(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/64 20060101AFI20240314BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20240314BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20240314BHJP
E04H 15/14 20060101ALI20240314BHJP
F04D 25/08 20060101ALN20240314BHJP
【FI】
F04D29/64 E
F04D29/70 N
F24F7/013 101E
F24F7/013 101F
E04H15/14
F04D25/08 301Z
(21)【出願番号】P 2020074546
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520139527
【氏名又は名称】河原 堂晶
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】河原 堂晶
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-540999(JP,A)
【文献】実開昭56-001040(JP,U)
【文献】実開昭59-100993(JP,U)
【文献】特開2006-322420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
E04H 15/00-15/64
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風手段を有する送風ユニットと、
送風ユニットをその取り付け対象箇所であるメッシュスクリーンに取り付けるための取り付け部材と
を備え、
メッシュスクリーンから見て屋内側に配した送風ユニットと
、メッシュスクリーンから見て屋外側に配した取り付け部材とで
メッシュスクリーンを挟持することによって、送風ユニットをメッシュスクリーンに取り付けるようにした送風装置であって、
送風ユニットの一側に取り付け部α
1が設けられて、送風ユニットの他側に取り付け部α
2が設けられるとともに、
取り付け部材に、メッシュスクリーンを介して送風ユニットの取り付け部α
1又は取り付け部α
2に取り付けるための取り付け部βが設けられ、
送風ユニットの一側を取り付け部材側に向け、送風ユニットの取り付け部α
1に取り付け部材の取り付け部βを取り付けた場合と、送風ユニットの他側を取り付け部材側に向け、送風ユニットの取り付け部α
2に取り付け部材の取り付け部βを取り付けた場合とで、送風ユニットの送気方向を逆にできるようにした
ことを特徴とする送風装置。
【請求項2】
取り付け部材に、取り付け部材をメッシュスクリーンに仮止めするための仮止め部が設けられた請求項1記載の送風装置。
【請求項3】
取り付け部α
1及び取り付け部α
2と取り付け部βとが、互いに磁着可能なものとされた請求項2記載の送風装置。
【請求項4】
送風ユニットにおける、取り付け部材が取り付けられる側とは逆側に取り付けられ、送風ユニットから送出される空気の向き、又は、送風ユニットに吸引される空気の向きを調節するための風向調節部材を備えた請求項1~3いずれか記載の送風装置。
【請求項5】
風向調節部材に、送風ユニットの取り付け部α
1又は取り付け部α
2に取り付けるための取り付け部γが設けられた請求項4記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントに設けられた開口部等、メッシュスクリーンで形成された部分に取り付けて送風を行うための送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アウトドアに対する意識が高まってきたこともあり、キャンプを楽しむ人が増加してきている。キャンプ時に設営するテントも、多種多様であり、簡素なものから、ホテルの客室並みの雰囲気を提供するもの(いわゆる「グランピング」に使用されるもの)まで、幅広く提供されている。また、自動車の屋根の上に設営できるようにした「ルーフテント」と呼ばれるものもの登場している。
【0003】
ところで、テントには、出入口や窓等の開口部が設けられているところ、その開口部を通じてテント内の換気も行われるようになっている。しかし、寝室等、プライバシーを保護する必要のある区画を形成するテントは、開口部の面積が少なめに設定されていることが多く、換気をしにくい構造となっていることが多い。このため、テント内に扇風機を持ち込んでテント内の換気を行うこともしばしば行われている。しかし、この場合には、テント内に扇風機を置く場所を確保する必要が出てくる。また、自動車でキャンプに行く際には、自動車に積む荷物が多くなりがちであるところ、自動車に扇風機を載せるスペースを確保する必要も出てくる。
