(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】袋開口部の構造
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20240314BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/25 A
(21)【出願番号】P 2019147242
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519291858
【氏名又は名称】市川 利光
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 利光
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3180380(JP,U)
【文献】特開2017-154817(JP,A)
【文献】特開2001-240074(JP,A)
【文献】特開2018-083649(JP,A)
【文献】特開2005-126071(JP,A)
【文献】特開2007-119043(JP,A)
【文献】特開2005-289407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシート(1)と第2のシート(2)から構成された袋(100)の開口部(10)において、
第1のシート(1)及び第2のシート(2)に切取り線(1A、2A)が形成され、
第1のシート(1)及び第2のシート(2)に開口時摘み部(1B、2B)を構成する部分が設けられており、
切取り線(1A、2A)の一部が開口時摘み部(1B、2B)の外縁部と相補的であり、
切取り線(1A、2A)は、袋(100)の左右方向に延在する直線と、角部が湾曲した台形形状を組み合わせた凹状であり、前記台形形状は上縁部(100A)から離隔した側に向かうに連れて幅寸法が小さい形状であり、
第1のシート(1)及び第2のシート(2)に形成された切取り線(1A、2A)及び開口時摘み部(1B、2B)は袋(100)の左右方向に所定寸法だけ位相をずらして形成されており、
シート(1)の切取り線(1A)の上縁部(100A)から離隔した側に突出した部分(1T)の袋(100)の左右方向両サイドに開口時摘み部(1B1、1B2)が形成され、当該開口時摘み部(1B1、1B2)は前記シート(1)の側縁部に
つながっており、
シート(2)の切取り線(2A)の上縁部(100A)から離隔した側に突出した部分(2T)の袋(100)の左右方向両サイドに開口時摘み部(2B1、2B2)が形成されており、当該開口時摘み部(2B1、2B2)は前記シート(2)の側縁部に
つながっており、
合計4箇所に開口時摘み部(1B1、1B2、2B1、2B2)が形成されていることを特徴とする袋開口部の構造。
【請求項2】
第1のシート(1)と第2のシート(2)から構成された袋(100)の開口部(10)において、
第1のシート(1)又は第2のシート(2)の何れか一方に開口時摘み部(1B)を構成する部分が設けられており、
切取り線(1A)の一部が開口時摘み部(1B)の外縁部と相補的であり、
切取り線(1A)はシート(1)、(2)のうち何れか一方のシートのみに形成されており、
何れか一方のシート(1)にのみ形成された切取り線(1A)は、上縁部(100A)から離隔した側の領域で袋(100)の左右方向に延在している切取り線(1A)の領域において、袋(100)の左右方向中央部では上方に突出し上縁部(100A)から離隔した側に向かうほど幅寸法が大きくなる台形形状を構成する部分と、当該袋(100)の左右方向両サイドで上縁部(100A)が形成する直線と平行に延在する部分とを有しており、
前記切り取り線(1A)は、袋(100)の左方の袋側縁部に沿っ
て形成された部分と、袋(100)の上方端部(100A)に沿っ
て形成された部分と、袋(100)の右方の袋側縁部に沿っ
て形成された部分を有しており、
切取り線(1A)で囲まれた部分が切り取られると、当該切取り線(1A)が形成されたシート(1)には前記切取り線(1A)と相補的な形状の開口が形成されると共に、
