(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】コーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240313BHJP
C12P 7/18 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12P7/18
(21)【出願番号】P 2023509724
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021134594
(87)【国際公開番号】W WO2022247197
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202110568199.8
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 毅
(72)【発明者】
【氏名】呉 愛娟
(72)【発明者】
【氏名】方 順成
(72)【発明者】
【氏名】廖 承軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 蘭蘭
(72)【発明者】
【氏名】羅 家星
(72)【発明者】
【氏名】胡 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】曾 方明
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-218400(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109136413(CN,A)
【文献】特開平08-256726(JP,A)
【文献】特開平01-215293(JP,A)
【文献】特開昭61-030543(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109305882(CN,A)
【文献】中国実用新案第202909634(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/18
C12M 1/00
C13K 13/00
C07C 29/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンスターチを液化する液化タンクと、液化後の材料を糖化する糖化タンクと、糖化後の材料中の不純物を濾過除去し、グルコース液を得るフィルタと、濾過後のグルコース液をナノ濾過して透析液及び濃縮液をそれぞれ得るナノ濾過ユニットと、を含み、
透析液を発酵して結晶化し、エリスリトール結晶を製造する発酵結晶化ユニットと、濃縮液を水素化して蒸発し、液状ソルビトールを製造する水素化蒸発ユニットとをさらに含むことを特徴とするコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム。
【請求項2】
前記ナノ濾過ユニットは、管路を介して順次連通している、緩衝タンク、供給ポンプ、ナノ濾過前フィルタ、高圧ポンプ、及びナノ濾過膜と循環ポンプからなるナノ濾過膜ユニットを含み、ナノ濾過前フィルタで濾過されたグルコース液がナノ濾過膜ユニットでナノ濾過されると、透析液及び濃縮液がそれぞれ得られることを特徴とする請求項1に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム。
【請求項3】
前記発酵結晶化ユニットは、透析液中のグルコース成分を発酵してエリスリトールに転化する発酵タンクと、発酵後の材料中の不純物を除去するメンブレンフィルタと、メンブレンフィルタで濾過された材料を結晶化してエリスリトール結晶を得る結晶化ユニット及び再結晶ユニットとを含むことを特徴とする請求項2に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム。
【請求項4】
前記水素化蒸発ユニットは、濃縮液中のグルコース成分を水素化してソルビトールに転化する水素化タンクと、水素化タンクで水素化された材料を精製して液状ソルビトールを得るイオン交換器及び蒸発タンクと、を含むことを特徴とする請求項3に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム。
【請求項5】
請求項4に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムを用い、
コーンスターチを液化、糖化及び濾過して、固形分中グルコース純度が95.0%~96.3%である固形分濃度33%~35%のグルコース液を得るステップ1と、
得たグルコース液をナノ濾過し、グルコース純度99.0%~99.5%の透析液とグルコース純度80.0%~86.0%の濃縮液をそれぞれ得るステップ2と、
得た透析液に対して発酵、膜濾過、結晶及び重結晶化をして、エリスリトール純度>99.5%のエリスリトール結晶を得て、得た濃縮液に対して水素化、イオン交換及び蒸発をしてソルビトール純度>80%の液状ソルビトールを得るステップ3と、を含むことを特徴とするコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【請求項6】