【0004】
このような実状に鑑みてか、これまでには、小型の送風装置であって、テントの開口部を覆うメッシュスクリーンに取り付けることができるようにしたものも提案されている。例えば、特許文献1の
図1~4には、磁石36,38を有するハウジング22と、金属板40とを備えたテント用ファン20が記載されている。ハウジング22には、送風を行うためのファンブレード26も設けられている。同文献のテント用ファン20は、メッシュ状のスクリーン素材54の一方の面にハウジング22を、スクリーン素材54の他方の面に金属板40を配した状態で、ハウジング22の磁石36,38を金属板40に固着(磁着)させることで、テント用ファン20をスクリーン素材54に取り付けるもの(同文献の段落0023を参照。)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のテント用ファン20は、テントの側面や天井等に取り付けることができ、場所を取らないものであった。しかし、テントの換気の態様としては、テント外の空気をテント内に取り込む場合と、テント内の空気をテント外に排出する場合とがある。この点、特許文献1のテント用ファン20で、これらの2種類の換気を行おうとすると、ハウジング22と金属板40との配置を逆にする(テント内に取り付けていた方をテント外に配するとともに、テント外に取り付けていた方をテント内に配する)か、ファンブレード26を回転駆動するモータとして逆回転できるものを使用する必要があった(同文献の段落0025を参照。)。
【0007】
しかし、ハウジング22は、ファンブレード26を回転するモータ等のデバイスが組み込まれた部分であるところ、このハウジング22をテント外に配置すると、ハウジング22が雨等に晒されるようになり、故障しやすくなる。また、ハウジング22が盗難にあうリスクが高くなる。一方、ファンブレード26を回転駆動するモータとして逆回転できるものを使用すると、テント用ファン20の価格を抑えにくくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、メッシュ状のスクリーン素材(メッシュスクリーン)に取り付けて使用する送風装置であって、送気方向を逆にできる等、換気の態様を容易に切り替えることができる送風装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、
送風手段を有する送風ユニットと、
送風ユニットをその取り付け対象箇所であるメッシュスクリーンに取り付けるための取り付け部材と
を備え、
メッシュスクリーンを送風ユニットと取り付け部材とで挟持することによって、送風ユニットをメッシュスクリーンに取り付けるようにした送風装置であって、
送風ユニットの一側に取り付け部α1が設けられて、送風ユニットの他側に取り付け部α2が設けられるとともに、
取り付け部材に、メッシュスクリーンを介して送風ユニットの取り付け部α1又は取り付け部α2に取り付けるための取り付け部βが設けられ、
送風ユニットの一側を取り付け部材側に向け、送風ユニットの取り付け部α1に取り付け部材の取り付け部βを取り付けた場合と、送風ユニットの他側を取り付け部材側に向け、送風ユニットの取り付け部α2に取り付け部材の取り付け部βを取り付けた場合とで、送風ユニットの送気方向を逆にできるようにした
ことを特徴とする送風装置
を提供することによって解決される。
【0010】
ここで、「送風ユニットの一側」及び「送風ユニットの他側」は、送風ユニットの送気方向を基準とした「一側」と「他側」を意味する。すなわち、「送風ユニットの一側」と「送風ユニットの他側」のうちいずれか一方が、送風ユニットの吸気側(送風ユニット内に空気を取り込む側)となり、他方が、送風ユニットの送気側(送風ユニット内から空気を送り出す側)になる。より具体的には、「送風ユニットの一側」を「送風ユニットの吸気側」とした場合には、「送風ユニットの他側」が「送風ユニットの送気側」になり、「送風ユニットの一側」を「送風ユニットの送気側」とした場合には、「送風ユニットの他側」が「送風ユニットの吸気側」になる。
【0011】
本発明の送風装置では、送風ユニットの一側(例えば吸気側)と他側(例えば送気側)のいずれに対しても取り付け部材を取り付けることができる。換言すると、送風ユニットのいずれの側も、メッシュスクリーンに取り付けることができる。このため、送風ユニットと取り付け部材との配置(メッシュスクリーンから見た配置)を逆にしたり、送風ユニットの送風手段として逆回転可能なモータを用いたりしなくても、送風装置の送気方向を逆にすることができる。
【0012】
