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特許7454161ロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240314BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240314BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B25J5/00 E
B25J13/00 Z
B65G1/137 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020067692
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160071
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517135833
【氏名又は名称】Telexistence株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134094
【弁理士】
【氏名又は名称】倉持 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元紀
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101612(JP,A)
【文献】特開2019-139516(JP,A)
【文献】特開2019-198945(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05D 1/00- 1/87
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が遠隔操作をするロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、
前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、
を有する、ロボット制御装置であって、
一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業が完了したか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記送信部は、前記判定部が完了していないと判定した一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業を示す情報を、前記ロボットを管理するための管理者端末及び前記操作者端末の少なくとも一方に送信する、ロボット制御装置
【請求項2】
操作者が遠隔操作をするロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、
前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、
を有する、ロボット制御装置であって、
前記送信部は、複数の前記対象物それぞれの優先度を前記操作者端末に送信し、
前記受信部は、前記送信部が前記優先度を前記操作者端末に送信した後に、前記操作者端末から前記移動要求を受信する、ロボット制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記対象物情報及び前記作業位置情報に、前記対象物に対する一又は複数の作業内容を関連付けて記憶し、
前記受信部は、前記操作者端末から、前記一又は複数の作業内容のいずれかと、前記対象物情報とが指定された前記移動要求を受信し、
前記特定部は、前記移動要求において指定された前記作業内容及び前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する、
請求項1又は2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記操作者端末から、前記ロボットに対する前記遠隔操作の内容を指定した操作要求を受信し、
前記送信部は、前記ロボットが前記移動指示に従って移動していない場合に、前記操作要求において指定された前記遠隔操作の内容を前記ロボットに行わせる操作指示を前記ロボットに送信し、前記ロボットが前記移動指示に従って移動している場合に、前記操作要求において指定された前記遠隔操作の内容の少なくとも一部を前記ロボットに行わせる前記操作指示を前記ロボットに送信しない、
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記移動要求において指定された前記対象物情報に基づいて前記対象物の保管位置を特定し、
前記送信部は、前記特定部が特定した前記保管位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を前記ロボットに送信した後、前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を前記ロボットに送信する、
請求項1からのいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記保管位置において前記ロボットに前記対象物を探させる探索指示を前記ロボットに送信する、
請求項に記載のロボット制御装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記判定部が第1の対象物に対する作業が完了したと判定した場合に、第2の対象物に対する作業を行うための前記作業位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を、前記ロボットに送信する、
請求項に記載のロボット制御装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記管理者端末及び前記操作者端末の少なくとも一方から、前記判定部が完了していないと判定した一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業の中断又は順序変更を指定した変更要求を受信し、
前記送信部は、前記変更要求に基づいて前記移動指示を前記ロボットに送信する、
請求項又はに記載のロボット制御装置。
【請求項9】
前記送信部は、三次元地図上で前記対象物の位置を示す情報を前記操作者端末に送信し、
前記受信部は、前記操作者端末から、前記三次元地図上で指定された位置に関連付けられた前記対象物情報を指定した前記移動要求を受信する、
請求項1からのいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項10】
前記送信部は、前記移動指示を前記操作者端末に送信した後に、前記対象物情報に基づいて、前記作業を完了する期限及び前記作業に掛ける時間の少なくとも一方を示す情報を、前記操作者端末に送信する、
請求項1からのいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項11】
操作者が遠隔操作をするロボットと、
前記ロボットを制御するためのロボット制御装置と、
を含み、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、
前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、
一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業が完了したか否かを判定する判定部と、
を有し、
前記送信部は、前記判定部が完了していないと判定した一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業を示す情報を、前記ロボットを管理するための管理者端末及び前記操作者端末の少なくとも一方に送信し、
前記ロボットは、
前記ロボット制御装置が送信した前記移動指示に従って、前記ロボットが前記作業位置へ移動することを制御する移動制御部を有する、
ロボット制御システム。
【請求項12】
操作者が遠隔操作をするロボットと、
