(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】周辺監視装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240314BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
(21)【出願番号】P 2020031043
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】502178001
【氏名又は名称】学校法人梅村学園
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】足立 淳
(72)【発明者】
【氏名】目加田 慶人
(72)【発明者】
【氏名】道満 恵介
(72)【発明者】
【氏名】井上 博記
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023794(JP,A)
【文献】特開2010-237798(JP,A)
【文献】稲葉洋 外2名,降雨時の車載カメラ映像に対するフレーム間の対応付けに基づく雨滴部の修繕,信学校報(ITS2010-57,IE2010-132),2011年02月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられる撮像部によって前記車両の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像に含まれる汚れ画像を検出し、かつ前記汚れ画像をマスクする検出部と、
前記撮像画像のうち第1撮像画像と、当該第1撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像と、の間における、前記汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第1撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第1復元画像を生成し、前記撮像画像のうち前記第1撮像画像より後の第2撮像画像と、当該第2撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像
のうち前記第1撮像画像を除く前記撮像画像と、前記第1復元画像と、の間における前記欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第2撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第2復元画像を復元する復元部と、
を備える周辺監視装置。
【請求項2】
前記欠損領域の外縁近傍を、復元対象範囲に設定する設定部をさらに備え、
前記復元部は、前記設定部により設定される前記復元対象範囲を復元する請求項1に記載の周辺監視装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記車両が直進している場合、前記撮像部によって前記車両の前方を撮像して得られる前記撮像画像の前記欠損領域が、前記撮像画像の中央に近づくに従って、前記復元対象範囲を狭める請求項2に記載の周辺監視装置。
【請求項4】
コンピュータを、
車両に備えられる撮像部によって前記車両の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像に含まれる汚れ画像を検出し、かつ前記汚れ画像をマスクする検出部と、
前記撮像画像のうち第1撮像画像と、当該第1撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像と、の間における、前記汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第1撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第1復元画像を生成し、前記撮像画像のうち前記第1撮像画像より後の第2撮像画像と、当該第2撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像
のうち前記第1撮像画像を除く前記撮像画像と、前記第1復元画像と、の間における、前記欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第2撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第2復元画像を復元する復元部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、周辺監視装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動画を構成するフレーム(撮像画像の一例)の欠損領域をオプティカルフローおよびGAN(Generative Adversarial Network)により生成する技術が開発されている。具体的には、当該技術は、動画を構成するフレームのうち復元対象のフレームおよびその前後の数フレーム間のオプティカルフローを推定し、推定したオプティカルフローに基づいて復元対象のフレームの欠損領域を復元し、かつ、欠損領域のうちオプティカルフローに基づいて復元できない領域をGANにより生成する技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Xu,R., Li,X., Zhou, B., and Loy,C.C. (2019). Deep flow-guided video inpainting. In Proceedings of 2019 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, pages 3723-3732.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、復元対象のフレームの欠損領域の復元に際し、時系列的に連続する複数のフレーム間のオプティカルフローしか利用していないため、欠損領域が広くなると、フレームにおいて、オプティカルフローに基づく欠損領域の復元に適用可能な部分が少なくなり、複数のフレーム間のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度が低くなる可能性がある。
