(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】航空機の床に取り付けられる造作物の試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240314BHJP
B64C 1/18 20060101ALI20240314BHJP
B64F 5/60 20170101ALI20240314BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
B64C1/18
B64F5/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019220109
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】アレキシー エヌ.スミルノフ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-148167(JP,A)
【文献】特開2002-193196(JP,A)
【文献】中国実用新案第203772566(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第02957883(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01M 5/00
G01N 3/00 - 3/62
B64C 1/00 - 1/40
B64F 5/00 - 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の床に取り付けられる造作物の試験方法であって、
前記航空機(100)の前記床(20)、及び、前記航空機(100)の前記床(20)に造作物(30)が取り付けられる取り付け箇所の、コンプライアンス行列を取得し、
試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、伸張部材(71)及びロードセル(72)を配置し、
試験期間において、前記試験造作物(79)に試験負荷を徐々に付与し、
前記試験期間において、所定の試験負荷に達するまで、指定された試験頻度で、
前記試験造作物(79)の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセル(72)で測定し、
前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床(20)の変位を計算し、
前記伸張部材(71)の各々を、対応する前記変位分、調節する、方法。
【請求項2】
前記試験期間において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、前記伸張部材(71)及び前記ロードセル(72)を配置することは、前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセル(72)を配置することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、前記伸張部材(71)及び前記ロードセル(72)を配置することは、前記試験造作物(79)における前記取り付け位置の各々に、前記伸張部材(71)のうちの1つ及び前記ロードセル(72)のうちの1つを取り付けることを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記取り付け箇所の各々は、前記伸張部材(71)及びロードセル(72)のうちの1つを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床(20)の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記床(20)の前記変位を求めることを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記試験期間において、前記所定の試験負荷に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記伸張部材(71)の各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記造作物(30)は、前記航空機(100)の前記床(20)に取り付けられるように各々が構成されたギャレー又は化粧室のいずれかである、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
支持構造体に取り付けられる造作物の試験方法であって、
構造体及び前記構造体に造作物(30)が取り付けられる取り付け箇所のコンプライアンス行列を取得し、その際に、前記構造体は、前記造作物(30)より大きく、
試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセル(72)を配置し、
試験期間において、前記試験造作物(79)に試験負荷を付与し、
前記試験期間において、指定された試験頻度で、
前記試験造作物(79)に付与される前記試験負荷を増大させ、
前記試験造作物(79)の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセル(72)で測定し、
