(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送方法、及び、搬送装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/14 20060101AFI20240314BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240314BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20240314BHJP
E04G 5/14 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
E04G21/14 ESW
B65G1/00 501C
E04G1/24 301A
E04G5/14 301C
(21)【出願番号】P 2019237413
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平原 美博
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291620(JP,A)
【文献】特開2012-122279(JP,A)
【文献】特開2019-169017(JP,A)
【文献】特開平07-224529(JP,A)
【文献】実開昭59-024847(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14
B65G 1/00
E04G 1/24
E04G 5/14
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資機材を搬送する
複数の搬送装置と、前記搬送装置を所定の位置に動かす動作装置とを有する搬送システムであって、
前記搬送装置は、
前記資機材を収納する空間と、
前記空間の天井を形成して、作業員が搭乗できる天井部とを備え、
前記動作装置は、
それぞれの前記搬送装置が所定の位置で行われる作業に用いる資機材をあらかじめ収納し、それぞれの前記搬送装置を
、それぞれの前記搬送装置が収納する前記資機材に対応する前記所定の位置に搬送し、
前記所定の位置における作業員の作業終了後に、前記搬送装置を搬出する
搬送システム。
【請求項2】
前記所定の位置に、前記資機材があらかじめ対応付けされる
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
資機材を収納する空間と、前記空間の天井を形成して、作業員が搭乗できる天井部とを備える
複数の搬送装置を搬送する搬送方法であって、
それぞれの前記搬送装置が所定の位置で行われる作業に用いる資機材をあらかじめ収納し、それぞれの前記搬送装置を
、それぞれの前記搬送装置が収納する前記資機材に対応する前記所定の位置に搬送する搬送工程と、
前記所定の位置において、前記資機材を取り出す取出工程と、
前記天井部に作業員を搭乗させ
、取り出した前記資機材を用いて作業を行う搭乗工程と、
前記所定の位置における前記作業員の作業終了後に、前記搬送装置を搬出する搬出工程とを含む
搬送方法。
【請求項4】
それぞれの前記搬送装置が有する前記天井部を連結させる連結工程を更に含む
請求項3に記載の搬送方法。
【請求項5】
前記所定の位置で使用される前記資機材を対応付けする対応付工程を更に含む
請求項
3又は4に記載の搬送方法。
【請求項6】
資機材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を所定の位置に動かす動作装置とを有する搬送システムが、前記搬送工程、及び、前記搬出工程を行う
請求項3乃至
5のいずれか1項に記載の搬送方法。
【請求項7】
資機材を搬送する搬送装置であって、
前記資機材を収納する空間を形成する側面部と、
前記側面部に対して直交し、かつ、前記空間の天井を形成する天井部とを備え、
前記側面部は、
前記側面部が重力方向に可動であり、かつ、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、前記天井部に作業員が搭乗して作業する場合における手すりとな
り、
他の搬送装置と連結する連結部を更に備え、
前記連結部は、複数の搬送装置を連結させ、
連結させて最も外側となる前記側面部だけを前記重力方向における上方向に移動させて手すりとする、
搬送装置。
【請求項8】
資機材を搬送する搬送装置であって、
前記資機材を収納する空間を形成する側面部と、
前記側面部に対して直交し、かつ、前記空間の天井を形成する天井部とを備え、
前記側面部は、
前記側面部が重力方向に可動であり、かつ、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、前記天井部に作業員が搭乗して作業する場合における手すりとなり、
前記側面部は、搬送中に、収納する資機材が落下するのを防止する部材により構成される、
搬送装置。
【請求項9】
前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、前記空間に対する開口部が形成される
請求項
7又は8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、
前記手すりが前記天井部から900ミリメートル以上の高さになる
請求項
7乃至9のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記天井部は、
床面からの高さが2000ミリメートル未満、かつ、1500ミリメートル以上である
請求項
7乃至10のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記天井部への搭乗を補助する梯子を更に備える
請求項
7乃至11のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の搬送装置と、前記搬送装置を所定の位置に動かす動作装置とを有する搬送システムであって、
前記搬送装置における前記天井部は、作業員が搭乗でき、
前記動作装置は、
前記搬送装置を前記資機材に対応する前記所定の位置に搬送し、
作業終了後に、前記搬送装置を搬出する
搬送システム。
【請求項14】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の搬送装置を搬送する搬送方法であって、
前記搬送装置を所定の位置に搬送する搬送工程と、
前記天井部に作業員を搭乗させる搭乗工程と、
作業終了後に、前記搬送装置を搬出する搬出工程とを含む
