(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】自動貫入試験機
(51)【国際特許分類】
E02D 1/02 20060101AFI20240314BHJP
G01N 3/40 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
E02D1/02
G01N3/40 B
(21)【出願番号】P 2020061841
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白波瀬 雅史
(72)【発明者】
【氏名】磯野 和則
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝輔
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-054395(JP,A)
【文献】特開2010-085261(JP,A)
【文献】特開2018-179818(JP,A)
【文献】特開2019-100138(JP,A)
【文献】特開2015-190911(JP,A)
【文献】特開2006-338552(JP,A)
【文献】特許第2668667(JP,B2)
【文献】特開2012-077489(JP,A)
【文献】特開2011-163010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/02
G01N 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置したベース部材および当該ベース部材に立設する支柱を備える本体と、前記支柱に沿って昇降自在な昇降ユニットと、この昇降ユニットに載置され地中へ貫入するロッドを保持するとともに当該ロッドを回転駆動可能なチャックユニットと、予め設定された動作プログラムに基づいて前記ロッドの回転ならびに下降をそれぞれ制御するとともに、規定された試験荷重に基づいて前記ロッドを地中へ貫入して当該ロッドの貫入深さ毎の試験荷重を貫入試験データとして記憶し外部出力可能な制御ユニットとを備えて成る自動貫入試験機において、
前記本体は、前記ロッドの軸方向に作用する実荷重を計測する外部荷重センサを備えた計測ユニットを着脱可能にし、
前記チャックユニットは、前記ロッドを取り付け一体に回転可能なチャック部と、このチャック部の回転を検出するチャック部回転検出センサとを備えて成り
、
前記計測ユニットは、前記制御ユニットにより回転駆動制御された前記チャック部と一体に回転するロッドの回転を検出する外部回転検出センサを備えて成ることを特徴とする自動貫入試験機。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記計測ユニットによって計測した前記試験荷重毎の前記実荷重を検定データとして記憶する記憶部と、前記検定データを前記貫入試験データに紐付ける制御部とを備え、
前記制御部は、前記チャック部回転検出センサから発せられた第1回転検出信号に基づいてチャック部の回転量を演算し当該チャック部の回転量を演算ロッド回転量として前記記憶部に記憶して成る一方、前記外部回転検出センサから発せられた第2回転検出信号に基づいてロッドの回転量を演算し当該ロッドの回転量を実測ロッド回転量として前記記憶部に記憶して成り、これら演算ロッド回転量および実測ロッド回転量の差を演算し、当該差が前記記憶部に設定されている許容回転差範囲内であれば、前記演算ロッド回転量を前記貫入試験データに追加できるよう許可するとともに、前記検定データに追加して成ることを特徴とする請求項1に記載の自動貫入試験機。
【請求項3】
地面に設置したベース部材および当該ベース部材に立設する支柱を備える本体と、前記支柱に沿って昇降自在な昇降ユニットと、この昇降ユニットに載置され地中へ貫入するロッドを保持するとともに当該ロッドを回転駆動可能なチャックユニットと、予め設定された動作プログラムに基づいて前記ロッドの回転ならびに下降をそれぞれ制御するとともに、規定された試験荷重に基づいて前記ロッドを地中へ貫入して当該ロッドの貫入深さ毎の試験荷重を貫入試験データとして記憶し外部出力可能な制御ユニットとを備えて成る自動貫入試験機において、
前記本体は、前記ロッドの軸方向に作用する実荷重を計測する外部荷重センサを備えた計測ユニットを着脱可能にし、
前記制御ユニットは、前記計測ユニットによって計測した前記試験荷重毎の前記実荷重を検定データとして記憶する記憶部と、前記検定データを前記貫入試験データに紐付ける制御部と、データを送受信可能な送受信部を備えて成り、