前記ロボットを制御するためのロボット制御装置と、
を含み、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、
前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、
を有し、
前記送信部は、複数の前記対象物それぞれの優先度を前記操作者端末に送信し、
前記受信部は、前記送信部が前記優先度を前記操作者端末に送信した後に、前記操作者端末から前記移動要求を受信し、
前記ロボットは、
前記ロボット制御装置が送信した前記移動指示に従って、前記ロボットが前記作業位置へ移動することを制御する移動制御部を有する、
ロボット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場において作業をするロボットを制御するためのロボット制御装置、ロボット制御システム及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等の作業場において、ロボットを用いて商品の陳列等の作業を行うシステムの導入が進められている。特許文献1には、コンベア上で商品を載せるコンテナを搬送するとともに、ロボットをレールに沿って移動させ、ロボットによって商品を棚に入れるシステムが開示されている。特許文献1に記載されたシステムは、コンベア上を搬送されているコンテナに付されたバーコードを棚に設けられたバーコードリーダを用いて読み取ることによって、ロボットによって商品を入れる棚の位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-50911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、商品を配置する棚に沿って、商品を搬送するコンベアと、ロボットを移動させるレールとが設けられている必要がある。したがって、コンベアやレールから離れた位置に配置された商品に対する作業をロボットにさせることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、様々な種類の作業が行われる作業場において、対象物に対する作業をする位置にロボットを移動可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のロボット制御装置は、操作者が遠隔操作をするロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、前記対象物情報及び前記作業位置情報に、前記対象物に対する一又は複数の作業内容を関連付けて記憶し、前記受信部は、前記操作者端末から、前記一又は複数の作業内容のいずれかと、前記対象物情報とが指定された前記移動要求を受信し、前記特定部は、前記移動要求において指定された前記作業内容及び前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定してもよい。
【0008】
前記受信部は、前記操作者端末から、前記ロボットに対する前記遠隔操作の内容を指定した操作要求を受信し、前記送信部は、前記ロボットが前記移動指示に従って移動していない場合に、前記操作要求において指定された前記遠隔操作の内容を前記ロボットに行わせる操作指示を前記ロボットに送信し、前記ロボットが前記移動指示に従って移動している場合に、前記操作要求において指定された前記遠隔操作の内容の少なくとも一部を前記ロボットに行わせる前記操作指示を前記ロボットに送信しなくてもよい。
【0009】
前記特定部は、前記移動要求において指定された前記対象物情報に基づいて前記対象物の保管位置を特定し、前記送信部は、前記特定部が特定した前記保管位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を前記ロボットに送信した後、前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を前記ロボットに送信してもよい。
【0010】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記保管位置において前記ロボットに前記対象物を探させる探索指示を前記ロボットに送信してもよい。
【0011】
前記ロボット制御装置は、一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業が完了したか否かを判定する判定部をさらに有し、前記送信部は、前記判定部が完了していないと判定した一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業を示す情報を、前記ロボットを管理するための管理者端末及び前記操作者端末の少なくとも一方に送信してもよい。
【0012】
前記送信部は、前記判定部が第1の対象物に対する作業が完了したと判定した場合に、第2の対象物に対する作業を行うための前記作業位置に前記ロボットを移動させる前記移動指示を、前記ロボットに送信してもよい。
【0013】
前記受信部は、前記管理者端末及び前記操作者端末の少なくとも一方から、前記判定部が完了していないと判定した一又は複数の前記対象物それぞれに対する作業の中断又は順序変更を指定した変更要求を受信し、前記送信部は、前記変更要求に基づいて前記移動指示を前記ロボットに送信してもよい。
【0014】
前記送信部は、複数の前記対象物それぞれの優先度を前記操作者端末に送信し、前記受信部は、前記送信部が前記優先度を前記操作者端末に送信した後に、前記操作者端末から前記移動要求を受信してもよい。
【0015】
前記送信部は、三次元地図上で前記対象物の位置を示す情報を前記操作者端末に送信し、前記受信部は、前記操作者端末から、前記三次元地図上で指定された位置に関連付けられた前記対象物情報を指定した前記移動要求を受信してもよい。
【0016】
前記送信部は、前記移動指示を前記操作者端末に送信した後に、前記対象物情報に基づいて、前記作業を完了する期限及び前記作業に掛ける時間の少なくとも一方を示す情報を、前記操作者端末に送信してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様のロボット制御システムは、操作者が遠隔操作をするロボットと、前記ロボットを制御するためのロボット制御装置と、を含み、前記ロボット制御装置は、前記ロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信する送信部と、を有し、前記ロボットは、前記ロボット制御装置が送信した前記移動指示に従って、前記ロボットが前記作業位置へ移動することを制御する移動制御部を有する。
【0018】
本発明の第3の態様のロボット制御システムは、操作者が遠隔操作をするロボットを制御するためのロボット制御システムであって、前記ロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信する受信部と、前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させるよう制御する移動制御部と、を有する。
【0019】
本発明の第4の態様のロボット制御方法は、プロセッサが実行する、操作者が遠隔操作をするロボットが作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、前記対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、前記ロボットを操作するための操作者端末から、前記対象物情報を指定した移動要求を受信するステップと、前記移動要求において指定された前記対象物情報に関連付けられた前記作業位置情報が示す前記作業位置を特定するステップと、前記特定するステップが特定した前記作業位置に前記ロボットを移動させる移動指示を、前記ロボットに送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、様々な種類の作業が行われる作業場において、対象物に対する作業をする位置にロボットを移動可能にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るロボット制御システムの模式図である。
