(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】荷重バランス評価装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20240314BHJP
G01G 19/44 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
G01G19/44 A
(21)【出願番号】P 2019038031
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2021-11-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】初田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-254866(JP,A)
【文献】特開2015-107141(JP,A)
【文献】特開2008-212306(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158424(WO,A1)
【文献】特開2016-209546(JP,A)
【文献】特開2007-312877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0056475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L5/00
A61B5/107
A61B5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定面を有する圧力分布センサにより、前記測定面に加えられた圧力分布を測定した測定データに基づいて、前記圧力分布を導出する圧力導出部と、
前記圧力分布に基づいて、前記測定面を複数の領域に分割する領域設定部と、
前記領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示する表示画面を生成する生成部と
を備
え、
前記領域設定部は、前記圧力分布に基づいて、前記測定面上において圧力が加えられた加圧領域の重心を算出し、前記重心を基準点として、前記測定面を前記複数の領域に分割する、
荷重バランス評価装置。
【請求項2】
前記加圧領域の前記重心は、前記加圧領域内の各点に加えられた圧力に応じた重みで重み付けすることにより算出される、又は前記重み付けなしに算出される重心である、
請求項
1に記載の荷重バランス評価装置。
【請求項3】
前記領域設定部は、前後2分割、左右2分割、及び前後左右4分割の少なくとも1つの態様で、前記測定面を前記複数の領域に分割する、
請求項1
または2に記載の荷重バランス評価装置。
【請求項4】
前記荷重バランス情報は、前記領域毎に算出される、当該領域に加えられた圧力、当該領域に加えられた荷重、及び当該領域内において圧力が加えられた面積の少なくとも1つを含む、
請求項1から
3のいずれかに記載の荷重バランス評価装置。
【請求項5】
前記荷重バランス情報は、前記測定面を表すグラフ領域であって、前記複数の領域が視覚的に区別可能な態様で表示されるグラフ領域内での前記圧力分布を示す圧力分布図を含む、
請求項1から
4のいずれかに記載の荷重バランス評価装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれかに記載の荷重バランス評価装置と、
前記圧力分布センサと
を備える、荷重バランス評価システム。
【請求項7】
測定面を有する圧力分布センサにより、前記測定面に加えられた圧力分布を測定した測定データに基づいて、前記圧力分布を導出することと、
前記圧力分布に基づいて、前記測定面
上において圧力が加えられた加圧領域の重心を算出し、前記重心を基準点として、前記測定面を複数の領域に分割することと、
前記領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示する表示画面を生成することと
をコンピュータに実行させる、荷重バランス評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力分布センサにより測定された測定データに基づいて、荷重バランスを評価する装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、測定面に加えられた圧力分布を測定することが可能な圧力分布センサを開示している。同文献の
図5~
図7に示される表示画面によれば、測定面上に立った被測定者の足に加わる圧力分布が、測定面を表すグラフ領域内に等圧線状に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような表示画面のみからは、足に加わる荷重バランスを必ずしも十分に理解できるとは限らない。なお、同表示画面には、グラフ領域を左右に2等分する参照線が引かれているが、この参照線は測定面を基準として引かれている。そのため、このような参照線は、測定面上のどこに荷重が加わったかを理解するのには役立ち得るが、測定対象の荷重バランスを理解するのには役立たない。
【0005】
本発明は、測定対象の荷重バランスの理解を助けることができる荷重バランス評価装置、システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る荷重バランス評価装置は、測定面を有する圧力分布センサにより、前記測定面に加えられた圧力分布を測定した測定データに基づいて、前記圧力分布を導出する圧力導出部と、前記圧力分布に基づいて、前記測定面を複数の領域に分割する領域設定部と、前記領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示する表示画面を生成する生成部とを備える。