【0005】
そこで、実施形態の課題の一つは、複数のフレーム間のオプティカルフローに基づいて復元する復元画像の信頼度を向上させることを可能とする周辺監視装置、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の周辺監視装置は、一例として、車両に備えられる撮像部によって前記車両の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像に含まれる汚れ画像を検出し、かつ前記汚れ画像をマスクする検出部と、前記撮像画像のうち第1撮像画像と、当該第1撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像と、の間における、前記汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第1撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第1復元画像を生成し、前記撮像画像のうち前記第1撮像画像より後の第2撮像画像と、当該第2撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像のうち前記第1撮像画像を除く前記撮像画像と、前記第1復元画像と、の間における前記欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第2撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第2復元画像を復元する復元部と、を備える。よって、一例として、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度を向上させることができる。
【0007】
また、実施形態の周辺監視装置は、一例として、前記欠損領域の外縁近傍を、復元対象範囲に設定する設定部をさらに備え、前記復元部は、前記設定部により設定される前記復元対象範囲を復元する。よって、一例として、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0008】
また、実施形態の周辺監視装置は、一例として、前記設定部は、前記車両が直進している場合、前記撮像部によって前記車両の前方を撮像して得られる前記撮像画像の前記欠損領域が、前記撮像画像の中央に近づくに従って、前記復元対象範囲を狭める。よって、一例として、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0009】
実施形態のプログラムは、一例として、コンピュータを、車両に備えられる撮像部によって前記車両の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像に含まれる汚れ画像を検出し、かつ前記汚れ画像をマスクする検出部と、前記撮像画像のうち第1撮像画像と、当該第1撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像と、の間における、前記汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第1撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第1復元画像を生成し、前記撮像画像のうち前記第1撮像画像より後の第2撮像画像と、当該第2撮像画像と時系列的に連続する前記撮像画像のうち前記第1撮像画像を除く前記撮像画像と、前記第1復元画像と、の間における、前記欠損領域のオプティカルフローを推定し、当該推定したオプティカルフローに基づいて、前記第2撮像画像内の前記欠損領域の少なくとも一部を復元した第2復元画像を復元する復元部と、として機能させる。よって、一例として、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態の周辺監視装置が搭載される車両の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の周辺監視装置を含む車両制御システムの構成の例示的なブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の車両が有する車両制御システムの機能構成を例示的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元画像の生成処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の他の例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の他の例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元画像の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
本実施形態の周辺監視装置は、例えば、車両に搭載された撮像部のレンズに汚れが付着して、撮像画像に汚れが写り込んでいた場合、この汚れを取り除いたかのような画像、つまり汚れが存在しない状態を復元した復元画像を生成する。そして、復元画像を用いることで、周辺監視装置における周辺監視機能を向上する。
【0013】
図1は、本実施形態の周辺監視装置が搭載される車両の模式的な平面図である。車両10は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両10における車輪12(前輪12F、後輪12R)の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0014】
