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特許7454102発電ユニット及びシリーズハイブリッド車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】発電ユニット及びシリーズハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/46 20071001AFI20240313BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240313BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20240313BHJP
   B60K 13/02 20060101ALI20240313BHJP
   B60K 6/22 20071001ALI20240313BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20240313BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20240313BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20240313BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20240313BHJP
【FI】
B60K6/46
B60K11/02 ZHV
B60K11/06
B60K13/02 C
B60K6/22
B60K6/24
B60K6/26
B60K6/40
B60L50/61
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023506431
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010578
(87)【国際公開番号】W WO2022195709
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09038754(US,B2)
【文献】特開2018-012346(JP,A)
【文献】特開2002-004860(JP,A)
【文献】特開2002-316541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60K 11/02
B60K 11/06
B60K 13/02
B60L 1/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向が鉛直に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向ステータと、を有し、前記エンジンの軸線方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、
前記エンジンの下側に配置されたオイルパンと、を備え、
前記アキシャルギャップ発電機は、前記エンジンの下側に配置されており、
前記オイルパンは、前記アキシャルギャップ発電機の上側に配置されている、発電ユニット。
【請求項2】
前記エンジンの出力が一定となるように前記エンジンを制御する電子制御ユニットを更に備える、請求項1に記載の発電ユニット。
【請求項3】
前記エンジンに対して前記アキシャルギャップ発電機とは反対側に設けられ、前記クランク軸に接続された冷却ファンを更に備える、請求項1又は2に記載の発電ユニット。
【請求項4】
前記エンジンに供給される吸気を浄化するエアクリーナを更に備え、
前記冷却ファンは、前記エンジンの上側に配置され、
前記エアクリーナの上端は、前記エンジンの上端よりも上方に配置されている、請求項3に記載の発電ユニット。
【請求項5】
前記エンジンは、前記クランク軸を収容するクランクケースを有し、
前記オイルパンは、前記クランクケースの下部に配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発電ユニット。
【請求項6】
前記エンジンは、水平方向に延びたシリンダと、前記クランク軸に連動して前記シリンダの吸排気を行う動弁装置と、を更に有し、
前記動弁装置は、水平方向において、前記回転軸線に対して一方側に配置され、前記オイルパンは、前記回転軸線に対して他方側に配置されている、請求項5に記載の発電ユニット。
【請求項7】
軸線方向が鉛直に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの軸線方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、
前記クランク軸に連動し、前記エンジンの駆動に使われる電力を発生するサブ発電機と、を備え、
前記サブ発電機は、前記アキシャルギャップ発電機よりも小さく、
前記アキシャルギャップ発電機は、前記エンジンの下側に配置され、前記サブ発電機は、前記エンジンの上側に配置されている、発電ユニット。
【請求項8】
軸線方向が鉛直に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの軸線方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、
前記エンジンを冷却するエンジン冷却流路と、前記エンジン冷却流路に連通して前記アキシャルギャップ発電機を冷却する発電機冷却流路と、前記エンジン冷却流路及び前記発電機冷却流路に冷媒を供給可能な冷媒ポンプと、を更に備える、発電ユニット。
【請求項9】
前記アキシャルギャップ発電機は、前記軸線方向からみて、前記エンジンの外形の内側に配置され、
前記ロータは、前記ステータの上下に配置された一対のロータである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発電ユニット。
【請求項10】
前記エンジンは、多気筒エンジンである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発電ユニット。
【請求項11】
前記アキシャルギャップ発電機が発生した交流電力を直流電力に変換して電圧調節するように構成されたレギュレータを更に備え、
