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特許7454260T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置
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  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図1
  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図2
  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図3
  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図4
  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図5
  • 特許-T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】T型コネクタ及びT型コネクタを用いた潅水装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A01G25/02 601P
A01G25/02 605
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021212499
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023096618
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512035871
【氏名又は名称】サンエービルドシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 一郎
(72)【発明者】
【氏名】桜井 純一
(72)【発明者】
【氏名】田中 久就
(72)【発明者】
【氏名】澤頭 幸男
(72)【発明者】
【氏名】前田 嘉人
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012025(JP,A)
【文献】特開2006-042775(JP,A)
【文献】特開2004-044637(JP,A)
【文献】特開2000-315114(JP,A)
【文献】特開2016-096754(JP,A)
【文献】特開2007-295884(JP,A)
【文献】実開平05-034846(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00 - 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上管(1)、下管(2)及び横管(3)と、
前記上管(1)、前記下管(2)及び前記横管(3)を連結する連結部(4)を備えるT型コネクタであって、
前記下管(2)の内周に管状に形成された肉厚部(5)を設け、
前記肉厚部(5)から立ち上がり、前記肉厚部(5)と連通する内管(7)を設けたことを特徴とするT型コネクタ(9)。
【請求項2】
前記内管(7)の内管上端部(8)の内周面積(a)と、前記上管(1)の上管上端部(6)の内周面積から前記内管上端部(8)の外周面積を減じた面積(A)が等しく設けられていることを特徴とする請求項1に記載のT型コネクタ(9)。
【請求項3】
前記T型コネクタが、植物への潅水用に用いられるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のT型コネクタ(9)。
【請求項4】
縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部(10)と、
前記植栽部(10)に潅水するための複数の横導水管(11)と、
前記横導水管(11)に給水するための複数の縦導水管(12)を備えた潅水装置であって、
前記横導水管(11)及び前記縦導水管(12)が、
上管(1)、下管(2)及び横管(3)と、
前記上管(1)、前記下管(2)及び前記横管(3)を連結する連結部(4)を備え、
前記下管(2)の内周に管状に形成された肉厚部(5)を設け、
前記肉厚部(5)から立ち上がり、前記肉厚部(5)と連通する内管(7)を設けたT型コネクタ(9)によって連結されていることを特徴とする潅水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つの管状部材を接続するためのT型コネクタ及び該T型コネクタを用いた潅水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、3つの管状部材を接続するために、3方向に延出する3つの管状部とこれらの管状部を連結する連結部を備えたT型コネクタ(Tの字型の継手)が存在している。このような従来のT型コネクタは、3つの管状部と連結部がそれぞれ単に連通し、接続する3つの管状部材内を液体等が自在に流通できるようにするものである。
【0003】
ところで、所謂「壁面緑化」として、昨今、建造物の壁面等に縦方向及び横方向に複数の植物を植栽することが行われ、また、そのための花壇や潅水装置等も開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。このように、特に、縦方向に複数の植栽を行う場合、上側の植物への潅水量と下側の植物への潅水量を制御すること、及び具体的には、制御して適正な潅水量にすることが課題となる。より具体的には、通常、このような縦方向の複数の植物への潅水は、上側から順次下側の植物に潅水されていくが、下側の植物への潅水量が上側の植物に比して多くなってしまう傾向にある。一般的には、日当たりは上側の植物の方が良好になることをも考慮すると、上側の植物には多く、下側の植物には少なく潅水することが望ましいため、下側への潅水量を抑制する等の制御ができることが望ましい。
