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特許7454194約100重量%の古紙原料からなる製袋用原紙及びこれからつくられた紙袋、並びに製袋用原紙の製造方法
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  • 特許-約100重量%の古紙原料からなる製袋用原紙及びこれからつくられた紙袋、並びに製袋用原紙の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】約100重量%の古紙原料からなる製袋用原紙及びこれからつくられた紙袋、並びに製袋用原紙の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/14 20060101AFI20240314BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
D21H11/14
D21H27/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020215136
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100884
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開URL https://www.daishowasiko.com 公開日 令和2年1月10日掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】000205823
【氏名又は名称】大昭和紙工産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520510531
【氏名又は名称】高尾丸王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】木村 篤司
(72)【発明者】
【氏名】塩川 宣洋
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-058414(JP,A)
【文献】特開2020-193396(JP,A)
【文献】特開2014-012908(JP,A)
【文献】特開2009-133030(JP,A)
【文献】特開2018-204129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
98.90重量%~99.77重量%の古紙原料であって、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから選択された第1の古紙原料、並びに、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから選択された第2の古紙原料からなる古紙原料と、
0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤と、
0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤と、
0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤と、
からなる、製袋用原紙において、
古紙原料の総量が98.90重量%~99.77重量%となるように、第1の古紙原料が20重量%~60重量%のうちから選択された量を有するとともに、第2の古紙原料が40重量%~80重量%のうちから選択された量を有することを特徴とする、製袋用原紙。
【請求項2】
98.40重量%~99.57重量%の古紙原料であって、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから選択された第1の古紙原料、並びに、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから選択された第2の古紙原料からなる古紙原料と、
0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤と、
0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤と、
0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤と、
0.20重量%~0.50重量%の抗菌剤と、
からなる、製袋用原紙において、
古紙原料の総量が98.40重量%~99.57重量%となるように、第1の古紙原料が20重量%~60重量%のうちから選択された量を有するとともに、第2の古紙原料が40重量%~80重量%のうちから選択された量を有することを特徴とする、製袋用原紙。
【請求項3】
該製袋用原紙に直接染料が施されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の製袋用原紙。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の製袋用原紙からつくられた紙袋。
【請求項5】
袋用原紙の製造方法であって、
古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから第1の古紙原料を選択するステップと、
古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから第2の古紙原料を選択するステップと、
古紙原料の総量が98.90重量%~99.77重量%となるように、20重量%~60重量%の第1の古紙原料と、40重量%~80重量%の第2の古紙原料とを配合するステップと、
