(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】浮上物回収装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/40 20230101AFI20240314BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240314BHJP
B24B 55/12 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C02F1/40 B
B23Q11/00 U
B24B55/12
(21)【出願番号】P 2023179437
(22)【出願日】2023-10-18
【審査請求日】2023-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592248363
【氏名又は名称】ユキエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 清美
(72)【発明者】
【氏名】梅田 康一
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-050812(JP,A)
【文献】特開平05-057278(JP,A)
【文献】実開昭60-104204(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105771324(CN,A)
【文献】特開2017-077535(JP,A)
【文献】特開2004-216257(JP,A)
【文献】特開2021-042587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/40
B23Q11/00-13/00
B24B55/00-55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械において加工部分の潤滑や冷却に用いられるクーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を回収する浮上物回収装置であって、
前記浮上物とともに前記クーラントが貯留されたクーラントタンクと、
前記クーラントよりも比重の小さい部材からなるフロートを有し、前記クーラントの前記液面に浮かんでいる前記浮上物が内部へ流入するように前記クーラントの前記液面に浮かべられるようにして前記クーラントタンク内に設置されたフロートサクションと、
浮上物排出口、浮上物供給口及びクーラント排出口を有する浮上物分離槽と、
この浮上物分離槽の前記浮上物供給口に一端が接続されるとともに他端が前記フロートサクションの吸込口に接続された浮上物吸引管と、
この浮上物吸引管を介して前記フロートサクションから前記浮上物分離槽に前記浮上物を送出するポンプと、
ピストンロッドが前進と後退を周期的に繰り返すようにエアシリンダの動作を制御する空気圧回路と、を備え、
前記フロートサクションは、
前記フロートが連結された連結板と、
前記ピストンロッドの先端を下方に向けた状態で前記連結板に設置された
前記エアシリンダと、
前記吸込口が下部に設けられるとともに、上方に開口する姿勢で前記ピストンロッドの前記先端に連結されたサクションカップと、を備えてていることを特徴とする浮上物回収装置。
【請求項2】
第1のパイロットポートとバネを有するとともに第1の流路を介して圧縮エアが供給される第1のエアオペレート弁と、
第2のパイロットポート及び第3のパイロットポートを有するとともに前記第1の流路から分岐する第1の分岐流路に接続された第2のエアオペレート弁と、
この第2のエアオペレート弁と前記エアシリンダの第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートをそれぞれ接続する第2の流路及び第3の流路と、
この第3の流路と前記第1のパイロットポートを接続する第2の分岐流路と、
前記第1のエアオペレート弁に第4の流路及び第5の流路を介してそれぞれ接続された第1のエアチャンバ及び第2のエアチャンバと、
前記第2のパイロットポートと前記第1のエアチャンバを接続する第6の流路及び前記第3のパイロットポートと前記第2のエアチャンバを接続する第7の流路と、
前記第6の流路及び前記第7の流路にそれぞれ介装された第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁と、を備え、
前記第1のエアオペレート弁は、前記第1のパイロットポートに第1のパイロット圧が作用すると、前記第1の流路と前記第4の流路が連通するとともに前記第5の流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第1の状態から前記第1の流路と前記第5の流路が連通するとともに前記第4の流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第2の状態に切り替わるのに対し、前記第1のパイロットポートに前記第1のパイロット圧が作用しなくなると、前記バネの付勢力により前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わり、
前記第2のエアオペレート弁は、前記第2のパイロットポートに第2のパイロット圧が作用すると、前記第1の分岐流路と前記第2の流路が連通するとともに前記第3の流路内及び前記第2の分岐流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第3の状態から前記第1の分岐流路と前記第3の流路が連通するとともに前記第2の流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第4の状態に切り替わるのに対し、前記第3のパイロットポートに第3のパイロット圧が作用すると、前記第4の状態から前記第3の状態に切り替わることを特徴とする請求項
1に記載の浮上物回収装置。
【請求項3】
パイロットポートとバネを有するとともに第1の流路を介して圧縮エアが供給されるエアオペレート弁と、
このエアオペレート弁と前記エアシリンダの第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートをそれぞれ接続する第2の流路及び第3の流路と、
前記第2の流路から分岐する分岐流路に接続されたエアチャンバと、
このエアチャンバと前記パイロットポートを接続する第4の流路と、
この第4の流路に介装された圧力制御弁と、を備え、
前記エアオペレート弁は、前記パイロットポートにパイロット圧が作用すると、前記第1の流路と前記第2の流路が連通するとともに前記第3の流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第1の状態から前記第1の流路と前記第3の流路が連通するとともに前記第2の流路内と前記分岐流路内の前記圧縮エアが大気中に放出される第2の状態に切り替わるのに対し、前記パイロットポートに前記パイロット圧が作用しなくなると、前記バネの付勢力により前記第2の状態から前記第1の状態に切り替わることを特徴とする請求項
1に記載の浮上物回収装置。
【請求項4】
前記ピストンロッドの移動方向と平行に設置されて上端が前記連結板に固定されたガイドピンを備えるとともに、
前記ガイドピンを前記ピストンロッドの前記移動方向と平行に案内するガイド部が前記サクションカップに設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の浮上物回収装置。
【請求項5】
前記ピストンロッドの前記先端が上端に連結されるとともに下端が前記サクションカップに連結された棒状体を備えていることを特徴とする請求項
1に記載の浮上物回収装置。
【請求項6】
前記ピストンロッドの前記先端の外周面に設けられた雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた回り止めナットを備え、
前記棒状体は、前記ピストンロッドの前記雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた円筒状の懸垂ロッドであり、
この懸垂ロッドの前記上端に前記ピストンロッドの前記先端が螺入されるとともに、前記回り止めナットは前記ピストンロッドの前記先端が螺入された状態で前記懸垂ロッドの前記上端に設置されていることを特徴とする請求項
5に記載の浮上物回収装置。
【請求項7】
前記サクションカップの底面に設けられた貫通孔内に遊挿された円筒体と、
前記サクションカップの下方から前記円筒体に挿通されたボルトと、
このボルトが内挿された状態で前記円筒体と前記懸垂ロッドの間に設置されたワッシャと、を備え、
前記懸垂ロッドは、前記ボルトによって前記下端が前記サクションカップに固定されていることを特徴とする請求項
6に記載の浮上物回収装置。
【請求項8】
前記ピストンロッドと前記懸垂ロッドはフローティングジョイントを介して連結されていることを特徴とする請求項
6に記載の浮上物回収装置。
【請求項9】
工作機械において加工部分の潤滑や冷却に用いられるクーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を回収する浮上物回収装置であって、
前記浮上物とともに前記クーラントが貯留されたクーラントタンクと、
前記クーラントよりも比重の小さい部材からなるフロートを有し、前記クーラントの前記液面に浮かんでいる前記浮上物が内部へ流入するように前記クーラントの前記液面に浮かべられるようにして前記クーラントタンク内に設置されたフロートサクションと、
浮上物排出口、浮上物供給口及びクーラント排出口を有する浮上物分離槽と、
この浮上物分離槽の前記浮上物供給口に一端が接続されるとともに他端が前記フロートサクションの吸込口に接続された浮上物吸引管と、
この浮上物吸引管を介して前記フロートサクションから前記浮上物分離槽に前記浮上物を送出するポンプと、を備え、
前記フロートサクションは、
前記フロートが連結された連結板と、
ピストンロッドの先端を下方に向けた状態で前記連結板に設置されたエアシリンダと、
前記吸込口が下部に設けられるとともに、上方に開口する姿勢で前記ピストンロッドの前記先端に連結されたサクションカップと、を備え
前記浮上物分離槽は、
前記浮上物供給口及び前記浮上物排出口が設けられた分離室と、
前記クーラント排出口が設けられた清澄液貯留室と、を備え、
前記分離室と前記清澄液貯留室は、前記浮上物分離槽の下部において繋がっていることを特徴とす
る浮上物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械において加工部分の潤滑や冷却に用いられるクーラント(冷却液)の液中へ混入するスカム(泡状の浮きカス)や油を回収する装置に係り、特に、クーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を効率良く回収することが可能な浮上物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鍛造や圧造などの機械加工では、加工対象物の表面にボンデ処理(リン酸塩被膜処理によって対象物の表面に潤滑被膜を生成させる処理)などが施されるが、加工対象物の表面に形成された潤滑被膜は研削仕上げの際に剥がれてクーラントの液中に混入する。そして、この潤滑被膜が摺動面油やクーラントなどと化学反応することにより大量のスカムが発生する。
従来、液面の浮上油(水に浮く比重の軽い油)やスカム等の浮上物を回収するものとしては、例えば、浮上油やスラッジなどの混合液が貯留されたタンクと、タンク内に設置されて混合液の流入口に接続されるフレキシブルホースと、流入口がタンク液面に配置されるようにフレキシブルホースに取り付けられた2個以上のフロートと、このフロートを固定するとともに低水位水中ポンプ又はクーラントポンプの浸漬部を囲むポンプケースを備えており、フレキシブルホースに接続された混合液落下口から大気圧でポンプケース内に混合液が流れ込むように混合液落下口がポンプケース内の水位より高い位置に保持されるように設けられた構造の回収装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
このような構造であれば、液面変動に追従して液面上に浮遊するオイルやスラッジを効率良く吸引することができる。しかしながら、この回収装置では、混合液が混合液落下口から大気圧でポンプケース内に流れ込むように、低水位水中ポンプ又はクーラントポンプを稼働させて混合液落下口をポンプ内の水位より高い位置に維持する必要があるため、操作性が悪い。
また、タンク内液面が変動した場合でもフレキシブルホースの混合液流入口がその変動に追随して上下に移動するようにフレキシブルホースにフロートが設置されているが、タンク内液面が下方へ移動し、フレキシブルホースの混合液流入口と混合液落下口の落差距離が十分に確保されなくなると、混合液流入口への混合液の流入が停止してしまうという問題がある。
