよう、散乱媒体の内部において散乱要素(複数)がランダムに配されることも可能である。用語「フィンガープリント(介入軌跡)」は、本発明との関連において、人間の指紋を意味しないことは勿論である。この用語は、本発明においては、モジュール特異的に決定(確定)可能であり、勿論モジュール毎に変化する少なくとも1つの測定値の同義語として理解されるものである。本発明は、いずれにせよ既存の電子制御ユニットの拡張によって、乗物モジュールの介入保護(介入安全性)の著しい向上の達成を可能にする。
【0010】
とりわけ、電磁的監視信号の波長領域は1000nm~230nmであることが可能である。これによって、監視は光学的な波長領域で可能である。ハウジングと回路キャリアの間の監視されるべき空間は、ランダムに分布(分散)された散乱中心(複数)を有する透明な媒体によって充填されることが可能である。光信号は例えばレーザ又はLEDによって生成されることができる。施された媒体によって、光路に影響を及ぼすことができ、信号のある部分のみ又はある周波数のみでも受信器(逆動作(受光素子として動作する:rueckwaertsbetriebene)LED、フォトダイオード、カメラ)において測定されることができる。ハウジングが開かれると、光分布が変化し、それによって、侵入(介入)を検出することができる。この場合、コスト的に好都合なバリエーションは、LED、とりわけSMD-LEDの使用であろう。というのは、これらは現在の組付処理によって簡単な態様で回路基板に装着可能であるからである。想定される応用のために、この場合、低電力LED(定格電流凡そ2mA)で十分であろう。使用される分散材料は、侵入(介入)があった場合に中心部で断裂するよう選択されると、好都合であり得る。このタイプの変化は、ハウジング又は回路キャリアから散乱材料が剥がれる場合よりも、検出されるべき信号に対し遥かにより大きい効果を有する。散乱媒体は、とりわけ、格別に「保護に値する部品」の傍又は近くに戦略的に好都合に配置されることができ、又は、監視されるべき内部空間全体を占めることができる。送信装置及び/又は受信装置は格別に「保護に値する部品」の近くに配置される場合、格別に好都合であり得る。
【0011】
レーザ又はLED光源を使用する場合、例えば異なる波長の光を放射可能な、複数の光源を使用することも可能である。検出のためにLED(複数)を逆動作で使用する場合、N個のLED(Nは自然数)によってN×(N-1)個の光経路が測定されることができる。検出のために逆動作型LEDを使用する場合の利点は、複数の異なる波長の測定の可能性である。というのは、LEDはそれに固有の波長よりも大きい波長の光を記録(検知)することができないからである。これは、施された媒体が光経路(複数)よりも波長(複数)をより大きく変化する場合、有利であり得る。というのは、上記の方法によって、上記のバリエーションと比べて、より少ない個数の光経路が測定されることができるからである。
【0012】
更に、散乱媒体はランダムに分配(分散)された光散乱性の散乱要素(複数)が含まれている透明材料を含むことが可能である。用語「光散乱性」は光反射性及び/又は少なくとも部分的に吸収性の性質であると理解可能である。同様に、(異なる屈折率の媒体に入ることによる)屈折及び回折効果も関係する。従って、概念「光散乱性」は、変化された光が放射される任意のタイプの介入を含み得る抽象的概念として理解される。変化は、例えば波長、振幅、位相、伝搬方向等にも起こり得る。これらは、例えば散乱媒体中の気泡又は反射性顆粒(粒子)の影響によって実現され得る。以下の材料は例えば変換(変化)のために散乱媒体及び/又は散乱要素として役立ち得る:
・散乱中心としての気泡を有する透明な硬化性ゲル:この場合、いわゆる「光学的にクリアなシリコーンゲル(Optisch klare Silikon-Gele)」を使用することができる。これは、2つの成分の混合によって生じる極めて軟らかいゲル(ショア硬度00-000)である。この場合、気泡はd=[100μm~2mm]の典型的な直径で導入されることができる。この場合の利点は、付加的な顆粒(粒子)は必要ないことである。
・散乱中心として顆粒(粒子)を有する透明な硬化性ゲル:ゲル内には、異なる屈折率を有する顆粒(粒子)が混合される。(例えばポリカーボネートシュレッダ(Polycarbonatshredder);場合により異なるカラーも有する。これは異なるカラーのLED(複数)を使用する場合格別に重要であり得る。)この場合の利点は、このバリエーションは機械的に格別に安定であることである。
