(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】防水かつ防塵のクイックカップリング
(51)【国際特許分類】
F16L 37/084 20060101AFI20240314BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F16L37/084
F16J15/10 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019083636
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519152973
【氏名又は名称】ファステル エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】FASTER S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ロセッティ
(72)【発明者】
【氏名】イゴール ポルガティ
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0199297(US,A1)
【文献】特開2016-099006(JP,A)
【文献】特開平01-105071(JP,A)
【文献】特開2011-117582(JP,A)
【文献】特開2012-062959(JP,A)
【文献】特開平04-211792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/084
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(11)と、油圧ラインを接続するために前記本体(11)に連結されたアダプタ体(60)とを含むメスハーフカップリング(10)を備えるフラットフェーススクリュークイックカップリング(100)であって、前記本体(11)は、前部(11a)および後部(11b)を含み、前記前部(11a)は、油圧ラインに接続可能なオスハーフカップリング(50)の前部(51)を収容するように構成されており、前記本体(11)は、更に、前記本体(11)の外側に摺動可能に連結されており、かつ、前記メスハーフカップリング(10)と前記オスハーフカップリング(50)との接続/前記メスハーフカップリング(10)からの前記オスハーフカップリング(50)の分離を可能にする第1の動作位置と、前記接続/分離動作が妨げられる第2の動作位置との間を移動可能な安全リングナット(20)を備えており、更に、前記リングナット(20)と前記本体(11)の前記前部(11a)との間に配置される第1のシーリングガスケット(25)と、前記リングナット(20)と前記本体(11)の前記後部(11b)との間に配置された第2のシーリングガスケット(35)と、を含む、フラットフェーススクリュー
クイックカップリング(100)において、前記本体(11)の前記前部(11a)は、前記安全リングナット(20)の最大ストロークよりも長い長さで前記メスハーフカップリング(10)から前方に延在しており、前記第1のガスケット(25)は、トロイダル形状を有しており、半径方向平面上に、前記トロイダル形状の内側に面しており、前記本体(11)
の前記前部(11a)に載置するために実質的に平坦な第1の側面(26)と、前記トロイダル形状の外側に面しており、第1の部分(29a)と第2の部分(29b)との間に配置される接続部分(29c)から上方に突出しており、前記リングナット(20)上に得られる第1のガスケットに対応した形状の収納箇所(20a)内に挿入されるように構成されている第1の部分(29a)および第2の部分(29b)を有する第2の側面(29)と、を含む横方向プロファイルを有することを特徴とする、フラットフェーススクリュー
クイックカップリング(100)。
【請求項2】
前記リングナット(20)上に得られる前記第1のガスケットに対応した形状の収納箇所(20a)および前記第1のガスケット(25)は、一旦ガスケットが組み立てられると、前記第1のガスケット(25)の前記第1の部分(29a)が前記メスハーフカップリング(10)の前部に面して、防水性および防塵性を確実とするように構成されており、前記第2の部分(29b)は前記収納箇所(20a)内に完全に挿入されて、前記リングナット(20)の並進運動の際に、前記第2のガスケット(25)の横方向の安定性を確実にすることを特徴とする、請求項1に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項3】
前記第1のガスケット(25)の横方向プロファイルは、前記接続部分(29c)と直交する方向に対して傾斜した部分(29d)を含むことにより、前記リングナット(20)の前記収納箇所からの前記第1のガスケット(25)の押し出しに対する前記第1のガスケット(25)の安定性を保証するアンダーカットを画定することを特徴とする、請求項1または2に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項4】
