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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】LED駆動装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/325 20200101AFI20240314BHJP
   H05B 45/34 20200101ALI20240314BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20240314BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20240314BHJP
【FI】
H05B45/325
H05B45/34
H05B45/375
H05B45/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020129914
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026440
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉永 充達
(72)【発明者】
【氏名】中野 利浩
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235993(JP,A)
【文献】特開2012-44806(JP,A)
【文献】特開2008-227408(JP,A)
【文献】特開2011-155746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流入力電力を所望の直流出力電力に変換してLED負荷に供給するLED駆動装置であって、
第一のスイッチング素子とリアクトルと整流素子および第二のスイッチング素子と平滑コンデンサを有し、
前記直流入力電力を前記第一のスイッチング素子と前記リアクトルとでエネルギーの充放電を行い、前記リアクトルの充電エネルギーを、少なくとも前記整流素子を介して前記平滑コンデンサへ充電し、LED負荷に直流出力電力として供給する直流電源回路と、
前記整流素子と並列に前記第二のスイッチング素子の主電極が接続され、
前記第一のスイッチング素子と第二のスイッチング素子とをそれぞれオンオフ制御を行う制御回路と、を備え、
前記リアクトルは補助巻線を有し、前記リアクトルの補助巻線に生じる巻線電圧を整流して前記制御回路の制御電源電圧として供給し、
前記制御回路は、前記LED負荷の消灯時に、前記第二のスイッチング素子のオンオフ制御を行い、前記平滑コンデンサから前記リアクトルを介して前記制御回路の制御電源電圧を供給することを特徴とするLED駆動装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記LED負荷の消灯時に、第一のスイッチング素子を間欠的にオンオフ制御させて、前記LED負荷が点灯しない所定の出力電圧を保持するように制御することを特徴とする請求項1記載のLED駆動装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記LED負荷の点灯時に、前記第二のスイッチング素子を同期整流素子としてオンオフさせることを特徴とする請求項1項または2項記載のLED駆動装置。
【請求項4】
前記整流素子は、前記第二のスイッチング素子の寄生ダイオードからなることを特徴とする請求項1項乃至3項記載のLED駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4項記載のLED駆動装置のうち、いずれか1項に記載のLED駆動装置と、前記LED負荷とを備えたことを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを点灯させるためのLED駆動装置及びこれを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1に記載されているように、発光ダイオード(LED)等の発光素子を点灯させる各種の駆動装置が知られている。一般に、この種の従来技術による駆動装置は、スイッチング素子を用いたスイッチング電源を備えている。スイッチング電源には、光源に所望の電流が流れるようにスイッチング素子を駆動制御する制御回路が組込まれている。制御回路は、当該制御回路を駆動するための制御電源(駆動用電源)を必要とする。
