(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】スコアリング装置、スコアリング方法、およびスコアリングプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023180408
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321009443
【氏名又は名称】株式会社エコノミクスデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】坂井 豊貴
(72)【発明者】
【氏名】今井 誠
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008096(JP,A)
【文献】特開2004-118858(JP,A)
【文献】特開2013-210964(JP,A)
【文献】特開2015-036919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する評価情報格納部と、
前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する受信部と、
前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて
の前記複数の評価項目の評価を
、前記複数の評価対象のそれぞれについて1つの第1スコアに変換する第1変換部と、
前記複数の評価対象のそれぞれの
前記第1スコアの集合における前記第1スコアの代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを
各第2スコアに変換する第2変換部と、
前記第2スコアのうち指定されたものを送信する送信部と、を備えることを特徴とするスコアリング装置。
【請求項2】
前記評価情報格納部は、前記複数の評価項目についての評価を数値として格納しており、
前記第1変換部は、前記複数の評価項目の評価を前記重みに基づいて変換することで前記第1スコアを算出することを特徴とする請求項1に記載のスコアリング装置。
【請求項3】
複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する処理と、
前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する処理と、
前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて
の前記複数の評価項目の評価を
、前記複数の評価対象のそれぞれについて1つの第1スコアに変換する処理と、
前記複数の評価対象のそれぞれの
前記第1スコアの集合における前記第1スコアの代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを各第2スコアに変換する処理と、
前記第2スコアのうち指定されたものを送信する処理と、をコンピュータが実行することを特徴とするスコアリング方法。
【請求項4】
コンピュータに、
複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する処理と、
前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する処理と、
前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて
の前記複数の評価項目の評価を
、前記複数の評価対象のそれぞれについて1つの第1スコアに変換する処理と、
前記複数の評価対象のそれぞれの
前記第1スコアの集合における前記第1スコアの代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを
各第2スコアに変換する処理と、
前記第2スコアのうち指定されたものを送信する処理と、を実行させることを特徴とするスコアリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スコアリング装置、スコアリング方法、およびスコアリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
販売されている商品やサービスがどのような品質であるかは、ユーザは自分が実際に利用するまで分からない。この情報ギャップを解消するために、ユーザは、商品やサービスをすでに利用した利用者や調査員が各評価項目に与えた評価情報、及びそれら評価情報を定量化した評価スコア(点数)を参考にする。例えば、実際の利用者が飲食店を評価する飲食店用口コミサイト、実際の読者が本を評価する出版物用口コミサイト、などのサービスが展開されている。例えば、飲食店用口コミサイトに掲載されているスコアを見ることによって、「3.5点以上は美味しい」や、「3点未満だと美味しくない」、などのように推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品やサービスについて、どの項目をどれほど重視するかは、ユーザによって異なる。例えば飲食店を例に挙げると、人によっては味を、人によっては接客といった評価項目を重視する。評価項目ごとへの重視の度合いは、ユーザによって異なる。しかしながら、一般的な口コミサイトでは、1種類のスコアが掲載されているだけであり、そもそも評価項目のようなものは存在していないし、存在していたとしても、自分の好みに応じて評価項目を重み付けすることができない。