前記レギュレータは、前記アキシャルギャップ発電機に一体的に接続されている、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発電ユニット。
【請求項12】
前記アキシャルギャップ発電機は、前記エンジンの前記クランク軸の回転動力によって電力を生成する発電機能と、前記エンジンを始動するスタータモータ機能とを兼ね備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の発電ユニット。
【請求項13】
軸線方向が鉛直に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの軸線方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、
前記クランク軸の回転動力を電気以外のエネルギーとして出力する出力インターフェースと、を備え、
前記クランク軸から前記出力インターフェースまでのエネルギー伝達経路は、回転動力を伝達する動力伝達経路を含み、
前記アキシャルギャップ発電機は、前記動力伝達経路に機械的に接続されて、回転動力を出力可能に構成されている、発電ユニット。
【請求項14】
発電ユニットと、
前記発電ユニットで発電された電力を充電可能なバッテリと、
前記バッテリからの電力で駆動し、走行動力を発生するトラクションモータと、
少なくとも1つの車輪と、
前記車輪に支持される車体と、を備え、
前記発電ユニットは、
鉛直方向に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの鉛直方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を有し、
前記発電ユニットは、前記アキシャルギャップ発電機の下端が前記車輪の上端よりも低く配置されるように前記車体に搭載されており、
前記車体は、車外空間と区分けされた車内空間を画定し、
前記アキシャルギャップ発電機は、その少なくとも一部が前記車外空間に露出するように前記車体の下側に配置され、
前記アキシャルギャップ発電機は、車内空間と車外空間とにわたって配置されている、シリーズハイブリッド車両。
【請求項15】
発電ユニットと、
前記発電ユニットで発電された電力を充電可能なバッテリと、
前記バッテリからの電力で駆動し、走行動力を発生するトラクションモータと、
少なくとも1つの車輪と、
前記車輪に支持される車体と、を備え、
前記発電ユニットは、
鉛直方向に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの鉛直方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を有し、
前記発電ユニットは、前記アキシャルギャップ発電機の下端が前記車輪の上端よりも低く配置されるように前記車体に搭載されており、
前記少なくとも1つの車輪は、互いに左右方向に離れた左右一対の車輪を含み、
前記アキシャルギャップ発電機は、前記左右一対の車輪の間に配置されている、シリーズハイブリッド車両。
【請求項16】
発電ユニットと、
前記発電ユニットで発電された電力を充電可能なバッテリと、
前記バッテリからの電力で駆動し、走行動力を発生するトラクションモータと、
少なくとも1つの車輪と、
前記車輪に支持される車体と、を備え、
前記発電ユニットは、
鉛直方向に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの鉛直方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を有し、
前記発電ユニットは、前記アキシャルギャップ発電機の下端が前記車輪の上端よりも低く配置されるように前記車体に搭載されており、
一端部が前記車体に回動可能に接続された少なくとも1つのスイングアームを更に備え、
前記少なくとも1つの車輪は、前記スイングアームの他端部が接続された対象車輪を含み、
前記アキシャルギャップ発電機は、その下端が前記スイングアームの上端よりも低くなるように配置されている、シリーズハイブリッド車両。
【請求項17】
発電ユニットと、
前記発電ユニットで発電された電力を充電可能なバッテリと、
前記バッテリからの電力で駆動し、走行動力を発生するトラクションモータと、
少なくとも1つの車輪と、
前記車輪に支持される車体と、
一端部が前記車体に回動可能に接続された少なくとも1つのスイングアームと、を備え、
前記発電ユニットは、
鉛直方向に延びたクランク軸を有するエンジンと、
前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの鉛直方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を有し、
前記発電ユニットは、前記アキシャルギャップ発電機の下端が前記車輪の上端よりも低く配置されるように前記車体に搭載され、
前記少なくとも1つの車輪は、前記スイングアームの他端部が接続された対象車輪を含み、
前記アキシャルギャップ発電機は、その下端が前記スイングアームの上端よりも低くなるように配置され、
前記少なくとも1つの対象車輪は、互いに左右方向に離れた左右一対の車輪を含み、
前記アキシャルギャップ発電機は、側面視において、前記スイングアームと重なるように配置されている、シリーズハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電ユニット及びシリーズハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリからの電力で駆動する走行用の電動モータと、発電機を駆動してバッテリを充電する発電用のエンジンとを備えたシリーズハイブリッド車両が開示されている。エンジン及び発電機は、互いに一体化されて発電ユニットを構成している。エンジンはクランク軸を鉛直方向に向けて配置され、発電機はエンジンの下方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9038754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電ユニットは、用途によっては鉛直方向のサイズを更に小さくすることが望まれる。しかし、発電機又はエンジンの鉛直方向のサイズを単に小さくすると、発電性能が低くなってしまう。