前記第2のシーリングガスケット(35)は、トロイダル形状を有しており、半径方向平面上に、前記トロイダル形状の内側に面しており、前記本体(11)を前記後部(11b)に載置するために実質的に平坦である第1の側面(35a)と、前記トロイダル形状の外側に面しており、前記リングナット(20)の内面(20b)に接触するために、中央接続部分(35c)から前記トロイダル形状の外側に向けて延在する2つの接触肩部(35b´)を有する第2の側面(35b)とを含む横方向プロファイルを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項5】
前記第2のガスケット(35)の横方向プロファイルの2つの側方部分(36)はそれぞれ、前記接触肩部(35b´)を前記横方向プロファイルの下部から分離するループ(37)を備えることを特徴とする、請求項4に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項6】
前記ループ(37)は、前記第2のガスケット(35)の側面(36)全体に沿って周方向に展開することを特徴とする、請求項5に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項7】
前記第1のガスケット(25)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項8】
前記第2のガスケット(35)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項9】
更に、前記本体(11)に得られ、前記本体(11)と前記アダプタ体(60)との間に配置され、ウェイワイパー機能も有する、収納箇所内に収容された少なくとも1つの第3のガスケット(45)を備え、前記少なくとも1つの第3のガスケット(45)は、半径方向平面上に、本体(47)からストーク(46)が分岐している本体(47)を含む横方向プロファイルを有するトロイダル形状を有しており、前記プロファイルは、前記トロイダル形状の内側に面しており、湾曲した接続部分(45b)に接続される第1の部分(45a)を有しており、前記湾曲した接続部分(45b)は、前記第1の部分(45a)を実質的に垂直な横方向部分(45c)に接続し、前記実質的に垂直な横方向部分(45c)は、前記トロイダル形状の外側に面する第2の実質的に水平な部分(45d)に接続されており、前記第2の実質的に水平な部分(45d)は前記横方向部分(45c)に平行な実質的に垂直な肩部(45e)に接続され、実質的に垂直な肩部(45e)は、頂部において、前記第1の部分(45a)および端部(45f)によって画定されるストークを画定する端部(45f)に接続されており、前記ストーク(46)は、前記アダプタ体(60)と接触するように構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項10】
前記第3のガスケット(45)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造されていることを特徴とする、請求項9に記載のクイックカップリング(100)。
【請求項11】
前記本体(11)内に収容された2つの前記第3のガスケット(45)を備えることにより、前記ストーク(46)が互いに対して反対方向を向くことを特徴とする、請求項9または10のいずれか一項に記載のクイックカップリング(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流体用クイックカップリングに関しており、特に、建物等の解体等の建築分野や重作業用機械にて使用されるタイプの、特に防水かつ防塵となるように設計および試験されたフラットフェーススクリューカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
考慮されるタイプの加圧流体用クイックカップリングは、少なくとも2つの本体を含み、第1のメスハーフカップリング内にはオスハーフカップリングが挿入されており、安全リングナットが設けられたスクリューカップリングによって係止されている。
【0003】
カップリングの内側には油圧ラインが軸方向に画定されており、それ自体の中にカップリングの動作および流体力学に必要な複数の構成要素を含む。
【0004】
本明細書で考慮されているタイプのフラットフェーススクリューカップリングの破損または機能不全を引き起こす可能性がある条件として、採石場または現場等の、特に砂、泥および水が多く存在する建物の解体現場等の汚れた環境でのそれらの使用が挙げられる。
【0005】
特に重大な環境条件では、水や塵埃等の外的要素は、既知のタイプのカップリングにおいて、カップリング自体の外側部分、特に以下においてより説明されるようにカップリングのメス部分を超える場合があり、それ故に、カップリング内部に汚れが蓄積し、内部部品がそれ以上摺動しなくなり、および/または一体型ボールベアリングが係止する等の機能不全を引き起こす。
【0006】
更に、カップリング内部への汚れの侵入は、オス/メス接続領域におけるフロントOリング、本体とリングナットとの間の、参照番号2で示されている金属弾性リング、および/または成形ガスケット等の現在存在する密閉要素を損傷する可能性がある。
【0007】
密閉要素の損傷は、オイル漏れを引き起こし得る。
【0008】
本明細書で考慮されているタイプの既知のカップリングが
図1および