【0003】
このため、特許文献1に記載された従来技術では、リアクトルに2次巻線を設け、当該2次巻線に発生する電圧を整流及び平滑することで制御電源を得るようにしている。また、特許文献1に記載された従来技術では、LEDの消灯中には電源スイッチ手段またはドロッパを用いて、LEDの駆動電圧を制御電源として用いるようにしている。ここで図4に、従来技術の電源スイッチ手段を介して制御電源電圧を得るLED駆動装置とその負荷(LED)を含めた回路図を示す。
また、人感センサによる待機時には、間欠発振により出力電圧を所定電圧まで下げ、電源スイッチ手段またはドロッパを介して制御電源電圧を確保する。図5に、図4に示す従来技術の回路の各動作を示すタイミングチャートを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6296091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、図5に示すように、電源スイッチ手段の場合には出力電圧であるLEDの駆動電圧と制御電源電圧がほぼ同じ電圧値か、あるいはLEDの駆動電圧が制御電源電圧近傍まで低下してから電源スイッチ手段をオンしなければならない。すなわち、LED消灯開始の時刻t1から、制御電源電圧近傍まで低下する時刻t2まで電源スイッチ手段を介して電源供給が行えないことになる。LED消灯時のLEDの駆動電圧の放電時定数(時刻t1~t2)と制御電源電圧の保持時間との競争になる問題があった。このため、LED消灯時のLEDの駆動電圧を速やかに制御電源電圧近傍まで放電させるため、抵抗とスイッチを組み合わせた放電回路を追加する提案もされているが、放電部品が増えてコストアップになる。
また、特許文献1に記載されたもう一つの従来技術であるドロッパの場合にはLEDの駆動電圧に関わらず即時に制御電源へ供給することが可能である。しかし、LEDの駆動電圧が制御電源電圧近傍まで低下するまでドロッパ自身の損失となり、LEDの駆動電圧と制御電源電圧とが乖離するほどその損失が増加し、結果、ドロッパの放熱対策が必要となる。特に、数%調光の深調光時がある場合にはLED駆動電圧を低くすることができないため、ドロッパ損失による効率低下も懸念される。
【0006】
本発明の課題は、該放電期間及び人感センサなどによる待機時(消灯時)や、深調光時などでも制御電源電圧を効率よく安定供給することと、入力電圧切断時による消灯時のLEDの駆動電圧を安全な電圧まで放電させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のLED駆動装置は、第一のスイッチング素子とリアクトルと整流素子および第二のスイッチング素子と平滑コンデンサを有し、前記直流入力電力を前記第一のスイッチング素子と前記リアクトルとでエネルギーの充放電を行い、前記リアクトルの充電エネルギーを、少なくとも前記整流素子を介して前記平滑コンデンサへ充電し、前記LED負荷に直流出力電力として供給する直流電源回路と、前記整流素子と並列に前記第二のスイッチング素子の主電極が接続され、前記第一のスイッチング素子と第二のスイッチング素子とをそれぞれオンオフ制御を行う制御回路と、を備え、前記リアクトルは補助巻線を有し、前記リアクトルの補助巻線に生じる巻線電圧を整流して前記制御回路の制御電源電圧として供給し、前記制御回路は、前記LED負荷の消灯時に、前記第二のスイッチング素子のオンオフ制御を行い、前記平滑コンデンサから前記リアクトルを介して前記制御回路の制御電源電圧を供給することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の照明器具は、前記LED駆動装置とLED負荷とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、該放電期間及び待機による消灯時、あるいは数%調光の深調光時の制御電源電圧を効率よく安定供給でき、また、入力電圧切断による消灯時の出力電圧を安全な電圧まで放電できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施形態のLED駆動装置とその負荷(LED)を含めた回路図である。
