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特許7454376歯の清掃中のユーザの頭の向きを特定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】歯の清掃中のユーザの頭の向きを特定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20240314BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A61C17/22 B
A46B15/00 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019528828
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017081086
(87)【国際公開番号】W WO2018100121
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】62/428,701
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デン ハメル,アルイェン
(72)【発明者】
【氏名】ハルデマン,トーン
(72)【発明者】
【氏名】マイア マスキュロ,フェリペ
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】八木 敬太
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0044629(US,A1)
【文献】特表2011-512933(JP,A)
【文献】特開2009-285416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア装置を用いてユーザの頭の向きを特定する方法であって、当該方法は、
装置ヘッド、少なくとも1つの慣性運動センサ、及びコントローラを含む口腔ケア装置を提供するステップと、
前記慣性運動センサを使用して、前記装置ヘッドが前記ユーザの口腔内の較正領域内に位置しているときを特定するステップであって、該特定するステップには、前記コントローラが、前記慣性運動センサを用いて取得した当該口腔ケア装置の運動データが前記装置ヘッドによって大臼歯を清掃する際に取得される運動データに一致するかを判定するステップが含まれる、ステップと、
前記較正領域内での前記装置ヘッドの向きに基づいて、前記コントローラ、前記ユーザの頭の向きを推定するステップであって、該推定するステップには、前記コントローラが、当該口腔ケア装置のメモリに予め記憶された、前記較正領域における当該口腔ケア装置の前記装置ヘッドの前記向きと前記ユーザの頭の向きとの間の関係を規定する規則セットに対して前記装置ヘッドの向きを照合して、前記ユーザの頭の前記向きを特定するステップが含まれる、ステップと、を含み、
前記較正領域は、前記ユーザの口内において前記口腔ケア装置が特定の向きのみを取ることができる大臼歯領域である
方法。
【請求項2】
前記較正領域外の領域における前記口腔ケア装置の動きに関するデータを前記慣性運動センサから受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザの頭の前記推定された向き及び前記慣性運動センサによって生成された運動データに基づいて、前記較正領域外の領域について前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの向きを特定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの前記特定された向き及び/又は位置に関するフィードバックを前記ユーザに提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの前記向きの複数の推定値に基づいて、清掃セッションのためのフィードバックを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生成されたフィードバックを通信するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ユーザの頭の向きを特定するように構成された口腔ケア装置であって、当該口腔ケア装置は、
装置ヘッドと、
慣性運動センサと、
コントローラと、を含み、
該コントローラは、
(i)前記慣性運動センサを使用して、前記装置ヘッドが前記ユーザの口腔の較正領域内に位置しているときを特定することであって、該特定することには、前記コントローラが、前記慣性運動センサを用いて取得した当該口腔ケア装置の運動データが前記装置ヘッドによって大臼歯を清掃する際に取得される運動データに一致するかを判定することが含まれる、こと及び
(ii)前記較正領域内の前記装置ヘッドの向きに基づいて、前記ユーザの頭の向きを推定することであって、該推定することには、前記コントローラが、当該口腔ケア装置のメモリに予め記憶された、前記較正領域における当該口腔ケア装置の前記装置ヘッドの前記向きと前記ユーザの頭の向きとの間の関係を規定する規則セットに対して前記装置ヘッドの向きを照合して、前記ユーザの頭の前記向きを特定することが含まれる、こと、を行うように構成され、