【0005】
そこで、ユーザによる各評価項目への重視の度合い(重み)に応じてスコアを算出することができることが望まれる。
【0006】
しかしながら、特定の評価項目のみを重視するときと、すべての評価項目をまんべんなく重視するときとで、「出やすいスコア」が異なると不便である。例えば、「味だけを重視」だと全店が3点台になり、「味と接客を等しく重視」だと全店が2点台になると、ユーザは数字の意味を理解しにくくなる。例えば、ある店について、ユーザが最初に「味だけを重視」すると3点、その後に「味と接客を等しく重視」すると2.9点になると仮定する。表面的には0.1点下がっているが、「味と接客を等しく重視」だと全店が2点台になってしまっているため、この店の相対的な位置は大きく上がっている。しかしながら、ユーザは0.1点下がったことで、この店を「接客が悪い店」と理解してしまう。これではスコアリングの目的である、情報ギャップの解消がうまく果たせない。
【0007】
したがって、両ケースにおいて、「出やすい点数」(点数の分布)は似ているほうが、ユーザは意味を理解しやすい。例えば、「味だけを重視」しようとも、「味と接客を等しく重視」しようとも、真ん中レベルの店は約3点となり、また、3点の周囲で点数の散らばり方が似ていることが望まれる。この場合には、どのような重視の仕方であろうとも、「3点の店は真ん中レベル」、「3.5点の店は高レベル」、「4点台の店は非常に稀で最高レベル」のように、点数に対して共通の解釈ができるからである。つまり、どのような重視の仕方であろうとも出現する点数の分布が似ていると、解釈において便利である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、各評価項目への重視の度合いにかかわらず、同じようなスコアの分布を算出することができるスコアリング装置、スコアリング方法、およびスコアリングプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るスコアリング装置は、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する評価情報格納部と、前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する受信部と、前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて、前記複数の評価項目の評価を1つの第1スコアに変換する第1変換部と、前記複数の評価対象のそれぞれの第1スコアの集合について、代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを第2スコアに変換する第2変換部と、前記第2スコアのうち指定されたものを送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記スコアリング装置において、前記評価情報格納部は、前記複数の評価項目についての評価を数値として格納しており、前記第1変換部は、前記複数の評価項目の評価を前記重みに基づいて変換することで前記第1スコアを算出してもよい。
【0011】
本発明に係るスコアリング方法は、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する処理と、前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する処理と、前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて、前記複数の評価項目の評価を1つの第1スコアに変換する処理と、前記複数の評価対象のそれぞれの第1スコアの集合について、代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを第2スコアに変換する処理と、前記第2スコアのうち指定されたものを送信する処理と、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るスコアリングプログラムは、コンピュータに、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する処理と、前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する処理と、前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて、前記複数の評価項目の評価を1つの第1スコアに変換する処理と、前記複数の評価対象のそれぞれの第1スコアの集合について、代表値が狙いの特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを第2スコアに変換する処理と、前記第2スコアのうち指定されたものを送信する処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各評価項目への重視の度合いにかかわらず、同じようなスコアの分布を算出することができるスコアリング装置、スコアリング方法、およびスコアリングプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るスコアリングシステムのブロック図である。
