IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-接地端子操作ユニット 図1
  • 特許-接地端子操作ユニット 図2
  • 特許-接地端子操作ユニット 図3
  • 特許-接地端子操作ユニット 図4
  • 特許-接地端子操作ユニット 図5
  • 特許-接地端子操作ユニット 図6
  • 特許-接地端子操作ユニット 図7
  • 特許-接地端子操作ユニット 図8
  • 特許-接地端子操作ユニット 図9
  • 特許-接地端子操作ユニット 図10
  • 特許-接地端子操作ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】接地端子操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20240314BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020148451
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042834
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 巧海
(72)【発明者】
【氏名】河内山 瞬平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 智仁
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-79430(JP,A)
【文献】特開2018-19553(JP,A)
【文献】実開昭58-122336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用操作棒の先端側に着脱可能に取設されて落下物を受け止めるキャッチャーと、前記共用操作棒の前記先端に取設されて接地短絡端子の雄ネジ端子を保持するソケットに着脱可能に取設されるガイドと、を備え、
前記キャッチャーは、
前記共用操作棒の前記先端側に周設される漏斗形の受け部と、
前記受け部を前記共用操作棒の前記先端側に着脱可能に保持する第1の保持構造と、を備え、
前記ガイドは、
前記接地短絡端子の端子カバーの奥寄りの内空形状と符合する外形を有する本体部と、
前記本体部の中央において前記本体部を貫通して形成され前記ソケットを挿通させるための第1の挿通孔と、
前記雄ネジ端子に取設されている分岐接地線を前記ソケットの先端側から基部側に導く第2の挿通孔又は溝部と、
前記本体部を前記ソケットとの供回りを防止しながら前記ソケットに着脱可能に保持する第2の保持構造と、を備えていることを特徴とする接地端子操作ユニット。
【請求項2】
前記本体部における前記第1の挿通孔の内側面と、前記ソケットの外側面の間は空隙を有し、
前記ソケットに前記本体部を係止するための係止構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の接地端子操作ユニット。
【請求項3】
前記受け部は、
その開放端部から前記共用操作棒寄りの基部に向かって形成されるスリットと、
前記スリットを開閉させる開閉構造と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接地端子操作ユニット。
【請求項4】
前記開閉構造は、線ファスナーであることを特徴とする請求項3に記載の接地端子操作ユニット。
【請求項5】
前記受け部は、透視性を有する材質からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の接地端子操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共用操作棒(絶縁操作棒)の先端構造およびその先端取付具に関し、より詳細には22kVの特別高圧の電線路に予め設置されている接地短絡端子の雌ネジ端子に、分岐接地線を備えた雄ネジ端子(接地端子)を接続する作業をスムーズかつ安全に行うことができる接地端子操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受電設備や電線路などに対して各種作業を行なう際には、安全性を確保するために接地線を接続して短絡させることが行なわれている。
このような短絡接地器具としては、例えば22kVの特別高圧の電線路に、分岐コネクタを介して接続される接地短絡端子がある。
上記接地短絡端子は主に、3相の各電線路側に設けられ、外形が釣鐘形をなしている端子カバー内に配設される雌ネジ端子と、これらの雌ネジ端子のそれぞれに螺着される、分岐接地線を備えた雄ネジ端子(接地端子)により構成されている。
また、3相の電線路のそれぞれに設けられた接地短絡端子から伸びる各分岐接地線は、雄ネジ端子に接続されない側の端部が寄せ集められて一本の集合接地線を成すとともに、この集合接地線の端部にクリップなどの接地金具が取設されている。
そして、上述のような接地短絡端子における接地金具を所望箇所に接続することで、3相の電線路を同時に短絡させることができる。
【0003】
そして、3相の電線路を接地短絡する際の作業手順は概ね下記のようになる。
はじめに、3相の電線路側のそれぞれに配される雌ネジ端子に螺着可能な雄ネジ端子を備えた3本の分岐接地線と、上述の接地金具を備えた集合接地線を準備する。
この後、共用操作棒(絶縁操作棒)の先端に着脱可能に取設されるソケットを装着し、このソケットに1本目の分岐接地線の雄ネジ端子を構成する角ネジ部を嵌設して保持する。
この後、作業者は、上記の通り準備した共用操作棒を操作して1線目の分岐接地線の雌ネジ端子に、1本目の分岐接地線の雄ネジ端子を螺着して接続する。
その後、同様にして、共用操作棒のソケットに2本、3本目の分岐接地線が接続された雄ネジ端子を順次に保持して2線目、3線目の電線路の雌ネジ端子に螺着する作業を行えばよい。
【0004】
そして、上記のように接地短絡端子の雌ネジ端子に、分岐接地線を備えた雄ネジ端子を螺合させて接続する場合、以下に示すような不具合が生じていた。
接地短絡端子において電線路側に配される雌ネジ端子は、前述のように釣鐘形の端子カバー内奥部に位置している。このため、作業時の雌ネジ端子の視認性が極めて悪く、雌ネジ端子の開口に雄ネジ端子の先端を正確に誘導することが困難であった。
そのせいで、共用操作棒に取設されるソケットに保持された雄ネジ端子が、端子カバー内の意図しない場所に接触してソケットから雄ネジ端子が落脱するおそれがあった。
この場合、ソケットから外れた雄ネジ端子が地上に落下して、落下事故が起こるおそれがあった。
このような事態を回避するための先願としては、例えば以下に示すようなものが知られている。
【0005】
