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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】自動二輪車の排気装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
F01N3/28 301T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020213476
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099617
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和也
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160792(JP,A)
【文献】特開2016-142154(JP,A)
【文献】特開2014-147879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを排出する排気口を有するエンジンと、
前記排気口からのガスを通過可能とするように前記排気口に接続される排気管と
を備え、
前記排気管が、それを通過するガスの流れ方向に沿って配置される金属触媒担体と、前記金属触媒担体を収容し、かつ前記エンジンの下方に配置される触媒ケースと、前記エンジンの排気口及び前記触媒ケースを連通させるように延びるパイプとを有し、
前記金属触媒担体が、前記流れ方向に沿って延びる複数の通過区画を画定する内壁を有し、
前記通過区画に面する前記内壁の表面に触媒がコーティングされており、
前記金属触媒担体が、その外周部を前記触媒ケースの内周部に当接させるように前記触媒ケースに嵌合している、自動二輪車の排気装置であって、
前記金属触媒担体の内壁が、波板形状に形成される複数の波板部と、平板形状に形成される複数の平板部とを有し、
前記複数の波板部及び前記複数の平板部が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部の1つ及び前記複数の平板部の1つを交互に重ねるように配置され、
前記触媒ケースが、車両前方から車両後方に向かうに従って上方に持ち上がる傾斜姿勢にて配置され、
前記金属触媒担体の流れ方向の上流端部が、車両側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる階段形状に形成されている、自動二輪車の排気装置。
【請求項2】
前記パイプの流れ方向の下流端部が、前記触媒ケースの流れ方向の上流端部における上方区域に接続されており、
前記金属触媒担体における前記複数の通過区画の長さが、上方から下方に向かうに従って減少している、請求項1に記載の自動二輪車の排気装置。
【請求項3】
前記金属触媒担体が、前記流れ方向で見て、上方から下方に向かうに従ってその幅を小さくするように逆台形形状に形成されている、請求項1又は2に記載の自動二輪車の排気装置。
【請求項4】
自動二輪車の排気装置に設けられる金属触媒担体であって、ガスの流れ方向に沿って延びる複数の通過区画を画定する内壁を有し、前記内壁が、波板形状に形成される複数の波板部と、平板形状に形成される複数の平板部とを有し、前記複数の波板部及び前記複数の平板部が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部の1つ及び前記複数の平板部の1つを交互に重ねるように配置され、前記金属触媒担体の流れ方向の上流端部が、側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる第1階段形状に形成される、金属触媒担体の製造工程を含む自動二輪車の排気装置の製造方法であって、
前記金属触媒担体の製造工程が、
前記金属触媒担体の材料であり、かつ帯形状に形成される金属製の帯材料を準備する工程と、
前記帯材料の幅方向の一方縁部を、前記第1階段形状の上流端部を形作ることを可能とするように前記帯材料の長手方向に並ぶ複数のステージを有する第2階段形状に形成するように切断加工する工程であって、前記複数のステージが、前記帯材料の長手方向の一方から同他方に向かうに従って前記帯材料の幅方向の長さを順に小さくするように形作られ、かつ切断加工された前記帯材料が、前記複数のステージにそれぞれ対応するように前記長手方向に並ぶ複数のステージ領域を有する、工程と、
前記切断加工された帯材料における前記複数のステージ領域の1つを互いに重なる前記波板部及び前記平板部として形成するように、前記複数のステージ領域を前記長手方向に沿って順に折り曲げ、これによって、前記内壁を得る工程と、
前記内壁の表面に触媒をコーティングする工程と
を含む、自動二輪車の排気装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属触媒担体を有する自動二輪車の排気装置に関する。さらに、本発明は、金属触媒担体の作製工程を含む自動二輪車の排気装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車においては、そのエンジンにて発生した排ガスをスムーズに自動二輪車の外部に排出するために排気装置が設けられる。排気装置には、排ガスを浄化するために金属触媒担体が設けられることがある。この金属触媒担体は、金属製の担体に触媒を担持したものとなっている。さらに、排気装置は、金属触媒担体を収容する触媒ケースを有する。触媒ケースは、車幅の制限等のような自動二輪車のレイアウト上の制約のために、エンジン及びトランスミッションの下側に配置されることがある。