前記送受信部は、前記貫入試験データと前記検定データとをひとまとめにした合成データを外部へ出力して成ることを特徴とする自動貫入試験機。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記貫入試験データを収集しこれを前記記憶部に記憶するよう処理する試験モードと、前記検定データを収集しこれを前記記憶部に記憶するよう処理する検定モードとを適宜切り替え可能なモード切替部を具備して成ることを特徴とする請求項3に記載の自動貫入試験機。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された貫入試験データの記憶数と、前記記憶部に予め設定されている試験許容数とを比較するとともに、前記貫入試験データの記憶数が前記試験許容数に達していれば、これ以降、前記検定データの更新がなされない限り、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の自動貫入試験機。
【請求項6】
前記制御ユニットは、日時を計時する時計手段を備えて成り、
前記制御部は、前記検定データを記憶部に記憶する度、前記時計手段からその時点の日時を読み込んで当該検定データに記憶日時を付加して成り、新たな貫入試験データの収集開始前に前記検定データの記憶日時と現在日時との差を演算するとともに、前記差が予め設定されている設定日時範囲外であれば、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成ることを特徴とする請求項3ないし請求項5の何れかに記載の自動貫入試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の硬軟を判定するための貫入試験データを収集可能な自動貫入試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動貫入試験機は、地盤の硬軟を評価するための貫入試験データを収集するものでる。この従来の自動貫入試験機は、特許文献1および特許文献2に示すように、地面に設置したベース部材および当該ベース部材に立設する支柱を備える本体と、前記支柱に沿って昇降自在な昇降ユニットと、この昇降ユニットに載置され地中へ貫入するロッドを保持するとともに当該ロッドを回転駆動可能なチャックユニットと、予め設定されている動作プログラムに基づいて前記ロッドの回転制御および下降制御を可能な制御ユニットとから構成される。
【0003】
前記支柱は、その背面に配置された案内チェーンを備えて成る一方、前記昇降ユニットは、前記案内チェーンに沿って回転するスプロケットと、このスプロケットに回転を付与する昇降モータとを備えて成る。また、前記チャックユニットは、前記ロッドに加わる軸方向の荷重を検出可能なロードセルと、前記ロッドに回転を付与するロッド回転モータとを備えて成る。
【0004】
前記制御ユニットは、これに記憶した動作プログラムに基づいて、規定された各試験荷重(50N,150N,250N,500N,750N,1KN)をロッドに付与されるよう制御して成る。具体的には、前記ロードセルにより検出した検出荷重に基づいて昇降モータをフィードバック制御している。これにより、従来の自動貫入試験機は、規定の各試験荷重により貫入試験が行え、正確な貫入試験データを収集できるという特徴がある。
【0005】
また、前記制御ユニットは、前記ロッドを地中へ貫入した貫入深さ毎の試験荷重およびロッドの回転量を前記貫入試験データとして記憶可能であり、当該貫入試験データをパソコンやプリンタなどへ適宜出力可能に構成される。この貫入試験データは、前記自動貫入試験機により貫入試験を実施する作業者から地盤の基礎を設計する設計者へ引き渡されて、当該地盤の改良の要否や改良内容の選定に活用される。
【0006】
また、このように構成された従来の自動貫入試験機は、前述のような正確な貫入試験データを継続して収集しなければならないので、特許文献3に示す軸方向の荷重を検査する荷重検査手段を備えた検査システムにより、正しい試験荷重を出力しているか定期的に検査される。なお、当該検査システムによる荷重検査は、自動貫入試験機の出荷前にメーカにて実施されており、規定された各試験荷重に整合する前記検出荷重であるか否かの確認がなされている。このような検査を定期的に実施することで、前記検出荷重が各試験荷重に整合する値となっていることについて証明でき、規定の各試験荷重による適正な貫入試験データを収集する自動貫入試験機であることを担保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-077489号公報
【文献】特開2005-054395号公報
