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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】膝用サポーター
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/06 20060101AFI20240314BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20240314BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A41D13/06 105
A41D13/05 162
A41D13/05 168
A61F13/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020134801
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030659
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228866
【氏名又は名称】日本シグマックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和哉
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-45628(JP,A)
【文献】特開2011-167352(JP,A)
【文献】特開2000-197655(JP,A)
【文献】国際公開第2006/075375(WO,A1)
【文献】特開2006-6375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/05-13/06
A61F5/02、13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポーター本体の外周部に、大腿に対する下腿の内旋又は外旋方向とは反対方向に下部から上部に引っ張りつつ螺旋状に巻回固定されるストラップを備えている膝用サポーターであって、当該ストラップがベルト部と、当該ベルト部の装着時下部側となる端部に挿通自在に挿通された伸縮性紐部と、当該伸縮性紐部の端部が固着された面ファスナー片部とから構成され、かつ当該ベルト部の装着時上部側となる端部が、サポーター本体の上部に着脱自在に又は固着して取り付けられ、かつ当該伸縮性紐部が、サポーター本体の膝関節被覆部の下位側部に付設された紐挿通ガイド部にサポーター本体の外周部においてスライド挿通自在に取り付けられ、かつ当該面ファスナー片部が、サポーター本体の下部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする膝用サポーター。
【請求項2】
請求項1記載の膝用サポーターにおいて、ストラップが、ベルト部の装着時上部側となる端部に挿通自在に挿通された伸縮性紐部を更に有すると共に、当該ベルト部がサポーター本体に止着されることなく、当該伸縮性紐部の端部がサポーター本体の上部に固着して取り付けられていることを特徴とする膝用サポーター。
【請求項3】
請求項1記載の膝用サポーターにおいて、ストラップが、ベルト部の装着時上部側となる端部に挿通自在に挿通された伸縮性紐部と、当該伸縮性紐部の端部が固着された面ファスナー片部を更に有すると共に、当該ベルト部がサポーター本体に止着されることなく、当該伸縮性紐部がサポーター本体の膝関節被覆部の上位側部に付設された紐挿通ガイド部にサポーター本体の外周部においてスライド挿通自在に取り付けられ、かつ当該面ファスナー片部が、サポーター本体の上部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする膝用サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腿に対する下腿の内旋や外旋を抑止する膝用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大腿に対する下腿の内旋や外旋を抑止する膝用サポーターとしては、サポーター本体部と、大腿に対する下腿の内旋又は外旋方向とは反対方向に引っ張りつつ螺旋状に巻回止着させるストラップとを備え、かつ当該サポーター本体部の内面又は当該ストラップの内面に突出部が付設されたものが既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、斯かる従来の膝用サポーターは、装着者の周径や緊締力の好み対応するために、ストラップの止着を面ファスナーにより着脱自在として、サポーター本体への止着点の位置を自由に変更可能なものとした場合、例えば、図9(1)、(2)に示すように、ストラップの引っ張り方向角度もαからβと当然に変化が生じてしまい、適確な内旋や外旋の抑止作用が得られなくなると云う問題があった。