【0003】
このような自動二輪車の排気装置の一例としては、排気ガス浄化触媒装置を有し、この排気ガス浄化触媒装置が、金属製の担体に触媒が担持されるように構成されるハニカムコア(金属触媒担体)と、このハニカムコアを内部にて支持する金属製の外筒(触媒ケース)とを有し、ハニカムコアの担体が、金属箔状の平板及び波板を重ねた複数の層をロール状に巻くように構成される、自動二輪車の排気装置が挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-147879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動二輪車(以下、必要に応じて「車両」という)においては、一般的に、エンジンはトランスミッションに対して車両前方に配置される。さらに、自動二輪車において、上述のように排気装置の触媒ケース及び金属触媒担体がエンジン及びトランスミッションの下側に配置される場合、自動二輪車のレイアウト上のさらなる制約のために、エンジン及びトランスミッションの下端部が車両前方から車両後方に向かうに従って上方に持ち上がるように傾斜し、かつ触媒ケース及び金属触媒担体が、エンジン及びトランスミッションの下端部の傾斜に沿って傾斜するように配置されることがある。
【0006】
このような自動二輪車においては、上記排気装置の一例のように金属箔状の平板及び波板を重ねた複数の層をロール状に巻くように構成される金属触媒担体を収容した触媒ケースの車両前後方向の前端部が地面と接触するおそれがある。特に、自動二輪車がバンクしながら旋回する場合に、触媒ケースが地面と接触し易くなる。
【0007】
特に、近年の自動二輪車においては、一酸化炭素、炭化水素化合物、窒素酸化物等のように排ガス中に含まれる有害物質の量を低減することが要求されている。すなわち、排ガスの浄化性能を向上させることが要求されている。このような要求に応じるために、エンジンから金属触媒担体までの排ガスの経路を減少させるべく、金属触媒担体を収容した触媒ケースを車両前方寄りに移動させると、上述した理由のために、触媒ケースがさらに地面と接触し易くなる。
【0008】
このような実情を鑑みると、自動二輪車の排気装置においては、排ガスの浄化性能を向上させること、金属触媒担体を収容した触媒ケースが地面に接触するのを効率的に防ぐことが望まれる。さらに、自動二輪車の排気装置の製造方法においては、製造される排気装置における排ガスの浄化性能を向上させること、製造される排気装置にて金属触媒担体を収容した触媒ケースが地面に接触するのを効率的に防ぐこと、金属触媒担体の製造を容易にすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するために、一態様に係る自動二輪車の排気装置は、ガスを排出する排気口を有するエンジンと、前記排気口からのガスを通過可能とするように前記排気口に接続される排気管とを備え、前記排気管が、それを通過するガスの流れ方向に沿って配置される金属触媒担体と、前記金属触媒担体を収容し、かつ前記エンジンの下方に配置される触媒ケースと、前記エンジンの排気口及び前記触媒ケースを連通させるように延びるパイプとを有し、前記金属触媒担体が、前記流れ方向に沿って延びる複数の通過区画を画定する内壁を有し、前記通過区画に面する前記内壁の表面に触媒がコーティングされており、前記金属触媒担体が、その外周部を前記触媒ケースの内周部に当接させるように前記触媒ケースに嵌合している、自動二輪車の排気装置であって、前記金属触媒担体の内壁が、波板形状に形成される複数の波板部と、平板形状に形成される複数の平板部とを有し、前記複数の波板部及び前記複数の平板部が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部の1つ及び前記複数の平板部の1つを交互に重ねるように配置され、前記触媒ケースが、車両前方から車両後方に向かうに従って上方に持ち上がる傾斜姿勢にて配置され、前記金属触媒担体の流れ方向の上流端部が、車両側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる階段形状に形成されている。
【0010】
課題を解決するために、一態様に係る自動二輪車の排気装置の製造方法は、自動二輪車の排気装置に設けられる金属触媒担体であって、ガスの流れ方向に沿って延びる複数の通過区画を画定する内壁を有し、前記内壁が、波板形状に形成される複数の波板部と、平板形状に形成される複数の平板部とを有し、前記複数の波板部及び前記複数の平板部が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部の1つ及び前記複数の平板部の1つを交互に重ねるように配置され、前記金属触媒担体の流れ方向の上流端部が、側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる第1階段形状に形成される、金属触媒担体の製造工程を含む自動二輪車の排気装置の製造方法であって、前記金属触媒担体の製造工程が、前記金属触媒担体の材料であり、かつ帯形状に形成される金属製の帯材料を準備する工程と、前記帯材料の幅方向の一方縁部を、前記第1階段形状の上流端部を形作ることを可能とするように前記帯材料の長手方向に並ぶ複数のステージを有する第2階段形状に形成するように切断加工する工程であって、前記複数のステージが、前記帯材料の長手方向の一方から同他方に向かうに従って前記帯材料の幅方向の長さを順に小さくするように形作られ、かつ切断加工された前記帯材料が、前記複数のステージにそれぞれ対応するように前記長手方向に並ぶ複数のステージ領域を有する、工程と、前記切断加工された帯材料における前記複数のステージ領域の1つを互いに重なる前記波板部及び前記平板部として形成するように、前記複数のステージ領域を前記長手方向に沿って順に折り曲げ、これによって、前記内壁を得る工程と、前記内壁の表面に触媒をコーティングする工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