さらに、タンク内液面と混合液流入口の浸漬間隔が1mm~5mmの範囲から外れると、空気と浮上物が混合液とともに渦巻きを生じながら混合液流入口に流入するという効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0004】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献2には「スカム回収装置」という名称で、クーラントの液面に浮上したスカムをクーラントから効率よく分離して回収する装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、スカム排出口が上部に設けられるとともにスカム供給口及びクーラント排出口が下部に設けられたスカム分離槽と、クーラント排出口に接続されたスカムオーバーフローレベル調整機構と、スカムとともにクーラントが貯留されたクーラントタンクと、クーラントタンクの内部に設置されたフロートサクションと、スカム排出口に設置されたオーバーフローシャッター機構と、スカム供給口に一端が接続されるとともに他端がフロートサクションの吸込口に接続されたスカム吸引管と、このスカム吸引管に介装されたフィルタ及びエア駆動式ダイヤフラムポンプと、スカム排出口の下方に設置されたスカムタンクを備えていることを特徴とする。
【0005】
また、特許文献3には「表層液回収装置」という名称で、液体の表層部に浮上した機械油や異物等を含む表層液を回収する装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、円筒状かつ蛇腹状の伸縮部材と、この伸縮部材の上端に設置された環状のフロートと、伸縮部材の底面を閉塞する底板部材を備え、伸縮部材の内部に流入した表層液がポンプの駆動によって排出管から分離タンクに順次移送される構造となっている。
上記構造の回収装置において、伸縮部材内に溜まった表層液がフロートに達していない場合、伸縮部材はその自重とフロートの自重により収縮した状態になる。これに対し、伸縮部材内に溜まった表層液がフロートの上部に達すると、フロートが表層液から受ける浮力の作用によって表層液の液面とともに上昇する。この場合、フロートが上端に設置されている伸縮部材も、フロートの上昇に追従するようにして伸長する。そして、伸縮部材内の表層液が排出管を介して分離タンクに移送されることにより、伸縮部材内の表層液の液面が下降すると、それに追従してフロートが下降する結果、伸縮部材は再び収縮した状態になる。
このように特許文献3に開示された発明は、内部に溜まった表層液の量に応じて伸縮部材が所定の周期で収縮と伸長を繰り返すことにより伸縮部材内に一定量の液体が流入することになる。したがって、特許文献3に開示された発明では、伸縮部材内に溜まった一定量の表層液を順次回収することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-230458号公報
【文献】特開2023-50812号公報
【文献】特開2014-12245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研削機械のクーラント液は、ワークへの付着等により大量に消費される。例えば、研削機械を24時間稼働させると、クーラントタンク内の液面が10cm以上下がることもある。また、スカム分離槽からクーラントのリターン液がクーラントタンク内へ大量に戻されると、クーラントタンクの液面が激しく変動する。
特許文献2に開示された発明では、サクションカップがクーラントタンク内でクーラントに浮かべられた状態となっているため、クーラントタンク内の液面が大きく変化したり、激しく変動したりすると、サクションカップが簡単に傾いて、その内部へ必要以上のクーラントが流れ込んでしまうおそれがあった。
【0008】
また、クーラントからスカムを効率良く回収するためには、クーラントタンク内の液面に対するサクションカップの流入面の高さを調節する必要があるが、特許文献2に開示された発明では、上述のサクションカップの流入面の高さの調整が難しく、改良の余地があった。
特許文献3に開示された発明では、底板部材を液槽に固定する必要があり、液槽が大きい場合には側板の近くに設置せざるを得ず、側板から遠く離れた場所には設置できないという課題があった。また、設置や撤去の際に、液槽に底板部材を固定したり、液槽から底板部材を取り外したりする作業を行わなければならず、作業効率が悪いという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、クーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を効率よく回収することが可能な浮上物回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明は、工作機械において加工部分の潤滑や冷却に用いられるクーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を回収する浮上物回収装置であって、浮上物とともにクーラントが貯留されたクーラントタンクと、クーラントよりも比重の小さい部材からなるフロートを有し、クーラントの液面に浮かんでいる浮上物が内部へ流入するようにクーラントの液面に浮かべられるようにしてクーラントタンク内に設置されたフロートサクションと、浮上物排出口、浮上物供給口及びクーラント排出口を有する浮上物分離槽と、この浮上物分離槽の浮上物供給口に一端が接続されるとともに他端がフロートサクションの吸込口に接続された浮上物吸引管と、この浮上物吸引管を介してフロートサクションから浮上物分離槽に浮上物を送出するポンプと、を備え、フロートサクションは、フロートが連結された連結板と、ピストンロッドの先端を下方に向けた状態で連結板に設置されたエアシリンダと、吸込口が下部に設けられるとともに、上方に開口する姿勢でピストンロッドの先端に連結されたサクションカップと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第1の発明においては、クーラントタンクに貯留されているクーラントの液面にフロートサクションを浮かべた場合、クーラントの液面に浮かんでいる浮上物よりもサクションカップの上端面が低いと、その上端面を超えて浮上物がサクションカップ内へ流入するが、クーラントの液面に浮かんでいる浮上物よりもサクションカップの上端面が高いと、サクションカップ内へ浮上物が流入し得ないという作用を有する。
また、第1の発明では、クーラントタンク内でクーラントの液面にフロートサクションを浮かべた状態でエアシリンダを作動させると、ピストンロッドの前進又は後退に伴ってサクションカップが上下方向へ移動するという作用を有する。
【0012】
そこで、ピストンロッドが最も前進した場合にサクションカップの上端面がクーラントの液面に浮かんでいる浮上物よりも低い状態になるとともに、ピストンロッドが最も後退した場合にサクションカップの上端面が当該浮上物よりも高い状態になるように予めピストンロッドのストロークを調整しておけば、ピストンロッドが前進と後退を繰り返すようにエアシリンダを作動させることにより、サクションカップが一定の深さまで下降した後、一定の高さまで上昇するという現象が繰り返され、その都度、サクションカップ内に一定量の浮上物が流入する。これにより、クーラントタンクから回収された後、浮上物吸引管を介して浮上物分離槽に供給される浮上物の量が安定する。
【0013】
このように、第1の発明では、クーラントタンクから一定量の浮上物が回収されて浮上物分離槽に供給されるため、浮上物分離槽において浮上物がクーラントから安定した状態で分離するという作用を有する。
また、第1の発明は、エアシリンダによってサクションカップを上下方向へ移動させる構造であるため、電動シリンダを用いる場合とは異なり、電源設備や電気コードなどをクーラントタンクの近くに設置する必要がない。そのため、第1の発明では、クーラントが水溶性のものであってもショートや感電などの事故が発生する危険性がない。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、ピストンロッドが前進と後退を周期的に繰り返すようにエアシリンダの動作を制御する空気圧回路を備えていることを特徴とする。
第2の発明においては、ピストンロッドが最も前進した場合にサクションカップの上端面がクーラントの液面に浮かんでいる浮上物よりも低い状態になるとともに、ピストンロッドが最も後退した場合にサクションカップの上端面が当該浮上物よりも高い状態になるように、予めピストンロッドのストロークを調整した後、クーラントタンクに貯留されているクーラントの液面にフロートサクションを浮かべた状態で空気圧回路を作動させると、一定量の浮上物がサクションカップに流入するという第1の発明の作用が所定の周期で繰り返される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、第1のパイロットポートとバネを有するとともに第1の流路を介して圧縮エアが供給される第1のエアオペレート弁と、第2のパイロットポート及び第3のパイロットポートを有するとともに第1の流路から分岐する第1の分岐流路に接続された第2のエアオペレート弁と、この第2のエアオペレート弁とエアシリンダの第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートをそれぞれ接続する第2の流路及び第3の流路と、この第3の流路と第1のパイロットポートを接続する第2の分岐流路と、第1のエアオペレート弁に第4の流路及び第5の流路を介してそれぞれ接続された第1のエアチャンバ及び第2のエアチャンバと、第2のパイロットポートと第1のエアチャンバを接続する第6の流路及び第3のパイロットポートと第2のエアチャンバを接続する第7の流路と、第6の流路及び第7の流路にそれぞれ介装された第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁と、を備え、第1のエアオペレート弁は、第1のパイロットポートに第1のパイロット圧が作用すると、第1の流路と第4の流路が連通するとともに第5の流路内の圧縮エアが大気中に放出される第1の状態から第1の流路と第5の流路が連通するとともに第4の流路内の圧縮エアが大気中に放出される第2の状態に切り替わるのに対し、第1のパイロットポートに第1のパイロット圧が作用しなくなると、バネの付勢力により第2の状態から第1の状態に切り替わり、第2のエアオペレート弁は、第2のパイロットポートに第2のパイロット圧が作用すると、第1の分岐流路と第2の流路が連通するとともに第3の流路内及び第2の分岐流路内の圧縮エアが大気中に放出される第3の状態から第1の分岐流路と第3の流路が連通するとともに第2の流路内の圧縮エアが大気中に放出される第4の状態に切り替わるのに対し、第3のパイロットポートに第3のパイロット圧が作用すると、第4の状態から第3の状態に切り替わることを特徴とする。
なお、第3の発明における第1の流路乃至第7の流路並びに第1の分岐流路及び第2の分岐流路は、発明を実施するための形態において実施例1として後述するエアチューブ33a、33d、33e、33b、33c、33f、33g並びに第1の分岐チューブ34a及び第2の分岐チューブ34bにそれぞれ対応している。
【0016】
第3の発明において、エアシリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートがそれぞれ第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートであり、第1のエアオペレート弁及び第2のエアオペレート弁がそれぞれ第1の状態及び第3の状態である場合、第1の流路及び第1の分岐流路を介して第2のエアオペレート弁に供給された圧縮エアが第2の流路を通ってエアシリンダのヘッド側ポートに供給されるため、エアシリンダのピストンロッドが前進するとともに、ロッド側ポートから排出された圧縮エアが第3の流路を介して第2のエアオペレート弁に供給された後、大気中に放出される。
【0017】
一方、第1の流路から第1のエアオペレート弁に供給された圧縮エアは第4の流路を通って第1のエアチャンバ内へ流入する。第1のエアチャンバ内の圧力が上昇して第1の圧力制御弁に対して予め設定された圧力(パイロット圧)を示す値に達すると、その圧縮エアが第1のエアチャンバから流出した後、第2のエアオペレート弁の第2のパイロットポートに供給される。そして、この圧縮エアが第2のエアオペレート弁に対して第2のパイロット圧として作用する結果、第2のエアオペレート弁が第3の状態から第4の状態に切り替わる。
【0018】
第2のエアオペレート弁が第4の状態になると、第2のエアオペレート弁において第1の分岐流路と第3の流路が連通するため、第1の流路から第1の分岐流路に供給された圧縮エアは第3の流路を通ってエアシリンダのロッド側ポートに供給される。その結果、ピストンロッドが後退し、ヘッド側ポートから排出された圧縮エアは第2の流路を介して第2のエアオペレート弁に供給された後、大気中に放出される。また、第3の流路に供給された圧縮エアの一部は第2の分岐流路を通って、第1のエアオペレート弁の第1のパイロットポートに供給される。そして、この第1のパイロットポートに供給された圧縮エアが第1のパイロット圧として作用する結果、第1のエアオペレート弁は第1の状態から第2の状態に切り替わる。
