(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】粒子、及びその用途
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240313BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240313BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240313BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240313BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240313BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CER
C08J3/12 Z CEZ
A61K8/85
A61K8/86
A61K8/88
A61K8/87
A61Q1/00
A61Q19/00
A61K8/73
C09D7/65
(21)【出願番号】P 2023519598
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2022046119
(87)【国際公開番号】W WO2023139987
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2022005385
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022154346
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】徳村 幸子
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-084346(JP,A)
【文献】特開2005-162842(JP,A)
【文献】特開昭63-010603(JP,A)
【文献】特開平04-317784(JP,A)
【文献】特開平06-313008(JP,A)
【文献】特開平04-335035(JP,A)
【文献】特開2003-321574(JP,A)
【文献】特開2006-299234(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213298(WO,A1)
【文献】特開2007-326935(JP,A)
【文献】国際公開第2009/113678(WO,A1)
【文献】特開2018-095794(JP,A)
【文献】特開2021-041650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0005377(US,A1)
【文献】特開2006-291053(JP,A)
【文献】特開2007-262334(JP,A)
【文献】特開2011-231336(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J
A61K
A61Q
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折式粒度分布測定装置で測定される体積基準の平均粒子径が0.5~100μmであり、圧縮凝集率が0~25%であり、かつ、圧縮回復率が60~100%であり、有機ポリマーを含み
、界面活性剤
及び水溶性高分子
から選ばれる少なくとも1種を含む粒子(但し、黒色アクリロニトリル系重合体粉末を除く)であり、
前記粒子に占める有機ポリマーの重量割合が
97.3重量%~100重量%であり、
前記有機ポリマー
が熱可塑性樹脂及びセルロースから選ばれる少なくとも1種である、粒子。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
真球度が0.6~1.0である、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
体積基準測定による頻度の累積が90%の粒子径(D90)を平均粒子径(D50)で除した値(D90/D50)が1.0~3.5である、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項5】
前記粒子が生分解性を有する、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の粒子を含む、化粧料。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の粒子を含む、コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子は、化粧品、塗料、光学用途、樹脂、建材などへ多く使用されている。粒子に求められる機能としては、光拡散性、隠蔽性、塗布性、感触付与などがあり、粒子に求められる特性として、屈折率、分散性、滑り性、柔軟性などが挙げられる。例えば、化粧品や塗料などにおいては、感触付与などの点でソフトな感触を有する粒子が好まれる。また、近年では、環境への関心が高まる中で、環境への負荷の少ない粒子が求められており、特に生分解性を有する粒子が注目されている。
特許文献1には、環境負荷低減の粒子として、非石油原料由来のポリ乳酸からなるポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法およびポリ乳酸系樹脂微粒子が記載されている。また特許文献2には、生分解性を有するポリエステル系熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂微粒子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/105140号
【文献】国際公開第2017/056908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの粒子は、塗布性や滑り性、感触において満足できるものではなかった。
そこで、本発明は、滑り性に優れ、ソフトな触感を有する粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の物性を示す粒子とすることで、滑り性に優れ、ソフトな触感を有する粒子が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明の第一の態様の粒子は、平均粒子径が0.5~100μmであり、圧縮凝集率が0~25%であり、かつ、圧縮回復率が60~100%である。
【0007】
本発明の第一の態様の粒子は以下の1)~6)のうち少なくとも1つを満足すると好ましい。
1)有機ポリマーを含む。
2)前記有機ポリマーが、熱可塑性樹脂を含む。
3)前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む。
4)真球度が0.6~1.0である。
5)体積基準測定による頻度の累積が90%の粒子径(D90)を平均粒子径(D50)で除した値(D90/D50)が1.0~3.5である。
6)前記粒子が、生分解性を有する。
【0008】
本発明の第二の態様の粒子は、熱可塑性樹脂を含み、平均粒子径が0.5~100μmであり、かつ、圧縮凝集率が0~25%である。
【0009】
本発明の第二の態様の粒子は以下の7)~10)のうち少なくとも1つを満足すると好ましい。
7)前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む。
8)真球度が0.6~1.0である。
9)体積基準測定による頻度の累積が90%の粒子径(D90)を平均粒子径(D50)で除した値(D90/D50)が1.0~3.5である。
10)前記粒子が、生分解性を有する。
【0010】
本発明の化粧料は前記粒子を含む。
本発明のコーティング組成物は前記粒子を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粒子は、滑り性に優れ、ソフトな触感を有する。
本発明の化粧料は前記粒子を含むため、滑り性に優れ、ソフトな触感を有する。
本発明のコーティング組成物は前記粒子を含むため、滑り性に優れ、ソフトな触感を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の粒子の塗布試験後の状態を示す写真