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、搬送方法、及び、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場等において、資機材を搬送する搬送装置が知られている。
【0003】
例えば、いわゆるコンテナを用いて資機材を搬送する方法が知られている。具体的には、まず、コンテナは、畳んだ状態で保管される。そして、資機材を搬送する場合になると、コンテナが組み立てられる。このように、コンテナが組み立てられると、コンテナには資機材が収納できるようになる。したがって、資機材を搬送するのに、コンテナを組み立て、資機材を収納した後、資機材を収納しているコンテナを移動させることで、資機材を搬送させる方法が知られている(例えば、非特許文献1等)。
【0004】
また、AGV(Automated Guided Vehicle、無人搬送車)を用いることで資機材を搬送する方法が知られている。具体的には、資機材を積み下ろしするために水平搬送手段等を有するAGVによって、資機材を水平方向において自動的に搬送することで、労働生産性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1等)。
【0005】
ほかにも、建築現場における工区又はストックヤードに資機材を搬送するのに、フォークリフト、又は、揚重リフト等が用いられる場合がある。そして、フォークリフト、又は、揚重リフト等を用いると、複数の階へ資機材が搬送できる。そこで、フォークリフト、又は、揚重リフト等を用いて、資機材をあらかじめ決められた作業が行われる位置に自動的に搬送する方法が知られている(例えば、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-28974号公報
【文献】特公平8-18649号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】朝日機材株式会社、“E-コンテナ”、[online]、2011年9月、[2019年11月19日検索]、インターネット〈URL:http://www.asahikizai.com/wp-content/uploads/2018/10/e_container_okyaku.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の方法では、搬送システムに用いられる搬送装置が、いわゆる足場として使用できない場合が多い。すなわち、搬送装置の上に作業員が乗って、天井等の高所に対して作業を行うことができない場合が多い。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、作業員が乗ることができる搬送装置を用いた搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の各実施形態に係る搬送装置、搬送システム及び搬送方法は、例えば、以下のような構成である。
【0011】
資機材を搬送する搬送装置(例えば、
図1に示す搬送装置100等である。)は、
前記資機材を収納する空間(例えば、
図1に示す空間SP等である。)を形成する側面部(例えば、
図1に示すメッシュME等である。)と、
前記側面部に対して直交し(例えば、X-Y平面である。)、かつ、前記空間の天井を形成する天井部(例えば、
図1に示す足場材PL等である。)とを備え、
前記側面部は、
前記側面部が重力方向(例えば、Z軸方向である。)に可動であり(例えば、
図1及び
図2のようにメッシュMEは、可動である。)、かつ、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると(例えば、
図2に示すようなメッシュMEの状態等である。)、前記天井部に作業員が搭乗して作業する場合(例えば、
図2(A)に示すような場合である。)における手すり(例えば、
図2(A)に示す手すりHR等である。)となる。
【0012】
以上のような構成であると、搬送装置100は、天井部があるため、作業員が乗ることができる。このように、搬送装置100は、資機材を作業箇所に搬送でき、かつ、作業箇所において足場にできる構成である。
【0013】
また、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、前記空間に対する開口部(例えば、
図2(A)に示す開口部OP等である。)が形成される構成が望ましい。
【0014】
以上のような構成であると、開口部OPから、あらかじめ搭載される資機材を取り出す、又は、空間SPに資機材を収納することが可能である。
【0015】
また、前記空間は、
長手方向において4000ミリメートル以上の長さである構成が望ましい(例えば、
図1(A)に示すY軸方向の搬送装置100の長さである)。
【0016】
以上のような構成であると、搬送装置100は、定尺材を収納できる。
【0017】
また、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると、
前記手すりが前記天井部から900ミリメートル以上の高さになる構成(例えば、
図2(A)に示すような場合である。)が望ましい。
【0018】
以上のような構成であると、搬送装置100は、労働安全衛生規則等で定まる要件を満たし、作業員MN等の落下を防止できる。
【0019】
また、前記天井部は、
床面からの高さが2000ミリメートル未満、かつ、1500ミリメートル以上である構成が望ましい(例えば、
図1(A)に示すZ軸方向の搬送装置100の高さである)。
【0020】
以上のような構成であると、搬送装置100は、高所の作業に足場となり、かつ、容易に設置できる。
【0021】
また、長手方向に対して直交する直交方向における幅が
900ミリメートル乃至1000ミリメートルである構成が望ましい(例えば、
図1(B)に示すX軸方向の搬送装置100の幅である)。
【0022】
また、前記天井部への搭乗を補助する梯子(例えば、
図3に示す梯子LA等である。)を更に備える構成が望ましい。
【0023】
以上のような構成のように、梯子LAがあると、作業員MNは、天井部の上に搭乗するのが容易になる。
【0024】
また、前記搬送装置を所定の位置(例えば、
図5に示す設置位置P2等である。)に動かす動作装置(例えば、
図4に示すAGV101等である。)を更に備える構成が望ましい。
【0025】
以上のような構成であると、例えば、作業が行われない夜間等のうちに、搬送装置100を作業箇所等に設置できる。