・空気含有又は同様に反射性顆粒(粒子)を有するエポキシド樹脂の一バリエーションもここではコスト的に好都合なバリエーションとして使用可能である。この樹脂は、透明でありかつ硬化された状態でも十分にソフト(柔らか)であり得るため、ハウジングが開かれた場合、これは断裂又は亀裂を形成し得、従って、容易にはコンタクト(接触)面から剥がれない。
・糸(複数)を引く材料:そのような材料は光路、従って検出される信号を著しく変化するであろう。考慮の対象となるのは、例えば合成ゴム又は樹脂系の特殊な組成物のバリエーションである。
・「硬化」時に意図的に多数の収縮亀裂を形成する材料の使用も考えられる。
【0013】
とりわけ、散乱媒体は、ハウジングの第1部分から第2部分を持ち上げる場合、散乱媒体が互いに分離された少なくとも2つの材料領域に断裂するよう(即ち該2つの材料領域がハウジングの第2部分から剥がれることがないよう)、構成され、配置され、及び、第2部分及び回路キャリアに結合されていることが可能である。とりわけ、材料は、その際、糸(複数)を引くことが可能である。既述のように、そのような材料は光路、従って検出される信号を著しく変化するであろう。
【0014】
更に、送信装置は監視信号の放出のためにLED、とりわけSMD-LED、又はレーザ光源を含むことが可能である。受信装置は例えば逆動作型LED、フォトダイオード及び/又はカメラを有することが可能である。
【0015】
とりわけ、電磁的監視信号の波長領域は(周囲媒体である空気との関連において)30m~1mであることが可能である。これによって、監視は10MHz~凡そ300MHzの周波数範囲で実行することができる。
【0016】
例えば材料節約のような、基準(複数)に基づき、散乱媒体の点状(スポット状)の分布が望まれているとすれば、これは、フィンガープリントが例えばオーム抵抗として具現化されている場合、可能であろう。かくして、これはそれ固有の電磁界(EM-Feld)(ないし対応する分布等高線)を有するであろうし、その構造の破壊は測定されるべき値に対し著しい影響を及ぼすであろう。
【0017】
30m~1mの波長領域の監視信号の使用のための散乱媒体ないしそのために使用される材料としては、例えば以下の材料が考慮の対象になる:
・空気とはεr(相対誘電率)及びμr(相対透磁率)が異なる材料を選択することができる。破壊されたないし無傷の材料におけるEM(電磁)線(ビーム)のより大きな差異のために、μrの値はεrの値よりも一層決定的である。
・更なる可能性は、ランダムに分配(分散)されたフェライト又は金属小片(複数)を有するフォーム(Schaum)の使用にある。
・フィンガープリントがオーム抵抗によって具現化されることが望まれる場合、材料の導電特性は大いに重要であることは勿論である。なぜなら、空気より顕著により大きい導電性を有する材料が選択されるべきであろうからである。
・一般的に言えば、破壊を測定可能に形成するために、EM線(ビーム)に対するその影響が十分に大きい材料であれば任意のものが適する。
【0018】
更に、散乱媒体は回路キャリア及びハウジングの第2部分に点状(スポット状)に(機械的に及び場合によっては電気的に)接触し、これらと結合することが可能であり、散乱媒体は監視されるべき空間の5%~95%を充填することが可能である。
【0019】
とりわけ、目標運転時に電子制御ユニットから放出される線(ビーム)は監視信号として使用され、それによって、送信装置は電子制御ユニットによって構成されるか、又は、電子制御ユニットとは別個の高周波数混合器によって構成されることが可能である。用語「目標運転」は、規定通りに(ルーチン的に:routinemaessig)設けられており、電子制御ユニットの目標機能の充足を(例えばライト機能の制御の)対象として有する運転状態として理解されるものである。監視信号の放射は、この場合、電子制御ユニットの相応の運転に基づく有用な副産物として実行される。用語「目標運転」は、この場合、電子制御ユニットの更に他の所望の運転状態(複数)を設けることができないことを排除しない。この場合は、複数の異なる目標運転モードから選択可能な少なくとも1つの運転モードのみである。用語「高周波数混合器」は、所定の周波数帯域をより低い又はより高い周波数帯域へと変換する混合器(ミキサ)として理解されるものである。