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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20240314BHJP
   H04M 3/00 20240101ALI20240314BHJP
   H04Q 3/62 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H04M3/51
H04M3/00 B
H04Q3/62
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022210515
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2023-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515013557
【氏名又は名称】株式会社シンカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】笹田 直紀
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088461(JP,A)
【文献】特開2007-074175(JP,A)
【文献】特開2006-345181(JP,A)
【文献】特開2007-006154(JP,A)
【文献】特開2010-268153(JP,A)
【文献】特開2013-005402(JP,A)
【文献】特開2018-174438(JP,A)
【文献】特開2014-086942(JP,A)
【文献】特開2000-138767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網と構内交換機との間に設けられ、当該電話網と当該構内交換機との間の通信情報をミラーリングして出力するミラーリング装置と、
当該ミラーリング装置からの前記通信情報を受信して所定処理を実施することにより処理済み情報を生成するとともに、当該処理済み情報を送信先端末に出力する情報処理装置と、
を備え、
前記所定処理は、前記通信情報が通話音声情報を含んでいる場合において、当該通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報であるか否かを判定する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記所定の発信元からの前記通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定処理は、前記通信情報が前記電話網からの着信情報及び前記構内交換機側からの発信情報のいずれであるかを判定する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記着信情報と判定された情報及び前記発信情報と判定された情報のいずれかの情報、又は前記着信情報と判定された情報のみを含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定処理は、
前記通信情報が所定期間内における前記電話網からの複数の着信情報である場合において、当該複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理と、
当該複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であると判定された場合において、所定条件が成立しているときには、前記複数の着信情報を単一の着信情報と見なす処理と、を含んでおり、
前記処理済み情報は、前記単一の着信情報と見なされた着信情報を含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記構内交換機を含む構内電話網は、実電話番号以外のデータを着信先の電話番号として使用するように構成されており、
前記所定処理は、前記通信情報が発信元又は着信先の実電話番号の情報を含んでいないときには、当該通信情報に含まれる情報を当該発信元又は着信先の実電話番号の情報に変換する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記変換された前記発信元又は着信先の実電話番号を含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定処理は、前記通信情報が電話の発着信情報及びファクシミリの発着信情報のいずれであるかを判定する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記電話の発着信情報と判定された前記通信情報及び前記ファクシミリの発着信情報と判定された前記通信情報のいずれかを含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定処理は、前記通信情報が所定の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記所定の発信元からの前記着信情報が除外された情報を含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定処理は、前記通信情報が通話音声情報を含んでいる場合には当該通話音声情報を記録する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記記録された通話音声情報を含むように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
電話網と構内交換機との間に設けられたミラーリング装置により、当該電話網と構内交換機との間の通信情報がミラーリングして出力されるステップと、
情報処理装置により、前記通信情報を受信して所定処理を実施することにより処理済み情報が生成されるとともに、当該処理済み情報が送信先端末に出力されるステップと、
を実行し、
前記所定処理は、前記通信情報が通話音声情報を含んでいる場合において、当該通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報であるか否かを判定する処理を含み、