【0019】
第1のエアオペレート弁が第2の状態になると、第1のエアオペレート弁において第1の流路と第5の流路が連通するため、第1の流路に供給された圧縮エアは第5の流路を通って第2のエアチャンバ内へ流入する。第2のエアチャンバ内の圧力が上昇して第2の圧力制御弁に対して予め設定された圧力を示す値に達すると、その圧縮エアは第2のエアチャンバから流出して第2のエアオペレート弁の第3のパイロットポートに供給される。そして、この圧縮エアが第2のエアオペレート弁に対して第3のパイロット圧として作用する結果、第2のエアオペレート弁は第4の状態から第3の状態に切り替わる。
【0020】
第2のエアオペレート弁が第3の状態になると、第2のエアオペレート弁において第1の分岐流路と第2の流路が連通する。そのため、第1の流路から第1の分岐流路に供給された圧縮エアが第2の流路を通ってエアシリンダのヘッド側ポートに供給される結果、ピストンロッドは再び前進する。そして、ロッド側ポートから排出された圧縮エアは第3の流路を介して第2のエアオペレート弁に供給された後、大気中に放出される。
一方、第3の流路及び第2の分岐流路に対し、第1の流路から圧縮エアが供給されなくなるため、第1のパイロットポートには第1のパイロット圧が作用しなくなる。その結果、バネの付勢力によって第1のエアオペレート弁は第2の状態から第1の状態に切り替わり、空気圧回路は最初の状態に戻る。
【0021】
このように、第3の発明においては、第2の発明の作用に加え、空気圧回路に圧縮エアを供給することにより、エアシリンダのピストンロッドが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用を有する。また、第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁におけるパイロット圧の設定値をそれぞれ変更すると、ピストンロッドが後退するタイミング及び前進するタイミングが個別に変化するという作用を有する。
【0022】
なお、上述の空気圧回路の説明では、エアシリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートをそれぞれ第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートとしているが、ヘッド側ポート及びロッド側ポートをそれぞれ第2のシリンダポート及び第1のシリンダポートとした場合でもエアシリンダのピストンロッドが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用は同様に発揮される。ただし、第1の圧力制御弁及び第2の圧力制御弁におけるパイロット圧の設定値をそれぞれ変更すると、ピストンロッドが前進するタイミング及び後退するタイミングが個別に変化する。
【0023】
第4の発明は、第2の発明において、パイロットポートとバネを有するとともに第1の流路を介して圧縮エアが供給されるエアオペレート弁と、このエアオペレート弁とエアシリンダの第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートをそれぞれ接続する第2の流路及び第3の流路と、第2の流路から分岐する分岐流路に接続されたエアチャンバと、このエアチャンバとパイロットポートを接続する第4の流路と、この第4の流路に介装された圧力制御弁と、を備え、エアオペレート弁は、パイロットポートにパイロット圧が作用すると、第1の流路と第2の流路が連通するとともに第3の流路内の圧縮エアが大気中に放出される第1の状態から第1の流路と第3の流路が連通するとともに第2の流路内と分岐流路内の圧縮エアが大気中に放出される第2の状態に切り替わるのに対し、パイロットポートにパイロット圧が作用しなくなると、バネの付勢力により第2の状態から第1の状態に切り替わることを特徴とする。
なお、第4の発明における第1の流路乃至第4の流路及び分岐流路は、発明を実施するための形態において実施例2として後述するエアチューブ36a、36b、36c、36d及び分岐エアチューブ37にそれぞれ対応している。
【0024】
第4の発明において、エアシリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートがそれぞれ第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートであり、エアオペレート弁が第1の状態である場合、第1の流路からエアオペレート弁を通って第2の流路に供給された圧縮エアは一部が第2の流路を通ってエアシリンダのヘッド側ポートに供給される。そのため、エアシリンダのピストンロッドが前進するとともに、ロッド側ポートから排出された圧縮エアが第3の流路を介してエアオペレート弁に供給された後、大気中に放出される。
一方、第1の流路から第2の流路に供給された圧縮エアの残りは分岐流路を通ってエアチャンバ内へ流入する。エアチャンバ内の圧力が上昇し、圧力制御弁に対して予め設定された圧力(パイロット圧)を示す値に達すると、圧縮エアがエアチャンバから流出してエアオペレート弁のパイロットポートに供給される。そして、この圧縮エアがパイロット圧として作用することで、エアオペレート弁が第1の状態から第2の状態に切り替わる。
【0025】
エアオペレート弁が第2の状態になると、エアオペレート弁において第1の流路と第3の流路が連通するため、第1の流路に供給された圧縮エアは第3の流路を通ってエアシリンダのロッド側ポートに供給される。その結果、ピストンロッドが後退するとともに、ヘッド側ポートから排出された圧縮エアが第2の流路を介してエアオペレート弁に供給された後、大気中に放出される。
また、分岐流路からエアチャンバに圧縮エアが供給されなくなり、パイロットポートにパイロット圧が作用しなくなるため、バネの付勢力によってエアオペレート弁が第2の状態から第1の状態に切り替わり、空気圧回路は最初の状態に戻る。
【0026】
このように、第4の発明においては、第2の発明の作用に加え、空気圧回路に圧縮エアを供給することにより、エアシリンダのピストンロッドが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用を有する。また、圧力制御弁におけるパイロット圧の設定値を変更すると、ピストンロッドが後退する速度が変化するという作用を有する。
なお、上述の空気圧回路の説明では、エアシリンダのヘッド側ポート及びロッド側ポートをそれぞれ第1のシリンダポート及び第2のシリンダポートとしているが、ヘッド側ポート及びロッド側ポートをそれぞれ第2のシリンダポート及び第1のシリンダポートとした場合でもエアシリンダのピストンロッドが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用は同様に発揮される。ただし、圧力制御弁におけるパイロット圧の設定値を変更した場合、ピストンロッドが後退するタイミングではなく、ピストンロッドが前進するタイミングが変化する。
【0027】
第5の発明は、第1の発明又は第2の発明において、ピストンロッドの移動方向と平行に設置されて上端が連結板に固定されたガイドピンを備えるとともに、ガイドピンをピストンロッドの移動方向と平行に案内するガイド部がサクションカップに設けられていることを特徴とする。
フロートサクションでは、ピストンロッドの先端が連結されているサクションカップはクーラントの液面に浮かんでおり、揺動し易い状態となっている。そのため、サクションカップの揺動に伴って、ピストンロッドの先端に横方向(ピストンロッドの移動方向に対して略垂直な方向)の力がサクションカップから横方向(ピストンロッドの移動方向に対して略垂直な方向)の力が加わると、ピストンロッドが破損してしまうおそれがある。しかしながら、第5の発明では、ガイドピンによってサクションカップがピストンロッドの移動方向と平行な方向に案内されるため、サクションカップが揺動した場合でもピストンロッドの先端にサクションカップから横方向の力が加わり難い。
【0028】
第6の発明は、第1の発明又は第2の発明において、ピストンロッドの先端が上端に連結されるとともに下端がサクションカップに連結された棒状体を備えていることを特徴とする。
第6の発明においては、第1の発明又は第2の発明の作用に加え、長さの異なる棒状体を用いると、ピストンロッドの先端からサクションカップまでの距離が変わるという作用を有する。
【0029】
第7の発明は、第6の発明において、ピストンロッドの先端の外周面に設けられた雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた回り止めナットを備え、棒状体は、ピストンロッドの雄ネジに螺合する雌ネジが内周面に設けられた円筒状の懸垂ロッドであり、この懸垂ロッドの上端にピストンロッドの先端が螺入されるとともに、回り止めナットはピストンロッドの先端が螺入された状態で懸垂ロッドの上端に設置されていることを特徴とする。
第7の発明において、懸垂ロッドをエアシリンダのピストンロッドに対して回転させると、懸垂ロッドの下端が連結されたサクションカップからエアシリンダが設置された連結板までの距離が変化する。フロートサクションがクーラントタンク内に設置されているとき、クーラントの液面に浮いているフロートが連結板に連結されていることから、クーラントの液面から連結板までの距離は略一定に保たれている。そのため、サクションカップから連結板までの距離が変化すると、クーラントの液面に対するサクションカップの上端面の高さが変化する。
すなわち、第7の発明においては、第6の発明の作用に加え、フロートサクションをクーラントタンク内に設置した状態で懸垂ロッドをピストンロッドに対して回転させると、クーラントの液面に対するサクションカップの上端面の高さが変化するという作用を有する。また、回り止めナットはピストンロッドの懸垂ロッドに対する緩みを防ぐという作用を有している。
【0030】
第8の発明は、第7の発明において、サクションカップの底面に設けられた貫通孔内に遊挿された円筒体と、サクションカップの下方から円筒体に挿通されたボルトと、このボルトが内挿された状態で円筒体と懸垂ロッドの間に設置されたワッシャと、を備え、懸垂ロッドは、ボルトによって下端がサクションカップに固定されていることを特徴とする。
サクションカップの移動方向が規定されている場合に、ピストンロッドの中心軸と懸垂ロッドの中心軸は一致しているが、ピストンロッドの移動方向がサクションカップの移動方向と完全には一致しないことがある。この場合、サクションカップの移動方向に対して中心軸が平行になるように貫通孔に挿通されているボルトは、ピストンロッドとともに移動する懸垂ロッドから、上記中心軸に対して傾いた方向に力を受けることになる。
これに対し、第8の発明では、円筒体によってサクションカップの貫通孔の内周面とボルトの間にクリアランスが設けられるとともに、ワッシャによって円筒体と懸垂ロッドが直接には接触しない構造となっている。この場合、ボルト及び懸垂ロッドとサクションカップの間には大きな摩擦力が発生し難いことから、第8の発明においては、第7の発明の作用に加え、サクションカップの貫通孔の内周面に対する上述のボルトに加わる力の影響が緩和されるという作用を有する。
【0031】
第9の発明は、第7の発明において、ピストンロッドと懸垂ロッドはフローティングジョイントを介して連結されていることを特徴とする。
第9の発明において、サクションカップの移動方向が規定されるとともに、サクションカップの移動方向と懸垂ロッドの中心軸が一致している場合、ピストンロッドの移動方向がサクションカップの移動方向に対して傾いていると、ピストンロッドの移動方向が懸垂ロッドの中心軸に対して傾くことになる。しかしながら、フローティングジョイントは、懸垂ロッドの中心軸と平行な方向以外の力がピストンロッドから懸垂ロッドに加わることを防ぐという機能を有しているため、第9の発明においては、第7の発明の作用に加え、懸垂ロッドの下端をサクションカップの底面に固定するボルトが、その中心軸に対して傾いた方向の力をピストンロッドから懸垂ロッドを介して受けるおそれがないという作用を有する。
【0032】
第10の発明は、第1の発明において、浮上物分離槽は、浮上物供給口及び浮上物排出口が設けられた分離室と、クーラント排出口が設けられた清澄液貯留室と、を備え、分離室と清澄液貯留室は、浮上物分離槽の下部において繋がっていることを特徴とする。
第10の発明では、浮上物供給口から浮上物分離槽にクーラントと一緒に供給され、分離室内でクーラントから分離した浮上物が浮上物排出口から溢出する。このとき、浮上物にはクーラントがほとんど含まれてない。すなわち、第10の発明においては、第1の発明の作用に加え、クーラントが浮上物排出口から排出され難いという作用を有する。
【0033】