【0007】
第2観点に係る荷重バランス評価装置は、第1観点に係る荷重バランス評価装置であって、前記領域設定部は、前記圧力分布に基づいて、前記測定面上において圧力が加えられた加圧領域の重心を算出し、前記重心を基準点として、前記測定面を前記複数の領域に分割する。
【0008】
第3観点に係る荷重バランス評価装置は、第2観点に係る荷重バランス評価装置であって、前記加圧領域の前記重心は、前記加圧領域内の各点に加えられた圧力に応じた重みで重み付けすることにより算出される、又は前記重み付けなしに算出される重心である。
【0009】
第4観点に係る荷重バランス評価装置は、第1観点に係る荷重バランス評価装置であって、前記領域設定部は、前記圧力分布に基づいて、前記測定面上において圧力が加えられた加圧領域に外接する外接領域を特定し、前記外接領域に基づいて、前記測定面を前記複数の領域に分割する。
【0010】
第5観点に係る荷重バランス評価装置は、第4観点に係る荷重バランス評価装置であって、前記領域設定部は、前記外接領域の図心を基準点として、前記測定面を前記複数の領域に分割する。
【0011】
第6観点に係る荷重バランス評価装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る荷重バランス評価装置であって、前記領域設定部は、前後2分割、左右2分割、及び前後左右4分割の少なくとも1つの態様で、前記測定面を前記複数の領域に分割する。
【0012】
第7観点に係る荷重バランス評価装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る荷重バランス評価装置であって、前記荷重バランス情報は、前記領域毎に算出される、当該領域に加えられた圧力、当該領域に加えられた荷重、及び当該領域内において圧力が加えられた面積の少なくとも1つを含む。
【0013】
第8観点に係る荷重バランス評価装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係る荷重バランス評価装置であって、前記荷重バランス情報は、前記測定面を表すグラフ領域であって、前記複数の領域が視覚的に区別可能な態様で表示されるグラフ領域内での前記圧力分布を示す圧力分布図を含む。
【0014】
第9観点に係る荷重バランス評価システムは、第1観点から第8観点のいずれかに係る荷重バランス評価装置と、前記圧力分布センサとを備える。
【0015】
第10観点に係る荷重バランス評価プログラムは、測定面を有する圧力分布センサにより、前記測定面に加えられた圧力分布を測定した測定データに基づいて、前記圧力分布を導出することと、前記圧力分布に基づいて、前記測定面を複数の領域に分割することと、前記領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示する表示画面を生成することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
以上の観点によれば、圧力分布センサにより測定された圧力分布に基づいて、圧力分布センサの測定面が複数の領域に分割される。よって、測定対象に加わる荷重状態を基準として複数の領域が設定される。また、こうして設定された領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示する表示画面が生成される。このような表示画面によれば、測定対象の荷重バランスの理解を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷重バランス評価装置としてのコンピュータを備える荷重バランス評価システムの全体構成図。
【
図2】コンピュータ及びコネクタの電気的構成を示すブロック図。
【
図3】圧力分布の測定処理の流れを示すフローチャート。
【
図5】荷重バランス情報を表示する表示画面の例を示す図。
【
図6】荷重バランス情報を表示する表示画面の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る荷重バランス評価装置、システム及びプログラムについて説明する。
【0019】
<1.荷重バランス評価システムの全体構成>
図1に、本実施形態に係る荷重バランス評価システム100の全体構成図を示す。荷重バランス評価システム100は、荷重バランス評価装置としてのコンピュータ1と、圧力分布センサ2と、圧力分布センサ2とコンピュータ1とを接続するためコネクタ3とを備える。圧力分布センサ2は、測定対象から加えられる圧力分布を測定し、コンピュータ1は、これに基づいて測定対象の荷重バランスを評価する。以下、各装置1~3の構成を説明した後、コンピュータ1により制御される圧力分布の測定処理について説明する。
【0020】
<2.各部の構成>
<2-1.圧力分布センサ>
図1に示すとおり、圧力分布センサ2は、測定面20を有する。圧力分布センサ2は、測定面20に加えられた圧力分布を測定する感圧センサ(タクタイルセンサ)である。測定面20には、格子状に配列された多数のセンサ素子20aが含まれる。これに限定されないが、本実施形態の圧力分布センサ2は、シート状に構成されており、さらに可撓性を有する。従って、ここでの圧力分布センサ2は、例えば、車椅子の座面や背面、ベッドの寝床面、クッションの表面、枕の表面等、必ずしも平面状でない様々な面に設置することができ、被測定者からこのような面に加えられる圧力を測定することができる。ただし、圧力分布センサ2は、測定面20に圧力が加えられたときに実質的に変形しない程度の十分な剛性を有するように構成することもできる。また、圧力分布センサ2の測定対象は、人である必要はなく、機械部品や工業製品等の物品であってもよい。