【
図2】比較例1の粒子の塗布試験後の状態を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一の態様の粒子は、平均粒子径(D50)が0.5~100μmであり、圧縮凝集率が0~25%であり、かつ、圧縮回復率が60~100%である、粒子である。
【0014】
本発明の第一の態様の粒子の平均粒子径(D50)は0.5~100μmである。該平均粒子径が0.5μm未満であると、滑り性に劣り、滑らかさに劣る。一方、100μm超であると、ざらつきを感じ、ソフト感が劣る。該粒子径の上限は、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましく、20μmが特に好ましい。一方、該粒子径の下限は、1μmが好ましく、1.5μmがより好ましく、2.5μmがさらに好ましく、3μmが特に好ましい。さらに、例えば1~50μmが好ましく、1.5~30μmがより好ましい。平均粒子径(D50)は体積基準測定による頻度の累積が50%の値である。なお、粒子の平均粒子径(D50)は、実施例で測定される方法によるものである。
【0015】
本発明の第一の態様の粒子の圧縮凝集率は0~25%である。該圧縮凝集率が25%超であると、粒子同士の凝集力が強く、滑り性に劣り、塗布性に劣る。圧縮凝集率は、粒子の粉体層に圧力を加えた際の粒子同士の凝集性を示す。圧縮凝集率が高い粒子は、圧力を加えると凝集しやすいため、塗布時の圧力によって粒子同士が凝集し、塊を生じやすいため、滑り性に劣り、また、均一に塗布しにくくなり、塗布性に劣ると考えられる。圧縮凝集率の上限は20%が好ましく、17%がより好ましく、15%がさらに好ましく、12%が特に好ましい。さらに、例えば0~20%がより好ましく、0~17%がさらに好ましい。
【0016】
本発明の第一の態様の粒子の圧縮回復率は60~100%である。該圧縮回復率が60%未満であると、硬さを感じるため、ソフトな触感に劣る。圧縮回復率は、粒子の粉体層の加圧と除圧による変位度合いを示す。圧縮回復率が高い粒子は、粒子および粉体層が弾力性を有するため、ソフトな触感が感じられるものと考えられる。該圧縮回復率の下限は、65%が好ましく、70%がより好ましく、75%がさらに好ましく、80%が特に好ましい。さらに、例えば65~100%がより好ましく、70~100%がさらに好ましい。
なお、本発明に記載の圧縮凝集率および圧縮回復率の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0017】
本発明の第一の態様の粒子は、特に限定はないが、体積基準測定による頻度の累積が90%の粒子径(D90)を平均粒子径(D50)で除した値(D90/D50)が1.0~3.5であると圧縮凝集率及び圧縮回復率が前記範囲を満足しやすく、より滑り性に優れるため好ましい。該D90/D50の上限は、より好ましくは3.0、さらに好ましくは2.8、特に好ましくは2.5である。一方、該D90/D50の下限は、より好ましくは1.1、さらに好ましくは1.3、特に好ましくは1.5である。さらに、例えば、1.1~3.0がより好ましく、1.3~2.8がさらに好ましく、1.3~2.5が特に好ましい。
また、体積基準測定による頻度の累積が10%の粒子径(D10)を平均粒子径(D50)で除した値(D10/D50)が0.1~1.0であると圧縮凝集率及び圧縮回復率が前記範囲を満足しやすく、より滑り性に優れるため好ましい。該D10/D50の上限は、より好ましくは0.9、さらに好ましくは0.8、特に好ましくは0.7である。一方、該D10/D50の下限は、より好ましくは0.2、さらに好ましくは0.25、特に好ましくは0.3である。さらに、例えば0.1~0.9がより好ましく、0.2~0.8がさらに好ましく、0.3~0.7が特に好ましい。
D10、D90の測定方法は、実施例で測定される方法によるものである。
【0018】
本発明の第一の態様の粒子の粒度分布の変動係数CVは、特に限定はないが、2~70%であると、より滑り性に優れ好ましい。該変動係数CVの上限は、好ましくは65%、さらに好ましくは60%、より好ましくは55%、特に好ましくは50%である。該変動係数CVの下限は、好ましくは3%、より好ましくは5%、特に好ましくは7%である。さらに、例えば3~65%がより好ましく、5~60%がさらに好ましい。該変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
【0019】
【数1】
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、x
iはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
【0020】
本発明の第一の態様の粒子の真球度は、特に限定はないが、0.6~1.0であると滑り性が優れる点で好ましい。該真球度の下限は(1)0.65、(2)0.70、(3)0.75、(4)0.80、(5)0.85、(6)0.90の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば0.65~1.0がより好ましく、0.70~1.0がさらに好ましい。なお、本発明に記載の粒子の真球度は、実施例に記載の方法によるものである。
【0021】
本発明の第一の態様の粒子は、特に限定されないが、有機ポリマーを含むとソフトな触感に優れる点で好ましい。
前記粒子に占める、有機ポリマーの重量割合は、特に限定はないが、1~100重量%が好ましい。該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は(1)5重量%、(2)10重量%、(3)20重量%、(4)30重量%、(5)40重量%、(6)50重量%、(7)60重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば10~100重量%がより好ましく、30~100重量%がさらに好ましい。
【0022】
前記有機ポリマーとしては、特に限定されないが、重量平均分子量が5×103~1×109であると滑り性が優れる点で好ましい。該平均分子量の下限は、(1)1×104、(2)2×104、(3)3×104、(4)5×104、(5)1×105、(6)2×105、(7)3×105の順で好ましい。一方、該平均分子量の上限は、(1)5×108(2)3×108、(3)1×108、(4)5×107、(5)3×107、(6)1×107の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば2×104~5×108がより好ましく、3×104~5×108がさらに好ましい。
前記有機ポリマーとしては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びセルロースから選ばれる少なくとも1種を含むと好ましい。なかでも、ソフトな触感をより有することができる点で、熱可塑性樹脂を含むと好ましく、生分解性を有することができる点で、セルロースを含むと好ましい。
【0023】
前記有機ポリマーが熱可塑性樹脂を含む場合、前記有機ポリマーに占める熱可塑性樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は(1)5重量%、(2)10重量%、(3)20重量%、(4)25重量%、(5)30重量%、(6)40重量%、(7)50重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば10~100重量%がより好ましく、30~100重量%がさらに好ましい。
【0024】
前記有機ポリマーがセルロースを含む場合、前記有機ポリマーに占めるセルロースの重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の上限は、99重量%がより好ましく、95重量%がさらに好ましく、90重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は(1)3重量%、(2)5重量%、(3)10重量%、(4)20重量%、(5)30重量%、(6)40重量%、(7)50重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば3~99重量%がより好ましく、5~99重量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明の第二の態様の粒子は、熱可塑性樹脂を含み、平均粒子径が0.5~100μmであり、かつ、圧縮凝集率が0~25%である、粒子である。