前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記構造体の変位を計算し、
前記油圧シリンダの各々を、対応する前記変位分、調節する、方法。
【請求項10】
前記試験期間中において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記取り付け箇所の各々は
、伸張部材(71)及び
前記ロードセル(72)のうちの1つを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
行及び列を有する前記コンプライアンス行列をさらに含み、前記行及び列の各々の数は、前記取り付け箇所の数と等しい、請求項9~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記造作物(30)は、ギャレー又は化粧室のうちの1つであり、前記構造体は、航空機(100)の床(20)である、請求項9~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記コンプライアンス行列を用いて、前記位置の各々における前記構造体の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記変位を計算することを含む、請求項9~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記試験期間において、
前記試験負荷が所定値に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記油圧シリンダの各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することをさらに含む、請求項9~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、試験方法に関し、より具体的には、航空機に取り付ける造作物(monument)の構造的な能力を判定するための試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の内部は、多くの様々なレイアウトにカスタマイズすることができる。これには、限定するものではないが、化粧室、ギャレー、仕切り、収納庫などの様々な造作物を配置することが含まれる。造作物の作製及び航空機内への取り付けは、飛行、減圧、又は、地上衝突負荷などの所定の負荷に耐えられるように行うべきである。現在のところ、造作物を試験するための様々な試験方法が採用されている。
【0003】
いくつかの試験方法では、航空機の床の代わりである比較的硬質の構造体に、試験造作物を取り付ける。しかしながら、この試験は、床の剛性を考慮していない。別の試験方法では、別体のばねを、試験造作物に取り付けている。この方法は、床の柔軟性を考慮している。しかしながら、当該方法は、試験造作物が床に取り付けられる様々な取り付け箇所間の、撓みの相互依存を考慮していない。
【0004】
別の試験方法では、床のレプリカを作製する。この床のレプリカは、撓みの取り付け箇所間での相互依存性を考慮している。しかしながら、床のレプリカを作製するには、費用及び時間がかかる。また、床は、通常、次の試験で再利用することはできず、従って、追加のレプリカを作製するための費用と時間が加わる。さらに、この方法は、複数の異なる造作物配置や複数の異なる床を試験する必要がある場合、実用的ではない。例えば、造作物の供給業者が、異なる航空機メーカーや、航空機内の異なるゾーンに造作物を供給する場合がそうである。
【発明の概要】
【0005】
一側面は、航空機の床に取り付けられる造作物の試験方法に関する。当該方法は、前記航空機の前記床、及び、前記航空機の前記床に造作物が取り付けられる取り付け箇所の、コンプライアンス行列を取得することを含む。当該方法は、試験造作物における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、伸張部材及びロードセルを配置することを含む。当該方法は、試験期間において、前記試験造作物に試験負荷を徐々に付与することを含む。当該方法は、前記試験期間において、所定の試験負荷に達するまで、指定された試験頻度で、前記試験造作物の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセルで測定すること、前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床の変位を計算すること、及び、前記伸張部材の各々を、対応する前記変位分、調節すること、を含む。
【0006】
別の側面において、当該方法は、前記試験期間において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することも含む。
【0007】
別の側面において、前記試験造作物における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、前記伸張部材及び前記ロードセルを配置することは、前記試験造作物における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセルを配置することを含む。
【0008】
別の側面において、前記試験造作物における、前記取り付け箇所に対応する前記位置に、前記伸張部材及び前記ロードセルを配置することは、前記試験造作物における前記取り付け位置の各々に、前記伸張部材のうちの1つ及び前記ロードセルのうちの1つを取り付けることを含む。
