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  • 特許-エアー式衝撃工具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】エアー式衝撃工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/24 20060101AFI20240314BHJP
   B25D 17/11 20060101ALI20240314BHJP
   B25D 9/04 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B25D17/24
B25D17/11
B25D9/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023171477
(22)【出願日】2023-10-02
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510155210
【氏名又は名称】アピュアン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】渡部 幸雄
【審査官】鈴木 崇文
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-025981(JP,A)
【文献】特開2010-158771(JP,A)
【文献】実開昭54-082888(JP,U)
【文献】実開昭51-001501(JP,U)
【文献】実公昭50-014220(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0284646(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0160138(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00 - 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気が導入される工具本体と、
前記工具本体に対して前後方向に摺動自在に取り付けられた状態で、先端部分が前記工具本体を基準にして前方へ差し出される部分を有する長尺状の先端具と、
前記工具本体の前端部に取り付けられ、前記先端具の差し出された部分の根端部を被覆する先細りのコイルスプリングで構成されたキャップ部材と、を備え、
前記キャップ部材に前記先端具が挿通されて前記キャップ部材から前方に向かって前記先端具の先端部が突き出されており、前記工具本体に導入される圧縮空気を用いて前記先端具を往復動させて当該先端具の先端部からワークに衝撃を付与するエアー式衝撃工具であって、
前記先端具における前記キャップ部材内に位置する部位にはフランジ部が設けられており、
前記キャップ部材の先細り部分の内周面によって、先端側スプリング受け面部及び前記先端側スプリング受け面部よりも根端側に配置された根端側スプリング受け面部が構成されており、
前記フランジ部の前部と、前記先端側スプリング受け面部との間には、弾性変形可能な範囲で伸縮自在で前記先端具を後退させる方向に当該先端具を付勢する先端具復帰コイルスプリングが配置されており、
前記工具本体の前端部と前記根端側スプリング受け面部との間には、弾性変形可能な範囲で弾縮した振動吸収コイルスプリングが配置されてなり、
前記振動吸収コイルスプリングの内空部に、前記先端具復帰コイルスプリングが配置されてなる
ことを特徴とするエアー式衝撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端具が往復動する機構の作用によってワークに衝撃を付与するエアー式衝撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークに衝撃を与えて当該ワークを掘削したり、切除したりする衝撃工具としては、工具本体内にシリンダを備え、当該シリンダ内を往復動する先端具を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-176683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような衝撃工具にあっては、シリンダ内を先端具が激しく往復するため、作業者の手に強い振動が伝わり、作業を長時間にわたって行うことが困難であった。また、部材同士が激しく衝突することに起因して騒音も大きくなることがあるため、これらの問題を改善する余地がある。
【0005】