前記処理済み情報は、前記所定の発信元からの前記通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることを特徴とする情報処理方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話網と構内交換機との間での通信情報を処理して送信先端末に提供する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理システムとして、CTI(Computer Telephony Integration)システムと呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1)。このCTIシステムでは、電話網からの着信が発生した場合、その着信時の発信元の情報などがCTIサーバから送信先端末に提供される。
【0003】
また、法人などにおいては、構内電話回線網として、電話網からの着信信号を構内交換機(PBX)を介して構内電話機に送信するシステムが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-174938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のCTIシステムを既設の構内電話回線網に適用しようとした場合、構内交換機をCTIサーバ側に着信時の発信元の情報などを送信可能な機能を兼ね備えたものに変更したり、CTIアダプタと呼ばれる装置を電話網と構内交換機との間に設け、このCTIアダプタからCTIサーバに着信時の発信元の情報などを送信するように構成したりする必要がある。
【0006】
例えば、構内交換機を上記の機能を兼ね備えたものに変更した場合、接続する機器との間の接続確認作業が必要となるとともに、構内交換機自体の交換が必要になり、それらに起因して、コストの上昇を招いてしまう。また、上記のCTIアダプタを電話網と構内交換機との間に設けた場合でも、CTIアダプタと接続する機器との間の接続確認作業が必要となることに加えて、CTIアダプタの追加に伴い、コストの上昇を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来の構内電話回線網に適用する場合において、接続確認作業が不要になり、コストを削減することができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る情報処理システムは、電話網と構内交換機との間に設けられ、電話網と構内交換機との間の通信情報をミラーリングして出力するミラーリング装置と、ミラーリング装置からの通信情報を受信して所定処理を実施することにより処理済み情報を生成するとともに、処理済み情報を送信先端末に出力する情報処理装置と、を備え、所定処理は、通信情報が通話音声情報を含んでいる場合において、通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報であるか否かを判定する処理を含み、処理済み情報は、所定の発信元からの通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この情報処理システムによれば、ミラーリング装置により、電話網と構内交換機との間の通信情報がミラーリングして出力され、情報処理装置により、通信情報が受信されて所定処理が施されることにより処理済み情報が生成されるとともに、処理済み情報が送信先端末出力される。
以上のように、ミラーリング装置を電話網と構内交換機との間に設けることにより、所定処理を施した処理済み情報を送信先端末に出力できることになる。ここで、ミラーリング装置の場合、ミラーリングの機能のみが要求されることに起因して安価に製造できる。これに加えて、ミラーリング装置で信号のミラーリングのみを実施する構成とした場合には、これに接続される機器との調整も不要となる。以上の理由により、この情報処理システムによれば、構内交換機自体を交換する場合及びCTIアダプタを設ける場合などと比べて、コストを削減することができる。
さらに、処理済み情報が、通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報を含んでいるときには、所定の発信元からの通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることにより、所定の発信元からの通話音声情報が送信先端末で受信されることがなくなる。したがって、この所定の発信元を送信先端末のユーザにとって通話音声情報を受け取る必要がない発信元などに設定することにより、送信先端末のユーザは、受け取る必要がない通話音声情報を受け取ることがなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
本発明において、所定処理は、通信情報が電話網からの着信情報及び構内交換機側からの発信情報のいずれであるかを判定する処理を含み、処理済み情報は、着信情報と判定された情報及び発信情報と判定された情報のいずれかの情報、又は着信情報と判定された情報のみを含むように構成されていることが好ましい。
【0013】
ミラーリング装置の場合、ミラーリング機能のみが要求される関係上、ミラーリング装置から出力される通信情報は、電話網からの着信情報及び構内交換機側からの発信情報のいずれであるかが不明な状態となる。これに対して、この情報処理システムによれば、処理済み情報は、通信情報が電話網からの着信情報及び構内交換機側からの発信情報のいずれであるかが判定され、処理済み情報は、着信情報と判定された情報及び発信情報と判定された情報のいずれかの情報、又は着信情報と判定された情報のみを含むように構成されている。それにより、処理済み情報が送信先端末で受信された際、送信先端末のユーザは、着信情報のみを認識したり、着信情報及び発信情報を区別して認識したりすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
本発明において、所定処理は、通信情報が所定期間内における電話網からの複数の着信情報である場合において、複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理と、複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であると判定された場合において、所定条件が成立しているときには、複数の着信情報を単一の着信情報と見なす処理と、を含んでおり、処理済み情報は、単一の着信情報と見なされた着信情報を含むように構成されていることが好ましい。