【0009】
別の側面において、伸張部材及びロードセルの数は、前記取り付け箇所の数と等しい。
【0010】
別の側面において、前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記床の前記変位を求めることを含む。
【0011】
別の側面において、当該方法は、前記試験期間において、前記所定の試験負荷に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記伸張部材の各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することも含む。
【0012】
別の側面において、前記造作物は、前記航空機の前記床に取り付けられるように各々が構成されたギャレー又は化粧室のいずれかである。
【0013】
一側面は、造作物よりも大きい構造体に取り付けられる造作物の試験方法に関する。当該方法は、構造体及び前記構造体に造作物が取り付けられる取り付け箇所のコンプライアンス行列を取得することを含み、前記構造体は、前記造作物より大きい。当該方法は、試験造作物における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセルを配置することを含む。当該方法は、試験期間において、前記試験造作物に試験負荷を付与することを含む。当該方法は、前記試験期間において、指定された試験頻度で、前記試験造作物に付与される前記試験負荷を増大させること、前記試験造作物の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセルで測定すること、前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記構造体の変位を計算すること、及び、前記油圧シリンダの各々を、対応する前記変位分、調節すること、を含む。
【0014】
別の側面において、当該方法は、前記試験期間中において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することも含む。
【0015】
別の側面において、油圧シリンダ及びロードセルの数は、前記取り付け箇所の数と等しい。
【0016】
別の側面において、当該方法は、行及び列を有する前記コンプライアンス行列も含み、前記行及び列の各々の数は、前記取り付け箇所の数と等しい。
【0017】
別の側面において、前記造作物は、ギャレー又は化粧室のうちの1つであり、前記構造体は、航空機の床である。
【0018】
別の側面において、前記コンプライアンス行列を用いて、前記位置の各々における前記床の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記変位を計算することを含む。
【0019】
別の側面において、当該方法は、前記試験期間において、前記所定の試験負荷に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記伸張部材の各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することをさらに含む。
【0020】
一側面は、試験中に試験造作物にかかる反応負荷を計算するように構成された演算装置に関する。当該演算装置は、航空機の床、及び、前記航空機の前記床に造作物が取り付けられる取り付け箇所の、コンプライアンス行列を取得するように構成された通信インターフェース回路を含む。処理回路は、前記取り付け箇所に対応する前記試験造作物における取り付け位置における反応負荷を示す信号を受信すること、前記コンプライアンス行列、及び、前記位置の各々における測定された反応負荷を用いて、前記取り付け位置の各々における、前記床の変位を計算すること、及び、前記取り付け位置の各々における伸張部材を、対応する前記変位分、調節すること、を行うように構成されている。
【0021】
別の側面において、前記処理回路は、前記位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定するようにさらに構成されている。
【0022】
別の側面において、前記信号は、前記試験造作物における取り付け位置において前記試験造作物に取り付けられたロードセルから受信される。
【0023】
別の側面において、前記信号は、前記試験造作物に試験負荷が付与される間、受信される。
【0024】
別の側面において、前記処理回路は、床の大域変位分、前記伸張部材の各々を調節するようにさらに構成されている。
【0025】
上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な側面において個別に達成可能であり、また、他の側面との組み合わせも可能である。この詳細については、以下の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図5】単一の箇所に付与された力による、床の撓みの概略図である。
【
図6】力が付与されている状態の試験造作物の概略図である。
【
図7】造作物の試験を制御するための制御システムの概略図である。
【