一態様に係る自動二輪車の排気装置においては、排ガスの浄化性能を向上させることができ、金属触媒担体を収容した触媒ケースが地面に接触するのを効率的に防ぐことができる。さらに、自動二輪車の排気装置の製造方法においては、製造される排気装置における排ガスの浄化性能を向上させることができ、製造される排気装置にて金属触媒担体を収容した触媒ケースが地面に接触するのを効率的に防ぐことができ、金属触媒担体の製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る排気装置を有する自動二輪車を概略的に示す側面図である。
図2図2は、一実施形態に係る排気装置の排気管の触媒ケース及びその周辺部分を概略的に示す側面図である。
図3図3は、一実施形態に係る排気管の触媒ケース及びその周辺部分を図2の矢印Xから見た状態で概略的に示す側面図である。
図4図4は、図2のY-Y線断面図である。
図5図5は、図3のZ-Z線断面図である。
図6図6は、一実施形態に係る排気管の金属触媒担体を概略的に示す下側斜視図である。
図7図7は、一実施形態に係る自動二輪車の排気装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、一実施形態に係る製造方法における金属触媒担体の製造工程を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、一実施形態に係る金属触媒担体の製造工程にて切断加工された帯材料を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態に係る自動二輪車の排気装置及びその製造方法について、以下に説明する。本明細書においては、必要に応じて、自動二輪車を「車両」と呼ぶ。
【0014】
本明細書中の説明に用いられる図1図6においては、車両を基準とした方向を次のように示す。図1図2図5、及び図6においては、車両前方及び車両後方を、それぞれ片側矢印F及び片側矢印Bによって示す。図3図4、及び図6においては、車両前方を向いた場合の左方及び右方を、それぞれ片側矢印L及び片側矢印Rによって示す。車両幅方向は、片側矢印L及び片側矢印Rによって示される。さらに、図1図6においては、車両上方及び車両下方を、それぞれ片側矢印U及び片側矢印Dによって示す。
【0015】
なお、左方及び右方は、それぞれ車両前方を向いた場合の左方及び右方を指すものとする。水平方向は、車両の前後方向及び幅方向に沿った方向を指すものとする。車両上方及び車両下方を、場合によっては、それぞれ単に上方及び下方と呼ぶ。
【0016】
「自動二輪車の排気装置の概略」
図1図6を参照すると、本実施形態に係る自動二輪車の排気装置10は、概略的には次のように構成される。図1に示すように、排気装置10は、エンジン11を有する。エンジン11は、ガスを排出する排気口11aを有する。
【0017】
図1図3に示すように、排気装置10は、排気口11aからのガスを通過可能とするように排気口11aに接続される排気管20を有する。図4図6に示すように、排気管20は、それを通過するガスの流れ方向(図1にて二点鎖線の片側矢印Pにより示す)に沿って配置される金属触媒担体30を有する。
【0018】
図1図5を参照すると、排気管20は、金属触媒担体30を収容する触媒ケース21を有する。触媒ケース21は、エンジン11の下方に配置される。排気管20はまた、エンジン11の排気口11aと触媒ケース21とを連通させるように延びるパイプ22を有する。このパイプ22は、排気管20の流れ方向の上流側に位置している。そのため、以下においては、パイプ22は、必要に応じて「上流パイプ」22と呼ぶ。
【0019】
図4図6に示すように、金属触媒担体30は、流れ方向に沿って延びる複数の通過区画41a,42a,43a,44aから成る通過区画群40を有する。金属触媒担体30は、複数の通過区画41a~44aを画定する内壁31を有する。通過区画41a~44aに面する内壁31の表面31aに触媒32がコーティングされている。金属触媒担体30は、その外周部30aを触媒ケース21の内周部21aに当接させるように触媒ケース21に嵌合している。
【0020】
内壁31は、波板形状に形成される複数の波板部51,52,53,54から成る波板群50を有する。内壁31は、平板形状に形成される複数の平板部61,62,63,64,65から成る平板群60を有する。複数の波板部51~54及び複数の平板部61~65が、これらの厚さ方向を流れ方向に直交する方向に一致させた状態で複数の波板部51~54の1つ及び平板部61~65の1つを交互に重ねるように配置される。
【0021】
図1図2、及び図5に示すように、触媒ケース21は、車両前方から車両後方に向かうに従って上方に持ち上がる傾斜姿勢にて配置される。図5及び図6に示すように、金属触媒担体30の流れ方向の上流端部30bが、車両側面視にて、流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる階段形状(以下、必要に応じて、「第1階段形状」という)に形成されている。