【0015】
この情報処理システムによれば、所定処理が、通信情報が所定期間内における電話網からの複数の着信情報である場合において、複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理と、複数の着信情報が同一の発信元からの着信情報であると判定された場合において、所定条件が成立しているときには、複数の着信情報を単一の着信情報と見なす処理と、を含んでいる。そして、処理済み情報は、単一の着信情報と見なされた着信情報を含むように構成されていることにより、処理済み情報が送信先端末で受信された際、送信先端末のユーザは、複数の着信情報ではなく、単一の着信情報のみを認識することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明において、構内交換機を含む構内電話網は、実電話番号以外のデータを着信先の電話番号として使用するように構成されており、所定処理は、通信情報が発信元又は着信先の実電話番号の情報を含んでいないときには、通信情報に含まれる情報を発信元又は着信先の実電話番号の情報に変換する処理を含み、処理済み情報は、変換された発信元又は着信先の実電話番号を含むように構成されていることが好ましい。
【0017】
この情報処理システムによれば、所定処理が、通信情報が発信元又は着信先の実電話番号の情報を含んでいないときには、通信情報に含まれる情報を発信元又は着信先の実電話番号の情報に変換する処理を含んでいる。そして、処理済み情報は、変換された発信元又は着信先の実電話番号を含むように構成されていることにより、処理済み情報が送信先端末で受信された際、送信先端末のユーザは、変換された発信元又は着信先の実電話番号を認識することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0018】
本発明において、所定処理は、通信情報が電話の発着信情報及びファクシミリの発着信情報のいずれであるかを判定する処理を含み、処理済み情報は、電話の発着信情報と判定された通信情報及びファクシミリの発着信情報と判定された通信情報のいずれかを含むように構成されていることが好ましい。
【0019】
この情報処理システムによれば、所定処理が、通信情報が電話網からの電話の発着信情報及び電話網からのファクシミリの発着信情報のいずれであるかを判定する処理を含んでいる。そして、処理済み情報は、電話の発着信情報と判定された通信情報及びファクシミリの発着信情報と判定された通信情報のいずれかを含むように構成されていることにより、処理済み情報が送信先端末で受信された際、送信先端末のユーザは、電話の発着信情報かファクシミリの発着信情報であるかを認識することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0020】
本発明において、所定処理は、通信情報が所定の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理を含み、処理済み情報は、所定の発信元からの着信情報が除外された情報を含むように構成されていることが好ましい。
【0021】
この情報処理システムによれば、所定処理が、通信情報が所定の発信元からの着信情報であるか否かを判定する処理を含んでいる。そして、処理済み情報は、所定の発信元からの着信情報が除外された情報を含むように構成されていることにより、所定の発信元からの着信情報が送信先端末で受信されることがなくなる。したがって、この所定の発信元を送信先端末のユーザにとって着信情報を受け取る必要がない発信元、又は着信情報を受け取りたくない発信元などに設定することにより、送信先端末のユーザは、受け取る必要がない着信情報又は受け取りたくない着信情報を受け取ることがなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0022】
この情報処理システムによれば、処理済み情報が、通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報を含んでいるときには、所定の発信元からの通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることにより、所定の発信元からの通話音声情報が送信先端末で受信されることがなくなる。したがって、この所定の発信元を送信先端末のユーザにとって通話音声情報を受け取る必要がない発信元などに設定することにより、送信先端末のユーザは、受け取る必要がない通話音声情報を受け取ることがなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0023】
本発明において、所定処理は、通信情報が通話音声情報を含んでいる場合には通話音声情報を記録する処理を含み、処理済み情報は、記録された通話音声情報を含むように構成されていることが好ましい。
【0026】
前述した目的を達成するために、請求項に係る情報処理方法は、電話網と構内交換機との間に設けられたミラーリング装置により、電話網と構内交換機との間の通信情報がミラーリングして出力されるステップと、情報処理装置により、通信情報を受信して所定処理を実施することにより処理済み情報が生成されるとともに、処理済み情報が送信先端末に出力されるステップと、を実行し、所定処理は、通信情報が通話音声情報を含んでいる場合において、通話音声情報が所定の発信元からの通話音声情報であるか否かを判定する処理を含み、処理済み情報は、所定の発信元からの通話音声情報が除外された情報を含むように構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図2】CTIアダプタによる制御処理を示すフローチャートである。
図3】CTIサーバによる制御処理を示すフローチャートである。
図4図3の通話データ作成処理の内容を示すフローチャートである。
図5A】ユーザ端末における通話着信データの表示例を示す図である。
図5B】ユーザ端末における通話発信データの表示例を示す図である。
図5C】ユーザ端末におけるFAX着信データの表示例を示す図である。
図6】ユーザ端末における通話着信データの他の表示例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