前記較正領域は、前記ユーザの口内において前記口腔ケア装置が特定の向きのみを取ることができる大臼歯領域である
口腔ケア装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記較正領域外の領域における前記口腔ケア装置の動きに関するデータを前記慣性運動センサから受信するようにさらに構成される、請求項7に記載の口腔ケア装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記ユーザの頭の前記推定された向き及び前記慣性運動センサによって生成された運動データに基づいて、前記較正領域外の領域について前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの向きを特定するようにさらに構成される、請求項8に記載の口腔ケア装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの前記特定された向き及び/又は位置に関するフィードバックを生成するようにさらに構成される、請求項7に記載の口腔ケア装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記生成されたフィードバックを前記ユーザに伝達するようにさらに構成される、請求項10に記載の口腔ケア装置。
【請求項12】
清掃セッションのためのフィードバックを提供する方法であって、当該方法は、
装置ヘッド、慣性運動センサ、及びコントローラを含む口腔ケア装置を提供するステップと
前記慣性運動センサを使用して、前記装置ヘッドがユーザの口腔内の較正領域内に位置しているときを特定するステップであって、該特定するステップには、前記コントローラが、前記慣性運動センサを用いて取得した当該口腔ケア装置の運動データが前記装置ヘッドによって大臼歯を清掃する際に取得される運動データに一致するかを判定するステップが含まれる、ステップと、
前記較正領域内の前記装置ヘッドの向きに基づいて、前記コントローラによって、前記ユーザの頭の向きを推定するステップであって、該推定するステップには、前記コントローラが、当該口腔ケア装置のメモリに予め記憶された、前記較正領域における当該口腔ケア装置の前記装置ヘッドの前記向きと前記ユーザの頭の向きとの間の関係を規定する規則セットに対して前記装置ヘッドの向きを照合して、前記ユーザの頭の前記向きを特定するステップが含まれる、ステップと、
前記較正領域外の領域における前記口腔ケア装置の動きに関するデータを前記慣性運動センサから受信するステップと、
前記ユーザの頭の前記推定された向き及び前記慣性運動センサによって生成された運動データに基づいて、前記較正領域外の領域について前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの向きを特定するステップと、
前記ユーザの口腔に対する前記装置ヘッドの前記特定された向きに関するフィードバックを生成するステップと、を含み、
前記較正領域は、前記ユーザの口内において前記口腔ケア装置が特定の向きのみを取ることができる大臼歯領域である
方法。
【請求項13】
前記生成されたフィードバックを通信するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、口腔ケア装置の使用中にユーザの頭の向きを特定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケア器具の口腔内での位置を追跡することによって、ユーザの口腔衛生習慣に関してユーザへの効果的なフィードバックが可能になる。例えば、口腔清掃ヘッドの位置がユーザの口の中で追跡される場合に、ユーザが未だ清掃していない一群の歯、特定の歯、又は歯肉部分の領域に集中することができるように、それら一群の歯、特定の歯、又は歯肉部分の部分が識別され得る。さらに、使用中の口腔内の口腔ケア装置の位置を追跡することに基づいて、ユーザの手法に関する適切なフィードバック、例えば、清掃(cleaning)には強過ぎる、弱過ぎる、又は口の特定の部分を十分に長い間清掃していない等を提供することができる。
【0003】
ユーザの口の中の口腔ケア装置の位置を追跡する従来の様々な形態が知られている。例えば、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁気センサ等の慣性運動センサは、重力又は力の方向に対する口腔ケア装置の動きを測定するために利用されるが、ユーザの頭に対する口腔ケア装置の相対的な向きを検出することはできない。ユーザの口の中での装置の位置を特定するために、ユーザの頭に対する装置の相対的な姿勢が測定されるか、又はユーザの頭の向き及び装置の向きに関する情報が別々に測定され、その後組み合わせられる。
【0004】
従って、これらの従来の形態の追跡は、ユーザ又はユーザの頭に対する装置の位置及び動きを追跡することができない。従来技術のこれらの制限は、不正確な追跡及び不十分なフィードバックにつながる可能性がある。
【0005】