【
図2】(a)は評価者端末、スコアリング装置、およびユーザ端末のブロック図であり、(b)はスコアリング装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】(a)は評価情報格納部に格納されている各評価情報を例示する図であり、(b)は評価情報格納部に格納されている評価スコアを例示する図である。
【
図6】スコアリングシステムの動作の一例を表すシーケンス図である。
【
図7】スコアリングシステムの動作の一例を表すシーケンス図である。
【
図8】スコアリング装置の動作の詳細を表すフローチャートを例示する図である。
【
図9】スコアリング装置の動作の詳細を表すフローチャートを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係るスコアリングシステム100のブロック図である。
図1で例示するように、スコアリングシステム100は、1以上の評価者端末10がインターネットなどの電気通信回線40を介してスコアリング装置20と接続され、1以上のユーザ端末30が電気通信回線40を介してスコアリング装置20と接続された構成を有する。
【0017】
評価者端末10は、各評価者が使用する端末である。評価者端末10は、電気通信回線40を介して、スコアリング装置20との間で情報を送受信する。ユーザ端末30は、ユーザが使用する端末である。ユーザ端末30は、電気通信回線40を介して、スコアリング装置20との間で情報を送受信する。評価者端末10およびユーザ端末30は、デスクトップPC、ノートPCなどの端末であってもよく、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。スコアリング装置20は、サーバなどである。電気通信回線40は、有線と無線とが混在した構成を有していてもよい。
【0018】
評価対象は、商品、サービス、人材、または団体である。評価者は、当該商品、当該サービス、当該人材、または当該団体について評価を行なう者である。本実施形態において評価の対象とする商品、サービス、人材、団体は、特に限定されるものではない。本実施形態においては、一例として、特定のジャンルの飲食店(一例として喫茶店)による飲食提供サービスについて説明する。したがって、本実施形態に係る評価者は、一例として、喫茶店の飲食提供サービスを実際に受け、そのサービス内容を評価する者である。
【0019】
本実施形態に係るユーザは、一例として、特定の喫茶店についての評価を入手する者である。当該評価については、スコアリング装置20によって算出される。
【0020】
図2(a)は、評価者端末10、スコアリング装置20、およびユーザ端末30のブロック図である。
図2(a)で例示するように、評価者端末10は、入力装置11、表示装置12などを備えている。ユーザ端末30は、入力装置31、表示装置32などを備えている。入力装置11,31は、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。表示装置32は、液晶ディスプレイなどである。スコアリング装置20は、評価情報格納部21、スコア算出部22、受信部23、第1変換部24、第2変換部25、送信部26などを備える。
【0021】
図2(b)は、スコアリング装置20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
図2(b)で例示するように、スコアリング装置20は、CPU101、RAM102、記憶装置103、通信装置104、入力機器105などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103に記憶されているスコアリングプログラムをCPU101が実行することによって、スコアリング装置20の各部の機能が実現される。なお、スコアリング装置20の各部の機能は、それぞれ専用の回路等によって構成されていてもよい。通信装置104は、電気通信回線40に対するインタフェースである。入力機器105は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置である。
【0022】
評価者は、評価者端末10に、実際に利用した喫茶店についての評価を入力し、スコアリング装置20に送信する。評価項目は、複数である。例えば、評価項目として、「味」、「接客」、「雰囲気」などである。評価は、数値であってもよく、特定の単語または文章の選択肢(「良い」、「普通」、「悪い」)であってもよい。評価が数値である場合には、例えば1から5などで、小数点まで入力できてもよく、整数のみ入力できてもよい。評価者によって入力された各評価は、評価情報格納部21に格納される。
【0023】
図3(a)は、評価情報格納部21に格納されている各評価情報を例示する図である。
図3(a)で例示するように、評価IDに評価情報が関連付けられている。評価IDは、各評価情報を識別するための識別子である。評価情報には、店舗ID、各評価項目の評価などが含まれている。店舗IDは、各店舗を識別するための識別子である。
【0024】
スコア算出部22は、店舗ごとかつ評価項目ごとに、各評価の代表値を評価スコアとして算出し、評価情報格納部21に格納する。代表値の例は、平均値、中央値などである。