例えば、メッシュスクリーンの屋外側の面に取り付け部材を配し、メッシュスクリーンの屋内側の面に送風ユニットを配する場合には、テントの屋内側に配した送風ユニットの吸気側をメッシュスクリーンに向け、送風ユニットの吸気側に設けられた取り付け部(取り付け部α1又は取り付け部α2)を、テントの屋外側に配した取り付け部材の取り付け部βに取り付けると、送風ユニットは、テント外の空気をテント内に取り込むものとなる。また、テントの屋内側に配した送風ユニットの送気側をメッシュスクリーンに向け、送風ユニットの送気側に設けられた取り付け部(取り付け部α2又は取り付け部α1)を、テントの屋外側に配した取り付け部材の取り付け部βに取り付けると、送風ユニットは、テント内の空気をテント外へ排出するものとなる。
【0013】
以下においては、説明の便宜上、送風ユニットの吸気側に設けられた取り付け部(取り付け部α1又は取り付け部α2)に対して取り付け部材の取り付け部βに取り付ける態様を、「吸気側取り付け態様」と呼び、送風ユニットの送気側に設けられた取り付け部(取り付け部α1又は取り付け部α2)に対して取り付け部材の取り付け部βに取り付ける態様を、「送気側取り付け態様」と呼ぶことがある。
【0014】
ところで、本発明の送風装置は、送風ユニットと取り付け部材のうちの一方をメッシュスクリーンの一面側に配し、他方をメッシュスクリーンの他面側に配することで、メッシュスクリーンに取り付けるものであるところ、1人では、その作業を行いにくい場合も生じ得る。すなわち、本発明の送風装置をメッシュスクリーンに取り付ける作業を1人で行おうとすると、一方の手に送風ユニットを持ち、他方の手に取り付け部材を持った状態で、取り付け部α1又は取り付け部α2に対して取り付け部βを位置決めする必要があるところ、そのメッシュスクリーンがテントの奥まった箇所にある場合等には、手が届かなくなってしまう。
【0015】
このため、本発明の送風装置においては、取り付け部材をメッシュスクリーンに仮止めするための仮止め部を取り付け部材に設けることが好ましい。これにより、メッシュスクリーンに対して仮止めされた取り付け部材に対して送風ユニットを位置決めすることが可能になり、送風ユニットを取り付け部材に取り付ける際に、取り付け部材を手で持つ必要がなくなる。したがって、1人でも、奥まった箇所のメッシュスクリーンに対して送風装置を容易に取り付けることが可能になる。
【0016】
本発明の送風装置において、取り付け部α1及び取り付け部α2と取り付け部βは、互いに取り付け可能なものであれば、特に限定されない。取り付け部α1及び取り付け部α2と取り付け部βは、スナップボタン等、一方に設けられた凸部を他方に設けられた凹部に嵌合させるようなものであってもよい。しかし、送風ユニット(取り付け部α1及び取り付け部α2)と取り付け部材(取り付け部β)との間には、メッシュスクリーンが介在されるところ、上記のように凸部と凹部とを嵌合させる構造を採用した場合には、メッシュスクリーンの厚さが邪魔をして凸部と凹部とを上手く嵌合できない事態が生じ得るし、無理矢理嵌合させると、メッシュスクリーンに破れ等が生じるおそれもある。
【0017】
このため、本発明の送風装置において、取り付け部α1及び取り付け部α2と取り付け部βは、互いに磁着可能なものとすることが好ましい。これにより、メッシュスクリーンに破れ等を生じさせることなく、取り付け部α1又は取り付け部α2に対して取り付け部βをしっかりと取り付ける(磁着する)ことが可能となる。
【0018】
本発明の送風装置においては、送風ユニットにおける、取り付け部材が取り付けられる側とは逆側に取り付けられ、送風ユニットから送出される空気の向き、又は、送風ユニットに吸気される空気の向きを調節するための風向調節部材を設けることも好ましい。これにより、送風装置の使用場面等に応じて、送風ユニットから送出される空気の向きや、送風ユニットに吸引される空気の向きを調節することが可能になる。
【0019】
この場合には、送風ユニットの取り付け部α1又は取り付け部α2に取り付けるための取り付け部γを風向調節部材に設けることが好ましい。上記の取り付け部材の取り付け部βは、送風ユニットの取り付け部α1又は取り付け部α2のうち一方のみに取り付けられ、他方は空いた状態となるところ、この空いた方の取り付け部α1又は取り付け部α2に風向調節部材の取り付け部γを取り付けるようにすることで、風向調節部材を取り付けるための箇所を送風ユニットに別途設ける必要がなくなり、送風装置を簡素な構造とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によって、メッシュ状のスクリーン素材(メッシュスクリーン)に取り付けて使用する送風装置であって、送気方向を逆にできる等、換気の態様を容易に切り替えることができる送風装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】テントの出入口に設けられたメッシュスクリーンに対して本発明の送風装置を取り付けた状態を示した図である。
【