混合器の周波数は、局部発振器(LO:lokalen Oszillator)によって決定される。格別に有利な一実施形態では、測定されるべき信号は、(電子制御ユニットの部分として構成可能な)ECU(電子制御ユニット)の内部の電磁放射(ビーム)である。このバリエーションにおける欠点は、この場合、外部のEM影響によって測定される信号に擾乱(障害)が生じることを回避するために、測定されるスペクトルは正確に定義されなければならないことである。更に、このバリエーションでは、測定が実行される運転状態も正確に定義されることが望まれる。というのは、他の構造群の運転が測定される信号の著しい変化を既に引き起こし得るからである。この場合、外部から入り込む擾乱信号が最小化されている特殊な周波数領域を考慮することが得策であろう。ECUボードには、受信アンテナとして機能するプリント回路を設けることができる。このバリエーションの利点は、一方では、追加の送信器は必要ではないことであり、他方では、部材製造の枠内における差異のために、個性がECUによって生成されるEM信号によって既に生成されていることであり、かくして、ランダムなフィンガープリントによる追加の個性化は夫々の電子ユニットの個性を大きくする。
【0020】
また、このアンテナには、発振器を有するHF(=高周波数)混合器が接続されることができる。混合器の出力部は、1つ又は2つのアナログ入力部を介してCPUに接続されることができる。これは、アンテナによって受信された高周波振幅及びそれに属する位相をある周波数領域にわたって求める(検出する)ことを可能にする。タンパ検出用の信号として、入力部信号とLO(=局部発振器)の間の差周波数を使用することができる。現実的な測定領域は、この場合、100kHz~5GHzである。詳細には、ここでは、残りのスペクトルとは極めて大きく異なる周波数を選択することができる。これは、追加の部材によって、又は、既存の部材の追加の制御によって実現されることができる。第1のバリエーションでは、1つの電磁的信号を所定の時点において送信することをその唯一のタスクとする部材が回路基板に配される。これの代わりに、特別な部材が重要なEMスペクトルによって短時間制御されることも可能である。回路キャリア上に既に存在するSBC(System Basis Chip)はそのために格別に適するであろう。測定については、送信器と受信器の間の送信が測定される場合、有利である。これは、ここでは送信振幅と受信振幅の比が考慮され、そのため、得られる値が送信出力に依存しないためである。
【0021】
更に、散乱媒体は、値1から少なくとも25%だけ異なる誘電率εr及び/又は透磁率μrを有することが可能である。
【0022】
とりわけ、電磁的監視信号の波長領域は1mm~30cmであることが可能である。この場合、監視はレーダ信号によって実行可能である。散乱材料内では、散乱中心(複数)はレーダの波長に依存して選択されることが望ましいであろう。この散乱中心は、例えば空間内の一部分にのみ存在することが可能である。このバリエーションのためには、糸を引く材料が格別に適するであろう。というのは、糸はレーダによってより良好に検出されることができるからである。「壊れやすい」材料の場合、材料は、壊れがレーダの波長にとっても現実的に検出可能であるよう、選択される。
【0023】
更に、送信装置は、回路キャリアに配されており、とりわけ電子制御装置の部品として構成されている、レーダ信号を放出するレーダチップとして構成されることができる。今や、空間を2×2ディメンジョンで「スキャン」可能なレーダのバリエーションは既に存在する。これにより、ECUの内部空間全体ないし監視されるべき空間全体の画像が生成される。ハウジング又はフィンガープリントが変形されている場合、これ変化はレーダによって検出される。侵入(介入)は検出される。これは、空間内への放射は様々な角度で(例えばレーダチップの開口角度内における任意の方向で)実行可能であり、それによって、2D画像を把握(取得)できることを意味する。この場合、例えば走行時間測定によって、監視空間の3D画像を計算することができる。
【0024】
とりわけ、送信装置及び/又は受信装置は散乱媒体によってカバーされており、散乱媒体はカバー領域においてハウジングの第2部分にまで延在していることが可能である。
【0025】
その代わりに、散乱媒体は、送信装置と受信装置の間において隙間なく延在することも可能である。