図2】実施形態に係るロボット制御システムのブロック図である。
図3】ロボット制御装置の記憶部が記憶する情報の模式図である。
図4】操作者端末が表示する作業指定画面の模式図である。
図5】移動指示及び探索指示を説明するための模式図である。
図6】操作者端末が表示する移動画面の模式図である。
図7】操作者端末が表示する遠隔操作画面の模式図である。
図8】管理者端末が表示する未完了作業画面の模式図である。
図9】実施形態に係るロボット制御システムが実行するロボット制御方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[ロボット制御システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るロボット制御システムSの模式図である。ロボット制御システムSは、ロボット制御装置1と、ロボット2と、操作者端末3と、管理者端末4とを含む。ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4は、それぞれ複数設けられてもよい。ロボット制御システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
ロボット制御装置1は、操作者端末3から受信した情報に基づいて、ロボット2を対象物が保管されている位置及び対象物に対する作業をする位置に移動させるための制御をするとともに、操作者がロボット2を遠隔操作するための制御をするコンピュータである。ロボット制御装置1は、ローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークを介して、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4に接続される。
【0024】
ロボット2は、操作者がネットワークを介して遠隔操作をする装置である。ロボット2は、店舗、倉庫等の作業場に配置されており、ロボット制御装置1から受信した情報に従って所定の作業を行う。ロボット2が実行する作業の一部は自動化されており、例えばロボット2は作業位置に自動的に移動した後、操作者による遠隔操作によって作業をする。ロボット2は、例えば、頭部、腕部、脚部等の複数の部位からなる体を備えている。ロボット2は、モータ、アクチュエータ等の駆動部を有しており、駆動部の動力を用いて動作する。また、ロボット2は、撮像部(カメラ)を有しており、撮像部を用いて撮像した撮像画像をロボット制御装置1に送信する。
【0025】
操作者端末3は、操作者が利用する情報端末(コンピュータ)である。操作者端末3は、ロボット2を作業位置に移動させるための移動要求の入力を受け付けるとともに、ロボット2を遠隔操作するための操作情報の入力を受け付ける。操作者端末3は、操作者による入力を受け付け可能なキーボードやタッチパネル等の入力部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、情報を音声で出力可能なスピーカ等の音声出力部とを有する。さらに操作者端末3は、ロボット2の触覚(すなわちロボット2が物体に接触する感覚)を提示可能な触覚提示部を有してもよい。
【0026】
操作者端末3の入力部は、操作者による操作に基づいて、操作指示の入力を受け付ける。また、操作者端末3の入力部は、操作者の体に装着されたセンサを含み、当該センサが測定した測定情報に基づいて、操作指示の入力を受け付けてもよい。また、操作者端末3の入力部は、操作者の体を撮像する撮像部(カメラ)を含み、当該撮像部が撮像した撮像画像に基づいて、操作指示の入力を受け付けてもよい。操作者端末3の表示部は、操作者の体に装着された、眼鏡型のディスプレイ(すなわち、ヘッド・マウント・ディスプレイ)を含んでもよい。また、操作者端末3は、作業に関する情報(作業の内容、量、残量等)を表示部に表示し、作業に関する情報を示す音声を音声出力部から出力する。操作者端末3は、図1に示した例示的な構成に限らず、操作者による操作の入力を受け付けるとともに、操作者に対して情報を提示可能なその他の構成を備えてもよい。
【0027】
管理者端末4は、ロボット2や操作者等を管理する管理者が利用する情報端末(コンピュータ)である。管理者端末4は、操作者が予定している作業の進捗状況を表示し、また管理者から作業の順序変更や中断をする操作を受け付ける。管理者端末4は、管理者による入力を受け付け可能なキーボードやタッチパネル等の入力部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部とを有する。ロボット制御システムSは、管理者端末4を含まなくてもよい。
【0028】
本実施形態に係るロボット制御システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。ロボット制御装置1は、ロボット2が作業対象とする対象物(物品)を識別可能な対象物情報と、対象物に対する作業を行うための一又は複数の作業位置を示す作業位置情報とを関連付けて予め記憶する。
【0029】
操作者端末3は、ロボット2を作業位置に移動させるために、操作者による作業の対象物の指定を受け付ける。操作者端末3は、対象物の対象物情報を指定した移動要求をロボット制御装置1に送信する(a)。ロボット制御装置1は、操作者端末3から移動要求を受信する。
【0030】
ロボット制御装置1は、記憶部に記憶された情報に基づいて、移動要求において指定された対象物情報に関連付けられた作業位置情報が示す作業位置を特定する(b)。ロボット制御装置1は、特定した作業位置にロボット2を移動させる移動指示を、ロボット2に送信する(c)。ロボット2は、ロボット制御装置1が送信した移動指示に従って、作業位置へ自動的に移動する(d)。
【0031】
ロボット2が作業位置に移動した後、操作者端末3は、操作者からロボット2を遠隔操作するための入力を受け付ける。ロボット制御装置1は、操作者端末3において入力された情報に基づいて、ロボット2を操作する(e)。
【0032】
このように本実施形態に係るロボット制御システムSにおいて、ロボット制御装置1は、操作者端末3において指定された作業の対象物に関連付けられた作業位置を特定し、特定した作業位置にロボット2を自動的に移動させる。そのため、ロボット制御装置1は、作業場にコンベアやレールが無くともロボット2を作業位置に自動的に移動させることができ、また対象物の配置が変更された場合には記憶部の情報を更新すれば作業位置を再び特定できるため、様々な種類の作業が行われる作業場において、対象物に対する作業をする作業位置にロボット2を移動可能にできる。
【0033】
[ロボット制御システムSの構成]
図2は、本実施形態に係るロボット制御システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0034】
ロボット制御装置1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、取得部111と、送信部112と、受信部113と、特定部114と、判定部115とを有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部111、送信部112、受信部113、特定部114及び判定部115として機能する。
【0035】
取得部111は作業に関連する情報を取得する。送信部112は、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4へ情報を送信する。受信部113は、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4が送信した情報を受信する。特定部114は、操作者端末3が送信した情報に基づいて、対象物に対する作業の作業位置を特定する。判定部115は、作業の進捗状況(例えば、作業が完了したか否か)を判定する。
【0036】
制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、制御部11がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0037】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、ロボット制御装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0038】