図2】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して吸気側取り付け態様で取り付けている様子を示した斜視図である。
【
図3】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して吸気側取り付け態様で取り付けた状態を送風ユニット側から示した斜視図である。
【
図4】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して吸気側取り付け態様で取り付けた状態を、取り付け部α
1,α
2,β,γを通る平面で切断して示した断面図である。
【
図5】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して送気側取り付け態様で取り付けている様子を示した斜視図である。
【
図6】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して送気側取り付け態様で取り付けた状態を取り付け部材側から示した斜視図である。
【
図7】本発明の送風装置をメッシュスクリーンに対して吸気側取り付け態様で取り付けた状態を、取り付け部α
1,α
2,β,γを通る平面で切断して示した断面図である。
【
図8】本発明の送風装置において、風向調節部材によって風向を切り替えている様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の送風装置の好適な実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、テントの開口部に設けられたメッシュスクリーンに取り付ける場合を例に挙げて、本発明の送風装置を説明する。
【0023】
図1は、テント20の出入口に設けられたメッシュスクリーン21に対して本発明の送風装置10を取り付けた状態を示した図である。
図1に示すように、本発明の送風装置10をテントのメッシュスクリーン21に取り付けると、メッシュスクリーン21を通じてテント20内に強制的に空気を導入することや、これとは逆に、テント20内の空気を強制的にテント20外へ導出することが可能になる。
【0024】
本発明の送風装置10によって、テント20内に空気が導入されるようになるか、テント20外へ空気が導出されるようになるかは、後述する送風ユニット11を「吸気側取り付け態様」で取り付けるか、「送気側取り付け態様」で取り付けるかによって決まる。
【0025】
図2は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「吸気側取り付け態様」で取り付けている様子を示した斜視図である。
図3は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「吸気側取り付け態様」で取り付けた状態を送風ユニット11側から示した斜視図である。
図4は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「吸気側取り付け態様」で取り付けた状態を、取り付け部α
1,α
2,β,γを通る平面で切断して示した断面図である。
【0026】
一方、
図5は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「送気側取り付け態様」で取り付けている様子を示した斜視図である。
図6は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「送気側取り付け態様」で取り付けた状態を取り付け部材12側から示した斜視図である。
図7は、本発明の送風装置10をメッシュスクリーン21に対して「吸気側取り付け態様」で取り付けた状態を、取り付け部α
1,α
2,β,γを通る平面で切断して示した断面図である。
【0027】
図2~7では、メッシュスクリーン21から見て、送風ユニット11が配される側がテント20(
図1)の内側(屋内側)となり、取り付け部材12が配される側がテント20の外側(屋外側)となっている。これは、後掲する
図7においても同様である。
【0028】
本実施形態の送風装置10は、
図2~7に示すように、送風ユニット11と、取り付け部材12と、風向調節部材13とを備えたものとなっている。
図2~4に示す「吸気側取り付け態様」と、
図5~7に示す「送気側取り付け態様」とでは、送風ユニット11の向きが逆になっている。以下、送風装置10を構成する各部材について、順に説明する。
【0029】
1.送風ユニット
送風ユニット11は、通常、テント20(
図1)の内側(室内側)に配される。この送風ユニット11は、
図2に示すように、ハウジング11aと、ハウジング11a内に支持された送風手段11bと、送風手段11bを駆動するための駆動手段(図示省略)とで構成されている。
【0030】