図2に示されている。より具体的には、
図1は結合されたオスハーフカップリングおよびメスハーフカップリングを示す一方、
図2はメスハーフカップリングのみを示している。
【0009】
既知のタイプのこのようなクイックカップリングは、汚れの入口となる多くの潜在的なポイントを有しており、極端な使用において、それらを破損または機能不全にさせる。
【0010】
より具体的には、
図1を参照すると、本明細書で考慮されているタイプのフラットフェーススクリューカップリングにおける汚れおよび水の入口に関する重大なポイントは、以下の通りである。
-Oリング1によって密閉が保証されているオスとメスとの間の接続領域。しかしながら、Oリング1は汚れの入口に対して良好なバリアを提供する。
-自動安全リングナット20のストローク端部当接領域。リングナット20は、その挿入を可能にするための開放部分を当然に有する金属弾性リング2上に載置されており、この金属上への金属の載置は、汚れや塵埃に対する密閉を保証せず、更には、開放領域は密閉のために特に重要なポイントである。
-接続が成功したことを視覚的に示すために、本出願人によって製造されるタイプのカップリングにおいて緑色に着色されるバンド3が設けられているリングナット20の後部領域。既知のタイプのカップリングにおける緑色のバンドは、熱可塑性エラストマー、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造されている。既知のタイプのカップリングにおけるこの構成要素の主な目的は、主に、接続が成功したことを視覚的に示すことであり、バンドは、リングナット自体の摺動を係止しないよう、リングナット20との干渉が実質的にゼロになるように、平坦な表面を有する実質的に長方形の横方向プロファイルを有するように構成されている。従って、バンド3のこの構成は、水や塵埃に対する密閉を保証するものではない。
-水や塵埃に対する密閉のための別の重要な領域は、後部ウェイワイパー4の領域である。これらの要素は、ワイピング機能を果たすよう密閉するために特に重要であり、それらは一般的にニトリルゴム(NBR)から製造されており、問題となるカップリングの通常の動作中に容易に到達する約100°Cの温度で軟化する。この理由と、その内径に対して小さい断面と組み合わされた「柔らかい」材料の使用によって引き起こされる、常に正確とは言えない公差との両者により、この構成要素は密閉を保証せず、時にはワイピング機能さえ正確に実行できず、交換しなければならない場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に照らして、本発明の課題は、特に防水かつ防塵のフラットフェースクイックカップリングを提供することによって、本明細書で検討されるタイプのクイックカップリングに影響を及ぼす欠点を解決することである。
【0012】
そのような課題の範囲内で、本発明の目的は、土工機械や、建物解体用のクレーン、石油およびガスプラットフォームへの設置等の塵埃の多い作業環境での使用によって引き起こされる機能不全を回避または少なくとも著しく減少させるフラットフェースクイックカップリングを提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、特にIP(International Protection Marking)の問題のために設計された実験室試験に合格することができるフラットフェースカップリングを提供することであり、これにより、カップリングは防水かつ防塵となるように設計および試験されることが保証され、重大な環境での動作が保証される。
【0014】
より具体的には、IP規格は、固体粒子(塵埃等)の侵入および液体の侵入に対する機械装置(ケーシング)および電気パネルによって提供される保護の程度を分類および評価する。コードは頭字語IPとそれに続く2つの数字で表され、1つ目の数字は、ケーシングが固形異物の侵入を防ぐ保護レベルを示しており、2つ目の数字は、
図11に示される表による、液体の侵入に対する保護を示している。
【0015】
本発明の更なる目的は、防水かつ防塵のフラットフェースカップリングを提供すると同時に、同一出願人によって現在商品化されている既知のタイプのカップリングの主要な機能を構成する、同等の機械的、流体力学的に使用が容易であるという特徴を維持することである。
【0016】
更に、本発明の他の目的は、水および塵埃に対して完全な密閉を得るように特別に設計されたガスケットを備えたカップリングを提供することであり、それ故に、本発明の主題は、そのようなガスケットのために選択されるプロファイルおよび材料でもある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題、並びに以下でより明確に示されるであろう言及された目的および他の目的は、添付の請求項1によるフラットフェースクイックカップリングによって達成される。
【0018】
本発明によるカップリングの他の特徴は従属請求項に記載されており、これもまた本明細書の不可欠な部分を形成する。
【0019】
追加の特徴および利点は、添付の図面を用いて非限定的な例として示される、本発明による密閉されたフラットフェースクイックカップリングの好ましいが非排他的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】同一出願人による最新技術において公知のタイプのカップリングを示す説明図である。