図1に例示されるように、車両10には、複数の撮像部14として、例えば四つの撮像部14a~14dが設けられている。撮像部14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部14は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像)を出力することができる。撮像部14は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~220°の範囲を撮影することができる。また、例えば、車両10の外周部に配置される撮像部14(14a~14d)の光軸は斜め下方に向けて設定されている場合もある。よって、撮像部14(14a~14d)は、車両10が移動可能な路面や路面に付されたマーク(矢印や区画線、駐車スペースを示す駐車枠、車線分離線等)や物体(障害物として、例えば、歩行者、他車両等)を含む車両10の外部の周辺環境を逐次撮影し、撮像画像として出力する。
【0015】
撮像部14aは、例えば、車両10の前側、すなわち車両前後方向の前方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばフロントバンパ10aやフロントグリル等に設けられて、車両10の前端部(例えばフロントバンパ10a)を含む前方画像を撮像可能である。また、撮像部14bは、例えば、車両10の後側、すなわち車両前後方向の後方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばリヤバンパ10bの上方位置に設けられて、車両10の後端部(例えばリヤバンパ10b)を含む後方領域を撮像可能である。また、撮像部14cは、例えば、車両10の右側の端部、例えば右側のドアミラー10cに設けられて、車両10の右側方を中心とする領域(例えば右前方から右後方の領域)を含む右側方画像を撮像可能である。撮像部14dは、例えば、車両10の左側の端部、例えば左側のドアミラー10dに設けられて、車両10の左側方を中心とする領域(例えば左前方から左後方の領域)を含む左側方画像を撮像可能である。
【0016】
例えば、撮像部14a~14dで得られた各撮像画像データは、それぞれ演算処理や画像処理を実行することで、車両10の周囲それぞれの方向における画像を表示したり周辺監視を実行したりすることができる。また、各撮像画像に基づいて、演算処理や画像処理を実行することで、より広い視野角の画像を生成したり、車両10を上方や前方、側方等から見た仮想的な画像(俯瞰画像(平面画像)や側方視画像、正面視画像等)を生成して表示したり、周辺監視を実行したりすることができる。
【0017】
各撮像部14で撮像された撮像画像データは、上述したように、車両10の周囲の状況を運転者等の利用者に提供するために、車室内の表示装置に表示される。また、撮像画像は、各種検出や検知を行う処理装置(処理部)に提供され、車両10を制御するために利用することができる。
【0018】
図2は、本実施形態の周辺監視装置を含む車両制御システムの構成の例示的なブロック図である。
【0019】
車両10の車室内には、表示装置16や、音声出力装置18が設けられている。表示装置16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electroluminescent Display)等である。音声出力装置18は、例えば、スピーカである。また、表示装置16は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部20で覆われている。使用者(例えば、運転者)は、操作入力部20を介して表示装置16の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、利用者は、表示装置16の表示画面に表示される画像に対応した位置で、手指等で操作入力部20を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置16や、音声出力装置18、操作入力部20等は、例えば、車両10のダッシュボードの車幅方向すなわち左右方向の例えば中央部に位置されたモニタ装置22に設けられている。モニタ装置22は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。モニタ装置22は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0020】
また、
図2に例示されるように、車両制御システム100(周辺監視装置を含む)は、撮像部14(14a~14d)やモニタ装置22に加え、ECU(Electronic Control Unit)24、車輪速センサ26、舵角センサ28、情報取得部30等が含まれる。車両制御システム100において、ECU24やモニタ装置22、車輪速センサ26、舵角センサ28、情報取得部30等は、電気通信回線としての車内ネットワーク32を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク32は、例えば、CAN(Controller Area Network)として構成されている。ECU24は、車内ネットワーク32を通じて制御信号を送ることで、各種システムの制御が実行できる。また、ECU24は、車内ネットワーク32を介して、操作入力部20や各種スイッチの操作信号等、車輪速センサ26、舵角センサ28等の各種センサの検出信号等、情報取得部30が取得可能な位置情報等の情報を、受け取ることができる。なお、車内ネットワーク32には、車両10を走行させるための種々のシステム(操舵システム、ブレーキシステム、駆動システム等)や種々のセンサが接続されているが、
図2において、本実施形態の周辺監視装置で必須ではない構成は図示を省略するとともに、その説明を省略する。
【0021】
ECU24は、撮像部14から取得した撮像画像データに基づいて生成した周辺画像等や音声に関するデータをモニタ装置22へ送信する。ECU24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)24aや、ROM(Read Only Memory)24b、RAM(Random Access Memory)24c、表示制御部24d、音声制御部24e、SSD(Solid State Drive、フラッシュメモリ)24f等を有している。
【0022】