また、従来の膝用サポーターは、装着して関節の曲げ伸ばし動作を繰り返すとサポーター本体部の装着位置にずれが生じるが、従来のストラップは全体が単なるベルト状で、ずれ動きが伝達され易いため、それに付随してストラップも移動するので、その引っ張り方向角度も当然に変化が生じてしまい、適確な内旋や外旋の抑止作用が得られなくなるのが実状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6002889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、ストラップの止着を面ファスナーにより着脱自在として、サポーター本体への止着点の位置を自由に変更可能なものとした場合であっても、また関節の曲げ伸ばし動作の繰り返しにより仮にサポーター本体にずれが生じたとしても、ストラップの引っ張り方向角度に変化が生じず、内旋や外旋の適確な抑止作用を安定して得られる膝用サポーターを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、ベルト部の端部に伸縮性紐部を挿通し、その端部を面ファスナー片部に固着して構成したストラップを用い、当該伸縮性紐部を、サポーター本体の膝関節被覆部の下位側部に付設した紐挿通ガイド部に挿通自在に取り付ければ、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、サポーター本体の外周部に、大腿に対する下腿の内旋又は外旋方向とは反対方向に下部から上部に引っ張りつつ螺旋状に巻回固定されるストラップを備えている膝用サポーターであって、当該ストラップがベルト部と、当該ベルト部の装着時下部側となる端部に挿通された伸縮性紐部と、当該伸縮性紐部の端部が固着された面ファスナー片部とから構成され、かつ当該ベルト部の装着時上部側となる端部が、サポーター本体の上部に着脱自在に又は固着して取り付けられ、かつ当該伸縮性紐部が、サポーター本体の膝関節被覆部の下位側部に付設された紐挿通ガイド部にスライド動自在に取り付けられ、かつ当該面ファスナー片部が、サポーター本体の下部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする膝用サポーターにより上記課題を解決したものである。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、当該ストラップが、ベルト部の装着時上部側となる端部に挿通された伸縮性紐部を更に有すると共に、当該ベルト部がサポーター本体に止着されることなく、当該伸縮性紐部の端部がサポーター本体の上部に固着して取り付けられていることを特徴とする膝用サポーターにより上記課題を解決したものである。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、当該ストラップが、ベルト部の装着時上部側となる端部に挿通された伸縮性紐部と、当該伸縮性紐部の端部が固着された面ファスナー片部を更に有すると共に、当該ベルト部がサポーター本体に止着されることなく、当該伸縮性紐部がサポーター本体の膝関節被覆部の上位側部に付設された紐挿通ガイド部にスライド動自在に取り付けられ、かつ当該面ファスナー片部が、サポーター本体の上部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする膝用サポーターにより上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ストラップの伸縮性紐部がサポーター本体の膝関節被覆部の下位側部に付設された紐挿通ガイド部に挿通自在に取り付けられているため、面ファスナー片部のサポーター本体への止着点を移動した場合であっても、図9(1)、(3)に示すように、当該紐挿通ガイド部を基点とするストラップの引っ張り方向角度αは一定に保たれる。
【0011】
また、伸縮性紐部は面ファスナー片部とは固着されているものの、ベルト部とは挿通自在となっていると共に、伸縮性紐部全体がサポーター本体の膝関節被覆部の下位側部において紐挿通ガイド部を介してスライド動自在となっているため、関節の曲げ伸ばし動作によりサポート本体にひずみやずれが生じたとしても、それがもたらす伸縮性紐部やベルト部への張力は、当該紐の伸縮性と相俟って、均等に分散・緩衝されるので、サポーター本体のずれ動きが直接伸縮性紐部やベルト部に伝達されにくい結果、サポーター本体のずれに付随して伸縮性紐部やベルト部が移動することはなく、ストラップ全体の引っ張り方向角度に変化は生じない。
【0012】
従って、本発明によれば、サポーター装着時や着用時にストラップの引っ張り方向角度に変化が生じることがないので、内旋や外旋の適確な抑止作用を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明膝用サポーターを右脚に装着した状態の左側面説明図。
図2】本発明膝用サポーターを右脚に装着した状態の正面面説明図。
図3】本発明膝用サポーターを右脚に装着した状態の右側面説明図。
図4】本発明膝用サポーターを右脚に装着した状態の背面説明図。
図5】本発明膝用サポーターで用いる第一のストラップ例を示す斜視説明図。
図6】本発明膝用サポーターで用いる第二のストラップ例を示す斜視説明図。
図7】本発明膝用サポーターで用いる第三のストラップ例を示す斜視説明図。
図8】本発明膝用サポーターにおける伸縮性紐部の配設例を示す模式図。
図9】ストラップの止着点の位置と引っ張り方向角度を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0015】
図1~4において、10は筒状のサポーター本体で、その膝関節被覆部の下位側部と上位側部に、後述する伸縮性紐部22、24をスライド動自在に取り付ける紐挿通ガイド部11、12が付設されている。
当該紐挿通ガイド部11を付設する膝関節被覆部の下位側部及び上位側部の側部とは、膝前面及び後面(膝裏の真中)以外の部分であるが、下位側部のより好ましい具体的な位置としては、例えば右膝内旋(下腿内旋)抑止の場合、右膝外側のやや膝前寄りエリア、右膝の膝前エリア、右膝外側の膝裏寄りエリアが挙げられ、他方右膝外旋(下腿外旋)抑止の場合、右膝内側のやや膝前寄りエリア、右膝の膝裏エリア、右膝内側の膝前寄りエリアが挙げられる。また、当該紐挿通ガイド部12を付設する膝関節被覆部の上位側部のより好ましい具体的な位置としては、例えば右膝内旋(下腿内旋)抑止の場合、右膝内側のやや膝前寄りエリア、右膝の膝裏エリア、右膝内側の膝前寄りエリアが挙げられ、他方右膝外旋(下腿外旋)抑止の場合、右膝外側のやや膝前寄りエリア、右膝の膝前エリア、右膝の膝裏寄りエリアが挙げられる。