【文献】特許2668667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の自動貫入試験機を定期検査する場合、前記検査システムなどを保有するメーカへ当該自動貫入試験機を送り返す必要があるため、当該定期検査を終えるまで貫入試験を実施できなくなる。したがって、従来の自動貫入試験機は、定期的に使用できなくなるという問題があった。
【0009】
また、従来の自動貫入試験機は、規定の各試験荷重による適正な貫入試験データが収集可能なことを定期検査等で証明されているとしても、当該定期検査等の検査情報が前記貫入試験データに含まれていない。したがって、作業者および設計者は、貫入試験データを見ても、当該貫入試験データに含まれる前記各試験荷重が当該試験荷重に対してどの程度差が無いものであるか容易に確認することができなかった。よって、従来の自動貫入試験機は、各試験荷重に整合する適正な荷重をロッドに付与し貫入試験を行ったのかについて、作業者や設計者などが一目で判断できるデータを収集することができないという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自動貫入試験機は、地面に設置したベース部材および当該ベース部材に立設する支柱を備える本体と、前記支柱に沿って昇降自在な昇降ユニットと、この昇降ユニットに載置され地中へ貫入するロッドを保持するとともに当該ロッドを回転駆動可能なチャックユニットと、予め設定された動作プログラムに基づいて前記ロッドの回転ならびに下降をそれぞれ制御するとともに、規定された試験荷重に基づいて前記ロッドを地中へ貫入して当該ロッドの貫入深さ毎の試験荷重を貫入試験データとして記憶し外部出力可能な制御ユニットとを備えて成り、前記本体は、前記ロッドの軸方向に作用する実荷重を計測する外部荷重センサを備えた計測ユニットを着脱可能にして成ることを特徴とする。
【0011】
なお、前記制御ユニットは、前記計測ユニットによって計測した前記試験荷重毎の前記実荷重を検定データとして記憶する記憶部と、前記検定データを前記貫入試験データに紐付ける制御部とを備えて成ることが望ましい。また、前記チャックユニットは、前記ロッドを取り付け一体に回転可能なチャック部と、このチャック部の回転を検出するチャック部回転検出センサとを備えて成り、前記計測ユニットは、前記制御ユニットにより回転駆動制御された前記チャック部と一体に回転するロッドの回転を検出する外部回転検出センサを備えて成ることが望ましい。さらに、前記制御部は、前記チャック部回転検出センサから発せられた第1回転検出信号に基づいてチャック部の回転量を演算し当該チャック部の回転量を演算ロッド回転量として前記記憶部に記憶して成る一方、前記外部回転検出センサから発せられた第2回転検出信号に基づいてロッドの回転量を演算し当該ロッドの回転量を実測ロッド回転量として前記記憶部に記憶して成り、これら演算ロッド回転量および実測ロッド回転量の差を演算し、当該差が前記記憶部に設定されている許容回転差範囲内であれば、前記演算ロッド回転量を前記貫入試験データに追加できるよう許可するとともに、前記検定データに追加して成ることが望ましい。また、前記制御ユニットは、データを送受信可能な送受信部を備えて成り、前記送受信部は、前記貫入試験データと前記検定データとをひとまとめにした合成データを外部へ出力して成ることが望ましい。さらに、前記制御ユニットは、前記貫入試験データを収集しこれを前記記憶部に記憶するよう処理する試験モードと、前記検定データを収集しこれを前記記憶部に記憶するよう処理する検定モードとを適宜切り替え可能なモード切替部を具備して成ることが望ましい。さらに、前記制御部は、前記記憶部に記憶された貫入試験データの記憶数と、前記記憶部に予め設定されている試験許容数とを比較するとともに、前記貫入試験データの記憶数が前記試験許容数に達していれば、これ以降、前記検定データの更新がなされない限り、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成ることが望ましい。また、前記制御ユニットは、日時を計時する時計手段を備えて成り、前記制御部は、前記検定データを記憶部に記憶する度、前記時計手段からその時点の日時を読み込んで当該検定データに記憶日時を付加して成り、新たな貫入試験データの収集開始前に前記検定データの記憶日時と現在日時との差を演算するとともに、前記差が予め設定されている設定日時範囲外であれば、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る自動貫入試験機は、制御すべき各試験荷重に整合する荷重をロッドに付与されているか否か計測可能な計測ユニットを前記本体に脱着可能にして成るので、貫入試験を実施する現場など場所を問わず規定の試験荷重(50N,150N,250N,500N,750N,1KN)に則った貫入試験が行えるか否か容易に検査でき、この検査後すぐに貫入試験を実施することもできるという利点がある。