配合された98.90重量%~99.77重量%の古紙原料に、0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤、0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤、及び0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤を添加して製袋用原紙を製造するステップと、
を含む、製造方法。
【請求項6】
袋用原紙の製造方法であって、
古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから第1の古紙原料を選択するステップと、
古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから第2の古紙原料を選択するステップと、
古紙原料の総量が98.40重量%~99.57重量%となるように、20重量%~60重量%の第1の古紙原料と、40重量%~80重量%の第2の古紙原料とを配合するステップと、
配合された98.40重量%~99.57重量%の古紙原料に、0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤、0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤、0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤、及び0.20重量%~0.50重量%の抗菌剤を添加して製袋用原紙を製造するステップと、
を含む、製造方法。
【請求項7】
該製袋用原紙に直接染料を施すステップをさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋用原紙に関し、詳しくは、約100重量%の古紙原料からなる製袋用原紙及びこれからつくられた紙袋、並びに製袋用原紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々が現在の大量生産、大量消費、及び大量廃棄の経済活動を続ければ、環境破壊による気候変動等が加速されることは明らかであり、これを回避するために、持続可能な循環型経済を築くことの重要性が指摘されている。持続可能な循環型経済においては、使用済みの製品を回収し、分別し、再利用することが求められ、環境に配慮した事業所や店がこれまでよりも高く評価されることが予想される。例えば、ミシュランガイド東京において、環境に配慮している店を高く評価するグリーンスターという新たな指標が設けられている。
【0003】
これとともに、マイクロプラスチック等による海洋汚染を防いで海洋生物を守るために、プラスチック廃棄物の量を減らしていくことが求められている。
【0004】
日本では令和2年7月1日以降プラスチック製のレジ袋が有料化されたことにより、プラスチック廃棄物の量は多少なりとも減っていると考えられるが、循環型経済を実現するためには、プラスチックの使用量を減らすだけでなく、代替品となる紙の袋について、できるだけ古新聞紙などをリサイクルした古紙パルプを原料とする必要がある。しかし、古新聞紙は印刷済みの部分が多いため、よく漂白する必要があり、紙料(原料パルプ)となる古紙パルプの精製工程で、漂白処理に伴う廃液が大量に生じ得るという問題がある。
【0005】
この点、特許文献1は、新聞古紙の繊維スラリーを無脱墨、無漂白のまま抄くことにより、水の使用量と、漂白処理に伴う廃液を低減できることを開示している。また、特許文献2は、新聞古紙から再生紙をつくる際に、長網式又は短網式の抄紙機で抄くことで縦横の引裂き強さが同程度に近づくため、再生紙の坪量をそれほど大きくしなくてもよいことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-234491号公報
【文献】特開2000-326988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、新聞古紙100%の古紙パルプからつくられる再生紙は、黒ずんだ色を呈し、また、実際の使用に耐える程丈夫な紙とするためには相当な坪量にしなければならないので、ある程度の紙の薄さと見栄えの良さが要求される製袋用原紙とすることはできない。
【0008】
漂白処理に伴う廃液の量を最小限に抑えつつ、古紙パルプのみから強度と見栄えを兼ね備える製袋用原紙をつくるには、新聞古紙以外の古紙も適切な配合で紙料に混ぜる必要がある。本願の発明者はその適切な配合を見出したので、各図を参照しつつ以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施例においては、98.90重量%~99.77重量%の古紙原料であって、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから選択された第1の古紙原料、並びに、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから選択された第2の古紙原料からなる古紙原料と、0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤と、0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤と、0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤と、からなる、製袋用原紙において、古紙原料の総量が98.90重量%~99.77重量%となるように、第1の古紙原料が20重量%~60重量%のうちから選択された量を有するとともに、第2の古紙原料が40重量%~80重量%のうちから選択された量を有することを特徴とする、製袋用原紙を提供する。なお、残紙とは、印刷不良により残った新聞紙などのことである。