図2図2図1に示す実施形態における各素子の動作を示すタイミングチャートである。
図3図3は実施形態のLED駆動装置の応用回路図である。
図4図4は従来技術の電源スイッチ手段を介して制御電源電圧を得るLED駆動装置とその負荷(LED)を含めた回路図である。
図5図5図4に示す従来技術の回路の各動作を示すタイミングチャートである。
【0011】
以下、本発明のLED駆動装置及び照明器具の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施形態)
図1は本発明の実施形態のLED駆動装置とその負荷(LED)を含めた回路図である。図1に示す実施形態のLED駆動装置1は、スイッチング素子Q1、Q2、ダイオードD1~D3、リアクトルL1、コンデンサC0~C3、制御回路IC1からなる。特に、リアクトルL1は主巻線Lpと、補助巻線Lsで構成されている。
実施形態のLED駆動装置1は、スイッチング素子Q1、リアクトルL1、コンデンサC1、ダイオードD1によりバックブースト回路を構成し、出力電圧となるコンデンサC1の両端にLED負荷が接続される。
制御回路IC1は、ハイサイドにあるスイッチング素子Q1のゲートを駆動するためのレベルシフト回路、スイッチング素子Q1、Q2をオンオフ制御するPWM制御回路、LED駆動装置外にある人感センサまたは調光コントローラからの外部信号をPWM制御回路へ受け渡すためのインターフェース回路を含み、前述のPWM制御回路、インターフェース回路などをマイコンで構成してもよい。
【0013】
LED駆動装置1は、交流電源ACをヒューズを介して接続されたラインフィルタLF1とブリッジダイオード直列回路、およびブリッジダイオードRC1の整流出力に接続されたコンデンサC0に接続される。従って、図1に示すLED駆動装置1は、交流電源ACを全波整流した脈流電圧を入力電圧としている。なお、ブリッジダイオードRC1の整流出力に接続されたコンデンサC0は、整流出力電圧の平滑より、LED駆動装置1から発生するEMIノイズの抑制を主目的としている。
【0014】
ここで、LED駆動装置1のスイッチング素子Q1とリアクトルL1の主巻線Lpの直列接続回路がブリッジダイオードRC1の正極、負極出力間に接続され、コンデンサC1の正極がブリッジダイオードRC1の負極に接続され、コンデンサC1の負極とダイオードD1のアノードおよびスイッチング素子Q2のソースが接続され、ダイオードD1のカソードとスイッチング素子Q2のドレインがスイッチング素子Q1とリアクトルL1の主巻線Lpの接続点に接続されている。また、コンデンサC1の両端にはLED負荷が接続される。
リアクトルL1の補助巻線Lsは主巻線Lpと極性が反転となっていて、補助巻線Lsの一方の端子にはダイオードD2のアノードが接続され、カソードがコンデンサC2の正極に接続される。コンデンサC2の負極は補助巻線Lsの他方の端子(・極性)側に接続され、かつ、制御回路IC1のGNDとコンデンサC1の負極に接続される。
また、コンデンサC2の正極は制御回路IC1の制御電源となるVcc端子に接続されている。詳細な動作は後述するが、補助巻線LsとダイオードD2とコンデンサC2の直列接続回路が制御回路IC1への制御電源回路を構成し、制御電源端子Vccに電圧を供給する。また、コンデンサC2の正極はダイオードD3のアノードに接続され、カソードは制御回路IC1のVB端子およびコンデンサC3の一方の端子に接続されている。コンデンサC3の他方の端子は制御回路IC1のVS端子およびスイッチング素子Q1とリアクトルL1の主巻線Lpの接続点に接続されている。ダイオードD3とコンデンサC3は、スイッチング素子Q1のゲート駆動用電源となるブートストラップ回路を構成している。
スイッチング素子Q1のゲートは制御回路IC1のVGH端子に接続され、スイッチング素子Q2のゲートは制御回路IC1のVGL端子に接続される。
【0015】
ここで、本発明の実施形態のLED駆動装置1のバックブースト回路の動作について説明する。
LED負荷の点灯時には、まず、交流電源ACの交流電圧をブリッジダイオードRC1で全波整流した脈流電圧をスイッチング素子Q1とリアクトルL1の主巻線Lpの直列回路で、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1の主巻線Lpにエネルギーを励磁する。次に、スイッチング素子Q1のオフ期間にリアクトルL1の主巻線Lpの励磁されたエネルギーは、主巻線Lp(・無し側)→C1→ダイオードD1もしくはスイッチング素子Q2→主巻線Lp(・極性側)の経路でコンデンサC1を充電するとともに、LED負荷に電力を供給する。