【0013】
また、本発明に係る自動貫入試験機は、前記計測ユニットによって計測した試験荷重毎の前記実荷重を検定データとし、これを貫入試験データに紐付けしているので、作業者や設計者などが一目で判断できるデータを収集することができるという利点もある。また、このように、誰でも一目で判断できるデータを得ることができるので、前記貫入試験データの信頼性が従来に比べて格段に高まったという利点もある。
【0014】
さらに、本発明に係る自動貫入試験機は、前記計測ユニットに前記ロッドの回転を検出する外部回転検出センサを備えるので、前記計測ユニットによってロッドの回転量も計測することができる。よって、本発明に係る自動貫入試験機は、各試験荷重の実荷重を計測する際、これと同時にロッドの回転量の整合性についても検証できるという利点もある。
【0015】
また、本発明に係る自動貫入試験機は、前記演算ロッド回転量および実測ロッド回転量の差が前記記憶部に設定されている許容回転差範囲内であれば、前記演算ロッド回転量を前記貫入試験データに追加できるよう許可するよう処理している。したがって、許容回転差範囲を適正な貫入試験として許容される範囲に設定しておけば、不適切な貫入試験データが生成されることがないので、貫入試験データの信頼性をさらに高めることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る自動貫入試験機は、紐付けされた貫入試験データおよび検定データをひとまとめにした合成データとして外部へ出力できるため、例えば、前記合成データをパソコンなどに取り込んで前記貫入試験データと検定データとを同一画面上に表示することも可能になる。よって、前記貫入試験データの信頼性が高いものか否かを、前記検定データの各試験荷重と前記実荷重との差から容易に判断できるという利点もある。
【0017】
また、本発明に係る自動貫入試験機は、試験モードと検定モードとを適宜切り替え可能なモード切替部を備えるので、例えば、前記貫入試験データの収集を終える度に、試験モードから検定モードへ切り替えて新たな検定データの収集、記憶することが可能となる。したがって、本発明に係る自動貫入試験機は、前記検定データを必要に応じて更新することができ、貫入試験データに紐付けされる検定データの更新のタイミングを適宜変更できるという利点もある。
【0018】
さらに、本発明に係る自動貫入試験機は、記憶部に記憶した貫入試験データの記憶数が予め設定した試験許容数に達すれば、新たな貫入試験データの収集を行うことができないよう処理して成る。したがって、本発明に係る自動貫入試験機は、記憶部に記憶する貫入試験データの信頼性をより高められるという利点もある。
【0019】
また、本発明に係る自動貫入試験機は、前記記憶部に記憶された検定データの記憶日時と現在日時との差を求め、当該差が予め設定した設定日時範囲外であれば、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理している。したがって、本発明に係る自動貫入試験機は、検定データが一定日時経過している場合、適正な試験荷重が担保されないと見なし、新たな貫入試験データを収集できないように規制するので、貫入試験データの信頼性をさらに高められるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る自動貫入試験機により検定データを収集している状態を説明するための概略図である。
【
図2】
図1に示す計測ユニットを本体および制御ユニットから取り外して貫入試験データを収集している状態を説明するための概略図である。
【
図3】本発明に係る自動貫入試験機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る自動貫入試験機1は、
図1および
図2に示すように、垂直方向に延びる支柱12を備えた本体10と、前記支柱12に沿って昇降自在な昇降ユニット20と、この昇降ユニット20に載置され地中へ貫入するロッドRを保持するとともに回転駆動可能なチャックユニット30と、予め設定されている動作プログラムに基づいて前記ロッドRの回転制御および下降制御して、前記ロッドRに加わる軸方向の荷重を検定して得た検定データおよび各試験ポイントのロッドRの貫入深さ毎の試験荷重まとめた貫入試験データをそれぞれ記憶可能な制御ユニット40と、前記ロッドRに作用する軸方向の実荷重を計測可能なかつ前記本体10に着脱可能な計測ユニット50とから構成される。
【0022】