本願発明と同一の出願人による特許文献1には「絶縁操作棒の先端構造およびその先端取付具」という名称で、絶縁操作棒の先端構造およびその先端取付具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明である絶縁操作棒(共用操作棒)の先端構造は、同文献の図1に示される符号をそのまま用いて説明すると、特別高圧の電線路に予め設置されている接地短絡端子の端子カバーの開口部を閉塞する密栓部材を着脱する絶縁操作棒の先端取付具10であって、端子カバーを内部に収装する円筒部11と、この円筒部の内面11aに貼付されて内方に突出する突出形状部21とを備えており、この突出形状部21は、円筒部の内面に貼付するシール部22と、このシール部から突出して底面部12側に向って湾曲することにより円筒部内を移動する密栓部材の円盤部材により撓まされる湾曲形状部23とが一体に形成されてなるものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、接地短絡端子における端子カバーの密栓部材が作業中に不用意に脱落するのを防止することができる。
さらに、特許文献1に開示される発明は、接地短絡端子における雌ネジ端子に雄ネジ端子を螺着する際に、雄ネジ端子の落下防止にも利用できる可能性がある。
より具体的には、特許文献1に開示される発明を用いることで、絶縁操作棒(共用操作棒)の先端に着取設したソケットに嵌設した雄ネジ端子が万一落脱した際に、特許文献1に開示される円筒部で受け止めることができる。
よって、特許文献1に開示される発明によれば、雄ネジ端子の落脱に伴う落下事故の発生を好適に防止できる。
【0006】
特許文献2には「落下防止部材」という名称で、電力ケーブル等の取付け作業のような高所作業の際に部品が落下するのを防止する落下防止部材に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案は、略扇状の受け部と、該受け部の狭幅端部に連接した取付部とからなる落下防止部材本体と、上記取付部の周面に取り付けられた環状のクリップバンドと、を備えてなるものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、高所作業中に生じた落下物を扇状の受け部で受け止めることができる。この結果、高所作業現場から部品等が地上に落下するのを防ぐことができる。
より具体的には、特許文献2に開示される考案を共用操作棒の先端側に周設しておくことで、この共用操作棒の先端に着脱可能に取設したソケットに嵌設した雄ネジ端子が万一落下した際に、特許文献2に開示される受け部で受け止めることができる。この場合も、雄ネジ端子の落下に伴う落下事故の発生を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-119247号公報
【文献】実願平2-31828号(実開平3-124710号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
分岐接地線の雌ネジ端子に雄ネジ端子を螺着する際に、絶縁操作棒の先端に取設したソケットから雄ネジ端子が外れて落下する原因として、絶縁操作棒による操作中の雄ネジ端子が、その取設対象である雌ネジ端子の入口以外の部分、例えば雌ネジ端子を被覆する端子カバーの内壁等に接触することが挙げられる。
これに対して特許文献1,2に開示される発明や考案を用いる場合は、絶縁操作棒の先端に取設されるソケットから落下した雄ネジ端子を受け止めることができるものの、雄ネジ端子の落脱を抑制することはできなかった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、接地短絡端子の雌ネジ端子に分岐接地線を備えた雄ネジ端子(接地端子)を接続する作業をスムーズかつ安全に行うことができる接地端子操作ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための第1の発明である接地端子操作ユニットは、共用操作棒の先端側に着脱可能に取設されて落下物を受け止めるキャッチャーと、共用操作棒の先端に取設されて接地短絡端子の雄ネジ端子を保持するソケットに着脱可能に取設されるガイドと、を備え、キャッチャーは、共用操作棒の先端側に周設される漏斗形の受け部と、この受け部を共用操作棒の外側面上に着脱可能に保持する第1の保持構造と、を備え、ガイドは、接地短絡端子の端子カバーの奥寄りの内空形状と符合する外形を有する本体部と、この本体部の中央において本体部を貫通して形成されソケットを挿通させるための第1の挿通孔と、雄ネジ端子に取設されている分岐接地線をソケットの先端側から基部側に導く第2の挿通孔又は溝部と、本体部をソケットとの供回りを防止しながらソケットに着脱可能に保持する第2の保持構造と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、キャッチャーを構成する受け部は、ソケットの先端から落下した雄ネジ端子を鉛直上方側面上で受け止めて地上に落下するのを防ぐという作用を有する。第1の保持構造は、共用操作棒の外側面(外周)上に着脱可能に上記受け部を保持させるという作用を有する。
また、ガイドを構成する本体部は、接地短絡端子の端子カバー内に配される雌ネジ端子に雄ネジ端子を螺着すべく、端子カバー内に雄ネジ端子を挿入する際に、雄ネジ端子を保持するソケットの外側面(周面)と接地短絡端子を構成する端子カバーの内側面の間に配設されてスペーサとして作用する。つまり、本体部は、ソケットの先端に嵌設される雄ネジ端子の雄ネジ部を、共用操作棒を操作して、端子カバー内に配される雌ネジ端子の開口に導く際に、雄ネジ端子の先端が端子カバーの内側面に意図せず衝突する又は接触するのを防ぐという作用を有する。
また、本体部が第1の挿通孔を備えていることで、ソケットの先端側の外側面(外周)上に本体部を周設させるという作用を有する。
さらに、本体部に形成される第2の挿通孔又は溝部は、その中空部内に分岐接地線を収容することで、雄ネジ端子に取設されている分岐接地線をソケットの先端側から基部側に導くという作用を有する。
加えて、第2の保持構造は、ソケットとの供回りを防止しながら本体部をソケットに着脱可能に保持させるという作用を有する。
なお、第1の発明では、第1の挿通孔の直径サイズによっては第1の挿通孔が第2の挿通孔を兼ねる場合がある。
【0011】
第2の発明である接地端子操作ユニットは、上述の第1の発明であって、本体部における第1の挿通孔の内側面と、ソケットの外側面の間は空隙を有し、ソケットに本体部を係止するための係止構造を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明における第2の保持構造を具体的に特定したものである。すなわち、第2の発明において第1の挿通孔の内側面とソケットの外側面の間に空隙を有することで、本体部に形成される第1の貫通孔にソケットを挿通させた際に、第1の貫通孔とソケットが物理的に離間される。これにより、第1の貫通孔の内側面とソケットの外側面の間には静止摩擦力が生じない。
さらに、第2の発明は、ソケットに本体部を係止して保持させる係止構造を備えていることで、例えば本体部に形成される第1の貫通孔の内側面にソケットの外側面を密着させてソケットに本体部を保持させる場合に比べて、本体部とソケットの接触面積は相対的に小さくなる。このため、この点からもソケットと本体部の間に生じる摩擦力を小さくするという作用が発揮される。
そして、第2の発明では、上記2つの作用が同時に発揮されることで、共用操作棒を操作してソケットをその中心軸を基軸に所望方向に回転させる際に、このソケットの動作に伴って本体部がソケットと共回りするのが抑制される。
すなわち、第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用を有する。