従って、センサデータを使用してユーザの頭の向きを特定することを含む、使用中の口腔ケア装置の追跡を改善するためのシステム及び方法が当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、口腔ケア装置の使用中にユーザの頭の向きを特定するための独創的なシステム及び方法に関する。本明細書の様々な実施形態及び実施態様は、口腔ケア装置の使用中にユーザの頭の位置を推定するように構成され得る運動センサを含む口腔ケア装置に関する。センサは、プロセッサ及びプログラムコードを記憶する非一時的な記憶媒体を含むコントローラに有線又は無線で接続することができ、プログラムコードは、装置が口腔内の指定された較正(calibration:測定)領域内に位置しているときを検出し、指定された較正領域内の装置の動きに基づいてユーザの頭の向きを推定し、且つユーザの口に対する装置の向きを特定するようにプログラムすることができる。本発明のシステム及び方法は、清掃セッションの開始時に頭の向きを強制することなく、及び/又は清掃セッションの開始時に頭の向きを直接的に測定することなく、1つ又は複数のセンサを使用して装置の追跡を可能にする。
【0007】
概して一態様では、口腔ケア装置を用いてユーザの頭の向きを特定する方法が提供される。この方法は、(i)ヘッド、センサ、及びコントローラを含む口腔ケア装置を提供するステップと、(ii)ヘッドがユーザの口腔内の較正領域内に位置しているときを特定する(determining)ステップと、(iii)較正領域内のヘッドの向きに基づいて、コントローラによって、ユーザの頭の向きを推定するステップと、を含む。
【0008】
一実施形態によれば、方法は、較正領域外の領域における口腔ケア装置の動きに関するデータをセンサから受信するステップをさらに含む。
【0009】
一実施形態によれば、方法は、ユーザの頭の推定された向き及びセンサによって生成された運動データに基づいて、較正領域外の領域についてユーザの口腔に対するヘッドの向きを特定するステップをさらに含む。
【0010】
一実施形態によれば、方法は、ユーザの口腔に対するヘッドの特定された向きに関するフィードバックをユーザに提供するステップをさらに含む。一実施形態によれば、フィードバックはリアルタイムで提供される。
【0011】
一実施形態によれば、ヘッドがユーザの口腔内の較正領域内に位置しているときを特定するステップは、第2のセンサからのデータを含む。
【0012】
一実施形態によれば、方法は、ユーザの口腔に対するヘッドの向きの複数の推定値に基づいて、清掃セッションのためのフィードバックを生成するステップをさらに含む。
【0013】
一実施形態によれば、方法は、生成されたフィードバックを通信するステップをさらに含む。
【0014】
一実施形態によれば、センサは慣性運動センサである。
【0015】
一態様によれば、ユーザの頭の向きを特定するように構成された口腔ケア装置が提供される。この装置は、ヘッド、1つ又は複数のセンサ、及びコントローラを含み、コントローラは、(i)ヘッドがユーザの口腔の較正領域内に位置しているときを特定し、(ii)較正領域内の装置ヘッドの向きに基づいて、ユーザの頭の向きを推定するように構成される。
【0016】
一態様によれば、清掃セッションのためのフィードバックを提供する方法が提供される。この方法は、(i)装置ヘッド、センサ、及びコントローラを含む口腔ケア装置を提供するステップと、(ii)装置ヘッドがユーザの口腔内の較正領域内に位置しているときを特定するステップと、(iii)較正領域内の装置ヘッドの向きに基づいて、コントローラによって、ユーザの頭の向きを推定するステップと、(iv)較正領域外の領域における口腔ケア装置の動きに関するデータをセンサから受信するステップと、(v)ユーザの頭の推定された向き及びセンサによって生成された運動データに基づいて、較正領域外の領域についてユーザの口腔に対する装置ヘッドの向きを特定するステップと、(vi)ユーザの口腔に対する装置ヘッドの特定された向きに関するフィードバックを生成するステップと、を含む。
【0017】
本開示の目的のために本明細書で使用される場合に、「コントローラ」という用語は、一般に、流れプローブ装置、システム、又は方法の動作に関する様々な機器を説明するために使用される。コントローラは、本明細書で議論される様々な機能を実行するために(例えば、専用ハードウェア等を用いて)多数の方法で実装することができる。「プロセッサ」は、本明細書で議論される様々な機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ又は複数のマイクロプロセッサを使用するコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを使用して又は使用せずに実装することができ、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路)との組合せとして実装することができる。本開示の様々な実施形態において使用され得るコントローラ要素の例は、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0018】