【0005】
そこで本開示は、発電性能を低下させずに発電ユニットの全体をコンパクト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る発電ユニットは、軸線方向が鉛直に延びたクランク軸を有するエンジンと、前記軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの軸線方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を備える。
【0007】
前記構成によれば、クランク軸が鉛直方向に延びるように配置されたエンジンの鉛直方向一方側に発電機が配置されるため、発電ユニットの水平方向に占有スペースが低減される。その発電機がアキシャルギャップ型であり、そのロータが鉛直方向に延びた回転軸線周りに回転するように配置されるため、発電ユニットの鉛直方向の占有スペースも低減される。よって、発電性能を低下させずに発電ユニットの全体をコンパクト化することができる。
【0008】
本開示の一態様に係るシリーズハイブリッド車両は、発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を充電可能なバッテリと、前記バッテリからの電力で駆動し、走行動力を発生する電動モータと、少なくとも1つの車輪と、前記車輪に支持される車体と、を備える。前記発電ユニットは、鉛直方向に延びたクランク軸を有するエンジンと、前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有し、前記エンジンの鉛直方向一方側に配置されたアキシャルギャップ発電機と、を有する。前記発電ユニットは、前記アキシャルギャップ発電機の下端が前記車輪の上端よりも低く配置されるように前記車体に搭載されている。
【0009】
前記構成によれば、コンパクトな発電ユニットによりスペース効率の良いハイブリッド車両を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、発電性能を低下させずに発電ユニットの全体をコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る発電ユニットの平面図である。
図2図2は、図1の発電ユニットのII-II線断面図である。
図3図3は、図2の発電ユニットが着脱自在に搭載されたハイブリッド車両のブロック図である。
図4図4は、図2の発電ユニットの冷却構造のブロック図である。
図5図5は、図3のハイブリッド車両の模式図である。
図6図6は、図5のハイブリッド車両の側面図である。
図7図7は、図6のハイブリッド車両の発電ユニット及びその近傍を前方から見た概略断面図である。
図8図8は、図3の発電ユニットの第1変形例のブロック図である。
図9図9は、図3の発電ユニットの第2変形例のブロック図である。
図10図10は、図2の発電ユニットが着脱自在に搭載されたハイブリッド車両の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下に説明する発電ユニット1は、鉛直方向(上下方向)に延びるクランク軸22を有する。言い換えれば、発電ユニット1の上下方向は、クランク軸22が延びる方向であり、クランク軸22に直交する面内の方向は、発電ユニット1の水平方向である。
【0013】
図1は、実施形態に係る発電ユニット1の平面図である。図2は、図1の発電ユニット1のII-II線断面図である。図1及び2に示すように、発電ユニット1は、エンジンユニット2と、エンジンユニット2に駆動されるアキシャルギャップ発電機3とを備える。エンジンユニット2は、内燃機関であるエンジン10と、エンジン10の上側に設けられたアッパーカバー11と、を備える。
【0014】
エンジンユニット2のエンジン10は、多気筒エンジンであり、例えばVツインエンジンである。エンジン10は、クランクケース21と、クランク軸22と、一対のシリンダ23と、動弁装置24と、を備える。クランク軸22は、クランクケース21に回転自在に支持された状態でクランクケース21に収容されている。クランク軸22の回転軸線Xは、鉛直方向に延びている。クランク軸22は、シリンダ23内のピストンの往復動作に連動して回転する。クランク軸は、接続対象を回転させることで、接続対象に運動エネルギーを与える。シリンダ23は、クランク軸22から見て水平方向に延びている。
【0015】
エンジンユニット2のアッパーカバー11は、クランクケース21を上方から覆うようにクランクケース21に固定されている。アッパーカバー11は、下方に開口した断面逆凹形状を有する。アッパーカバー11は、クランクケース21との間に内部空間を画定している。アッパーカバー11の内部空間には、クランクケース21から上方に突出したクランク軸22の上部が配置されている。エンジン10の上方には、アッパーカバー11の内部空間において冷却ファン12及びサブ発電機14が配置されている。
【0016】
サブ発電機14は、クランク軸22の上部に取り付けられている。即ち、サブ発電機14は、その図示しないロータがクランク軸22に連動して回転し、発電を行う。サブ発電機14が発生した電力は、エンジン10の駆動に必要な電力として使用される。例えば、サブ発電機14が発生した電力は、後述の電子制御ユニット4等に供給される。
【0017】
クランク軸22の上部には、サブ発電機14の上方において冷却ファン12が取り付けられている。アッパーカバー11の上板部には、流入口11aが形成されている。アッパーカバー11には、流入口11aを覆うようにファンカバー13が着脱可能に取り付けられている。ファンカバー13は、例えば異物通過を防ぎながら空気通過を許容する網状の構造である。
【0018】
アッパーカバー11の側板部には、流出口11bが形成されている。流出口11bには、ルーバーが設けられてもよい。クランク軸22に連動して冷却ファン12が回転することで、ファンカバー13を通して流入口11aから空気が吸引され、その吸引された空気がサブ発電機14及びエンジン10を冷却し、流出口11bから外部に排出される。
【0019】