【0022】
さらに、本実施形態に係る自動二輪車の排気装置10は、概略的には次のように構成することができる。図1図3及び図5に示すように、パイプ22の流れ方向の下流端部22aは、触媒ケース21の流れ方向の上流端部21bにおける上方区域21cに接続されている。
【0023】
図5に示すように、金属触媒担体30における複数の通過区画41a~44aの長さは、上方から下方に向かうに従って減少している。図4及び図6に示すように、金属触媒担体30は、流れ方向で見て、上方から下方に向かうに従ってその幅を小さくするように逆台形形状に形成されている。
【0024】
「自動二輪車の詳細」
図1を参照すると、本実施形態に係る排気装置10を有する自動二輪車は、詳細には次のように構成することができる。自動二輪車の車体1は、互いに前後方向に間隔を空けた前輪2及び後輪3を有する。後輪3は、前輪2に対して前方に位置する。
【0025】
車体1は、エンジン11に対して後方側に位置するトランスミッション4を有する。トランスミッション4は、前後方向にてエンジン11に隣接する。トランスミッション4及びエンジン11は、前後方向にて前輪2と後輪3との間に位置する。車体1は、トランスミッション4及びエンジン11に対して上方に位置する燃料タンク5を有する。
【0026】
車体1は、燃料タンク5に対して後方に位置するシート6を有する。車体1はまた、燃料タンク5に対して前方に位置するハンドル部7を有する。ライダーは、シート6に着座した状態で、自動二輪車をコントロールすべくハンドル部7を操作することができる。
【0027】
「排気装置の排気管の詳細」
図1図5を参照すると、本実施形態に係る排気装置10の排気管20は、詳細には次のように構成することができる。図1に示すように、排気装置10の排気管20は、その流れ方向の下流端部に位置するマフラー(サイレンサー)23を有する。排気管20は、触媒ケース21とマフラー23とを連通させるように延びる中間パイプ24を有する。
【0028】
特に明確に図示はしないが、上流パイプ22は、エンジン11から延びる複数のヘッダー部22b(図1を参照)と、これら複数のヘッダー部22bを上流パイプ22の下流端部22aにて1つとなるように合流させたコレクタ部22c(図1を参照)とを有するエキゾーストマニホールド22となっている。図3に示すように、パイプ22の下流端部22aは、触媒ケース21の上流端部21bにおける上方区域21cの幅方向の略中央に接続されている。
【0029】
図1に示すように、排気管20の触媒ケース21は、トランスミッション4及びエンジン11の下方に配置される。触媒ケース21は、上下方向で見て、トランスミッション4及びエンジン11とオーバーラップするように配置される。
【0030】
図5に示すように、排気管20において、触媒ケース21の上流端部21bは、金属触媒担体30の上流端部30bと流れ方向に間隔を空けている。触媒ケース21の上流端部21bは、車両側面視にて、流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がるように傾斜する略直線形状に形成されている。このような触媒ケース21の上流端部21bの傾斜は、金属触媒担体30の上流端部30bの勾配と実質的に一致している。触媒ケース21の流れ方向の下流端部21dは、金属触媒担体30の流れ方向の下流端部30cに対して流れ方向に間隔を空けている。
【0031】
しかしながら、触媒ケースの上流端部は、金属触媒担体の上流端部の第1階段形状と実質的に同様の階段形状に形成することができる。触媒ケースの上流端部の傾斜は、金属触媒担体の上流端部の勾配と異ならせることもできる。
【0032】
図2及び図5に示すように、触媒ケース21の下流端部21dは、車両側面視にて、流れ方向に略直交する方向に延びる略直線形状に形成されている。触媒ケース21の下流端部21dは、車両側面視にて、金属触媒担体30の下流端部30cに対して略平行となっている。しかしながら、触媒ケースの下流端部は、車両側面視にて、金属触媒担体の下流端部に対して傾けることもできる。
【0033】
触媒ケース21の上下方向の頂部21e及び底部21fは、それぞれ、金属触媒担体30の上下方向の頂部30d及び底部30eに対応するように形成されている。触媒ケース21の頂部21e及び底部21fは、それぞれ、金属触媒担体30の頂部30d及び底部30eに密着している。
【0034】
触媒ケース21の頂部21e及び底部21fは、触媒ケース21の傾斜姿勢に対応するように略直線形状に延びている。触媒ケース21の頂部21e及び底部21fは、互いに対して略平行になっている。しかしながら、触媒ケースの頂部及び底部は、互いに対して傾かせることもできる。触媒ケースの頂部及び底部の少なくとも一方は、湾曲を含むように形成することもできる。
【0035】
図4に示すように、触媒ケース21の幅方向の両側方部21g,21hは、それぞれ、金属触媒担体30の幅方向の両側方部30f,30gに対応するように形成されている。触媒ケース21の両側方部21g,21hは、それぞれ、金属触媒担体30の両側方部30f,30gに密着している。
【0036】
図3及び図4に示すように、触媒ケース21の幅方向の各側方部21g,21hは、流れ方向で見て、上方から下方に向かうに従って触媒ケース21の幅方向の略中央に接近するように傾斜する略直線形状に形成されている。触媒ケース21の両側方部21g,21hは、幅方向にて略対称となっている。しかしながら、触媒ケースの両側方部は、互いに対して傾かせることもできる。触媒ケースの両側方部の少なくとも一方は、湾曲を含むように形成することもできる。