図10】力が付与されている状態の試験造作物の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願は、航空機の床に取り付ける造作物を試験する方法に関する。当該試験は、床における異なる箇所間の剛性の関係を活用するコンプライアンス行列(compliance matrix)を用いる。これらの箇所は、航空機の床における、造作物が取り付けられる取り付け箇所に対応する。試験は、造作物を複製した試験造作物に対して行われる。試験造作物は、取り付け箇所に対応する位置に、伸張部材及びロードセルを備えている。試験造作物に試験負荷が付与され、各ロードセルで反応負荷が求められる。コンプライアンス行列と反応負荷とを用いて、各取り付け箇所における垂直変位を計算する。そして、各伸張部材を、前記対応する変位量分、垂直方向に調節する。このプロセスは、伸張部材を垂直方向に調節し、試験負荷を試験造作物に付与しつつ、試験期間の間、継続される。試験期間の終了時には、試験造作物が所定の負荷を支持することができるかどうか、及び、取り付け箇所における調節された変位を、判定する。
【0028】
図1は、当該試験方法を適用可能なビークルの一種である、航空機100を示す。航空機100は、ノーズ101、翼102、胴体103、及び、尾部104を含む。
図2は、航空機100の
図1の矢印II-IIで示す断面の概略図である。床20は、内部空間90内に位置しており、内壁91の間に広がっている。天井93は、内部空間90の上方部にわたって広がっている。天井93は、乗客の荷物及びその他の私物を保管するためのコンパートメントを含みうる。貨物倉94が、航空機100の下部の床20の下に配置されている。
【0029】
床20には、座席92が取り付けられており、乗客を収容するために、列状に配置されている。1つ以上の造作物30は、内部空間90内で、床20、天井93、及び、内壁91のうちの1つ以上に取り付けられ、これらは、内部空間90内の様々な位置に配置することができる。造作物30は、様々な構造体を含み、例えば限定するものではないが、ギャレー、収納庫、仕切り、及び、化粧室を含む。
【0030】
床20は、座席92、造作物30、及び、内部空間90内の人を支持するように設計されている。
図3に示すように、床20は、床梁21、ジョイスト22、及び、スタンチョン23を含む、様々な構造部材を含む。限定するものではないが、床パネル、座席トラック、及び、断切部材(intercostals)などの追加の構造部材29も、床20に内蔵することができる。構造部材29によって、床20に必要な強度が与えられる。
【0031】
航空機100の床20の設計に際しては、コンピュータシステムが使用される。1つの方法は、床20の作製及び修正の際に、コンピュータシステムを使用することを含む。例えば、コンピュータシステムを用いて、床の構造分析を行うために、有限要素モデルの作成、実行、処理などを行うことができる。また、コンピュータシステムによって、床20に使用される様々な構造部材29の分析及び最適化を容易にすることができる。
【0032】
図4は、コンピュータシステムを用いて設計される床20のコンピュータモデル40の図を示している。コンピュータモデル40は、構造部材29を複製しており、床20の強度を求めるために用いられる。コンピュータシステムは、構造部材29の数、種類、特性、及びレイアウトを含む床20の設計を、容易化する。コンピュータモデル40は、構造部材29に対する変更、及び、これによる床20の強度変更も、容易化することができる。床20は、手書きによるエンジニアリング分析(long-hand engineering analysis)及び工業的な製図を用いる、より伝統的な方法によって設計することもできる。
【0033】
様々な方法において、床20には、各造作物30の取り付け箇所50がある。取り付け箇所50は、造作物30を床20の所定位置に固定する、造作物30と床20との機械的連結の箇所である。取り付け箇所50の数及び配置は、限定するものではないが、造作物30のサイズ、航空機100の構成、内部空間90内の造作物30の位置を含む、様々な側面に応じて変化する。
図4は、造作物30用の4つの取り付け箇所50を有する設計を含む。各造作物30用の取り付け箇所50の数及び位置は、限定されない。
【0034】
床20の垂直剛性のコンプライアンス行列は、床設計及び取り付け箇所50を用いて、作成される。コンプライアンス行列は、第1取り付け箇所50に1つの垂直負荷を付与して、其々の取り付け箇所50での変位を記録することによって、作成される。このプロセスは、各取り付け箇所50に1つの垂直負荷を付与して、各取り付け箇所50での変位を測定することによって、継続される。各取り付け箇所50に付与される垂直負荷は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
図5は、取り付け箇所が2つしかない、大幅に簡略化された理論上の例における、コンプライアンス行列の第1行を形成する方法の一例を示す。この例は、コンプライアンス行列の作成手順の原理の説明を単純化するために、提示したものである。床20は、箇所A及び箇所Bで表される取り付け箇所50を含んでいる。コンプライアンス行列の第1行を形成するために、既知の負荷F
Aが、床20の第1取り付け箇所50に付与される。負荷F
Aによって、箇所AにおけるδA及び箇所Bにおける-δBという、床20の垂直変位(破線で示す)が発生する。コンプライアンス行列は、付与された負荷に対する変位の割合を含む。例えば、
図5を用いると、コンプライアンス行列の第1行は、C11=δA/F