前記本体10は、地面に設置され所定間隔を空け平行に配置した脚11a,11bと、この脚11a,11bを連結する連結部材11cとを備えたベース部材11を備える。前記ベース部材11は、これに一体になるよう固定された前記支柱12を備えて成る。前記支柱12は、その背面に図示しない案内チェーンを取り付けて成り、この案内チェーンは、当該支柱12の延びる方向へ配置されている。
【0023】
前記昇降ユニット20は、前記案内チェーンに噛合するスプロケット(図示せず)を回転自在に取り付け支柱12の延びる方向に沿って昇降自在な昇降フレーム21と、前記スプロケットに回転を付与する昇降モータ22と、前記スプロケットの回転を検出するスプロケット回転検出センサ23とを備えて成る。
【0024】
前記チャックユニット30は、前記ロッドRを保持するとともに当該ロッドRを一体に回転可能なチャック部31と、このチャック部31に回転を付与するロッド回転モータ32と、このチャック部31の回転を検出するチャック部回転検出センサ33と、前記チャック部31に保持したロッドRに作用する軸方向の反力を検出するロードセル34とを備えて成り、さらに、前方へ張り出したシャフトに補助おもりを吊り下げて成る。
【0025】
また、前記チャックユニット30は、前記昇降ユニット20に載置されて成り、当該昇降ユニット20と一体に昇降する。このように一体に昇降する昇降ユニット20およびチャックユニット30の重量は、合計1KNになるよう設定されているので、最大の試験荷重である1KNの負荷をチャックユニット30に保持されたロッドRに付与可能である。
【0026】
前記チャック部31は、これと一体に回転する円板(図示せず)を備えており、この円板は、放射状に等間隔に配置した抜き穴または切欠き溝を備えて成る。前記チャック部回転検出センサ33は、前記円板の前記抜き穴または切欠き溝を検出可能であり、チャック部31の回転に伴って発せられるパルス信号を第1回転検出信号として発信して成る。
【0027】
前記計測ユニット50は、下降する前記ロッドRの先端に当接可能な当接部材51と、この当接部材51を回転自在かつ軸方向へ摺動自在に支持して成る可動部材52と、この可動部材52の下方に配置され当該可動部材52の摺動方向に作用する荷重を計測可能な外部荷重センサ53と、この外部荷重センサ53の検出信号を受け取る中継ボックス54とを備える。前記可動部材52は、前記当接部材51をロッドRと一体に回転するよう構成されており、当該当接部材51の回転を検出する外部回転検出センサ55を内蔵して成る。また、前記計測ユニット50は、ロッドRの下降動作を妨げるよう脚11a,11bに載置可能であり、しかも当該脚11a,11bから適宜取り外し可能に構成され前記本体10への着脱が容易となっている。このような計測ユニット50を本体10から取り付け取り外し可能な本発明に係る自動貫入試験機は、前記検定データを収集することも、前記貫入試験データを収集することも容易に可能にすることができる。
【0028】
前記外部回転検出センサ55は、当接部材51の回転に伴って発せられるパルス信号を第2回転検出信号として発信して成り、当該第2回転検出信号を中継ボックス54へ出力可能に構成される。
【0029】
前記制御ユニット40は、前記昇降モータ22、前記スプロケット回転検出センサ23、前記ロッド回転モータ32、前記チャック部回転検出センサ33、前記ロードセル34を接続し各種信号を送受信可能な送受信部41と、この送受信部41に接続され前記動作プログラムを実行し、各種信号に基づいて演算するなど昇降モータ22およびロッド回転モータ32の動作を司る制御部42と、この制御部42に演算された数値など前記動作プログラムを含む各種情報を記憶可能な記憶部43と、作業者によるキー入力やスイッチ操作などを可能にする操作部44と、貫入試験を行って貫入試験データを収集する試験モードおよび前記ロードセル34の性能を確認する検定する検定モードをそれぞれ切り替えるモード切替部45と、日時を計時する時計手段46と、前記送受信部41および制御部42を介して記憶部43に記憶されている貫入試験データを印字可能なプリンタ47とを備えて成る。
【0030】
前記送受信部41は、
図3に示すように、前記昇降ユニット20およびチャックユニット30に搭載した各機器の他に、前記計測ユニット50も接続可能であり、前記外部荷重センサ53および外部回転検出センサ55の検出信号を受信して成る。また、送受信部41は、前記制御部42によって紐付けされた貫入試験データおよび検定データをひとまとめにした合成データを外部へ出力可能にして成り、これに接続した前記プリンタ47や別途接続されるパソコンなどへ当該合成データが適宜出力される。
【0031】