【
図2】最新技術において公知のタイプの、非連結状態のメスハーフカップリングを示す説明図である。
【
図3】本発明による密閉されたクイックカップリングの全体的な部分断面図である。
【
図4】本発明によるメスハーフカップリングの部分断面図である。
【
図5】本発明によるカップリングを備える第1のガスケットの斜視図である。
【
図6A】
図6のガスケットのプロファイルの拡大図である。
【
図7】本発明によるカップリングを備える第2のガスケットの斜視図である。
【
図8A】
図8のガスケットのプロファイルの拡大図である。
【
図9】本発明によるカップリングを備える第3のガスケットの斜視図である。
【
図10】
図9のガスケットの正面部分断面図である。
【
図11】IPxxコードの意味に関連する表である。
【
図12】本発明によるカップリングが取り付けられている解体機械の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特に
図1および
図2を参照すると、加圧流体用のクイックカップリング100´、特に重作業用の建設および機械分野で使用されるタイプのフラットフェーススクリューカップリングが当技術分野において知られており、オスハーフカップリング50´およびメスハーフカップリング10´を備える。
【0022】
本発明による複数のクイックカップリング100が使用されている解体機械300の一例を
図12に示す。
【0023】
公知であるように、このタイプの機械は、機械の輸送要件のためだけでなく使用中の要件としても関節式アームの分解を想定している。実際、例示として、それらが複数階建ての建物を解体するために使用される場合、これらの機械は、建物の高層階を解体するために、より長い(数十メートルの長さの)アームを使用し、続いて、解体作業が進むにつれてより短いアームに取り替えられることが想定される。
【0024】
これは、建物の下層階を解体するために機械が非常に長いアームを維持している場合、機械を建物から非常に遠くに配置しなければならないというサイズ上の理由と、非常に長いアームを有することにより、非常に容易に転倒し得るという機械自体の安定性上の理由との両方からである。
【0025】
従って、このタイプの解体機械は、非常に塵埃の多い環境で動作し、それらに装備されているカップリングは、塵埃および雨水、並びに機械自体の洗浄作業中に強い水噴射に曝露される。
【0026】
既知のタイプのそのようなカップリングは、汚れおよび水の入口に関連していくつかの重要なポイントを有する。それらは、特に図面において参照番号1~4で示されている。
【0027】
それらは、特に以下の領域を含む。
【0028】
Oリング1によって密閉が保証されているオスおよびメス接続領域である。
【0029】
Oリング1は、汚れや水の入り口に対する良好なバリアを保証し、それ故に、密閉要件を上手く満たす要素である。
【0030】
水および塵埃の入口に関連する他の重要な領域は、自動安全リングナット20´のストローク端部当接領域である。
【0031】
リングナット20´は、その挿入を可能にするための開放部分を有する金属弾性リング2上に載置されている。しかしながら、汚れや塵埃に対する密閉を保証しない金属上への金属の載置と、前記開放部分の存在との両者は、密閉するために特に重要な側面である。
【0032】
水および塵埃の入口となり得る別の重要なポイントは、接続が成功したことを視覚的に表すために、本出願人によって作製されるタイプのカップリングにおいて緑色に着色されるバンド3が設けられたリングナット20´の後部領域によって表される。
【0033】
既知のタイプのカップリングにおけるこの構成要素の主な目的は、接続が成功したことを視覚的に示すことであり、バンド3は、リングナット自体の摺動を係止しないよう、リングナット20´との干渉が実質的にゼロになるように、平坦な表面を有する実質的に長方形の横方向プロファイルを有するように構成されている。
【0034】
従って、バンド3のこの構成は、それが防水かつ防塵であることを保証するものではない。
【0035】
ウェイワイパー4が設けられているカップリングの後部領域は、既に上述した理由により、水および塵埃の入口に関連する別の重要な領域である。
【0036】
既知のタイプのカップリング100´に対して、
図3および
図4に示されているカップリング100は、特定された重要な領域を特に参照して、既知のタイプのカップリングによって強調される密閉問題を解決することができる一連の技術的解決法を採用している。
【0037】
より具体的には、本発明によるフラットフェースクイックカップリング100は、ネジ式であり、即ち、オスハーフカップリング50がネジ接続によって接続されているメスハーフカップリング10を含む。
【0038】
メスハーフカップリング10は、本体11と、油圧ラインを接続するために前記本体11に連結されたアダプタ体60とを含む。
【0039】
本体11は、前部11aおよび後部11bを有する。前部11aは、油圧ラインに接続可能なオスハーフカップリング50の対応する前部51を収容するように構成されている。
【0040】