A、及び、C12=-δB/F
Aを含む。
【0036】
コンプライアンス行列の第2行は、同様にして形成される。まず、負荷FAが、床20から取り除かれる。次に、既知の負荷が、床20の第2取り付け箇所Bに付与される。第1取り付け箇所50から開始して、各取り付け箇所50における変位が収集される。取り付け箇所50の其々における、付与された負荷に対する変位の割合が、第2行を形成する。
【0037】
コンプライアンス行列は、取り付け箇所50の各々に対応するマトリックスを提供する。取り付け箇所50の数によって、コンプライアンス行列のサイズが決まる。5個の取り付け箇所50を有する造作物30は、5×5(すなわち5行×5列)のコンプライアンス行列を有することになる。6個の取り付け箇所50を有する造作物30は、6×6のコンプライアンス行列を有することになる。式1は、
図4の例に示した設計のような、4個の取り付け箇所50を有する造作物30のコンプライアンス行列である。
【数1】
【0038】
取り付け箇所50の剛性は、一般的には、X(前後)方向、Y(左右)方向、及び、Z(上下)方向における3種類の撓み、及び、X軸、Y軸、及び、Z軸周りの3種類の回転で表すことができる。床20及び取り付け箇所50の実用的な設計により、剛性の記述を単純化することができる。具体的には、取り付け金具の設計によって、床20と造作物30との間の回転に係る依存性(rotation dependencies)を除くことができる。また、床パネル(すなわち、乗客が上を歩く構造体)の存在により、X方向及びY方向における床剛性は、Z垂直方向におけるものよりも、劇的に高くなる。このような側面により、6個の剛性値のうちの1つのみ、すなわち、垂直方向における剛性及び変位のみが、試験中に考慮される。従って、コンプライアンス行列は、Z垂直方向における飛行機の床剛性の数学的記述である。
【0039】
図6は、試験用に作製された試験造作物79を示している。試験造作物79は、伸張部材71とロードセル72との対を備えている。伸張部材71とロードセル72との対の数及び位置は、取り付け箇所50に対応している。試験中にコンプライアンス行列を用いることにより、造作物30を複製した試験造作物79が、造作物30にかかるであろう所与の力に耐え得るかどうかを、判定する。
【0040】
伸張部材71は、長さ調節が可能であり、床20の変位を再現するように構成されている。これに関し、床20の可撓性は、撓んだ床を模した伸張部材71の垂直変位によって、試験において、実質的に考慮されている。これにより、試験が、より正確なものとなる。伸張部材71は、例えば、長さ調節が可能な油圧シリンダを含むが、他の様々な機械部品も適宜使用することができる。ロードセル72は、各取り付け箇所における負荷を検出するように構成されている。ロードセル72は、測定可能な電気出力に力を変換するトランスデューサであってよい。
【0041】
試験造作物79は、航空機100の床20に取り付けられる造作物を複製したものである。試験造作物79は、床20に取り付けられる造作物30そのものであってもよい。試験造作物79は、様々な力を付与した結果を判定すべく、試験中に使用されるブランク部材であってもよい。造作物30に作用する力が既知の場合、造作物30の正確な自由体図(free-body diagram)を作成することができ、造作物30及びその部品の構造分析は、大幅に簡略化される。
【0042】
上側アタッチメント89は、試験造作物79を、上側支持部材109に取り付ける役割を行う。上側アタッチメント89によって試験造作物79が固定され、床の反応の低減が可能になる。
【0043】
試験において、制御システム60を、伸張部材71及びロードセル72に機能的に接続することができる。
図7に示すように、制御システム60は、処理回路62を含む。処理回路は、例えば、1つ以上の汎用及び/又は専用プロセッサを含み、これには、(限定するものではないが)1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は、メモリ回路63に保存されたプログラム命令に従って、試験プロセスを制御するための適当なソフトウェア及び/又はファームウェアで構成される他の回路が含まれる。メモリ回路63は、処理回路62で使用するための処理ロジック、プログラミングコード、及び、操作情報を格納する。メモリ回路63は、実施形態によって、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又は、これらの両方を含むことができる。
【0044】
通信インターフェース67は、伸張部材71及びロードセル72との信号の送受信を実現する。通信インターフェース67は、無線通信を実現することができ、例えば電子送信機及び電子受信機を含む。通信インターフェース67は、これに加えてあるいは代えて、シリアル、USB、マイクロUSB、ファイヤーワイヤー(FIREWIRE)、ライトニング(Lightning)、及び/又は、サンダーボルト(Thunderbolt)による接続などの有線接続による信号送受信をサポートするように構成することができる。
【0045】
クロック64は、試験の様々なタイミングを測定するように構成されている。制御システム60は、様々なデータ項目をオペレータに示すための、発光ダイオード(LED)又はLCDディスプレイなどの1つ以上のインジケータ65をさらに含むことができる。また、オペレータからの入力を受信するために、キーパッド、タッチパッド、スイッチ、ダイヤル、ボタン、トラックボールなどの入力装置66を含めることができる。