台形形状の開口時摘み部(1B)が形成されることを特徴とする袋開口部の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラスチックの様な合成樹脂製の2枚のシートの側縁部及び端部を溶着して構成された袋の開口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ファスナー(本明細書では袋用線ファスナー、スライドファスナー等の総称として「ファスナー」と記載している)付きの合成樹脂製袋は、可撓性に富み、耐久性があり、しかも密閉が容易で且つ簡単に開放することが出来ることから、包装用袋或いは収納用袋等として広く用いられている。
ここで、食料品等の各種商品をファスナー付きの合成樹脂製袋で包装して出荷する際には、ファスナーを閉鎖するのみでは食料品等の内容物の長期間の保存に不適当であるため、当該袋のファスナーよりも開口側の端部を熱溶着等により完全に封鎖(密封)し、封鎖部とファスナーとの間の領域に容易に切断できる部分を設けている。
その様に構成すれば、前記容易に切断できる部分で袋を切断して開口部を形成し、ファスナーを開放することにより開口部から内容物を取り出すことが出来る。そして、内容物が余った場合には、当該余った内容物は袋に収納したまま、ファスナーを閉鎖して冷蔵庫等の保管場所に置いておくことで、容易に保管することが出来る。
【0003】
ここで、ファスナーを開放するためには、前記袋を切断して形成した開口部とファスナーの間の領域で、袋の表側と裏側を少なくとも1箇所ずつ指で摘み、当該指で摘んだ箇所を逆方向に引き離す様な操作が必要である。
しかし、前記袋を切断して形成した開口部からファスナーまでの領域の寸法が小さい場合には、当該領域を指で摘むことが困難であり、その結果、ファスナーを開放することが難しくなってしまう。当該袋が比較的厚い場合にも、前記袋を切断して形成した開口部からファスナーまでの領域を摘み難く、ファスナー開放が困難になる。さらに前記袋を切断して開口部を形成した時、前記2枚のシートにおける開口部からファスナーの間の領域同士が密着した場合も、ファスナーの開放が困難である。
そして、上述した様にファスナーの開放が困難な場合には、内容物の収納も困難である場合が多い。
【0004】
また、ファスナーを有さない袋においても、同様な問題が生じる場合が存在する。
例えば、ファスナーを有さない合成樹脂製の小さな袋では、容易に切断できる部分で袋を切断して開口部を形成しても、前記2枚のシートが静電気等により相互に付着してしまい、内容物を取り出すことが困難になる場合がある。
【0005】
その他の従来技術として、例えば、袋の一方のシートのみを切断して開口部を形成するタイプの包装袋において、ファスナーの開放を容易にすることを目的とする従来技術は存在する(特許文献1参照)。しかし、係る従来技術(特許文献1)は、内容物を取り出す際に包装袋の第1及び第2のシートの双方を切断するタイプではないため、上述した従来技術の問題点を完全に解消することは出来ない。
また、ファスナーを有さないタイプの袋で内容物を取り出すことが困難になるという問題には、対処不能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、合成樹脂製の袋において、当該袋の端部側を切断して開口部を形成した後、当該袋を容易に開口することが出来る袋開口部の構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の袋開口部(10)の構造は、第1のシート(1)と第2のシート(2)から構成された袋(100)の開口部(10)において、
第1のシート(1)及び/又は第2のシート(2)に切取り線(1A、2A:切除が容易な線状領域)が形成され、
第1のシート(1)及び/又は第2のシート(2)に開口時摘み部(1B、2B:タブ)が形成されており、
切取り線(1A、2A)の軌跡の全部または一部が開口時摘み部(1B、2B)の外縁部と相補的であることを特徴としている。
ここで、「切除が容易な線状領域」とは、意図した線に沿って道具を使用せずに切り離すことができるような構造を具備する線状の領域(片方のシートの線状の領域は、始点と終点が一致し、幾何学的・非幾何学的図形を描く場合がある)ばかりではなく、印刷された点線等の様に道具(ハサミ等)を用いて切断する際に切断箇所を容易に知らしめる線状の領域も含む。第1及び第2のシートの双方で切取り線の形状と位置が整合している場合、換言すれば、開口時摘み部(1B、2B)が完全に重複している場合には、手の指だけでなくハサミ等の道具を使用し切り離すことが可能だからである。
本発明において、前記袋(100)はファスナー(3)を有する袋であっても、ファスナーを有しない袋であっても良い。