本体11は、更に、前記本体11の外側に摺動可能に連結されており、メスハーフカップリング40との/からのオスハーフカップリング50の接続/分離を可能にする第1の動作位置と、接続/分離動作が妨げられる第2の動作位置との間で移動可能な安全リングナット20を含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、カップリング100は、更に、前記リングナット20と前記本体11の前記前部11aとの間に配置される第1のシーリングガスケット25を備える。
【0042】
前記第1のシーリングガスケット25を収容するために、リングナット20は、リングナットの前方領域に設計されたハウジングシート20aを備えている。
【0043】
前方または前部および後部という用語は、
図3のカップリング100および
図4のメスハーフカップリング10を参照すると明白である。メスハーフカップリング10の前方領域は、特に、オスハーフカップリング50に向かう領域であり、後部領域は、アダプタ領域60に向かう領域である。
【0044】
本発明によるカップリング100はまた、前記本体11の前記前部11aが安全リングナット20の最大ストロークよりも長い長さにわたってメスハーフカップリング10の前部領域内に延在することを特徴とすることにより、本体11の表面と第1のガスケット25との密閉は常に保証されている。
【0045】
本発明によるカップリング100は、更に、前記リングナット20と本体11の前記後部11bとの間に配置された第2のシーリングガスケット35を備える。
【0046】
より具体的には、第1のガスケット25は有利にはトロイダルであり、半径方向横断面上に、ガスケットがカップリング内に設置される際に、前記本体11を前記前部11a上に載置可能とするように、トロイドの内側に面する第1の実質的に平坦な側面26と、トロイドの外側に面しており、第1の部分29aと第2の部分29bとの間に配置される接続部分29cから上方に延在する第1の部分29aおよび第2の部分29bを有する第2の側面29とを含むプロファイルを有する。前記第1の部分29aおよび第2の部分29bは、前記リングナット20上に得られる設計されたカウンター形状のシート20aの内側に挿入されるように構成される。
【0047】
前記リングナット20上に得られるカウンター形状のシート20aと、その中に挿入される第1のガスケット25とは、一旦ガスケットが組み立てられると、前記第1のガスケット25の前記第1の部分29aがメスハーフカップリング10の前部に面して、水および塵埃に対する密閉を確実にし、かつ、前記第2の部分29bは前記シート20a内に完全に挿入され、本体11に沿った前記リングナット20の並進運動の際にも、前記第2のガスケット25の横方向の安定性が保証されるように構成される。
【0048】
有利には、第1のガスケット25の横方向プロファイルは、接続部分29cと直交する方向に対して傾斜した部分29dを含むことにより、前記リングナット20の前記シートからの押し出しに対する前記第2のガスケット25の安定性を保証するアンダーカットを画定する。
【0049】
このようにして、第1のガスケット25から得られるプロファイルは、安全リングナット20上に得られ、かつ前記第1のガスケット25を収容することを意図したカウンター形状のシート20aのプロファイルと組み合わせて、ガスケットの防水性および防塵性に関する側面に関してだけでなく、リングナット20がメスハーフカップリング10の本体11上に既に組み付けられている場合、組立作業者によって、リングナット20上に得られるシート20a内に手動で挿入しなければならない、ガスケット25自体の組立要件に関して、特に詳細かつ複雑な研究課題となった。
【0050】
そのようなシート20aへのアクセスは、カップリングが組み立てられた状態で、専ら前面から行われる故、同時に、前方リングナット本体11のインタフェースの防水性および防塵性を確保し、かつ、カップリングの接続および分離操作において、本体に対するリングナットの移行を可能にし、何らかの特別なツールを使用する必要なしに組み立て時に作業者によって容易に設置可能な第1のガスケット25のプロファイルの設計に特別な注意が払われた。
【0051】
実際、第1のガスケット25は、リングナット20がハーフカップリング10の本体11に既に組み付けられているときに取り付けられなければならない。
【0052】
本発明によるカップリング100の好ましい実施形態によれば、本発明は、更に、トロイダル形状を有し、一旦ガスケットが組み立てられると、本体11が後部11b上に載置されることが保証されるように、実質的に平坦に展開するトロイドの内側に面する第1の側面35aと、トロイドの外側に面しており、中央接続部分35cから上方に、即ちトロイドの外側に向けて延在し、使用時にはリングナット20の内面20bとの接触を保証する2つの接触肩部35b´を有する第2の側面35bと、を含む横方向プロファイルを半径方向平面上に有する第2のシーリングガスケット35を備える。
【0053】
有利には、特に
図7、
図8および
図8Aにおいて見られるように、リングナット20の内面20bに対する2つの接触肩部35b´の密閉は、それらの弾性挙動によって保証され、ガスケット35の横方向プロファイルの側方部分36に得られるループ37の存在によって改善される。