そこで本発明は、より一層、振動吸収効果及び静音効果のある衝撃工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧縮空気が導入される工具本体と、前記工具本体に対して前後方向に摺動自在に取り付けられた状態で、先端部分が前記工具本体を基準にして前方へ差し出される部分を有する長尺状の先端具と、前記工具本体の前端部に取り付けられ、前記先端具の差し出された部分の根端部を被覆する先細りのコイルスプリングで構成されたキャップ部材と、を備え、前記キャップ部材に前記先端具が挿通されて前記キャップ部材から前方に向かって前記先端具の先端部が突き出されており、前記工具本体に導入される圧縮空気を用いて前記先端具を往復動させて当該先端具の先端部からワークに衝撃を付与するエアー式衝撃工具であって、前記先端具における前記キャップ部材内に位置する部位にはフランジ部が設けられており、前記キャップ部材の先細り部分の内周面によって、先端側スプリング受け面部及び前記先端側スプリング受け面部よりも根端側に配置された根端側スプリング受け面部が構成されており、前記フランジ部の前部と、前記先端側スプリング受け面部との間には、弾性変形可能な範囲で伸縮自在で前記先端具を後退させる方向に当該先端具を付勢する先端具復帰コイルスプリングが配置されており、前記工具本体の前端部と前記根端側スプリング受け面部との間には、弾性変形可能な範囲で弾縮した振動吸収コイルスプリングが配置されてなり、前記振動吸収コイルスプリングの内空部に、前記先端具復帰コイルスプリングが配置されてなることを特徴とするエアー式衝撃工具である。
【0007】
かかる構成にあっては、キャップ部材が、当該キャップ部材の先端側から先端具が飛び出することを防止する機能を備えている。さらに、キャップ部材が先端具の差し出された部分の根端部を被覆することで音漏れが低減されて静音効果が向上する。また、キャップ部材自身を先細り形状のコイルスプリング形状として振動吸収コイルスプリングを支持する構成としているため、前記工具本体から前記キャップ部材に伝播する振動が、前記振動吸収コイルスプリングにも伝播し、作業者に伝わる振動や騒音を熱エネルギーに変換することで飛躍的に低減することができる。加えて、前記振動吸収コイルスプリングの内空部に前記先端具復帰コイルスプリングが配置されることになり、装置全体をコンパクト化することが可能となる。なお、前記先端具復帰コイルスプリングは、例えば圧縮空気を導入していない状態で先端具を工具本体に押し付ける役割を果たすため、この状態で圧縮空気を導入すればすぐに先端具を往復動開始させることが可能となる。仮に圧縮空気を導入していない状態で先端具が工具本体に押し付けられていないと、圧縮空気が先端具装着部位から漏れ出ていわゆる空打ちが発生し、すぐに先端具を往復動開始できない。
【0008】
また、前記キャップ部材の先細り部分の内周側には、前記先端具が摺動自在に挿通される円環状の座金部材が配されており、前記座金部材における根端側の端面によって、前記先端側スプリング受け面部が構成されてなる構成が提案される。
【0009】
かかる構成とすることにより、前記キャップ部材の先細り部分の内周面に当接することとなる前記先端具復帰コイルスプリングの前端部を、前記座金部材で受けることができ、当該先端具復帰コイルスプリングの前端部を構成するコイルスプリング素線と、当該キャップ部材の内周面を構成するコイルスプリング素線とがかみ込んでしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の衝撃工具は、先端具の飛び出し防止効果があるとともに、作業者の手に伝わる振動を低減する効果及び静音効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1にかかる先端具が初期状態にあるエアー式衝撃工具の側断面図である。
図2図1の部分拡大側断面図である。
図3】実施例1にかかる先端具が前進した状態にあるエアー式衝撃工具の部分拡大側断面図である。
図4】実施例2にかかる先端具が初期状態にあるエアー式衝撃工具の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を実施例に従って説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。また便宜上、実施例において前後を規定して説明しているが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0013】
〔実施例1〕
図1図3に示すように、エアー式衝撃工具1は、例えば圧縮空気を駆動源としており、工具本体10を備えている。そして、工具本体10内には、前後方向に長いシリンダ部20が備えられている。さらにシリンダ部20には、導入された圧縮空気の作用により当該シリンダ部20内を前後方向に摺動自在に往復動する長尺状の先端具30が取り付けられている。具体的には、先端具30は、シリンダ部20内に配置された径大なフランジ部31が形成された部分と、フランジ部31よりも前端側に位置してフランジ部31よりも径小な部分とで構成されている。そして、かかる径小な部分が工具本体10の前端部から前方に差し出されており、先端がワークWに接触する。
【0014】
また、工具本体10の前端部の外周面には、キャップ部材40が嵌着されている。キャップ部材40は先細りのコイルスプリングで構成されており、キャップ部材40に先端具30が挿通されることで、前端部から前方に向かって先端具30の前端部が突き出されている。すなわち、先端具30において前方に差し出された部分の根端部はキャップ部材40によって被覆されている。
【0015】
なお、キャップ部材40の先細り部分の内部には、先端具30が摺動自在に挿通される円環状の座金部材45が配されている。この座金部材45における根端側の端面によって、先端側スプリング受け面部46が構成されている。座金部材45の先端側の端面はキャップ部材40の先細り部分の内周面に当接している。