【0012】
第3の発明である接地端子操作ユニットは、上述の第1又は第2の発明であって、受け部は、その開放端部から共用操作棒側寄りの基部に向かって形成されるスリットと、このスリットを開閉させる開閉構造と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、上記構成の第3の発明において、スリットは、雄ネジ端子に取設されている分岐接地線を、受け部の厚み方向に貫通させるという作用を有する。また、開閉構造は、必要に応じて上記スリットの一部又は全部を開く又は閉じるという作用を有する。
よって、第3の発明では、キャッチャーの近傍において、雄ネジ端子に取設されている分岐接地線を、キャッチャーを迂回させることなく共用操作棒に沿わせながら配設するという作用を有する。
【0013】
第4の発明である接地端子操作ユニットは、上述の第3の発明であって、開閉構造は、線ファスナーであることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第3の発明におけるスリットの開閉構造を、線ファスナーに特定したものである。
上記構成の第4の発明によれば、受け部に形成されるスリットを、線ファスナーを構成するスライダーのスライド動作のみで容易に開閉させることが可能になる。
また、上記構成の第4の発明では、特に線ファスナーの止め具を受け部の開放端部側に配することで、受け部の開放端部側においてスリットの開閉状態を切り替えることが可能になる。この場合、受け部の開放端部側に形成されるスリットの開放部分からスリット内に分岐接地線を出し入れすることを可能にするという作用を有する。
【0014】
第5の発明である接地端子操作ユニットは、上述の第1乃至第4のいずれかの発明であって、受け部は、透視性を有する材質からなることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第5の発明において受け部が透視性を有していることで、作業者は受け部の下側から受け部の上側の様子を確認しながら作業することができる。
【発明の効果】
【0015】
上述のような第1の発明を用いて接地短絡端子の端子カバー内に雄ネジ端子を差し入れた場合、端子カバーの内側面にガイドの外側面が接触する一方で、雄ネジ端子は、ガイドが障害となって端子カバーの内側面に接触しない。つまり、第1の発明がガイドを備えていることで、接地短絡端子の端子カバー内に雄ネジ端子を差し入れた際に、雄ネジ端子の先端が端子カバーの内側面に接触するのを防ぐことができる。よって、ソケットの先端に保持される雄ネジ端子(接地端子)の先端を、接地短絡端子の端子カバー内に配される雌ネジ端子の入口に移動させる途中に、雄ネジ端子の先端が端子カバーの内側面の意図しない場所に衝突する又は接触するのを防止できる。
この結果、雌ネジ端子の入口に雄ネジ端子が到達する前に共用操作棒に装着されるソケットから意図せず雄ネジ端子が外れるのを好適に防ぐことができる。
また、第1の発明がガイドを備えていることで、接地短絡端子の端子カバー内において雄ネジ端子の中心軸方向を、雌ネジ端子に螺着するのに適した方向に保持しておくことができる。
これにより、接地短絡端子の端子カバー内において雄ネジ端子を、容易かつ確実に雌ネジ端子に螺着することができる。
さらに、第1の発明では、共用操作棒の先端側にキャッチャーを備えていることで、万一ソケットから雄ネジ端子が外れてしまった場合でも、雄ネジ端子を受け部で受け止めて回収することができる。
この場合、ソケットから外れた雄ネジ端子が地上に落下することで、落下事故が起こるのを防止できる。
よって、第1の発明によれば、接地短絡端子の雌ネジ端子に雄ネジ端子を容易かつ確実に螺着することができ、かつ落下事故の発生も防止できる。
【0016】
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果に加えて、接地短絡端子の雌ネジ端子に雄ネジ端子を螺着すべく、ソケットをその中心軸を基軸に回動させる際に、ソケットとともにガイドが供回りするのを防止できる。
この場合、絶縁操作棒及びソケットをこれらの中心軸を基軸に回動させた際に、雄ネジ端子に取設されている分岐接地線が、ソケットの外側面及び共用操作棒の外側面に絡まり付くのを防止できる。
また、第2の発明では、ソケットにガイドの本体部が単に係止されているだけである。このため、本体部の構造を極めてシンプルにできる。
つまり、第2の発明によれば、ガイドの作製に要するコストを安価にできる。この結果、第2の発明である接地端子操作ユニットを廉価に提供することができる。
【0017】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明がスリットを備えていることで、このスリット内に分岐接地線を保持することができる。この場合、万一ソケットから雄ネジ端子が外れた場合でも、スリット内に収容されている分岐接地線を利用して、雄ネジ端子をキャッチャーの受け部に誘導して受け止めることができる。
この結果、雄ネジ端子が地上に落下して落下事故が起こるのを防止できる。
さらに、第3の発明では特に、受け部の開放端部側においてスリットを開放できるよう構成しておくことで、共用操作棒にキャッチャーを装着したまま、スリット内に分岐接地線を出し入れすることができる。
よって、スリット内への分岐接地線の出し入れを容易にできるので、第3の発明の操作性を向上させることができる。
【0018】
第4の発明は、上述の第3の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明においてスリットの開閉構造として特に線ファスナーを用いることで、スリットの開閉作業を容易にしつつ、開閉構造自体の強度及び耐久性を向上させることができる。
【0019】
第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明では、受け部の材質として透視性を有する材質を用いることで、作業者の作業位置が端子カバーの略真下で、かつ共用操作棒に装着されるキャッチャーにより端子カバーへの視界が遮られてしまうような場合でも、受け部の向こう側にある端子カバーの位置を目視により確認することができる。
したがって、第5の発明の操作性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットの断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットを分解した状態を示す断面図である。
図3】(a),(b)はともに本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットの操作手順を説明するためのイメージ図である。
図4】(a),(b)はともに本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットの操作手順を説明するためのイメージ図である。
図5】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットの操作手順を説明するためのイメージ図である。
図6】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットにおけるガイド周辺を拡大した部分断面図である。