【0046】
試験中のコンプライアンス行列の使用により、異なる取り付け箇所50に作用する力の相互依存性が考慮される。これにより、試験造作物79が、付与される所定の負荷に耐えることが可能かどうか、及び、床20の取り付け箇所50に発生する変位を、より正確に測定することができる。
【0047】
上述したように、コンプライアンス行列を試験中に使用することにより、床20の変位を求める。一つの試験方法では、単一の当事者が、床20を設計し、取り付け箇所50を決定し、コンプライアンス行列を計算し、試験を行う。別の試験方法では、第1当事者が、床20を設計し、取り付け箇所50を決定し、対応するコンプライアンス行列を計算する。床20及び/又は航空機100の設計が、独自開発のものであり、第1当事者が、全設計を、第2当事者に明かしたくない場合がある。この場合、第1当事者は、コンプライアンス行列及び取り付け箇所50についてのみ第2当事者に情報提供し、これを受けて第2当事者が試験をすることができ、第1当事者が、床20及び/又は航空機100の全設計を明かす必要は無い。
【0048】
図8は、試験方法を示している。試験造作物79は、対応する各取り付け箇所50に、伸張部材71とロードセル72との対を備えている(ブロック152)。次に、試験負荷が、試験造作物79に徐々に付与される(ブロック154)。試験負荷は、取り付け箇所50から離れた位置の試験造作物79に付与することができる。1つの試験方法は、試験造作物79の重心に試験負荷を付与することを含む。試験造作物79の構成によって、重心は、例えば、試験造作物の上部と下部とのほぼ中間に位置する。試験負荷が徐々に付与される間、各ロードセル72で反応負荷が測定される(ブロック156)。
【0049】
コンプライアンス行列を用いて、各取り付け箇所50における床20の変位を計算する(ブロック158)。この変位の行列表記を、式2に示す。
【数2】
【0050】
この例では、試験造作物79に対して4つの取り付け箇所50が用いられており、4×4のコンプライアンス行列になっている。式3は、式2の行列方程式を簡略表記した伝統的な数学表記を含む。
【数3】
【0051】
各変位を求めた後、伸張部材71を、其々、対応する変位分、調節する(ブロック160)。計算及び変位調節の頻度は、限定されない。例えば、試験負荷は、数十秒の試験期間にわたって、試験造作物79に徐々に付与することができる。変位計算は、例えば、試験期間中に、複数回なされ得る。一設計において、計算の頻度は、数十秒にわたる試験において、一秒あたり数回である。
【0052】
試験造作物79に付与される試験負荷が所定値に達すると(ブロック162)、試験が終了する(ブロック166)。試験は、試験負荷が所定値に達した直後、あるいは、試験負荷が、当該所定値で所定時間付与された後に、終了することができる。試験負荷が前記所定値に達していない場合(ブロック162)、試験負荷を増やして(ブロック164)、プロセスを継続する。
【0053】
ある試験においては、試験負荷は、試験造作物79に徐々に付与される。試験負荷が所定値に達していない場合は、試験負荷を増やして(ブロック164)、試験造作物79に付与する(ブロック154)ことができる。反応負荷及び床の変位が、指定された頻度で再び計算され、これに応じて伸張部材71が調節される。このプロセスは、試験負荷が所定値に達するまで継続することができる。
【0054】
試験期間の終了時に、試験造作物79の構造的一体性を分析することができる。構造的一体性を分析することにより、試験造作物79が、試験負荷と取り付け箇所50における変位の両方の合成作用に耐えることができるかどうかを判定することができる。この判定基準は、取り付け箇所50の損傷が無いこと、試験造作物のいずれの部品も、造作物構造の残りの部分から外れていないこと、及び、付与された負荷を試験造作物79が一定時間(例えば3秒)支持できること、を含む。試験プロセスにおける試験造作物79の損傷又は完全な分解は、試験の失敗を表す。この段階で試験を中止し、試験造作物79に対する追加の調節は行わない。
【0055】
コンプライアンス行列の使用により、取り付け箇所50における床の局所変形が考慮される。当該試験は、翼の変形などの他の場面における、より広範囲の床20の変形(すなわち大域変形)も考慮することができる。トータルの変形は、局所変形による床20の変位と、大域変形による床20の変位との合計として、計算することができる。
【0056】
図9は、床の変位につながる局所変形と大域変形との両方を考慮する試験方法を含む。当該試験は、取り付け箇所50における試験造作物79の垂直変位を含む。
【0057】
当該試験は、伸張部材71とロードセル72との対を、試験造作物79における対応する取り付け箇所50に配置すること(ブロック300)を含む。次に、試験負荷が試験造作物79に付与され(ブロック302)、各ロードセル72で反応負荷が測定される(ブロック304)。コンプライアンス行列を用いて、局所変形による床の変位を求める(ブロック306)。
【0058】
さらに、各取り付け箇所50について、大域変形による変位も求める(ブロック308)。この変位は、事前に求めて、制御システム60のメモリ回路63に保存することができる。
【0059】