また、浮上物はクーラントよりも比重が小さく、分離室内に供給された浮上物がクーラント中を浮上して液面近くに集まることから、分離室内では、クーラントの液面から離れるに従って浮上物とクーラントの分離が促進される。その結果、分離室の底部において、浮上物から完全に分離したクーラント(清澄液)の一部が清澄液貯留室へ移動した後、クーラント排出口から浮上物分離槽の外へ排出される。
このように、第10の発明においては、浮上物が供給される空間(分離室)と浮上物分離槽から排出されるクーラントが存在する空間(清澄液貯留室)が浮上物分離槽内に設けられているため、クーラント排出口から誤って浮上物が排出されてしまうおそれがない。
【発明の効果】
【0034】
第1の発明では、クーラントタンクから一定量の浮上物が回収されることにより、浮上物分離槽へ少ない量の浮上物が安定して供給される。これにより、浮上物分離槽における浮上物の滞留時間が長くなるため、大きな浮上物分離槽は不要になる。したがって、第1の発明によれば、浮上物分離槽を設置するためのスペースを節約することができる。
また、第1の発明によれば、浮上物分離槽において浮上物がクーラントから安定した状態で分離するため、浮上物をクーラントから効率よく回収することができる。
さらに、第1の発明は、クーラントが水溶性の場合でもショートや感電などの事故が発生する危険性がないため、安全に使用することが可能である。
【0035】
第2の発明では、クーラントタンク内から回収された一定量の浮上物が所定の周期で繰り返し浮上物分離槽に供給されることから、浮上物をクーラントから効率よく回収できるという第1の発明の効果がより一層発揮される。
【0036】
第3の発明によれば、空気圧回路に圧縮エアを供給するだけで、エアシリンダのピストンロッドを所定の周期で前進と後退を繰り返させることができるため、第1の発明の場合よりも浮上物をクーラントからさらに効率よく回収できるという第2の発明の効果が確実に発揮される。
【0037】
第4の発明では、第3の発明の場合よりも空気圧回路の構造が簡単であるが、第3の発明と同様の効果を期待できる。したがって、第4の発明によれば、第3の発明の場合よりも製造コストを削減することが可能である。
【0038】
第5の発明によれば、フロートサクションをクーラントタンク内に設置した際に、サクションカップが揺動してもピストンロッドの先端にサクションカップから横方向の力が加わり難いことから、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、エアシリンダが故障し難いという効果が期待できる。
【0039】
第6の発明によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、ピストンロッドの先端からサクションカップまでの距離を変えることで、エアシリンダとサクションカップの間隔を調節できるという効果を奏する。
【0040】
第7の発明によれば、第6の発明の効果に加え、懸垂ロッドを回転させるという簡単な操作によってクーラントの液面に対するサクションカップの上端面の高さを容易に調節できるという効果を奏する。
【0041】
第8の発明によれば、サクションカップの移動方向が規定されており、その移動方向と懸垂ロッドの移動方向が完全には一致していない場合でも、ボルト及び懸垂ロッドとサクションカップの底面との間に大きな摩擦力が生じ難いことから、第7の発明の効果に加え、懸垂ロッドからボルトに加わる力によってサクションカップが破壊されることを防止できるという効果を奏する。
【0042】
第9の発明によれば、第7の発明の効果に加え、サクションカップの移動方向が規定されており、その移動方向と懸垂ロッドの移動方向が完全には一致していない場合でも、サクションカップの貫通孔の破損を防止できるとともに、ピストンロッドや懸垂ロッドが互いに移動方向や中心軸方向以外の力を受けて破損したり、変形したりすることを防止できるという効果を奏する。
【0043】
第10の発明では、浮上物排出口から浮上物が排出される際にクーラントが排出され難いだけでなく、クーラント排出口からクーラントが排出される際に浮上物が排出され難いため、クーラントから分離される浮上物の割合が高い。したがって、第8の発明を用いることによれば、浮上物をクーラントから効率よく回収することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】(a)は本発明の実施の形態に係る浮上物回収装置の実施例1の模式図であり、(b)は同図(a)に示したスカム分離槽の平面図である。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ
図1(a)及び
図1(b)に示した仕切板の平面図及び左側面図であり、(c)は
図1(b)におけるB-B線矢視断面図である。
【
図4】(a)及び(b)はそれぞれ
図1(a)に示したフロートサクションの正面図及び平面図である。
【
図5】(a)は
図4(a)及び
図4(b)に示したサクションカップの平面図であり、(b)は
図4(b)におけるC-C線矢視断面図である。
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ
図5(b)におけるD部及びE部の拡大図であり、(c)及び(d)はそれぞれ同図(a)及び同図(b)の変形例を示した図である。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ
図5(a)に示したサクションカップの変形例の平面図及び正面図である。
【
図8】(a)及び(b)はそれぞれ
図5(b)においてサクションカップが上昇した状態及び下降した状態を示した図である。
【
図9】(a)は
図4(a)に示したエアシリンダの動作を制御する空気圧回路の構成を示したブロック図であり、(b)は同図(a)の空気圧回路に圧縮エアを供給した状態を示した図である。
【
図10】(a)は
図9(b)において第1のエアオペレート弁が切り替わった状態を示した図であり、(b)は同図(a)において第2のエアオペレート弁が切り替わった状態を示した図である。
【
図11】(a)は
図10(b)において第1のエアオペレート弁が切り替わった状態を示した図であり、(b)は同図(a)において第2のエアオペレート弁が切り替わった状態を示した図である。
【
図12】
図9(a)に示した空気圧回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】(a)は本発明の実施の形態に係る浮上物回収装置の実施例2における空気圧回路の構成を示したブロック図であり、(b)は同図(a)の空気圧回路に圧縮空気を供給した状態を示した図である。
【
図14】(a)は
図13(b)においてエアオペレート弁のパイロットポートにパイロット圧が作用する様子を示した図であり、(b)は同図(a)においてエアオペレート弁が切り替わった状態を示した図である。
【
図15】
図13(a)に示した空気圧回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の浮上物回収装置について
図1乃至
図15を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明では、、浮上物回収装置が実際に使用されている状態、すなわち、スカム分離槽やクーラントタンクが水平な場所に置かれている状態を想定して、「上方」や「下方」あるいは「上部」や「下部」などの表現を用いている。また、実施例として、クーラントの液面上に浮上したスカムを回収する場合について説明しているが、本発明の浮上物回収装置では、スカムに限らず、浮上油などの浮上物も回収することが可能である。したがって、以下の説明は、「スカム」を「浮上油」又は「浮上物」に置き換えても成立する。そして、「スカム分離槽」、「スカム排出口」、「スカム供給口」、「スカム排出シュート」、「スカム吸引管」、「スカム供給管」は「浮上物分離槽」、「浮上物排出口」、「浮上物供給口」、「浮上物排出シュート」、「浮上物吸引管」、「浮上物供給管」の下位概念にそれぞれ相当する。
さらに、以下の説明では、第1のエアオペレート弁26や第2のエアオペレート弁27においてパイロット圧がどのパイロットポートに作用するものであるかを明確にするため、第1のパイロットポート26a、第2のパイロットポート27a及び第3のパイロットポート27bに作用するパイロット圧をそれぞれ便宜上、第1のパイロット圧、第2のパイロット圧及び第3のパイロット圧としている。
【実施例1】
【0046】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る浮上物回収装置1の構成を模式的に示した図であり、
図1(b)は
図1(a)に示したスカム分離槽2の平面図である。また、
図2(a)及び
図2(b)はそれぞれ仕切板12の平面図及び左側面図であり、
図2(c)は
図1(b)におけるB-B線矢視断面図である。さらに、
図3は
図1(a)におけるA方向矢視図である。
なお、
図2(c)では仕切板12の図示を省略しており、
図3ではスカム分離槽2のみを示し、L字管3bと直管3fの図示を省略している。
【0047】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本発明の浮上物回収装置1は、上方が開口したスカム分離槽2と、スカム11aとともにクーラント11bが貯留されたクーラントタンク4と、このクーラントタンク4の内部に設置されたフロートサクション5を備えている。
スカム分離槽2は、上部にスカム排出口2aが設けられるとともに、スカム供給口2bとクーラント排出口2cがスカム排出口2aよりも低い位置に設けられている。また、クーラント排出口2cにはクーラント排出管3が接続されており、スカム供給口2bにはスカム供給管13が接続されている。
なお、スカム排出口2aは、側板2dの上端に設けられた開口部2i(
図3を参照)と、この開口部2iの下縁2k(
図1(b)を参照)から斜め下方へ延設されたスカム排出シュート2j(
図1(a)を参照)によって構成されている。
【0048】
クーラント11bの液面11cに浮かべられたフロートサクション5には、クーラント11bの液面11cに浮かんだ状態のスカム11aが内部へ流入するようにスカム吸引管6の一端が吸込口5a(
図5(a)を参照)に接続されている。
また、金属製やプラスチック製のホースの他、変形が容易なフレキシブルホースからなるスカム吸引管6にはフィルタ7とエア駆動式ダイヤフラムポンプ8が介装されており、スカム吸引管6の他端はスカム分離槽2のスカム供給口2bに接続されている。
【0049】
スカム分離槽2の内部は、通液口12aを有し、平面視L字をなす取付板10を用いて側板2dの内面側に固定された仕切板12によって、底板2gにスカム供給口2bが設けられた分離室2e及び側板2dにクーラント排出口2cが設けられた清澄液貯留室2fからなる2つの空間に分けられている。
なお、浮上物回収装置1の必須の構成要素ではないが、スカム排出口2aの下方には、スカム分離槽2から排出されたスカム11aを貯留するためのスカムタンク9が設置されている。
【0050】
スカム供給管13は、スカム分離槽2のスカム供給口2bに嵌挿される接続管13aと、この接続管13aに下端が接続されるとともに上端にL字管13cの一端が接続されてスカム分離槽2の深さ方向と平行に設置された直管13bと、L字管13cの他端に接続されるT字管13dによって構成されている。
また、クーラント排出管3は、スカム分離槽2のクーラント排出口2cに一端が挿設されたL字管3aと、このL字管3aの他端に取り付けられた液面レベル調整ソケット3cと、L字管3aに一端が接続されたL字管3bと、このL字管3bの他端に上端が接続されてスカム分離槽2の深さ方向と平行に設置された直管3fによって構成されている。
【0051】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、仕切板12は平面視矩形状をなす平板材が2度曲折されることによって、略平行に配置された2つの平板部14a、14bと、それらを繋ぐ接続部14cがいずれも平面視矩形状をなすように形成された構造となっている。また、仕切板12の四隅には、取付板10を用いてスカム分離槽2の側板2dに仕切板12が固定される際に用いられるネジ挿通孔12bがそれぞれ設けられており、平板部14bには前述の通液口12aが設けられている。すなわち、分離室2eと清澄液貯留室2fは、スカム分離槽2の下部に配置される平板部14bに設けられた通液口12aによって繋がっている。
なお、仕切板12の平板部14bに通液口12aを設ける代わりに、スカム分離槽2の底板2gと平板部14bの間に隙間を設け、この隙間によって分離室2eと清澄液貯留室2fが繋がった構造とすることもできる。また、スカム分離槽2に対して仕切板12を取り付ける代わりに、スカム分離槽2の内部に仕切壁を設け、この仕切壁によって仕切ることにより、スカム分離槽2の内部に分離室2eと清澄液貯留室2fを形成しても良い。
【0052】
さらに、