動弁装置24は、鉛直方向に延びたカム軸24aを有し、クランク軸22に機械的に連動してシリンダ23の吸排気弁(図示せず)を開閉させる。なお、動弁装置24の構成は、公知のものであり、その構成は特に限定されない。クランク軸22の回転は、ギヤ25を介してカム軸24aに伝達される。動弁装置24は、水平方向において、クランク軸22の回転軸線Xに対してシリンダ23側に配置されている。即ち、一対のシリンダ23の重心と回転軸線Xとを結ぶ仮想線に垂直であり且つクランク軸22の回転軸線Xが含まれる仮想鉛直平面を考えた場合に、この仮想鉛直平面により空間を二分割した一方側(シリンダ23が存在する側)の領域に動弁装置24が配置されている。
【0020】
エンジンユニット2は、エンジン10に供給される吸気を浄化するエアクリーナ15を備える。エアクリーナ15の上端は、エンジン10の上端よりも上方に配置され、具体的にはアッパーカバー11の上面よりも上方に配置されている。エアクリーナ15は、エアクリーナケース28と、エアクリーナケース28に収容されたクリーナエレメント29(フィルタ)と、を有する。
【0021】
具体的には、エアクリーナケース28は、筒状の周壁部と、その周壁部の両端をそれぞれ閉鎖する端壁部とを有し、その軸線が水平方向に向くように配置されている。クリーナエレメント29は、円筒形状を有する。クリーナエレメント29の内径側がクリーンサイドであり、クリーナエレメント29の外径側がダーティサイドである。
【0022】
エアクリーナケース28の周壁部からは、ダクト16が上方に突出している。ダクト16は、エアクリーナ15のダーティサイドに連通している。ダクト16の上端には、吸込口16aが設けられている。即ち、吸込口16aは、エアクリーナケース28及びクリーナエレメント29よりも上方に配置されている。吸込口16aには、フィルタが設けられてもよい。吸込口16aから吸い込まれた外気は、クリーナエレメント29の外径側のダーティサイドに導かれ、クリーナエレメント29を通過して清浄化され、クリーナエレメント29の内径側のクリーンサイドに導かれる。
【0023】
エアクリーナケース28の端壁部には、クリーナエレメント29の内径側のクリーンサイドに連通する吸気管17が接続されている。吸気管17は、水平方向に延びた第1部17aと、下方に向かってから折り返して上方に向かうU字形状を有する第2部17bとを有する。これにより、吸気管17の吸気通路の長さは、小さいスペースにおいて長く形成されている。吸気管17の第2部17bの下流端は、各シリンダ23の燃焼室に吸気を供給可能に設けられている。なお、第2部17bは、上方に向かってから折り返して下方に向かう逆U字形状であってもよい。
【0024】
吸気管17には、スロットル弁を有するスロットル装置18が設けられている。吸気管17には、燃料供給装置19が設けられている。燃料供給装置19は、例えば、インジェクタ又はキャブレターである。具体的には、スロットル装置18及び燃料供給装置19は、吸気管17の第2部17bにおいて折返部17baの上流側に設けられている。これにより、スロットル装置18及び燃料供給装置19からシリンダ23までの吸気通路が長くなっている。
【0025】
クランクケース21の下部には、上方に開口したオイルパン26が配置されている。具体的には、クランクケース21の内部空間の下側に、オイルパン26が配置されている。オイルパン26は、クランク軸22の回転軸線Xの方向(鉛直方向)において、クランク軸22と重なる高さに配置されている。オイルパン26は、水平方向において、クランク軸22の回転軸線Xに対して動弁装置24と反対側に配置されている。
【0026】
即ち、一対のシリンダ23の重心と回転軸線Xとを結ぶ仮想線に垂直であり且つクランク軸22の回転軸線Xが含まれる前記仮想鉛直平面を考えた場合に、この仮想鉛直平面により空間を二分割した他方側(シリンダ23が存在しない側)の領域にオイルパン26が配置されている。なお、オイルパン26は、動弁装置24の鉛直下方にまで及ぶように拡大されてもよい。また、ロアケース21bがオイルパンを兼ねるようにしてもよい。
【0027】
アキシャルギャップ発電機3は、エンジン10の下側に配置されている。なお、アキシャルギャップ発電機3は、エンジン10の上側に配置されてもよい。アキシャルギャップ発電機3は、オイルパン26の下方に配置されている。アキシャルギャップ発電機3は、エンジン10の下面に取り付けられている。アキシャルギャップ発電機3は、エンジンユニット2の全体よりも下方に配置されている。
【0028】
アキシャルギャップ発電機3は、後述するように、略板形状のステータ33及びロータ34,35を有し、回転軸32の軸線方向にステータ33及びロータ34,35が主面同士を対向させるように並べられている。即ち、アキシャルギャップ発電機3は、ロータ34,36の磁束の主方向が回転軸32の軸線方向となるので、回転軸32の軸線方向における寸法を小さくできる。
【0029】
アキシャルギャップ発電機3、冷却ファン12及びサブ発電機14は、クランク軸22と同軸上に配置されている。アキシャルギャップ発電機3は、サブ発電機14よりも大きい。具体的には、アキシャルギャップ発電機3の容積は、サブ発電機14の容積よりも大きい。発電ユニット1の上面視において、アキシャルギャップ発電機3の占有面積は、サブ発電機14の占有面積よりも大きい。アキシャルギャップ発電機3の定格出力(単位時間当たりの発電能力)は、サブ発電機14の定格出力(単位時間当たりの発電能力)よりも大きい。
【0030】
アキシャルギャップ発電機3の鉛直方向寸法は、サブ発電機14の鉛直方向寸法よりも大きい。アキシャルギャップ発電機3の鉛直方向寸法は、アキシャルギャップ発電機3の水平方向寸法よりも小さい。アキシャルギャップ発電機3の鉛直方向寸法は、エンジン10の鉛直方向寸法よりも小さい。アキシャルギャップ発電機3は、回転軸線Xの延在方向から見てエンジン10の外形の内側に配置されている(図1参照)。なお、アキシャルギャップ発電機3は、回転軸線Xの延在方向から見てエンジン10の外形から外側に食み出してもよい。
【0031】
アキシャルギャップ発電機3は、発電機ケース31、回転軸32、ステータ33、第1ロータ34及び第2ロータ35を備える。発電機ケース31は、鉛直方向に延びる回転軸32を回転自在に支持している。発電機ケース31は、平面視では円形の外形を有する。回転軸32は、クランク軸22の下側に配置されている。回転軸32の回転軸線は、クランク軸22の回転軸線Xと一致している。回転軸32は、クランク軸22と共回転するようにクランク軸22に結合されている。