ロボット2は、制御部21と、記憶部22とを有する。制御部21は、受信部211と、移動制御部212と、駆動制御部213と、送信部214とを有する。制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部211、移動制御部212、駆動制御部213及び送信部214として機能する。
【0039】
受信部211は、ロボット制御装置1が送信した情報を受信する。移動制御部212は、ロボット制御装置1が送信した移動指示に従ってロボット2を移動させる。駆動制御部213は、ロボット制御装置1が送信した操作指示に従ってロボット2を駆動する。送信部214は、ロボット2の撮像部が撮像した撮像画像をロボット制御装置1に送信する。
【0040】
制御部21の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、制御部21がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0041】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、ロボット2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0042】
本実施形態に係るロボット制御システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。ロボット制御装置1、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、ロボット制御装置1は、ロボット2に内蔵されてもよい。また、ロボット制御装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0043】
[ロボット制御方法の説明]
以下、ロボット制御システムSがロボット2を制御するための処理を詳細に説明する。ロボット制御装置1において、記憶部12は、ロボットの制御に用いる情報を予め記憶している。図3(a)、図3(b)は、ロボット制御装置1の記憶部12が記憶する情報の模式図である。
【0044】
図3(a)は、ロボット2の操作に関する例示的なロボット操作情報を表している。ロボット操作情報は、互いに関連付けられた、ロボット2を識別可能なロボット情報と、ロボット2の状態と、ロボット2を操作する操作者端末3を識別可能な操作者端末情報と、ロボット2を操作する操作者を識別可能な操作者情報とを含む。
【0045】
ロボット情報は、ロボット2に予め割り振られたロボットIDである。状態は、ロボット2が操作中及び停止中のどちらの状態であるかを示す情報である。操作者端末情報は、操作者端末3に予め割り振られた操作者端末IDである。操作者情報は、操作者の氏名、又は操作者に予め割り振られた操作者IDである。作業場に複数のロボット2が配置されている場合には、ロボット制御装置1は、ロボットIDによって識別された1つのロボット2に対する制御を行う。複数の作業場に複数のロボット2が配置されている場合には、ロボット操作情報は、さらに作業場を識別可能な識別情報(例えば、作業場ID)を含んでもよい。ロボット制御装置1は、作業場ID及びロボットIDの組み合わせによって識別された1つのロボット2に対する制御を行う。
【0046】
図3(b)は、ロボット2が実行すべき作業に関する例示的な作業情報を表している。作業情報は、互いに関連付けられた、ロボット2が作業対象とする対象物を識別可能な対象物情報と、保管位置情報と、保管日時と、保管数と、作業位置情報と、作業内容と、優先度とを含む。作業情報は、人間によって入力されてもよい。また、作業情報は、ロボット制御装置1によって、作業場内の撮像画像(例えば、棚やパレットの撮像画像)又は決済情報(例えば、対象物の販売数)に基づいて特定されてもよい。また、作業情報は、作業場に対象物が搬入された際に、対象物又は対象物のパレットに付されたICチップやコードを読み取ることによって特定されてもよい。
【0047】
対象物情報は、対象物の名称、種類又は対象物に予め割り振られた対象物IDである。また、対象物情報は、対象物の画像であってもよい。また、対象物情報は、対象物を保管しているパレット(コンテナ、荷役台ともいう)の識別情報であってもよい。保管位置情報は、対象物が保管されている保管位置を示す情報であり、例えば対象物を保管しているパレットの識別情報、又は所定位置を基準とした作業場内の座標によって表される。保管日時は、対象物の保管が開始された時刻である。保管数は、保管されている対象物の数又は量である。対象物を保管位置から運び出すことを必要としない作業の場合には、保管位置情報、保管日時及び保管数は設定されない。
【0048】
作業位置情報は、対象物に対する作業を行うための作業位置を示す情報であり、例えば対象物が配置される場所(棚、部屋、領域等)の識別情報、又は所定位置を基準とした作業場内の座標によって表される。作業内容は、対象物に対する作業の内容を示す情報である。作業内容は、例えば対象物の陳列、廃棄、掃除(清掃)、メンテナンス(保守)、修理等である。
【0049】
1つの対象物情報には、一又は複数の作業位置情報、及び一又は複数の作業内容が関連付けられている。1つの対象物情報に複数の作業位置情報が関連付けられている場合には、作業位置情報ごとに異なる作業内容が設定されている。すなわち、作業位置情報は、対象物情報と作業内容との組み合わせによって一意に特定可能である。
【0050】
優先度は、作業を優先的に行う程度を表す値である。作業の優先度は、値が高いほど当該作業が優先的に行われることを要しており、値が低いほど当該作業が優先的に行われることを要していないことを表す。優先度は、例えば、棚に残っている対象物の残数、対象物の売れ行き又は需要予測に基づいて決定される。この場合には、残数が少ないほど、売れ行きが大きいほど、又は需要予測が大きいほど優先度が高く設定される。また、優先度は、ロボット2と保管位置又は作業位置との間の位置関係に基づいて決定されてもよい。この場合には、ロボット2と保管位置又は作業位置とが近いほど優先度が高く設定される。また、優先度は、対象物の種類に基づいて決定されてもよい。この場合には、優先度は、対象物が生鮮食品である場合に、そうでない対象物よりも高く設定される。また、優先度は、操作者端末3又は管理者端末4において入力された情報に基づいて設定されてもよい。
【0051】
ロボット操作情報及び作業情報は、図3(a)、図3(b)に示した具体的な形式に限られず、任意の形式で記憶部12に記憶される。ロボット操作情報及び作業情報は、例えば、データベースとして記憶部12に記憶される。
【0052】
操作者端末3においてロボット2の遠隔操作を開始するための所定の操作が行われた場合に、ロボット制御装置1において、取得部111は、記憶部12に記憶されたロボット操作情報及び作業情報を取得する。取得部111は、取得したロボット操作情報において操作者端末情報に関連付けられたロボット情報に対応するロボット2を、操作者端末3が遠隔操作するロボット2として特定する。
【0053】
また、操作者端末3はロボット制御装置1に対して予めロボット2の予約情報を登録してもよい。予約情報は、例えば、操作対象のロボット2、作業を行う作業場、作業内容、対象物、及び開始時間を含む。ロボット制御装置1は、予約情報が含む開始時間になった際にロボット2に後述の移動指示及び探索指示を送信する。そしてロボット2側での作業開始の準備が完了した場合に、ロボット制御装置1は、操作者に関連付けられた連絡先(操作者端末3、操作者のメールアドレス等)に通知する。これにより、操作者は予めロボット2を用いた作業を予約し、ロボット2の作業準備完了まで待つ必要が無くなる。
【0054】
送信部112は、取得部111が取得した作業情報を、操作者端末3に送信する。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した作業情報に基づいて、ロボット2に実行させる作業を指定するための作業指定画面を表示部上に表示する。操作者端末3は、作業指定画面において、ロボット2に実行させる作業の指定と、ロボット2を作業位置へ移動させるための移動要求とを、操作者から受け付ける。