各取り付け箇所50におけるトータル変位(total displacement)を、床の局所変位(local displacement)と床の大域変位(global displacement)とを合計することによって求める(ブロック310)。これは、例えば、局所変位と大域変位の各々の変位全量(full displacements)を合計することを含む。また、例えば、局所変位と大域変位のうちの一方又は両方について部分量(fraction)を合計することをも含む。1つの方法は、コンプライアンス行列を用いて計算された局所変位と、試験造作物79に付与された試験負荷の割合に応じた大域変位の部分量とを合計することを含む。
【0060】
各取り付け箇所50の変位を求めると、これに応じて、対応する伸張部材71を調節する(ブロック312)。試験負荷が所定値に達すると(ブロック314)、試験が終了する(ブロック318)。試験負荷が前記所定値に達していない場合(ブロック314)、試験負荷を増やして(ブロック316)、プロセスを継続する。
【0061】
一設計において、大域変形は、上側アタッチメント89を介して、試験造作物79に付与されることができる。
図10は、1つ以上の伸張部材71及び対応するロードセル72が、試験造作物79に取り付けられた設計を示している。上側の伸張部材71が、大域変形を表すように、試験造作物79を変形させることができる。
【0062】
試験中は、下側の取り付け箇所50の垂直変位が、上述したように、様々な垂直変位を付与する。そしてさらに、上側の伸張部材71によって、試験造作物79に所定の変位を付与することができる。この変位が、造作物70が経験する大域変形を表す。変位量は、コンプライアンス行列とともに、航空機製造者によって情報提供される。上側の伸張部材71によって付与される変位の量は、大域変位に対応するように、試験中に、変更することができる。
【0063】
図10は、複数の伸張部材71及びロードセル72が、試験造作物79の上面に取り付けられた状態を示している。他の設計において、1つの伸張部材71/ロードセル72や、様々な数の伸張部材71とロードセル72との対を、試験造作物79の1つ以上の面に取り付けることができる。
【0064】
装置及び方法は、航空機100に適用することができる。1つの航空機100は、
図1、
図2、及び、
図3に示すように、各々が乗客を収容するように構成された座席の列を有する民間航空機を含む。他の航空機100は、限定するものではないが、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼機、無人回転翼機、衛星、ロケット、ミサイル、有人陸上航空機、無人陸上航空機、有人水上航空機、無人水上航空機、有人水中移動体、無人水中移動体、及び、これらの組み合わせを含む。
【0065】
付記1. 航空機の床に取り付けられる造作物の試験方法であって、
前記航空機(100)の前記床(20)、及び、前記航空機(100)の前記床(20)に造作物(30)が取り付けられる取り付け箇所の、コンプライアンス行列を取得し、
試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、伸張部材(71)及びロードセル(72)を配置し、
試験期間において、前記試験造作物(79)に試験負荷を徐々に付与し、
前記試験期間において、所定の試験負荷に達するまで、指定された試験頻度で、
前記試験造作物(79)の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセル(72)で測定し、
前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床(20)の変位を計算し、
前記伸張部材(71)の各々を、対応する前記変位分、調節する、方法。
【0066】
付記2. 前記試験期間において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することをさらに含む、付記1に記載の方法。
【0067】
付記3. 前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、前記伸張部材(71)及び前記ロードセル(72)を配置することは、前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセル(72)を配置することを含む、付記1又は2に記載の方法。
【0068】
付記4. 前記試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する前記取り付け位置に、前記伸張部材(71)及び前記ロードセル(72)を配置することは、前記試験造作物(79)における前記取り付け位置の各々に、前記伸張部材(71)のうちの1つ及び前記ロードセル(72)のうちの1つを取り付けることを含む、付記1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
付記5. 前記取り付け箇所の各々は、前記伸張部材(71)及びロードセル(72)のうちの1つを含む、付記1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
付記6. 前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記床(20)の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記床(20)の前記変位を求めることを含む、付記1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