【0026】
更に、送信装置と受信装置は、互いに対し離隔されており、送信装置と受信装置の間に監視されるべき空間が存在し、送信装置と受信装置の間の距離は、回路キャリアの長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%であることが可能である。用語「回路キャリアの長さ」は、典型的にはほぼ矩形のフラットなキャリアの縦方向延伸として理解されるものである。長さは、この場合、幅より大きいか又は少なくとも同じであり、2つの平行な辺の間の直線として延伸し、この直線はこれらの辺に対し直角に配向されている。
【0027】
その代わりに、送信装置と受信装置は、回路キャリアの同じ部位に配されることも可能である。これは、例えばレーダチップを使用する場合、好都合であり得る。
【0028】
全く一般的には、散乱媒体については、以下の事項を述べることができる:
・高い熱伝導率を有する材料によって、熱抵抗Rthを改善することができる。
・機械的結合の改善は、高い振動吸収性を有する材料によって達成することができる。
・(10MHz~300MHzの領域のEMの変形形態(Variante)にとって格別に好都合であることが推定される)更なる材料はEMVの改善にも寄与し得る。これは、例えば、導電性粒子を含有する材料であり得る。これは、例えば、金属繊維ないしフレーク、グラファイト小球ないしフレーク、カーボンナノチューブ又はグラフェンフレークであり得る。未処理状態においてプリントに短絡を引き起こし得るほど十分に大きい高導電性を有する粒子(金属)を使用したい場合、付加的に、粒子又はプリントは絶縁層(樹脂、酸化膜等)で被覆されることができる。更に、フェライト粒子又は例えばチタン酸バリウムのような強誘電性特性を有する粒子も考慮される。
・材料が完全には空間を充填するように施されない場合であっても、測定の方法によって、空間全体は監視される。それによって、使用される「フィンガープリント」材料の変化が検出されるだけではなく、ハウジング形状の変化も検出される。
・ベース(材料)とその中にランダムに分散される散乱中心との混合から生じる材料は空間を充填するように加工されることも可能である。
【0029】
更に、監視システムは、フィンガープリントの検出された実際値と目標値とを対比し、所定の閾値を下回る差異がある場合、検出された実際値を新たな目標値として記憶し、次の対比のために使用するよう、構成されることができる。この閾値は、許容範囲が安全バッファとして考慮され、誤作動を引き起こさないように、選択されることができる。それによって、フィンガープリントの経時変化(劣化)状況(Alterungserscheinungen)を考慮することができる。このために、経時変化(劣化)に起因する変化としてなお技術的に考えられ得る値の上限を設けることができる。この上限は、例えば目標値の10%ずれたところにあり得る。変化がこの値を上回る場合、例えば、介入(不正操作)に起因することができる。時間成分が考慮されることも可能であろうが、経時変化に基づく最大の変化についての閾値は、最後の運転開始からの時間間隔(期間)に依存して、決定されることが可能であろう。かくして、時間間隔が数日だけである場合は1%未満の変化が許容可能であるのに対し、時間間隔が数月又は数年の場合はより大きな変化が許容可能であることが可能である。例えば始動プロセス中のみにおける、一回限りの測定によって、エネルギを節約することができる。更に、介入が検出された場合、例えば予め規定された運転(動作)安全(確保)状態へのリセットを含むエラールーチンを開始(導入)することができる。
【0030】
本発明は、更に、本発明の乗物モジュールを含む、自動車前照灯に関する。
【0031】
とりわけ、本発明は、本発明の乗物モジュールの使用方法であって、
乗物モジュールの製造及び組込プロセス中に、初期フィンガープリントが決定され、乗物モジュール及び外部の記憶装置に基準値として記憶される基準設定手続きが実行される、方法に関する。このようにして、個別の乗物モジュールは、例えばデータバンク(データベース)との対比によって、個別のフィンガープリントを把握することにより、一層より遅い時点においても一意的に特定されることができる。更に、閾値は、時間成分を有し、最後の運転開始からの時間間隔が増大するほど、増大することも可能である。
【0032】