CPU24aは、ROM24b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムに従って演算処理を実行する。ROM24bは、各プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM24cは、CPU24aが復元画像の復元処理を実行する際のワークエリアとして使用されるとともに、CPU24aでの演算で用いられる各種のデータ(撮像部14で逐次(時系列的(時間的)に連続して)撮像される撮像画像等)の一時的な格納エリアとして利用される。また、表示制御部24dは、ECU24での演算処理のうち、主として、表示装置16で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部24eは、ECU24での演算処理のうち、主として、音声出力装置18で出力される音声データの処理を実行する。SSD24fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU24の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU24aや、ROM24b、RAM24c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU24は、CPU24aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD24fに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD24fやHDDは、ECU24とは別に設けられてもよい。
【0023】
車輪速センサ26は、車輪12の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ26は、各車輪12に配置され、各車輪12で検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ26は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。CPU24aは、車輪速センサ26から取得した検出値に基づいて車両10の車速や加速度等を演算し、各種制御を実行する。CPU24aは、各車輪速センサ26の検出値に基づいて車両10の車速を算出する場合、四輪のうち最も小さな検出値の車輪12の速度に基づき車両10の車速を決定し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ26は、図示を省略したブレーキシステムに設けられている場合もある。その場合、CPU24aは、車輪速センサ26の検出値をブレーキシステムを介して取得してもよい。
【0024】
舵角センサ28は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ28は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。CPU24aは、運転者による操舵部の操舵量や、例えば駐車支援を実行する際の自動操舵時の前輪12Fの操舵量等を、舵角センサ28から取得して各種制御を実行する。
【0025】
情報取得部30は、GPS(Global Positioning System)等から送信されるGPS信号を受信することで車両10の現在の位置を取得したり、外部の情報センタ等が送信する気象情報等を取得したりすることが可能で、取得した情報を各種制御に利用する。なお、車両10の位置情報や外部情報等は、モニタ装置22がナビゲーションシステムを供える場合、ナビゲーションシステム側で取得してもよい。
【0026】
本実施形態では、ECU24は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、撮像部14で撮像された撮像画像に汚れが存在する場合、その撮像画像から汚れを取り除いたかのような画像、つまり、汚れが存在しない状態を復元した「復元画像」の生成処理(復元処理)を司る。
【0027】
図3は、本実施形態の車両が有する車両制御システムの機能構成を例示的に示すブロック図である。
【0028】
ECU24(周辺監視装置の一例)は、撮像画像に存在する汚れを取り除いたかのような復元画像を生成する復元処理機能を実現するための各種モジュールを含む。例えば、ECU24は、画像取得部341、汚れ画像検出部342、オプティカルフロー推定部343、画像復元部344、復元対象範囲判定部345、および自車位置情報取得部346等を含む。これらのモジュールは、CPU24a(プロセッサの一例)がROM24b等の記憶装置に記憶されるプログラムを実行することにより実現されても良いし、専用のハードウェアとして構成されても良い。ECU24には、実際に周辺監視処理として、障害物検出や白線検出等を実行するためのモジュールが含まれるが、
図3においては、復元処理機能に必要なモジュール以外は、図示を省略するとともに、その説明を省略する。
【0029】
ROM24bは、CPU24aで実行される各種プログラム等を記憶する。また、RAM24cは、ECU24で復元画像を生成する場合に利用する撮像画像として、時系列的に連続して撮像された複数の撮像画像を一時的に格納しておく、撮像画像格納部340を含む。また、SSD24fは、画像復元部344により復元される復元画像を記憶する記憶部の一例である。
【0030】
画像取得部341は、各撮像部14によって、車両10の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得する。そして、画像取得部341は、取得した撮像画像を、RAM24cの撮像画像格納部340に保存する。
【0031】
本実施形態では、画像取得部341は、車両10(ECU24)の電源がONの場合に撮像部14の撮像により得られる撮像画像を取得する。そして、画像取得部341は、各撮像部14(14a~14d)の撮像により得られる撮像画像を、撮像部14毎に識別して取得して、撮像画像格納部340に保存する。
【0032】