【0026】
本発明の第二態様の粒子は熱可塑性樹脂を含む。
本発明の第二の態様の粒子に占める、熱可塑性樹脂の重量割合は、特に限定はないが、1~100重量%が好ましい。熱可塑性樹脂は、熱により可塑化する特性を有する樹脂であり、外温の影響により分子運動が起こりやすい性質を有する。そのため、人の手で触れた際に、ソフトな感触が得られるものと考えられる。該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は(1)5重量%、(2)10重量%、(3)20重量%、(4)25重量%、(5)30重量%、(6)40重量%、(7)50重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば10~100重量%がより好ましく、30~100重量%がさらに好ましい。
【0027】
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、重量平均分子量が5×103~1×109であると滑り性が優れる点で好ましい。該平均分子量の下限は、(1)1×104、(2)2×104、(3)3×104、(4)5×104、(5)1×105、(6)2×105、(7)3×105の順で好ましい。一方、該平均分子量の上限は、(1)5×108(2)3×108、(3)1×108、(4)5×107、(5)3×107、(6)1×107の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば2×104~5×108がより好ましく、3×104~5×108がさらに好ましい。
【0028】
本発明の第二の態様の粒子の平均粒子径(D50)は0.5~100μmである。該平均粒子径(D50)が0.5μm未満であると、滑り性に劣り、滑らかさに劣る。一方、100μm超であると、ざらつきを感じ、ソフト感が劣る。該平均粒子径の上限は、50μmが好ましく、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましく、20μmが特に好ましい。一方、該平均粒子径の下限は、1μmが好ましく、1.5μmがより好ましく、2.5μmがさらに好ましく、3μmが特に好ましい。さらに、例えば1~50μmが好ましく、1.5~30μmがより好ましい。
平均粒子径(D50)は体積基準測定による頻度の累積が50%の値である。
なお、粒子の平均粒子径は、実施例で測定される方法によるものである。
【0029】
本発明の第二の態様の粒子の圧縮凝集率は0~25%である。該圧縮凝集率が25%超であると、粒子同士の凝集力が強く、滑り性に劣り、塗布性に劣る。圧縮凝集率は、粒子の粉体層に圧力を加えた際の粒子同士の凝集性を示す。圧縮凝集率が高い粒子は、圧力を加えると凝集しやすいため、塗布時の圧力によって粒子同士が凝集し、塊を生じやすいため、滑り性に劣り、また、均一に塗布しにくくなり、塗布性に劣ると考えられる。該圧縮凝集率の上限は20%が好ましく、17%がより好ましく、15%がさらに好ましく、12%が特に好ましい。さらに、例えば0~20%がより好ましく、0~17%がさらに好ましい。
【0030】
本発明の第二の態様の粒子の圧縮回復率は、60~100%であるとソフトな触感に優れる点で好ましい。該圧縮回復率の下限は、65%が好ましく、70%がより好ましく、75%がさらに好ましく、80%が特に好ましい。さらに、例えば65~100%がより好ましく、70~100%がさらに好ましい。なお、本発明に記載の圧縮凝集率および圧縮回復率の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0031】
本発明の第二の態様の粒子は、特に限定はないが、体積基準測定による頻度の累積が90%の粒子径(D90)を平均粒子径(D50)で除した値(D90/D50)が1.0~3.5であると圧縮凝集率及び圧縮回復率が前記範囲を満足しやすく、より滑り性に優れるため好ましい。該D90/D50の上限は、より好ましくは3.0、さらに好ましくは2.8、特に好ましくは2.5である。一方、該D90/D50の下限は、より好ましくは1.1、さらに好ましくは1.3、特に好ましくは1.5である。さらに、例えば、1.1~3.0がより好ましく、1.3~2.8がさらに好ましく1.3~2.5が特に好ましい。
また、体積基準測定による頻度の累積が10%の粒子径(D10)を平均粒子径(D50)で除した値(D10/D50)が0.1~1.0であると圧縮凝集率及び圧縮回復率が前記範囲を満足しやすく、より滑り性に優れるため好ましい。該D10/D50の上限は、より好ましくは0.9、さらに好ましくは0.8、特に好ましくは0.7である。一方、該D10/D50の下限は、より好ましくは0.2、さらに好ましくは0.25、特に好ましくは0.3である。さらに、例えば0.1~0.9がより好ましく、0.2~0.8がさらに好ましく、0.3~0.7が特に好ましい。
【0032】
本発明の第二態様の粒子の粒度分布の変動係数CVは、特に限定はないが、2~70%であると、より滑り性に優れ好ましい。該変動係数CVの上限は、好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、特に好ましくは50%以下である。該変動係数CVの下限は、好ましくは3%、より好ましくは5%、特に好ましくは7%である。さらに、例えば3~65%がより好ましく、5~60%がさらに好ましい。
該変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
【0033】
【数1】
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、x
iはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
【0034】
本発明の第二の態様の粒子の真球度は、特に限定はないが、0.6~1.0であると滑り性が優れる点で好ましい。該真球度の下限は(1)0.65、(2)0.70、(3)0.75、(4)0.80、(5)0.85、(6)0.90の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。なお、本発明に記載の粒子の真球度は、実施例に記載の方法によるものである。さらに、例えば0.65~1.0がより好ましく、0.70~1.0がさらに好ましい。
【0035】
本発明の第二の態様の粒子は、熱可塑性樹脂以外に熱硬化性樹脂やセルロース等の有機ポリマーをさらに含んでいてもよい。
【0036】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。これらの熱可塑性樹脂の中でも、生分解性を有する点でポリエステル系樹脂及び/又はセルロース系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましい。これらの樹脂を用いることで、圧縮凝集率が低い粒子を得やすくなる。
【0037】
前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのポリビニル系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ポリアクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル/アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのポリアクリル系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体、ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。これらのポリスチレン系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、低分子量ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記ポリエステル系樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸の重縮合物、多価アルコール、多価カルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の重縮合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、及びそれらの誘導体の重縮合物が挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートヒドロキシカプロエート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートラクテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシアシル)、ポリヒドロキシアシル、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられ、生分解性に優れる点で脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、脂肪族ポリエステル系樹脂が特に好ましい。