本発明は以下において図面に示されている例示的かつ非限定的な実施形態を用いてより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】(a)本発明の第3実施形態の一例の模式図;(b)送信された監視信号の一例の例示図;受信される監視信号の一例の例示図。
【
図4】(a)本発明の第4実施形態の一例の模式図;(b)
図4(a)の実施形態の部品(複数)についての等高線(複数)の詳細図。
【
図6】介入前(a)、介入中(b)及び介入後(c)の適用状態における散乱媒体。
【
図7】機械的結合の分離時に糸を引く散乱媒体の一例。
【実施例】
【0034】
以下の図においては―別段の定めがない限り―同じ図面参照符号は同じ特徴を表す。
【0035】
図1は本発明の第1実施形態の一例の模式図である。
図1には、介入(不正操作)検出型電子制御ユニット1を含む乗物モジュール10の一例が示されている。電子制御ユニット1は、少なくとも1つの電気的に制御可能な乗物機能、例えば減光ライト(ロービーム)機能又は遠方ライト(ハイビーム)機能のようなライト機能を制御するよう構成されており、電子制御ユニット1は以下のものを含む:電子制御ユニット1による制御を実行するための電子回路2aを含む少なくとも1つの回路キャリア2、とりわけプリント基板;回路キャリア2を少なくとも部分的に包囲するハウジング3、但し、ハウジング3は少なくとも2つの部分3a、3bを含み、ハウジング3の第1の部分3aには回路キャリア2が結合されており、ハウジング3の第2の部分3bは、ハウジング3を少なくとも部分的に閉鎖し、それによってハウジング3を少なくとも部分的に包囲するよう、第1の部分3aに結合可能であり;及び、ハウジング3内への侵入(介入)を検出するために回路キャリア2上に配された監視システム4。
【0036】
この監視システム4は、送信装置5a、散乱材料6、受信装置5b及び介入検出ユニット7を含む。送信装置5aはハウジング3によって包囲された監視されるべき空間V内へ電磁的監視信号U
Sを放出し、電磁的監視信号U
Sは原理的に230nm~30mの波長領域にあり、散乱材料6は、監視されるべき空間Vにおいて非介入状態では少なくとも部分的にランダムに分布(分配)され、放出された電磁的監視信号U
Sを散乱するよう構成されている。受信装置5bは監視されるべき空間Vの内部において散乱された電磁的監視信号U
Sを受信し、非介入状態において少なくとも部分的にランダムな散乱材料の分布は、放出された監視信号U
Sと散乱媒体内で散乱され受信された信号U
S’との対比によって、モジュール特異的なフィンガープリントFPの値が測定可能であるよう、選択されており、この値は非介入状態の目標値S
sollを表す;介入検出ユニット7には非介入状態におけるモジュール特異的なフィンガープリントFPについての情報が少なくとも目標値の形で供給されており、介入検出ユニット7は、監視信号U
Sの受信した実際状態を把握(認識ないし検出)することによってモジュール特異的なフィンガープリントFPの実際値S
istを推定(導出)するために、電気回路2aに接続されており、介入検出ユニット7は、フィンガープリントFPの実際値S
istと目標値S
sollを対比するよう(
図6(a)~
図7(c)では目標値は非介入状態における実際値にも相当するフィンガープリントFPによって表され;フィンガープリントFP’は変化された実際値の検出によって把握される)及び対比の結果に依存して監視されるべき空間Vへの介入を推定するよう、構成されている。
図1及び
図2に示した実施例では、監視信号U
Sは光信号であり、そのため、電磁的監視信号U
Sの波長領域は1000nm~230nmである。このため、送信装置5aは監視信号U
Sを放出するためにLED、とりわけSMD-LED、又はレーザ光源を含むことが可能である。受信装置5bは、例えば逆動作(受光素子として動作する)LED、フォトダイオード又はカメラであり得る。送信装置5a及び/又は受信装置5bは、この実施形態では、カバー領域において第2ハウジング部分3bにまで延在している散乱媒体6によってカバーされている。
【0037】
散乱媒体6は、ランダムに分布(分配)された光散乱性の散乱要素(複数)6aが含まれている透明材料を含む。散乱媒体6は、第1ハウジング部分3aから第2ハウジング部分3bが持ち上げられた(こじ開けられた)とき、散乱媒体6が互いに分離された少なくとも2つの材料領域に断裂されるように、第2ハウジング部分3bにも回路キャリア2にも結合されるよう、配されている。