【0032】
第1ロータ34、ステータ33及び第2ロータ35は、この順に上から下に並んでいる。ステータ33は、ステータコア41と、ステータコア41に設けられたコイル42とを有する。コイル42は、アキシャルギャップ発電機3の端子に接続されている。ステータ33は、回転軸32に対して相対回転自在であり、発電機ケース31を基準として静止状態で支持されている。
【0033】
第1ロータ34は、第1ロータコア43及び第1磁石44を有する。第1ロータコア43は、円板状であり、回転軸32と共回転するように回転軸32に外嵌されている。第1磁石44は、ステータ33の上面に対向するように第1ロータコア43に設けられている。第2ロータ35は、第2ロータコア45及び第2磁石46を有する。第2ロータコア45は、円板状であり、回転軸32と共回転するように回転軸32に外嵌されている。第2磁石46は、ステータ33の下面に対向するように第2ロータコア45に設けられている。
【0034】
第1ロータ34とステータ33との間には、回転軸線方向にギャップが設けられ、第2ロータ35とステータ33との間には、回転軸線方向にギャップが設けられている。第1ロータ34及び第2ロータ35は、クランク軸22に連動して回転軸線X回りに回転するように回転軸32を介してクランク軸22に接続されている。なお、アキシャルギャップ発電機3の構成は、特に限定されない。例えば、ロータを1つとしてステータを一対としてもよく、ロータ及びステータの各々を複数としてもよく、ロータ及びステータを1つずつとしてもよい。
【0035】
アキシャルギャップ発電機3では、第1ロータ34及び第2ロータ35がクランク軸22によって回転駆動され、コイル42に電流が発生する(発電機能)。アキシャルギャップ発電機3では、コイル42に電流を流して生じる磁界によって第1ロータ34及び第2ロータ35が回転し、クランク軸22を回転させる回転動力が発生する(モータ機能)。アキシャルギャップ発電機3は、エンジン10のクランク軸22の回転動力によって電力を生成する発電機能と、エンジン10を始動するスタータモータ機能とを兼ね備える統合スタータジェネレータ(ISG)である。
【0036】
図3は、図2の発電ユニット1が着脱自在に搭載されたハイブリッド車両50のブロック図である。図3に示すように、発電ユニット1は、アキシャルギャップ発電機3に電気的に接続されたインバータ5(レギュレータ)を備える。インバータ5は、アキシャルギャップ発電機3に一体的に接続されている。インバータ5は、アキシャルギャップ発電機3が発生した交流電力を直流電力に変換して電圧調節してバッテリ51を充電するように構成されている。インバータ5は、後述のバッテリ51が放電した直流電力を交流電力に変換して電圧調節してアキシャルギャップ発電機3に供給するようにも構成されている。
【0037】
発電ユニット1は、電子制御ユニット4を備える。電子制御ユニット4は、エンジン10及びインバータ5を制御するように構成されている。電子制御ユニット4は、エンジン10の出力が一定になるようにエンジン10を制御するように構成されている。なお、発電ユニット1は、サブ発電機14が発生した交流電力を直流電力に変換して電圧調節するように構成された図示しないレギュレータも備える。発電ユニット1において、エンジン10、アキシャルギャップ発電機3、電子制御ユニット4、インバータ5、サブ発電機14、冷媒ポンプP2等は、互いに固定されて一体化されている。
【0038】
ハイブリッド車両50は、バッテリ51、インバータ52、トラクションモータ53、電子制御ユニット54等を備える。車両50は、シリーズハイブリッド車両である。トラクションモータ53は、走行動力を発生し、駆動輪(例えば、後輪RW)を駆動するように構成されている。インバータ52は、バッテリ51が放電した直流電力を交流電力に変換して電圧調節してトラクションモータ53に供給するように構成されている。インバータ52は、トラクションモータ53で回生された交流電力を直流電力に変換して電圧調節してバッテリ51を充電するようにも構成されている。電子制御ユニット54は、インバータ52を制御するように構成されている。電子制御ユニット54は、ハイブリッド車両50の走行トルクを制御可能である。
【0039】
発電ユニット1は、電気インターフェース6を備える。電気インターフェース6は、発電ユニット1のインバータ5を、発電ユニット1の外部に設けられたバッテリ51に電気的に接続する。接触給電の場合には、電気インターフェース6は着脱自在な端子又は電力コネクタである。非接触給電の場合には、電気インターフェース6はコイルである。
【0040】
発電ユニット1は、通信インターフェース8を備える。通信インターフェース8は、発電ユニット1の電子制御ユニット4を、発電ユニット1の外部に設けられた電子制御ユニット54に通信可能に接続する。有線通信の場合には、通信インターフェース8は着脱自在な端子又は通信コネクタである。無線通信の場合には、通信インターフェース8は公知の無線通信機である。
【0041】
ハイブリッド車両50は、オイルポンプP1、オイル制御弁ユニット55、油圧アクチュエータ56を備える。オイルポンプP1は、その被駆動軸に回転駆動力が入力されることでオイルを吐出する。油圧アクチュエータ56は、例えば、制動力を発生する油圧シリンダ等である。オイル制御弁ユニット55は、オイルポンプP1と油圧アクチュエータ56との間の流路を開閉して油圧アクチュエータ56に付与される油圧を制御する。オイル制御弁ユニット55の動作は、電子制御ユニット54によって制御される。
【0042】
発電ユニット1は、機械インターフェース7を備える。機械インターフェース7は、クランク軸22の回転動力を機械エネルギーとして出力可能である。機械インターフェース7は、例えば、相手方部材と相対回転不能に係合可能な係合部(例えば、スプライン溝又はキー溝)を有するPTO軸である。クランク軸22と機械インターフェース7との間には、クランク軸22の回転動力を機械インターフェース7に伝達する動力伝達経路9(例えば、ギヤ機構、チェーン・スプロケット機構又はベルト・プーリー機構)が設けられている。アキシャルギャップ発電機3は、動力伝達経路9に機械的に接続されている。
【0043】