【0010】
他の実施例においては、98.40重量%~99.57重量%の古紙原料であって、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから選択された第1の古紙原料、並びに、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから選択された第2の古紙原料からなる古紙原料と、0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤と、 0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤と、0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤と、0.20重量%~0.50重量%の抗菌剤と、からなる、製袋用原紙において、古紙原料の総量が98.40重量%~99.57重量%となるように、第1の古紙原料が20重量%~60重量%のうちから選択された量を有するとともに、第2の古紙原料が40重量%~80重量%のうちから選択された量を有することを特徴とする、製袋用原紙を提供する。
【0011】
また、製袋用原紙に直接染料が施されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記の製袋用原紙からつくられた紙袋を提供する。
【0013】
さらには、袋用原紙の製造方法であって、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから第1の古紙原料を選択するステップと、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから第2の古紙原料を選択するステップと、古紙原料の総量が98.90重量%~99.77重量%となるように、20重量%~60重量%の第1の古紙原料と、40重量%~80重量%の第2の古紙原料とを配合するステップと、配合された98.90重量%~99.77重量%の古紙原料に、0.10重量%~0.60重量%の固形乾燥紙力剤、0.03重量%~0.30重量%の湿潤紙力剤、及び0.10重量%~0.20重量%のサイズ剤を添加して製袋用原紙を製造するステップと、を含む、製造方法を提示する。
【0014】
上記の製造方法は、必要に応じて、0.20重量%~0.50重量%の抗菌剤を添加するステップをさらに含み得る。
【0015】
上記の製造方法は、該製袋用原紙に直接染料を施すステップをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の製袋用原紙の製造方法の一例を示すフローチャート。
図2】本発明の製袋用原紙からつくられた紙袋を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の製袋用原紙の製造方法の一例をフローチャートで示している。フローチャートを構成する各ステップは、原則的に参照符号2,4,6,8,10,12の順序で進行するが、いくつかのステップの順序が入れ替えられて進行する場合もある。
【0018】
最初に、ステップ2において、古新聞紙ないし残紙、別上ないし雑誌古紙、及びこれらの組合せから第1の古紙原料が選択され、原料全体に対して20重量%~60重量%の割合に配合される。第1の古紙原料は、以下に述べる第2の古紙原料よりも繊維の傷みが大きいものであるため、固形乾燥紙力(増強)剤と湿潤紙力剤を使うとしても、第1の古紙原料は60重量%までの割合に抑えるべきである。換言すると、第1の古紙原料を60重量%よりも大きい配合で紙料(原料パルプ)をつくると、これから出来上がる再生紙は、製袋用原紙としては強度が充分でないものとなってしまう。
【0019】
一実施例においては、製袋用原紙として高い強度が要求される場合、20重量%~50重量%の割合で第1の古紙原料を使用することが好ましい。さらに高い強度が要求される場合には、20重量%~40重量%の割合で第1の古紙原料を使用することが好ましい。
【0020】
ステップ4において、古ダンボール、未晒系古紙、半晒系古紙、及びこれらの組合せから第2の古紙原料が選択され、原料全体に対して、40重量%~80重量%の割合に配合される。第2の古紙原料は、再生紙の強度を高める効果を奏する。特に未晒系古紙は、白色度を高めるための漂白処理されていないものであるため、パルプ繊維が劣化しておらず繊維強度が高い。半晒系古紙は、未晒系古紙と晒系古紙との中間的なものであり、未晒系古紙よりも繊維強度は低いが、漂白処理されている晒系古紙よりも繊維強度が高い。
【0021】
第1の古紙原料のパルプ繊維が傷んでいると強度の低下を招きやすいので、再生紙の強度を高くすることが特に求められる場合、第2の古紙原料として、切茶、無地茶、雑袋(ざったい)及び金属合紙等の未晒系古紙ないし半晒系古紙を使用するとよい。或いは、第2の古紙原料に含まれる段ボール古紙として、クラフト段ボールを使用するとよい。
【0022】
一実施例において、製袋用原紙として特に高い強度が要求される場合、50重量%~80重量%の割合で第2の古紙原料を使用することが望ましい。さらに高い強度が要求される場合には、60重量%~80重量%の割合で第2の古紙原料を使用することが望ましい。
【0023】
ステップ6において、0.10~0.60重量%の固形乾燥紙力剤、0.03~0.30重量%の湿潤紙力剤、0.10~0.20重量%のサイズ剤が添加されて調整される。
【0024】