【0038】
図2は、本発明の第2実施形態の一例の模式図である。この場合、散乱媒体6は、連続的な充填物の形で配されるのではなく、回路キャリア2及びハウジング部分3bに接触する個別の柱状の接続部(複数)によって構成されている。送信装置5aと受信装置5bは夫々回路キャリア2の反対側の端部に配置されており、そのため、これらの間にある全ての部材ないし要素は、これらの全ての部材が夫々散乱媒体6の個別の領域によって包囲されることによって、監視されることができる。監視の感度を向上するために、追加の送信ユニット5a’又は受信ユニット5b’を設けることも可能である。送信装置5a及び/又は受信装置5bはこの実施形態では空気によって包囲されており、散乱媒体6は送信装置5a及び/又は受信装置5bから離隔されている。両装置5a、5bの間には監視されるべき空間Vが存在し、両装置の間の距離は、回路キャリア2の長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%である。
【0039】
図3(a)は、本発明の第3実施形態の一例の模式図であり、この場合、例えば送信装置5a及び受信装置5bの位置は第1実施形態の場合と比べると反対になっており、散乱媒体6ないしその内部に含まれている散乱要素(複数)は、放出される監視信号U
Sと受信される監視信号U
S’が例えば電界強度対磁界強度の比によって互いに対し区別されるよう(
図3(b)及び
図3(c)参照)、選択されている。
図3(b)は送信された監視信号の例示的一態様であり、xは伝搬方向を表し、磁界強度H及び電界強度Eが示されており、これらの強度はベクトルである。これらのベクトルの外積は、電磁的信号(電磁波)のエネルギ束(電力束)を表すポインティングベクトルである。
図3(c)では、受信される監視信号U
S’の場合、磁界強度は減少され、電界強度は増大されていることを見出すことができる。散乱媒体6ないし散乱要素(複数)は、電界強度が減少し、磁界強度が増大するよう、選択可能であることは勿論である。エネルギ束が全体として、伝搬経路に沿った吸収又は反射によって減少されることも可能である。これらの情報は全て放出信号U
Sと受信信号U
S’の対比によって把握(認識ないし検出)可能であり、これによって、モジュール特異的なフィンガープリントFPを計算することができる。散乱媒体6は、受信信号U
S’の周波数ないし周波数分布に影響を及ぼすよう、選択されることも可能である。介入検出装置の感度は、周波数混合器の使用により、高感度な(sensible)周波数領域、とりわけ基準(参照)周波数(複数)が目標を定めて(適切に:gezielt)分析されることによって、追加的に向上されることができる。
【0040】
図4(a)は、本発明の第4実施形態の一例の模式図であり、
図1ないし
図2のバリエーションとは異なり、光学的な光ビームが放射されるのではなく、10MHz~300MHzの周波数領域の電磁的信号が放射される。
図4(b)は、破線の楕円(複数)の形で表された監視されるべき部品(複数)8の周りの力線(複数)の分布の一例を示す。より見易くするために、幾つかの図面参照符号の付記は省略されている。監視信号U
Sの異なる(他の)周波数領域を除き、すべての構成要素は
図2のバリエーションと同様に構成可能である。
【0041】
図5は、本発明の更なる実施形態の一例の平面図である。同図において、回路キャリア2の二次元平面に沿った散乱媒体6の例示的一空間分布を見出すことができる。この場合、放出された監視信号U
S及び、図示の場合(vorliegend)反射されて、受信される監視信号U
S’はレーダ信号であることが可能である。送信装置5aと受信装置5bは例えば単一のレーダチップ5’の形で一体的に構成されることも可能である。この場合、レーダチップ5’は回路キャリア2上に配され、とりわけ電子制御装置1の部品として構成されている。
【0042】
図6(a)~
図6(c)は、適用状態にある散乱媒体6の一例を示し、介入前(
図6(a))、介入中(
図6(b))及び介入後(
図6(c))の状態を示す。これらの図においては、散乱媒体6が蓋部3bの持ち上げ時に断裂する様子を見出すことができる。蓋部3bの新たな組付けないしその初期位置への戻しも(