したがって、撮像画像格納部340には、各撮像部14毎に時間的(時系列的)に連続する撮像画像(フレーム)が保存される。撮像画像格納部340は、一定期間、例えば、3~5秒分の撮像画像が格納可能で、逐次新しい撮像画像を上書する。本実施形態では、撮像画像格納部340は、復元画像を生成する撮像画像(以下、対象画像と言う)を基準として、当該対象画像の前後の複数の撮像画像を記憶する。または、撮像画像格納部340は、車両10が一定距離走行する間の撮像画像を記憶するようにしてもよい。
【0033】
汚れ画像検出部342は、撮像画像格納部340に記憶される撮像画像に含まれる汚れ画像を検出する。次いで、汚れ画像検出部342は、撮像画像のうち、当該検出した汚れ画像をマスク(例えば、除去)する。本実施形態では、汚れ画像検出部342が、検出部の一例として機能する。
【0034】
本実施形態では、汚れ画像検出部342は、Attentive Recurrent Networkに入力して、画像取得部341により取得される各撮像画像のAttention Mapを生成する。次いで、汚れ画像検出部342は、生成したAttention Mapを二値化することにより、撮像画像から汚れ画像(例えば、雨滴の画像)を検出する。そして、汚れ画像検出部342は、撮像画像内において、当該検出した汚れ画像の領域をマスクする。
【0035】
オプティカルフロー推定部343は、撮像画像格納部340に記憶される撮像画像のうち対象画像と、当該対象画像と時系列的に連続する撮像画像と、の間における欠損領域のオプティカルフローを推定する。ここで、欠損領域は、撮像画像のうち、汚れ画像をマスクした領域である。
【0036】
本実施形態では、オプティカルフロー推定部343は、深層学習を用いて、対象画像と、当該対象画像と時系列的に連続する撮像画像と、の間の欠損領域のオプティカルフローを推定する。例えば、オプティカルフロー推定部343は、対象画像と、その前後の予め設定された数の撮像画像と、の間の欠損領域のオプティカルフローを推定する。
【0037】
具体的には、オプティカルフロー推定部343は、汚れ画像を含む撮像画像と、汚れ画像を示すマスク画像と、をDeep Flow Completion Networkに入力して、撮像画像内においてマスクによって欠損した欠損領域のオプティカルフローを推定する。または、オプティカルフロー推定部343は、撮像画像内の欠損領域の周囲のオプティカルフローを推定し、その推定結果に基づいて、欠損領域のオプティカルフローを推定することも可能である。
【0038】
しかしながら、時系列的に連続する複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像内の欠損領域を復元する場合、欠損領域が広くなると、撮像画像において、オプティカルフローに基づく欠損領域の復元に適用可能な箇所が少なくなる。そのため、撮像画像内の欠損領域が広くなると、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度が低くなる可能性がある。また、撮像画像内の欠損領域が広くなると、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づく画像の復元を繰り返しても、欠損領域が広いままとなる可能性がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、オプティカルフロー推定部343は、対象画像と、当該対象画像と時系列的に連続する撮像画像と、後述する画像復元部344により復元済みの復元画像と、の間における欠損領域のオプティカルフローを推定する。言い換えると、オプティカルフロー推定部343は、撮像画像格納部340に記憶される撮像画像のうち対象画像と、当該対象画像に時系列的に連続する撮像画像と、当該対象画像より前の撮像画像の復元画像と、の間の欠損領域のオプティカルフローを推定する。
【0040】
これにより、画像取得部341により取得される撮像画像における欠損領域が広くなった場合でも、復元画像において当該汚れ画像の領域が復元されていれば、欠損領域のオプティカルフローの推定に用いる画像において、欠損領域の復元に適用可能な箇所を増やすことができる。その結果、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度を向上させることができる。また、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づく画像の復元を繰り返すことにより、欠損領域が広いままとなる可能性を低減できる。
【0041】
画像復元部344は、オプティカルフロー推定部343によって推定した欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像内の欠損領域の少なくとも一部を復元した復元画像を生成する。
【0042】
本実施形態では、画像復元部344は、欠損領域のオプティカルフローに基づいて、Flow Guided Frame Inpaintingによって、欠損領域を復元(修復)することによって、復元画像を生成する。また、本実施形態では、画像復元部344は、対象画像が含む欠損領域のうち、後述する復元対象範囲判定部345により設定される復元対象範囲を復元する。したがって、本実施形態では、オプティカルフロー推定部343および画像復元部344が、復元部の一例として機能する。
【0043】
また、画像復元部344は、生成した復元画像を、SSD24f等の記憶部に保存する。さらに、画像復元部344は、SSD24f等の記憶部に記憶される復元画像を表示装置16に表示させる。
【0044】
自車位置情報取得部346は、車両10の現在の位置を示す自車位置情報を取得する。本実施形態では、自車位置情報取得部346は、情報取得部30により取得される車両10の現在の位置を示す情報を、自車位置情報として取得する。
【0045】
復元対象範囲判定部345は、対象画像の欠損領域のうち当該欠損領域の外縁近傍を、復元対象範囲に設定する設定部の一例として機能する。これにより、欠損領域に含まれる画素のうち、オプティカルフローの推定精度が高い画素のオプティカルフローに基づいて、欠損領域を復元することが可能となる。その結果、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0046】