【0037】
図2及び図5に示すように、中間パイプ24の流れ方向の上流端部24aは、車両幅方向で見て、触媒ケース21における下流端部21dの流れ方向に略直交する方向の略中央に取り付けられている。特に明確に図示はしないが、中間パイプ24の上流端部24aは、触媒ケース21における下流端部21dの幅方向の略中央に取り付けられている。
【0038】
図1に示すように、中間パイプ24の流れ方向の下流端部24bは、マフラー23の流れ方向の上流端部23aに接続される。マフラー23は、その流れ方向の下流端部23bに位置する排気出口23cを有する。
【0039】
このような排気管20の触媒ケース21、上流パイプ22、マフラー23のマフラーケース23d、及び中間パイプ24(以下、必要に応じて、「ケース類」という)のそれぞれに用いられる材料は、金属となっている。例えば、各ケース類に用いられる金属は、ステンレス鋼合金とすることができる。
【0040】
しかしながら、各ケース類に用いられる材料は、これに限定されない。ケース類の少なくとも1つに用いられる金属は、ステンレス鋼合金以外の金属とすることもできる。このような金属は、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金等から選択されたものとすることができる。ケース類の少なくとも1つに用いられる材料は、金属以外の材料とすることもできる。例えば、このような材料は、ケブラー、カーボン等から選択されたものとすることができる。
【0041】
このような排気管20において、エンジン11から排出されたガスは、上流パイプ22を通って触媒ケース21に入る。触媒ケース21に入ったガスは、金属触媒担体30における複数の通過区画41a~44aを通過する。その後、複数の通過区画41a~44aを通過したガスは、触媒ケース21から中間パイプ24に入る。さらに、中間パイプ24を入ったガスは、中間パイプ24及びマフラー23を通過し、その後、排気出口23cから排気管20の外部、すなわち、車両外部に排出される。
【0042】
「排気管の金属触媒担体の詳細」
図4図6を参照すると、排気管20の金属触媒担体30は、詳細には次のように構成することができる。内壁31に用いられる金属は、ステンレス鋼合金となっている。また、金属触媒担体30の触媒32は、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀等、又はこれらのうち2種類以上の混合物等とすることができる。
【0043】
排気管20の金属触媒担体30の内壁31に用いられる金属は、ステンレス鋼合金となっている。しかしながら、内壁に用いられる金属は、ステンレス鋼合金以外とすることもできる。例えば、内壁に用いられる金属は、Fe-Cr-Al合金、Ni-Cr-Al合金等とすることもできる。
【0044】
図4図6は、一例として、金属触媒担体30の通過区画群40が、それぞれ4種類の流れ方向の長さに設定された4種類の通過区画列41,42,43,44、すなわち、第1通過区画列41、第2通過区画列42、第3通過区画列43、及び第4通過区画列44から成る場合を示す。この場合、4種類の通過区画列41,42,43,44には、これらの流れ方向の長さにそれぞれ対応した4種類の通過区画41a,42a,43a,44a、すなわち、第1通過区画41a、第2通過区画42a、第3通過区画43a、及び第4通過区画44aがそれぞれ配置される。
【0045】
言い換えれば、各通過区画列41~44は、その流れ方向の長さに対応した流れ方向の長さに設定された複数の通過区画41a~44aを有する。各通過区画列41~44における複数の通過区画41a~44aは、幅方向に並ぶ。各通過区画列41~44は、触媒ケース21の傾斜姿勢に対応するように略直線形状に延びている。各通過区画41a~44aもまた、触媒ケース21の傾斜姿勢に対応するように略直線形状に延びている。
【0046】
第1~第4通過区画列41~44は、下から上に向かって、この順に並ぶ。第1~第4通過区画41a~44aもまた、下から上に向かって、この順に並ぶ。第1~第4通過区画列41~44の流れ方向の長さは、下から上に向かうに従って順に長くなるように設定されている。各通過区画41a~44aは、流れ方向で見て、略三角形状又は略逆三角形状に形成される。
【0047】
しかしながら、通過区画群は、それぞれ複数種類の流れ方向の長さに設定された複数種類の通過区画列から成ることができる。このような複数種類の通過区画列の流れ方向の長さは、下から上に向かうに従って順に長くなるように設定される。
【0048】
図4図6は、一例として、金属触媒担体30の波板群50が、それぞれ4種類の通過区画列41~44の流れ方向の長さに対応した4つの波板部51,52,53,54、すなわち、第1波板部51、第2波板部52、第3波板部53、及び第4波板部54から成る場合を示す。
【0049】
しかしながら、波板群は、それぞれ複数種類の通過区画列の流れ方向の長さに対応した複数の波板部から成ることができる。このような複数の波板部の流れ方向の長さは、下から上に向かうに従って順に長くなるように設定される。
【0050】
図4図6は、一例として、金属触媒担体30の平板群60が、それぞれ4種類の通過区画列41~44の流れ方向の長さに対応した4つの平板部61,62,63,64、すなわち、第1平板部61、第2平板部62、第3平板部63、及び第4平板部64と、流れ方向にて最も長い通過区画列44、すなわち、第4通過区画列44の流れ方向の長さに対応した追加の平板部65、すなわち、第5平板部65とから成る場合を示す。内壁31はまた、その幅方向の一方側縁に沿って配置される側方板部70を有する。