また、スイッチング素子Q1のオフ期間にリアクトルL1の補助巻線Ls(・無し側)にパルス電圧のプラス電圧が生じ、補助巻線Ls(・無し側)→ダイオードD2→コンデンサC2→補助巻線Ls(・極性側)の経路でリアクトルL1の主巻線Lpの励磁されたエネルギーの一部が充電される。
このパルス電圧は、コンデンサC1の電圧をリアクトルL1の主巻線Lpと補助巻線Lsとの巻き数比分を掛けた電圧が発生する。
また、この時、ブートストラップ回路のコンデンサC3の制御回路IC1のVS端子側の電位は、ダイオードD1が導通ないしスイッチング素子Q2がオン状態になっている。このため、コンデンサC2の負極とほぼ同電位となり、ダイオードD3を介してコンデンサC2からコンデンサC3へ充電される。
以上、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作の繰り返しにより、リアクトルL1の主巻線Lpの励磁されたエネルギーがコンデンサC1~C3に充電される。なお、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作は、図示しないLED負荷に流れる電流を検出する電流検出回路などから制御回路IC1へフィードバック制御されている。また、スイッチング素子Q1のオフに同期してスイッチング素子Q2をオン駆動して、ダイオードD1の順方向電圧の損失を低減させている。
【0016】
図2図1に示す実施形態における各素子の動作を示すタイミングチャートである。
LED負荷が点灯している状態から、時刻t0で図示しない外部からの消灯信号を受信してスイッチング素子Q1のスイッチング動作が停止する。時刻t0~t1にかけて出力電圧であるコンデンサC1の電圧は徐々に低下する。制御回路IC1は、図1で図示しない誤差増幅器で出力電圧を検出し、時刻t1直前に低下した出力電圧を所定の出力電圧まで回復するようにスイッチング素子Q1のオンオフ動作を開始させ、所定の出力電圧まで回復するとスイッチング素子Q1の動作を停止させる、周期が長い間欠動作を繰り返す(時刻t0~t3期間)。ここで、所定の出力電圧は、消灯しているLED負荷に電流が流れない電圧設定とされている。
時刻t0~t1期間において、制御回路IC1のVcc端子電圧であるコンデンサC2の電圧も時間経過とともに低下する。このため、制御回路IC1は時刻t0~t1期間にスイッチング素子Q2をオンオフ制御し、コンデンサC1の正極→リアクトルL1の主巻線Lp(・無し側)→リアクトルL1の主巻線Lp(・極性側)→スイッチング素子Q2→コンデンサC1の負極の経路で、コンデンサC1の電圧をリアクトルL1の補助巻線Lsに電圧を誘起させる。
このスイッチング素子Q2をオン期間に、リアクトルL1の補助巻線Ls(・無し側)にプラスのパルス電圧が生じ、ダイオードD2を介してコンデンサC2を充電する。このパルス電圧は、コンデンサC1電圧にリアクトルL1の補助巻線Lsと主巻線Lpとの巻き数比分を掛けた値の電圧となる。このコンデンサC2の充電により、制御回路IC1の制御電源電圧(Vcc端子電圧)が保持される。
また、スイッチング素子Q2がオン時にブートストラップ回路が動作するので、ダイオードD3を介してコンデンサC2からコンデンサC3に充電がされ、スイッチング素子Q1の駆動電圧も保持される。
なお、スイッチング素子Q2単独時のオンオフ制御は、スイッチング素子Q1がオフ状態にあるため、オン期間は固有に調整されてよい。但し、スイッチング素子Q1が間欠のオンオフ動作に入った場合はLED負荷点灯時の同期した動作を行う。
以上の動作により、本発明の実施形態のLED駆動装置1は、時刻t0~t3期間のLED負荷消灯時の制御回路IC1の制御電源電圧を低下させることなく、動作電圧を保持することが可能になる。また、スイッチング素子Q1の駆動電圧も保持することが可能になる。
なお、前述では時刻t0~t3期間を待機時の消灯として説明したが、数%調光の深調光時であっても、出力電圧がLED負荷に微小電流が流れる電圧設定となる点が異なるだけであって、各素子の動作に大きな違いは生じない。従って、同様に制御回路IC1の制御電源電圧を低下させることなく、動作電圧を保持することが可能である。