図7】(a)本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットのガイドの斜視図であり、(b)同ガイドの変形例の斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットのキャッチャーの斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットのキャッチャーのスリットが開放された状態を示す斜視図である。
図10】別の変形例に係るガイドを備えた接地端子操作ユニットにおけるガイド周辺を拡大した部分断面図である。
図11】(a)本発明の別の変形例に係るガイドの斜視図であり、(b)本発明の他の変形例に係るガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットについて図1乃至図11を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
[1;本発明の基本構成について]
[1-1;基本構成の構造について]
はじめに、図1を参照しながら本実施形態に係る接地端子操作ユニットの基本構成について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットの断面図である。
本実施形態に係る接地端子操作ユニット1は主に、図1及び図2に示すように、共用操作棒10の先端側に着脱可能に取設されてその鉛直上方側面上で落下物を受け止めるキャッチャー2と、絶縁操作棒10の先端に取設されて接地短絡端子12(後段における図3を参照)の雄ネジ端子7(接地端子)を保持するソケット9に着脱可能に取設されるガイド6を備えてなるものである。
また、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1を構成するキャッチャー2は、図1及び図2に示すように、絶縁操作棒10の先端側に周設される漏斗形の受け部3と、この受け部3を絶縁操作棒10の先端側の外側面上に着脱可能に保持する第1の保持構造4を備えている。
さらに、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1を構成するガイド6は、後段の図3乃至図5に示される接地短絡端子12の端子カバー12aの奥寄りの内空形状と略符合する外形を有する本体部6aと、この本体部6aの中央において本体部6aを貫通し、絶縁操作棒10の先端に取設されソケット9を挿通させるための第1の挿通孔6bと、本体部6aに形成され、雄ネジ端子7に取設されている分岐接地線8bをソケット9の先端側から基部側に導く第2の挿通孔6dと、ソケット9との供回りを防止しながらソケット9に本体部6aを着脱可能に保持させるための第2の保持構造(例えば、係止用突部6c)を備えている。
【0023】
なお、絶縁操作棒10の先端に取設されるソケット9は、例えば図1に示すように、棒状のソケット本体9aの一の端部(先端部)の端面に、雄ネジ端子7の角ネジ部7bを嵌設するための収容部9cが凹設されるとともに、ソケット本体9aの他の端部(基部)に連結部9bとして例えばツイストロック構造等を備えてなるものである。
また、絶縁操作棒10は、棒状の操作棒本体部10aの先端に、例えばツイストロック構造等からなる連結部10bを備えてなるものである。
【0024】
[1-2;本発明の使用方法について]
次に、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の使用方法について図2乃至図5を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットを分解した状態を示す断面図である。また、図3(a),(b)乃至図5はいずれも本実施形態に係る接地端子操作ユニットの使用手順を説明するための断面図である。なお、先の図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
はじめに、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1を用いて接地短絡端子12の雌ネジ端子12bに雄ネジ部7a(接地端子)を螺着する作業を行う前の準備作業について説明する。
【0025】
この準備作業でははじめに、先の図1に示すように、絶縁操作棒10の先端側近傍にキャッチャー2を装着するとともに、絶縁操作棒10の先端にソケット9を取設する。なお、絶縁操作棒10へのキャッチャー2及びソケット9の装着順序は上記の逆でもよい。
この後、ガイド6の本体部6aに穿設されている第1の挿通孔6bにソケット9を挿通させるとともに、第1の挿通孔6bの開口でかつこの第1の挿通孔6bの中心に向かって突設される係止用突部6cを、ソケット9の上端面に係止することで、本体部6aをソケット9に取設する。
さらに、この状態で本体部6aの第1の挿通孔6bの上部開口に連通するソケット9の収容部9cに、雄ネジ端子7の角ネジ部7bを嵌設する。
この後、分岐接地線8bが接続されている掛着リング8aの中空部内に、ソケット9に保持された雄ネジ端子7の雄ネジ部7aを挿通させることで、雄ネジ端子7に分岐接地線8bが取設された状態となる(図1を参照)。
さらに、この後、掛着リング8aに接続されている分岐接地線8bを、ガイド6の本体部6aに穿設される第2の挿通孔6dに挿通させる。なお、この時点では、分岐接地線8bの掛着リング8aに接続されていない側の端部は、本願明細書の冒頭部分で説明した集合接地線に接続されていない状態である。そして、上述の動作により、ガイド6の外側面6f上に分岐接地線8bを配設することなく、分岐接地線8bをガイド6の本体部6aの先端側(ソケット9の収容部9c側)から基部側(ソケット9の連結部9b側)に導くことができる。
また、ガイド6の基部側(ソケット9の連結部9b側)に導かれた分岐接地線8bは、キャッチャー2の受け部3の厚み方向を貫通するように配設しておいてもよい。
なお、分岐接地線8bを、キャッチャー2の受け部3の厚み方向を貫通させながら配設するための具体的な手段としては、例えば受け部3に分岐接地線8bを挿通させるための貫通孔を形成しておく、あるいは受け部3に予めスリット及びその開閉具を設けておき、スリットに分岐接地線8bを収容するなどが挙げられる。
特に、後者の具体的な構造については、後段において図面を参照しながら詳細に説明する。
そして、上述の一連の作業により準備作業が完了する。また、この準備作業が完了した状態を示したものが図1である。
【0026】
続いて、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1を用いて接地短絡端子12の雌ネジ端子12bに雄ネジ部7a(接地端子)を螺着する際の作業手順について図3乃至図5を参照しながら説明する。
先の図1に示す状態にした後、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の絶縁操作棒10を操作して、図3(a)に示すように、接地短絡端子12の端子カバー12aの直下にガイド6を配置する。
この後、絶縁操作棒10をさらに操作して、それ以上挿入することができなくなるまでガイド6を端子カバー12a内に挿入する。