【0026】
また、前記動作装置は、前記搬送装置と切り離しが可能である構成が望ましい(例えば、
図6に示すような切り離しである)。
【0027】
以上のような構成であると、AGV101は、他の搬送装置100も動かすことができる。
【0028】
また、他の搬送装置と連結する連結部(例えば、連結板300等である。)を更に備え、
前記連結部は、複数の搬送装置を連結させる構成が望ましい(例えば、
図9乃至
図13に示すような連結である)。
【0029】
以上のように、連結して搬送装置100を使用すると、広い範囲を効率良く作業できる。
【0030】
資機材を搬送する搬送装置(例えば、
図4に示す搬送装置100等である。)と、前記搬送装置を所定の位置に動かす動作装置(例えば、
図4に示すAGV101等である。)とを有する搬送システム(例えば、
図4に示す搬送装置100及びAGV101の組み合わせ等である。)では、
前記搬送装置は、
前記資機材を収納する空間(例えば、
図1に示す空間SP等である。)を形成する側面部(例えば、
図1に示すメッシュME等である。)と、
前記側面部に対して直交し(例えば、X-Y平面である。)、かつ、前記空間の天井を形成する天井部(例えば、
図1に示す足場材PL等である。)とを備え、
前記側面部は、
前記側面部が重力方向(例えば、Z軸方向である。)に可動であり、かつ、前記側面部が前記重力方向における上方向に移動すると(例えば、
図2に示すようなメッシュMEの状態等である。)、前記天井部に作業員が搭乗して作業する場合における手すり(例えば、
図2(A)に示す手すりHR等である。)となる。
【0031】
以上のような構成であると、作業員が乗ることができる搬送装置を提供でき、かつ、搬送装置100を夜間等の作業終了後に自動的に搬送することができる。
【0032】
また、前記搬送装置が作業終了後に搬送されるのが望ましい。
【0033】
作業終了後に搬送工程等が行われると、作業員MNが操作をしなくとも、資機材を作業箇所に搬送できるため、作業員MNの負荷を軽減できる。
【0034】
資機材を搬送する搬送装置を搬送する搬送方法(例えば、
図14に示すような搬送方法である。)は、
前記資機材を収納した前記搬送装置を所定の位置に搬送する搬送工程(例えば、
図14に示すステップS2である。)と、
前記搬送装置が備える前記資機材を収納する空間を形成する側面部を上方向に移動させる移動工程(例えば、
図14に示すステップS5である。)と、
前記資機材が取り出される取出工程(例えば、
図14に示すステップS6である。)と、
前記搬送装置が備える前記側面部に対して直交し、かつ、前記空間の天井を形成する天井部に作業員を搭乗させる搭乗工程(例えば、
図14に示すステップS7である。)と、
作業終了後に、前記資機材を搬出する搬出工程(例えば、
図14に示すステップS8である。)とを含む。
【0035】
以上のような搬送方法が行われると、作業員が乗ることができる搬送装置を作業箇所に提供できる。
【0036】
また、複数の前記搬送装置を用いて、
それぞれの前記搬送装置が有する前記天井部を連結させる連結工程(例えば、
図14に示すステップS4である。)を更に含む搬送方法(例えば、
図14に示すような搬送方法である。)であるのが望ましい。
【0037】
連結工程が行われると、複数の搬送装置100は、連結し、
図9乃至
図13のような状態となる。このように、連結工程が行われると、搬送装置100が連結されて、作業員MNは、広い足場を確保できる。
【0038】
また、複数の前記搬送装置を用いる搬送方法において、
前記搬送工程(例えば、
図14に示すステップS2である。)は、
それぞれの前記搬送装置が収納する前記資機材に対応する前記所定の位置に、前記搬送装置を搬送する工程であるのが望ましい。
【0039】
同じ種類の資機材は、同じ作業箇所で使用される場合が多い。そこで、資機材に対応して所定の位置が定まると、例えば、同じ種類の資機材を搬送する複数の搬送装置100に対して同じ入力を繰り返して入力する作業等を省略できる。
【0040】
また、資機材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を所定の位置に動かす動作装置とを有する搬送システムが、前記搬送工程、前記移動工程、前記取出工程、前記搭乗工程、及び、前記搬出工程を行う搬送方法(例えば、
図14に示すような搬送方法である。)であるのが望ましい。
【0041】
以上のように、搬送システムによって、搬送方法における各工程が行われると、作業員MN等による操作がなくとも、作業員が乗ることができる搬送装置を作業箇所に提供できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る各実施形態によれば、作業員が乗ることができる搬送装置を用いる搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】側面部を重力方向において上方向に移動した場合の例を示す図である。
【
図5】動作装置が搬送装置を動かす例を示す図である。
【
図6】搬送装置と動作装置の切り離し例を示す図である。
【
図8】情報処理システムによる管理例を示す図である。
【
図9】複数の搬送装置を連結する第1例を示す図である。
【
図10】複数の搬送装置を連結する第2例を示す図である。
【
図11】複数の搬送装置を連結する第3例を示す図である。
【
図12】複数の搬送装置を連結する第4例を示す図である。
【
図13】複数の搬送装置を連結する第5例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、発明を実施するための最適かつ最小限な形態を中心にし、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の符号を付す場合には、同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。また、図示する具体例は、例示であり、図示する以外の構成が更に含まれる構成であってもよい。
【0045】
<搬送装置の構成例>
図1は、搬送装置の例を示す図である。以下、搬送装置100によって資機材が搬送される搬送方向を「Y軸方向」とする。そして、Y軸に対して、直交する直交方向を「X軸方向」とする。したがって、X-Y平面が床面GDと平行する面となる。さらに、重力方向を「Z軸方向」とする。
【0046】
図1(A)は、側面図である。また、
図1(B)は、正面図である。さらに、
図1(C)は、平面図である。