【0017】
次に、時刻t3~t4にかけて図示しない外部からの点灯信号を受信してスイッチング素子Q1のスイッチング動作が開始し、LED負荷が点灯される。
ここで時刻t4において交流電源ACが切断された場合、LED負荷のLED電流は直後にゼロになり、出力電圧は時間の経過とともに低下するが、コンデンサC1の放電手段がない場合、長時間にわたり残留電圧が残ってしまい、照明器具交換時などを考えると感電の危険性がある。このため、交流電源ACが切断された場合、速やかにコンデンサC1の放電を行うことが好ましい。
本発明の実施形態のLED駆動装置1において、図1に図示しない入力電圧検出手段を備えて、時刻t4において交流電源ACが切断された場合、スイッチング素子Q2をオンオフ制御し、コンデンサC1の正極→リアクトルL1の主巻線Lp(・無し側)→リアクトルL1の主巻線Lp(・極性側)→スイッチング素子Q2→コンデンサC1の負極の経路で、コンデンサC1の電圧をリアクトルL1の補助巻線Lsに電圧を誘起させて、ダイオードD2を介してコンデンサC2を充電する。
これにより、制御回路IC1のVcc電圧を確保するとともに、コンデンサC1の電圧を放電させることができる。すなわち、コンデンサC1の電圧が低下する時刻t6まで制御回路IC1の制御電源電圧(Vcc端子電圧)を確保する。
従い、コンデンサC1の放電と制御回路IC1のVcc電圧確保を同時に行う効果がある。
【0018】
図2の時刻t4~t6は、図1に図示しない入力電圧検出手段を備えたLED駆動装置1を想定して説明したが、入力電圧検出手段を備えない場合であっても、時刻t0~t3の通電中の消灯時の動作と同様なスイッチング素子Q1のオンオフ駆動の動作が加わるだけで、上述と同じ効果を得られる。
但し、時刻t0~t3の通電中の消灯時の動作と異なる点は、交流電源ACが遮断され入力電圧が無い状態のため、スイッチング素子Q1のオンオフによる出力電圧の上昇は起こらない。
【0019】
(実施形態の応用例)
図3は実施形態のLED駆動装置の応用回路図である。
図3に示す実施形態のLED駆動装置1aにおいて、実施形態と異なるのは、バックブースト回路の構成をバック回路(チョッパ)に変更したものである。
【0020】
図3に示す実施形態のLED駆動装置1aにおいて、LED負荷の点灯時には、まず、交流電源ACの交流電圧をブリッジダイオードRC1で全波整流した脈流電圧をスイッチング素子Q1とリアクトルL1の主巻線Lpの直列回路で、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1の主巻線Lpにエネルギーを励磁するとともにコンデンサC1を充電するとともに、LED負荷に電力を供給する。
次に、スイッチング素子Q1のオフ期間にリアクトルL1の主巻線Lpの励磁されたエネルギーを、主巻線Lp(・極性側)→主巻線Lp(・無し側)→C1→ダイオードD1もしくはスイッチング素子Q2の経路でコンデンサC1を充電するとともに、LED負荷に電力を供給する。
また、スイッチング素子Q1のオフ期間にリアクトルL1の補助巻線LsからダイオードD2を介してコンデンサC2への充電は図1の実施形態と同様である。また、ブートストラップ回路のコンデンサC3への充電も同様に行われる。
【0021】
このように、実施形態のLED駆動装置によれば、LED負荷の消灯時、または深調光時においても安定した制御回路IC1の制御電源電圧(Vcc端子電圧)を提供できるとともに、スイッチング素子Q1のゲート駆動用電源も提供する。また、入力電源切断によるLED負荷の消灯においても、LED負荷電圧である出力電圧を速やかに安全電圧まで放電することができる。
【0022】
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
例えば、図1では入力電源を交流電源ACとしたが、バッテリーなどの直流電源に置き換えて構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、LED照明器具に適用可能である。
符号の説明
【0024】
1 、1a LED駆動装置
AC 交流電源
C0~C3 コンデンサ
D1~D3 ダイオード
F1 ヒューズ
IC1、IC1a 制御回路
L1 リアクトル
LF1 フィルター
Q1、Q2 スイッチング素子
RC1 ブリッジダイオード
図1
図2
図3
図4
図5