【0043】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系樹脂の構成成分である前記多価アルコール、多価カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸がそれぞれ脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸であれば特に限定はない。
【0044】
前記脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの脂肪族多価アルコールは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンジカルボン酸、これらの無水物等が挙げられる。これらの脂肪族多価カルボン酸は、1種又は2種類以上を併用してもよい。
【0046】
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシジメチル酪酸、ヒドロキシメチル酪酸等が挙げられる。これらの脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートラクテート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシアシル)、ポリヒドロキシアシル、ポリ乳酸が挙げられる。
【0048】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系樹脂の構成成分である前記多価アルコール、多価カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸がそれぞれ前記脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸を含み、さらに芳香族多価カルボン酸又はその誘導体を含むものであれば特に限定はない。
前記芳香族多価カルボン酸としては、例えば、o-フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。前記脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂の構成成分に占める芳香族多価カルボン酸由来の構成成分の割合は、生分解性の点で40ユニットmol%以下であると好ましい。これらの芳香族多価カルボン酸は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートが挙げられる。これらの脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0050】
前記ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。これらのポリエーテル系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン1、ナイロン3、ナイロン4、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-9-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン-6ナイロン(MXD6)等が挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記熱可塑性ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性ポリウレタン系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、セルロースエーテル誘導体、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等が挙げられる。これらのセルロース系樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0054】
前記熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点は、特に限定されないが、融点もしくは軟化点のいずれかが40~200℃であると、粒子を塗布した際の触感が優れる点で好ましい。熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点の下限は、より好ましくは50℃、さらに好ましくは60℃、最も好ましくは70℃である。熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点の上限は、より好ましくは190℃、さらに好ましくは180℃、最も好ましくは165℃である。さらに、例えば60~200℃がより好ましく、60~180℃がさらに好ましい。
【0055】
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ゴムが挙げられる。前記熱硬化性樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記有機ポリマーは、前記熱可塑性樹脂、前記熱硬化性樹脂及びセルロース以外の有機ポリマー(以下、その他の有機ポリマーと呼ぶことがある。)を含んでもよい。
その他の有機ポリマーとしては、例えば、パラフィン類、シリコーンオイル類、ポリアルキレンオキサイド及び水溶性高分子が挙げられ、具体的には流動パラフィン等のパラフィン類;ジメチルシリコーン等のシリコーンオイル類;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アラビアガム、タマリンドガム、ペクチン、プルラン、カゼイン、キサンタンガム、カラギナン、トラガントガム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性高分子等が挙げられる。
その他の有機ポリマーは、圧縮凝集率を低くできる点で水溶性高分子を含むと好ましい。
水溶性高分子は、圧縮凝集率をより低くできる点でポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、から選ばれる少なくとも1つを含むと好ましく、ポリビニルアルコールを含むとより好ましい。その他の有機ポリマーは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂を含む場合、前記熱可塑性樹脂に占めるポリエステル系樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は(1)5重量%、(2)10重量%、(3)20重量%、(4)30重量%、(5)40重量%、(6)50重量%、(7)60重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば10~100重量%がより好ましく、30~100重量%がさらに好ましい。
【0058】
前記ポリエステル系樹脂が脂肪族ポリエステル系樹脂を含む場合、前記ポリエステル系樹脂に占める脂肪族ポリエステル系樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。一方、該重量割合の下限は、(1)3重量%、(2)5重量%、(3)10重量%、(4)20重量%、(5)30重量%、(6)40重量%、(7)50重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば5~100重量%がより好ましく、20~100重量%がさらに好ましい。