図6(c)参照)散乱媒体6の変化に基づいて更に見出すことができ、かくして、それと関連付けられたフィンガープリントFPは(具体的には操作(介入)されたフィンガープリントFP’へと)変化されており、この変化は既に具体的に説明したように検出されることができ、介入の確認(検出)のために考慮(利用)されることができる。フィンガープリントのこの変化は、例示的一ビーム路L1(
図6(a))のL1’(
図6(c))への変化についても見出すことができる。
【0043】
図7(a)~
図7(c)は、機械的結合の分離時に糸を引く散乱媒体6の一例を示す。既述のように、そのような材料は介入の際に監視信号U
Sの光路及び従って検出される信号U
S’を著しく変化させることができる。
図7(a)は、更に、ソルダーレジスト層9が回路キャリア2の表面に形成可能であることを示している。
【0044】
本発明は、更に、本発明に応じた乗物モジュール10を含む図面に示されていない自動車前照灯、並びに、本発明に応じた乗物モジュール10の使用方法であって、乗物モジュール10の製造及び組込(組立)プロセス中に、初期(開始)フィンガープリントFPが決定され、乗物モジュール及び外部の記憶装置に基準値として記憶される基準(初期)設定手続きが実行される方法に関する。
【0045】
本発明は、図示の実施形態に限定されず、(特許)請求の範囲の保護範囲全体によって規定(特定)される。更に、本発明ないし実施形態(複数)の個々の側面を個別に捉えることも任意に組み合わせることも可能である。(特許)請求の範囲に場合により付記される図面参照符号は例示的なものであり、(特許)請求の範囲の可読性をより良好にするためにのみ使用されており、(特許)請求の範囲を限定するものではない。
【0046】
本発明は以下のように構成されることも可能である。
[付記1]介入検出型の電子制御ユニットを含む乗物モジュール。
前記電子制御ユニットは、少なくとも1つの電気的に制御可能な乗物機能、例えば、減光ライト機能又は遠方ライト機能のようなライト機能を制御するよう、構成されている。前記電子制御ユニットは、以下のもの:
・前記電子制御ユニットによる制御の実行のための電気回路を含む、少なくとも1つの回路キャリア、とりわけプリント基板、
・前記回路キャリアを少なくとも部分的に包囲するハウジング、但し、前記ハウジングは少なくとも2つの部分を含み、前記ハウジングの第1の部分には前記回路キャリアが結合されており、前記ハウジングの第2の部分は、前記ハウジングを少なくとも部分的に閉鎖し、それによって前記回路キャリアを少なくとも部分的に包囲するよう、前記第1の部分に結合可能であり、及び、
・前記ハウジング内への侵入を検出するために前記回路キャリアに配された、監視システム
を含む。
この監視システムは以下のもの:
前記ハウジングによって包囲された監視されるべき空間内へ電磁的監視信号を放出する送信装置、但し、前記電磁的監視信号は230nm~30mの波長領域にあり、
・前記監視されるべき空間において非介入状態では少なくとも部分的にランダムに分布(分散)されており、放出された電磁的監視信号を散乱するよう構成されている散乱材料、
・前記監視されるべき空間の内部において散乱された電磁的監視信号を受信する受信装置、但し、非介入状態において少なくとも部分的にランダムな前記散乱材料の分布は、放出された監視信号と散乱媒体内で散乱され受信された信号との対比によって、モジュール特異的なフィンガープリントの値が測定可能であるよう、選択されており、この値は非介入状態の目標値を表し、及び、
・非介入状態におけるモジュール特異的なフィンガープリントについての情報が少なくとも目標値の形で供給されている介入検出ユニット、但し、前記介入検出ユニットは、監視信号の受信した実際状態を把握することによってモジュール特異的なフィンガープリントの実際値を導出するために、前記電気回路に接続されており、前記介入検出ユニットは、前記フィンガープリントの前記実際値と前記目標値を対比し、前記対比の結果に依存して前記監視されるべき空間への介入を推定するよう、構成されている、
を含む。
[付記2]上記の、とりわけ付記1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は1000nm~230nmである。
[付記3]上記の、とりわけ付記2に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、ランダムに分散された光散乱性の散乱要素が含まれている透明材料を含む。