ステップ1では、前記グルコース液は温度が50℃~60℃、pH値が4.0~5.0であることを特徴とする請求項5に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【請求項7】
ステップ2では、前記ナノ濾過は、得られたグルコース液を緩衝タンクに入れて、供給ポンプによってナノ濾過前フィルタを通過させ、濾過後のグルコース液を高圧ポンプによってナノ濾過膜と循環ポンプからなるナノ濾過ユニットに送ってナノ濾過し、ナノ濾過膜を透過した透析液及びナノ濾過膜を透過していない濃縮液をそれぞれ得ることを含むことを特徴とする請求項5に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【請求項8】
前記ナノ濾過は、洗浄タンク内の洗浄水で洗浄ポンプによってナノ濾過膜を定期的に洗浄することをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【請求項9】
ナノ濾過に際しては、ナノ濾過ユニットは運転温度40℃~60℃、運転圧力15bar~35barであることを特徴とする請求項7に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【請求項10】
ステップ3では、前記透析液を熱交換して35%乾燥物濃度となるまで蒸発してから、発酵処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糖アルコール製造の技術分野に属し、特にコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスリトールは食品や飲料などの業界で広く利用されている。現在、工業的にエリスリトールを製造する方法の多くは、グルコースを原料として微生物発酵によって製造されているが、グルコースは通常、デンプンを原料とし、液化、糖化、精製、濃縮、結晶化などの工程を経て得られるが、グルコースとエリスリトールの生産プロセスを統合すれば、資源とエネルギーの利用により有利になる。開示番号CN102154383Aの中国特許は、トウモロコシ粉を利用してエリスリトールを製造する方法を記載しており、コーンスターチを直接原料とし、液化及び糖化を経て、発酵可能なグルコースを得るものであり、材料配合、酵素加水分解及び発酵培養が同一の発酵タンクで行われることによって、従来技術におけるデンプン及びグルコースの製造過程及び装置が不要になる。しかし、液化と糖化により得られるグルコース液中のグルコース含有量は96.0%前後であるため、結晶グルコース中の含有量>99.0%以上に比べて、グルコースの乾量基準量は減少したが、一方、グルコース液中に存在するその他の不純物が発酵に入ると、後続のエリスリトール精製過程で除去する必要があり、これによって、精製工程の難度を高め、全体の収率に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、デンプンを出発材料として、液化、糖化して得られたグルコース液をナノ濾過し、エリスリトール及び液状ソルビトールの2種類の製品を製造する、コーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下のように実現される。コーンスターチを液化する液化タンクと、液化後の材料を糖化する糖化タンクと、糖化後の材料中の不純物を濾過して除去し、グルコース液を得るフィルタと、濾過後のグルコース液をナノ濾過し、透析液及び濃縮液をそれぞれ得るナノ濾過ユニットと、を含み、透析液を発酵して結晶化し、エリスリトール結晶を製造する発酵結晶化ユニットと、濃縮液を水素化して蒸発し、液状ソルビトールを製造する水素化蒸発ユニットと、をさらに含むコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムを提供する。
【0005】
さらに、前記ナノ濾過ユニットは、管路を介して順次連通している、緩衝タンク、供給ポンプ、ナノ濾過前フィルタ、高圧ポンプ及びナノ濾過膜と循環ポンプからなるナノ濾過膜ユニットを含み、ナノ濾過前フィルタで濾過されたグルコース液がナノ濾過膜ユニットでナノ濾過されると、透析液及び濃縮液がそれぞれ得られる。
【0006】
さらに、前記発酵結晶化ユニットは、透析液中のグルコース成分を発酵してエリスリトールに転化する発酵タンクと、発酵後の材料中の不純物を除去するメンブレンフィルタと、メンブレンフィルタで濾過された材料を結晶化してエリスリトール結晶を得る結晶化ユニット及び再結晶ユニットと、を含む。
【0007】
さらに、前記水素化蒸発ユニットは、濃縮液中のグルコース成分を水素化してソルビトールに転化する水素化タンクと、水素化タンクで水素化された材料を精製して液状ソルビトールを得るイオン交換器及び蒸発タンクと、を含む。
【0008】
本発明は以下のように実現される。前記コーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムを用い、