【0021】
これに限定されないが、本実施形態の測定面20は、矩形状である。圧力分布センサ2は、多数のセンサ素子20aに接続される多数の配線が含まれる延長部22をさらに有する。本実施形態では、延長部22もシート状に構成されており、さらに可撓性を有する。延長部22において測定面20の反対側の端部(先端部)には、以上の配線を介して多数のセンサ素子20aをコネクタ3に接続するための端子が配置される。
【0022】
<2-2.コネクタ>
図1に示すとおり、コネクタ3は、筐体31と、筐体31内に保持される回路基板32とを有する。
図2は、コネクタ3及びコンピュータ1の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すとおり、回路基板32上には、測定回路33、通信回路34及び演算回路35が搭載されている。
【0023】
筐体31には、圧力分布センサ2の延長部22の先端部が差し込み可能なスロットが形成されている。そして、当該先端部が当該スロット内に挿入されることにより、圧力分布センサ2とコネクタ3との接続状態が形成される。以上の接続状態で、測定回路33は、圧力分布センサ2の延長部22の先端部における端子に接続され、各センサ素子20aの状態を検出し、各センサ素子20aの状態を示す測定データを生成する。なお、ここでいう各センサ素子20aの状態とは、測定面20において当該センサ素子20aに対応する部分に加えられた圧力に応じた状態である。よって、測定回路33により生成される測定データは、測定面20に加えられた圧力分布を測定した測定データであり、各センサ素子20aにより測定された圧力の測定値を含む。
【0024】
通信回路34は、コネクタ3をコンピュータ1に接続するための通信インターフェースであり、以上の測定データをコンピュータ1に送信する。通信回路34とコンピュータ1とは、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。演算回路35は、測定回路33及び通信回路34を含む、回路基板32上の各種回路を制御する。
【0025】
<2-3.コンピュータ(荷重バランス評価装置)>
コンピュータ1は、その名のとおり、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等として実現される。
図2に示すとおり、コンピュータ1には、プログラム1aがインストールされている。プログラム1aは、コンピュータ1が読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体から、或いはコンピュータ1が接続されるLANやインターネット等の通信ネットワーク上の端末から取得される。プログラム1aは、コンピュータ1に後述する動作を実行させる。
【0026】
コンピュータ1は、ディスプレイ11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11~15は、互いにバス線等の通信線16を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ11は、コンピュータ1の本体の筐体に一体的に組み込まれていても、外付けであってもよい。
【0027】
記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置から構成することができる。記憶部13内には、プログラム1aが格納されている他、コネクタ3を介して圧力分布センサ2から送信されてくる測定データが保存される。通信部15は、様々な形式の通信接続を確立する通信インターフェースとして機能し、コネクタ3の通信回路34との間の通信を可能にする。入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等で構成することができ、コンピュータ1に対するユーザーからの操作を受け付ける。ディスプレイ11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、各種画面を表示する。
【0028】
制御部14は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内のプログラム1aを読み出して実行することにより、仮想的に圧力導出部14a、領域設定部14b及び生成部14cとして動作する。各部14a~14cの動作の詳細は、後述する。制御部14は、各センサ素子20aからコネクタ3を介して取得される測定データに基づいて、測定対象から測定面20に加えられた荷重の分散状態を分析する。分析の結果を示す荷重バランス情報は、ディスプレイ11上に表示される。
【0029】
<3.圧力分布の測定処理の詳細>
次に、
図3を参照しつつ、コンピュータ1で実行される圧力分布の測定処理について説明する。同処理に先立つ準備として、測定者は、圧力分布センサ2をコネクタ3を介してコンピュータ1に接続する。また、測定者は、入力部12を介して所定の操作を行うことにより、制御部14に圧力分布の測定処理を開始させる。なお、測定者は、被測定者と同じ人であっても、別人であってもよい。
【0030】