図8】第3実施形態に係る情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の情報処理システム1は、PBX5、複数の構内電話機6(2つのみ図示)及び構内ファクシミリ機7を備えた構内電話システムに適用されたものである。
【0030】
この構内電話システムは、電話網4を介して、顧客の電話機(以下「顧客電話機」という)2及び顧客のファクシミリ機(以下「顧客ファクシミリ機」という)3との間で通信を実行する。
【0031】
本実施形態の場合、電話網4は、光回線網で構成されており、光回線網の構成は周知であるので、その詳細な説明はここでは省略する。この電話網4には、複数の顧客電話機2及び複数の顧客ファクシミリ機3(いずれも1つのみ図示)が通信可能な状態で接続されている。
【0032】
この情報処理システム1では、後述するように、顧客電話機2と構内電話機6との間、又は、顧客ファクシミリ機3と構内ファクシミリ機7との間で通信が実施された際、その通信情報データ(パケットデータ)が処理されるとともに、その処理結果が送信先端末としてのユーザ端末9に送信される。
【0033】
また、PBX5は、構内交換機(Private Branch eXchange)であり、構内交換機の構成は周知であるので、その詳細な説明はここでは省略する。PBX5は、複数の構内電話機6のいずれかと複数の顧客電話機2のいずれかとの間、又は、構内ファクシミリ機7と複数の顧客ファクシミリ機3のいずれかとの間を通信可能に接続する機能を有している。
【0034】
図1に示すように、情報処理システム1は、2つのONU10,14、ミラーハブ11、CTIアダプタ12、ルーター13及びCTIサーバ15を備えている。
【0035】
なお、本実施形態では、CTIアダプタ12及びCTIサーバ15が情報処理装置に相当し、ミラーハブ11がミラーリング装置に相当する。また、ミラーリング装置は、ミラーハブ11に限らず、ONU10とPBX5の間を流れる通信データをミラーリングできる装置であればよい。
【0036】
ONU10は、光回線終端装置(Optical Network Unit)であり、光回線終端装置の構成は周知であるので、その詳細な説明はここでは省略するが、光信号とデジタル信号を相互に変換する機能を備えている。このONU10では、電話網4からの光信号と後述するPBX5からのデジタル信号とが相互に変換される。
【0037】
ONU10には、ミラーハブ11が接続されている。このミラーハブ11は、ミラーリング機能を有するスイッチングハブで構成されており、ONU10とPBX5の間に設けられている。ミラーリング機能を有するスイッチングハブの構成は周知であるので、その詳細な説明はここでは省略する。
【0038】
このミラーハブ11では、顧客電話機2又はファクシミリ機3と構内電話機6との間で通信が実施された際、ONU10とPBX5の間を流れる通信データが、ミラーリングされてCTIアダプタ12に送信される。
【0039】
CTIアダプタ12は、ミラーハブ11に接続されており、電気回路、通信回路及びマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)などを備えている。このCTIアダプタ12では、後述するように、ミラーハブ11からの通信データを受信した際、各種制御処理が実行され、それにより、後述する情報データがルーター13に送信される。
【0040】
ルーター13は、その構成が周知であるので、その詳細な説明はここでは省略するが、CTIアダプタ12から受信した情報データをONU14に送信する。
【0041】
このONU14は、ONU10と同様に構成されており、CTIアダプタ12から受信した情報データをデジタル信号から光信号に変換した後、インターネット8を介して、CTIサーバ15に送信する。
【0042】
CTIサーバ15は、プロセッサ、ストレージ、記憶回路及び通信回路などを備えており(いずれも図示せず)、インターネット8を介して、ONU14及び複数のユーザ端末9(1つのみ図示)に接続されている。このCTIサーバ15では、CTIアダプタ12からの情報データを受信した際、各種制御処理が実行され、それにより、後述する作成データがインターネット8を介してユーザ端末9に出力される。
【0043】
複数のユーザ端末9は、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ又はスマートフォンなどで構成されている。このユーザ端末9では、後述するように、作成データを含む信号を受信した際、作成データがディスプレイ上に表示される。
【0044】
次に、図2を参照しながら、CTIアダプタ12によって実行される通信制御処理について説明する。同図に示すように、CTIアダプタ12では、まず、ミラーハブ11からの通信データを受信したか否かが判定される(図2/STEP1)。この場合、前述したように、通信データは、電話網4からの着信データである場合と、構内電話システムからの発信データである場合とが存在する。この判定が否定(図2/STEP1…NO)のときには、そのまま本処理が終了する。
【0045】
一方、この判定が肯定(図2/STEP1…YES)で、ミラーハブ11からの通信データが受信されたときには、通信データが実電話番号の情報を含んでいるか否かが判定される(図2/STEP2)。
【0046】
この判定が肯定(図2/STEP2…YES)で、通信データが実電話番号の情報を含んでいるときには、後述するSTEP4に進む。
【0047】
一方、この判定が否定(図2/STEP2…NO)で、通信データが実電話番号の情報を含んでいないときには、電話番号変換処理が実行される(図2/STEP3)。ここで、通信データに含まれる電話番号に関連する情報は、実電話番号の情報である場合に限らず、電話網4又は構内電話システムの環境によっては実電話番号以外の情報(例えば、SIP-URIなど)である場合がある。本実施形態では、そのような場合に対応するために、この電話番号変換処理が実行される。
【0048】
この電話番号変換処理では、所定の変換アルゴリズムによって、通信データに含まれる電話番号に関連する情報が実電話番号の情報に変換される。例えば、通信データに含まれる電話番号に関連する情報がSIP-URIである場合には、SIP-URIと実電話番号の関係を表すデータベースを参照することにより、通信データに含まれるSIP-URIが実電話番号の情報に変換される。このデータベースは、CTIアダプタ12のマイクロコンピュータに記憶されている。