アキシャルギャップ発電機3が発生した回転動力は、動力伝達経路9を介して機械インターフェース7から出力可能である。機械インターフェース7は、オイルポンプP1の被駆動軸に離脱可能に接続されている。即ち、オイルポンプP1は、機械インターフェース7から供給される回転動力によって駆動される。また、動力伝達経路9には、冷媒ポンプP2の被駆動軸が機械的に接続されている。
【0044】
エンジン10で発生した回転動力と、アキシャルギャップ発電機3で発生した回転動力とは、動力伝達経路9において重畳可能となっている。電子制御ユニット4は、所定条件が成立すると(例えば、電子制御ユニット54から要求があると)、エンジン10を駆動するとともにアキシャルギャップ発電機3をモータとして駆動する。これにより、エンジン10及びアキシャルギャップ発電機3の両方が発生させた回転動力は、動力伝達経路9を介して機械インターフェース7から出力される。その際、電子制御ユニット4は、エンジン10の出力を一定に制御しながら、アキシャルギャップ発電機3の駆動トルクを変化させるようにインバータ5を制御することで、機械インターフェース7からの出力を調節可能としている。
【0045】
電気インターフェース6、機械インターフェース7及び通信インターフェース8は、ハイブリッド車両50から離脱可能である。それにより、発電ユニット1は、ハイブリッド車両50に対して容易に着脱可能になっている。
【0046】
図4は、図2の発電ユニット1の冷却構造の変形例のブロック図である。図4に示すように、発電ユニット1は、冷却流路70を備える。冷却流路70は、エンジン10を冷却するエンジン冷却流路70aを備える。エンジン冷却流路70aは、冷媒ポンプP2が吐出した冷媒(例えば、水)をエンジン10に導き、エンジン10を冷却した冷媒を冷媒ポンプP2に戻す循環流路である。エンジン冷却流路70aには、フィルタ71及びラジエター72が介在している。
【0047】
冷却流路70は、アキシャルギャップ発電機3を冷却する発電機冷却流路70bを備える。発電機冷却流路70bは、エンジン冷却流路70aから分岐し、冷媒(例えば、水)をアキシャルギャップ発電機3に導き、アキシャルギャップ発電機3を冷却した冷媒をエンジン冷却流路70aに戻す。冷却流路70は、インバータ5を冷却するインバータ冷却流路70cを備える。インバータ冷却流路70cは、エンジン冷却流路70a又は発電機冷却流路70bから分岐し、冷媒(例えば、水)をインバータ5に導き、インバータ5を冷却した冷媒をエンジン冷却流路70a又は発電機冷却流路70bに戻す。なお、冷却流路70は、インバータ冷却流路70cを含まなくてもよいし、エンジン冷却流路70aを含まなくてもよい。
【0048】
図5は、図3のハイブリッド車両50の模式図である。図6は、図5のハイブリッド車両50の側面図である。図5及び6に示すように、ハイブリッド車両50は、左右一対の前輪FWと、左右一対の後輪RWと、を備える。なお、ハイブリッド車両50は、四輪車に限られず、例えば二輪車又は三輪車でもよい。ハイブリッド車両50は、前輪FW及び後輪RWに支持される車体57を備える。車体57は、車外空間S2と区分けされた車内空間S1を画定している。
【0049】
車内空間S1は、ユーザが搭乗する乗員空間S1aを含む。乗員空間S1aは、車体57に取り付けられたドア58によって開閉される。車内空間S1は、乗員空間S1aとは区分けられたフロント収容空間S1bを含む。フロント収容空間S1bは、乗員空間S1aの前方に配置されている。フロント収容空間S1bは、フロントガラス59の前方において車体57に取り付けられたフード60(ボンネット)によって開閉される。フロント収容空間S1bは、左前輪FWと右前輪FWとの間に配置される領域を有する。
【0050】
フロント収容空間S1bには、発電ユニット1の少なくとも一部が配置されている。発電ユニット1は、アキシャルギャップ発電機3がエンジンユニット2の下方に位置する姿勢で車体57に支持されている。発電ユニット1は、左前輪FWと右前輪FWとの間に挟まれた空間に配置されている。発電ユニット1の少なくとも一部は、側面視において前輪FWと重なっている。発電ユニット1は、(ハイブリッド車両50が停車状態かつ空車状態のときに)アキシャルギャップ発電機3の下端が前輪FWの上端よりも低く配置されるように車体57に搭載されている。なお、発電ユニット1の少なくとも一部は、フロント収容空間S1bではなく乗員空間S1aの後方に配置されたリヤ収容空間に配置されるようにしてもよい。
【0051】
図7は、図6のハイブリッド車両50の発電ユニット1及びその近傍を前方から見た概略断面図である。図7に示すように、アキシャルギャップ発電機3は、車体57の底板61の下側に配置されている。アキシャルギャップ発電機3の少なくとも一部は、底板61の車外空間S2に露出している。アキシャルギャップ発電機3は、車内空間S1(本実施形態ではフロント収容空間S1b)と車外空間S2とにわたって配置されてもよいし、アキシャルギャップ発電機3の全体が車外空間S2に配置されてもよい。
【0052】
底板61は、上方に向けて窪んだ凹部62を有する。凹部62の上板部62aには、開口Hが形成されている。発電ユニット1は、開口Hを通過している。エンジンユニット2は、フロント収容空間S1bに収容されている。アキシャルギャップ発電機3は、凹部62に収容されている。アキシャルギャップ発電機3の下端は、底板61のうち凹部62に隣接する部分の下面の高さ以上の高さに位置している。
【0053】
なお、底板61には、アキシャルギャップ発電機3を収容する凹部62がなくてもよい。即ち、アキシャルギャップ発電機3は、底板61から下方に突出するように配置されてもよい。発電ユニット1の全体が車内空間S1(フロント収容空間S1b)に配置されてもよい。走行時における車外空間S2の空気(走行風)がアキシャルギャップ発電機3に導かれるようにしてもよい。走行時における車外空間S2の空気(走行風)がエンジンユニット2にも導かれるようにしてもよい。
【0054】
以上に説明した構成によれば、クランク軸22が鉛直方向に延びるように配置されたエンジン10の鉛直方向一方側にアキシャルギャップ発電機3が配置されるため、発電ユニット1の水平方向に占有スペースが低減される。その発電機3がアキシャルギャップ型であり、そのロータ34,35が鉛直方向に延びた回転軸線X周りに回転するように配置されるため、発電ユニット1の鉛直方向の占有スペースも低減される。よって、発電性能を低下させずに発電ユニット1の全体をコンパクト化することができる。