その後、圧力分布センサ2の測定面20に圧力が加えられると、コネクタ3がこれを検出し、測定面20に加えられた圧力分布を示す測定データを生成する。この測定データには、各センサ素子20aにより測定された圧力の測定値が含まれるとともに、各測定値が、測定面20上のどの位置に(つまり、どのセンサ素子20aに)対応するかを示す情報が含まれる。この測定データは、コネクタ3からコンピュータ1に送信され、圧力導出部14aは、通信部15を介してこれを受信する(ステップS1)。
【0031】
続いて、圧力導出部14aは、ステップS1で受信した測定データに基づいて、測定面20に加えられた圧力分布を導出する(ステップS2)。ここで導出される圧力分布は、測定面20上の圧力分布であり、測定面20上のどの位置に(つまり、どのセンサ素子20aに)どのような大きさの圧力が加えられたかを示す情報を含む。よって、ここで導出される圧力分布は、測定面20上での圧力マップであると言うこともできる。
【0032】
続いて、領域設定部14bが、ステップS2で導出された測定面20上の圧力分布に基づいて、仮想的に測定面20を複数の領域に分割する(ステップS3)。本実施形態では、測定面20上において圧力が加えられた加圧領域の重心を基準点として、測定面20が複数の領域に分割される。
図4は、測定面20上に被測定者が着座したときの、測定面20上の圧力分布を示す圧力分布
図G1である。圧力分布
図G1の矩形状のグラフ領域B1は、測定面20に対応する領域を表しており、グラフ領域B1内にB2で示される領域が、加圧領域を表している(以下、加圧領域にも、参照符号B2を付すことがある)。
図4のグラフ領域B1内の各微小領域には、当該微小領域に加えられた圧力の大きさに応じた色(濃淡)が付されている。これにより、
図4の圧力分布
図G1では、圧力分布がマップ状ないしは等圧線状に示される。なお、加圧領域B2とは、被測定者と測定面20とが接触する領域に対応する。
【0033】
具体的には、領域設定部14bは、測定面20上の圧力分布に基づいて、測定面20上において圧力が加えられた加圧領域B2の重心を算出する。加圧領域B2の重心は、加圧領域B2内の各点(微小領域)に加えられた圧力に応じた重みで重み付けすることにより算出される重心であってもよいし、そのような重み付けなしに算出される重心であってもよい。前者の重心とは、各点(微小領域)に加えられた圧力(荷重)を考慮した中心(荷重中心)であり、例えば、特許文献1に記載の重心位置の計算方法によって算出することができる。なお、特許文献1では、各点(微小領域)の重みは、当該点に加えられた圧力に比例するが、例えば、当該点に加えられた圧力の二乗に比例する等、当該点に加えられた圧力に応じて適宜設定することができる。後者の重心とは、その点を通る任意の軸に対する断面一次モーメントが0になる点であり、図心とも呼ばれる点である。
【0034】
続いて、領域設定部14bは、以上のとおり算出された加圧領域B2の重心を基準点として、仮想的に測定面20を複数の領域に分割する。本実施形態では、測定面20は、前後2分割、左右2分割、及び前後左右4分割の3つの態様で分割される。
図4では、加圧領域B2の重心がP1で示されている。領域設定部14bは、同図に示されるように、重心P1を通る直線L1を境界線として、領域B1で示される測定面20を左及び右の2つの領域A11及びA12に分割する。また、領域設定部14bは、重心P1を通る直線L2を境界線として、測定面20を前及び後の2つの領域A21及びA22に分割する。さらに、領域設定部14bは、これらの直線L1及びL2を境界線として、測定面20を左前、右前、左後及び右後の4つの領域A31~A34に分割する。直線L1及びL2は、互いに直交し、格子状に配列されるセンサ素子20aの2つの配列方向にそれぞれ一致する。直線L1は、矩形状の測定面20の一辺に平行であり、直線L2は、当該一辺に隣接する辺に平行である。
【0035】
次に、生成部14cは、ステップS3で分割された領域毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を生成し、これを表示する表示画面W1(
図5参照)をさらに生成する(ステップS4)。本実施形態では、荷重バランス情報の1つの種類として、
図4に示す圧力分布
図G1が描画される。
図4の圧力分布
図G1は、ステップS3までで取得されている情報に基づいて、描画可能である。具体的には、生成部14cは、測定面20に対応するグラフ領域B1を描画し、同領域B1内において、ステップS2で導出された圧力分布を図化する。さらに、グラフ領域B1内において、ステップS3で算出された重心P1に対応する点を特定し、これを基準点として、上述した境界線L1及びL2を描画する。よって、描画された境界線L1及びL2により、領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34が、グラフ領域B1内において視覚的に区別可能な態様で表示される。
【0036】
表示画面W1上の圧力分布
図G1を見た測定者は、測定対象(
図5の例では、被測定者が着座したときの臀部)に加わる荷重バランスを容易に理解することができる。すなわち、境界線L1及びL2の交点が示す重心P1を基準として、左、右、前、後、左前、右前、左後及び右後の領域にどれくらいの荷重が加わっているのかを容易に理解することができる。つまり、測定対象を基準として、より具体的には、測定対象の荷重状態に基づいて定まる重心P1を基準として、荷重がどのようなバランスで分散しているのかを容易に把握することができる。
【0037】