【0047】
そして、搬送装置100は、図示するように、Y軸方向に「4200ミリメートル」の長さである。さらに、搬送装置100は、Z軸方向に「1950ミリメートル」の高さである。また、搬送装置100は、X軸方向に「900ミリメートル」の幅である。
【0048】
資機材は、建築現場において、作業に用いる道具、建物に設置される部材、材料又はこれらに付随する付随品等である。例えば、建物に設置される部材は、建物の天井に設置される配管、ダクト、空調機、送風機、又は、これらを天井に設置するための吊治具等である。
【0049】
図1(A)に示すように、搬送装置100は、側面部の例となるメッシュMEを備える構成である。具体的には、メッシュMEは、Y軸方向に設置される板材等である。また、図示する例は、Y軸方向にメッシュMEを4つ設置した場合の例である。さらに、図示する例は、X軸方向、すなわち、前面となる位置にもメッシュMEを設置した場合の例である。このように、メッシュMEは、側面に複数設置される。
【0050】
図1(C)に示すように、搬送装置100は、側面部に対して直交する方向(図では、X-Y平面上である。)に、天井部の例となる足場材PLを備える。すなわち、足場材PLは、搬送装置100における天井を形成する板である。
【0051】
図示するように、足場材PL及びメッシュMEで囲われた内側の空間SPに、資機材が収納される。したがって、資機材を空間SPに収納した後、搬送装置100を移動させると、資機材を搬送できる。
【0052】
搬送装置100は、資機材を収納した後、図示するような形式で搬送される。一方で、搬送装置100は、搬送された後、例えば、以下のように設定される。
【0053】
図2は、側面部を重力方向において上方向に移動した場合の例を示す図である。
図1と比較すると、
図2は、4つのメッシュMEのうち、1つのメッシュMEをZ軸方向において上方向に移動させた点が異なる。
【0054】
このように、メッシュMEは、Z軸方向に上下に可動する機構である。具体的には、メッシュMEは、Z軸方向にスライドする機構である。また、メッシュMEは、上方向に移動させた後、移動後の位置で固定できる機構である。
【0055】
図2に示す状態では、メッシュMEが上方向に移動したことで、開口部OPが形成される。したがって、開口部OPから、あらかじめ搭載される資機材を取り出す、又は、空間SPに資機材を収納することが可能である。
【0056】
また、メッシュMEが上方向に移動したことで、メッシュMEが手すりHRとなる。具体的には、
図2(A)に示すように、メッシュMEは、天井等の高所に対して作業を行う位置(いわゆる作業箇所である。作業箇所は、あらかじめ計画等で定められているとする。)で、作業員MNが搬送装置100を足場(労働安全衛生規則において、「架設通路」、「足場」、「作業床」、又は、「鋼管足場」等である。以下単に「足場」という。)にして使用する際に、メッシュMEが上方向に移動する。
【0057】
このようにすると、作業箇所に資機材を搬送することができる。
【0058】
さらに、作業箇所では、搬送装置100が足場にできる。メッシュMEが手すりHRとなるため(
図2(A)において、他のメッシュMEも上方向に移動させると、天井部を囲むようにできる。)、作業員MNの落下を防止することができる。
【0059】
このように、搬送装置100は、天井部があるため、作業員が乗ることができる搬送装置であって、資機材を作業箇所に搬送でき、かつ、作業箇所において足場にできる構成である。
【0060】
ゆえに、搬送装置100を用いると、作業箇所と資機材を置く置き場(以下単に「置き場」という。)を分けずに配置等ができる。
【0061】
従来、置き場には、資機材を置くため、置き場となる位置には、足場が設置できない。そのため、置き場とした場合には、資機材を別の位置へ搬送しないと、足場が設置できずに、作業箇所にできない場合が多い。そのため、作業効率が悪い場合が多い。
【0062】
一方で、搬送装置100は、資機材を収納できるため、搬送装置100がある位置が置き場にできる。さらに、搬送装置100は、足場にもできるため、搬送装置100がある位置を作業箇所にもできる。ゆえに、搬送装置100の位置は、置き場と作業箇所を兼ねることができる。そのため、足場を組むために資機材を別の位置へ搬送する等の作業が少なくできるため、作業効率を良くすることができる。
【0063】
<変形例>
搬送装置100は、以下のような構成でもよい。
【0064】
メッシュMEは、搬送中に、収納する資機材が落下するのを防止できる形状であればよく、例えば、網状の部材であればよい。
【0065】
メッシュMEは、スライド以外に可動する方式でもよい。例えば、メッシュMEがZ軸において下方にある状態(例えば、
図1に示す状態である。)から、メッシュMEは、メッシュMEの上端部を回転の軸にして回動(Y軸を軸にする回転であって、いわゆるPitch回転する方式となる。)する機構でもよい。
【0066】
ほかにも、メッシュMEは、搬送装置100から取り外し及び取り付けが可能な機構でもよい。具体的には、
図1に示す状態からメッシュMEを取り外した後、
図2に示すような状態となるように、メッシュMEが持ち上げられた状態で取り付けできる機構でもよい。
【0067】
側面部は、メッシュMEに限られない。すなわち、側面部は、資機材を収納する空間が形成でき、かつ、重力方向において上方向に移動させた際に手すりになる部材であればよい。したがって、側面部は、板材、棒材、又は、これらの組み合わせ等でもよい。
【0068】
また、メッシュMEは、4つでなくともよい。すなわち、側面部は、4つ以上、又は、4つ未満のメッシュMEで構成されてもよい。さらに、側面部は、2つ以上のメッシュMEを1つにした物体でもよい。すなわち、2つ以上のメッシュMEをつなげて、1回の開閉で複数のメッシュMEが開閉できてもよい。
【0069】
なお、メッシュMEは、いわゆる前面及び後面となる面にも設置されてもよいし、設置されなくともよい。
【0070】
なお、上記の例では、長手方向を搬送方向とした例で説明したが、長手方向が常に搬送方向でなくともよい。すなわち、搬送装置100は、長手方向以外の方向にも搬送されてよい。
【0071】
また、足場材PLは、1つの板材でもよいし、又は、複数の板材の組み合わせでもよい。
【0072】
搬送装置100は、一般社団法人 仮設工業会が定める仮設機材認定基準(以下単に「仮設機材認定基準」という。)を満たす構成であるのが望ましい。具体的には、移動式室内足場、高所作業台、又は、アルミニウム合金製可搬式作業台等は、建築現場等で足場として使用するには、安全性を確保するため、仮設機材認定基準で定められる要件等を満たす必要がある。