また、復元対象範囲判定部345は、自車位置情報取得部346により取得される自車位置情報に基づいて、復元対象範囲を設定する。これにより、欠損領域のオプティカルフローの推定結果の信頼性を考慮して、復元対象範囲を設定することが可能となるので、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0047】
具体的には、復元対象範囲判定部345は、自車位置情報に基づいて、車両10が直進しているか否かを判断する。そして、復元対象範囲判定部345は、車両10が直進していると判断した場合、撮像部14(例えば、撮像部14a)によって車両10の前方を撮像して得られる撮像画像の欠損領域が、当該撮像画像の中央に近づくに従って、復元対象範囲を狭める。言い換えると、復元対象範囲判定部345は、車両10が直進していると判断した場合、撮像部14によって車両10の前方を撮像して得られる撮像画像の欠損領域が、当該撮像画像の中央から離れるに従って、復元対象範囲を大きくする。
【0048】
これにより、車両10が直進している場合に、撮像画像に含まれる欠損領域のうちオプティカルフローの推定結果の信頼性が低くなる当該撮像画像の中央近傍の欠損領域については、復元対象範囲を狭めることが可能となるので、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0049】
図4は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元画像の生成処理の一例を説明するための図である。
【0050】
次に、
図4を用いて、ECU24による復元画像の生成処理の一例について説明する。
【0051】
ECU24の電源がONされると、画像取得部341は、撮像部14の撮像により得られる撮像画像の取得を開始する。そして、画像取得部341は、取得した撮像画像を、撮像画像格納部340に保存する。
【0052】
次いで、汚れ画像検出部342は、対象画像、および当該対象画像の前後の撮像画像を含む複数の撮像画像F0(=(f-3k,・・・,f0,・・・f3k+1))のそれぞれから汚れ画像を検出する。次いで、汚れ画像検出部342は、複数の撮像画像F0のそれぞれに含まれる汚れ画像をマスクする。
【0053】
次に、オプティカルフロー推定部343は、複数の撮像画像F0間における、汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定する。そして、画像復元部344は、複数の撮像画像F0間における欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像f0の欠損領域を復元した復元画像f´0を生成する。
【0054】
続いて、汚れ画像検出部342は、対象画像f0よりも時系列的に後の対象画像f1、当該対象画像f1の前後の撮像画像、および復元画像f´0を含む複数の撮像画像F1(=(f-3k+1,・・・,f´0,f1,・・・f3k+2))のそれぞれから汚れ画像を検出する。次いで、汚れ画像検出部342は、複数の撮像画像F1のそれぞれに含まれる汚れ画像をマスクする。
【0055】
次に、オプティカルフロー推定部343は、複数の撮像画像F1間における、汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定する。そして、画像復元部344は、複数の撮像画像F1間における欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像f1の欠損領域を復元した復元画像f´1を生成する。
【0056】
続いて、汚れ画像検出部342は、対象画像f1よりも時系列的に後の対象画像f2、当該対象画像f2の前後の撮像画像、および復元画像f´0,f´1を含む複数の撮像画像F2(=(f-3k+2,・・・,f´0,f´1,f2,・・・f3k+3))のそれぞれから汚れ画像を検出する。次いで、汚れ画像検出部342は、複数の撮像画像F2のそれぞれに含まれる汚れ画像をマスクする。
【0057】
次に、オプティカルフロー推定部343は、複数の撮像画像F2間における、汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定する。そして、画像復元部344は、複数の撮像画像F2間における欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像f2の欠損領域を復元した復元画像f´2を生成する。
【0058】
このように、復元画像の生成を繰り返す毎に、対象画像の欠損領域のオプティカルフローの推定に用いる復元画像が増え、複数の撮像画像内においてオプティカルフローの推定を適用可能な箇所を増やすことができる。その結果、複数の撮像画像間のオプティカルフローに基づいて復元できる欠損領域が大きくすることができる。
【0059】
図5は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の一例を説明するための図である。
【0060】
次に、
図5を用いて、ECU24による復元対象範囲の設定処理の一例について説明する。
【0061】
復元対象範囲判定部345は、
図5に示すように、複数の時刻(例えば、時刻T-Y、時刻T、時刻T+Y)における自車位置情報に基づいて、車両10が直進しているか否かを判断する。そして、車両10が直進していると判断した場合、復元対象範囲判定部345は、
図5に示すように、対象画像G内における予め設定される画像領域毎のオプティカルフローの推定結果の信頼性を考慮して、欠損領域R1,R2に対して、復元対象範囲R1´,R2´を設定する。
【0062】
具体的には、車両10が直進している場合、対象画像Gの中央と比較して、対象画像Gの端側のオプティカルフローが長くなり、オプティカルフローの推定結果の信頼性が高くなる。そのため、復元対象範囲判定部345は、対象画像Gの中央付近に存在する欠損領域R1に設定する復元対象範囲R1´より、対象画像Gの端側に存在する欠損領域R2に設定する復元対象範囲R2´を大きくする。
【0063】