送風手段11bは、送風(空気を移送)できるのであれば、その種類を限定されない。本実施形態において、送風手段11bは、複数枚の羽根となっている。この羽根が回転することで、送風ユニット11の吸気側から空気が導入されて、送風ユニット11の送気側から空気が導出されるようになっている。
【0031】
ただし、この種の送風手段11bは、それを実際に駆動してみないと、どちらの向きに空気が移送されるのかを判別しにくい。このため、本実施形態においては、空気が流れる向きを示す目印11c(
図2の例では矢印状のマーク)を、送風ユニット11のハウジング11aに設けている。この目印11cを確認することで、空気が流れる向きを容易に判別することができる。したがって、送風ユニット11を取り付ける向きを間違わないようにすることが可能となっている。
【0032】
送風手段11bの駆動手段の種類は、送風手段11bの種類等によっても異なる。本実施形態では、駆動手段としてモータを採用している。複数枚の羽根(送風手段11b)は、ハウジング11aの中心部に回転可能に支持されたドラム11d(
図5)の外周面に一体化されているところ、このドラム11dの内側に、モータ(駆動手段)を収容している。このモータ(駆動手段)は、商用電源に接続してもよいが、本発明の送風装置10を使用する場所(キャンプ場等)では、商用電源を確保しにくいことも多い。このため、本実施形態においては、図示省略のバッテリーからモータ(駆動手段)に電力を供給するようにしている。
【0033】
送風手段11bの駆動手段として用いるモータは、逆回転可能なものであってもよいが、この場合には、モータが高価になる。このため、本実施形態においては、正回転のみが可能なモータを駆動手段として用いている。既に述べたように、本発明の送風装置10では、送風ユニット11を取り付ける向きを変えることができるため、駆動手段として正回転のみが可能なモータ(逆回転できないモータ)を用いても、送気方向を容易に切り替えることができるようになっている。
【0034】
ハウジング11aは、送風手段11bや駆動手段を衝撃等から保護するとともに、人の手等が送風手段11bに当たらないようにする機能を有している。ハウジング11aは、金属製のものとすることもできるが、本実施形態においては、硬質樹脂製のものとしており、送風ユニット11の軽量化を図っている。ハウジング11aの形態は、送風手段11bや駆動手段を支持できるのであれば、特に限定されない。本実施形態においては、
図2に示すように、ハウジング11aを四角筒状乃至は四角枠状としているが、円筒状等、他の形状とすることもできる。
【0035】
図2及び
図5に示すように、ハウジング11aの一側には、取り付け部α
1(
図2においては破線で示す。)を設けており、ハウジング11bの他側には、取り付け部α
2(
図5においては破線で示す。)を設けている。本実施形態においては、送風ユニット11(ハウジング11b)の吸気側に取り付け部α
1を設けており、送風ユニット11(ハウジング11b)の送気側に取り付け部α
2を設けている。
【0036】
これらの取り付け部α
1及び取り付け部α
2は、後述する取り付け部材12の取り付け部β(
図2及び
図5においては破線で示す。)、又は、後述する風向調節部材13の取り付け部γを取り付けるための部分となっている。取り付け部α
1と、取り付け部α
2と、取り付け部βと、取り付け部γは、送風装置10の前後方向(送気方向)で互いに重なる箇所に設けられる。
【0037】
図2に示すように、送風ユニット11の吸気側をメッシュスクリーン21に向け、
図4に示すように、送風ユニット11の吸気側に設けられた取り付け部α
1を、取り付け部材12の取り付け部βに取り付けると、送風ユニット11によって、テント20(
図1)の外側の空気をテント20の内側に取り込むことができるようになる。この場合、送風ユニット11の送気側に設けられた取り付け部α
2には、風向調節部材13の取り付け部γが取り付けられる。
【0038】
これに対し、
図5に示すように、送風ユニット11の送気側をメッシュスクリーン21に向け、
図7に示すように、送風ユニット11の送気側に設けられた取り付け部α
2を、取り付け部材12の取り付け部βに取り付けると、送風ユニット11によって、テント20(
図1)の内側の空気をテント20の外側に排出することができるようになる。この場合、送風ユニット11の送気側に設けられた取り付け部α
1には、風向調節部材13の取り付け部γを取り付けることができる。
【0039】
取り付け部α1及び取り付け部α2は、取り付け部β及び取り付け部γに対して取り付け可能なものであれば特に限定されない。本実施形態において、取り付け部α1及び取り付け部α2と取り付け部β及び取り付け部γは、いずれも磁石としている。取り付け部α1及び取り付け部α2を形成する磁石の極と、取り付け部β及び取り付け部γを形成する磁石の極は、逆となっている。これにより、送風ユニット11に対して、取り付け部材12及び風向調節部材13を磁着することが可能となっている。