ステップ8において、0.20~0.50重量%の抗菌剤がさらに紙料(原料パルプ)に添加される。他の実施例においては、抗菌剤が添加されない場合があり、その場合、ステップ8は省略される(図1のフローチャートにおいて右側に示されているフローとなる)。抗菌剤として特には有機ハロゲン系化合物からなる抗菌剤を使うことが望ましい。有機ハロゲン系化合物からなる抗菌剤としては、ケイ・アイ化成株式会社から調達可能なケイサニット(登録商標)KG-700がある。この抗菌剤は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌に対して優れた効力を示し、紙製品に対して、浸漬、塗布、又は噴霧することにより、紙製品の付加価値を向上させることができるものである。
【0025】
ステップ10において、抄紙機を使用する直前の種箱内の紙料(原料パルプ)中に直接染料が投入される。紙の染料としては、塩基性染料又は直接染料が使用されることが多いが、本発明における未晒系古紙ないし半晒系古紙の風合いを損なわないためには、直接染料が使用されるとよい。直接染料は、塩基性染料よりも日光堅牢度が高く、長時間日光に照らされても退色しにくい性質を有するとともに、摩擦によっても退色しにくい性質を有するため、耐摩耗性を要求する製袋用原紙に使用することに適した染料である。
【0026】
本発明の製袋用原紙の製造方法においては、白色度の高い晒系古紙を含まないので、第2の古紙材料に含まれる古ダンボール、未晒系古紙ないし半晒系古紙がもとより有する茶色系の色彩をそのまま生かして、茶色系の色彩に染色するとよい。また、印刷済みの部分が比較的多い第1の古紙原料の割合を60重量%以下に抑えているので、漂白剤を使用する必要がほとんどない。よって、漂白処理に伴う廃液の量を最小限に抑えることができる。
【0027】
最後のステップ12において抄紙機を使用して行う抄紙工程について説明すると、先ず、種箱から出た紙料はファンポンプを経由して1%以下の濃度でセントリクリーナに入る。セントリクリーナでは、砂などの比較的重い異物が遠心分離される。続いて、スクリーニングによって軽量の異物、夾雑物が除塵される。続いてワイヤパートにおいて、紙料は、インレットからワイヤ上に噴出され、フォイル・サクションボックスによって脱水される。この脱水に伴って紙料の濃度が徐々に高くなる。ワイヤから出た湿紙は、プレスパートにおいて、圧力を受けて脱水される。このとき、フェルト上に載せられた紙料は、プレスロールに挟まれ、ニップ圧(第1のプレス工程:60~80kg/cm、第2のプレス工程:80~120kg/cm)を受けて脱水される。プレス直後の湿紙の水分は約60%となる。この水分を蒸発させるために、湿紙は、複数のシリンダとカンバスを備えるドライヤーパートを通過して乾燥される。ドライヤーパートを通過した紙は表面が粗いため、これを滑らかにするために、カレンダーパートにおいて、樹脂カバーロールと、加熱されたヒートロールのニップ間に通紙される。すると、紙の表面が滑らかになるとともに光沢むらが減って、印刷可能な紙となる。このときの紙の水分量は7%~8%にまで低減している。その後、リールパート及びワインダーパートを経て製袋用原紙となる。他の実施例においては、別の構成を有する抄紙機を使用して抄紙工程を行う場合もある。
【0028】
上記の工程により完成した製袋用原紙の坪量について、一例においては、60g/mとするとよい。他の例においては、完成品の製袋用原紙の坪量を80g/mとするとよい。さらに他の例においては、完成品の製袋用原紙の坪量を120g/cmとするとよい。本発明の製袋用原紙についてこれらの坪量とすることで、製袋用原紙としての優れた強度と、いわゆる紙コシが得られる。
【0029】
すなわち、本発明の製袋用原紙は、第1の古紙原料と第2の古紙原料との混合物に、固形乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、及びサイズ剤と、必要に応じて抗菌剤とを添加して紙料としたものから抄紙工程を経てつくられたものであり、必要に応じて直接染料が施されていることにより、製袋用原紙としての強度と見栄えを兼ね備えるものであり、その製造過程において、漂白処理に伴って生じ得る廃液の量が最小限に抑えられるという利点がある。
【0030】
さらに、本発明の製袋用原紙は、紙袋をつくるのに適切な長さに切り取られ、袋状の形状となるように機械で(或いは、手作業で)折り畳まれることにより、小型角底袋として買い物などに使用するのにも充分な強度を備える紙袋14にすることができる。
【0031】
図2(a)は、本発明の製袋用原紙からつくられた紙袋14を概略的に示す図である。古紙パルプのみからなる紙袋14は、素朴で温かみのある質感を呈するとともに、該紙袋14の表面16と側面18の手触りが使用者にとって心地良いものとなる。
【0032】
さらには、図2(b)に示されるように、紙袋14の持ち手部分についても古紙原料からなる紙紐20を採用するとともに、この紙紐20を留めるために貼り付ける留め紙22も古紙原料からなるものとすることにより、持ち手付き紙袋14の全体をほぼ古紙原料のみからなるものとすることができる。これに加え、持ち手部分を含む紙袋14の全体を抗菌加工の施されたものとすることが可能である。
【0033】
本発明による古紙原料からなる紙袋14は、環境に配慮した製品を重視する事業者等から求められているものであり、現在よりも効率の良い古紙回収システムが確立されれば、本発明の紙袋14の製造コストも良くなる(低くなる)と考えられる。
【0034】
以上のように、本発明は、限りある資源を限りなくリサイクルする循環型経済を築くための一助となるものである。
【符号の説明】
【0035】
2…第1の古紙原料を選択するステップ
4…第2の古紙原料を選択するステップ
6…紙力剤とサイズ剤を添加するステップ
8…抗菌剤を添加するステップ
10…直接染料を施すステップ
12…抄紙工程のステップ
14…紙袋
16…紙袋の表面
18…紙袋の側面
20…紙紐
22…(紙紐20の)留め紙
図1
図2