【0049】
以上のように電話番号変換処理が実行されたとき、又は、前述したように通信データが実電話番号の情報を含んでいると判定されたときには、次に、通信データが通話データであるか否かが判定される(図2/STEP4)。
【0050】
この判定が肯定(図2/STEP4…YES)で、通信データが通話データであるときには、通信データに含まれる実電話番号が通話音声不要番号であるか否かが判定される(図2/STEP5)。この通話音声不要番号は、ユーザ端末9を使用するユーザが通話音声の録音データが不要であると考えている顧客などからの電話番号である。
【0051】
この判定は、各種IDと着信連絡不要番号とをリンク付けしたデータベースを参照することにより実行される。この場合、各種IDとしては、ユーザ端末9を使用するユーザのIDであるユーザID、ユーザが属する会社のIDである会社ID、ユーザが属する拠点のIDである拠点ID及びユーザが属する部署のIDである部署IDのうちのいずれか1つが用いられる。なお、各種IDとして、ユーザID、会社ID、拠点ID及び部署IDの少なくとも1つを用いるように構成してもよい。また、このデータベースは、CTIアダプタ12のマイクロコンピュータに記憶されている。
【0052】
上述した判定が肯定(図2/STEP5…YES)で、通信データに含まれる実電話番号が通話音声不要番号であるときには、通信データに含まれる実電話番号が着信連絡不要番号であるか否かが判定される(図2/STEP6)。この着信連絡不要番号は、ユーザ端末9を使用するユーザが着信履歴が不要であると考えている顧客などからの電話番号である。
【0053】
この判定は、各種IDと着信連絡不要番号とをリンク付けしたデータベースを参照することにより実行される。また、このデータベースは、CTIアダプタ12のマイクロコンピュータに記憶されている。
【0054】
この判定が肯定(図2/STEP6…YES)で、通信データに含まれる実電話番号が着信連絡不要番号であるときには、そのまま本処理が終了する。一方、この判定が否定(図2/STEP6…NO)で、通信データに含まれる実電話番号が着信連絡不要番号でないときには、第1通話情報データ作成処理が実行される(図2/STEP7)。
【0055】
この第1通話情報データ作成処理では、通信データにおける着信先の電話番号と各種IDとをリンク付けしたデータベースを参照することにより、通信データに各種IDをリンク付けした情報として、第1通話情報データが作成される。この場合、第1通話情報データは、録音不要な通話音声を含む可能性があるデータとして作成される。
【0056】
一方、前述した判定が否定(図2/STEP5…NO)で、通信データに含まれる実電話番号が通話音声不要番号でないときには、第2通話情報データ作成処理が実行される(図2/STEP8)。
【0057】
この第2通話情報データ作成処理では、通信データにおける着信先の電話番号と各種IDとをリンク付けしたデータベースを参照することにより、通信データに各種IDをリンク付けした情報として、第2通話情報データが作成される。この場合、第2通話情報データは録音が必要な通話音声を含む可能性があるデータとして作成される。
【0058】
また、前述した判定が否定(STEP4…NO)で、通信データがファクシミリ通信データであるときには、FAX情報データ作成処理が実行される(図2/STEP9)。このFAX情報データ作成処理では、通信データにおけるファクシミリ発信元又はファクシミリ着信先の電話番号と、各種IDとをリンク付けしたデータベースを参照することにより、通信データに各種IDをリンク付けした情報として、FAX情報データが作成される。
【0059】
以上のように、第1通話情報データ作成処理、第2通話情報データ作成処理又はFAX情報データ作成処理が実行された後、情報データ出力処理が実行される(図2/STEP10)。この情報データ出力処理では、第1通話情報データ、第2通話情報データ又はFAX情報データを含む情報データが、CTIアダプタ12からCTIサーバ15側に送信される。その後、本処理が終了する。
【0060】
なお、以下の説明では、第1通話情報データ及び第2通話情報データをまとめて適宜「通話情報データ」という。また、以上の図2の制御処理の一部又は全部が、CTIアダプタ12に代えて、CTIサーバ15で実行されるように構成してもよい。
【0061】
さらに、図2の制御処理において、通信データが構内電話システムからの通話発信データである場合、通話情報データが作成されないように構成してもよく、通信データが構内電話システムからのファクシミリの発信データである場合、FAX情報データが作成されないように構成してもよい。
【0062】
次に、図3~4を参照しながら、CTIサーバ15によって実行される通信制御処理について説明する。図3に示すように、CTIサーバ15では、まず、CTIアダプタ12からの情報データを受信したか否かが判定される(図3/STEP21)。この判定が否定(図3/STEP21…NO)のときには、そのまま本処理が終了する。
【0063】
一方、この判定が肯定(図3/STEP21…YES)で、情報データが受信されたときには、情報データが通話情報データであるか否かが判定される(図3/STEP22)。
【0064】
この判定が否定(図3/STEP22…NO)で、情報データがFAX情報データであるときには、FAXデータ作成処理が実行される(図3/STEP27)。このFAXデータ作成処理では、FAX着信データ又はFAX送信データが作成される。
【0065】
このFAX着信データは、各種IDとFAX着信履歴データをリンク付けすることにより作成される。このFAX着信履歴データは、着信時間、顧客名及び顧客FAX番号などを含むように構成される。
【0066】
また、FAX送信データは、各種IDとFAX発信履歴データをリンク付けすることにより作成される。このFAX発信履歴データは、発信時間、顧客名及び顧客FAX番号などを含むように構成される。
【0067】
一方、上記の判定が肯定(図3/STEP22…YES)で、情報データが通話情報データであるときには、情報データが第1通話情報データであるか否かが判定される(図3/STEP23)。この判定が肯定(図3/STEP23…YES)で、情報データが第1通話情報データであるときには、後述する通話データ作成処理(図3/STEP25)に進む。
【0068】