【0051】
しかしながら、平板群は、それぞれ複数種類の通過区画列の流れ方向の長さに対応した複数の平板部と、流れ方向にて最も長い通過区画列に対応した追加の平板部とから成ることもできる。このような複数の平板部は、下から上に向かうに従って順に長くなり、かつ追加の平板部は、複数の平板部よりも上方に位置する。
【0052】
各通過区画41a~44aは、それに対応する波板部51~54と、この波板部51~54の上方若しくは下方に位置し、かつこれに上下方向にて隣接する平板部61~64若しくは追加の平板部65とによって画定されるか、又はこの通過区画41a~44aに対応する波板部51~54と、この波板部51~54の上方に位置し、かつこれに上下方向にて隣接する隣接する平板部62~64若しくは追加の平板部65と、側方板部70とによって画定される。
【0053】
内壁31において、側方板部70の上端は、追加の平板部65の幅方向の一方端に接続される。追加の平板部65の幅方向の他方端は、最も上方に位置する波板部54の幅方向の他方端に接続される。各波板部51~54の幅方向の他方端は、この波板部51~54の下方に位置し、かつこれに上下方向にて隣接する平板部61~64の幅方向の他方端に接続され、かつ各平板部61~64の幅方向の一方端は、この平板部61~64の下方位置し、かつこれに上下方向にて隣接する波板部51~53の幅方向の一方端に接続されるように、最も上方に位置する波板部54及び平板部64から最も下方に位置する波板部51及び平板部61までの接続が行われる。このような内壁31の波板群50、平板群60、及び側方板部70は、1つの切断加工された帯材料100から構成される。
【0054】
「排気装置の製造方法の概略」
図7図9を参照すると、本実施形態に係る排気装置10の製造方法は、概略的には次のようになっている。図7に示すように、排気装置10の製造方法は、金属触媒担体30の製造工程(金属触媒担体製造工程)S10を含む。
【0055】
図8及び図9を参照すると、金属触媒担体製造工程S10は、金属触媒担体30の材料である帯材料100を準備する工程(材料準備工程)S11を含む。帯材料100は、上述した内壁31に用いられる金属から構成される。帯材料100はまた、帯形状に形成される。
【0056】
金属触媒担体製造工程S10は、帯材料100の幅方向の一方縁部100aを、上述のような第1階段形状の金属触媒担体30の上流端部30bを形作ることを可能とするように帯材料100の長手方向に並ぶ複数のステージ101,102,103,104を有する第2階段形状に形成するように切断加工する工程(材料切断工程)S12を含む。なお、図9においては、帯材料100の幅方向の一方を片側矢印W1により示し、かつ帯材料100の幅方向の他方を片側矢印W2により示す。また、図9においては、帯材料100の長手方向の一方を片側矢印U1により示し、かつ帯材料100の長手方向の他方を片側矢印U2により示す。
【0057】
複数のステージ101~104は、帯材料100の長手方向の一方から同他方に向かうに従って帯材料100の幅方向の長さを順に小さくするように形作られる。材料切断工程S12にて切断された帯材料100は、複数のステージ101,102,103,104にそれぞれ対応するように長手方向に並ぶ複数のステージ領域111,112,113,114を有する。
【0058】
金属触媒担体製造工程S10は、切断加工された帯材料100における複数のステージ領域111~114の1つを互いに重なる波板部51~54及び平板部61~64として形成するように、複数のステージ領域111~114を長手方向に沿って順に折り曲げ、これによって、内壁31を得る工程(材料折り曲げ工程)S13を含む。さらに、金属触媒担体製造工程S10は、内壁31の表面31aに上述した触媒32をコーティングする工程(触媒被膜工程)S14を含む。
【0059】
「排気装置の製造方法の詳細」
図7図9を参照すると、本実施形態に係る排気装置10の製造方法は、詳細には次のようにすることができる。図7に示すように、排気装置10の製造方法は、金属触媒担体製造工程S10の後に、上流パイプ22を準備する工程(上流パイプ準備工程)S20と、触媒ケース21を準備する工程(触媒ケース準備工程)S30と、中間パイプ24を準備する工程(中間パイプ準備工程)S40と、マフラー23を準備する工程(マフラー準備工程)S50とを含む。なお、金属触媒担体製造工程S10と、上流パイプ準備工程S20と、触媒ケース準備工程30と、中間パイプ準備工程S40と、マフラー準備工程S50とは、順不同とすることができる。
【0060】
排気装置10の製造方法は、金属触媒担体30と、上流パイプ22と、触媒ケース21と、中間パイプ24と、マフラー23とを組み立てて、これによって、排気管20を得る工程(排気管組立工程S60)を有する。排気装置10の製造方法は、組み立てられた排気管20をエンジン11に取り付ける工程(排気管取付工程S70)を有する。
【0061】
図9は、一例として、材料切断工程S12にて切断加工された帯材料100が、それぞれ4つの通過区画列41~44の流れ方向の長さに対応する幅方向の長さにそれぞれ設定される4つのステージ領域111~114を有する場合を示している。すなわち、図9において、切断加工された帯材料100は、それぞれ第1~第4通過区画列41~44の流れ方向の長さに対応する幅方向の長さにそれぞれ設定される第1~第4ステージ領域111~114を有する。しかしながら、切断加工された帯材料は、それぞれ複数の通過区画列の流れ方向の長さに対応する複数のステージ領域を有することができる。