【0004】
特許文献1は、パネル本体が、底板と、該底板の外周縁に沿って立設された上枠、下枠及び両側枠によって形成され、前記底板上に、下層から樹皮層、樹脂メッシュ、ロックウール層の順で積層固定され、前記パネル本体内に、前記上枠に沿って灌水パイプが配設され、前記灌水パイプの側面部に複数の貫通孔が形成され、各前記貫通孔に導水用紐状物が挿通され、前記導水用紐状物によって前記灌水パイプ内の水を前記ロックウール層及び前記樹皮層に供給することを特徴とする壁面緑化パネルを開示している。
【0005】
特許文献2は、壁面等に取り付けることが出来る形状で、オーバーフローにより水を一定量貯水できる構造とした貯水タンクと、貯水タンクに併合できる形状にしたフタに植物等を入れる植栽ポケットを設け、給水材により、貯水タンクの水を植物に供給して植物を栽培する植物栽培容器を構成し、植物栽培容器を上下に連結することにより立面等を構成することを特徴とした立体型植物育成装置を開示している。
【0006】
特許文献1に開示される技術は、導水用紐状物の毛細管現象を利用して潅水し、潅水効率を向上させるものである。しかし、特許文献1は、上側の植物への潅水量と下側の植物への潅水量を制御できるものではない。
【0007】
特許文献2に開示される技術は、上側の植物栽培容器からオーバーフローした水を下側の植物栽培容器に供給するものであるが、各植物栽培容器にオーバーフローにより水を一定量貯水できる貯水タンクを設ける必要があるため、各植物栽培容器の構造が複雑になり、その製造コストが増加してしまう、或いは、上側の植物栽培容器への水の供給量が不十分の場合、下側への水が供給されないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-096754号公報
【0009】
【文献】特開2006-042775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、簡単な構造で、接続する3つの管状部材内を流通する液体等の量をコントロールすることを可能にするT型コネクタ、及び該T型コネクタを用いて、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部への潅水量を制御することが可能な潅水装置を提供することを目的とする。具体的には、下側の植栽部への潅水量を抑制して制御することを可能とするT型コネクタ及び潅水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様のT型コネクタ(9)は、は、上管(1)、下管(2)及び横管(3)と、前記上管(1)、前記下管(2)及び前記横管(3)を連結する連結部(4)を備えるT型コネクタであって、前記下管(2)の内周に管状に形成された肉厚部(5)を設け、前記肉厚部(5)から立ち上がり、前記肉厚部(5)と連通する内管(7)を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様のT型コネクタ(9)は、前記内管(7)の内管上端部(8)の内周面積(a)と、前記上管(1)の上管上端部(6)の内周面積から前記内管上端部(8)の外周面積を減じた面積(A)が等しく設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様のT型コネクタ(9)は、植物への潅水用に用いられるものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様の潅水装置は、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部(10)と、前記植栽部(10)に潅水するための複数の横導水管(11)と、前記横導水管(11)に給水するための複数の縦導水管(12)を備えた潅水装置であって、前記横導水管(11)及び前記縦導水管(12)が、上管(1)、下管(2)及び横管(3)と、前記上管(1)、前記下管(2)及び前記横管(3)を連結する連結部(4)を備え、前記下管(2)の内周に管状に形成された肉厚部(5)を設け、前記肉厚部(5)から立ち上がり、前記肉厚部(5)と連通する内管(7)を設けたT型コネクタ(9)によって連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、下管の内周に肉厚部を設け、肉厚部から立ち上がり、肉厚部と連通する内管を設けたことから、T型コネクタをトの字状になるように傾けて使用する場合、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御することが可能となる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、内管上端部の内周面積と、上管上端部の内周面積から内管上端部の外周面積を減じた面積を等しく設けたことから、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御することが容易となる。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、T型コネクタが、植物への潅水用に用いられるものであることから、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部への潅水量を制御することが可能となる。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部に潅水するための複数の横導水管と、横導水管に給水するための複数の縦導水管を備えた潅水装置において、横導水管及び縦導水管を、下管の内周に管状に形成された肉厚部を設け、肉厚部から立ち上がり、肉厚部と連通する内管を設けたT型コネクタによって連結したことから、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部への潅水量を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のT型コネクタの一例を示す正面図である。