【0055】
図4(a)、図4(b)は、操作者端末3が表示する作業指定画面31の模式図である。図4(a)は、作業情報のリストの中から対象物及び作業内容の指定を受け付ける作業指定画面31を表している。作業指定画面31は、未割当作業情報311を含む。未割当作業情報311は、ロボット制御装置1が送信した一又は複数の作業情報を含む。
【0056】
未割当作業情報311は、作業情報が含む対象物情報、作業内容及び優先度を表す。未割当作業情報311は、作業情報が含む保管位置情報、保管日時、保管数及び作業位置情報を表してもよい。1つの対象物情報に複数の作業内容が関連付けられている場合には、未割当作業情報311は、1つの対象物情報に関連付けられた複数の作業内容と、当該複数の作業内容のうちいずれかを選択するための選択欄とを含む。未割当作業情報311が含む複数の作業情報は、優先度に対応する順序(例えば、優先度が高い順)で予め並べられており、この順序が作業順序となる。すなわち、作業指定画面31の表示開始時の未割当作業情報311は、仮の作業予定であり、作業者により変更や確定をする指示を待っている状態である。
【0057】
未割当作業情報311が含む作業情報には、それぞれ作業情報に対する設定をするための設定ボタン312が関連付けられている。設定ボタン312は、例えば、作業の削除、及び作業の順序変更の設定をするためのボタン(アイコン)を含む。操作者によって作業の削除の設定ボタン312が選択された場合に、当該設定ボタン312に関連付けられた作業情報は、未割当作業情報311から削除される。操作者によって順序の変更の設定ボタン312が選択された場合に、当該設定ボタン312に関連付けられた作業情報の順序が前又は後に変更される。
【0058】
作業指定画面31は、さらにロボット2を移動させるための移動要求ボタン313を含む。操作者によって移動要求ボタンが選択された場合に、操作者端末3は、未割当作業情報311に含まれている作業情報が作業予定として確定され、当該作業情報が含む対象物情報と、選択された作業内容(すなわち、一又は複数の作業内容のいずれか)とを指定した移動要求を、ロボット制御装置1に送信する。移動要求は、例えば、対象物情報及び作業内容を示す情報である。未割当作業情報311が複数の作業情報を含む場合(すなわち、複数の作業情報が作業予定として指定された場合)には、移動要求は、複数の対象物情報及び複数の作業内容に加えて、複数の対象物情報の順序を指定する。
【0059】
操作者端末3は、図4(a)に例示した未割当作業のリストによって対象物及び作業内容の指定を受け付けることに限られず、三次元地図上で対象物及び作業内容の指定を受け付けてもよい。この場合に、ロボット制御装置1において、送信部112は、記憶部12に予め記憶された、作業場の三次元地図を表示するための地図情報を、操作者端末3に送信する。地図情報は、作業場の三次元地図と、当該三次元地図中の保管位置及び作業位置の少なくとも一方と、対象物情報とを関連付けた情報である。作業場の三次元地図は、例えばSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)のような既知の地図生成処理を用いて予め生成される。生成された三次元地図上の座標には、対象物の保管位置及び作業位置が予め関連付けられる。
【0060】
操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した地図情報に基づいて、作業指定画面を表示部上に表示する。図4(b)は、三次元地図上で対象物及び作業内容の指定を受け付ける作業指定画面31を表している。作業指定画面31は、作業場の三次元地図314を含む。操作者による操作に応じて、図4(a)の作業指定画面と、図4(b)の作業指定画面とが切り替えられる。三次元地図314の表示範囲(すなわち、作業場内の位置)は、操作者による操作(例えばマウスカーソルの移動や方向キーの押下)に応じて変更される。
【0061】
操作者端末3は、操作者によって三次元地図314上のいずれかの位置が選択された場合に、選択された位置に関連付けられた対象物(すなわち、選択された位置に、保管位置及び作業位置の少なくとも一方が関連付けられた対象物)の作業情報315と、作業情報315を作業予定として指定するための指定ボタン316とを表示する。1つの対象物情報に複数の作業内容が関連付けられている場合には、作業情報315は、1つの対象物情報に関連付けられた複数の作業内容と、当該複数の作業内容のうちいずれかを選択するための選択欄とを含む。
【0062】
操作者によって指定ボタン316が選択された場合に、作業情報315は作業予定として指定され、図4(a)の未割当作業情報311に移動される。1つの対象物情報に複数の作業内容が関連付けられている場合に、指定ボタン316に関連付けられた作業情報と、選択欄において選択された作業内容との組み合わせが、作業予定として指定される。その後、操作者端末3は、操作者によって所定操作が行われた場合に、三次元地図上で指定された位置に関連付けられた対象物情報を指定した移動要求を送信する。これにより、操作者は、三次元地図上で作業の対象物を直感的に指定できる。
【0063】
ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3から移動要求を受信する。移動要求において複数の対象物情報が指定された場合には、ロボット制御装置1は、移動要求において指定された複数の対象物情報の順序に従って、複数の対象物情報それぞれに対して以降の処理を行う。
【0064】
特定部114は、受信部113が受信した移動要求において指定された対象物情報を取得する。そして特定部114は、記憶部12に記憶された作業情報において、取得した対象物情報に関連付けられた保管位置情報及び作業位置情報を取得し、取得した保管位置情報が示す保管位置と、取得した作業位置情報が示す作業位置を特定する。
【0065】
送信部112は、保管位置にロボット2を移動させる移動指示と、保管位置においてロボット2に対象物を探させる探索指示と、作業位置にロボット2を移動させる移動指示とを生成し、それらをロボット2に順に送信する。保管位置から対象物を運び出すことを必要としない作業の場合には、送信部112は、作業位置にロボット2を移動させる移動指示のみを生成する。
【0066】
図5は、移動指示及び探索指示を説明するための模式図である。図5は、作業場の地図上に、ロボット2の位置を表している。送信部112は、保管位置にロボット2を移動させる移動指示を生成し、ロボット2に送信する。移動指示は、例えば、ロボット2の現在位置から、保管位置までの移動経路を示す情報である。ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示が示す移動経路に従って、ロボット2が保管位置へ移動することを制御する。
【0067】
また、移動指示は、例えば、保管位置を示す情報であってもよい。この場合に、ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示が示す保管位置までの移動経路を、既知の経路決定処理を実行することによって決定する。移動制御部212は、移動経路が複数ある場合に、移動距離や時間帯に基づいて、1つの移動経路(例えば、最短距離の経路、混雑する時間帯には空いている経路等)を選択する。そして、移動制御部212は、決定した移動経路に従って、ロボット2が保管位置へ移動することを制御する。このような構成により、ロボット制御装置1は、操作者によって指定された対象物及び作業内容に基づいて対象物が保管されている保管位置を特定し、ロボット2を保管位置に自動的に移動させることができる。
【0068】
ロボット2は、作業場内を移動しながら周辺を撮像した撮像画像を取得することによって、撮像画像に含まれる位置を特定してもよい。また、ロボット2は、移動中に深度センサや赤外線センサ等を用いて障害物等を発見してもよい。ロボット2が障害物等を発見した場合に、ロボット2自身による制御又はロボット制御装置1による制御によって、移動中に発見した障害物等を回避してもよい。