コーンスターチを液化、糖化及び濾過して、固形分中グルコース純度95.0%~96.3%の固形分濃度33%~35%のグルコース液を得るステップ1と、
得たグルコース液をナノ濾過し、グルコース純度99.0%~99.5%の透析液及びグルコース純度80.0%~86.0%の濃縮液をそれぞれ得るステップ2と、
得た透析液を発酵、膜濾過、結晶、再結晶などのプロセスで処理し、エリスリトール純度>99.5%のエリスリトール結晶を得て、得られた濃縮液を水素化、イオン交換、蒸発などのプロセスで処理し、ソルビトール純度>80%の液状ソルビトールを得るステップ3と、を含むコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法をさらに提供する。
【0009】
さらに、ステップ1では、前記グルコース液は温度50℃~60℃、pH値4.0~5.0である。
【0010】
さらに、ステップ2では、前記ナノ濾過は、得られたグルコース液を緩衝タンクに入れて、供給ポンプによってナノ濾過前フィルタを通過させ、濾過後のグルコース液を高圧ポンプによってナノ濾過膜と循環ポンプからなるナノ濾過ユニットに送ってナノ濾過し、ナノ濾過膜を透過した透析液及びナノ濾過膜を透過していない濃縮液をそれぞれ得ることを含む。
【0011】
さらに、前記ナノ濾過は洗浄タンク内の洗浄水で洗浄ポンプによってナノ濾過膜を定期的に洗浄することをさらに含む。
【0012】
さらに、ナノ濾過に際しては、ナノ濾過ユニットは運転温度40℃~60℃、運転圧力15bar~35barである。
【0013】
さらに、ステップ3では、前記透析液を熱交換して35%乾燥物濃度となるまで蒸発してから、発酵処理を行う。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較すると、本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システム及び方法では、コーンスターチを原料に、液化及び糖化を行って得られたグルコース液をさらにナノ濾過して得られたグルコース含有量が99%以上の透析液を発酵処理に用いてエリスリトールを調製すると、グルコース含有量が96%のグルコース液を直接使用するよりも、発酵液中のエリスリトールの乾燥基準濃度を上昇させることができ、発酵収率を向上させることができるだけでなく、その後の発酵液の精製にも有利である。また、ナノ濾過して得られたナノ濾過濃縮液を水素化、イオン交換処理してソルビトール純度>80%の液状ソルビトールを得る。本発明は、エリスリトールの純度を高めるだけでなく、液状ソルビトール付加製品を得ることができ、コーンスターチの利用価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムの原理を示す図である。
【
図2】本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法の原理を示す図である。
【
図3】
図1のナノ濾過ユニット及びナノ濾過の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明が解決しよとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムの好適な実施例では、図の矢印付き線に示されるのは本発明の材料の流動方向である。該システムは、液化タンク1と、糖化タンク2と、フィルタ3と、ナノ濾過ユニット4と、を含む。
【0018】
液化タンク1はコーンスターチAを液化し、糖化タンク2は液化後の材料を糖化し、フィルタ3は糖化後の材料中の不純物を濾過して除去し、グルコース液Bを得て、ナノ濾過ユニット4は濾過後のグルコース液をナノ濾過し、透析液C及び濃縮液Dをそれぞれ得るものである。
【0019】
透析液C中には水及び大部分のグルコースなどの小分子物質が含有されている。濃縮液D中には僅かなグルコース、オリゴ糖及び他の不純物である糖などの大分子物質が含有されている。
【0020】
該システムは、透析液Cを発酵して結晶化し、エリスリトール結晶Eを製造する発酵結晶化ユニットIと、濃縮液Dを水素化して蒸発し、液状ソルビトールFを製造する水素化蒸発ユニットIIと、をさらに含む。
【0021】
図1及び
図3に示すように、前記ナノ濾過ユニット4は、管路を介して順次連通している、緩衝タンク41、供給ポンプ42、ナノ濾過前フィルタ43、高圧ポンプ44及びナノ濾過膜45と循環ポンプ46からなるナノ濾過膜ユニット47を含み、ナノ濾過前フィルタ43で濾過されたグルコース液Bがナノ濾過膜ユニット47でナノ濾過されると、透析液C及び濃縮液Dがそれぞれ得られる。グルコース液B中の水及び大部分のグルコースなどの小分子成分が圧力の作用によりナノ濾過膜の表面を通過し、透析液Cとなる。グルコース液B中の小部分グルコース、オリゴ糖及び他の不純物である糖などの大分子成分がナノ濾過膜で遮断されて、ナノ濾過膜表面を通過できず、濃縮液Dとなる。
【0022】
前記ナノ濾過ユニット4は洗浄タンク48と洗浄ポンプ49を含む。洗浄タンク48と洗浄ポンプ49はナノ濾過膜45を定期的に洗浄する。洗浄すると洗浄廃水Gが得られる。
【0023】