前記ポリエステル系樹脂に占める脂肪族ポリエステル系樹脂の重量割合が50重量%以上であると、柔らかい感触を得ることができ、また生分解性を有するため、特に好ましい。
【0059】
本発明の粒子は、界面活性剤、有機ポリマー以外の有機物、及び無機物から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
前記界面活性剤としては、たとえば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びシリコーン系活性剤が挙げられ、具体的にはアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、脂肪酸アルカリ金属塩(例えばラウリン酸カリウム、ミスチリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩類等のアニオン界面活性剤;第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンオキサイド付加アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、高級脂肪酸PEGグリセリル類、高級脂肪酸ソルビタン類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリンエーテル、ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル、アルキルポリグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート類等のノニオン界面活性剤;アミノ酸系、ベタイン型、水添レシチン、レシチン等の両性界面活性剤;変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
前記界面活性剤は、圧縮凝集率がより低くなる点でアニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むと好ましく、ノニオン界面活性剤を含むとより好ましい。
アニオン界面活性剤としては、硫酸エステル塩、スルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種を含むと好ましく、スルホン酸塩がより好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物を含むと好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸ソルビタン類から選ばれる少なくとも1種を含むとより好ましく、多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物を含むとさらに好ましい。
【0061】
前記有機ポリマー以外の有機物としては、例えば、ワックス、オイル、脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物等が挙げられ、具体的には、カルナバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、高級アルコール等のワックス;アーモンド油、オリーブ油、コメヌカ油、スクワラン、ミネラルオイル、アルカン、安息香酸アルキル等のオイル;ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、セロチン酸等の脂肪酸;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩;N-ラウロイル-L-アルギニン、N-ラウロイル-L-リジン、N-ヘキサノイル-L-リジン、N-オレイルイル-L-リジン、N-パルミトイル-L-リジン、N-ステアノイル-L-リジン、N-ヘキサノイル-L-リジン、N-ミリストノイル-L-リジン、N-カプリロイル-L-リジン、N-デカノイル-L-リジン等のアミノ酸系化合物等が挙げられる。
【0062】
前記無機物としては、例えば、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、タルク、ベントナイト、スメクタイト、アルミナシリケート、パイロフィライト、モンモリロナイト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、窒化ホウ素、炭化珪素、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、シリカ、アルミナ、雲母、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロサルタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。
【0063】
本発明の粒子は、特に限定されないが、生分解性を有すると、環境への負荷が低減されるため好ましい。粒子の生分解性は、粒子を構成する成分として、生分解性を有する化合物を含むことで発現できる。生分解性を有する化合物としては、前記粒子の構成成分の中で、界面活性剤、セルロース、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、自然由来ワックス、自然由来油、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、生分解性高分子などが挙げられる。
本発明の粒子は、特に限定されないが、JIS K6950:2000に準拠した測定による10日後の生分解率が1%以上であると好ましい。該生分解率の下限は、(1)3%、(2)5%、(3)10%、(4)15%、(5)20%、(6)25%、(7)30%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。
【0064】
本発明の粒子が生分解性を有する化合物を含む場合、粒子に占める生分解性を有する化合物の重量割合は、特に限定はないが、30~100重量%であると好ましい。該重量割合の上限は、より好ましくは99.9重量%、さらに好ましくは99.5重量%、特に好ましくは99.0重量%である。一方、該重量割合の下限は、(1)40重量%、(2)50重量%、(3)60重量%、(4)65重量%、(5)70重量%、(6)75重量%、(7)80重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば40~100重量%がより好ましく、50~100重量%がさらに好ましい。
【0065】
本発明の粒子の吸油量は、特に限定されないが、10~300ml/100gであると化粧料へ配合して使用する場合に、さらりとした感触が優れる点で、好ましい。該吸油量の下限は、(1)15ml/100g、(2)20ml/100g、(3)25ml/100g、(4)30ml/100g、(5)35ml/100g、(6)40ml/100g、の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該吸油量の上限は、(1)250ml/100g、(2)200ml/100g、(3)150ml/100g、(4)120ml/100g、(5)100ml/100g、(6)90ml/100g、(7)85ml/100g、の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば20~300ml/100gがより好ましく、30~200ml/100gがさらに好ましい。
なお、粒子の吸油量は、実施例に記載の方法によるものである。
【0066】
本発明の粒子の吸水量は、特に限定されないが、10~300ml/100gであると水性コーティング剤へ配合して使用する場合に、分散性が優れる点で、好ましい。該吸水量の下限は、(1)15ml/100g、(2)20ml/100g、(3)25ml/100g、(4)30ml/100g、(5)35ml/100g、(6)40ml/100g、の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該吸水量の好ましい上限は(1)250ml/100g、(2)200ml/100g、(3)150ml/100g、(4)120ml/100g、(5)100ml/100g、(6)90ml/100g、(7)85ml/100gの順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば20~300ml/100gがより好ましく、30~200ml/100gがさらに好ましい。