【0009】
本発明において、開口時摘み部(1B、2B)には摩擦部(1C、2C)が設けられているのが好ましい。
また本発明において、袋(100)の内側(第1のシート1であれば第2のシート2側、第2のシート2であれば第1のシート1側)に向かって延在するシート間隔保持用突起(1D、2D)が形成されているのが好ましい。
ここで、開口時摘み部側の縁部を相補的に形成する切取り線を1本の直線とすることも可能である。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成を具備する本発明によれば、第1のシート(1)及び/又は第2のシート(2)に形成された切取り線(1A、2A)に沿って端部側の領域を切り取って分離すれば、開口時摘み部(1B、2B)が形成される。左右の手の指で開口時摘み部(1B、2B)を摘まみ、左右の手で相互に逆方向に引っ張ることにより、閉鎖されていたファスナー(3)は容易に開放され、袋(100)が開口される。
ファスナーを設けていない袋であっても、第1及び第2のシート(1、2)が静電気等で密着したとしても、左右の手の指で開口時摘み部(1B、2B)を摘まむことにより、袋(100)は容易に開口される。
【0011】
本発明において開口時摘み部(1B、2B)に摩擦部(1C、2C)を設ければ、左右の手の指で開口時摘み部(1B、2B)を摘まみ、ファスナー(3)を開放或いは袋(100)を開口する際に、指が滑ってしまうことが防止される。
また本発明において袋(100)の内側(例えば第1のシート1であれば第2のシート2側)に向かって延在するシート間隔保持用突起(1D、2D)を形成すれば、第1のシート(1)の開口時摘み部(1B)と第2のシート(2)の開口時摘み部(2B)との間隔を一定以上に保持することが出来る。そして第1のシート(1)の開口時摘み部(1B)と第2のシート(2)の開口時摘み部(2B)との間隔が一定以上であれば、手の指で開口時摘み部をさらに容易に摘まむことが出来て、ファスナーを開放し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】第1実施形態において、タブを摘まんで袋を開口する態様を示す説明図である。
【
図3】第1実施形態におけるタブの形状の変形例を示す部分拡大図である。
【
図4】第1実施形態におけるタブの形状の
図3以外の変形例を示す部分拡大図である。
【
図5】第1実施形態における切取り線の変形例を示す説明図である。
【
図6】第1実施形態における切取り線の変形例であって、
図5とは異なる変形例を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態における切取り線の変形例であって、
図5、
図6とは異なる変形例を示す説明図である。
【
図8】
図7と同様な切取り線の変形例であるが、
図7とは異なるタイプを示す説明図である。
【
図9】第1実施形態における第1のシートに設けられたタブと第2のシートに設けられたタブの相対的な位置関係を示す説明図である。
【
図10】
図9とは異なる第1のシートに設けられたタブと第2のシートに設けられたタブの相対的な位置関係を示す説明図である。
【
図11】本発明の第2実施形態を示す説明図である。
【
図12】本発明の第3実施形態を示す説明図である。
【
図13】第3実施形態におけるシート間隔保持用突起の一例を示す説明図であって、
図12におけるA-A矢視断面図である。
【
図14】
図13と同様な断面図であって、
図13で示すのとは異なるシート間隔保持用突起の例を示す説明図である。
【
図16】本発明の第4実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に
図1~
図10を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1において、袋100は第1のシート1(表側のシート)と第2のシート2(裏側のシート)を重ね合わせて構成される。当該2枚のシート1、2の側縁部(
図1で左右側縁部)及び下端部(
図1における下方端部)は熱溶着その他の公知技術により溶着されている。加えて、2枚のシート1、2の開口側端部100A(
図1における上方端部或いは上縁部)を同様に溶着している。
第1のシート1及び第2のシート2は、例えばプラスチックの様な合成樹脂製のシートである。
【0014】