【0073】
すなわち、従来のコンテナ等は、建築現場等では足場としては使用できない場合が多い。一方で、仮設機材認定基準を満たす搬送装置100であると、建築現場等において、資機材を搬送し、かつ、足場としても使用ができる。
【0074】
同様に、天井部は、仮設機材認定基準において、金属製足場板、又は、はり渡し等の基準を満たす構成であるのが望ましい。
【0075】
さらに、手すりHRは、仮設機材認定基準において、くさび緊結式足場用先行手すり、枠組足場用手すり枠、くさび式足場用手すり及び中桟、又は、階段開口部用手すり枠等の基準を満たす構成であるのが望ましい。
【0076】
以上のような仮設機材認定基準を満たす構成であると、労働安全衛生法 第42条、労働安全衛生法施行令 第13条、労働安全衛生法施行令 別表第8に定める鋼管足場用の部材及び附属金具に適合するため、建築現場等に設置が可能となる。
【0077】
したがって、天井部の材料及び構造等は、労働安全衛生規則 第二編 第十章 第二節 第559条乃至第563条、及び、第570条乃至第573条に規定される材料、規格、材質、肉厚、構造、及び、寸法等の要件を満たすのが望ましい。
【0078】
また、手すりHRは、
図2(A)の例における「900ミリメートル」のように、天井部からの高さが「850ミリメートル以上」であるのが望ましい。このような高さのある手すりHRであると、労働安全衛生規則第二編第十章第二節 第552条第1項第4号イを満たす手すりにできる。
【0079】
このように、搬送装置100は、手すりHRによって作業員HNの落下を防止できる。
【0080】
搬送装置100は、床面GDからの高さが「2000ミリメートル未満」であるのが望ましい。高さが「2メートル以上」の構造の足場を組み立てるには、例えば、労働安全衛生規則 第二編 第十章 第二節 第564条等による措置を講じる義務が生じる場合がある。そこで、搬送装置100は、床面GDからの高さが「2000ミリメートル未満」であると、設置等が容易にできる。一方で、搬送装置100は、天井等の高所に対して作業するには、足場として、ある程度の高さがあるのが望ましい。ゆえに、搬送装置100は、床面GDからの高さが「1500ミリメートル以上」であるのが望ましい。
【0081】
このように、1500ミリメートル以上、かつ、2000ミリメートル未満の高さであると、搬送装置100は、高所に対して作業を行う場合において足場となり、かつ、容易に設置できる。
【0082】
また、搬送装置100は、
図1(A)に示す「4200ミリメートル」のように、搬送方向において、「4000ミリメートル以上」の長さであるのが望ましい。例えば、建築現場等では、梁又は桁等の定尺材は、「4メートル」、「5メートル」、及び、「6メートル」等である。したがって、搬送装置100は、定尺材を収納できるように「4000ミリメートル以上」の長さを有するのが望ましい。また、搬送装置100の空間SPは、定尺材を収納する上で、長さにある程度余裕があるのが望ましい。したがって、搬送装置100は、「4200ミリメートル」のような長さであると、定尺材を収納できる。
【0083】
また、搬送装置100は、
図1(B)に示す「900ミリメートル」のように、直交方向における幅が「900ミリメートル」乃至「1000ミリメートル」であるのが望ましい。
【0084】
搬送装置100は、建築現場等には、トラック等で輸送される場合が多い。そして、トラックの荷台は、幅が「2メートル」程度である場合が多い。そこで、搬送装置100の幅が「900ミリメートル」乃至「1000ミリメートル」であると、トラックの荷台等に複数台搭載させるのに、作業が容易にできる。
【0085】
また、搬送装置100は、天井部への搭乗を補助する梯子LAを更に備えるのが望ましい。例えば、搬送装置100は、以下のような構成である。
【0086】
図3は、梯子を備えた搬送装置の例を示す図である。以下、搬送装置100の側面図(
図1(A)等と同様の図面である。)で説明する。
【0087】
図示するように、搬送装置100は、例えば、側面に梯子LAを備える。このように、梯子LAがあると、作業員MNは、天井部の上に搭乗するのが容易になる。
【0088】
搬送装置100は、天井等の高所に対して作業を行うため、「2000ミリメートル」程度の高さになる場合が多い。そのため、天井部の上に搭乗するには、梯子LAのように搭乗を補助する機材がないと、作業員MNが天井部の上に搭乗するのが難しい。
【0089】
そこで、図示するように、梯子LAを備える構成にすると、天井部の上に作業員MNが搭乗するのが容易にできる。特に、梯子LAが一体であると、梯子LAを設置する作業等が少なくできるため、作業をより効率化できる。ただし、梯子LAは、後付けできる構成でもよい。
【0090】
なお、梯子LAの形状、設置位置及び数は、図示するような位置及び数に限られない。すなわち、梯子LAは、側面以外となる前面又は後面等に設置されてもよい。また、梯子LAは、複数設置されてもよい。
【0091】
例えば、梯子LAは、前面(
図1(B)で示す面である。)又は後面等の位置に設置されると、梯子LAを用いて作業員MNが天井部の上に搭乗又は天井部から降りる場合等に、作業員MNの体重に基づいて梯子LA付近にモーメントが発生しても、搬送装置100が倒れにくい。したがって、梯子LAは、前面又は後面等のように短辺側に設置されるのが望ましい。
【0092】
搬送装置100は、例えば、以下のように、動作装置と組み合わせて使用されるのが望ましい。
【0093】
図4は、動作装置を用いる例を示す図である。例えば、動作装置の例である、AGV(Automated Guided Vehicle、無人搬送車 以下、「AGV101」という。)によって、搬送装置100は、所定の位置に動かされるのが望ましい。このように、動作装置の例であるAGV101、及び、搬送装置100を有する搬送システムが構成されてもよい。なお、搬送システムは、1以上の情報処理装置を更に有する構成でもよい。例えば、搬送システムでは、AGV101と情報処理装置は、ネットワークを介して接続される。具体的には、搬送システムは、後述する
図8に示す情報処理システム10、サーバ11、情報処理端末又はこれらの組み合わせ等を用いてもよい。
【0094】
このような構成であると、作業員MNが乗ることができる搬送装置を提供でき、かつ、搬送装置100を夜間等の作業終了後に自動的に搬送することができる。
【0095】