【0016】
また、座金部材45よりも根端側におけるキャップ部材40の先細り部分の内周面によって根端側スプリング受け面部48が構成されている。
【0017】
そして、キャップ部材40の内部にあって、先端具30におけるフランジ部31よりも前端側には、先端具復帰コイルスプリング50が配置されている。具体的に先端具復帰コイルスプリング50は、内空部に先端具30が挿通されており、前後方向を伸縮方向とし、フランジ部31の前壁面部によって形成された前壁部31aと、座金部材45の先端側スプリング受け面部46との間で弾性変形可能な範囲で弾縮して配置されており、図1に示すように先端具30が最後退した初期状態Aにおいては、先端具復帰コイルスプリング50の前端部は先端側スプリング受け面部46に当接しているとともに、先端具復帰コイルスプリング50の後端部は先端具30の前壁部31aに当接している。
【0018】
また、キャップ部材40の内部にあって工具本体10の前端部の前壁部11aと、キャップ部材40の根端側スプリング受け面部48との間には、弾性変形可能な範囲で弾縮した振動吸収コイルスプリング70が配置されている。具体的に振動吸収コイルスプリング70は、内空部に先端具30及び先端具復帰コイルスプリング50が挿通されており、前後方向を伸縮方向とし、振動吸収コイルスプリング70の前端部はキャップ部材40の根端側スプリング受け面部48に当接しているとともに、振動吸収コイルスプリング70の後端部は工具本体10の前壁部11aに当接している。
【0019】
かかるエアー式衝撃工具1は、シリンダ部20において先端具30より後方の空間に圧縮空気が送られることにより、先端具30が前進し始める。
【0020】
そして図3に示したように、先端具30が最も前進した状態となると、シリンダ部20から圧縮空気が外部に排出されるとともに、先端具復帰コイルスプリング50の付勢力により、先端具30が後退して図1図2の状態に戻る。そして再度シリンダ部20において先端具30より後方の空間に圧縮空気が送られて先端具30が前進し始める。これを繰り返して先端具30の先端からワークWに衝撃を付与する。
【0021】
ここで、先端具30が前後動している間、振動吸収コイルスプリング70は工具本体10からキャップ部材40に伝播する振動を吸収して騒音の発生を抑制している。また振動吸収コイルスプリング70が衝撃工具全体の振動を吸収することによって作業者にかかる負担も軽減される。なお、振動吸収コイルスプリング70は先端具30の移動に伴って移動することはなく、工具本体10の前端部の前壁部11aと、キャップ部材40の根端側スプリング受け面部48との間において、弾性変形可能な範囲で弾縮した状態のままである。なお、振動吸収コイルスプリング70の内空部に、先端具復帰コイルスプリング50が配置されてなることで、エアー式衝撃工具1のコンパクト化が図られている。
【0022】
〔実施例2〕
以下に実施例2にかかるエアー式衝撃工具の詳細を説明するが、上記実施例1と同様の構成を有するものは説明を省略又は簡略する。
【0023】
図4に示すように、エアー式衝撃工具2は、上記エアー式衝撃工具1と比べると座金部材45が排されている。これにより、先端具復帰コイルスプリング50の前端部はキャップ部材40の先細り部分の内周面によって構成される先端側スプリング受け面部81に当接している。
【0024】
かかるエアー式衝撃工具2にあっても、実施例1のエアー式衝撃工具1と同様に、先端具30が前後動している間、振動吸収コイルスプリング70は工具本体10からキャップ部材40に伝播する振動を吸収して騒音の発生を抑制している。また振動吸収コイルスプリング70が衝撃工具全体の振動を吸収することによって作業者にかかる負担も軽減される。
【0025】
上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
先端具復帰コイルスプリング50及び振動吸収コイルスプリング70はそれぞれ複数個備えられていても構わない。
なお本発明のエアー式衝撃工具は、例えば水中で使用されるエアーハンマー工具にも適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 エアー式衝撃工具
10 工具本体
11a 工具本体における前壁部
20 シリンダ部
30 先端具
31 フランジ部
31a フランジ部における前壁部
40 キャップ部材
45 座金部材
46,81 先端側スプリング受け面部
48 根端側スプリング受け面部
50 先端具復帰コイルスプリング
70 振動吸収コイルスプリング
【要約】
【課題】より一層、先端具の飛び出し防止効果、振動吸収効果、及び静音効果のあるエアー式衝撃工具を提供する。
【解決手段】エアー式衝撃工具1は、先細り形状のコイルスプリング形状からなるキャップ部材40を備え、キャップ部材40内には、キャップ部材40の先細り部分の内周面に当てられる先端具復帰コイルスプリング50と振動吸収コイルスプリング70とが配置されており、さらに振動吸収コイルスプリング70の内空部に先端具復帰コイルスプリング50が配置されている。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4