【0069】
ロボット2が保管位置に移動した後、送信部112は、保管位置においてロボット2に対象物を探させる探索指示を生成し、ロボット2に送信する。探索指示は、例えば、対象物の名称、対象物に予め割り振られた対象物ID、又は対象物の外観の特徴量を示す情報である。ロボット2は、例えば、保管位置において撮像部を用いて撮像した撮像画像に対して既知の文字認識処理や画像認識処理を行うことによって、又は対象物やパレットに付されたタグを読み取ることによって、探索指示が示す対象物を探索する。ロボット2は、発見した対象物の近傍に移動し、撮像部を対象物の方に向ける。これにより、操作者は、容易に保管位置から運び出す対象物を認識できる。また、送信部112が探索指示の送信を行わず、操作者がロボット2を遠隔操作して対象物を探索してもよい。また、送信部112は、ロボット2に対象物の画像と商品情報とを対応付けた探索指示を送信し、ロボット2において探索指示が示す画像と保管位置を撮像した撮像画像とを比較することによって対象物があるか否かを判定してもよい。対象物があるとロボット2が判定した場合に、ロボット2又はロボット制御装置1は、当該対象物の商品情報を操作者端末3に通知してもよい。
【0070】
ロボット2が保管位置において対象物を発見した後、操作者端末3は、操作者からロボット2が対象物を保持するための遠隔操作の入力を受け付ける。操作者端末3は、入力された情報に基づいて、ロボット2に対する遠隔操作の内容を指定した操作要求をロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3が送信した操作要求を受信する。送信部112は、受信部113が受信した操作要求において指定された遠隔操作の内容をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信する。
【0071】
ロボット2において、受信部211は、ロボット制御装置1が送信した操作指示を受信する。駆動制御部213は、受信部211が受信した操作指示に従って、ロボット2の駆動を制御する。ロボット2の駆動制御と並行して、送信部214は、ロボット2が備える撮像部を用いて撮像した撮像画像を、ロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113が受信した撮像画像を操作者端末3に送信する。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した撮像画像を表示部上に表示する。これにより、操作者は、ロボット2が撮像した撮像画像(視野画像)を参照しながら、ロボット2に保管位置から対象物を運び出すための遠隔操作を行うことができる。
【0072】
ロボット2が保管位置において対象物を保持した後、送信部112は、作業位置にロボット2を移動させる移動指示を生成し、ロボット2に送信する。移動指示は、例えば、ロボット2の現在位置から、作業位置までの移動経路を示す情報である。ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示が示す移動経路に従って、ロボット2が作業位置へ移動することを制御する。
【0073】
また、移動指示は、例えば、作業位置を示す情報であってもよい。この場合に、ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示が示す作業位置までの移動経路を、既知の経路決定処理を実行することによって決定する。移動制御部212は、移動経路が複数ある場合に、移動距離や時間帯に基づいて、1つの移動経路(例えば、最短距離の経路、混雑する時間帯には空いている経路等)を選択する。そして、移動制御部212は、決定した移動経路に従って、ロボット2が作業位置へ移動することを制御する。このような構成により、ロボット制御装置1は、操作者によって指定された対象物及び作業内容に基づいて対象物に対する作業の作業位置を特定し、ロボット2を作業位置に自動的に移動させることができる。また、保管位置への移動時と同様に、ロボット2が障害物等を発見して回避してもよい。
【0074】
移動指示が示す保管位置又は作業位置は、ピンポイントの位置(座標)でなくてもよく、作業場内の領域であってもよい。保管位置又は作業位置として所定の領域が指定された場合に、ロボット2は、当該領域に移動した後、対象物が配置され得る位置を撮影する。ロボット2は、撮影画像と予め記憶された対象物の画像とを比較し、一致した場合に移動先である保管位置又は作業位置へ移動完了したことを判定してもよい。
【0075】
ロボット2が作業位置に移動した後、操作者端末3は、操作者からロボット2が対象物に対する作業をするための遠隔操作の入力を受け付ける。ロボット2が作業位置への移動を完了した際に、操作者端末3は、移動中の画面から、作業に応じた画面に切り替える。例えば、操作者端末3は、移動中にはロボット2の周囲を見られる俯瞰的な望遠画面を表示し、移動完了後には作業がしやすいように作業位置及び対象物を拡大した画面を表示する。また、操作者端末3は、作業に応じた画面に切り替えた際に、音や光によって操作者に対して通知してもよい。これにより、操作者は、効率的に遠隔操作による作業を開始することができる。
【0076】
操作者端末3は、入力された情報に基づいて、ロボット2に対する遠隔操作の内容を指定した操作要求をロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3が送信した操作要求を受信する。送信部112は、受信部113が受信した操作要求において指定された遠隔操作の内容をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信する。
【0077】
ロボット2において、受信部211は、ロボット制御装置1が送信した操作指示を受信する。駆動制御部213は、受信部211が受信した操作指示に従って、ロボット2の駆動を制御する。ロボット2の駆動制御と並行して、送信部214は、ロボット2が備える撮像部を用いて撮像した撮像画像を、ロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113が受信した撮像画像を操作者端末3に送信する。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した撮像画像を表示部上に表示する。これにより、操作者は、ロボット2が撮像した撮像画像(視野画像)を参照しながら、ロボット2に作業位置において作業を行わせるための遠隔操作を行うことができる。
【0078】
また、ロボット2は、作業位置に移動した後に、ロボット2自身又はロボット制御装置1による制御に従って自動的に作業を行ってもよい。この場合に、操作者端末3は、ロボット2が自動的に作業を行っている旨を表示部上に表示し、操作者から遠隔操作に切り替える指示を受け付けてもよい。さらにロボット2が自動的に作業を行えない又は異常が発生したと判定した場合に、ロボット制御装置1は、操作者による遠隔操作に強制的に切り替えてもよい。これにより、ロボット制御装置1は、状況に応じてロボット2の自動制御と操作者による遠隔操作とを切り替えることができる。
【0079】
ロボット制御装置1において、送信部112は、ロボット2が移動指示に従って移動していない場合に遠隔操作の内容をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信し、ロボット2が移動指示に従って移動している場合に遠隔操作の内容の少なくとも一部をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信しなくてもよい。ロボット制御装置1は、移動中に全ての遠隔操作を不可能にしてもよく、一部の遠隔操作(例えば、ロボット2の頭部の向きの操作)を可能にしてもよい。操作者端末3は、可能な遠隔操作の内容と、不可能な遠隔操作の内容とを、表示部上に表示する。これにより、ロボット制御装置1は、ロボット2の移動中に遠隔操作を制限することによって、ロボット2が意図せず移動経路近傍の物体に衝突することを抑制できる。
【0080】