そして、端子カバー12a内にガイド6をそれ以上挿入することができなくなった状態を示したものが図3(b)である。
すなわち、ソケット9に保持される雄ネジ端子7の先端が、端子カバー12a内の最奥に位置する雌ネジ端子12bの開口12cに到達した状態である。
【0027】
この時、接地短絡端子12の端子カバー12a内において、ガイド6がスペーサとして機能する。この結果、ソケット9に保持される雄ネジ端子7の先端が、雌ネジ端子12bの開口12cに到達する前に、意図せず端子カバー12aの内側面12dに衝突又は接触するのを防止することができる。
つまり、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1がガイド6を備えていることで、端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bの開口12cに、雄ネジ端子7の雄ネジ部7aの先端を確実に誘導することができる。
しかもこの時、ソケット9に保持される雄ネジ端子7の中心軸を、端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bの中空部の中心軸と略同一線上に配置することができる。
このことは、図3(b)に示す状態でソケット9をその中心軸を基軸に所望方向に回動させるだけで、雌ネジ端子12bに雄ネジ端子7を螺着できることを意味している。
これにより、端子カバー12a内において絶縁操作棒10を用いて間接的に雄ネジ端子7を操作する際に、ソケット9から雄ネジ端子7が意図せず外れてしてしまうリスクを大幅に低減することができる。
つまり、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1を用いることで、接地短絡端子12を構成する端子カバー12a内の雌ネジ端子12bに、分岐接地線8bを備えた雄ネジ端子7を容易かつ確実に螺着することができる。
【0028】
なお、端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bに雄ネジ端子7を螺着する際に、万一意図せずソケット9から雄ネジ端子7が外れてしまっていても作業者はその状態を目視により確認して認知することができない。
しかしながら、ソケット9から雄ネジ端子7が外れてしまっている場合は、絶縁操作棒10をその中心軸を基軸にいくら回動し続けても回り止めの状態に至らないため、作業者はその状況から間接的に雄ネジ端子7の状態を認知することができる。
この場合は、接地短絡端子12の端子カバー12aからガイド6及びソケット9を一旦抜き去ってから、再度上述の準備作業を経た後に上記手順を繰り返す必要がある。しかしながら、端子カバー12aからガイド6及びソケット9を抜き去った時に、端子カバー12a内から雄ネジ端子7が落下してくることが予想される。
このような場合でも、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1はキャッチャー2を備えているため、落下してきた雄ネジ端子7をキャッチャー2により受け止めることができる。
したがって、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、雄ネジ端子7が地上に落下して落下事故が起こるのを好適に防止することができる。
【0029】
さらに、図3(b)に示す状態から絶縁操作棒10をその中心軸を基軸に所望方向に回転させることで、図4(a)に示すように、端子カバー12a内の雌ネジ端子12bに雄ネジ端子7の雄ネジ部7aを螺着することができる。
なお、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1では、ガイド6の本体部6aがソケット9と供回りすることがないようソケット9に取設されている。
このため、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、絶縁操作棒10の回動動作に伴って、分岐接地線8bがソケット9及び絶縁操作棒10の外側面上に絡みつくのを防止することができる。
【0030】
そして、接地短絡端子12の雌ネジ端子12bへの雄ネジ端子7の螺着が完了した後は、図4(b)に示すように、ソケット9及びガイド6を端子カバー12a内から抜き去ればよい。
この時、分岐接地線8bの掛着リング8aに接続されない側の端部はどこにも接続されていないため、ガイド6に穿設される第2の挿通孔6d及び受け部3から、分岐接地線8bを抜き取ることができる。
なお、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1から雄ネジ端子7及び分岐接地線8bを離脱させた状態を示したものが図5であり、この状態が接地短絡端子12の雌ネジ端子12bへの雄ネジ端子7の螺設が完了した状態である。
【0031】
[1-3;基本構成による作用・効果について]
上述のような本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、ガイド6を備えていることで、接地短絡端子12を構成する端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bの開口12cに雄ネジ端子7の先端を高い確実性を持って誘導することができる。
この結果、端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bの開口12cに雄ネジ端子7の先端が到達する前に、ソケット9から雄ネジ端子7が外れてしまうのを防止することができる。
この場合、ソケット9から雄ネジ端子7が外れることによる落下事故が起こるのを防止できる。
さらに、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1がガイド6を備えていることで、端子カバー12a内に配される雌ネジ端子12bに雄ネジ端子7を螺着する際に、雄ネジ端子7に取設される分岐接地線8bがソケット9や絶縁操作棒10の外側面に絡まり付くのを防止できる。
この場合、雄ネジ端子7からソケット9及び絶縁操作棒10を容易に離間させることができる。よって、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、ソケット9及び絶縁操作棒10の操作性を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、雄ネジ端子7の操作中にソケット9から意図せず雄ネジ端子7が外れてしまった場合でも、キャッチャー2の受け部3により外れた雄ネジ端子7を受け止めることができる。
この場合、キャッチャー2の配設位置よりも鉛直下方側に雄ネジ端子7が落下するのを防ぐことができるので、雄ネジ端子7の外れに伴う落下事故の発生を防止することができる。
【0032】
なお、本実施形態では接地端子操作ユニット1が絶縁操作棒10にキャッチャー2を備えている場合を例に挙げて説明しているが、キャッチャー2と同様の落下防止具を作業場の周囲に配置する場合は、絶縁操作棒10にキャッチャー2を設けなくともよい。
つまり、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1は、絶縁操作棒10に接続されるソケット9がガイド6のみを備える場合も発明として成り立つ場合がある。