[付記4]上記の、とりわけ付記2又は3に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、前記第1部分から前記第2部分を持ち上げる場合、前記散乱媒体が互いに分離された少なくとも2つの材料領域に断裂するよう、構成され、配置され、及び、前記第2ハウジング部分及び前記回路キャリアに結合されている。
[付記5]上記の、とりわけ付記2~4の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置は、前記監視信号の放出のために、LED、とりわけSMD-LED、又はレーザ光源を含む。
[付記6]上記の、とりわけ付記1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は30m~1mである。
[付記7]上記の、とりわけ付記6に記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、前記回路キャリア及び前記第2部分に点状に接触し、これらと結合する;
前記散乱媒体は、前記監視されるべき空間の5%~95%を充填する。
[付記8]上記の、とりわけ付記6又は7に記載の乗物モジュールにおいて、
目標運転時に前記電子制御ユニットから放出されるビームは監視信号として使用され、それによって、前記送信装置は前記電子制御ユニットによって構成されるか、又は、電子制御ユニットとは別個の高周波数混合器によって構成される。
[付記9]上記の、とりわけ付記6~8の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記散乱媒体は、値1から少なくとも25%だけ異なる誘電率ε
r
及び/又は透磁率μ
r
を有する。
[付記10]上記の、とりわけ付記1に記載の乗物モジュールにおいて、
前記電磁的監視信号の波長領域は1mm~30cmである。
[付記11]上記の、とりわけ付記10に記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置は、前記回路キャリアに配されており、とりわけ前記電子制御装置の部品として構成されている、レーダ信号を放出するレーダチップとして構成されている。
[付記12]上記の、とりわけ付記1~11の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置及び/又は前記受信装置は前記散乱媒体によってカバーされており、該散乱媒体はカバー領域において前記第2部分にまで延在している。
[付記13]上記の、とりわけ付記1~11の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置及び/又は前記受信装置は空気によって包囲されており、前記散乱媒体は前記送信装置及び/又は前記受信装置に対し離隔されている。
[付記14]上記の、とりわけ付記1~13の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記送信装置と前記受信装置は、互いに対し離隔されており、前記送信装置と前記受信装置の間に前記監視されるべき空間が存在する;
前記送信装置と前記受信装置の間の距離は、前記回路キャリアの長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%である。
[付記15]上記の、とりわけ付記1~14の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記監視システムは、前記フィンガープリントの検出された実際値と目標値とを対比し、所定の閾値を下回る差異がある場合、前記検出された実際値を新たな目標値として記憶し、次の対比のために使用するよう、構成されている。
[付記16]上記の、とりわけ付記1~15の何れかに記載の乗物モジュールにおいて、
前記監視システムは、前記フィンガープリントの実際値の検出及び目標値との対比を前記電子制御ユニットの始動プロセス中にのみ実行し、介入が検出された場合、エラールーチンを開始する。
[付記17]上記の、とりわけ付記1~16の何れかに記載の乗物モジュールを含む、自動車前照灯。
[付記18]上記の、とりわけ付記1~16の何れかに記載の乗物モジュールの使用方法。
乗物モジュールの製造及び組込プロセス中に、初期フィンガープリントが決定され、乗物モジュール及び外部の記憶装置に基準値として記憶される基準設定手続きが実行される。