【0062】
切断加工された帯材料100において、各ステージ領域111~114は、このステージ領域111~114の幅方向の長さに対応する流れ方向の長さに設定される波板部51~54及び平板部61~64を形作るための波板対応部121~124及び平板対応部131~134を有する。各ステージ領域111~114にて、波板対応部121~124は、平板対応部131~134に対して帯材料100の流れ方向の一方側に位置し、かつこれに流れ方向にて隣接する。
【0063】
切断加工された帯材料100は、最も幅方向に長いステージ領域114に対して長手方向の一方に位置し、かつこれに長手方向にて隣接する追加の平板対応部135を有する。追加の平板対応部135は、追加の平板部65を形作るためのものとなっている。
【0064】
切断加工された帯材料100は、追加の平板対応部135に対して長手方向の一方に位置し、かつこれに長手方向にて隣接する側方板対応部140を有する。側方板対応部140は、側方板部70を形作るためのものとなっている。側方板対応部140の幅方向の一方縁部140aは、上述した第1階段形状に形成されている。なお、図9においては、波板対応部121~124、平板対応部131~134、追加の平板対応部135、及び側方板対応部140のうち帯材料100の長手方向に隣接するもの同士の境界は、仮想線によって示されている。
【0065】
材料折り曲げ工程S13においては、切断加工された帯材料100が、その長手方向の一方から同他方に向かう方向にて、側方板対応部140、追加の平板対応部135、複数のステージ領域111~114の順に折り曲げられる。切断加工された帯材料100の全体を折り曲げる途中で各ステージ領域111~114を折り曲げるときに、この波板対応部121~124が波形状に折り曲げられる。しかしながら、各ステージ領域の波板対応部は、切断加工された帯材料の全体を折り曲げる前に、予め波形状に折り曲げられることもできる。
【0066】
以上、本実施形態に係る自動二輪車の排気装置10は、ガスを排出する排気口11aを有するエンジン11と、前記排気口11aからのガスを通過可能とするように前記排気口11aに接続される排気管20とを備え、前記排気管20が、それを通過するガスの流れ方向に沿って配置される金属触媒担体30と、前記金属触媒担体30を収容し、かつ前記エンジン11の下方に配置される触媒ケース21と、前記エンジン11の排気口11a及び前記触媒ケース21を連通させるように延びるパイプ22とを有し、前記金属触媒担体30が、前記流れ方向に沿って延びる複数の通過区画41a~44aを画定する内壁31を有し、前記通過区画41a~44aに面する前記内壁31の表面31aに触媒32がコーティングされており、前記金属触媒担体30が、その外周部30aを前記触媒ケース21の内周部21aに当接させるように前記触媒ケース21に嵌合している、自動二輪車の排気装置10であって、前記金属触媒担体30の内壁31が、波板形状に形成される複数の波板部51~54と、平板形状に形成される複数の平板部61~64とを有し、前記複数の波板部51~54及び前記複数の平板部61~64が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部51~54の1つ及び前記複数の平板部61~64の1つを交互に重ねるように配置され、前記触媒ケース21が、車両前方から車両後方に向かうに従って上方に持ち上がる傾斜姿勢にて配置され、前記金属触媒担体30の流れ方向の上流端部30bが、車両側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる階段形状に形成されている。
【0067】
このような排気装置10においては、触媒ケース21が、前方から後方に向かうに従って持ち上がる傾斜姿勢にて配置される場合であっても、流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる階段形状に形成された金属触媒担体30の上流端部30bに対応するように触媒ケース21の上流端部21bを形成することができる。そのため、エンジン11から金属触媒担体30までの排ガスの経路を減少させるべく、金属触媒担体30を収容した触媒ケース21を前方寄りに移動させる場合であっても、触媒ケース21、特に、触媒ケース21の上流端部21bから地面G(図1に示す)までの距離を十分に確保できる。その結果、金属触媒担体30を収容した触媒ケース21が地面Gに接触するのを効率的に防ぐことができる。
【0068】
このような排気装置10においては、エンジン11から金属触媒担体30までの排ガスの経路の減少によって、エンジン11からの熱気によって金属触媒担体30の触媒32を早期に暖めることができ、この触媒32の暖機による活性化を図ることができる。また、階段形状に形成された金属触媒担体30の上流端部30bによって、排ガスが乱流の状態で金属触媒担体30に流入するので、排ガスが触媒32の表面に十分に接触せずに金属触媒担体30を通過することを抑制できる。言い換えれば、排ガスを触媒32の表面に十分に接触させながら金属触媒担体30を通過させることができる。その結果、排ガスの浄化性能を向上させることができる。よって、本実施形態に係る排気装置10においては、排ガスの浄化性能を向上させることができ、金属触媒担体30を収容した触媒ケース21が地面Gに接触するのを効率的に防ぐことができる。
【0069】