なお、粒子の吸水量は、実施例に記載の方法によるものである。
【0067】
〔粒子の製造方法〕
本発明の粒子は、例えば、粒子を構成する成分と、界面活性剤と、水溶性高分子と、水とを混合し、予備混合液を得る工程1と、工程1で得られた予備混合液を加熱攪拌し、加熱分散液を得る工程2と、工程2で得られた加熱分散液を冷却する工程3とを含む方法で製造することができる。
【0068】
本発明の粒子の製造方法は、有機溶剤を不使用であると、圧縮凝集率の低い粒子を好適に作製できるため、好ましい。有機溶剤を使用せず、水中で粒子を作成することで、粒子形成時に界面活性剤や水溶性高分子が粒子と水との界面に存在しやすく、粒子の表面性向上に寄与すると考えている。さらに、有機溶剤を使用しないことで粒子形成時に、粒子表面の極性が適度に保たれ、圧縮回復率が高くなると考えている。また、粒子が熱可塑性樹脂を含む場合は、界面活性剤の親油基が樹脂構造に影響を与え、さらにソフトな触感が得られると考えている。また、有機溶剤を使用しないことは、環境に優しく、好ましい。
【0069】
粒子を構成する成分は、前記のものを使用することができる。
【0070】
界面活性剤は、前記のものを使用することができる。
本発明の粒子は、製造時に界面活性剤を混合すると、圧縮凝集率の低い粒子を作成する上で好ましい。界面活性剤は、特に限定されないが、本願効果を奏する点で、ノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤を使用すると、圧縮凝集率が低くなり、好ましい。特に、HLB値が1~13のノニオン界面活性剤を使用すると、圧縮凝集率が低くなり、好ましい。該HLB値はより好ましくは1~11、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは1.5~10である。また、エステル型やエステル塩型の界面活性剤を使用すると、ソフト感が得られるため、好ましい。
HLB値は、例えば、下記のグリフィン法による計算式(3)から算出することができる。
HLB=20×(親水基の分子量/全体の分子量) (3)
【0071】
界面活性剤は、最終的に粒子中に含有していてもよい。界面活性剤が粒子表面付近に存在することで、より圧縮凝集率が低くなると考えられる。粒子中に占める界面活性剤の重量割合は、特に限定されないが、圧縮凝集率をより低くできる点で、0.001~10重量%が好ましく、重量割合の上限は7重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。一方、該重量割合の下限は、0.005重量%がより好ましく、0.01重量%がさらに好ましい。さらに、例えば、0.001~7重量%がより好ましく、0.001~5重量%がさらに好ましい。
【0072】
水溶性高分子は、前記のものを使用することができる。
本発明の粒子は、製造時に水溶性高分子を混合すると、圧縮凝集率の低い粒子を作成する上で好ましい。
水溶性高分子は、最終的に粒子中に含有していてもよい。水溶性高分子が粒子中に存在することで、より圧縮凝集率が低くなると考えられる。粒子中に占める水溶性高分子の重量割合は、特に限定されないが、圧縮凝集率をより低くできる点で、0.001~10重量%が好ましく、重量割合の上限は8重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。一方、該重量割合の下限は、0.002重量%がより好ましく、0.005重量%がさらに好ましい。さらに、例えば、0.001~8重量%がより好ましく、0.001~5重量%がさらに好ましい。
水溶性高分子は、特に限定されないが、目的とする粒子の粒子径サイズによって選定すると好ましい。取扱いの観点から、4%水溶液の20℃での粘度が2~200000mPa・sである水溶性高分子であると好ましい。
【0073】
本発明の粒子は、製造時に界面活性剤及び水溶性高分子を混合すると、水溶性高分子により製造時の液粘度が向上し、界面活性剤により粒子の均一化効率が向上するため、粒子の表面の粗さが低減し圧縮凝集率の低い粒子を作製する上でさらに好ましいと考えている。圧縮凝集率をより低くできる点で、界面活性剤及び水溶性高分子それぞれの重量割合が前述の範囲であるとさらに好ましい。
【0074】
(工程1)
工程1は粒子を構成する主成分と、界面活性剤と、水溶性高分子と水とを混合し、予備混合液を得る工程である。
【0075】
前記工程1において、水に対する粒子を構成する主成分と界面活性剤の合計の混合割合は、特に限定されないが、水100重量部に対し、1~200重量部の割合で混合すると均一な形状の粒子が得られやすい点で好ましい。該混合割合の下限は、より好ましくは3重量部、さらに好ましくは5重量部、最も好ましくは10重量部である。一方、該混合割合の上限は、より好ましくは180重量部、さらに好ましくは160重量部、最も好ましくは150重量部である。さらに、例えば、5~200重量部がより好ましく、10~180重量部がさらに好ましい。
【0076】
前記工程1において、界面活性剤の混合割合は、特に限定されないが、粒子を構成する主成分100重量部に対し、0.001~10重量部の割合で混合すると得られた粒子の圧縮凝集率が低くなり、好ましい。該混合割合の下限は、好ましくは0.01重量部、更に好ましくは0.05重量部、最も好ましくは0.1重量部である。該混合割合の上限は、好ましくは7重量部、更に好ましくは5重量部、最も好ましくは3重量部である。さらに、例えば、0.001~7重量部がより好ましく、0.01~7重量部がさらに好ましい。
【0077】
前記工程1において、水に対する水溶性高分子の混合割合は、特に限定されないが、水100重量部に対し、0.1~100重量部の割合で混合すると粒子の分散性が優れる点で好ましい。該混合割合の下限は、より好ましくは0.5重量部、さらに好ましくは1重量部、最も好ましくは2重量部である。一方、該混合割合の上限は、より好ましくは80重量部、さらに好ましくは70重量部、最も好ましくは60重量部である。また、例えば、0.5~100重量部がより好ましく、1~100重量部がさらに好ましい。
【0078】
(工程2)
工程2は前記工程1で得られた予備混合液を加熱攪拌し、加熱分散液を得る工程である。
加熱攪拌中の圧力は、特に限定されないが、分布の均一な粒子を得られやすい点で加圧下で行うと好ましく、0.1~10MPaであるとより好ましい。該圧力の下限は加熱時の温度における水の飽和蒸気圧以上の圧力であるとさらに好ましい。
加熱温度は、特に限定されないが、80~300℃であると粒子形状が均一になる点で好ましい。粒子を構成する主成分として熱可塑性樹脂を含む場合は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度であると好ましい。加熱攪拌時の温度のより好ましい温度は、熱可塑性樹脂の融点より5℃以上高い温度、さらに好ましくは10℃以上高い温度、最も好ましくは15℃以上高い温度である。
【0079】
攪拌方法は、特に限定されないが、混合物が混合する程度に攪拌されていればよい。
加熱時間は、特に限定されないが、粒子形状が均一になる点で1~30時間であると好ましい。加熱時間の下限は、より好ましくは2時間、さらに好ましくは3時間、最も好ましくは5時間である。加熱時間の上限は、より好ましくは25時間、さらに好ましくは20時間、最も好ましくは15時間である。
【0080】
(工程3)
工程3は前記工程2で得られた加熱分散液を冷却する工程である。前記工程2の加熱分散液を冷却することで、粒子の分散液を得ることができる。
冷却方法は、特に限定されないが、前記工程2の加熱分散液を5~50℃に冷却すると好ましい。冷却速度は特に限定されず、冷却設備により急冷してもよく、空気冷却により自然冷却してもよい。攪拌条件は、特に限定されないが、工程2の攪拌速度で攪拌していてもよく、攪拌を停止してもよい。
冷却後の分散液は、本発明の粒子を含む水分散液である。
【0081】