図1(a)には、スカム分離槽2の底板2gの近くに設けられた仕切板12の通液口12aによって分離室2eと清澄液貯留室2fがスカム分離槽2の底部において繋がった構造が示されているが、通液口12aはスカム分離槽2の下部に設けられていれば良いため、通液口12aが設けられる箇所はスカム分離槽2の底板2gの近くに限らず、適宜変更可能である。
ただし、通液口12aがスカム分離槽2の底板2gの近くに設けられていると、分離室2eと清澄液貯留室2fがスカム分離槽2の底部で繋がった構造となるため、スカム11aから完全に分離してスカム分離槽2の底部に貯留しているクーラント11bのみが通液口12aを通って分離室2eから清澄液貯留室2fに移動するという効果が期待できる。
【0053】
図2(c)に示すように、液面レベル調整ソケット3cは内周面に雌ネジ部が形成された円筒体からなり、円筒軸が鉛直方向と平行をなすようにスカム分離槽2の内部に設置されている。そして、液面レベル調整ソケット3cの下端3dには、上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が外周面に形成されたL字管3aの一端が螺入されている。なお、L字管3aは他端がクーラント排出口2cに挿設されるようにしてスカム分離槽2の側板2dに固定されていることから、L字管3aに対して液面レベル調整ソケット3cを回転させると、液面レベル調整ソケット3cはスカム分離槽2に対して上昇又は下降する。
【0054】
清澄液貯留室2fにおいて液面レベル調整ソケット3cの上端3eを超えたクーラント11bは、
図2(c)に矢印で示すように液面レベル調整ソケット3cの内部に流入した後、L字管3a、L字管3b及び直管3fを通ってスカム分離槽2の外へ排出される。そして、分離室2eにおけるクーラント11bは
図2(c)に示したクーラント11bと液面11cが同じになるまで、仕切板12の通液口12aを通って清澄液貯留室2fへ移動する。すなわち、液面レベル調整ソケット3cをL字管3aに対して回転させると、クーラント11bの液面11cの高さが変化する。
なお、スカム分離槽2におけるクーラント11bの液面レベルの調整幅は、例えば、スカム11aが流動性の良い潤滑油などの薄膜層を形成している場合には、3~4mm程度にすると良いが、スカム11aが流動性の悪い粒状や泡状の厚い層を形成している場合には、5~8mm程度にする必要がある。すなわち、上述のクーラント11bの液面レベルの調整幅は、スカム11aの形状や流動性に応じて設定することが望ましい。
【0055】
スカム分離槽2において、クーラント11bの液面11cの高さがスカム排出口2aの下縁2kのレベル2h(
図1(a)を参照)を超えた場合、クーラント11bがスカム11aとともにスカム排出口2aから排出されてしまう。しかしながら、浮上物回収装置1では、液面レベル調整ソケット3cをL字管3aに対して回転させることにより、クーラント11bの液面11cの高さを調整して上述のレベル2hよりも低く設定することで、スカム排出口2aからスカム11aと一緒に排出されるクーラント11bの量を極力少なくすることができる。
このように、浮上物回収装置1では、液面レベル調整ソケット3cをL字管3aに対して回転させるという簡単な操作によって、クーラント11bの液面11cの高さを調整できるため、スカム排出口2aからスカム11aと一緒に排出されるクーラント11bの量を少なくして、純度の高いスカム11aをスカム分離槽2から排出することが可能である。
【0056】
上記構造を備えた浮上物回収装置1においては、クーラントタンク4に貯留されたクーラント11bの液面11cに浮かんでいるスカム11aの一部がフロートサクション5によって捕集され、スカム吸引管6に介装されたエア駆動式ダイヤフラムポンプ8の作用によってスカム供給口2bからスカム分離槽2に供給される。なお、フロートサクション5によってスカム11aを捕集する際にクーラント11bも一緒に捕集されるが、後述するように、フロートサクション5はスカム11aとともに捕集されるクーラント11bの量を少なく抑えるような構造となっている。
【0057】
スカム分離槽2のスカム供給口2bに設置されたスカム供給管13の接続管13aにクーラントタンク4から供給されたスカム11a及びクーラント11bは、直管13bの内部を上昇した後、L字管13cを通ってT字管13dの内部に流入する。そして、スカム11aに含まれるエアはT字管13dの上端から大気へ放出され、残りのスカム11aとクーラント11bはT字管13dの下端から排出される。
このとき、T字管13dは下端が前述のレベル2hよりも上方となるように設置されていることから、T字管13dから排出されたスカム11aとクーラント11bは、既にスカム分離槽2に貯留されているクーラント11bに対し、その液面11c(
図2(c)を参照)を大きく波打たせることなく静かに上方から供給される。
【0058】
スカム11aが泡の状態でスカム排出口2aから排出される場合、そのスカム11aに含まれるクーラント11bは少ないが、クーラント11bの液面11cが大きく波打っていると、泡の状態のスカム11aだけではなく、大量のクーラント11bがスカム11aと一緒にスカム排出口2aから排出されてしまうおそれがある。しかしながら、浮上物回収装置1は、上述のようにスカム11aとクーラント11bが既にスカム分離槽2に貯留されているクーラント11bに対し、その液面11cが大きく波打つことがないように上方から静かに供給される構造となっている。すなわち、浮上物回収装置1では、スカム分離槽2にスカム11aが供給される際にクーラント11bの液面11cが大きく波打つことがないため、スカム排出口2aからスカム11aと一緒に排出されるクーラント11bの量は少ない。
【0059】
スカム分離槽2の分離室2eにクーラント11bと一緒に供給されたスカム11aはクーラント11bよりも比重が小さいため、クーラント11bの中を浮上する。このとき、仕切板12は接続部14cが傾斜しているため、浮上するスカム11aが仕切板12に接触したとしても、その動きが妨げられ難い。
また、
図3に示すように分離室2eの幅は下部よりも上部の方が狭いため、クーラント11bの液面11cに達したスカム11aは、そこに厚い泡の層を形成し易い。
【0060】
スカム11aによって形成される泡の層が厚い場合、クーラント11bの液面11cの高さをスカム排出口2aの下縁2kのレベル2hよりも低く設定する作業が容易になる。したがって、液面レベル調整ソケット3cを用いてクーラント11bの液面11cの高さを容易に調整可能な浮上物回収装置1によれば、純度の高いスカム11aをスカム分離槽2から排出させることが可能である。
また、スカム分離槽2は分離室2eの下部の幅が広く、スカム11aとクーラント11bが長く滞留し易い構造であることから、スカム11aとクーラント11bの分離が進み易い。
【0061】
スカム分離槽2の清澄液貯留室2fにおいて、スカム11aから完全に分離したクーラント11b(以下、清澄液という。)の一部は、底板2gの近くに設けられた通液口12a(
図1(a)を参照)を通って清澄液貯留室2fの方へ移動する。
そして、清澄液貯留室2fへ移動したクーラント11b(清澄液)は、クーラント排出管3を通ってクーラント排出口2c(
図2(c)を参照)からスカム分離槽2の外へ排出された後、
図1(a)に一点鎖線の矢印で示すようにクーラントタンク4に戻される。
【0062】
このように、浮上物回収装置1では、スカム分離槽2の内部が仕切板12によって、分離室2e(スカム供給口2bからクーラント11bと一緒に供給されたスカム11aがクーラント11bから分離するために必要な空間)と、清澄液貯留室2f(スカム11aから完全に分離したクーラント11b(清澄液)が貯留される空間)に分けられている。そのため、スカム分離槽2に供給されたスカム11aがそのままクーラント排出口2cから排出されてしまうおそれがない。
【0063】
すなわち、浮上物回収装置1では、スカム排出口2aからスカム11aが排出される際にクーラント11bが排出され難いだけでなく、クーラント排出口2cからクーラント11bが排出される際にスカム11aが一緒に排出されてしまうおそれがない。そのため、浮上物回収装置1においては、クーラント11bから分離した高純度のスカム11aがスカム排出口2aから排出される。したがって、浮上物回収装置1を用いることによれば、スカム11aをクーラント11bから効率よく回収することが可能である。
なお、浮上物回収装置1では、スカム分離槽2を長期間使用していると、比重の大きい固形物が底部に沈殿することがあるため、定期的にスカム分離槽2を清掃する必要がある。その点、仕切板12はスカム分離槽2の側板2dに対してネジやボルトを用いて着脱可能に固定されており、清掃作業の際には容易に取り外すことが可能となっている。したがって、浮上物回収装置1では、スカム分離槽2の清掃作業を容易に行うことができる。
【0064】
図4(a)及び
図4(b)はそれぞれフロートサクション5の正面図及び平面図である。また、
図5(a)は
図4(a)及び
図4(b)に示したサクションカップ15の平面図であり、
図5(b)は
図4(b)におけるC-C線矢視断面図である。さらに、
図6(a)及び
図6(b)はそれぞれ
図5(b)におけるD部及びE部の拡大図であり、
図6(c)及び
図6(d)はそれぞれ
図6(a)及び
図6(b)の変形例を示した図である。
なお、
図5(b)ではサクションカップ15のみを断面表示とし、他の構成要素については、その外観を表示している。また、
図6(c)では
図6(a)とは異なり、懸垂ロッド20及び回り止めナット21も外観表示としている。
【0065】
図4(a)及び
図4(b)、
図5(a)及び
図5(b)並びに
図6(a)及び
図6(b)に示すように、フロートサクション5は底面15aの近くの側面15bに吸込口5aが設けられたサクションカップ15と、3本のアーム部16aを有する連結板16と、3本のアーム部16aの下面16b側の先端にボルト17aを用いてそれぞれ連結されたフロート18と、連結板16の上面16c側に設置されたエアシリンダ19と、先端部に雄ネジ部を有し、連結板16に設けられた貫通孔(図示せず)を通して下面16bから突出するように配置されたピストンロッド19aと、このピストンロッド19aの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が内周面に設けられた円筒体からなる懸垂ロッド20と、この懸垂ロッド20の上端20aに配置された状態でピストンロッド19aが螺入される回り止めナット21と、懸垂ロッド20の下端20bに螺入されるボルト17bと、円筒状をなし、サクションカップ15の底面15aに設けられた貫通孔15c(
図6(b)を参照)に遊挿されたカラー22aと、このカラー22aの両端にそれぞれ配置された状態でカラー22aとともにボルト17bが連通される一対のワッシャ22b、22bと、上端23aがアーム部16aに固定されるとともに、サクションカップ15に設けられたガイド孔15d(
図5(a)を参照)に下端23bがスライド自在に遊挿されてピストンロッド19aの移動方向と平行をなす3本のガイドピン23を備えている。
なお、サクションカップ15のガイド孔15dに挿通されたガイドピン23が上下方向へ移動する際に、その移動を阻害しないようにガイド孔15dの内周面とガイドピン23の外周面の間には、クリアランスを設ける必要がある。ただし、このクリアランスはサクションカップ15の内部に大量のクーラント11bが流れ込むことがないような大きさに設定されている。
【0066】
フロートサクション5では、ピストンロッド19aの先端が連結されているサクションカップ15がクーラント11bの液面11cに浮かんでおり、揺動し易い状態となっている。そのため、サクションカップ15の揺動に伴って、ピストンロッド19aの先端に横方向(ピストンロッド19aの移動方向に対して略垂直な方向)の力がサクションカップ15から加わると、ピストンロッド19aが破損してしまうおそれがある。
しかしながら、上記構造のフロートサクション5においては、ガイドピン23によってサクションカップ15がピストンロッド19aの移動方向と平行な方向に案内されるため、サクションカップ15が揺動した場合でもピストンロッド19aの先端にサクションカップ15から横方向の力が加わり難い。したがって、浮上物回収装置1では、エアシリンダ19の故障が発生し難い。
【0067】
フロートサクション5では、ピストンロッド19aの中心軸と懸垂ロッド20の中心軸は一致しているが、ピストンロッド19aの移動方向がガイドピン23によって案内されるサクションカップ15の移動方向と完全には一致しない場合がある。このとき、サクションカップ15の移動方向に対して中心軸が平行になるように貫通孔15cに挿通されているボルト17bは、ピストンロッド19aとともに移動する懸垂ロッド20から、上記中心軸に対して傾いた方向に力を受けることになる。これに対し、上記構造のフロートサクション5では、サクションカップ15の貫通孔15cの内周面とボルト17bの間にカラー22aによってクリアランスが設けられるとともに、懸垂ロッド20の下端20b(