【0055】
また、アキシャルギャップ発電機3は、エンジン10の下側に配置されているので、アキシャルギャップ発電機3をエンジン10の上側に配置する場合に比べ、エンジン10からアキシャルギャップ発電機3に伝わる熱を低減することができる。
【0056】
また、エンジン10に対してアキシャルギャップ発電機3とは反対側に冷却ファン12を備えるので、クランク軸22に連動する冷却ファン12とアキシャルギャップ発電機3との間の干渉が防がれ、冷却ファン12を配置しやすくできる。
【0057】
また、冷却ファン12は、異物を吸い込んだときにファンカバー13を取り外して異物を除去するメンテナンスが必要であり、エアクリーナ15は、エアクリーナケース28を分解してクリーナエレメント29を交換するメンテナンスが必要である。その点、エアクリーナ15の上端は、エンジン10の上端よりも上方に配置されている。そのため、メンテナンス頻度が高い想定される冷却ファン12及びエアクリーナ15は、エンジン10に対して鉛直方向の同じ側(上側)に配置されることになる。よって、メンテナンス頻度の高いもの同士が集合配置され、メンテナンスの利便性を向上することができる。
【0058】
また、オイルパン26は、エンジン10の下側に配置されたアキシャルギャップ発電機3の上方において、エンジン10のクランクケース21の下部に配置されているので、エンジン10からのオイルをオイルパン26に導く流路は、アキシャルギャップ発電機3を迂回する構造にする必要がなく、発電ユニット1をコンパクトに保つことができる。
【0059】
また、水平方向において、動弁装置24は、回転軸線Xに対して一方側に配置され、オイルパン26は、回転軸線Xに対して他方側に配置されている。即ち、動弁装置24とオイルパン26とが回転軸線Xを挟むように配置されている。よって、発電ユニット1をコンパクトに保ちながら動弁装置24及びオイルパン26を共存させることができる。
【0060】
また、小さいサブ発電機14はエンジン10の上側に配置され、大きいアキシャルギャップ発電機3はエンジン10の下側に配置されているので、発電ユニット1の重心を下げて配置安定性を高めることができる。また、アキシャルギャップ発電機3よりも小さいサブ発電機14をエンジン10の上側に配置することで、エンジン10の上側に配置される冷却ファン12を避けつつもエンジン10に近づけた状態でサブ発電機14をアッパーカバー11内に容易に収容でき、発電ユニット1をコンパクト化できる。
【0061】
また、アキシャルギャップ発電機3は、軸線方向Xからみて、エンジン10の外形の内側に配置されているので、発電ユニット1の水平方向の大型化を防ぐことができる。
【0062】
また、エンジン10を多気筒エンジンにすることによって発電能力を上げることができると共に、鉛直方向の占有スペースを低減できるアキシャルギャップ発電機3によって発電ユニット1を鉛直方向に小型化できる。特に、エンジン10は、同一水平面上にて異なる方向に延びた複数の気筒23を有するので、発電ユニット1を鉛直方向に好適に小型化できる。
【0063】
また、インバータ5は発電ユニット1の一部をなすことでアキシャルギャップ発電機3に一体的に接続されているので、安定した直流電力を簡単に外部に供給できる発電ユニット1を提供できる。
【0064】
また、アキシャルギャップ発電機3は、発電機能とスタータモータ機能とを兼ね備える統合スタータジェネレータであるので、更にスタータモータを搭載する必要がなくなり、発電ユニット1を小型化できる。
【0065】
また、冷却流路70を流れる冷媒によってアキシャルギャップ発電機3が冷却されて発電性能を向上できるとともに、エンジン10を冷却する冷媒とアキシャルギャップ発電機3を冷却する冷媒とが共通化されて発電ユニット1を小型化できる。
【0066】
また、発電ユニット1は、エンジン10の回転動力に起因して機械インターフェース7から出力される機械エネルギーを、モータとして機能させたアキシャルギャップ発電機3の駆動力によるアシストで増加させることができる。モータはエンジンよりもトルクの調節が容易であるため、機械インターフェース7から出力される回転動力のトルクを容易かつ迅速に調節できる。
【0067】
また、ハイブリッド車両50においてアキシャルギャップ発電機3の下端が前輪FWの上端よりも低く配置されるので、コンパクトな発電ユニット1によりスペース効率の良くて重心の低いハイブリッド車両50を提供できる。
【0068】
また、アキシャルギャップ発電機3は、その少なくとも一部が車外空間S2に露出するように車体57の下側に配置されているので、アキシャルギャップ発電機3が走行風に晒されやすくなり、アキシャルギャップ発電機3を効率良く冷却できる。
【0069】
また、アキシャルギャップ発電機3は、左前輪FWと右前輪FWとの間に配置されているので、車両全体でみて他の車載部品の配置スペースを残すことができる。
【0070】
図8は、第1変形例の発電ユニット101のブロック図である。図8に示すように、第1変形例の発電ユニット101では、オイルポンプP1が発電ユニット101に含まれている。発電ユニット101は、機械インターフェース7の代わりに流体インターフェース107を有する。流体インターフェース107は、オイルポンプP1が吐出するオイルを外部に出力する。
【0071】
具体的には、流体インターフェース107には、車両150のオイル制御弁ユニット55の流入ポートに接続された配管が着脱可能に接続される。オイルポンプP1が吐出するオイルは、流体インターフェース107を介して、発電ユニット101の外部にあるオイル制御弁ユニット55に向けて出力される。
【0072】