本発明の粒子の使用形態は、分散液でもよく、湿粉でもよく、乾燥粉体でもよい。
湿粉は、例えば、遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等を用いて、工程3の分散液を脱水処理し、得ることができる。工程3の分散液は、液粘度を下げる措置を実施した後、前記脱水処理を行うと簡便である。液粘度を下げる方法としては、特に限定されないが、水を追加して希釈する方法、水溶性成分を塩析する方法、水溶性成分を酸化剤や酵素等により分解する方法等が挙げられる。
乾燥粉体は、前記湿粉を、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等により乾燥し、乾燥粉末とすることができる。また、工程3の分散液を噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉末を得ることもできる。
乾燥粉末は、気流分級、スクリーン分級などで、分級してもよい。
【0082】
本発明の粒子は、化粧料、塗料、光学用途、樹脂、建材などへ使用することが可能である。なかでも、本発明の粒子は、滑り性に優れることから、化粧料やコーティング組成物へ好適に用いることができる。また、ソフト感を有するため、化粧料に配合した場合に、心地よい感触を与えることができる。
化粧料に用いる場合、公知の化粧料成分と組み合わせて使用することができる。化粧料成分としては、例えば、油剤、界面活性剤、アルコール類、水、保湿剤、ゲル化剤、増粘剤、本発明の粒子以外の粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、機能性成分等が挙げられる。本発明の粒子を配合した化粧料の形態としては、粉末状、固形状、クリーム状、ゲル状、液状、ムース状、スプレー状等が挙げられる。化粧料全体に占める本発明の粒子の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~50重量%、より好ましくは0.5~30重量%、さらに好ましくは1~20重量%である。
コーティング組成物に用いる場合、公知のコーティング成分と組み合わせて使用することができる。コーティング組成物全体に占める本発明の粒子の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%である。
【実施例】
【0083】
以下に、本発明の粒子の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例の粒子について次に示す要領で物性を測定し、さらに評価を行った。
なお、実施例8を参考例8とする。
【0084】
(粒子径の測定)
レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック粒度分布計(型式9320-HRA)、日機装株式会社製)を使用し、湿式測定法により超音波を120秒照射し、測定を実施した。平均粒子径(D50)は体積基準測定による頻度の累積が50%の値を、D90は体積基準測定による頻度の累積が90%の値を、D10は体積基準測定による頻度の累積が10%の値を採用した。
【0085】
〔圧縮凝集率および圧縮回復率の測定〕
粒子30mgを直径6mm(内径5.65mm)および深さ4.8mmのアルミカップに入れ、粒子層の上部に直径5.6mmおよび厚み0.1mmのアルミ蓋を載せたものを試料とした。次いで、DMA(DMAQ800型、TAinstruments社製)を使用し、25℃の環境下で加圧子によりアルミ蓋の上部から0.01Nの力を加え5分静置後、粒子層を0.01Nから18Nまで10N/minの速度で加圧する操作と、18Nから0.01Nまで10N/minの速度で除圧する操作とを、3回繰り返した。
0.01Nの力を加え5分静置後の粒子層の高さL1(μm)と、加圧と除圧とを3回繰り返した後の、0.01Nの力を加えた状態の粒子層の高さL2(μm)から、次式(4)により、圧縮による粉体層の凝集率を算出した。圧縮凝集率が0に近いほど、圧縮による粒子層の変化が少なく、凝集しにくい粉体であることを示す。
また、加圧と除圧を2回目繰り返した後、3回目の0.01Nの力を加えた状態の粒子層のひずみS1(%)と、3回目の18Nの力を加えた状態の粒子層のひずみS2(%)と、加圧と除圧を3回繰り返した後、0.01Nの力を加えた状態の粒子層のひずみS3(%)とから、次式(5)により、粒子の圧縮回復率を算出した。圧縮回復率が100%に近いほど、粒子層がクッション性を有しており、ソフトな感触となることを示す。
圧縮凝集率(%)=(1-(L2/L1))×100・・・(4)
圧縮回復率(%)=((S2-S3)/(S2-S1)))×100・・・(5)
【0086】
(真球度の測定)
走査型電子顕微鏡にて1000倍で粒子を観察し、任意の30個の粒子について短径と長径を測定した。各粒子について短径/長径を計算し、30個の粒子の平均値を真球度とした。例えば、短径と長径の比が1の場合、真球度は1となる。
【0087】
(吸水量、吸油量の測定)
JIS-K5101に記載の吸油量の測定法に基づき、吸水量測定は油の代わりにイオン交換水を、吸油量測定はオレイン酸を用いて測定した。
【0088】
(塗布性の評価)
10cm×5cmの黒色の人工皮革(商品名サプラーレ イデアテックジャパン社製)の端に粒子を0.05g量り取り、指で一方向に塗り広げたときの、滑り性、広がりやすさ(均一性)、ソフト感について、以下の基準で評価した。
<滑り性>
◎:力加減によらず、端まで塗布できる。
〇:端まで塗布できるが、力加減で違いを感じる。
△:端まで塗布するのが難しい。
×:塗布できない。
<広がりやすさ>
◎:端まで均一に塗布でき、色目が均一である。
〇:端まで塗布できるが、やや色目にムラがある。
△:端まで均一に塗布するのが難しく色目にムラがある。
×:塗布できない。
<ソフト感>
◎:塗布する際に柔らかさを感じる。
〇:塗布する際にやや柔らかさを感じる。
△:塗布する際にやや硬さを感じる。
×:塗布する際に硬さを感じる。
【0089】
〔実施例1〕
水300重量部とポリブチレンサクシネート100重量部とソルビタンモノラウレート(HLB値;8.6)1重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子1を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.5%、ポリビニルアルコールの含有量は0.3%だった。得られた粒子1の物性を表1に示す。塗布性を評価した後の人工皮革の写真を
図1に示す。
【0090】
〔実施例2〕
水300重量部と、ポリブチレンサクシネート100重量部とソルビタンモノステアレート(HLB値;4.7)2重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を160℃まで昇温し、圧力2.0MPaにて、毎分400rpmで5時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子2を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.9%、ポリビニルアルコールの含有量は0.4%だった。得られた粒子2の物性を表1に示す。
【0091】
〔実施例3〕
水300重量部とポリブチレンサクシネートアジペート100重量部とソルビタンモノラウレート(HLB値;8.6)2重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子3を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は1.0%、ポリビニルアルコールの含有量は0.2%だった。得られた粒子3の物性を表1に示す。
【0092】
〔実施例4〕
水300重量部とポリブチレンサクシネートアジペート50重量部とポリブチレンサクシネート50重量部とソルビタンモノステアレート(HLB値;4.7)0.1重量部とスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム0.1重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで10時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子4を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.001%、ポリビニルアルコールの含有量は0.05%だった。得られた粒子4の物性を表1に示す。