【0033】
[2;本発明の細部構造について]
[2-1;第1の保持構造について]
本実施形態に係る接地端子操作ユニット1においてキャッチャー2を構成する第1の保持構造4は、例えば図1,2に示すように、絶縁操作棒10の先端側に周設される保持リング4aと、この保持リング4aを厚み方向に貫通するように螺設される少なくとも2つ以上のボルト4bを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
そして、キャッチャー2が第1の保持構造4として保持リング4a及びボルト4bを備える場合は、保持リング4aの中空部内に絶縁操作棒10の先端を挿入した後、ボルト4bの先端を絶縁操作棒10の外側面に押し当てることで、絶縁操作棒10の周側面上にキャッチャー2を固定することができる。
また、上記のように絶縁操作棒10の周側面上にボルト4bにより保持リング4aが固定された状態から、ボルト4bを緩めてその先端を絶縁操作棒10の外側面から離間させることで、保持リング4aの中空部内に挿入されている絶縁操作棒10を抜き取ることができる。すなわち、絶縁操作棒10からキャッチャー2を取外すことができる。
【0034】
なお、図1乃至図5では、第1の保持構造4を保持リング4a及びボルト4bを用いて絶縁操作棒10の外側面上にキャッチャー2を着脱する場合を例に挙げて説明しているが、第1の保持構造4として上記以外の構造を採用することもできる。
例えば、保持リング4aに代えて、必要に応じて伸縮性を備えたバンドを受け部3の基部3bに沿って設けるとともに、このバンドに例えば面ファスナー等の固定具を一体に縫着又は貼設しておき、上記バンドの遊動端部側を絶縁操作棒10の外側面に巻回して緊縛しつつ上記固定具により着脱可能に受け部3を固定するよう構成してもよい(図示せず)。
あるいは、保持リング4a及びボルト4bに代えて、図示しないクリップ等の挟持具を受け部3の基部3b側に設けておき、この挟持具により受け部3を絶縁操作棒10の外側面上に着脱可能に取設できるよう構成してもよい。
上述の通り、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1では絶縁操作棒10の外側面上に受け部3を着脱可能に保持することができれば、第1の保持構造の構造は特に限定されない。
【0035】
[2-2;第2の保持構造について]
先の図1乃至図4に加えて図6を参照しながら本実施形態に係る接地端子操作ユニット1における第2の保持構造の具体的な態様について説明する。
図6は本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットにおけるガイド周辺を拡大した部分断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る接地端子操作ユニット1において、ソケット9との供回りを防止しながらガイド6をソケット9に着脱可能に保持しておくための第2の保持構造は、例えばガイド6の本体部6aをソケット9に係止しておくための係止構造(例えば後述する係止用突部6c)と、ガイド6の第1の挿通孔6bの内側面とソケット9の外側面との間に形成される空隙により構成することができる(任意選択構成要素)。
なお、上記空隙は、ガイド6の本体部6aの中央に穿設される第1の挿通孔6bの直径Dをソケット9の直径Dより大きく設定することで形成することができる。
さらに、上記第2の保持構造を構成する係止構造として、例えば図1,2中に示すような本体部6aに穿設される第1の挿通孔6bの開口(ソケット9にガイド6を装着した際にソケット9の先端側に配される開口)において、この開口の中心に向かって突設される係止用突部6cを用いることができる。
なお、ガイド6が係止構造として上述のような係止用突部6cを備える場合はさらに、係止用突部6cの空隙の直径Dを、ソケット9の最大径Dよりも小さく設定しつつ、雄ネジ端子7の角ネジ部7bの最大径D(ただし、Dはソケット9の収容部9cの最大径Dと略同一でありかつ、D<Dを満たす。)となるよう構成しておくとよい。
この場合、図6に示すように、ソケット9の先端にガイド6の本体部6aを確実に係止することができる上、ソケット9の先端から収容部9cに雄ネジ端子7の角ネジ部7bを着脱させることができる。
【0036】
そして、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の第2の保持構造が係止用突部6cを備えていることで、本体部6aをソケット9の先端に係止することができる。
さらに、ガイド6の本体部6aに穿設される第1の挿通孔6bにソケット9を挿通した際に、本体部6aとソケット9の間に空隙が形成されることで、本体部6aとソケット9の間に生じる摩擦力を大幅に小さくすることができる。
さらに、先の図3(b)及び図4(a)に示すように、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1のガイド6を、接地短絡端子12を構成する端子カバー12aの中空部内に挿入した際に、本体部6aの外側面6fの少なくとも一部又は全部が端子カバー12aの内側面12dと接触するため、これらの接触部分に摩擦力が生じる。
そして、この状態でソケット9に保持される雄ネジ端子7の雄ネジ部7aを端子カバー12a内の雌ネジ端子12bに螺着すべく、ソケット9及びそれを保持する絶縁操作棒10をその中心軸を基軸に回動させると、端子カバー12a内においてガイド6が不動のままソケット9のみがその中心軸を基軸に回動する。つまり、ガイド6がソケット9と供回りしない。
このことは、接地短絡端子12の端子カバー12a内において、ガイド6の本体部6aに形成される第2の挿通孔6d内に収容保持される分岐接地線8bの位置も不動であることを意味している。
よって、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1によれば、絶縁操作棒10の回動動作に伴って、分岐接地線8bがソケット9及び絶縁操作棒10の外側面上に絡みつくのを防止することができる。
なお、ソケット9にガイド6を保持しておくための第2の保持構造として、上述した構造以外の構造を採用することもできる。なお、第2の保持構造の別形態については、後段において図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
[2-3;ガイドの立体形状及びその変形例について]
次に、図7を参照しながら本実施形態に係る接地端子操作ユニット1のガイド6及びその変形例について説明する。
図7(a)は本実施形態に係る接地端子操作ユニットのガイドの斜視図であり、(b)は同ガイドの変形例の斜視図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図7(a)に示すように、ガイド6の第2の挿通孔6dは、本体部6aの中央に穿設される第1の挿通孔6bと一体に形成されてもよいし、第1の挿通孔6bと別体に形成されてもよい。後者の場合、第2の挿通孔6dの形成方向は、第1の挿通孔6bの形成方向(中心軸方向)と略同一方向にすればよい。