袋100の開口部10にはファスナー3が設けられ、開口部10における開口側端部100Aとファスナー3の間の領域において、第1のシート1(表側のシート)と第2のシート2(裏側のシート)の各々に、切除が容易な線状領域である切り取線1A、2Aが形成されている。
図1における切取り線1A、2Aの形状或いは軌跡は、袋100の左右方向に延在する直線と、角部が湾曲した(滑らかな)台形形状の組み合わせである。切取り線1A、2Aは、
図1の左右方向に所定寸法だけ位相をずらして形成されている。
切取り線1A、2Aよりもファスナー3側(
図1では下側)であって、角部が湾曲した(滑らかな)台形形状の領域は、それぞれ、第1のシート1及び第2のシート2におけるタブ1B、2B(開口時摘み部)を構成する。すなわち、切取り線1A、2Aの軌跡はタブ1B、2Bの外縁部と相補的である。
【0015】
図1で示す袋100を開口するに際しては、先ず、第1のシート1と第2のシート2の各々に形成された切取り線1A、2A(切除が容易な線状領域)に沿って切断し、端部側(
図1では上方端部)の領域を分離する(切り取る)。切取り線1A、2Aの切り取りに際しては、第1のシート1、第2のシート2を重ねたまま同時に切り取ることも出来るが、第1のシート1、第2のシート2を別々に切り取ることも出来る。
また、ゴミの散乱防止等を目的とするために、
図1において切取り線1A、2Aよりも上方の端部が袋100本体から完全には分離しない様に、切取り線1A、2Aで切り取ることも出来る。
端部側(
図1では上方端部)の領域を切り取って分離することによって、ファスナー3よりも上方端部側に、第1のシート1、第2のシート2におけるタブ1B、2Bが形成される。
【0016】
袋100を開口する様子が示されている
図2において、端部側の領域を切り取った開口部10では、左右の手の指でそれぞれ第1のシート1のタブ1B、第2のシート2のタブ2Bを摘まみ、それぞれ
図2の矢印A1、A2で示す方向(方向A1と方向A2は逆方向)に引っ張る。それにより、閉鎖されていたファスナー3は容易に開放され、袋100が開口される。
図示の実施形態ではタブは第1及び第2のシート1、2の双方に形成されているが、何れか一方のシートのみにタブを形成しても良い。また、図示はされていないが、タブ1B、2Bの寸法、面積、形状、数等は同一でなくても良い。
【0017】
図1、
図2におけるタブ1B、2Bの変形例が
図3、
図4に示されている。
図1で示すタブ1B、2Bは角部が湾曲した台形形状であるが、
図3で示す第1のシート1-1(表側のシート)のタブ1-1B、第2のシート2-1(裏側のシート)のタブ2-1Bは正弦曲線状に形成されている。
図3において、図示しない切取り線を切り取って形成したタブ1-1B、2-1Bは、
図3の左右方向に所定寸法だけ位相をずらした正弦曲線状に形成されている。正弦曲線状に形成されたタブ1-1B、2-1Bにおいて、上方に突出した凸部曲線部のタブ1-1B、2-1Bと下方に凹んだ凹部曲線は同一長さ(ピッチ)となっているが、両者の長さ(ピッチ)が異なっていても良い。換言すれば、上方に突出した凸部曲線部のタブ1-1B、2-1Bにおけるピッチはそれぞれ任意に設定することが出来る。
また
図3において、第1のシート1-1と第2のシート2-1は、それぞれ、複数の凸部曲線部(正弦曲線状の曲線)を備えているが、凸部曲線部の数はそれぞれ任意に設定することが出来る。
【0018】
図1~
図3で示すのとは異なるタブが示されている
図4において、第1のシート1-2のタブ1-2B、第2のシート2-2のタブ2-2Bは三角形状を形成している。また、タブ1-2B、2-2Bは左右方向に所定寸法だけ位相をずらして形成される。
図4の変形例では、隣接する三角形状のタブ1-2B、1-2B同士と、隣接するタブ2-2B、2-2B同士は間隔を隔てて形成されているが、間隔を隔てずに連続して形成することも可能である。
さらに
図4では、第1のシート1-2と第2のシート2-2のそれぞれに複数の三角形状タブ1-2B、2-2Bを有しているが、単一の三角形状タブのみを形成しても良い。すなわち、当該タブの数はそれぞれ任意に設定することが出来る。
【0019】
図示はされていないが、タブの形状を四角形状にすることも可能であり、その他の形状にすることも可能である。そして、タブは第1のシート1-1及び第2のシート2-1について一つずつ形成しても良いし、複数形成しても良い。複数形成する場合には、当該複数のタブは連続して形成されていても良いし、間隔を空けて形成されていても良い。
図3、
図4の変形例においても、シート1-1、2-1(