また、本実施形態では、別の種類の荷重バランス情報として、領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34に加えられた荷重と、これらの領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34内において圧力が加えられた領域の面積(すなわち、測定対象と測定面20との接触面積)とが算出される。なお、ここでの荷重及び接触面積は、領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34毎に算出される。また、荷重バランス情報として、領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34毎に、測定面20全体での荷重及び接触面積に対し以上の荷重及び接触面積がそれぞれ占める割合も算出される。算出された荷重及び接触面積、並びにこれらの割合は、表示画面W1上に様々な態様で表示することができるが、
図5に示される好ましい例では、表G2の形式で表示される。
【0038】
表示画面W1上の表G2を見た測定者は、測定対象に加わる荷重バランスを容易に理解することができる。すなわち、圧力分布
図G1の場合と同様に、重心P1を基準として、左、右、前、後、左前、右前、左後及び右後の領域にどれくらいの荷重が加わっているのかを容易に理解することができる。つまり、測定対象を基準として、より具体的には、測定対象の荷重状態に基づいて定まる重心P1を基準として、荷重がどのようなバランスで分散しているのかを容易に把握することができる。
【0039】
表示画面W1の表示後、
図3の測定処理は終了する。以上の実施形態によれば、圧力分布センサ2により測定された圧力分布に基づいて、圧力分布センサ2の測定面20が複数の領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34に分割される。言い換えると、測定対象から加えられる、ないしは測定対象に加わる荷重状態を基準として、複数の領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34が設定される。表示画面W1は、こうして設定された領域A11、A12、A21、A22及びA31~A34毎の荷重状態を示す荷重バランス情報を表示するため、測定対象の荷重バランスの理解を助けることができる。
【0040】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下に示す変形例の要旨は、適宜、組み合わせることができる。
【0041】
<4-1>
ステップS3において測定面20を分割するための基準点は、上述したものに限られない。加圧領域B2の重心P1以外にも、圧力分布に基づいて定められる様々な点を、測定面20を分割するための基準点とすることができる。例えば、領域設定部14bは、ステップS2で導出された圧力分布に基づいて、加圧領域B2に外接する外接領域B3を特定し、外接領域B3の図心P2を基準点として、測定面20を複数の領域に分割してもよい(
図6参照)。
図6に例示される外接領域B3は、矩形状であるが、円形であってもよいし、四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状に設定することができる。
図6の例では、外接領域B3を前後方向及び左右方向に均等に分割することにより、測定面20が分割される。
【0042】
また、上記実施形態では、測定面20は、左右に2分割、前後に2分割、かつ、前後左右に4分割されたが、測定面20の分割方法は、これに限られない。例えば、左右に2分割のみしてもよいし、前後に2分割のみしてもよいし、前後左右に4分割のみしてもよい。また、圧力分布に基づいて設定される2つ以上の基準点を基準として、前後に3分割以上してもよいし、左右に3分割以上してもよいし、前後左右方向に6分割以上してもよい。ここでいう2つ以上の基準点は、上述した加圧領域B2の重心P1又は外接領域B3の図心P2を含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、上述した外接領域B2を前後及び左右方向にそれぞれ均等に3分割することにより、6分割してもよい。また、上述した重心P1や図心P2等を基準点として、当該基準点から放射状に延びる境界線により、測定面20を分割してもよい。
【0043】
<4-2>
上記実施形態では、荷重バランス情報として、分割された領域毎に、当該領域に加えられた荷重及び当該領域内の接触面積、並びにこれらの割合が算出された。しかしながら、分割された領域毎に算出される指標はこれらに限られず、例えば、分割された領域に加えられた圧力(当該領域内での平均圧力であり、例えば、当該領域に加えられた荷重を当該領域内での接触面積で除したもの)、及び測定面20全体での平均圧力に対する当該領域内での平均圧力の比率を算出することもできる。
【0044】
<4-3>
以上に説明した圧力分布の測定処理は、様々な測定対象に適用することができる。上述した例以外にも、歯の咬合圧の圧力分布を測定する場面でも適用することができる。この場合、上述した圧力分布センサ2に代えて、例えば、特開2008-256470号公報や特開2005-87646号公報に示すような、同じく測定面を有する圧力分布センサを使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100 センサ装置
1 コンピュータ(荷重バランス評価装置)
14a 圧力導出部
14b 領域設定部
14c 生成部
2 圧力分布センサ
20 測定面