なお、本体部6aに形成される第2の挿通孔6dは、分岐接地線8bを挿通させるためのものである。また、この分岐接地線8bがソケット9や絶縁操作棒10に絡まりつくことが作業性の低下の原因になることを考えれば、本体部6aにおける第2の挿通孔6dの形成方向は、分岐接地線8bをソケット9の外側面から離間させるような方向、すなわちソケット9の中心軸と平行な方向でありかつソケット9の外側面から離れる方向としてもよい。
【0038】
さらに、ガイド6の本体部6aは、第2の挿通孔6dに代えて、図7(b)に示すように、本体部6aの外側面6f上に凹状に形成される溝部6eを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
なお、図7(b)では本体部6aに形成される第1の挿通孔6bと一体に溝部6eを形成する場合を例に挙げて説明しているが、第1の挿通孔6bから独立した状態で溝部6eを形成してもよい(図示せず)。
上述のようにガイド6の本体部6aの外側面6fに凹設される溝部6eを備える場合は、分岐接地線8bを本体部6aの外側面6f側から溝部6e内に出し入れすることができるので便利である。
【0039】
[2-4;キャッチャーの細部構造について]
続いて、図8を参照しながら本実施形態に係る接地端子操作ユニット1のキャッチャー2の細部構造について説明する。
図8は本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットのキャッチャーの斜視図である。また、図9は本発明の実施形態に係る接地端子操作ユニットのキャッチャーのスリットが開放された状態を示す斜視図である。なお、図1乃至図7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るキャッチャー2の受け部3は、図8に示すように、開放端部3aから基部3bに向かって形成されるスリット3cと、このスリット3cを所望に開閉させるための開閉構造3dを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
さらに、この開閉構造3dとしては、例えば図8に示すようなスライダー5a、エレメント5b及び止め具5cを備えてなる線ファスナー5を用いることができる。
この場合、図8中において受け部3の基部3b側に配されているスライダー5aをエレメント5bに沿って開放端部3a側に移動させた後、その終点である止め具5cにおいて対をなすエレメント5bを分離することで、図9に示すように、スリット3cを開放することができる。
そして、上記の通りスリット3cを開放してから、このスリット3c内に分岐接地線8bを収容し、この後、上述の逆の手順にて線ファスナー5によりスリット3cを閉じた状態にすることで、スリット3c内に分岐接地線8bを収容することができる。
つまり、先の図1に示すように、受け部3の厚み方向を貫通するように分岐接地線8bを配設することができる。
【0040】
そして、上記の通り本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の使用時に、受け部3の厚み方向を貫通するように分岐接地線8bを配置することで、分岐接地線8bに沿って受け部3をスライドさせることができる[図4(b)を参照]。
加えて、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の使用時に、万一ソケット9の先端から雄ネジ端子7が外れた場合でも、分岐接地線8bを、受け部3の厚み方向を貫通するように配設しておくことで、分岐接地線8bに作用する張力を利用して、落下する雄ネジ端子7を受け部3上に誘導することができる。
この結果、キャッチャー2の外に雄ネジ端子7が落下して落下事故が起こるのを好適に防ぐことができる。
【0041】
なお、本実施形態では図8,9に示すように、受け部3に形成されるスリット3cの開閉構造3dとして線ファスナー5を用いる場合を例に挙げて説明しているが、この開閉構造3dは線ファスナー5以外のものを採用することもできる。
より具体的には、受け部3に形成されるスリット3cの開閉構造3dとして面ファスナーや、スナップボタン等を用いることができる(任意選択構成要素)。
いずれの場合も、開閉構造3dとして線ファスナー5を用いる場合と同様の作用効果が期待できるものの、開閉構造3dの操作性、強度、及び耐久性の点から比較すると、線ファスナー5、面ファスナー、スナップボタンの順でその性能が優れているといえる。
【0042】
また、本実施形態に係るキャッチャー2の受け部3を構成する材質を特定する必要はないが、透視性を有する材質により受け部3を構成してもよい(任意選択構成要素)。
より具体的には、受け部3を構成する材質として、例えば透視性を有する合成樹脂(例えば、アクリル樹脂等)、金網、あるいはパンチングメタル等を用いてもよい。
この場合、作業者がキャッチャー2の鉛直下方側から見上げるような体勢で、キャッチャー2の向こう側に位置する端子カバー12a内の雌ネジ端子12bに分岐接地線8bを備えた雄ネジ端子7を螺着する作業を行う際に、作業者は受け部3の鉛直下方側から鉛直上方側を透視しながら絶縁操作棒10を操作することができる。
この場合、絶縁操作棒10の誤操作が起こり難くなるので、ソケット9から雄ネジ端子7が落下するリスクを大幅に低減することができる。
この結果、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1の操作性を向上させることができる。
【0043】
[2-5;第2の保持構造の変形例について]
最後に、図10,11を参照しながら第2の保持構造の変形例について説明する。
先の図1乃至図7に示す接地端子操作ユニット1では、第2の保持構造の具体的態様の一例として、ガイド6に係止用突部6cを設けて、この係止用突部6cをソケット9の上端に係止するとともに、ガイド6の第1の挿通孔6bの内側面とソケット9の外側面との間に空隙を設ける場合(図1図3乃至図7を参照)を例に挙げて説明しているが、ソケット9に対するガイド6の係止構造として上述の係止用突部6c以外の構造を採用することもできる。
図10は別の変形例に係るガイドを備えた接地端子操作ユニットにおけるガイド周辺を拡大した部分断面図である。また、図11(a)は本発明の別の変形例に係るガイドの斜視図であり、(b)は本発明の他の変形例に係るガイドの斜視図である。なお、図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1´の変形例に係る係止構造は、ソケット9の上端側に着脱可能に周設される係止リング13と、この係止リング13の上面に載置されるように係止されるガイド60により構成される。
また、図10に示すガイド60は、先の図6図7(a)等に記載されているガイド6において、係止用突部6cを備えていない点以外は全てガイド6と同じである。
【0044】
そして、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1´は、図10に示すように、係止リング13とガイド60による係止構造と、ガイド6の第1の挿通孔6bの内側面とソケット9の外側面との間に形成される空隙からなる変形例に係る第2の保持構造を備えていることで、上述の基本構成に係る接地端子操作ユニット1と同様の作用・効果を発揮させることができる。
なお、変形例に係る第2の保持構造における係止リング13としては、例えば合成樹脂、ゴムやシリコン等の材質からなり伸縮性を有する環状体を用いることができる。