図6(b)を参照)とサクションカップ15の底面15aの間に設置されたワッシャ22bにより、カラー22aと懸垂ロッド20が直接には接触しない構造となっている。
この場合、ボルト17b及び懸垂ロッド20とサクションカップ15の底面15aの間には大きな摩擦力が発生し難いことから、貫通孔15cの内周面に対する上述のボルト17bに加わる力の影響が緩和される。したがって、ピストンロッド19aの移動方向がサクションカップ15の移動方向と完全には一致しない場合であっても、懸垂ロッド20からボルト17bに加わる力によってサクションカップ15の貫通孔15cが破壊されてしまうことはない。
【0068】
また、懸垂ロッド20をエアシリンダ19のピストンロッド19aに対して回転させると、懸垂ロッド20の下端20bが連結されたサクションカップ15からエアシリンダ19が設置された連結板16までの距離が変化する。フロートサクション5がクーラントタンク4内に設置されているとき、クーラント11bの液面11cに浮いているフロート18が連結板16に連結されていることから、クーラント11bの液面11cから連結板16までの距離は略一定に保たれている。そのため、サクションカップ15から連結板16までの距離が変化すると、クーラント11bの液面11cに対するサクションカップ15の上端面15e(
図5(b)を参照)の高さが変化する。
すなわち、フロートサクション5では、懸垂ロッド20をピストンロッド19aに対して回転させることによりクーラント11bの液面11cに対するサクションカップ15の上端面15eの高さの調節が可能となっている。なお、回り止めナット21はピストンロッド19aの懸垂ロッド20に対する緩みを防ぐという機能を有している。
【0069】
さらに、長さの異なる懸垂ロッド20を用いると、ピストンロッド19aの先端からサクションカップ15までの距離が変わるが、この場合、エアシリンダ19とサクションカップ15の間隔が変化する。すなわち、上記構造のフロートサクション5では、クーラントタンク4のサイズに応じて、エアシリンダ19とサクションカップ15の間隔を容易に調節することが可能である。
なお、懸垂ロッド20の代わりに棒状体によってピストンロッド19aとサクションカップ15が連結された構造とすることもできるが、この場合でも長さの異なる棒状体を用いることにより、エアシリンダ19とサクションカップ15の間隔を容易に調節できるという上述の効果は同様に発揮される。
【0070】
図5(b)におけるD部とE部は
図6(a)及び
図6(b)に示した構造に限定されるものではない。例えば、ピストンロッド19aと懸垂ロッド20の連結部分及びサクションカップ15と懸垂ロッド20の連結部分は、
図6(c)及び
図6(d)に示したような構造であっても良い。
すなわち、サクションカップ15の貫通孔15cにカラー22aが遊挿されるとともにカラー22aの上端にワッシャ22bが設置される代わりに、ピストンロッド19aと懸垂ロッド20がフローティングジョイント22cを介して連結された構造であっても良い。なお、フローティングジョイント22cは、懸垂ロッド20の中心軸と平行な方向以外の力がピストンロッド19aから懸垂ロッド20に加わることを防ぐという機能を有している。
【0071】
上記構造のフロートサクション5では、ボルト17bの中心軸と懸垂ロッド20の中心軸及びサクションカップ15の移動方向が一致しているため、ピストンロッド19aの移動方向がサクションカップ15の移動方向に対して完全には一致していない場合、ピストンロッド19aの移動方向が懸垂ロッド20の中心軸に対して傾くことになる。しかしながら、このような場合でもフローティングジョイント22cの作用により、ピストンロッド19aからは懸垂ロッド20の中心軸と平行な方向のみの力が加わるため、ボルト17bが中心軸に対して傾いた方向の力をピストンロッド19aから懸垂ロッド20を介して受けるおそれがない。そのため、ボルト17bに加わる力によってサクションカップ15の貫通孔15cが破損することはない。
また、ピストンロッド19aの移動方向が懸垂ロッド20の中心軸に対して傾くことにより、ピストンロッド19aが移動方向に平行な力を受けて破損又は変形したり、懸垂ロッド20が中心軸に平行な方向以外の力を受けて破損又は変形したりするおそれもない。
【0072】
図7(a)及び
図7(b)はそれぞれサクションカップ15の変形例に係るサクションカップ41の平面図及び正面図である。また、
図8(a)及び
図8(b)はそれぞれ
図5(b)においてサクションカップ15が上昇した状態及び下降した状態を示した図である。
なお、
図7(a)ではサクションカップ41の上端面15eのうち、スリット41aが設けられていない部分について、スリット41aが設けられている部分と区別するために、ハッチングを施している。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、サクションカップ41はサクションカップ15において上端面15eから所望の深さを有するとともに円周方向へ所望の幅を有する3つのスリット41aが円周方向へ略等間隔に設けられた構造となっている。
サクションカップ15の代わりに、このような構造のサクションカップ41を備えたフロートサクション5をクーラントタンク4に設置した場合、クーラント11bの液面11cの高さよりもスリット41aの最低部41bの方が僅かでも低いと、スカム11aはスリット41aを通ってサクションカップ41の内部へ流入する。
【0073】
例えば、フロート18とサクションカップ50の距離が短い場合、アーム16aとスリット41aを平面視した状態で両者の重なりが最も少なくなるようにサクションカップ41を配置すれば、フロート18がスカム11aの流れを邪魔しないため、サクションカップ41の内部へスカム11aがスムーズに流入する。一方、フロート18とサクションカップ41の距離が長く、フロート18とスリット41aがどのような位置関係にあってもフロート18がスカム11aの流れを邪魔するおそれがない場合には、サクションカップ41ではなく、スカム11aが全周から流入する構造のサクションカップ15を用いることが望ましい。
【0074】
このような構造を備えた浮上物回収装置1において、クーラントタンク4に貯留されているクーラント11bの液面11cにフロートサクション5を浮かべた場合、ピストンロッド19aの前進に伴ってサクションカップ15が下方へ移動することにより、クーラント11bの液面11cに浮かんでいるスカム11aよりもサクションカップ15の上端面15eが低い状態になると、スカム11aが上端面15eを超えてサクションカップ15の内部へ流入する(
図8(a)を参照)。
一方、ピストンロッド19aの後退に伴ってサクションカップ15が上方へ移動することにより、クーラント11bの液面11cに浮かんでいるスカム11aよりもサクションカップ15の上端面15eが高い状態になると、スカム11aが上端面15eを超えて、サクションカップ15の内部へ流入することはない(
図8(b)を参照)。
【0075】
クーラント11bの液面11cにフロートサクション5を浮かべた状態でエアシリンダ19を作動させると、ピストンロッド19aの前進又は後退に伴ってサクションカップ15が上下方向へ移動する。
そこで、ピストンロッド19aが最も前進した場合及び最も後退した場合にそれぞれ
図8(a)及び
図8(b)に示した状態となるように予めピストンロッド19aのストロークを調整しておけば、ピストンロッド19aが前進と後退を繰り返すようにエアシリンダ19を作動させることにより、サクションカップ15が一定の深さまで下降した後、一定の高さまで上昇するという現象が繰り返される。そして、その都度、サクションカップ15の中には一定量のスカム11aが流入することにより、クーラントタンク4から回収されてスカム分離槽2に供給されるスカム11aの量が安定する。
このように、浮上物回収装置1では、クーラントタンク4から一定量のスカム11aが回収されてスカム分離槽2に供給されるため、スカム分離槽2においてスカム11aがクーラント11bから安定した状態で分離する。
【0076】
サクションカップ15の沈降深さ(
図8(a)の状態から
図8(b)の状態になるまでサクションカップ15が沈む深さ)は、例えば、クーラント11bが流動性の良い潤滑油などであってスカム11aによって薄い層が形成される場合、3~4mm程度とし、クーラント11bの流動性が悪く、スカム11aによって粒状や泡状の厚い層が形成される場合には、5~8mm程度にするなど、スカム11aの形状やクーラント11bの流動性に応じて設定すると良い。
また、サクションカップ15はスカム11aが8分目程度に溜まった時点で上昇させるとともに、サクションカップ15が上昇中又は下降中であってもエア駆動式ダイヤフラムポンプ8を常時稼働させておくことが望ましい。このようにすると、スカム11aとクーラント11bの他、エアも吸引されてサクションカップ15の内部が完全に空の状態になる。そのため、これを同じ周期で繰り返すことで、スカム11aの回収量が一定に保たれる。
【0077】
クーラントタンク4から一定量のスカム11aが回収されると、スカム分離槽2へ少ない量のスカム11aが安定して供給される。これにより、スカム分離槽2におけるスカム11aの滞留時間が長くなるため、大きなスカム分離槽2は不要になる。したがって、このような方法によれば、スカム分離槽2を設置するためのスペースを節約することができる。
また、浮上物回収装置1は、エアシリンダ19によってサクションカップ15を上下方向へ移動させる構造であるため、電動シリンダを用いる場合とは異なり、電源設備や電気コードなどをクーラントタンク4の近くに設置する必要がない。そのため、クーラント11bが水溶性の場合でもショートや感電などの事故が発生する危険性がない。したがって、浮上物回収装置1は、水溶性のクーラント11bからスカム11aを回収する作業においても安全に用いることができる。
【0078】
図9(a)は
図4(a)に示したエアシリンダ19の動作を制御するニューマチックガバナー(ダブル)(以下、空気圧回路24aという。)の構成を示したブロック図であり、
図9(b)は
図9(a)の空気圧回路24aに圧縮エアを供給した状態を示した図である。また、
図10(a)は
図9(b)において第1のエアオペレート弁26が切り替わった状態を示した図であり、
図10(b)は
図10(a)において第2のエアオペレート弁27が切り替わった状態を示した図である。さらに、
図11(a)は
図10(b)において第1のエアオペレート弁26が切り替わった状態を示した図であり、
図11(b)は
図11(a)において第2のエアオペレート弁27が切り替わった状態を示した図である。そして、
図12は空気圧回路24aの動作を説明するためのフローチャートである。
なお、
図9(b)乃至
図11(b)では、空気圧供給源からエアシリンダ19に供給される圧縮エアが流れているエアチューブ及びエアシリンダ19から排出される圧縮エアが流れているエアチューブをそれぞれ太い実線及び細い実線で示し、第1のエアチャンバ28及び第2のエアチャンバ29並びに第1のエアオペレート弁26及び第2のエアオペレート弁27に空気圧供給源から供給される圧縮エアが流れているエアチューブを太い破線で示し、第1のエアチャンバ28及び第2のエアチャンバ29並びに第1のエアオペレート弁26及び第2のエアオペレート弁27から排出される圧縮エアが流れているエアチューブを細い破線で示している。
【0079】
図9(a)に示すように、エアシリンダ19の動作を制御する空気圧回路24aは、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hを介して圧縮エアが供給される手動弁25と、第1のエアオペレート弁26及び第2のエアオペレート弁27と、第1のエアチャンバ28及び第2のエアチャンバ29と、オリフィス30a、30bと、第1の圧力制御弁31a及び第2の圧力制御弁31bと、第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dと、第1の急速排気弁32a及び第2の急速排気弁32bと、エアチューブ33a乃至エアチューブ33gと、第1の分岐チューブ34a及び第2の分岐チューブ34bを備えている。
【0080】
第1のエアオペレート弁26は5つのポートの他、第1のパイロットポート26a及びバネ26bを有しており、
図9(a)及び
図9(b)に示す初期状態において
図9(b)に示すように第1のパイロットポート26aにエアシリンダ19から排出された圧縮エアが供給されると、
図10(a)及び
図10(b)に示す第1の状態に切り替わるとともに、
図10(b)に示すように第1のパイロットポート26aにエアシリンダ19から空気圧供給源から供給された圧縮エアが第1のパイロット圧として作用すると、
図11(a)及び
図11(b)に示す第2の状態に切り替わる構造となっている。
なお、第1の状態において第1のパイロットポート26aにエアシリンダ19から排出された圧縮エアが供給されなくなると、第1のエアオペレート弁26はバネ26bの付勢力によって初期状態に切り替わる。
【0081】