本実施形態に係る排気装置10においては、前記パイプ22の流れ方向の下流端部22aが、前記触媒ケース21の流れ方向の上流端部21bにおける上方区域21cに接続されており、前記金属触媒担体30における前記複数の通過区画41a~44aの長さが、上方から下方に向かうに従って減少している。
【0070】
このような排気装置10においては、パイプ22を通った排ガスが、触媒ケース21の上流端部21bの上方区域21cから触媒ケース21内に流入する。そのため、金属触媒担体30の下方側を流れる排ガスの流速は、金属触媒担体30の上方側を流れる排ガスの流路よりも遅くなる一方で、金属触媒担体30の下方側における通過区域の長さが、金属触媒担体30の上方側における通過区域の長さよりも短くなっているので、金属触媒担体30全体に流れる排ガスの流速を均一化できる。その結果、排ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0071】
本実施形態に係る排気装置10においては、前記金属触媒担体30が、前記流れ方向で見て、上方から下方に向かうに従ってその幅を小さくするように逆台形形状に形成されている。このような排気装置10においては、流れ方向で見て逆台形形状の金属触媒担体30に対応するように触媒ケース21を形成することができるので、自動二輪車がバンクしながら旋回する場合に、金属触媒担体30を収容した触媒ケース21が地面Gに接触するのを効率的に防ぐことができる。
【0072】
本実施形態に係る自動二輪車の排気装置10の製造方法は、自動二輪車の排気装置10に設けられる金属触媒担体30であって、ガスの流れ方向に沿って延びる複数の通過区画41a~44aを画定する内壁31を有し、前記内壁31が、波板形状に形成される複数の波板部51~54と、平板形状に形成される複数の平板部61~64とを有し、前記複数の波板部51~54及び前記複数の平板部61~64が、これらの厚さ方向を前記流れ方向に直交する方向に一致させた状態で前記複数の波板部51~54の1つ及び前記複数の平板部61~64の1つを交互に重ねるように配置され、前記金属触媒担体30の流れ方向の上流端部30bが、側面視にて、前記流れ方向の下流から同上流に向かうに従って上方に持ち上がる第1階段形状に形成される、金属触媒担体30の製造工程S10を含む自動二輪車の排気装置10の製造方法であって、前記金属触媒担体30の製造工程S10が、前記金属触媒担体30の材料であり、かつ帯形状に形成される金属製の帯材料100を準備する工程S11と、前記帯材料100の幅方向の一方縁部100aを、前記第1階段形状の上流端部30bを形作ることを可能とするように前記帯材料100の長手方向に並ぶ複数のステージ101~104を有する第2階段形状に形成するように切断加工する工程であって、前記複数のステージ101~104が、前記帯材料100の長手方向の一方から同他方に向かうに従って前記帯材料100の幅方向の長さを順に小さくするように形作られ、かつ切断加工された前記帯材料100が、前記複数のステージ101~104にそれぞれ対応するように前記長手方向に並ぶ複数のステージ領域111~114を有する、工程S12と、前記切断加工された帯材料100における前記複数のステージ領域111~114の1つを互いに重なる前記波板部51~54及び前記平板部61~64として形成するように、前記複数のステージ領域111~114を前記長手方向に沿って順に折り曲げ、これによって、前記内壁31を得る工程S13と、前記内壁31の表面31aに触媒32をコーティングする工程S14とを含む。
【0073】
このような製造方法によって製造される排気装置10においては、上述した排気装置10の効果と同様の効果を得ることができる。これに加えて、本実施形態に係る排気装置10の製造方法においては、切断加工された1つの帯材料100を折り返すというシンプルな作業によって、金属触媒担体30を作製できるので、金属触媒担体30の作製を容易化できる。よって、本実施形態に係る製造方法においては、排ガスの浄化性能を向上させることができ、金属触媒担体30を収容した触媒ケース21が地面Gに接触するのを効率的に防ぐことができ、金属触媒担体30の製造を容易にすることができる。
【0074】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
10…排気装置
11…エンジン、11a…排気口
20…排気管
21…触媒ケース、21a…内周部、21b…上流端部、21c…上方区域
22…パイプ、上流パイプ、エキゾーストマニホールド、22a…下流端部
30…金属触媒担体、30a…外周部、30b…上流端部、31…内壁、31a…表面、32…触媒
41a…通過区画、第1通過区画、42a…通過区画、第2通過区画、43a…通過区画、第3通過区画、44a…通過区画、第4通過区画
51…波板部、第1波板部、52…波板部、第2波板部、53…波板部、第3波板部、54…波板部、第4波板部
61…平板部、第1平板部、62…平板部、第2平板部、63…平板部、第3平板部
64…平板部、第4平板部
100…帯材料、100a…一方縁部
101,102,103,104…ステージ
111…ステージ領域、第1ステージ領域、112…ステージ領域、第2ステージ領域,113…ステージ領域、第3ステージ領域、114…ステージ領域、第4ステージ領域
S10…製造工程、金属触媒担体製造工程、S11…工程、材料準備工程、S12…工程、材料切断工程、S13…工程、材料折り曲げ工程、S14…工程、触媒被膜工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9