AGV101は、搬送装置100を動かすアクチュエータ、AGV101の現在位置等を計測するためのセンサ、他の外部装置と通信を行うための通信装置、目的地等を入力するためのインタフェース、電源、及び、各ハードウェアを制御するための制御装置等を有するハードウェア構成である。
【0096】
なお、AGV101は、上記のようなハードウェア構成に限られない。すなわち、AGV101は、搬送装置100を動かすことができる装置であればよい。また、AGV101は、1台の装置でなくともよい。すなわち、AGV101は、複数の装置で1台の搬送装置100を動かす装置でもよいし、又は、AGV101は、情報処理装置等を内部又は外部に接続する構成等でもよい。
【0097】
例えば、AGV101は、搬送装置100を以下のように動かす。
【0098】
図5は、動作装置が搬送装置を動かす例を示す図である。以下、初期位置P1に、搬送装置100が置かれているとする。そして、AGV101には、設置位置P2があらかじめ入力される。以下、初期位置P1が「1階」であり、かつ、設置位置P2が「2階」であって、初期位置P1と設置位置P2の階が異なる例で説明する。
【0099】
この例では、AGV101は、まず、初期位置P1からエレベータEVに搬送装置100を動かす。そして、エレベータEVによって、搬送装置100は、「1階」から「2階」へ持ち上げられる。そして、エレベータEVによって、「2階」まで持ち上げられた後、AGV101は、設置位置P2まで搬送装置100を動かす。
【0100】
このように、AGV101によって搬送装置100が所定の位置に設置されると、例えば、作業が行われない夜間等のうちに、搬送装置100を作業箇所等に設置できる。ゆえに、搬送装置100を設置する作業の負荷を軽減させることができる。
【0101】
また、AGV101は、エレベータEV等を使用できるのが望ましい。このように、エレベータEV等を使用して搬送装置100を動かすことができると、各階にAGV101を設置せず、複数の階でAGV101を兼用できる。すなわち、AGV101の数を少なくできる。
【0102】
また、搬送装置100とAGV101は、以下のように、切り離しできるのが望ましい。
【0103】
図6は、搬送装置と動作装置の切り離し例を示す図である。例えば、AGV101は、設置位置P2に搬送装置100を設置した後、図示するように、搬送装置100とは別に切り離されるのが望ましい。このように、搬送装置100とAGV101が切り離せると、AGV101は、他の搬送装置100も動かすことができる。
【0104】
一方で、搬送装置100は、センサ、通信装置、インタフェース及制御装置等を備えるハードウェア構成でもよい。すなわち、搬送装置100がAGVの機能を有する構成でもよい。そして、搬送装置100は、AGVの機能により、搬送装置100が有する車輪をアクチュエータで駆動させて制御装置による制御に基づいて自走する構成でもよい。
【0105】
このようなAGV101を用いると、例えば、以下のように搬送装置100を設置できる。
【0106】
図7は、自動搬送の例を示す図である。この例では、まず、搬送装置100は、トラック21によって、建築現場に輸送される。その後、搬送装置100は、フォークリフト20によって、トラック21から降ろされる。次に、搬送装置100は、フォークリフト20によってエレベータEVの近くへ置かれる。この位置が、
図5における初期位置P1となる。すなわち、初期位置P1に、あらかじめAGV101が準備されると、初期位置P1から、
図5に示すように、AGV101及びエレベータEVによって、搬送装置100は、別の階に持ち上げられる。そして、エレベータEVによって、設置位置P2の階まで、搬送装置100及びAGV101が持ち上げられた後、搬送装置100は、設置位置P2の位置まで動かされる。
【0107】
このように、搬送装置100が自動的に搬送されるのが望ましい。ただし、すべて自動的に搬送されるのではなく、この例のように、一部にフォークリフト20又は作業員MN等による搬送があってもよい。
【0108】
以上のような自動搬送を行う上で、例えば、以下のような情報処理システムが用いられてもよい。
【0109】
図8は、情報処理システムによる管理例を示す図である。
【0110】
BIM(Building Information Modeling)データによって、3DのCADデータと、各モデルに持たせた設計情報又は属性情報とを対応させると、いくつかのモデルから、情報処理システム10は、何階かを判断できる。また、区域の名称等は、属性情報等から読み出して表示できる。
【0111】
したがって、図面データ入力手順が行われると、情報処理システム10は、図面を表示する。具体的には、情報処理システム10は、建築物を図面で示し、図面に対応させて固定ビーコン及び移動ビーコン等を表示できる。
【0112】
情報処理システム10は、搬送装置100等を管理する。すなわち、情報処理システム10は、搬送装置100をマッピング、及び、設置位置P2への移動を制御等を行う。
【0113】
例えば、情報処理システム10は、サーバ11、第1情報処理端末102及び第2情報処理端末103等の情報処理装置を有する。また、サーバ11、第1情報処理端末102及び第2情報処理端末103は、有線又は無線で接続され、相互にデータを送受信することが可能である。したがって、情報処理システム10では、サーバ11による処理結果が、第1情報処理端末102及び第2情報処理端末103等に出力され、各拠点又は現場事務所等で処理結果を見ることができる。また、第1情報処理端末102及び第2情報処理端末103等で操作を入力することで、サーバ11は、操作を受け付けることができる。
【0114】
なお、情報処理システム10は、図示するような構成に限られない。すなわち、情報処理システム10が有する情報処理装置は、1台でもよいし、2台以上の複数であってもよい。以下、図示する構成を例に説明する。
【0115】
まず、建築現場では、搬送装置100に、ビーコン(Beacon)信号を発信する発信器が設置される。さらに、建築現場における柱等にも、発信器が設置される。以下、搬送装置100に設置される発信器を「移動ビーコン121」という場合がある。移動ビーコン121は、搬送装置100が移動すると、一緒に移動するので位置が変動する。すなわち、移動ビーコン121は、搬送装置100の現在位置を知らせるセンサ及び通信装置である。以下、移動ビーコン121の位置は、搬送装置100の位置と同じであるとする。
【0116】
一方で、建築現場における柱等に発信器が設置され、原則としては位置が固定となる。以下、建築現場における柱等に設置される発信器を「固定ビーコン122」という場合がある。したがって、固定ビーコン122の位置は、あらかじめ設置される位置で固定であるとする。