一方、この判定が否定(図3/STEP23…NO)で、情報データが第2通話情報データであるときには、通話音声録音処理が実行される(図3/STEP24)。この通話音声録音処理では、通話音声が第2通話情報データに含まれているときには、その通話音声が録音データ(例えば、mp4データ)として記録される。一方、通話音声が第2通話情報データに含まれていないときには、録音動作は実行されない。
【0069】
以上のように、通話音声録音処理が実行されたとき、又は、情報データが第1通話情報データであるときには、次に、通話データ作成処理が実行される(図3/STEP25)。この通話データ作成処理は、通話データを作成するものであり、具体的には、図4に示すように実行される。
【0070】
同図に示すように、通話データ作成処理では、まず、録音データが存在しているか否かが判定される(図4/STEP40)。この判定が否定(図4/STEP40…NO)で、録音データが存在していないとき、すなわち通話情報データが通話音声を含んでいなかったときには、後述する通話データの作成処理(図4/STEP42)に進む。
【0071】
一方、この判定が肯定(図4/STEP40…YES)で、録音データが存在しているとき、すなわち通話情報データが通話音声を含んでいるときには、録音データ変換処理が実行される(図4/STEP41)。この録音データ変換処理では、言語モデル及び発音辞書などを用いた音声認識アルゴリズムにより、録音データにおける音声データがテキスト文章に変換される。
【0072】
以上のように、録音データ変換処理を実行したとき、又は録音データが存在していないときには、次に、通話データの作成処理が実行される(図4/STEP42)。この通話データの作成処理では、通話データとして、通話着信データ又は通話発信データが作成される。
【0073】
具体的には、通話着信データは、各種IDと通話着信履歴データをリンク付けすることにより作成される。この通話着信履歴データは、録音データが存在するときには、録音データ、録音データをテキスト文章に変換したテキストデータ、着信時間、通話時間、顧客名及び顧客電話番号を含むように構成される。この場合、通話時間は、録音データに基づいて決定される。また、通話着信データは、録音データが存在しないときには、着信時間、通話時間、顧客名及び顧客電話番号を含むように構成される。
【0074】
また、通話発信データは、各種IDと通話発信履歴データをリンク付けすることにより、が作成される。この通話発信履歴データは、録音データが存在するときには、録音データ、録音データをテキスト文章に変換したテキストデータ、発信時間、通話時間、顧客名及び顧客電話番号を含むように構成される。この場合、通話時間は、録音データに基づいて決定される。また、通話発信データは、録音データが存在しないときには、発信時間、通話時間、顧客名及び顧客電話番号を含むように構成される。
【0075】
以上のように、通話データの作成処理を実行した後、単一化条件が成立しているか否かが判定される(図4/STEP43)。この判定は、例えば、同一の時間帯(例えば、10:00~10:05)において、同一の着信先からの着信が同一の構内電話番号に対して複数回発生しているとき、又は、同一の時間帯において、同一の発信元からの発信が同一の顧客電話番号に対して複数回発生しているときには、単一化条件が成立していると判定され、それ以外のときには、単一化条件が成立していないと判定される。
【0076】
この判定が否定(図4/STEP43…NO)で、単一化条件が成立していないときには、そのまま本処理が終了する。一方、この判定が肯定(図4/STEP43…YES)で、単一化条件が成立しているときには、単一化処理が実行される(図4/STEP44)。
【0077】
この単一化処理では、同一の時間帯において、同一の着信先からの着信が同一の構内電話番号に対して複数回発生しているときには、これらの着信時のデータが1つのデータと見なされて1つの通話着信データにまとめられる。以上のように、単一化処理を実行した後、本処理が終了する。
【0078】
図3に戻り、以上のように通話データ作成処理を実行した後、又は、前述したFAXデータ作成処理を実行した後、処理済みデータ出力処理が実行される(図3/STEP26)。この処理済みデータ出力処理では、通話着信データ又は通話発信データが通話データ作成処理で作成された場合には、通話着信データ又は通話発信データが各種IDに対応するユーザ端末9に対して出力される。
【0079】
一方、FAX着信データ又はFAX発信データがFAXデータ作成処理で作成された場合には、FAX着信データ又はFAX発信データがユーザ端末9に対して出力される。その後、本処理が終了する。なお、以下の説明では、通話着信データ、通話発信データ、FAX着信データ及びFAX発信データをまとめて適宜「処理済みデータ」という。
【0080】
なお、以上の図3の制御処理の一部(例えば通話音声録音処理)が、CTIサーバ15に代えて、CTIアダプタ12で実行されるように構成してもよい。
【0081】
以上のように、処理済みデータ出力処理が実行され、処理済みデータがユーザ端末9で受信された場合、ユーザ端末9では、図5A~5C及び図6に示すような各種データがユーザ端末9のディスプレイに表示される。なお、図5A~5C及び図6は、各種IDとして、ユーザIDが用いられた場合の例である。
【0082】
例えば、処理済みデータのうちの通話着信データがユーザ端末9で受信された場合、図5Aに示すように、ユーザID、着信時間、顧客名及び顧客電話番号などの情報がユーザ端末9のディスプレイに表示される。
【0083】
さらに、図5Aに示す情報が表示されている場合において、ユーザにより所定の表示操作が実行された場合には、図6に示すように、通話着信データに含まれる通話内容のテキストデータが表示され、ユーザにより所定の再生操作が実行された場合には、図示しないが、通話音声を録音した録音データが再生される。
【0084】
また、図5Bに示すように、処理済みデータのうちの通話発信データがユーザ端末9で受信された場合には、ユーザID、発信時間、顧客名及び顧客電話番号などの情報がユーザ端末9のディスプレイに表示される。さらに、図5Bに示す情報が表示されている場合において、ユーザにより所定の表示操作が実行された場合には、通話発信データに含まれる通話内容のテキストデータが表示され、ユーザにより所定の再生操作が実行された場合には、通話音声を録音した録音データが再生される(いずれも図示せず)。
【0085】