図3)、1-2、2-2(
図4)の図示しない切取り線の形状は、タブ1-1B、2-1B(
図3)、タブ1-2B、2-2B(
図4)の形状と相補的な形状(軌跡)になる。
図1~
図4では図の上方に突出した形状のタブを形成しているが、図の上方に突出しない形状のタブ(
図1~
図4では示されていない形状のタブ)を形成しても良い。例えば、切取り線が第1及び第2のシートで整合する1本の直線である場合、袋100の形状は従来の袋の形状と類似する。また
図5で示す様に、切取り線1A、2Aを凹状に形成し、
図5の下方に向かうに連れて幅寸法が小さくなる形状(いわゆる「逆さ富士」のような形状:逆タブ)とすることも出来る。切取り線1A、2Aを
図5で示す形状にした場合には、シート1については切取り線1Aの下側に突出した部分1T(いわゆる「谷」の部分)の両サイドにタブ1B1、1B2が形成され、シート2については切取り線2Aの下側に突出した部分2T(いわゆる「谷」の部分)の両サイドにタブ2B1、2B2が形成される。
タブの形状の如何に拘らず、
図12を参照して後述するシート間隔保持用突起1D、2Dを開口部側縁部の両側または片側に形成することにより、
図11を参照して後述する摩擦部1C、2Cと兼用され、開口部側縁部をタブと見做すことが出来る。
【0020】
また、
図6で示す様に、第1のシート1の切取り線1A及び第2のシート2の切取り線2Aは、
図6左方の袋側縁部では一致しているが(切取り線1A、2Aの始点12ASは一致)、
図6右方の袋側縁部では一致していない(切取り線1A、2Aの終点1AF、2AFが一致していない)。換言すれば、
図6で示す変形例では、例えば右方の袋側縁部で切取り線1A、2Aの終点1AF、2AFが異なる位置に存在し、或いは、例えば右方の袋側縁部では切取り線1A、2Aと袋側縁部が別々の点(終点1AF、2AF)で交わっている。
図6で示す様に切取り線1A、2Aの始点12ASは一致しているが、切取り線1A、2Aの終点1AF、2AFが一致していない変形例では、開口部には第1のシート1と第2のシート2で異なる形状(或いは異なる面積)のタブ1B、2Bが形成される。
図6の変形例において、面積が小さい方のタブ1Bが1本の直線で形成されている場合には、開口部側縁部(切取り線1A、2A近傍の縁部)をタブと見做すことが出来る。そして、第1のシート1と第2のシート2が静電気等で密着していたとしても、面積の大きい方のタブ2Bを手の指で摘み、袋100を弾性的に撓らせて(しならせて)2枚のシート1、2間に隙間を作ることにより、前記開口部側縁部(切取り線1A、2A近傍の縁部:タブとみなせる部分)を手の指で容易に摘む事ができる。
この場合も、後述の様に、シート間隔保持用突起1-4D、2-4D(
図12参照)を開口部側縁部の両側または片側に形成し、シート間隔保持用突起1-4D、2-4Dを摩擦部1-3C、2-3C(
図11参照)と兼用すれば、袋100の開口は容易である。
【0021】
さらに、
図7で示す様にタブを第1のシート1或いは第2のシート2のいずれか一方だけに形成(
図7では第1のシート1だけに切取り線1Aを形成)しても良い。この場合、切取り線1Aが存在する側のシートであるシート1では、袋100の一部が袋100から切り離されて開口部を形成する。この場合、開口部側縁部の軌跡に沿って、切取り線1Aと相補的な形状の単一のタブ1Bが形成される。開口部側縁部におけるタブ1Bと相補的な形状の切取り線1Aは、
図7の形状に限定される訳ではなく、例えば1本の直線又は凹状の線として構成することも可能である。
図8で示す様に、シート1にのみ形成された切取り線1Aを、ファスナー3の近傍にのみ設けるのではなく、
図8における左方の袋側縁部、
図8における上方端部(開口側端部100A)、
図8における右方の袋側縁部に沿って、それぞれの近傍に形成することも出来る。
図8の様に切取り線1Aを形成した場合に、切取り線1Aを切り取った後、シート1には切取り線1Aと相補的な形状の開口が形成される。
【0022】
図7、
図8において、切取り線1Aが存在しない側のシート(
図7、
図8ではシート2)の開口部側縁部(
図7、
図8では上端近傍の領域)は、タブと見做すことが出来る。当該タブと見做すことが出来る部分を、手の指で摘むことにより、容易にファスナー3を開放することができる。
ここで、切取り線1Aが存在しない側のシート2を指で摘み袋を弾性的に撓せる(しならせる)と、シート2とタブ1Bとの間に隙間ができてタブ1Bを摘みやすくなる。静電気等によりタブ1Bがシート2(切取り線の存在しない側のシート)に密着することが懸念される場合には、摩擦部(