【0117】
また、この例における建築現場では、現場作業員201及び現場作業員202は、スマートフォン、タブレット又はノートPC(Personal Computer)等の携帯端末104を持つとする。以下、携帯端末104が各発信器からの信号を受信する受信器になるとする。そして、受信器は、各発信器からの信号が示す内容、すなわち、各発信器のそれぞれの位置が特定できるデータ(以下「測位データ」という。)を情報処理システム10に送信する。なお、様々なデータが送信されるタイミングは、あらかじめ設定される周期ごとでもよいし、不定期でもよい。
【0118】
このような測位データ等があると、AGV101は、現在位置等を把握できる。したがって、建築現場のマップデータ等を用いると、AGV101は、現在位置と設置位置P2の差から、どのように搬送装置100を動かしたらよいか等を把握できる。
【0119】
なお、情報処理システム10は、図示する以外の情報処理装置及びセンサを有する構成でもよい。
【0120】
また、搬送装置100は、例えば、以下のように連結して使用してもよい。
【0121】
図9は、複数の搬送装置を連結する第1例を示す図である。まず、
図9(A)に示すように、AGV101等によって、2台以上の搬送装置100を設置位置P2に設置したとする。
【0122】
図9(B)に示すように、例えば、複数の搬送装置100は、連結部の例である、連結板300等によって連結して使用してもよい。
【0123】
連結板300は、
図9(B)に示すように、搬送装置100に収納できるように可動な構成であるのが望ましい。そして、連結板300は、
図9(B)のように、搬送装置100を連結した場合には、連結板300上に作業員MNが搭乗できる構成であるのが望ましい。このように、搬送装置100を連結して使用できると、天井等の高所を広く作業の対象にできる。
【0124】
なお、連結板300によって、搬送装置100は、例えば、以下のように、3台以上の搬送装置100を連結して使用されてもよい。
【0125】
図10は、複数の搬送装置を連結する第2例を示す図である。図示する例は、
図9(B)のように連結した2台の搬送装置100を1セットにして、Y軸方向(図では、搬送装置100の長手方向である。)に3セット連結した場合の例である。
【0126】
なお、2セット、又は、3セット以上の搬送装置100が連結されてもよい。また、連結する方向は、Y軸方向に限られず、X軸方向に連結されてもよい。
【0127】
ほかにも、搬送装置100は、以下のように連結されてもよい。
【0128】
図11は、複数の搬送装置を連結する第3例を示す図である。例えば、
図11(A)に示すように、搬送装置100は、AGV101等によって、Y軸方向に3台を連結して使用してもよい。この例では、連結部は、それぞれの搬送装置100を連結する連結部材等である。このように連結部材で連結されると、足場として使用する際に搬送装置100同士が離れてしまうのを防ぐことができる。
【0129】
図11(B)に示すように、設置位置P2では、メッシュMEを重力方向における上方向に移動させて手すりHRとする。このようにして、連結して使用する場合でも、手すりHRがある構成にできると、高所を作業するのに足場として使用できる。
【0130】
なお、搬送装置100は、例えば、以下のように複数の搬送装置100を連結して使用されてもよい。
【0131】
図12は、複数の搬送装置を連結する第4例を示す図である。図示するように、4台の搬送装置100がX軸方向(図における搬送装置100の短手方向である。)に連結されて使用されてもよい。なお、このような連結の場合には、最も外側となるメッシュだけが手すりHRになってもよい。
【0132】
図13は、複数の搬送装置を連結する第5例を示す図である。図示するように、4台の搬送装置100がX軸方向及びY軸方向(図における搬送装置100の短手方向及び長手方向である。)に、2台ずつ連結されて使用されてもよい。なお、このような連結の場合には、最も外側となるメッシュだけが手すりHRになってもよい。
【0133】
なお、上記に示す例で用いられた台数以上の搬送装置100を連結して使用してもよい。
【0134】
また、搬送装置100は、設置位置P2で固定されてもよい。
【0135】
以上のように、連結して搬送装置100を使用すると、広い範囲を効率良く作業できる。
【0136】
例えば、夜間等の作業終了後に搬送装置100がAGV101によって自動的に搬送されてもよい。具体的には、搬送システムは、例えば、以下のような搬送方法を行う。
【0137】
【0138】
ステップS1では、搬送システムは、資機材の収納及び所定の位置を入力する。すなわち、ステップS1では、搬送の準備が行われる。すなわち、搬送装置100は、資機材を収納する。さらに、AGV101は、所定の位置を入力する。
【0139】
ステップS2では、搬送システムは、所定の位置に搬送装置100を搬送する搬送工程を行う。例えば、搬送工程は、作業終了後、すなわち、夜間等に行われる。また、所定の位置は、ステップS1でマップ等によって入力された位置等であり、次の作業で作業箇所となる位置である。したがって、搬送工程が行われると、ステップS1で収納した資機材が所定の位置に搬送される。
【0140】
また、搬送工程は、資機材に対応する所定の位置に搬送装置100を搬送するのが望ましい。このような場合には、ステップS1等によって、それぞれの資機材がどの作業箇所で用いられるかがあらかじめ対応付けされる。そして、AGV101は、どのような種類の資機材を収納しているかをセンサ等で判断する。このようにすると、AGV101は、資機材の種類に応じて、搬送装置100を搬送する位置を決定できる。
【0141】
例えば、送風機、及び、送風機に接続されるダクト等の組み合わせが同じ場所に設置される。すなわち、多種の資機材が同じ作業箇所で使用される。このように、同じ作業箇所で使用される資機材の組み合わせが決まっている場合等には、組み合わせに対して搬送する位置が入力できてもよい。
【0142】
また、資機材又は資機材の組み合わせ等を使用する作業箇所を位置情報等の形式であらかじめ入力する。このように資機材等に対して、所定の位置を対応付けする対応付工程が行われてもよい。
【0143】
したがって、資機材に対応して所定の位置が定まると、例えば、複数の搬送装置100に対して同じ入力を繰り返して入力する作業等を省略できる。
【0144】