【0040】
取り付け部α1及び取り付け部α2や、取り付け部β及び取り付け部γに用いる磁石の種類は、特に限定されない。取り付け部α1,α2,β,γに用いる磁石としては、フェライト磁石や、ネオジム磁石や、サマリウムコバルト磁石や、アルニコ磁石等が例示される。取り付け部α1及び取り付け部α2と、取り付け部β及び取り付け部γは、いずれか一方を磁石とするのであれば、他方を磁石とする必要はなく、鉄等の強磁性体等、磁石にくっつきやすい材料で形成することもできる。
【0041】
取り付け部α1の数と、取り付け部α2の数と、取り付け部βの数と、取り付け部γの数は、異なっていてもよいが、通常、同数に揃えられる。取り付け部α1,α2,β,γのそれぞれの個数は、特に限定されない。しかし、取り付け部α1,α2,β,γを1個ずつしか設けていないと、送風ユニット11に対して取り付け部材12や風向調節部材13を安定して取り付けにくくなる。このため、取り付け部α1,α2,β,γは、複数個ずつ設けることが好ましい。本実施形態において、取り付け部α1,α2,β,γを、それぞれ4個ずつ設けている。
【0042】
取り付け部α1,α2,β,γの配置も特に限定されない。しかし、送風装置10の中心に近い場所は、送風手段11bが設けられていたり、空気の通り道になったりするため、取り付け部α1,α2,β,γを設けにくい。このため、取り付け部α1,α2,β,γは、通常、送風装置10の外周部に近い箇所に設けられる。本実施形態においても、ハウジング11b(送風ユニット11)の外周部に近い箇所に取り付け部α1,α2を設け、取り付け部材12の外周部に近い箇所に取り付け部βを設け、風向調節部材13の外周部に近い箇所に取り付け部γを設けている。
【0043】
このように、取り付け部α1,α2,β,γを複数個ずつ設ける場合には、送風装置10の中心線に対して取り付け部α1,α2,β,γそれぞれを回転対称に配置することが好ましい。本実施形態においては、既に述べたように、取り付け部α1,α2,β,γを、それぞれ4個ずつ設けているところ、取り付け部α1,α2,β,γのそれぞれを正方形の頂点を為す位置に設けており、取り付け部α1,α2,β,γのそれぞれは、4回の回転対称(90°の回転対称)に配置されている。
【0044】
このように、取り付け部α
1,α
2,β,γを回転対称配置することによって、送風ユニット11に対する取り付け部材12や風向調節部材13の取り付けを、容易に行うことが可能になる。また、本実施形態においては、後掲する
図8に示すように、送風ユニット11に対して風向調節部材13が様々な角度で取り付けられるところ、このような風向調節部材13の取り付けも可能になる。
【0045】
2.取り付け部材
取り付け部材12は、送風ユニット11をその取り付け対象箇所であるメッシュスクリーン21に取り付けるためのものとなっている。取り付け部材12は、メッシュスクリーン21から見て、送風ユニット11とは逆側に配される。この取り付け部材12と送風ユニット11とでメッシュスクリーン21を挟持することによって、送風ユニット11は、メッシュスクリーン21に対して動かない状態で取り付けられる。
【0046】
取り付け部材12における、送風ユニット11側を向く面には、送風ユニット11の取り付け部α1又は取り付け部α2に取り付けるための取り付け部βが設けられている。既に述べたように、本実施形態においては、取り付け部βを、取り付け部α1及び取り付け部α2に対して磁着可能な磁石としたため、その間にメッシュスクリーン21が存在しても、メッシュスクリーン21を痛めることなく、取り付け部α1及び取り付け部α2に対して取り付け部βをしっかりと取り付けることが可能となっている。
【0047】
取り付け部材12の形態は、特に限定されない。しかし、取り付け部材12の中心部は、通常、空気の通り道となる。このため、取り付け部材12は、通常、その中心部が開口された枠状のものとされる。取り付け部材12は、円形枠状としてもよいが、本実施形態においては、四角枠状としており、取り付け部材12の外周形状が送風ユニット11の外周形状に略一致するようにしている。
【0048】
ところで、本発明の送風装置10は、送風ユニット11と取り付け部材12のうちの一方をメッシュスクリーン21の一面側に配し、他方をメッシュスクリーン21の他面側に配することで、メッシュスクリーン21に取り付けるものであるところ、1人では、その作業を行いにくい場合も生じ得る。
【0049】
すなわち、送風装置10をメッシュスクリーン21に取り付ける作業を1人で行おうとすると、一方の手に送風ユニット11を持ち、他方の手に取り付け部材12を持った状態で、取り付け部α
1又は取り付け部α
2に対して取り付け部βを位置決めする必要があるところ、そのメッシュスクリーン21がテント20の奥まった箇所にある場合等には、手が届かなくなってしまう。例えば、