図2】本発明のT型コネクタの一例を示す一部透視的正面図である。
図3】本発明のT型コネクタ本体部並びに内管及び肉厚部の一例を示す正面図である。
図4】本発明の内管上端部及び上管上端部の一例を示す平面図である。
図5】本発明の下管下端部の一例を示す底面図である。
図6】本発明の潅水装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明のT型コネクタ9の一例を示す正面図である。なお、本発明において、T型コネクタは、基本的には、トの字状又は図1に示すようにトの字の縦線を軸として線対称に配置して使用することを前提とする。
本発明のT型コネクタ9は、上管1、下管2及び横管3、並びに上管1、下管2及び横管3を連結する連結部4を備える。
図1に示すように、上管1と下管2は、連結部4を介して同一軸線上に設けられている。横管3は、上管1と下管2が設けられる軸線に対して垂直に設けられている。
上管1、下管2及び横管3は、外周の寸法及び外部の形状を相互に同じものとすることができる。
上管1及び横管3は、内周の寸法及び内部の形状を相互に同じものとすることができる。
【0022】
図2は、本発明のT型コネクタ9の一例を示す一部透視的正面図である。鎖線で示すのは、上管1内及び連結部4内、並びに僅かに下管2内を通過する内管7と、肉厚部5である。
【0023】
図3は、本発明の上管1、下管2、横管3及び連結部4で構成されるT型コネクタ本体部並びに内管7及び肉厚部5の一例を示す正面図である。図3の左側がT型コネクタ本体部であり、同右側が内管7及び肉厚部5である。なお、図3に示すように、T型コネクタ本体部と、内管7及び肉厚部5は、別々に成形して製造することも可能であるし、T型コネクタ本体部と、内管7及び肉厚部5を一体的に成形して製造することも可能である。
上管1、下管2、横管3及び連結部4は、樹脂製素材や金属で製造することができるが、材質は特に限定されるものではない。
【0024】
図2及び3に示すように、下管2の内周には、下管2の中心方向に向かって管状に形成された肉厚部5が設けられている。肉厚部5が設けられることによって、肉厚部5が設けられる部位の下管2の内径、すなわち、肉厚部5の内径は、上管1及び横管3の内径よりも小さく設けられている。具体的には、図4及び図5において右下がり斜線で示す円の直径が下管2の肉厚部5が設けられる部位の内径、すなわち、肉厚部5の内径であり、図4に示す外側から2番目の円の直径が上管1又は横管3の内径である。なお、図4及び5の斜線部は、T型コネクタ9の形状や模様を示すものではなく、説明の便宜のために描いたものである。
肉厚部5の高さは、図2及び3では、下管2の下端から上端付近まで到達するように設けられているが、特にこの高さに限定されるものではなく、横管3の開口部の下端部の位置よりも低くするように設けてあればよい。
【0025】
図2及び3に示すように、肉厚部5から立ち上がり、肉厚部5と連通する内管7が設けられている。具体的には、内管7は、肉厚部5の中央の部位から立ち上がり、その内周は、肉厚部5の内周と同じ形状及び寸法を有している。図1乃至3では、内管7は、上管1の上端開口部6の上方位置まで延出して設けられているが、内管7の長さは、これに限定されるものではなく、例えば、上管1の上端開口部6と同じ高さまで到達する長さにすることもでき、また、上管1の上端開口部6よりも低い位置まで到達する長さにすることもできる。内管7の長さを調整することにより、後述するように、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御することが容易となる。具体的には、下方の植栽部10への潅水量を制御することが容易となる。ただし、内管7は、横管3の開口部の上端部よりも高い位置まで到達する長さにする必要がある。
肉厚部5及び内管7は、樹脂製素材や金属で製造することができるが、材質は特に限定されるものではない。
【0026】
内管7の内管上端部8の内周面積aと、上管1の上管上端部6の内周面積から内管上端部8の外周面積を減じた面積Aが等しく設けられている。内管7の内管上端部8の内周面積aは、図4において右下がり斜線部で示す領域であり、上管1の上管上端部6の内周面積から内管上端部8の外周面積を減じた面積Aは、図4において右上がり斜線部で示す領域である。
このように、内管7の内管上端部8の内周面積aと、上管1の上管上端部6の内周面積から内管上端部8の外周面積を減じた面積Aを等しく設けることにより、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御することが容易となる。具体的には、面積aと面積Aを等しく設定しておけば、内管7の長さを調節することで、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御することができるようになる。
【0027】
上述した本発明のT型コネクタ9は、上方から供給される液体等の下方への供給量を制御するために用いられるものであるが、好適には、植物への潅水用に用いられるものであり、より好適には、後述するように、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部10に潅水する際に用いられるものである。