第2のエアオペレート弁27は5つのポートの他、第2のパイロットポート27a及び第3のパイロットポート27bを有している。そして、
図9(a)乃至
図10(a)並びに
図11(b)に示す第3の状態において第2のパイロットポート27aに第2のパイロット圧が作用すると、
図10(b)及び
図11(a)に示す第4の状態に切り替わるとともに、第4の状態において
図11(a)に示すように第3のパイロットポート27bに第3のパイロット圧が作用すると、第3の状態に切り替わる構造となっている。
【0082】
手動弁25と第1のエアオペレート弁26はエアチューブ33aによって接続されており、エアチューブ33aから分岐した第1の分岐チューブ34aの端部には第2のエアオペレート弁27が接続されている。また、第1のエアオペレート弁26と第1のエアチャンバ28はエアチューブ33bによって接続されており、このエアチューブ33bには第1のエアオペレート弁26に近い側から順にオリフィス30a及び第1の急速排気弁32aが介装されている。さらに、第1のエアオペレート弁26と第2のエアチャンバ29はエアチューブ33cによって接続されており、このエアチューブ33cには第1のエアオペレート弁26に近い側から順にオリフィス30b及び第2の急速排気弁32bが介装されている。
【0083】
エアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cはエアチューブ33d、33eによってそれぞれ第2のエアオペレート弁27に接続されている。そして、エアチューブ33d、33eにはエアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cに供給される圧縮エアの速度を調節する目的で第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dが介装されている。
すなわち、空気圧回路24aは、第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dをそれぞれ操作することによりピストンロッド19aの前進速度及び後退速度を個別に調整できる構造となっている。
【0084】
第1のエアチャンバ28及び第2のエアチャンバ29はエアチューブ33f、33gによって第2のエアオペレート弁27の第2のパイロットポート27a及び第3のパイロットポート27bにそれぞれ接続されており、エアチューブ33f、33gには第1の圧力制御弁31a及び第2の圧力制御弁31bがそれぞれ介装されている。
また、エアチューブ33eから分岐した第2の分岐チューブ34bの端部は、第1のエアオペレート弁26の第1のパイロットポート26aに接続されている。
【0085】
図9(a)において手動弁25を開いてエアチューブ33hとエアチューブ33aを連通させると、第2のエアオペレート弁27において第1の分岐チューブ34aとエアチューブ33dが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hに供給された圧縮エアの一部が
図9(b)に太い実線で示すようにエアチューブ33a、第1の分岐チューブ34a及びエアチューブ33dを通ってエアシリンダ19のヘッド側ポート19bに供給される。
その結果、エアシリンダ19のピストンロッド19aが前進する(
図12のステップS1)。このとき、ロッド側ポート19cから排出された圧縮エアは、細い実線で示すようにエアチューブ33eを介して第2のエアオペレート弁27に供給された後、大気中に放出される。
【0086】
図9(b)において、第1のエアオペレート弁26を初期状態から
図10(a)に示した第1の状態に切り替えると、第1のエアオペレート弁26においてエアチューブ33aとエアチューブ33bが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hに供給された圧縮エアは、太い破線で示すようにエアチューブ33a及びエアチューブ33bを通り、オリフィス30aで流量制御された後、第1の急速排気弁32aを通って第1のエアチャンバ28の内部へ流入する。
【0087】
第1のエアチャンバ28の内圧が徐々に上昇し、第1の圧力制御弁31aに対して予め設定された圧力(パイロット圧)を示す値に達すると、この圧縮エアは第1のエアチャンバ28から流出し、第2のエアオペレート弁27の第2のパイロットポート27aに供給される。そして、この圧縮エアが第2のパイロット圧として作用することで、第2のエアオペレート弁27は
図10(a)に示した第3の状態から
図10(b)に示した第4の状態に切り替わる(
図12のステップS2)。
なお、エアチューブ33h、33aを経由して空気圧供給源からエアチューブ33bに圧縮エアが供給されなくなると、第1のエアチャンバ28の内部の圧縮エアが第1の急速排気弁32aによって瞬時に大気中へ放出されることにより、第1のエアチャンバ28の内部は無圧になる。
【0088】
空気圧回路24aにおいて、第1の圧力制御弁31aのつまみを操作してパイロット圧を高い値に設定すると、第3の状態から第4の状態に切り替わるという第2のエアオペレート弁27の動作が遅くなるため、ピストンロッド19aが後退するタイミングが遅くなり、パイロット圧を低い値に設定すると、第2のエアオペレート弁27の当該動作が速くなるため、ピストンロッド19aが後退するタイミングが速くなる。
すなわち、空気圧回路24aでは、第1の圧力制御弁31aを操作することによってピストンロッド19aが後退するタイミングを調整可能となっている。なお、ピストンロッド19aの当該タイミングは、オリフィス30aの径や第1のエアチャンバ28の容積を変更することによっても調整可能である。
【0089】
図10(b)に示すように第2のエアオペレート弁27が第4の状態になると、第2のエアオペレート弁27において第1の分岐チューブ34aとエアチューブ33eが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hに供給された圧縮エアは、太い実線で示すように第1の分岐チューブ34aとエアチューブ33eを通ってエアシリンダ19のロッド側ポート19cに供給される。
その結果、エアシリンダ19のピストンロッド19aが後退する(
図12のステップS3)。そして、ヘッド側ポート19bから排出された圧縮エアは、細い実線で示すようにエアチューブ33dを介して第2のエアオペレート弁27に供給された後、大気中に放出される。また、空気圧供給源からエアチューブ33eに供給された圧縮エアの残りは、太い破線で示すように第2の分岐チューブ34bを経由して第1のエアオペレート弁26の第1のパイロットポート26aに供給される。
【0090】
図10(b)において、第1のエアオペレート弁26の第1のパイロットポート26aに供給された圧縮エアは第1のエアオペレート弁26に第1のパイロット圧として作用する。その結果、第1のエアオペレート弁26は
図10(b)に示した第1の状態から
図11(a)に示した第2の状態に切り替わる(
図12のステップS4)。
図11(a)に示すように第1のエアオペレート弁26が第2の状態になると、第1のエアオペレート弁26においてエアチューブ33aとエアチューブ33cが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hに供給された圧縮エアは、太い破線で示すようにエアチューブ33a、33cを通り、オリフィス30bで流量制御された後、第2の急速排気弁32bを通って第2のエアチャンバ29の内部へ流入する。このとき、エアチューブ33b内の圧縮エアは第1のエアオペレート弁26を経由して大気中に放出される。
第2のエアチャンバ29の内圧が徐々に上昇し、第2の圧力制御弁31bに対して予め設定された圧力(パイロット圧)を示す値に達すると、圧縮エアが第2のエアチャンバ29から流出し、第2のエアオペレート弁27の第3のパイロットポート27bに供給される。そして、この圧縮エアが第3のパイロット圧として作用することで、第2のエアオペレート弁27は
図11(a)に示した第4の状態から
図11(b)に示した第3の状態に切り替わる(
図12のステップS5)。
【0091】
エアチューブ33h、33aを経由して空気圧供給源からエアチューブ33cに圧縮エアが供給されなくなると、第2のエアチャンバ29の内部の圧縮エアが第2の急速排気弁32bによって瞬時に大気中へ放出されることにより、第2のエアチャンバ29の内部は無圧になる。
なお、第2の圧力制御弁31bのつまみを操作してパイロット圧を高い値に設定すると、第4の状態から第3の状態に切り替わるという第2のエアオペレート弁27の動作が遅くなるため、ピストンロッド19aが前進するタイミングが遅くなり、パイロット圧を低い値に設定すると、第2のエアオペレート弁27の当該動作が速くなるため、ピストンロッド19aが前進するタイミングが速くなる。
すなわち、空気圧回路24aでは、第2の圧力制御弁31bを操作することによってピストンロッド19aが前進するタイミングを調整可能となっている。なお、ピストンロッド19aの当該タイミングは、オリフィス30bの径や第2のエアチャンバ29の容積を変更することによっても調整可能である。
【0092】
図11(b)に示すように第2のエアオペレート弁27が第3の状態になると、第2のエアオペレート弁27において第1の分岐チューブ34aとエアチューブ33dが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ33hに供給された圧縮エアは、太い実線で示すように第1の分岐チューブ34a及びエアチューブ33dを通ってエアシリンダ19のヘッド側ポート19bに供給される。
その結果、エアシリンダ19のピストンロッド19aが再び前進する(
図12のステップS1)。このとき、ロッド側ポート19cから排出された圧縮エアは、細い実線で示すようにエアチューブ33eを介して第2のエアオペレート弁27に供給された後、大気中に放出される。なお、第2の分岐チューブ34b内の圧縮エアはエアチューブ33eと第2のエアオペレート弁27を経由して大気中に放出される。
また、第2のエアオペレート弁27が第3の状態になると、空気圧供給源からエアチューブ33aに供給された圧縮エアがエアチューブ33e及び第2の分岐チューブ34bに供給されなくなるため、第1のパイロットポート26aには第1のパイロット圧が作用しなくなる。その結果、バネ26bの付勢力によって第1のエアオペレート弁26は第2の状態から第1の状態に切り替わり、空気圧回路24aは
図10(a)に示した状態に戻る。その結果、エアチューブ33c内の圧縮エアは第1のエアオペレート弁26を経由して大気中に放出されるとともに、第2のエアチャンバ29の内部の圧縮エアが第2の急速排気弁32bによって瞬時に大気中へ放出されることにより、第2のエアチャンバ29の内部は無圧になる。
【0093】
このように、空気圧回路24aは圧縮エアが供給されると、エアシリンダ19に対し、ピストンロッド19aの前進と後退を所定の周期で繰り返させるように作用する。
なお、
図4乃至
図6を用いて既に説明したように、ピストンロッド19aの先端には懸垂ロッド20を介してサクションカップ15が連結されている。そのため、ピストンロッド19aが最も前進した場合及び最も後退した場合にそれぞれ
図8(a)及び
図8(b)に示した状態となるように予めピストンロッド19aのストロークを調整した後、クーラントタンク4に貯留されているクーラント11bの液面11cにフロートサクション5を浮かべ、その状態でエアシリンダ19を作動させると、ピストンロッド19aの前進と後退に伴ってサクションカップ15が上下方向へ移動し、クーラント11bの液面11cに浮かんでいるスカム11aがサクションカップ15の内部へ一定量流入するという現象が一定の周期で繰り返される。
このように、空気圧回路24aを備えた浮上物回収装置1では、空気圧回路24aに圧縮エアを供給するだけで、クーラントタンク4から回収された一定量のスカム11aが所定の周期でスカム分離槽2に繰り返し供給されることから、スカム11aをクーラント11bから効率よく回収できるという効果が確実に発揮される。
【0094】
なお、上述の空気圧回路24aの説明では、エアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cにエアチューブ33d、33eがそれぞれ接続されているが、エアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cにエアチューブ33e、33dがそれぞれ接続された構造とすることもできる。この場合、エアシリンダ19のピストンロッド19aの前進と後退の順番は上述の説明と逆になるものの、エアシリンダ19のピストンロッド19aが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用及び第1の圧力制御弁31a及び第2の圧力制御弁31bにおけるパイロット圧の設定値を変更することにより、ピストンロッド19aが後退するタイミングや前進するタイミングが個別に変化するという作用は同様に発揮される。
【実施例2】
【0095】