この紐挿通ガイド部11、12の具体的な形態は、伸縮性紐部22、24を挿通し得るものであれば、特に限定されないが、例えばテープ状片の両端部を止着したもの、あるいはループやリングを固定したものが挙げられる。
尚、サポーター本体10は、その全体がパイル地等の面ファスナー機能のある素材で構成されていても良いが、その一部にストラップの面ファスナー片部と止脱する面ファスナー部を設けても良い。
【0016】
サポーター本体10の外周部には、大腿に対する下腿の内旋又は外旋方向とは反対方向に引っ張りつつ螺旋状に巻回固定されるストラップ20が取り付けられている。
【0017】
このストラップ20の大腿に対する下腿の内旋方向とは反対方向のより具体的な巻回経路としては、例えば右脚の場合、膝下内側→膝下前面→膝下外側→膝裏を斜めに上がって、→膝上内側→大腿前面とするのが好ましい。
また、このストラップ20の大腿に対する下腿の外旋方向とは反対方向のより具体的な巻回経路としては、例えば右脚の場合、膝下外側→膝下前面→膝下内側→膝裏を斜めに上がって、→膝上外側→大腿前面とするのが好ましい。
【0018】
図5は、当該ストラップの第一の実施の形態を示すもので、略長方形状のベルト部21と、当該ベルト部21の装着時下部側となる端部21aに挿通された伸縮性紐部22と、当該伸縮性紐部22の端部22aが固着された面ファスナー片部23によりストラップ20が構成されている。
【0019】
当該ベルト部21の材質は特に限定されないが、非伸縮性生地を用いるのが、適確な内旋や外旋の抑止作用を得る上で望ましい。このベルト部21のサイズとしては、長さ20~35cm、巾3~10cm程度が好ましい。
【0020】
当該伸縮性紐部22の材質としては、例えばポリウレタン、ポリエステルが挙げられ、その伸縮率としては、20Nの力で引っ張った際の伸縮率が100~200%程度のもの、特に150%前後のものが好ましい。この伸縮性紐部22の本数は1本より複数本用いるのが好ましく、複数本用いる場合は、全て平行に配設するより図8に示す如く、ベルト部21と面ファスナー片部23との間に一部交差部が生じるように配設するのが望ましい。この伸縮性紐部22を配設するベルト部21と面ファスナー片部23との間隔は、5~15cm程度とするのが望ましい。
【0021】
当該面ファスナー片部23は略方形状等その形状の如何を問わないが、ベルト部21側端部を凹弯曲状として、その両突出端部に伸縮性紐部22の端部を連結するのが、よりスムースな張力の分散・緩衝作用を得る上で望ましい。
【0022】
当該伸縮性紐部22のベルト部21への挿通手段は特に限定されないが、例えば単なる穴やテープ状片の両端部を止着したもの、あるいはループやリングを固定したものが挙げられる。
【0023】
当該ストラップ20は、そのベルト部21の装着時上部側となる端部21bが、サポーター本体10の上部に縫着等により固着され、かつその伸縮性紐部22が、サポーター本体10の紐挿通ガイド部11にスライド動自在に取り付けられ、かつその面ファスナー片部23がサポーター本体10の下部に着脱自在に取り付けられる。
【0024】
図6は、ストラップの第二の実施の形態を示すもので、図5に示す第一の実施の形態のストラップ20が、そのベルト部21の装着時上部側となる端部21bに挿通された、伸縮性紐部22と同様の伸縮性紐部24を更に有して構成されている。この実施の形態におけるベルト部21は、その長さが第一の実施の形態におけるベルト部21の長さより短く、10~20cm程度となっている以外は第一の実施の形態のベルト部21と同様に構成されている。また、当該伸縮性紐部24は、そのベルト部21への挿通点から伸縮性紐部24の端部までの距離が10~15cm程度となっている以外は第一の実施の形態の伸縮性紐部22と同様に構成されている。
【0025】
斯かる第二の実施の形態のストラップ20は、ベルト部21がサポーター本体10に止着されることなく、当該伸縮性紐部24の端部24aがサポーター本体10の上部に固着して取り付けられる以外は、第一の実施の形態のストラップ20と同様にサポーター本体10に取り付けられる。
【0026】
図7は、ストラップの第三の実施の形態を示すもので、図5に示す第一の実施の形態のストラップ20が、そのベルト部21の装着時上部側となる端部21bに挿通された、伸縮性紐部22と同様の伸縮性紐部24と、当該伸縮性紐部24の端部24aが固着された、面ファスナー片部23と同様の面ファスナー片部25を更に有して構成されている。この実施の形態におけるベルト部21は、第二の実施の形態のベルト部21と同様に構成され、また伸縮性紐部24と面ファスナー片部25は、第一の実施の形態の伸縮性紐部22と面ファスナー片部23とそれぞれ同様に構成されている。
【0027】
斯かる第三の実施の形態のストラップ20は、ベルト部21がサポーター本体10に固着されることなく、当該伸縮性紐部24が、サポーター本体10の膝関節被覆部の上位側部に付設された紐挿通ガイド部12にスライド動自在に取り付けられると共に、当該面ファスナー片部25がサポーター本体10上部に着脱自在に取り付けられる以外は第一の実施の形態のストラップ20と同様にサポーター本体10に取り付けられるものであり、図1~4はこの第三の実施の形態のストラップ20を取り付けた膝用サポーターの例を示している。
【符号の説明】
【0028】
10:サポーター本体
11:紐挿通ガイド部
12:紐挿通ガイド部
20:ストラップ
21:ベルト部
21a:下部側端部
21b:上部側端部
22:伸縮性紐部
22a:紐端部
23:面ファスナー片部
24:伸縮性紐部
24a:紐端部
25:面ファスナー片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9