前記発酵結晶化ユニットIは、発酵タンク5と、メンブレンフィルタ6と、結晶化ユニット7と、再結晶ユニット8と、を含む。発酵タンク5は、透析液C中のグルコース成分を発酵してエリスリトールに転化する。メンブレンフィルタ6は発酵後の材料中の不純物を除去する。結晶化ユニット7及び再結晶ユニット8はメンブレンフィルタ6で濾過された材料を結晶化してエリスリトール結晶Eを得る。
【0024】
前記水素化蒸発ユニットIIは、水素化タンク9と、イオン交換器10と、蒸発タンク11と、を含む。水素化タンク9は濃縮液D中のグルコース成分を水素化してソルビトールに転化し、イオン交換器10及び蒸発タンク11は水素化タンク9を水素化した材料を精製し、液状ソルビトールFを得る。
【0025】
本発明はまた、コーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法を開示し、前記コーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産システムを用い、
ステップ1、コーンスターチAを液化、糖化及び濾過し、固形分中グルコース純度が95.0%~96.3%である固形分濃度33%~35%のグルコース液Bを得る。ここで、液化、糖化及び濾過は成熟した従来の処理プロセスであるので、詳しく説明しない。
【0026】
ステップ2、得たグルコース液Bをナノ濾過し、グルコース純度99.0%~99.5%の透析液Cとグルコース純度80.0%~86.0%の濃縮液Dをそれぞれ得る。
【0027】
ステップ3、得た透析液Cを発酵、膜濾過、結晶、再結晶などのプロセスで処理し、エリスリトール純度>99.5%のエリスリトール結晶Eを得て、得た濃縮液Dを水素化、イオン交換、蒸発などのプロセスで処理し、ソルビトール純度>80%の液状ソルビトールFを得る。発酵、膜濾過、結晶、再結晶などのプロセス処理は成熟した従来処理プロセスであり、水素化、イオン交換、蒸発などのプロセス処理も成熟した従来処理プロセスであるので、詳しく説明しない。
【0028】
具体的には、ステップ1では、前記グルコース液Bは温度50℃~60℃、pH値4.0~5.0である。
【0029】
具体的には、ステップ2では、前記ナノ濾過は、得られたグルコース液Bを緩衝タンク41に入れて、供給ポンプ42によってナノ濾過前フィルタ43を通過させ、濾過後のグルコース液Bを高圧ポンプ44によってナノ濾過膜45と循環ポンプ46からなるナノ濾過ユニット47に送ってナノ濾過し、ナノ濾過膜45を透過した透析液Cとナノ濾過膜45を透過していない濃縮液Dをそれぞれ得ることを含む。
【0030】
前記ナノ濾過は洗浄タンク48内の洗浄水で洗浄ポンプ49によってナノ濾過膜45を定期的に洗浄することをさらに含む。洗浄すると洗浄廃水Gが得られる。
【0031】
ナノ濾過に際しては、ナノ濾過ユニットは運転温度40℃~60℃、運転圧力15bar~35barである。
【0032】
具体的には、ステップ3では、前記透析液を熱交換して35%乾燥物濃度となるまで蒸発してから、発酵処理を行う。
【0033】
以下、具体的な実施例によって本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法をさらに説明する。
【0034】
<実施例1>
本発明のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法の第1実施例では、96%グルコース液をナノ濾過してから、発酵によりエリスリトールを製造し、水素化により液状ソルビトールを製造した。
【0035】
前記のコーンスターチを用いたエリスリトール・液状ソルビトール同時生産方法は、包括如下ステップ:コーンスターチAを液化、糖化及び濾過して製造した純度96.0%のグルコース液Bの乾燥基準で1トンをナノ濾過し、グルコース純度99.0%の透析液Cの乾燥基準で0.8トンとグルコース純度85.5%の濃縮液Dの乾燥基準で0.2トンをそれぞれ得て、透析液Cを発酵、膜濾過、結晶、再結晶などのプロセスで処理し、最終的にエリスリトール結晶E 0.43トンを得た。グルコースからエリスリトールへの転化率は53.75%である。また、濃縮液Dを水素化、イオン交換、蒸発などのプロセスで処理し、液状ソルビトールFを乾燥基準で0.2トン得た。
【0036】
(比較例)
96%グルコース液をエリスリトールの発酵製造に直接用い、具体的なステップは、純度96%のグルコース液の乾燥基準で0.8トンを発酵、膜濾過、結晶、再結晶などのプロセスで直接処理し、0.42トンのエリスリトール結晶を得た。グルコースからエリスリトールへの転化率は52.50%であった。
【0037】
実施例1と比較例の比較から分かるように、乾燥基準で同じグルコース量でも、純度96%のグルコース液を直接発酵してエリスリトールを製造する場合の転化率は、グルコース液をナノ濾過して得た透析液を用いてエリスリトールを製造する場合の転化率よりも高く、これは、透析液中のグルコースの純度が99%よりも高く、透析前のグルコース液の純度よりも高いためである。
【0038】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨及び原則内で行われる全ての修正、等同置換及び改良などは全て本発明の特許範囲に含まれるものとする。