図11の符号1-3C、2-3Cで示す部材)をタブ1Bのシート内側(シート1のシート2側の面)に設けることにより、容易にファスナー3を開放して袋100を開口することができる。また、タブ1Bの側縁部とファスナー3の間の領域(切取り線1Aが存在しない側のシート2にあっては開口部近傍の対応する領域)で且つ袋100の内側(シート1、2における他方のシート2、1側の面)にあたる部分に、シート間隔保持用突起1D、2D(
図12の符号1-4D、2-4Dで示す部材)を第1のシート1及び/又は第2のシート2に設けることで、容易にファスナー3を開放して袋100を開口することができる。
図1~
図8で述べたタブの形状、大きさ、数(タブを有しない場合(零)を含む:単数、複数、純少数、帯少数)、間隔等は任意に設定することが出来て、第1のシート1におけるタブと第2のシート2におけるタブとが同一であっても異なっていても良い。
【0023】
図1において、第1のシート1に設けられたタブ1Bと第2のシート2に設けられたタブ2Bは、
図9で示す様に、各々のタブ1B、2Bにおいて他方のタブ2B、1Bと重複する部分と重複しない部分とがある。
換言すれば、
図9において、領域Q1には第1のシート1のみが存在し、第2のシート2は重複していない。一方、領域Q2には第2のシート2のみが存在し、第1のシート1は重複していない。
図示はしないが、タブ1B、2Bが完全に重複しない場合もある。その場合、領域Q1はタブ1B全体に相当し、領域Q2はタブ2B全体に相当する。
【0024】
図9で示すのとは異なり、
図10では、第2のシート2に設けられたタブ2Bにおいては第1のシート1に設けられたタブ1Bと重複しない部分である領域Q3が存在するが、第1のシート1に設けられたタブ1Bは第2のシート2に設けられたタブ2Bと全ての領域で重複している。
タブ1Bとタブ2Bが密着している場合、領域Q3を指で摘んで弾力的に撓せると、タブ1Bとタブ2Bの間に隙間ができ、タブ1Bを摘み易くなる。
或いは、図示はしないが、
図10で示すのとは逆に、第1のシート1に設けられたタブ1Bは第2のシート2に設けられたタブ2Bと重複しない部分があるが、第2のシート2に設けられたタブ2Bは第1のシート1に設けられたタブ1Bと全ての領域で重複する様に構成しても良い。さらに、
図9、
図10に示す様に、第1のシート1及び第2のシート2が重複しない領域(Q1、Q2、Q3)を設けることにより、袋100(ファスナー3)の開放時に、左右の手の指でタブ1B、2Bを摘まむことが容易となる。
図示はしないが、タブ1B、2Bは完全に重複していても良い。この場合、第1のシート1と第2のシート2が密着していなければ、シート間の隙間に左右の手の指を入れてタブ1B及び/又はタブ2Bを摘むことができる。さらにタブ1B、2Bが完全に重複しており、第1のシート1と第2のシート2が静電気等で密着する懸念がある場合、
図12で後述する摩擦部1D、2Dをタブ1B及び/又はタブ2Bに設ければ、タブ1B、2Bを左右の手の指で容易に摘むことが出来て、ファスナー3を開放し袋100を開口することができる。
【0025】
図1~
図10に示す第1実施形態によれば、第1のシート1と第2のシート2の各々に形成された切取り線1A、2Aに沿って端部側(
図1では上方端部)の領域を切り取って分離すれば、第1のシート1及び第2のシート2におけるタブ1B、2Bが形成される。そこで、左右の手の指でタブ1B、2Bを摘まみ、左右の手で相互に逆方向に引っ張る(
図2の矢印A1、A2方向)ことにより、閉鎖されていたファスナー3は容易に開放され、袋(100)が開口される。
また、
図1~
図10では第1のシート1及び第2のシート2におけるタブ1B、2Bは、切取り線1A、2Aを袋100の左右方向に所定寸法だけ位相をずらして形成されており、相互に重複しない領域が存在する。そのため、ファスナー3を開放する際に、左右の手の指で容易にタブ1B、2Bを摘まむことが出来る。
【0026】
次に、
図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、
図1の第1実施形態に対して、タブに摩擦部を追加している。
図11で示す様に、袋100-3の開口部10-3において、開口側端部100-3Aとファスナー3-3の間の領域には、第1のシート1-3(表側のシート)と第2のシート2-3(裏側のシート)の各々に、切取り線1-3A、2-3Aが袋100の左右方向に位相をずらして形成されている。