【0054】
特に
図5の全体斜視図を参照すると、接触肩部35b´がトロイドの全周に沿って展開するように、ループ37は第2のガスケット35の側面36全体に影響を及ぼす周展開を有しており、第2のガスケット35は半径方向の中間平面に対して対称的である。
【0055】
2つの接触肩部35b´の存在により、リングナット20が正確に接続されたカップリング状態に対応している
図3に示される位置にある場合と、リングナット20が、分離されたカップリング状態に対応している
図4に示される位置にある場合との両方において、リングナット20の内面20bに対する第2のガスケット35の完全な防水性および防塵性が保証される。
【0056】
本発明の好ましい態様によれば、第1のシーリングガスケット25および第2のシーリングガスケット35の両方は、やはり頭字語TPUによってのみ識別される熱可塑性ポリウレタンから製造されている。
【0057】
有利には、第2のシーリングガスケット35は、成功した接続状態に対する視覚的基準として作用するように、好ましくは緑色に着色されている。実際、
図4を特に参照すると分かるように、カップリングが分離されると、メスハーフカップリング10のリングナット20が第2のガスケット35を完全に被覆する故に不可視となる。
【0058】
図3に示されるように、カップリングが正しく接続される代わりに、リングナット20が前進位置に配置されるとき、作業者は第2のガスケット35を見ることができる。従って、第2のガスケット35を緑色に着色することにより、作業者は結合が成功したことを視覚的に確認することができる。
【0059】
非限定的な例として本明細書に示される本発明の好ましい実施形態によれば、カップリング100は、有利には、前記メスハーフカップリング10上に、本体11に得られ、前記本体11とアダプタ体60との間に配置された、指定されたシートの内側に収容される少なくとも1つの第3のガスケット45を依然として含む。
【0060】
第3のガスケット45もウェイワイピング機能を実行するが、以下により明確に説明されるその特定のプロファイルにより、および、それが100°Cを超える温度に対してより耐性のある材料から製造されているという事実により、本体11とアダプタ体60との間のインタフェースの防水性および防塵性を保証する。これは、上述したように、密閉するための別の重要なポイントである。
【0061】
有利には、一対の第3のガスケット45が設けられ、それぞれが、半径方向横断面上に、本体47を含むプロファイルを有するトロイダル形状を有しており、本体47からストーク46が分岐しており、ストーク46は、実際には、アダプタ体60上で密閉およびウェイワイピング機能を実行するように指定されている。
【0062】
有利には、第3のガスケット45のプロファイルは、湾曲した接続部分45bに接続されるトロイドの内側に面する第1の部分45aを有しており、湾曲した接続部分45bは、前記第1の部分45aを実質的に垂直な横方向部分45cに接続し、実質的に垂直な横方向部分45cは、トロイドの外側に面し、前記横方向部分45cに平行な実質的に垂直な肩部45eに接続されている第2の実質的に水平な部分45dに接続される。
【0063】
肩部45eは、ストーク46を上方から画定する端部45fに接続されており、従って、第1の部分45aおよび端部45fによって画定されている。
【0064】
有利には、2つある第3のガスケット45は両方とも本体11に収容されている故、各ガスケットのストーク46は互いに反対方向を向いている。
【0065】
上述したように、カップリングのあらゆる動作条件において防水および防塵とするために、第3のガスケット45を、ガスケット45がシールおよびウェイワイパーの両方として確実に機能するのに必要な機械的特性を有する材料から製造すること、および、一般的なウェイワイパーを製造するニトリルゴム(NBR)を脅かす温度である100°Cを超える温度においてもそのような機械的特性を維持する能力が非常に重要な側面である。
【0066】
このような結果を得るために、第3のガスケット45は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造されている。
【0067】
本発明によるカップリング100の防水性および防塵性は、IEC規格60529:2013およびEN 60529:1991+A1:200+A2:2013によって想定される厳格な実験室試験に従って試験された。
【0068】
従って、本発明によるクイックカップリングは、現行法規によって想定される試験を経て、コードIP54に対応する試験に合格した。このコードIP54は、装置の動作を妨げないような塵埃に対する保護程度、および、装置の動作を妨げない、あらゆる方向からの水噴射に対する保護程度に対応している。
【0069】
このようにして、本発明によるガスケットの、課題を達成可能とする方法、および本発明が設定する目的の達成方法を示した。
【0070】
本発明は、好ましい実施形態に従って、非限定的な例示目的で記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義されるように、保護の相対的な範囲から逸脱することなく、当業者によって任意の変形および/または修正がなされ得ることが考慮されるべきである。