【0093】
〔実施例5〕
水300重量部と、ポリヒドロキシアルカノエート80重量部とポリブチレンサクシネート20重量部とソルビタンモノラウレート(HLB値;8.6)3重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を160℃まで昇温し、圧力1.0MPaにて、毎分400rpmで10時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、多量の水で洗浄後、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子5を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.8%、ポリビニルアルコールの含有量は0%だった。得られた粒子5の物性を表1に示す。
【0094】
〔実施例6〕
水300重量部とポリブチレンサクシネートアジペート100重量部とソルビタンモノステアレート(HLB値;4.7)1重量部とフュームドシリカ1重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を120℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子6を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.7%、ポリビニルアルコールの含有量は2.0%だった。得られた粒子6の物性を表1に示す。
【0095】
〔実施例7〕
水300重量部と、ポリブチレンアジペートテレフタレート50重量部とポリブチレンサクシネート50重量部とソルビタンモノラウレート(HLB値;8.6)0.5重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を200℃まで昇温し、圧力2.0MPaにて、毎分400rpmで5時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子7を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.01%、ポリビニルアルコールの含有量は0.5%だった。得られた粒子7の物性を表1に示す。
【0096】
〔実施例8〕
水300重量部と、セルロース粉末(平均粒子径7.5μm)30重量部とポリブチレンサクシネート70重量部とソルビタンモノラウレート(HLB値;8.6)1重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力1.0MPaにて、毎分400rpmで10時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、多量の水で洗浄後、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子8を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0%、ポリビニルアルコールの含有量は0%だった。得られた粒子8の物性を表1に示す。
【0097】
〔実施例9〕
水300重量部と、ポリブチレンアジペートテレフタレート100重量部とグリセリンモノオレート(HLB値;2.8)0.3重量部とポリビニルアルコール30重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力1.0MPaにて、毎分400rpmで10時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、多量の水で洗浄後、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子9を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0.005%、ポリビニルアルコールの含有量は0.001%だった。得られた粒子9の物性を表1に示す。
【0098】
〔実施例10〕
水300重量部とポリエチレン70重量部とエチレン-メチルメタクリレート共重合体30重量部とソルビタンモノステアレート(HLB値;4.7)0.1重量部とスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム0.3重量部とポリビニルアルコール40重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を150℃まで昇温し、圧力1.0MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。
水分散液に酸化剤を添加し、多量の水で洗浄後、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子10を得た。粒子中に含まれる界面活性剤の含有量は0%、ポリビニルアルコールの含有量は0.01%だった。得られた粒子10の物性を表1に示す。
【0099】
〔比較例1〕
ポリ乳酸粒子(商品名ECOBEADS D-5 大東化成工業製)について同様に測定、評価を行った。物性を表2に示す。塗布性を評価した後の人工皮革の写真を
図2に示す。
【0100】
〔比較例2〕
セルロース粒子(商品名CELLULOBEADS D-5 大東化成工業製)について同様に測定、評価を行った。物性を表2に示す。
【0101】
〔比較例3〕
ポリ乳酸10重量部とヒドロキシプロピルセルロース16重量部とテトラヒドロフラン300重量部を混合し、1Lのフラスコに仕込み60℃に加熱しポリマーが溶解するまで攪拌した。温度を25℃まで下げ、攪拌しながら水330重量部を滴下した。水を全量入れ終わった後、30分間攪拌し、多量の水で洗浄後、ろ過により脱水し、80℃で真空乾燥し、粒子11を得た。得られた粒子11の物性を表2に示す。
【0102】
〔比較例4〕
ポリブチレンサクシネート20重量部と3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール600重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を120℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分600rpmで1時間攪拌した後、25℃まで冷却し、粒子の分散液を得た。ろ過により脱液し、50℃で乾燥し、粒子12を得た。得られた粒子12の評価結果を表2に示す。
【0103】
【0104】
【0105】
実施例1~10の粒子は、本願の第一の態様の発明の粒子、第二の態様の発明の粒子であるため、滑り性、塗布性に優れ、ソフトな触感を有していた。また、人の皮膚に近い感触の柔らかい素材である人工皮革において、滑り性や塗布性に優れ、ソフトな触感であることが確認できた。
図1では、人工皮革上に粒子が均一に塗布されていることが目視でも確認できた。
一方、比較例1、3及び4の粒子は圧縮凝集率が0~25%の範囲内でなく、圧縮回復率が60~100%の範囲内でないため、滑り性や塗布性に劣っていた。さらに、比較例1の粒子は塗布性の評価において、粉体層が塊状で移動したのみであり、人工皮革上に粒子を均一に塗布することができなかった。また、比較例2の粒子は圧縮凝集率が0~25%の範囲内であるが、熱可塑性樹脂を含まない粒子であり、また、圧縮回復率が60~100%の範囲内でないため、粉感として、硬い粒子であり、滑り性や塗布性に劣っていた。
本発明の粒子は、特定の物性を示すことで、滑り性や塗布性に優れ、ソフトな触感を有する。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の粒子は、人の皮膚に近い感触の人工皮革において、滑り性や塗布性に優れ、ソフトな触感を有することから、化粧料への配合剤として有用である。また、人工皮革のような柔らかい素材への塗布においても、塗布性に優れることから、コーティング剤への配合剤として有用である。
本発明の粒子は、滑り性、塗布性に優れ、またソフトは触感を有することから、化粧料、塗料、コーティング組成物、フィルム、成形体等などの各種製品への配合剤として利用することが可能である。