付記7. 前記試験期間において、前記所定の試験負荷に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記伸張部材(71)の各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することをさらに含む、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
付記8. 前記造作物(30)は、前記航空機(100)の前記床(20)に取り付けられるように各々が構成されたギャレー又は化粧室のいずれかである、付記1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
付記9. 支持構造体に取り付けられる造作物の試験方法であって、
構造体及び前記構造体に造作物(30)が取り付けられる取り付け箇所のコンプライアンス行列を取得し、その際に、前記構造体は、前記造作物(30)より大きく、
試験造作物(79)における、前記取り付け箇所に対応する取り付け位置に、油圧シリンダ及びロードセル(72)を配置し、
試験期間において、前記試験造作物(79)に試験負荷を付与し、
前記試験期間において、指定された試験頻度で、
前記試験造作物(79)に付与される前記試験負荷を増大させ、
前記試験造作物(79)の前記取り付け位置の各々における反応負荷を、ロードセル(72)で測定し、
前記コンプライアンス行列を用いて、前記取り付け位置の各々における前記構造体の変位を計算し、
前記油圧シリンダの各々を、対応する前記変位分、調節する、方法。
【0074】
付記10. 前記試験期間中において、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定することをさらに含む、付記9に記載の方法。
【0075】
付記11. 前記取り付け箇所の各々は、前記伸張部材(71)及びロードセル(72)のうちの1つを含む、付記9又は10に記載の方法。
【0076】
付記12. 行及び列を有する前記コンプライアンス行列をさらに含み、前記行及び列の各々の数は、前記取り付け箇所の数と等しい、付記9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
付記13. 前記造作物(30)は、ギャレー又は化粧室のうちの1つであり、前記構造体は、航空機(100)の床(20)である、付記9~12のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
付記14. 前記コンプライアンス行列を用いて、前記位置の各々における前記構造体の前記変位を計算することは、前記取り付け位置の各々における前記変位の間の相互依存性に基づいて、前記変位を計算することを含む、付記9~13のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
付記15. 前記試験期間において、前記所定の試験負荷に達するまで、前記指定された試験頻度で、前記油圧シリンダの各々を、床の大域変位に基づく追加量分、調節することをさらに含む、付記9~14のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
付記16. 試験中に試験造作物にかかる反応負荷を計算するように構成された演算装置であって、
航空機(100)の床(20)、及び、前記航空機(100)の前記床(20)に造作物(30)が取り付けられる取り付け箇所の、コンプライアンス行列を取得するように構成された通信インターフェース回路、及び、
処理回路を含み、前記処理回路は、
前記取り付け箇所に対応する前記試験造作物(79)における取り付け位置における反応負荷を示す信号を受信すること、
前記コンプライアンス行列、及び、前記位置の各々における測定された反応負荷を用いて、前記取り付け位置の各々における、前記床(20)の変位を計算すること、及び、
前記取り付け位置の各々における伸張部材(71)を、対応する前記変位分、調節すること、を行うように構成されている、演算装置。
【0081】
付記17. 前記処理回路は、前記取り付け位置における前記反応負荷が所定量を超えたかどうかを判定するようにさらに構成されている、付記16に記載の演算装置。
【0082】
付記18. 前記信号は、前記試験造作物(79)における取り付け位置において前記試験造作物(79)に取り付けられたロードセル(72)から受信される、付記16又は17に記載の演算装置。
【0083】
付記19. 前記信号は、前記試験造作物(79)に試験負荷が付与される間、受信される、付記16~18のいずれか1つに記載の演算装置。
【0084】
付記20.前記処理回路は、床の大域変位分、前記伸張部材(71)の各々を調節するようにさらに構成されている、付記16~19のいずれか1つに記載の演算装置。
【0085】
本発明は、発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載したものとは異なる態様で実施することができる。記載した実施形態は、あらゆる点において単なる例示であり、限定的なものではないと考えるべきであり、添付の請求の範囲の意味及び均等範囲内のあらゆる変更は、包含されることが意図されている。