さらに、図5Cに示すように、処理済みデータのうちのFAX着信データがユーザ端末9で受信された場合、ユーザID、着信時間、顧客名及び顧客電話番号がユーザ端末9のディスプレイに表示される。また、図示しないが、FAX発信データがユーザ端末9で受信された場合、ユーザID、発信時間、顧客名及び顧客電話番号がユーザ端末9のディスプレイに表示される。
【0086】
以上のように、第1実施形態の情報処理システム1によれば、ミラーハブ11により、電話網4とPBX5との間の通信情報がミラーリングしてCTIアダプタ12に送信される。そして、CTIアダプタ12では、受信した通信情報に基づいて、図2の制御処理が実行されることにより、情報データが作成され、この情報データがCTIサーバ15に送信される。次いで、CTIサーバ15では、受信した情報データに基づいて、図3~4の制御処理が実行されることにより、処理済みデータが作成され、この処理済みデータがユーザ端末9に送信される。
【0087】
このように、ミラーハブ11を電話網4とPBX5との間に設けることにより、処理済みデータをユーザ端末9に出力できることになる。ここで、ミラーハブ11の場合、ミラーリングの機能のみが要求されることに起因して安価に製造できる。これに加えて、ミラーハブ11の場合、信号のミラーリングのみを実施する関係上、これに接続される機器との調整が不要となる。以上の理由により、この情報処理システムによれば、PBX5自体を交換する場合及びCTIアダプタを設ける場合などと比べて、コストを削減することができる。
【0088】
また、ミラーハブ11の場合、ミラーリング機能のみが要求される関係上、ミラーハブ11から出力される通信情報は、電話網4からの着信情報及びPBX5側からの発信情報のいずれであるかが不明な状態となる。これに対して、CTIアダプタ12では、図2のSTEP4において、通信データが着信データであるか否かが判定されることにより、通話着信データ又は通話発信データが作成される。それにより、通話着信データ又は通話発信データがユーザ端末9で受信された際、ユーザ端末9を使用するユーザは、着信情報及び発信情報を区別して認識することができる。
【0089】
さらに、実電話番号情報が通信データに含まれていない場合には、図2の電話番号変換処理(STEP3)において、通信データに含まれる電話番号に関連する情報が実電話番号の情報に変換される。それにより、実電話番号情報が通信データに含まれていない場合でも、ユーザ端末9を使用するユーザは、変換された発信元の実電話番号を認識することができる。
【0090】
これに加えて、通信データが着信データである場合、図2のSTEP6で、通信データに含まれる実電話番号が着信連絡不要番号であるか否かが判定され、通信データに含まれる実電話番号が着信連絡不要番号であるときには、図2の情報出力処理(STEP10)が実行されることなく、図2の制御処理がそのまま本処理が終了する。それにより、ユーザ端末9を使用するユーザは、着信情報を受け取る必要がない顧客などからの通話着信データが除外された状態で、通話着信データを受け取ることができる。
【0091】
一方、CTIサーバ15では、図3のSTEP22において、情報データが通話情報データであるか否かが判定され、情報データがFAX情報データであるときには、FAXデータ作成処理(STEP27)が実行され、情報データが通話情報データであるときには、最終的に、通話データ作成処理(STEP25)が実行される。そして、通話着信データ、通話発信データ、FAX着信データ及びFAX発信データのいずれかのデータがユーザ端末9に送信される。それにより、ユーザ端末9を使用するユーザは、電話の発着信情報かファクシミリの発着信情報であるかを認識することができる。
【0092】
また、CTIサーバ15では、情報データが第1通話情報データであるときには、通話音声録音処理(STEP24)がスキップされることにより、録音データが作成されない状態となる。それにより、ユーザ端末9を使用するユーザは、通話音声の録音データが不要であると考えている顧客などからの通話録音データが除外された状態で、通話着信データを受け取ることができる。
【0093】
さらに、CTIサーバ15では、情報データが第2通話情報データである場合において、第2通話情報データが通話音声を含んでいるときには、図3のSTEP24において、通話情報データに含まれている通話音声が録音データとして記録され、図4の録音データ変換処理(STEP41)では、録音データがテキスト文章に変換される。そして、図4の通話データ作成処理(STEP42)では、通話着信データ及び通話着信データは、通話音声の録音データ及びそのテキスト文章を含むように作成される。それにより、ユーザ端末9を使用するユーザは、この通話音声の内容をテキスト文章で参照したり、通話音声自体を聞いたりすることができる。
【0094】
さらに、電話網4とPBX5との間の通信情報は、通話の終了情報を含んでいるのが一般的であるものの、何らかの理由(例えば、一時的な通信障害)により、ミラーハブ11からの通話の終了情報がCTIサーバ15で受信されなかった場合、通話の終了時間の情報を送信先端末で受信できなくなるおそれがある。これに対して、CTIサーバ15では、通話着信データ及び通話発信データにおける通話時間が、録音データに基づいて決定されることにより、ミラーハブ11からの通話の終了情報がCTIサーバ15で受信されなかった場合でも、ユーザ端末9を使用するユーザは、通話時間を確認することができる。
【0095】
また、CTIサーバ15では、図4の単一化処理(STEP44)において、 この単一化処理では、同一の時間帯において、同一の着信先からの着信が同一の構内電話番号に対して複数回発生しているときには、これらの着信時のデータが1つのデータと見なされて1つの通話着信データにまとめられる。それにより、ユーザ端末9を使用するユーザは、同一の時間帯において、同一の着信先からの着信が同一の構内電話番号に対して複数回発生したときでも、複数の着信情報ではなく、単一の着信情報のみを認識することができる。以上により、ユーザ端末9を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0096】
なお、第1実施形態は、電話網として、光回線である電話網4を用いた例であるが、これに代えて、公衆回線網、移動体通信網又はIP網などを電話網として用いてもよい。
【0097】