次に、操作者端末3及び管理者端末4が表示する画面について説明する。ロボット制御装置1において、送信部112は、ロボット2が保管位置又は作業位置へ移動している際に、ロボット2に関する表示情報を操作者端末3に送信する。表示情報は、例えばロボット2が撮像した撮像画像と、移動に関する時間(例えば移動が完了するまでの残り時間)と、移動先の位置で予定された作業に関する作業情報とを含む。移動に関する時間は、ロボット2の現在位置と移動先の保管位置又は作業位置との間の距離に基づいて算出される。また、表示情報は、作業場の地図情報、移動距離、移動速度、及び移動完了から作業準備完了までの時間に基づいて算出された、作業開始準備完了までの見込み時間を含んでもよい。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した表示情報に基づいて、移動画面を表示部上に表示する。
【0081】
図6は、操作者端末3が表示する移動画面32の模式図である。移動画面32は、ロボット2が撮像した撮像画像とともに、状態情報321と、時間情報322と、次作業情報323とを含む。状態情報321は、ロボット2の現在の状態を表しており、例えば移動の完了を待っている状態であることを表す。時間情報322は、ロボット制御装置1が送信した、移動が完了するまでの残り時間を表す。次作業情報323は、ロボット制御装置1が送信した作業情報が示す、次の作業(すなわち、移動完了後に行われる予定の作業)の内容を表す。操作者は、移動画面32を参照することによって、ロボット2が自動移動をしている間であっても、移動の残り時間や次に予定されている作業の内容を容易に把握できる。
【0082】
操作者端末3が複数のロボット2を切り替えて操作可能である場合に、操作者端末3は、操作中のロボット2の移動中に、操作中のロボット2が撮像した撮像画像に加えて、他のロボット2が撮像した撮像画像を表示してもよい。この状態で、操作者端末3において他のロボット2が撮像した撮像画像を選択する操作が行われた場合に、ロボット制御装置1は、操作中のロボット2を、選択された撮像画像に対応する他のロボット2に切り替える。これにより、操作者は、ロボット2の移動中に他のロボット2に切り替え、作業を効率的に進めることができる。
【0083】
ロボット制御装置1において、送信部112は、ロボット2が保管位置又は作業位置へ到着した後に、ロボット2に関する表示情報を操作者端末3に送信する。表示情報は、例えばロボット2が撮像した撮像画像と、作業に関する時間(例えば、作業を完了する期限及び作業に掛ける時間の少なくとも一方)と、作業予定として設定された作業情報とを含む。作業に関する時間は、作業の内容ごとに予め定められる。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した表示情報に基づいて、遠隔操作画面を表示部上に表示する。
【0084】
図7は、操作者端末3が表示する遠隔操作画面33の模式図である。遠隔操作画面33は、現在作業情報331と、時間情報332と、次作業情報333とを含む。現在作業情報331は、ロボット制御装置1が送信した作業情報が示す、現在の作業(すなわち、現在の位置で行われる予定の作業)の内容を表す。時間情報332は、ロボット制御装置1が送信した、作業を完了する期限及び作業に掛ける時間の少なくとも一方を表す。次作業情報323は、ロボット制御装置1が送信した、次の作業(すなわち、次に行われる予定の作業)の内容を表す。操作者は、遠隔操作画面33を参照することによって、ロボット2が現在及び次に行うことが予定された作業を容易に把握できる。また、操作者は、遠隔操作画面33を参照することによって、現在行うことが予定された作業に関する時間を容易に把握し、効率的に作業を進めることができる。
【0085】
ロボット制御装置1において、判定部115は、作業予定として設定された、一又は複数の対象物それぞれに対する作業が完了したか否かを判定する。判定部115は、例えば、ロボット2が備える撮像部が撮像した撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、作業が完了したか否かを判定する。また、ロボット制御装置1ではなく、ロボット2が、作業が完了したか否かを判定してもよい。また、判定部115は、操作者端末3又は管理者端末4において入力された情報に基づいて、作業が完了したか否かを判定してもよい。判定部115は、記憶部12において、作業が完了したか否かを示す進捗情報を、作業情報と関連付けて記憶させる。
【0086】
判定部115は、ロボット2が備える撮像部が撮像した撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、作業が失敗したか否かを判定してもよい。また、ロボット制御装置1ではなく、ロボット2が、作業が失敗したか否かを判定してもよい。判定部115は、記憶部12において、作業が失敗したと判定した場合の撮像画像を、失敗した作業の作業情報と関連付けて記憶させる。これにより、失敗時の撮像画像を機械学習に利用し、次回以降のロボット2の制御に反映することができる。
【0087】
送信部112は、判定部115が対象物に対する作業が完了したと判定した場合であって、ロボット2が保持している対象物が残っている場合には、対象物の保管位置にロボット2を移動させる移動指示を、ロボット2に送信する。これにより、ロボット制御装置1は、棚等に並べきれなかった対象物を戻すためにロボット2を保管場所に自動的に移動させることができる。一方、送信部112は、判定部115が対象物に対する作業が完了していないと判定した場合であって、ロボット2が保持している対象物が無い場合には、対象物の保管位置にロボット2を移動させる移動指示を、ロボット2に送信する。これにより、ロボット制御装置1は、作業中に不足した対象物を運ぶためにロボット2を保管場所に自動的に移動させることができる。
【0088】
送信部112は、判定部115が複数の作業情報に対応する複数の対象物のうち第1の対象物に対する作業が完了したと判定した場合に、当該複数の対象物のうち第2の対象物に対する作業を行うための保管位置又は作業位置にロボット2を移動させる移動指示を、ロボット2に送信する。これにより、ロボット制御装置1は、ロボット2を複数の対象物の保管位置又は作業位置に順次移動させ、効率的に作業を進めることができる。
【0089】
送信部112は、判定部115が完了していないと判定した一又は複数の対象物それぞれに対する作業(すなわち、未完了作業)を示す作業情報を、操作者端末3及び管理者端末4の少なくとも一方に送信する。操作者端末3及び管理者端末4は、ロボット制御装置1が送信した作業情報を、表示部上に表示する。
【0090】
図8は、管理者端末4が表示する未完了作業画面41の模式図である。操作者端末3が同様の未完了作業画面41を表示してもよい。未完了作業画面41は、未完了作業情報411と、設定ボタン412とを含む。未完了作業情報411は、ロボット制御装置1が送信した作業情報が示す未完了作業の内容を表す。また、未完了作業画面41は、要求通り完了した作業や、未完了であるが終了した作業(例えば、棚に対象物を陳列可能なスペースが無かった場合)の作業情報を表す作業履歴を含んでもよい。この場合に、未完了作業は、作業履歴の最後に待ち作業として表示される。
【0091】
設定ボタン412は、例えば、作業の順序を変更するボタン(アイコン)と、作業を中断することを設定するボタンと、作業が完了したことを設定するボタンとを含む。操作者端末3又は管理者端末4は、設定ボタン412が含むいずれかのボタンの選択を受け付けた場合に、選択されたボタンに応じて作業の中断、完了又は順序変更を指定した変更要求を、ロボット制御装置1に送信する。
【0092】
ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3又は管理者端末4が送信した変更要求を受信する。受信部113は、受信した変更要求に基づいて、記憶部12において、作業情報に関連付けられた進捗情報を中断若しくは完了の状態に変更し、又は作業情報の順序を変更する。そして送信部112は、受信部113が受信した変更要求に基づいて、次の作業の保管位置又は作業位置への移動指示を、ロボット2に送信する。これにより、ロボット制御装置1は、操作者端末3又は管理者端末4からの要求に基づいて、行うべき作業を柔軟に変更できる。