切取り線1-3A、2-3Aよりもファスナー3-3側であって、角部が湾曲した概略台形形状の領域は、それぞれ第1のシート1-3のタブ1-3B、第2のシート2-3のタブ2-3Bを構成する。そして、タブ1-3B、2-3Bには、各々、突起状の摩擦部1-3C、2-3Cが、袋100-3の外側(例えば第1のシート1-3であれば第2のシート2-3と反対側)或いは内側(例えば第1のシート1-3であれば第2のシート2-3側)或いは外側と内側の任意の箇所(複数個所を選択することが可能)に設けられる。摩擦部1-3C、2-3Cが袋100-3の内側に設けられていれば、静電気等によりシート1-3とシート2―3が密着することを防止し易い。
図11では摩擦部1-3C、2-3Cは突起として示されているが、指が滑ることを防止出来るのであれば、突起に限定されない。例えば、粗い触覚となる様な粒状の摩擦面やエンボス、細かい凹凸、肌理の粗い表面加工等により摩擦部1-3C、2-3Cを構成することが出来る。また、タブ1-3B、2-3Bが重複している領域は突起により摩擦部1-3C、2-3Cを構成し、重複していない領域は粒状の摩擦面やエンボス、細かい凹凸、肌理の粗い表面加工等により摩擦部1-3C、2-3Cを構成することが出来る。或いは、その逆に構成しても良い。
【0027】
図11の第2実施形態ではタブ1-3B、2-3Bに摩擦部1-3C、2-3Cを設けることにより、
図2で示す様に、左右の手の指でタブ1-3B、2-3Bを摘まみ、ファスナー3-3を開放する際に、手の指が滑ってしまうことが防止されるので、確実にタブ1-3B、2-3Bを把持することが出来る。
また、
図11では第1のシート1-3、第2のシート2-3の双方に摩擦部である突起1-3C、2-3Cが形成されているが、何れか一方のシートのみに摩擦部1-3C、2-3Cを設けても良い。
図11の第2実施形態においても、タブの形状等については、
図3~
図4と同様の変形例を適用することが出来る。
図11の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図10の第1実施形態と同様である。
【0028】
つぎに
図12を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、
図11の第2実施形態に対して、第1のシート1-4及び第2のシート2-4にシート間隔保持用突起1-4D、2-4Dが形成されている。
すなわち、
図12で示す袋100-4の開口部10-4において、第1のシート1-4におけるタブ1-4Bとファスナー3-4の間の領域と、第2のシート2-4におけるタブ2-4Bとファスナー3-4の間の領域に、各々、袋100-4の内側(第1のシート1-4であれば第2のシート2-4側、第2のシート2-4であれば第1のシート1-4側)に向かって延在するシート間隔保持用突起1-4D、2-4Dが形成されている。
【0029】
シート間隔保持用突起1-4D、2-4Dの位置は相互に整合しており、例えば第1のシート1-4及び第2のシート2-4に形成されている。タブ1-4B、タブ2-4Bには、摩擦部1-4C、2-4Cが形成されている。
シート間隔保持用突起1-4D、2-4Dを設けることにより、第1のシート1-4のタブ1-4Bと第2のシート2-4のタブ2-4Bとの間隔を一定寸法以上に保持して、
図2で示す様に指でタブ1-4B、2-4Bを摘まむことを容易ならしめている。
なお、
図12の第3実施形態において、摩擦部1-4C、2-4Cを任意な数だけ省略することが可能である。
【0030】
図13~
図15には、第3実施形態におけるシート間隔保持用突起1-4D、2-4Dの配置例が示されている。
図12におけるA-A矢視断面図である
図13で示す例では、第1のシート1-4(表側のシート)及び第2のシート2-4(裏側のシート)に、それぞれ単一のシート間隔保持用突起1-4D1、2-4D1が形成されており、シート間隔保持用突起1-4D1、2-4D1は袋100-4(
図12参照)の内側、すなわち突起1-4D1、2-4D1が形成されているのとは別の側のシートに向かって突出している。第1のシート1-4におけるシート間隔保持用突起1-4D1と第2のシート2-4におけるシート間隔保持用突起2-4D1は、シート1-4或いは2-4に対する突出量が概略同一であり、袋100-4の左右方向における位置が整合している。