また、第1実施形態の情報処理システム1において、CTIサーバ15をビデオ通話サービスを実行するビデオ通話サーバ(図示せず)に接続して下記のような処理を実行してもよい。
【0098】
すなわち、CTIサーバ15において、ユーザと顧客との間のビデオ通話のデータをビデオ通話サーバから受信し、受信したデータに対して前述した制御処理と同様の制御処理を実行することにより、ビデオ通話の通話履歴などのデータがユーザ端末9に送信されるように構成してもよい。
【0099】
さらに、第1実施形態の情報処理システム1において、CTIサーバ15をSNS(Social Networking Service)を実行するSNS通信サーバ(図示せず)に接続して下記のような処理を実行してもよい。
【0100】
すなわち、CTIサーバ15において、ユーザと顧客との間のSNS通信データをSNS通信サーバから受信し、受信したデータに対して前述した制御処理と同様の制御処理を実行することにより、SNS通信データの通信履歴などのデータがユーザ端末9に送信されるように構成してもよい。
【0101】
また、第1実施形態の情報処理システム1において、CTIサーバ15を電子メールサービスを実行するメールサーバ(図示せず)に接続して下記のような処理を実行してもよい。
【0102】
すなわち、CTIサーバ15において、ユーザと顧客との間の電子メールデータを電子メールサーバから受信し、受信したデータに対して前述した制御処理と同様の制御処理を実行することにより、電子メールデータの通信履歴などのデータがユーザ端末9に送信されるように構成してもよい。
【0103】
次に、図7を参照しながら、第2実施形態に係る情報処理システム1Aについて説明する。本実施形態の情報処理システム1Aの場合、第1実施形態の情報処理システム1と比較して、ONU14が省略されている点と、ルーター13及びCTIサーバ15の接続先と、CTIアダプタ12からCTIサーバ15までのデータの流れ方などが異なっている。したがって、以下、異なる点を中心に説明するとともに、第1実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0104】
図7に示すように、この情報処理システム1Aでは、ルーター13がPBX5に接続されており、CTIサーバ15がインターネット8を介してONU10に接続されている。また、電話網4からONU10に接続されている回線は、電話回線及びインターネット回線の共用になっている。
【0105】
さらに、CTIアダプタ12では、ミラーハブ11からの通信データを受信した際、前述したように各種制御処理が実行され、それにより、前述した情報データがルーター13に対して送信される。また、CTIアダプタ12は、自身がルーター13側に送信した情報データをミラーハブ11側から受信した場合、情報データのループを回避するために、情報データをルーター13側に送信しない機能を備えている。
【0106】
ルーター13では、CTIアダプタ12からの情報データがPBX5に送信される。本実施形態の場合、PBX5は、ルーター13からの情報データをミラーハブ11側に送信する機能を備えており、ミラーハブ11は、PBX5からの情報データをONU10側及びCTIアダプタ12側に送信する機能を備えている。
【0107】
以上の構成により、CTIアダプタ12が出力した情報データは、PBX5及びミラーハブ11を介して、ONU10に送信される。そして、ONU10は、受信した情報データをデジタル信号から光信号に変換した後、インターネット8を介して、CTIサーバ15に送信する。
【0108】
CTIサーバ15では、ONU10からの情報データを受信した際、前述した制御処理が実行され、それにより、通話着信データ、通話発信データ、FAX着信データ及びFAX発信データのいずれかが、ユーザ端末9に送信される。
【0109】
以上のように構成された第2実施形態の情報処理システム1Aによれば、第1実施形態の情報処理システム1と同様の作用効果を得ることができる。
【0110】
次に、図8を参照しながら、第3実施形態に係る情報処理システム1Bについて説明する。本実施形態の情報処理システム1Bは、第1実施形態の情報処理システム1と比較した場合、CTIアダプタ12、ルーター13、ONU14及びCTIサーバ15に代えて、情報処理装置16を備えている点が異なっているので、以下、情報処理装置16を中心に説明する。また、第1実施形態と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0111】
図8に示すように、この情報処理システム1Bでは、ミラーハブ11が情報処理装置16に接続され、情報処理装置16がユーザ端末9に接続されている。この情報処理装置16は、プロセッサ、ストレージ、記憶回路及び通信回路などを備えており(いずれも図示せず)、CTIアダプタ12とCTIサーバ15の双方の機能を有するように構成されている。
【0112】
したがって、この情報処理装置16では、ミラーハブ11からの通信データが受信された場合、前述した図2~4に示す制御処理が実行され、それにより、通話着信データ、通話発信データ、FAX着信データ及びFAX発信データのいずれかが、ユーザ端末9に送信される。
【0113】
以上のように構成された第3実施形態の情報処理システム1Bによれば、第1実施形態の情報処理システム1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 情報処理システム
4 電話網
5 PBX(構内交換機)
9 ユーザ端末(送信先端末)
11 ミラーハブ(ミラーリング装置)
12 CTIアダプタ(情報処理装置)
15 CTIサーバ(情報処理装置)
1A 情報処理システム
1B 情報処理システム
16 情報処理装置
【要約】
【課題】従来の構内電話回線網に適用する場合において、接続確認作業が不要になり、コストを削減することができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム1では、ミラーハブ11は、電話網4とPBX5との間の通信情報をミラーリングしてCTIアダプタ12に送信し、CTIアダプタ12は、各種制御処理を実行して通信情報から情報データを作成し、これをCTIサーバ15に送信する。CTIサーバ15は、各種制御処理を実行して情報データから処理済みデータを作成してユーザ端末9に送信する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8