図3(b)は、評価情報格納部21に格納されている評価スコアを例示する図である。評価情報に含まれる評価が数値ではなく特定の選択肢(「良い」、「普通」、「悪い」)である場合には、スコア算出部22は、これらの選択肢を数値に変換したうえで、各評価の代表値を評価スコアとして算出する。例えば、「良い」=5、「普通」=3、「悪い」=1などとすることができる。
【0025】
各店舗を「i」で表し、これらの店舗の集合Iを{1,2,…,n}で表す。これらの店舗は、互いに評価比較の対象である。「i」は店舗IDに対応する。
【0026】
ユーザは、ユーザ端末30を用いて、各喫茶店のうち、評価を知りたいと考えている店舗を指定する。次に、ユーザは、ユーザ端末30を用いて、共通の各評価項目に対して、自身が重視する度合い(重み)を入力する。例えばユーザは、「味=5、接客=3、雰囲気=2」というように重みを入力する。この入力結果は、ベクトル形式で、w=(5,3,2)のように表すことができる。このユーザは、味について特に重視していることになる。
【0027】
受信部23は、ユーザ端末30から、指定された店舗と、重みwを受信する。第1変換部24は、評価情報格納部21に格納された情報を用いて、入力された重みwに応じて、集合内すべての店舗の第1スコアを算出する。すなわち、第1変換部24は、評価に必要な情報を第1スコアに変換する。例えば、第1変換部24は、重みwを用いて評価スコアという情報の加重算術平均、加重幾何平均などを算出することによって第1スコアを算出する。例えば、ある店舗について、(味,接客,雰囲気)=(3, 3.5, 4)であるものとする。この場合、当該店舗の第1スコアは、{(3×5)+(3.5×3)+(4×2)}/(5+3+2)=3.35となる。店舗iに、重みwのもとで算出された第1スコアを、xi=f(i,w)で表す。
【0028】
スコアリング装置20において、任意の長さのベクトルx=(x1,x2,…,xn)に対し、同じ長さのベクトルg(x)=(g1(x),g2(x),…,gn(x))に変換する規則(変換関数g)があらかじめ設定されている。この規則は、第1スコアのベクトルを入力とし、第2スコアのベクトルを出力とする。第2変換部25は、商品iの第2スコアgi(x)を算出する。すなわち、第2変換部25は、第1スコアを第2スコアに変換する。
【0029】
以下、第2スコアg
i(x)の算出の詳細について説明する。この算出手法は、いかなるベクトルxに対しても、n個の数(g
1(x),g
2(x),…,g
n(x))が一定の性質を共有するようになっている。例えば、任意のベクトルx=(x
1,x
2,…,x
n)に対し、n個の数(g
1(x),g
2(x),…,g
n(x))の中央値が必ず同じ値になる。そのような関数の例としては、下記式のようなロジスティック関数などを利用したものがあげられる。
【数1】
【0030】
この関数を用いると、いかなるベクトルx=(x1,x2,…,xn)に対しても、そのn個の数の中央値であるmed(x)=xjについて、gj(x)=mになる。この「m」は、スコアリング装置20に設定されている。「k」は、「m」を中心とする散らばり具合を制御するパラメータであり、あらかじめ運営者が定めている。「k」が小さいほど、「m」の周囲に数gi(x)が集まってくる。パラメータmおよびパラメータkについては、スコアリングシステム100の運営者によって、適宜変更される。なお、関数gは、パラメータmおよびパラメータkによって出力値が変化するため、厳密には、g(m,k)と記載される。
【0031】
例をあげると次のようになる。同じ評価項目の情報を用いるが、さまざまな評価項目をまんべんなく重み付けたのが「重み付けタイプ1」である。特定の評価項目を強めて重み付けたのが「重み付けタイプ2」である。
図4で「重み付けタイプ1」を例示し、
図5で「重み付けタイプ2」を例示する。
【0032】
図4で例示するように、重み付けタイプ1では、第1スコアの段階では数字のばらつきが大きい。2.5未満の値や、4を超す値も出ている。これが変換後の第2スコアでは、全ての数が2.5以上かつ4未満の値となり、また中央値(図内のE)が3.2となっている。この3.2はあらかじめ設定された値である。
【0033】
図5で例示するように、重み付けタイプ2では、重み付けタイプ1のときと比べて、第1スコアが全体的に大きな値となっている。これは重み付けの仕方によって、出てくる第1スコアが大きく変わる例となっている。そこで変換して第2スコアにすると、全ての数が2.5以上かつ4未満の値となり、また中央値(図内のE)が3.2となっている。
【0034】
つまり、第1スコアの時点では、重み付けがタイプ1かタイプ2かで、数の分布は大きく異なる。しかしながら、第2スコアの時点になると、重み付けがタイプ1であろうと、タイプ2であろうとも、数の分布が似ている。この例では、第1スコアがどのような数たちであろうとも、変換後の第2スコアでは中央値は3.2となり、その周囲に数が散らばるよう、ロジスティック変換が施されている。
【0035】
送信部26は、第2変換部25が算出した第2スコアgi(x)のうち、ユーザが指定した店舗のスコア(最終スコア)をユーザ端末30に送信する。最終スコアは、ユーザ端末30の表示装置32で確認することができる。
【0036】
次に、各部間での情報のやりとりについて説明する。
図6および
図7は、スコアリングシステム100の動作の一例を表すシーケンス図である。