これにより、車両10が直進している場合に、対象画像Gに含まれる欠損領域R1,R2のうちオプティカルフローの推定結果の信頼性が低くなる当該対象画像Gの中央近傍の欠損領域R1については、復元対象範囲R1´を狭めることが可能となるので、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0064】
図6は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の一例を説明するための図である。
【0065】
復元対象範囲判定部345は、
図6に示すように、対象画像Gに含まれる欠損領域R(汚れ画像)の重心O(中心)と、当該欠損領域Rの外縁Sと、の間の距離に基づいて、復元対象範囲R´を設定する。
【0066】
具体的には、復元対象範囲判定部345は、
図6に示すように、重心Oと、外縁Sの任意の点Pと、を結ぶ線の距離(ユークリッド距離)Dを、所定比率H(=X:Y)で分割する。ここで、所定比率Hは、予め設定される比率であり、距離Dのうち、外縁S側の距離D2が、重心O側の距離D1より長くなるように設定されているものとする。復元対象範囲判定部345は、自車両位置情報および対象画像G内における欠損領域Rの位置に応じて、所定比率Hを変更することも可能である。具体的には、復元対象範囲判定部345は、車両10が直進している場合、対象画像G内における欠損領域Rの位置が中央に近づくに従って、外縁S側の距離D2が短くなるように所定比率Hを設定する。
【0067】
そして、復元対象範囲判定部345は、欠損領域Rの外縁Sから重心Oに向かって、距離D2までの範囲を、復元対象範囲R´に設定する。これにより、欠損領域Rに含まれる画素のうち、オプティカルフローの推定精度が高い画素のオプティカルフローに基づいて、欠損領域Rを復元することが可能となる。その結果、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0068】
図7,8は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元対象範囲の設定処理の他の例を説明するための図である。
【0069】
復元対象範囲判定部345は、
図7に示すように、対象画像G内の欠損領域R(汚れ画像)の外縁Sから、当該欠損領域Rの重心Oに向かって、所定距離Zの範囲を、復元対象範囲R´に設定することも可能である。これにより、欠損領域Rに含まれる画素のうち、オプティカルフローの推定精度が高い画素のオプティカルフローに基づいて、欠損領域Rを復元することが可能となる。その結果、復元画像の復元精度を向上させることができる。
【0070】
例えば、復元対象範囲判定部345は、
図8に示すように、対象画像G内の欠損領域Rの各画素について、当該欠損領域Rの外縁Sからの最小距離を算出する距離変換処理を実行する。そして、復元対象範囲判定部345は、
図8に示すように、欠損領域Rの画素のうち、最小距離が所定距離Zの範囲内に存在する画素からなる領域を、復元対象範囲R´に設定する。
【0071】
ここで、所定距離Zは、予め設定される距離である。復元対象範囲判定部345は、自車両位置情報および対象画像G内における欠損領域Rの位置に応じて、所定距離Zを変更することも可能である。具体的には、復元対象範囲判定部345は、車両10が直進している場合、対象画像G内における欠損領域Rの位置が中央に近づくに従って、所定距離Zを短くする。
【0072】
図9は、本実施形態にかかる車両が有する車両制御システムにおける復元画像の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0073】
次に、
図9を用いて、ECU24による復元画像の生成処理の流れの一例について説明する。
【0074】
ECU24の電源がONされると、画像取得部341は、撮像部14の撮像により得られる撮像画像の取得を開始する(ステップS901)。そして、画像取得部341は、取得した撮像画像を、撮像画像格納部340に保存する(ステップS902)。
【0075】
汚れ画像検出部342は、画像取得部341により取得される撮像画像に含まれる汚れ画像を検出する(ステップS903)。また、汚れ画像検出部342は、撮像画像のうち、当該検出した汚れ画像をマスクする(ステップS904)。
【0076】
オプティカルフロー推定部343は、画像取得部341により取得される複数の撮像画像間における、汚れ画像をマスクした欠損領域のオプティカルフローを推定する(ステップS905)。その際、オプティカルフロー推定部343は、画像復元部344により復元済みの復元画像が存在する場合、オプティカルフロー推定部343は、画像取得部341により取得される複数の撮像画像と、復元画像と、の間における欠損領域のオプティカルフローを推定する。
【0077】
画像復元部344は、オプティカルフロー推定部343により推定した欠損領域のオプティカルフローに基づいて、対象画像内の欠損領域の少なくとも一部を復元した復元画像を生成する(ステップS906)。そして、画像復元部344は、生成した復元画像を、SSD34f等の記憶部に保存する(ステップS907)。
【0078】
このように、本実施形態にかかる車両10によれば、画像取得部341により取得される撮像画像における欠損領域が広くなった場合でも、復元画像において当該汚れ画像の領域が復元されていれば、欠損領域のオプティカルフローの推定に用いる画像において、欠損領域の復元に適用可能な箇所を増やすことができる。その結果、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づいて復元する画像の信頼度を向上させることができる。また、撮像画像内の欠損領域が広くなった場合でも、複数の撮像画像間の欠損領域のオプティカルフローに基づく画像の復元を繰り返すことにより、欠損領域が広いままとなる可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0079】
10 車両
14 撮像部
24 ECU
24a CPU
24b ROM
24c RAM
24f SSD
30 情報取得部
340 撮像画像格納部
341 画像取得部
342 汚れ画像検出部
343 オプティカルフロー推定部
344 画像復元部
345 復元対象範囲判定部
346 自車位置情報取得部