この場合、ソケット9の胴部への係止リング13の着脱を容易にできかつ、ソケット9の胴部における係止リング13の周設位置の変更も容易に行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1´では、上述のような係止リング13を備えることに代えて、ソケット9の周側面上に係止リング13と同様の機能を奏するリング状の凸条又は2つ以上の突起(いずれも図示せず)を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合は、ソケット9を特注する必要性が生じるものの、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1´の部品点数を少なくすることができる。
また、変形例に係る第2の保持構造では、ガイド60が係止用突部6cを備えていない。このため、ガイド6を例えば金型を用いて成型加工して作製する場合に、金型の構造をシンプルにできる。このため、ガイド60の製造に要するコストを廉価にできる。
【0046】
さらに、変形例に係る第2の保持構造を構成するガイド60に代えて、他の変形例に係るガイド60´を用いてもよい(任意選択構成要素)。
この他の変形例に係るガイド60´は、図11(b)に示すように、別の変形例に係るガイド60における第2の挿通孔6dに代えて、本体部6aの外側面6fに凹設される溝部6eを備えてなるものである。
また、他の変形例に係るガイド60´に形成される溝部6eは、第1の挿通孔6bと連通するように形成されてもよいし、第1の挿通孔6bから独立した状態で形成されてもよい。
上述のような他の変形例に係るガイド60´によれば、溝部6eへの分岐接地線8bの出し入れが容易になる。
これにより、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1´の操作性を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1,1´では、ガイド6,6´,60,60´を構成する本体部6aが、中実体である場合を例に挙げて説明しているが、本体部6aは中空体でもよい。この場合、ガイド6,6´,60,60´を軽量化できるので、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1,1´の操作性を一層向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1,1´では、ソケット9に対するガイド6,6´や、ガイド60,60´の保持構造として、上述のような第2の保持構造や、変形例に係る第2の保持構造を備える場合を例に挙げて説明しているがこれら以外の構造を採用することもできる。
このようなガイド(図示せず)は、例えばソケット9にガイドを装着した際の、本体部6aに穿設される第1の挿通孔6bの内側面と、ソケット9の外側面との間に、ボールベアリングを介設してなるものでもよい(図示せず、任意選択構成要素)。
この場合は、さらに、図示しないガイドにおいて、ボールベアリングとソケット9の間に滑り止め材を介設して、ソケット9の外側面上の所望の位置に図示しないガイドを、位置ずれを防止しながら保持しておくことができるよう構成してもよい。
上記のような図示しないガイドを用いる場合は、ガイド6,6´,60,60´を備える場合と同様の作用・効果に加えて、ソケット9の外側面上において図示しないガイドの外れを好適に防止することができる。
つまり、先に述べたガイド6,6´,60,60´を用いる場合は、ソケット9に本体部6aが単に係止されているだけであるため、ソケット9に雄ネジ端子7を備えていない状態で、絶縁操作棒10を傾けた際に、ソケット9からガイド6,6´,60,60´が外れやすい。
これに対して、ボールベアリングを備える図示しないガイドによれば、ソケット9から雄ネジ端子7を離間させた状態で、絶縁操作棒10を傾けてもソケット9から図示しないガイドを外れ難くすることができる。
この場合、本実施形態に係る接地端子操作ユニットの操作性をさらに向上させることができる。
【0049】
[2-6;本発明の他の細部構造について]
さらに、特に図示しないが、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1,1´等に用いられるソケット9は、収容部9c内に磁石等の磁性体を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
一般に、雄ネジ端子7を構成する材質は鉄を含有している。このため、ソケット9の収容部9c内に磁性体を備えていることで、この磁性体と雄ネジ端子7(特に角ネジ部7b)の間に引力を作用させて、ソケット9の収容部9cから雄ネジ端子7が外れるのを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る接地端子操作ユニット1,1´等に用いられるガイド6,6´,60,60´等は、本体部6aの外側面6f、より具体的には端子カバー12aの内側面と接触する本体部6aの外側面6fを、変形性及び復元性を有するクッション材(例えば、スポンジ等からなるシート材)により被覆しておいてもよい(図示せず、任意選択構成要素)。
この場合、接地短絡端子12を構成する端子カバー12aの内空形状よりも、ガイド6,6´,60,60´の立体形状がやや大きい場合でも、クッション材の変形性を利用して、端子カバー12a内にガイド6,6´,60,60´を挿入させることができる。
この場合、端子カバー12a内におけるガイド6,6´,60,60´の摺動性を良好にしつつ、ガイド6,6´,60,60´の表面の一部又は全部を端子カバー12aの内側面12dにしっかりと密着させることができる。
この結果、絶縁操作棒10の操作時に、ソケット9とともにガイド6,6´,60,60´が供回りするのをより確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように本発明は、接地短絡端子の雌ネジ端子に分岐接地線を備えた雄ネジ端子(接地端子)を接続する作業をスムーズかつ安全に行うことができる接地端子操作ユニットであり、送電設備に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,1´…接地端子操作ユニット 2…キャッチャー 3…受け部 3a…開放端部 3b…基部 3c…スリット 3d…開閉構造 4…第1の保持構造 4a…保持リング 4b…ボルト 5…線ファスナー 5a…スライダー 5b…エレメント 5c…止め具 6,6´,60,60´…ガイド 6a…本体部6b…第1の挿通孔 6c…係止用突部 6d…第2の挿通孔 6e…溝部 6f…外側面 7…雄ネジ端子(接地端子) 7a…雄ネジ部 7b…角ネジ部 8a…掛着リング 8b…分岐接地線 9…ソケット 9a…ソケット本体 9b…連結部(ツイストロック構造) 9c…収容部 10…絶縁操作棒 10a…操作棒本体部 10b…連結部(ツイストロック構造) 11…分岐コネクタ 12…接地短絡端子 12a…端子カバー 12b…雌ネジ端子 12c…開口 12d…内側面 13…係止リング 14…電線路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11