以下に説明する浮上物回収装置1は、実施例1において空気圧回路24aの代わりに、
図13乃至
図15を用いて説明する空気圧回路24bを備えたことを特徴とする。
図13(a)はニューマチックガバナー(シングル)(以下、空気圧回路24bという。)の構成を示したブロック図であり、
図13(b)は
図13(a)の空気圧回路24bに圧縮空気を供給した状態を示した図である。また、
図14(a)は
図13(b)においてエアオペレート弁35のパイロットポート35aにパイロット圧が作用する様子を示した図であり、
図14(b)は
図14(a)においてエアオペレート弁35が切り替わった状態を示した図である。さらに、
図15は空気圧回路24bの動作を説明するためのフローチャートである。
なお、
図13及び
図14では、空気圧供給源からエアシリンダ19に供給される圧縮エアが流れているエアチューブ及びエアシリンダ19から排出される圧縮エアが流れているエアチューブをそれぞれ太い実線及び細い実線で示し、エアチャンバ40及びエアオペレート弁35に空気圧供給源から供給される圧縮エアが流れているエアチューブを太い破線で示し、エアチャンバ40及びエアオペレート弁35から排出される圧縮エアが流れているエアチューブを細い破線で示している。
【0096】
図13(a)に示すように、エアシリンダ19の動作を制御する空気圧回路24bは、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ36eを介して圧縮エアが供給される手動弁25と、エアオペレート弁35と、エアチャンバ40と、オリフィス30a、30cと、圧力制御弁38と、第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dと、急速排気弁39と、エアチューブ36a乃至36dと、分岐チューブ37を備えている。
【0097】
エアオペレート弁35は5つのポートの他、パイロットポート35a及びバネ35bを有しており、
図13(a)及び
図13(b)並びに
図14(a)に示す第1の状態において
図14(a)に示すようにパイロットポート35aにパイロット圧が作用すると、
図14(b)に示す第2の状態に切り替わるとともに、第2の状態においてパイロットポート35aにパイロット圧が作用しなくなると、バネ35bの付勢力によって第2の状態から第1の状態に切り替わる構造となっている。
【0098】
手動弁25とエアオペレート弁35はエアチューブ36aを介して接続されており、エアチューブ36bから分岐する分岐チューブ37にエアチャンバ40が接続されている。そして、分岐チューブ37にはエアオペレート弁35に近い側から順にオリフィス30a及び急速排気弁39が介装されており、急速排気弁39の排気口にはオリフィス30cが設置されている。
エアシリンダ19はヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cがエアチューブ36b、36cによってそれぞれエアオペレート弁35に接続されている。また、エアチューブ36b、36cにはエアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cに供給される圧縮エアの速度を調節する目的で第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dがそれぞれ介装されている。
すなわち、空気圧回路24bは、第1の速度制御弁31c及び第2の速度制御弁31dをそれぞれ操作することによりピストンロッド19aの前進速度及び後退速度を個別に調整できる構造となっている。なお、エアチャンバ40はエアチューブ36dによってエアオペレート弁35のパイロットポート35aに接続されており、エアチューブ36dには圧力制御弁38が介装されている。
【0099】
図13(a)において手動弁25を開いてエアチューブ36eとエアチューブ36aを連通させると、エアオペレート弁35においてエアチューブ36aとエアチューブ36bが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ36eに供給された圧縮エアの一部は、
図13(b)に太い実線で示すようにエアチューブ36aとエアチューブ36bを通ってエアシリンダ19のヘッド側ポート19bに供給される。
その結果、エアシリンダ19のピストンロッド19aが前進する(
図15のステップS1)。このとき、ロッド側ポート19cから排出された圧縮エアはエアチューブ36cを介してエアオペレート弁35に供給された後、大気中に放出される。
一方、エアチューブ36aからエアチューブ36bに供給された圧縮エアの残りは、太い破線で示すように分岐チューブ37を通ってオリフィス30aで流量制御された後、急速排気弁39を通ってエアチャンバ40の内部へ流入する。
【0100】
エアチャンバ40の内圧が徐々に上昇し、圧力制御弁38に対して予め設定された圧力(パイロット圧)を示す値に達すると、圧縮エアがエアチャンバ40から流出し、
図14(a)に太い破線で示すようにエアチューブ36dを通ってエアオペレート弁35のパイロットポート35aに供給される。そして、この圧縮エアがパイロット圧として作用することで、エアオペレート弁35は
図14(a)に示した第1の状態から
図14(b)に示した第2の状態に切り替わる(
図15のステップS2)。
なお、エアチューブ36e及びエアチューブ36aを経由して空気圧供給源からエアチューブ36bに圧縮エアが供給されなくなると、エアチャンバ40の内部の圧縮エアが急速排気弁39によって瞬時に大気中へ放出されることにより、エアチャンバ40の内部は無圧になる。また、エアオペレート弁35が第2の状態になると、エアチューブ36b及び分岐チューブ37の内部の圧縮エアはエアオペレート弁35を経由して大気中に放出される。
【0101】
圧力制御弁38のつまみを操作してパイロット圧を高い値に設定すると、第1の状態から第2の状態に切り替わるというエアオペレート弁35の動作が遅くなるため、ピストンロッド19aが後退するタイミングが遅くなり、パイロット圧を低い値に設定すると、エアオペレート弁35の当該動作が速くなるため、ピストンロッド19aが後退するタイミングが速くなる。
すなわち、空気圧回路24bでは、圧力制御弁38を操作することによってピストンロッド19aが後退するタイミングを調整可能となっている。なお、ピストンロッド19aの当該タイミングは、オリフィス30a、30cの径やエアチャンバ40の容積を変更することによっても調整可能である。
【0102】
エアオペレート弁35が第2の状態になると、エアオペレート弁35においてエアチューブ36aとエアチューブ36cが連通するため、空気圧供給源(図示せず)からエアチューブ36eを経由してエアチューブ36aに供給された圧縮エアは、
図14(b)に示すようにエアチューブ36cを通ってエアシリンダ19のロッド側ポート19cに供給される。
その結果、エアシリンダ19のピストンロッド19aが後退する(
図15のステップS3)。そして、ヘッド側ポート19bから排出された圧縮エアはエアチューブ36bを介してエアオペレート弁35に供給された後、大気中に放出される。
また、エアオペレート弁35が第2の状態になると、エアチューブ36e及びエアチューブ36aを経由して第2のエアチューブ36bに空気圧供給源から圧縮エアが供給されなくなる。これにより、既に述べたように、エアチャンバ40の内部に残った圧縮エアが急速排気弁39によって瞬時に大気中へ放出され、エアチャンバ40の内部が無圧になるため、パイロットポート35aにパイロット圧が作用しなくなる。その結果、バネ35bの付勢力によってエアオペレート弁35は第2の状態から第1の状態に切り替わり(
図15のステップS4)、空気圧回路24bは
図13(b)に示した状態に戻る。
【0103】
エアオペレート弁35とエアチャンバ40を備えた空気圧回路24bは、第1のエアオペレート弁26及び第2のエアオペレート弁27並びに第1のエアチャンバ28及び第2のエアチャンバ29を備えた空気圧回路24aよりも構造が簡単であるが、圧縮エアの供給によって、エアシリンダ19に対し、ピストンロッド19aの前進と後退を所定の周期で繰り返させるという作用を同様に有している。そのため、空気圧回路24bを備えた浮上物回収装置1においても、クーラントタンク4内から回収された一定量のスカム11aが所定の周期でスカム分離槽2に繰り返し供給されることから、スカム11aをクーラント11bから効率よく回収できるという効果も同様に発揮される。したがって、空気圧回路24aの代わりに空気圧回路24bを用いることにすれば、浮上物回収装置1の製造コストを削減することができる。
【0104】
なお、上述の空気圧回路24bの説明では、エアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cにエアチューブ36b、36cがそれぞれ接続されているが、エアシリンダ19のヘッド側ポート19b及びロッド側ポート19cにエアチューブ36c、36bがそれぞれ接続された構造とすることもできる。この場合、エアシリンダ19のピストンロッド19aの前進と後退の順番は上述の説明と逆になるものの、エアシリンダ19のピストンロッド19aが所定の周期で前進と後退を繰り返すという作用は同様に発揮される。ただし、圧力制御弁38におけるパイロット圧の設定値を変更すると、ピストンロッド19aが後退するタイミングではなく、前進するタイミングが変化する。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の浮上物回収装置は、工作機械において一次加工(鍛造、圧造機などによる成型加工)及び二次加工(研削仕上げ加工)における潤滑、冷却に用いられるクーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を回収する際に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1…浮上物回収装置 2…スカム分離槽 2a…スカム排出口 2b…スカム供給口 2c…クーラント排出口 2d…側板 2e…分離室 2f…清澄液貯留室 2g…底板 2h…レベル 2i…開口部 2j…スカム排出シュート 2k…下縁 3…クーラント排出管 3a、3b…L字管 3c…液面レベル調整ソケット 3d…下端 3e…上端 3f…直管 4…クーラントタンク 5…フロートサクション 5a…吸込口 6…スカム吸引管 7…フィルタ 8…エア駆動式ダイヤフラムポンプ 9…スカムタンク 10…取付板 11a…スカム 11b…クーラント 11c…液面 12…仕切板 12a…通液口 12b…ネジ挿通孔 13…スカム供給管 13a…接続管 13b…直管 13c…L字管 13d…T字管 14a、14b…平板部 14c…接続部 15…サクションカップ 15a…底面 15b…側面 15c…貫通孔 15d…ガイド孔 15e…上端面 16…連結板 16a…アーム部 16b…下面 16c…上面 17a、17b…ボルト 18…フロート 19…エアシリンダ 19a…ピストンロッド 19b…ヘッド側ポート 19c…ロッド側ポート 20…懸垂ロッド 20a…上端 20b…下端 21…回り止めナット 22a…カラー 22b…ワッシャ 22c…フローティングジョイント 23…ガイドピン 23a…上端 23b…下端 24a、24b…空気圧回路 25…手動弁 26…第1のエアオペレート弁 26a…第1のパイロットポート 26b…バネ 27…第2のエアオペレート弁 27a…第2のパイロットポート 27b…第3のパイロットポート 28…第1のエアチャンバ 29…第2のエアチャンバ 30a~30c…オリフィス 31a…第1の圧力制御弁 31b…第2の圧力制御弁 31c…第1の速度制御弁 31d…第2の速度制御弁 32a…第1の急速排気弁 32b…第2の急速排気弁 33a~33h…エアチューブ 34a…第1の分岐チューブ 34b…第2の分岐チューブ 35…エアオペレート弁 35a…パイロットポート 35b…バネ 36a~36e…エアチューブ 37…分岐チューブ 38…圧力制御弁 39…急速排気弁 40…エアチャンバ 41…サクションカップ 41a…スリット 41b…最低部
【要約】
【課題】クーラントの液面に浮上したスカムや油などの浮上物を効率よく回収することが可能な浮上物回収装置を提供する。
【解決手段】本発明の浮上物回収装置1は、上方が開口し、内部が仕切板12によって2つの空間に分けられたスカム分離槽2と、スカム11aとクーラント11bが貯留されたクーラントタンク4と、クーラントタンク4の内部に設置されたフロートサクション5を備えており、スカム分離槽2には、下方にスカムタンク9が設置されるスカム排出口2aと、スカム供給管13が接続されたスカム供給口2bと、クーラント排出管3が接続されたクーラント排出口2cが設けられている。そして、エアシリンダの作用によって上下動するサクションカップを有し、クーラント11bの液面に浮かべられたフロートサクション5の吸込口には、フィルタ7とエア駆動式ダイヤフラムポンプ8が介装されたスカム吸引管6の一端が接続されている。
【選択図】
図1