また、RFID(radio frequency identifier)等が使用されてもよい。まず、各資機材には、あらかじめICタグが設置される。そして、ICタグには、それぞれの資機材を配置する位置が記憶される。このように配置する位置をICタグにあらかじめ記憶させておくと、ICタグを読み取ると、ICタグが設置された資機材を配置する位置が把握できる。このようにして、ICタグを設置及び読み取り、搬送装置100を搬送する位置を決定してもよい。
【0145】
又は、以下のようにRFIDが使用されてもよい。
【0146】
まず、搬送装置100ごと、又は、AGV101ごとに、搬送装置100が搬送される位置、搬送装置100に収納すべき資機材(すなわち、搬送装置100が搬送される位置で行われる作業に用いる資機材である。)の種類、及び、資機材の数等の情報をICタグにあらかじめ登録する。そして、情報を登録したICタグを搬送装置100、又は、AGV101に設置する構成でもよい。
【0147】
このような構成であると、資機材の収納を行う際に、ICタグを読み取ると、各搬送装置100に収納すべき資機材等の情報が把握できる。また、各資機材に、その資機材の種類等の情報を登録したICタグを設置して、AGV101又は搬送装置100に設けたセンサでICタグを読み取り、必要な資機材が収納されているか否かのチェックが可能なようにしてもよい。
【0148】
搬送システムが複数の搬送装置100を用いる場合には、
図9乃至
図13のように、複数の搬送装置100が連結されてもよい。このように、複数の搬送装置100を用いる場合には、ステップS3及びステップS4が行われるのが望ましい。
【0149】
ステップS3では、搬送システムは、連結するか否かを判断する。そして、連結する場合には(ステップS3でYES)、搬送システムは、ステップS4に進む。一方で、連結しない場合には(ステップS3でNO)、搬送システムは、ステップS5に進む。なお、連結を行う、又は、連結しないを前提にして、ステップS3等が省略される搬送方法でもよい。
【0150】
ステップS4では、搬送システムは、天井部を連結させる連結工程を行う。例えば、連結工程は、
図9のように行われる。したがって、連結工程が行われると、複数の搬送装置100は、連結し、
図9乃至
図13のような状態となる。このように、連結工程が行われると、搬送装置100が連結されて、作業員MNは、広い足場を確保できる。
【0151】
ステップS5では、搬送システムは、側面部を移動させる移動工程を行う。すなわち、搬送システムは、メッシュMEを上方向に移動させる。したがって、移動工程が行われると、搬送装置100は、
図1に示すような状態から
図2に示すような状態となる。
【0152】
ステップS6では、搬送システムは、資機材の取り出す取出工程を行う。例えば、取出工程では、収納された資機材を使用できる状態にする。したがって、取出工程は、移動工程等によって、開口部OPが確保された状態等を維持する。なお、取出工程は、アクチュエータ等によって、資機材を搬送装置100の外に出す等が行われてもよい。
【0153】
ステップS7では、搬送システムは、天井部に作業員を搭乗させる搭乗工程を行う。作業員MNによる作業は、あらかじめ設定される作業箇所で行われる。そのため、搬送装置100が作業箇所、すなわち、ステップS1で入力される所定の位置で固定されると、作業員MNは、
図2のように、天井部に搭乗して高所に対して作業を行うことができる。したがって、搭乗工程は、搬送装置100を作業箇所に固定する等である。
【0154】
そして、作業員MNは、昼間に、自動搬送工程で搬送された資機材及び搬送装置100等を用いて施工を行う。そして、次の施工のために、次の設置位置等がAGV101等に入力される。そして、作業終了後に、ステップS8が行われる。
【0155】
ステップS8では、搬送システムは、資機材を搬出する搬出工程を行う。例えば、搬送装置100には、作業員MNによって、搬出の対象となる資機材が収納される。そして、作業員MNによって所定の操作(例えば、ボタンの押下等である。)が行われると、搬送装置100の搬出が開始される。
【0156】
なお、時間、操作又はこれらの組み合わせに基づいて、搬送装置100の搬出が開始されてもよい。
【0157】
例えば、作業員MNは、作業終了後に、作業終了を示す操作を行う(例えば、ボタンの押下等である)。次に、作業員MNが退出できる所定の時間(例えば、1時間以上等である。なお、時間は、例えば、あらかじめ設定される。)経過後に、自動で搬出されるようにしてもよい。
【0158】
又は、まず、作業計画において、作業終了後の任意の時刻である所定時刻(作業終了後に作業員MNが退出できる所定の時間が経過した後の時刻である。例えば、昼間に作業される場合は、夜間を指す時刻となる)があらかじめ設定される。そして、搬送装置100の搬出は、所定時刻となると、自動で搬出されるようにしてもよい。
【0159】
以上のような搬送方法が行われると、作業員が乗ることができる搬送装置を作業箇所に提供できる。また、搬送システムによって、搬送方法における各工程が行われると、作業員MN等による操作がなくとも、作業員が乗ることができる搬送装置を作業箇所に提供できる。
【0160】
なお、搬送工程等は、夜間に限られず、作業員MN等が施工をしている時間等でも行われてもよい。特に、作業終了後に搬送工程等が行われると、作業員MNが操作をしなくとも、資機材を作業箇所に搬送できるため、作業員MNの負荷を軽減できる。
【0161】
なお、搬送方法は、上記に示すタイミングで処理が実行される、及び、図示する処理の順序で実行される方法に限られない。例えば、ステップS1等は、作業終了後に行われてもよい。さらに、ステップS4とステップS5は、並行して行われてもよい。このように、処理の一部又は全部は、並列又は冗長して行われてもよい。また、搬送方法には、作業員MN等による工程が含まれてもよい。
【0162】
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、上記の構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0163】
100 搬送装置
101 AGV
10 情報処理システム
11 サーバ
20 フォークリフト
21 トラック
102 第1情報処理端末
103 第2情報処理端末
104 携帯端末
121 移動ビーコン
122 固定ビーコン
201 現場作業員
202 現場作業員
300 連結板
EV エレベータ
GD 床面
HN 作業員
LA 梯子
ME メッシュ
MN 作業員
OP 開口部
P1 初期位置
P2 設置位置
PL 足場材
SP 空間