【0028】
次に、本発明の潅水装置を説明する。
本発明の潅水装置は、図6に示すように、縦方向及び横方向のそれぞれに設けられた複数の植栽部10と、植栽部10に潅水するための複数の横導水管11と、横導水管11に給水するための複数の縦導水管12を備えた潅水装置である。
【0029】
貯水タンク13に貯水された水は、適宜のポンプ14によって送水管15を経由して、最上段の横導水管11に供給される。最上段の横導水管11に供給された水は、図6において右方向に流れ、ノズル16によって植栽部10に潅水されつつ、最上段の横導水管11の右方端に到達し、当該右方端と連結しているL型コネクタ17を通過して、最上段の縦導水管12内を通過し、本発明のT型コネクタ9に到達する。
【0030】
ここで、本発明のT型コネクタ9は、上述したように、上管1、下管2及び横管3と、上管1、下管2及び横管3を連結する連結部4を備え、下管2の内周に管状に形成された肉厚部5を設け、肉厚部5から立ち上がり、肉厚部5と連通する内管7を設けたT型コネクタ9である。
【0031】
図6では、T型コネクタ9が3つ設けられている。
1番上のT型コネクタ9は、最上段の縦導水管12、上から2段目の縦導水管12及び上から2段目の横導水管11を連結し、上から2番目のT型コネクタ9は、上から2段目の縦導水管12、上から3段目の縦導水管12及び上から3段目の横導水管11を連結し、上から3番目のT型コネクタ9は、上から3段目の縦導水管12、上から4段目の縦導水管12及び上から4段目の横導水管11を連結している。
【0032】
いずれのT型コネクタ9も同様の作用・効果を奏するので、1番上のT型コネクタ9の作用・効果を説明する。
最上段の縦導水管12から供給される水は、まず、内管7内(図4の右下がり斜線部の領域a)と、上管1内の内管7外の領域(図4の右上がり斜線部の領域A)を通過する。
【0033】
内管7は、肉厚部5と連通していることから、内管7内を通過する水は、肉厚部5内を経由して、上から2段目の縦導水管12に流れる。
上管1内の内管7外の領域に供給された水は、当該領域の下端部が肉厚部5の上面によって閉塞され、当該領域の内側部が内管7の外周によって閉塞され、並びに当該領域の外側部が下管2、連結部4(連結部4は一部開口している)、上管1及び上管1と連結している縦導水管12の内周によって閉塞されていることから、肉厚部5の上面から下管2、連結部4、上管1及び上管1と連結している縦導水管12内に滞留する。ここで、滞留した水の水位が、内管7の上端開口部8よりも低い場合は、供給された水は、肉厚部5によって堰き止められ、それよりも下方に流れることはない。一方、当該水位が内管7の上端開口部8よりも高い場合は、供給された水の一部は内管7内に流れ込み、内管7及び肉厚部5を経由して、上から2段目の縦導水管12に流れる。したがって、内管7の上端開口部8の位置を高くする、すなわち、内管7を長くすれば、下方への水供給量を少なくすることができ、内管7の上端開口部8の位置を低くする、すなわち、内管7を短くすれば、下方への水供給量を多くすることができるので、内管7の長さを調節することにより、下方への水供給量を調節することができる。
このように内管7及び肉厚部5を設けることにより、下側の縦導水管12に供給される水は、内管7内を通過する水だけとなる。
これに対し、内管7及び肉厚部5を設けない場合、上側の縦導水管12から供給される水が下側の縦導水管12に流れ過ぎてしまい、下側の植栽部10への潅水量が多くなり過ぎるが、内管7及び肉厚部5を設けることによって、そのような弊害を防止することが可能となる。
【0034】
一方、上管1内の内管7外の領域を通過する水は、上述したように、当該領域の下端部が肉厚部5によって、内側部が内管7によって、並びに外側部が下管2、連結部4(連結部4は一部開口している)、上管1及び上管1と連結している縦導水管12によって閉塞されていることから、下側の縦導水管12(上から2段目の縦導水管12)に流れることはなく、横管3を経由して、上から2段目の横導水管11に流れる。上から2段目の横導水管11に供給された水は、図6において左方向に流れ、ノズル16によって植栽部10に潅水されつつ、上から2段目の横導水管11の左方端に到達する。
ここで、横導水管11に供給された水が比較的に多い場合には、当該水が右方向に逆流することがある。逆流した水が連結部4まで到達すると、もし内管7及び肉厚部5が存在しない場合は、下方の縦導水管12に水が供給されてしまい、下方の植栽部10への潅水量が多くなり過ぎることがあるが、内管7及び肉厚部5の存在によって、逆流した水は、堰き止められ、水位が内管7の上端開口部8よりも高くならない限り、下方に供給されることはない。したがって、内管7及び肉厚部5によって、下側の植栽部10への潅水量が多くなり過ぎることを防止することが可能である。
【0035】
図6では、植栽部10を平面的に並べ、潅水装置全体として正面視略矩形状に設けた状態を示しているが、例えば、潅水装置全体として、文字や記号の形を形成するように横導水管11及び縦導水管12を設けたり、横導水管11を略環状に設けて、縦導水管12と合わせて略円柱状の導水管構造を形成して、その略円柱状導水管構造の外周面に植栽部10を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 上管
2 下管
3 横管
4 連結部
5 肉厚部
6 上管上端開口部
7 内管
8 内管上端開口部
9 T型コネクタ
10 植栽部
11 横導水管
12 縦導水管
13 貯水タンク
14 ポンプ
15 送水管
16 ノズル
17 L型コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6