図6で例示するように、評価者端末10から評価情報が評価情報格納部21に送信される。評価情報格納部21は、受信した評価情報を格納する。スコア算出部22は、評価情報格納部21から各評価情報を取得し、評価情報格納部21に格納する。
【0037】
図7で例示するように、受信部23は、ユーザ端末30から、ユーザが指定した店舗と、重みwとを受信する。第1変換部24は、重みwに応じて、評価情報格納部21に格納された評価スコアに基づき、各店舗の第1スコアを算出する。第2変換部25は、第1変換部24が算出した第1スコアを第2スコアに変換する。送信部26は、第2変換部25が算出した第2スコアg
i(x)のうち、指定された店舗のスコア(最終スコア)をユーザ端末30に送信する。
【0038】
図8および
図9は、スコアリング装置20の動作の詳細を表すフローチャートを例示する図である。
図8は、スコアリング装置20が評価者端末10との間で行なう処理についてのフローチャートである。
図9は、スコアリング装置20がユーザ端末30との間行なう処理についてのフローチャートである。
【0039】
図8で例示するように、評価情報格納部21は、評価者端末10から評価情報を受け取ったか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で「No」と判定された場合、所定時間後にステップS1が再度実行される。
【0040】
ステップS1で「Yes」と判定された場合、評価情報格納部21は、ステップS1で受け取った評価情報を
図3(a)のテーブルに格納する(ステップS2)。
【0041】
次に、スコア算出部22は、店舗ごとかつ評価項目ごとに、各評価の代表値(平均値、中央値など)を評価スコアとして算出し、
図3(b)のテーブルに格納する(ステップS3)。なお、全店舗について評価スコアを算出する必要はなく、ステップS1で受け取った評価情報に係る店舗についてのみ評価スコアを算出すればよい。その後、所定時間後に、ステップS1から再度実行される。
【0042】
図9で例示するように、受信部23は、ユーザ端末30から、重みwと、指定された店舗を受信したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で「No」と判定された場合、所定時間後にステップS11が再度実行される。
【0043】
ステップS11で「Yes」と判定された場合、第1変換部24は、重みwに応じて、評価情報格納部21に格納された評価スコアを第1スコアに変換する(ステップS12)。
【0044】
次に、第2変換部25は、ステップS12で得られた各店舗の第1スコアを第2スコアに変換する(ステップS13)。
【0045】
次に、送信部26は、ステップS13で算出された第2スコアのうち、指定された店舗のスコア(最終スコア)をユーザ端末30に送信する(ステップS14)。その後、所定時間後に、ステップS11から再度実行される。
【0046】
本実施形態によれば、評価情報格納部21が、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納している。受信部23が、複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する。第1変換部24が、重みに応じて、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目の評価を1つの第1スコアに変換する。第2変換部25が、複数の評価対象のそれぞれの第1スコアの集合について、スコアの分布が一定の共通性質を満たすように、第1スコアのそれぞれを第2スコアに変換する。送信部26が、複数の評価対象のそれぞれの第2スコアのうち、指定された特定の評価対象のスコアを送信する。この構成により、各評価項目への重視の度合いにかかわらず、数値が偏ったものとならずに済み、一定の共通性があるスコアの分布を算出することができる。例えば、どの評価項目を重視するかによって、すべての評価対象物に高い数値ばかりが出るようになったり、すべての評価対象物に低い数値ばかりが出るようになったりしない。したがって、ユーザは、評価項目に対する重みを変更しても、得られるスコアに対して共通の解釈ができるようになる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 評価者端末
20 スコアリング装置
21 評価情報格納部
22 スコア算出部
23 受信部
24 第1変換部
25 第2変換部
26 送信部
30 ユーザ端末
40 電気通信回線
100 スコアリングシステム
【要約】
【課題】 各評価項目への重視の度合いにかかわらず、同じようなスコアの分布を算出することができるスコアリング装置、スコアリング方法、およびスコアリングプログラムを提供する。
【解決手段】 スコアリング装置は、複数の評価対象のそれぞれについて、複数の評価項目について評価を格納する評価情報格納部と、前記複数の評価対象のうち、特定の評価対象を受信し、前記複数の評価項目のそれぞれについての重みを受信する受信部と、前記重みに応じて、前記複数の評価対象のそれぞれについて、代表値が狙いの特定値になるように、前記複数の評価項目の評価を1つの第1スコアに変換する第1変換部と、前記複数の評価対象のそれぞれの第1スコアの集合について、代表値が特定値になるように、前記第1スコアのそれぞれを第2スコアに変換する第2変換部と、前記第2スコアのうち指定されたものを送信する送信部と、を備える。
【選択図】
図7