様々な実施態様では、プロセッサ又はコントローラは、1つ又は複数の記憶媒体(本明細書では総称的に「メモリ」、例えば揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリと呼ばれる)と関連付けることができる。いくつかの実装態様では、記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されたときに、本明細書で議論される機能の少なくともいくつかを実行する1つ又は複数のプログラムで符号化され得る。本明細書で議論される本開示の様々な態様を実施するために、様々な記憶媒体をプロセッサ又はコントローラ内に固定してもよく、又はそこに記憶された1つ又は複数のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードさせるように転送可能であってもよい。「プログラム」又は「コンピュータプログラム」という用語は、本明細書では一般的な意味で使用されており、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラをプログラムするのに使用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指す。
【0019】
本明細書で使用される「ユーザインターフェイス」という用語は、ユーザと装置(複数可)との間の通信を可能にする、人間のユーザ又はオペレータと1つ又は複数の装置との間のインターフェースを指す。本開示の様々な実施態様において使用され得るユーザインターフェイスの例は、スイッチ、ポテンショメータ、ボタン、ダイヤル、スライダ、トラックボール、表示画面、様々なタイプのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)、タッチスクリーン、マイク、及び人間が生成した何らかの形態の刺激を受け取り、それに応答して信号を生成することができる他の種類のセンサを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前述した概念と以下でさらに詳細に議論する追加の概念との全ての組合せが(そのような概念が互いに矛盾しない限り)、本明細書に開示される発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の終わりに現れる特許請求の範囲に記載された主題の全ての組合せは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。
【0021】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照して説明され、明らかになるであろう。
【0022】
図面において、同様の参照符号は、一般的に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の原理を説明する際に強調が一般になされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態による口腔ケア装置の概略図である。
図2】一実施形態による口腔ケア装置の制御システムの概略図である。
図3】一実施形態による口腔ケア装置の位置を追跡する方法のフローチャートである。
図4】一実施形態によるユーザの口腔の概略図である。
図5】一実施形態によるユーザの口腔の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、加速度計、ジャイロスコープ、又は磁気センサ等の1つ又は複数のセンサを含む口腔ケア装置の様々な実施形態について説明する。より一般的には、出願人は、口腔清掃セッション中にユーザの頭の向きを特定し、その情報を清掃セッション中に口腔ケア装置を追跡するために利用する装置を提供することが有益であることを認識し理解した。従って、本明細書で説明又は他の方法で想定される方法及びシステムは、口腔清掃セッションの開始時に頭の向きを強制することなく、及び/又は清掃セッションの開始時に頭の向きを直接的に測定することなく、1つ又は複数のセンサを使用して装置の位置を追跡する口腔ケア装置を提供する。一実施形態によれば、口腔ケア装置は、口腔の指定された較正領域内での装置の制限された動きに基づいて、ユーザの頭の向きを特定する1つ又は複数のセンサを有する。システムは、ユーザの口に対する装置の相対的な向きを特定するために、ユーザの頭の向きと口腔ケア装置からの運動センサデータとを組み合わせ、それによって追跡機構を提供する。追跡機構は、口腔清掃セッションに関するフィードバックをユーザに提供するために利用され得る。
【0025】
本明細書に開示される又は他の方法で想定される実施形態及び実施態様は、あらゆる口腔ケア装置と共に利用することができる。適切なパーソナルケア装置の例には、歯ブラシ、フロス装置、口腔洗浄器、舌クリーナー、又は他の口腔ケア装置が含まれる。しかしながら、本開示はこれら列挙された装置に限定されるものではなく、こうして本明細書に開示された本開示及び実施形態はあらゆる口腔ケア装置を包含することができる。
【0026】
図1を参照すると、一実施形態では、ハンドル又は本体部分12と装置ヘッド部材14とを含む口腔ケア装置10が提供される。装置ヘッド部材14は、本体部分から離れた端部に装置ヘッド16を含む。本体部分12は、典型的には、パーソナルケア装置の構成要素を収容するための、少なくともその一部が中空のハウジングを有する。一実施形態によれば、装置ヘッド部材14は、本体部分12に対して動くことができるように取り付けられる。動きは、とりわけ、振動又は回転を含む様々な異なる運動のうちのいずれかであり得る。本実施形態では、口腔ケア装置10は振動する歯ブラシとして描かれているが、口腔ケア装置の代替実施形態もまた想定されることが理解されよう。