前記モード切替部45は、前記操作部44から発せられた信号により制御部42を介して前記試験モードまたは前記検定モードを有効にするよう切り替え可能にしている。
【0032】
前記記憶部43は、前記検定データまたは貫入試験データを収集するための前記動作プログラムを予め記憶して成り、さらに、これら収集した検定データおよび貫入試験データを適宜記憶して成る。また、記憶部43は、貫入試験データの収集を終えこれに記憶した記憶数ならびに予め設定され当該記憶数と比較するための試験許容数を記憶して成る。
【0033】
前記動作プログラムは、規定の試験荷重(50N,150N,250N,500N,750N,1KN)に基づいて貫入試験データを収集する前記試験モードと、規定の試験荷重毎を制御している際の前記外部荷重センサ53の検出信号を収集する前記検定モードとをそれぞれ実行可能に構成されている。つまり、前記検定モードを実行される際には、計測ユニット50が本体10に取り付けられる一方、前記試験モードを実行される際には、計測ユニット50が本体10から取り外されることになる。
【0034】
前記制御部42は、計測ユニット30によって計測した試験荷重毎の前記実荷重を検定データとして前記記憶部43に記憶するよう処理して成り、さらに、前記検定データを貫入試験データと紐付ける。これにより、前記試験モードによって収集された貫入試験データの各試験荷重が、前記検定モードによって収集された検定データに示される実荷重と近いものになっていることを作業者などが認識できる。
【0035】
また、前記制御部42は、前記チャック部回転検出センサ33から発せられた前記第1回転検出信号に基づいてチャック部31の回転量を演算して成り、この演算した前記回転量を演算ロッド回転量として記憶部43に記憶するよう処理して成る。さらに、前記制御部42は、外部回転検出センサ54から発せられた前記第2回転検出信号に基づいて前記当接部材51と一体に回転したロッドRの回転量を演算して成り、この演算した前記回転量を実測ロッド回転量として記憶部43に記憶するよう処理して成る。
【0036】
加えて、前記制御部42は、前記演算ロッド回転量および前記実測ロッド回転量の差を演算可能であり、当該差と前記記憶部43に予め設定されている許容回転差範囲とを比較するよう構成されている。また、前記制御部42は、前記差が許容回転差範囲内であれば、前記演算ロッド回転量を前記検定データへ追加するよう処理して成るとともに、当該演算ロッド回転量を貫入試験データへ追加できるよう許可して成る。このように、チャックユニット30に搭載したチャック部回転検出センサ33と、計測ユニット50に搭載した外部回転検出センサ54とによって出力される第1回転検出信号および第2回転検出信号の整合について確認することができる。
【0037】
さらに、前記制御部42は、前記記憶部43から貫入試験データの前記記憶数と、前記試験許容数とを読み出して、これらを比較するとともに、前記記憶数が前記試験許容数に達していれば、これ以降、前記検定データの更新がなされない限り、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成る。
【0038】
また、前記制御部42は、前記検定データを記憶部43に記憶する度、前記時計手段46からその時点の日時を読み込んで当該検定データに記憶日時を付加して成る。さらに、制御部42は、新たな貫入試験データの収集開始直前に前記検定データの記憶日時と現在日時との差を演算するとともに、前記差が予め設定されている設定日時範囲外であれば、新たな貫入試験データの収集を許可しないよう処理して成る。
【0039】
このように、本発明に係る自動貫入試験機1は、前記検定データを収集してから貫入試験を実施した回数に相当する前記記憶数や、前記検定データを記憶した記憶日時に基づいて、新たな貫入試験データの収集を許可するかしないか判断している。これにより、本発明に係る自動貫入試験機1は、定期的に検定データの更新が必要となるので、貫入試験で重要となるロッドRの荷重制御が適正な各試験荷重で行われているか、また、ロッドRの回転量の検出が適正になされているかこまめにチェックされることになる。よって、収集した貫入試験データの信頼性が高まる。しかも、本発明に係る自動貫入試験機1は、上述したように計測ユニット50を容易に着脱可能とするので、検定データの収集が貫入試験を行う現場などでも可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 … 自動貫入試験機
10 … 本体
12 … 支柱
20 … 昇降ユニット
30 … チャックユニット
40 … 制御ユニット
46 … 時計手段
50 … 計測ユニット
53 … 外部荷重センサ
R … ロッド