図1に示したテント20における窓に設けられたメッシュスクリーン22に送風装置10を取り付ける場合には、1人では苦労する。
【0050】
このため、本実施形態においては、
図2に示すように、取り付け部材12に、仮止め部12aを設けている。この仮止め部12aは、メッシュスクリーン22に仮止めするための部分となっている。仮止め部12aの個数や配置は、特に限定されない。既に述べたように、本実施形態においては、取り付け部材12を四角枠状とし、その枠状部分の4つの頂点部(角部)に取り付け部βを設けているところ、仮止め部12aは、取り付け部材12における枠状部分の4つの辺部に沿って設けている。これにより、取り付け部材12をメッシュスクリーン22に対してバランスよく仮止めできるようになっている。
【0051】
上記のように、取り付け部材12に仮止め部12aを設けたことによって、メッシュスクリーン22に取り付け部材12を仮止めした後、その取り付け部材12に対して送風ユニット11を位置決めして取り付けることができる。したがって、送風ユニット11を取り付け部材12に取り付ける際に、取り付け部材12を手で持つ必要がなくなる。よって、1人でも、奥まった箇所のメッシュスクリーン22に対して送風装置10を容易に取り付けることができるようになる。
【0052】
仮止め部12aは、メッシュスクリーン22に対して仮止めできる程度の固着力で取り付けることができるのであれば、その種類を特に限定されない。本実施形態においては、仮止め部12aとして面ファスナーを採用している。面ファスナーの表面には、多数の鉤状の突起が形成されているところ、これらの突起がメッシュスクリーン22の目に入り込んで目の周辺に掛止されることで、メッシュスクリーン22に対して仮止め部12aが仮止めされる。
【0053】
3.風向調節部材
風向調節部材13は、送風ユニット11から送出される空気の向き、又は、送風ユニット11に吸引される空気の向きを調節するためのものとなっている。この風向調節部材13は、
図2及び
図5に示すように、送風ユニット11における、取り付け部材12が取り付けられる側とは逆側に取り付けられる。
【0054】
風向調節部材13における、送風ユニット11側を向く面には、送風ユニットの取付部α1又は取付部α2に取り付けるための取付部γが設けられている。既に述べたように、本実施形態においては、取り付け部γを、取り付け部α1及び取り付け部α2に対して磁着可能な磁石としている。
【0055】
風向調節部材13の形態は、特に限定されない。しかし、風向調節部材13の中心部は、通常、空気の通り道となる。このため、風向調節部材13は、通常、その中心部が開口された枠状のものとされる。風向調節部材13は、円形枠状としてもよいが、本実施形態においては、四角枠状としており、風向調節部材13の外周形状が送風ユニット11の外周形状に略一致するようにしている。上記の取り付け部γは、四角枠状を為す風向調節部材13の枠状部分における4つの頂点部(角部)に設けている。枠状を為す風向調節部材13の開口部における、送風ユニット11側とは反対側を向く面には、複数の風向調節板13aが設けられている。
【0056】
図8は、本発明の送風装置10において、風向調節部材13によって風向を切り替えている様子を示した斜視図である。本実施形態の送風装置10は、
図8に示すように、送風ユニット11に対する風向調節部材13の向きを切り替えることで、送風装置10の送気方向を4通りで切り替えることができるようになっている。取り付け部γを回転対称に配したことによって、
図8に示すような風向調節部材13の向きの切り替えが可能となっている。
【0057】
4.用途
以上では、テントの開口部に設けられたメッシュスクリーンに取り付ける場合を例に挙げて、本発明の送風装置10を説明した。しかし、本発明の送風装置10の取り付け対象は、テントに限定されない。本発明の送風装置10は、メッシュスクリーンで形成された部分(通気性を有する面状の部分)であれば、どのような箇所でも取り付けることもできる。テント以外の取り付け対象としては、網戸や蚊帳等が例示される。また、キャンプ用品として、その側面がメッシュスクリーンで形成された食器棚(食器干し)が知られているが、この食器干しのメッシュスクリーンに本発明の送風装置を取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 送風装置
11 送風ユニット
11a ハウジング
11b 送風手段
11c 目印
11d ドラム
12 取り付け部材
12a 仮留め部
13 風向調節部材
13a 風向調節板
20 テント
21 テントの出入口に設けられたメッシュスクリーン
22 テントの窓に設けられたメッシュスクリーン
α1 送風ユニットの一側の取り付け部
α2 送風ユニットの他側の取り付け部
β 取り付け部材の取り付け部
γ 風向調節部材の取り付け部