【0027】
本体部分12は、動きを発生させるためのモータ22を含む駆動系アセンブリと、発生した動きを装置ヘッド部材14に伝達するための伝達要素又は駆動系シャフト24とを含むことができる。駆動系アセンブリは、他の構成要素の中でも、電源、振動子、及び1つ又は複数の電磁石等の要素を含むことができる。この実施形態では、電源は、図示されていない1つ又は複数の充電式バッテリを含み、このバッテリは、例えば口腔ケア装置10が使用されていないときに配置される充電ホルダ内で充電することができる。一実施形態によれば、装置ヘッド部材14は、本体部分12に対して振動することができるように駆動系シャフト24に取り付けられる。装置ヘッド部材14は、駆動系シャフト24に固定して取り付けることができる、或いはその装置ヘッド部材14は、異なる動作機能のために、又はブラシ毛又は装置ヘッドの別の構成要素が磨耗して交換を必要とするときに、装置ヘッド部材14を異なる装置ヘッド部材と交換できるように、着脱可能に取り付けることができる。本体部分12には、駆動系を作動させたり作動停止させたりするユーザ入力部26がさらに設けられる。ユーザ入力部26により、ユーザが、例えば装置をオン及びオフにするように口腔ケア装置10を操作することができる。ユーザ入力部26は、例えば、ボタン、タッチスクリーン、又はスイッチであり得る。
【0028】
口腔ケア装置10は、1つ又は複数のセンサ28を含む。センサ28が図1において本体部分12内に示されているが、例えば装置ヘッド部材14又は装置ヘッド16内を含む装置内のいずれかの場所に配置してもよい。センサ28は、例えば加速度計、ジャイロスコープ、又は磁気センサ等の慣性運動センサを含むことができる。一実施形態によれば、センサ28は、例えば3軸ジャイロスコープ及び3軸加速度計を使用して、6軸の相対運動(3軸の並進及び3軸の回転)の読取り値を提供するように構成される。別の例として、センサ28は、例えば3軸ジャイロスコープ、3軸加速度計、及び3軸磁力計を使用して9軸の相対運動の読取り値を提供するように構成される。(圧力センサ、並びに容量センサ、カメラ、光電セル、時計、タイマ、及び他の種類のセンサ等の他のタイプのセンサを含むがこれらに限定されるものではない)他のセンサを単独で又はこれらのセンサと組み合わせて使用することができる。本明細書で説明又は他の方法で想定されるように、多くの異なる種類のセンサを利用することができる。一実施形態によれば、センサ28は、口腔ケア装置10の加速度及び角度方向を示す情報を生成するように構成される。センサは、6軸又は9軸の空間センサシステムとして一緒に機能する2つ以上のセンサ28を含み得る。
【0029】
センサ28によって生成されたセンサデータは、コントローラ30に提供される。一実施形態によれば、センサ28は、コントローラ30に一体化される。コントローラ30は、1つ又は複数のモジュールから形成され得、且つユーザ入力部26を介して取得した入力等の入力に応答して、パーソナルケア装置10を動作させるように構成される。コントローラ30は、例えば、プロセッサ32及びメモリ34を含むことができる。プロセッサ32は、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを含むがこれらに限定されるものではない、任意の適切な形態を取り得る。メモリ34は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む任意の適切な形態を取り得る。不揮発性メモリは、読出し専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、又はソリッドステートドライブ(SSD)を含み得る。メモリは、とりわけ、オペレーティングシステムを格納し得る。RAMは、データの一時記憶のためにプロセッサによって使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、コントローラ30によって実行されたときに、口腔ケア装置10のハードウェア要素の動作を制御するコードを含み得る。一実施形態によれば、接続モジュール36は、収集したセンサデータを送信し、且つWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信、及び/又は携帯電話モジュールを含むがこれらに限定されるものではない、有線又は無線信号を送信することができるあらゆる装置又は手段であり得る。
【0030】
一実施形態によれば、口腔ケア装置10は、清掃セッションの前、その最中、及び/又はその後に情報をユーザに提供するように構成されたユーザインターフェイス40を含むことができる。ユーザインターフェイス40は、多くの異なる形態をとることができるが、情報をユーザに提供するように構成される。例えば、情報は、清掃セッションに関して読み出され、検討され、伝え聞かれ、感じ取られ、及び/又は他の方法で解釈することができる。一実施形態によれば、ユーザインターフェイス40は、どこをどのように掃除すべきかに関する情報を含むガイド付き掃除セッション等のフィードバックをユーザに提供する。従って、ユーザインターフェイスは、情報をユーザに提供するディスプレイ、触覚フィードバックをユーザに提供する触覚機構、音響又は言葉をユーザに提供するスピーカ、又は他の様々なユーザインターフェイス機構のいずれかであってもよい。ユーザインターフェイス40は、口腔ケア装置10に配置してもよく、又はスマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、ラップトップ、又は他のコンピュータ化された装置等の遠隔装置であってもよい。一実施形態によれば、口腔ケア装置10のコントローラ30は、センサ28から情報を受け取り、その情報を評価及び解析し、ユーザインターフェイス40を介してユーザに表示することができる情報を提供する。