【0093】
[ロボット制御方法のシーケンス]
図9は、本実施形態に係るロボット制御システムSが実行するロボット制御方法のシーケンス図である。操作者端末3においてロボット2の遠隔操作を開始するための所定の操作が行われた場合に、ロボット制御装置1において、取得部111は、記憶部12に記憶された作業情報を取得する(S11)。送信部112は、取得部111が取得した作業情報を、操作者端末3に送信する。操作者端末3は、ロボット制御装置1が送信した作業情報に基づいて、ロボット2に実行させる作業を指定するための作業指定画面を表示部上に表示する。
【0094】
操作者端末3は、作業指定画面上で、作業予定とする作業情報及び作業内容の指定を受け付ける(S12)。操作者によって作業指定画面中の移動要求ボタンが選択された場合に、操作者端末3は、作業予定として指定された作業情報が含む対象物情報と、選択された作業内容とを指定した移動要求を、ロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3から移動要求を受信する。移動要求において複数の対象物情報が指定された場合には、ロボット制御装置1は、移動要求において指定された複数の対象物情報の順序に従って、複数の対象物情報それぞれに対して以降の処理を行う。
【0095】
特定部114は、受信部113が受信した移動要求において指定された対象物情報を取得する。そして特定部114は、記憶部12に記憶された作業情報において、取得した対象物情報に関連付けられた保管位置情報及び作業位置情報を取得し、取得した保管位置情報が示す保管位置と、取得した作業位置情報が示す作業位置を特定する(S13)。送信部112は、保管位置にロボット2を移動させる移動指示を生成し、ロボット2に送信する(S14)。ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示に従って、ロボット2が保管位置へ移動することを制御する(S15)。
【0096】
ロボット2が保管位置に移動した後、送信部112は、保管位置においてロボット2に対象物を探させる探索指示を生成し、ロボット2に送信する(S16)。ロボット2は、例えば、保管位置において撮像部を用いて撮像した撮像画像に対して既知の文字認識処理や画像認識処理を行うことによって、又は対象物やパレットに付されたタグを読み取ることによって、探索指示が示す対象物を探索する(S17)。
【0097】
ロボット2が保管位置において対象物を発見した後、操作者端末3は、操作者からロボット2が対象物を保持するための遠隔操作の入力を受け付ける(S18)。操作者端末3は、入力された情報に基づいて、ロボット2に対する遠隔操作の内容を指定した操作要求をロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3が送信した操作要求を受信する。送信部112は、受信部113が受信した操作要求において指定された遠隔操作の内容をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信する(S19)。ロボット2において、受信部211は、ロボット制御装置1が送信した操作指示を受信する。駆動制御部213は、受信部211が受信した操作指示に従って、ロボット2の駆動を制御する(S20)。
【0098】
ロボット2が保管位置において対象物を保持した後、送信部112は、作業位置にロボット2を移動させる移動指示を生成し、ロボット2に送信する(S21)。ロボット2において、移動制御部212は、受信部211が受信した移動指示に従って、ロボット2が作業位置へ移動することを制御する(S22)。
【0099】
ロボット2が作業位置に移動した後、操作者端末3は、操作者からロボット2が対象物に対する作業をするための遠隔操作の入力を受け付ける(S23)。操作者端末3は、入力された情報に基づいて、ロボット2に対する遠隔操作の内容を指定した操作要求をロボット制御装置1に送信する。ロボット制御装置1において、受信部113は、操作者端末3が送信した操作要求を受信する。送信部112は、受信部113が受信した操作要求において指定された遠隔操作の内容をロボット2に行わせる操作指示をロボット2に送信する(S24)。ロボット2において、受信部211は、ロボット制御装置1が送信した操作指示を受信する。駆動制御部213は、受信部211が受信した操作指示に従って、ロボット2の駆動を制御する(S25)。
【0100】
(変形例)
ロボット制御システムSは、店舗における作業に限られず、倉庫や物流センターにおいて、店舗等に配送する対象物を仕分ける作業に適用されてもよい。この場合に、ロボット制御装置1は、店舗等から注文を受けた対象物の保管位置への移動指示をロボット2に送信し、保管位置において対象物を探索する探索指示をロボット2に送信する。その後、ロボット制御装置1は、当該店舗等に配送する予定のパレットへの移動指示をロボット2に送信し、操作者による遠隔操作によってロボット2に対象物をパレットに入れる作業を行わせる。このように、ロボット制御システムSは、ロボット2が不定の位置に配置され得る対象物に対して行う様々な作業に適用できる。
【0101】
また、ロボット制御システムSは、操作者がロボット2を用いて遠隔で観光する用途に適用されてもよい。この場合に、観光スポットの場所が作業位置に対応し、ロボット2が行う行動(買い物、景色鑑賞、散歩等)が作業に対応する。これにより、操作者は、観光スポットの場所及びロボットが行う行動を指定することによって、ロボット2を自動的に移動させ、観光を行うことができる。
【0102】
また、ロボット制御システムSは、操作者がロボット2を用いて遠隔で被介護者を介護する用途に適用されてもよい。この場合に、被介護者が生活する領域が作業位置に対応し、ロボット2が行う行動(介助、掃除等)が作業に対応する。これにより、操作者は、被介護者が生活する領域及びロボットが行う行動を指定することによって、ロボット2を自動的に移動させ、介護を行うことができる。
【0103】
[実施形態の効果]
本実施形態に係るロボット制御システムSにおいて、ロボット制御装置1は、操作者端末3において指定された作業の対象物に関連付けられた作業位置を特定し、特定した作業位置にロボット2を自動的に移動させる。そのため、ロボット制御装置1は、作業場にコンベアやレールが無くともロボット2を作業位置に自動的に移動させることができ、また対象物の配置が変更された場合には記憶部12の情報を更新すれば作業位置を再び特定できるため、様々な種類の作業が行われる作業場において対象物に対する作業をする作業位置にロボット2を移動可能にできる。
【0104】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0105】
ロボット制御装置1、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4のプロセッサは、図9に示すロボット制御方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、ロボット制御装置1、ロボット2、操作者端末3及び管理者端末4のプロセッサは、図9に示すロボット制御方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、当該プログラムを実行してロボット制御システムSの各部を制御することによって、図9に示すロボット制御方法を実行する。図9に示すロボット制御方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0106】
S ロボット制御システム
1 ロボット制御装置
11 制御部
111 取得部
112 送信部
113 受信部
114 特定部
115 判定部
12 記憶部
2 ロボット
21 制御部
212 移動制御部

図1
図2
図3
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図5
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図9