このような構成によれば、オイルポンプP1が発電ユニット101に含まれるため、発電ユニット1を除いた車両150側の構成を簡素化することができる。また、エネルギーユニット1が汎用性の高い電気エネルギーの他に、流体エネルギーを出力することで、高出力エネルギーを外部の機器に与えやすく、外部の機器で高負荷の仕事を行いやすくすることができる。また、油圧を要求する外部の油圧アクチュエータ56に対してエネルギーユニット1の流体インターフェース107を接続すれば、油圧アクチュエータ56に油圧を供給できる。よって、簡単に流体エネルギーを供給できるカセット式のエネルギーユニット1を提供できる。なお、他の構成は前述した実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図9は、第2変形例の発電ユニット201のブロック図である。図9に示すように、第2変形例の発電ユニット201では、バッテリ51が発電ユニット201に含まれている。発電ユニット201の電気インターフェース206は、バッテリ51が放電する直流電力を外部に出力する。具体的には、電気インターフェース206には、車両250のインバータ52に接続された電線が端子又はコネクタを介して着脱可能に接続される。なお、電気インターフェース206とインバータ52との間で非接触給電が行われてもよく、その場合には電気インターフェース206はコイルにすればよい。
【0074】
バッテリ51が放電する電力は、電気インターフェース206を介して、発電ユニット201の外部にあるインバータ52に供給される。また、インバータ52は、トラクションモータ53(図3)で回生された電力を、電気インターフェース206を介してバッテリ51に充電する。電子制御ユニット4は、通信インターフェース8を介して電子制御ユニット54から受信した信号に応じて、バッテリ51の充放電を制御する。このような構成によれば、バッテリ51が発電ユニット201に含まれるため、発電ユニット201を除いた車両250側の構成を簡素化することができる。なお、他の構成は前述した実施形態又は変形例と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
図10は、図2の発電ユニット1が着脱自在に搭載された変形例のハイブリッド車両350の側面図である。図10に示すように、車両350は、左右一対の後輪RW(対象車輪)を有する。なお、車両350は、左右一対の前輪FWを有してもよく、1つのみの前輪FWを有してもよい。車両350は、左後輪RWを車体357に接続する左スイングアーム380と、右後輪RWを車体357に接続する右スイングアーム380と、を備える。各スイングアーム380の一端部は車体357に回動可能に接続され、各スイングアーム380の他端部は後輪RWに回動可能に接続されている。スイングアーム380と車体357との間には図示しないサスペンション(ショックアブソーバー)が介在している。
【0076】
車体357は、車外空間S2と区分けされた車内空間S3を画定している。車内空間S3は、ユーザが搭乗する乗員空間S3aを含む。乗員空間S3aは、車体357に取り付けられたドア358によって開閉される。車内空間S3は、乗員空間S3aとは区分けられたリヤ収容空間S3bを含む。リヤ収容空間S3bは、乗員空間S3aの後方に配置されている。リヤ収容空間S3bは、リヤ収容空間S3bは、スイングアーム380の上方に配置されている。
【0077】
リヤ収容空間S3bには、発電ユニット1の少なくとも一部が配置されている。発電ユニット1は、アキシャルギャップ発電機3がエンジンユニット2の下方に位置する姿勢で車体357に支持されている。アキシャルギャップ発電機3の少なくとも一部は、車体357の下側に設けられて車外空間S2に露出している。アキシャルギャップ発電機3は、車内空間S3(本実施形態ではリヤ収容空間S3b)と車外空間S2とにわたって配置されてもよいし、アキシャルギャップ発電機3の全体が車外空間S2に配置されてもよい。エンジンユニット2は、リヤ収容空間S3bに配置されているが、車外空間S2に配置されてもよい。
【0078】
発電ユニット1は、左右方向において、左右のスイングアーム380の間に配置されている。発電ユニット1の少なくとも一部は、側面視においてスイングアーム380と重なっている。発電ユニット1は、(車両350が停車状態かつ空車状態のときに)アキシャルギャップ発電機3の下端が後輪RWの上端よりも低く配置されるように車体357に搭載されている。アキシャルギャップ発電機3は、その下端がスイングアーム380の上端(前端)よりも低くなるように配置されている。
【0079】
アキシャルギャップ発電機3は、(車両350が停車状態かつ空車状態のときに、)側面視においてスイングアーム380と重なるように配置されている。なお、スイングアーム380は後輪用であるが、アキシャルギャップ発電機3は、側面視において前輪用のスイングアームと重なるように配置されてもよい。
【0080】
以上の構成によれば、アキシャルギャップ発電機3は、その下端がスイングアーム380の上端よりも低くなるように配置されているので、スイングアーム380を備えてサスペンションによる車体357の上下動が大きくなる車両350において、十分に重心を低くすることができる。また、左右のスイングアーム380に挟まれた空間にアキシャルギャップ発電機3を配置することで、車両全体でみてスペースを有効に使って他の車載部品の配置スペースを残すことができる。なお、他の構成は前述した実施形態又は変形例と同様であるため説明を省略する。
【0081】
なお、本開示は前述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、1つの実施形態又は変形例中の一部の構成又は方法を他の実施形態又は変形例に適用してもよく、実施形態又は変形例中の一部の構成は、その実施形態又は変形例中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,101,201 発電ユニット
2 エンジンユニット
3 アキシャルギャップ発電機
4 電子制御ユニット
5 インバータ(レギュレータ)
6,206 電気インターフェース
7 機械インターフェース
8 通信インターフェース
9 動力伝達経路
10 エンジン
12 冷却ファン
14 サブ発電機
15 エアクリーナ
21 クランクケース
22 クランク軸
24 動弁装置
26 オイルパン
33 ステータ
34 第1ロータ
35 第2ロータ
50,150,250,350 ハイブリッド車両
51 バッテリ
52 インバータ
53 トラクションモータ
54 電子制御ユニット
55 オイル制御弁ユニット
56 油圧アクチュエータ
57,357 車体
70a エンジン冷却流路
70b 発電機冷却流路
70c インバータ冷却流路
107 流体インターフェース
380 スイングアーム
P2 冷媒ポンプ
S1 車内空間
S2 車外空間
X 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10