図14において示す例では、第1のシート1-4及び第2のシート2-4に、それぞれ複数のシート間隔保持用突起1-4D2、2-4D2が形成されている。第1のシート1-4における突起1-4D2と第2のシート2-4における突起2-4D2は、シート1-4或いは2-4に対する突出量が概略同一であり、袋100-4の左右方向における位置が整合している。
【0031】
図15において示す例では、第1のシート1-4と第2のシート2-4の間隔(厚み)を小さくするために、第1のシート1-4における突起1-4D3の頂点(中央位置)が、第2のシート2-4における隣接する突起2-4D3間に位置する様に配置されている。
図13~
図15では、第1及び第2のシート1-4、2-4の双方にシート間隔保持用突起1-4D、2-4Dが形成されているが、第1のシート1-4或いは第2のシート2-4の何れか一方のみにシート間隔保持用突起を形成しても良い。
さらに、突起1-4D、2-4Dの突出量、形状、数等はそれぞれ任意である。そして突起1-4D、2-4Dの相対的な位置は完全に一致していなくても良い。換言すれば、突起1-4D、2-4Dは図示の形状、数に限定されるものではなく、突出量についても特に限定は無い。そして、突起1-4D、2-4Dの構成は自由に変更可能である。
これに加えて、
図12~
図15の第3実施形態においても、タブの形状等については、
図1~
図4で示すタブと同様の形状にすることが出来る。
図12~
図15の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図11の各実施形態と同様である。
【0032】
図16を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
第1~第3実施形態はファスナー3を設けた袋に適用されているが、
図16の第4実施形態はファスナーを設けていない袋に適用されている。
図16において、袋100-5の第1のシート1-5(表側のシート)と第2のシート2-5(裏側のシート)の側縁部(
図16で左右側縁部)及び下端部(
図16における下方端部)が熱溶着等により溶着されている。そして、シート1-5、2-5の開口側端部100-5A(
図16における上方端部)が溶着している。
【0033】
袋100-5の開口部10-5にはファスナー(
図1等参照)は設けられておらず、開口部10-5において、第1のシート1-5と第2のシート2-5の各々に切除が容易な線状領域である切取り線1-5A、2-5Aが形成されている。
図16における切取り線1-5A、2-5Aの形状は、
図1と同様に、袋100-5の左右方向に延在する直線と角部が湾曲した台形形状の組み合わせであり、切取り線1-5A、2-5Aは袋100-5の左右方向について位相をずらして形成されている。
切取り線1-5A、2-5Aにおける角部が湾曲した台形形状の領域は、タブ1-5B、2-5Bを構成する。
図16においても、第1のシート1-5のタブ1-5Bと、第2のシート2-5のタブ2-5Bは、それぞれ、他方のタブとは重複しない領域を有している。
【0034】
図16の第4実施形態において、タブの形状等については、
図1~
図4と同様に形成することが出来る。
図示しないが、第4実施形態において、タブ1-5B、2-5Bに
図11で示す摩擦部1-3C、2-3Cを設けることが出来る。
さらに
図16の第4実施形態において、
図12~
図15で説明した様なシート間隔保持用突起を形成することが出来る。
図16の第4実施形態によれば、ファスナーを設けていない袋100-5における第1及び第2のシート1-5、2-5が静電気等で密着したとしても、左右の手の指でタブ1-5B、2-5Bの重複していない領域を摘まむことにより、袋100-5は容易に開口される。
図16の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図15の各実施形態と同様である。
【0035】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0036】
1・・・第1のシート(表側のシート)
2・・・第2のシート(裏側のシート)
1A、2A・・・切取り線
1B、2B・・・タブ(開口時摘み部)
1C、2C・・・摩擦部
1D、2D・・・シート間隔保持用突起
1T、2T・・・逆タブにおける谷相当領域
Q1、Q2・・・重複しない領域
3・・・ファスナー
10・・・袋開口部
100・・・袋