【0031】
図2を参照すると、一実施形態において、口腔ケア装置10の制御システム100の概略図が提供される。口腔ケア装置10の制御システム100は、プロセッサ32と、オペレーティングシステムだけでなくセンサデータも記憶することができるメモリ34と、接続モジュール36とを含むコントローラ30を有する。装置は、AC電源であるか、充電式バッテリからのバッテリ電源であり得る電源38も含む。制御システム100は、情報をユーザに送信又は受信するように構成されたユーザインターフェイス40をさらに含む。加速度計、ジャイロスコープ、又は磁気センサ等の慣性運動センサとし得るシステムのセンサ28は、動きに応答してセンサデータを生成し、そのデータをコントローラ30に通信する。
【0032】
装置の接続モジュール36は、センサデータを無線トランシーバ(図示せず)に送信するように構成及び/又はプログラムすることができる。例えば、接続モジュール36は、センサデータをインターネット又はイントラネットを介したWi-Fi接続によって歯科専門家、データベース、又は他の場所に送信することができる。あるいはまた、接続モジュール36は、センサ又はフィードバックデータをBluetooth(登録商標)又は他の無線接続を介してローカル装置(例えば、別個のコンピュータ装置)、データベース、又は他のトランシーバに送信することができる。例えば、接続モジュール36により、ユーザが、他の用途の中でも、センサデータを長期保管するために保存するべく別のデータベースに送信し、更なる解析のためにセンサデータを送信し、ユーザフィードバックを別のユーザインターフェイスに送信し、又はデータを歯科専門家と共有することができる。接続モジュール36はまた、(本開示の検討に関連して当業者によって理解されるように)上記参照規格を含む、ユーザ入力情報を受信することができるトランシーバであり得る。本明細書で説明している他の通信及び制御信号は、有線(非無線)接続によって、又は無線及び非無線接続の組合せによって達成することができる。
【0033】
一実施形態によれば、口腔ケア装置10の制御システム100は、口腔ケア装置の使用中にユーザの頭の向きを特定するようにプログラム及び/又は構成することができる。本明細書で議論するように、本明細書で説明する機能及び方法を実行するために口腔ケア装置10の制御システム100によって解析又は使用される情報又はデータは、1つ又は複数のセンサ28によって生成することができる。例えば、コントローラ30は、(i)口腔内の1つ又は複数の較正領域内で口腔ケア装置を検出すること、(ii)較正領域内での装置の制限された動きに基づいて、ユーザの頭の向きを推定すること、(iii)ユーザの頭の特定された向きと口腔ケア装置からの運動センサデータとを組み合わせることによって、ユーザの口に対する装置の相対的な向きを特定する。
【0034】
センサ28は、本明細書で説明又は他の方法で想定されるセンサのうちのいずれかであり得、清掃セッション中のユーザの動き(例えば、頭の動き)の1つ又は複数の態様に関するセンサデータを取得するようにプログラム及び/又は構成され得る。コントローラ30は、センサ28からのセンサデータをリアルタイム又は定期的に受信することができる。例えば、センサ28は、記憶及び/又は解析のためにセンサデータの一定のストリームをコントローラ30に送信してもよく、或いはコントローラ30に送信する前にデータを処理するために一時的に記憶及び集約してもよい。コントローラ30が一旦受信すると、センサデータはプロセッサ32によって処理され得る。一実施形態によれば、処理は、一般に、(i)更なる解析のためにセンサデータを正規化又は他の方法で処理するステップ、(ii)解析のために記憶したセンサデータをメモリ34から検索するステップ、(iii)データを解析して、口腔ケア装置が口腔内の1つ又は複数の較正領域内にあるかどうかを判定するステップ、(iv)データを解析して、較正領域内での装置の制限された動きに基づいて、ユーザの頭の向きを推定するステップ、(v)データを解析して、ユーザの口に対する装置の相対的な向きを特定するステップ、(vi)清掃セッション中に口腔ケア装置を追跡する、又は清掃セッション後に、記憶したデータを使用して口腔ケア装置の位置を特定するステップ、(vii)清掃セッションのためのフィードバックに関するデータをユーザインターフェイス40上の指標でユーザに出力するステップのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0035】
図3を参照すると、一実施形態において、この図は、口腔ケア装置の使用中にユーザの頭の向きを特定するための方法300のフローチャートである。本方法のステップ310において、口腔ケア装置10が提供される。口腔ケア装置10は、本明細書で説明又は他の方法で想定される装置のいずれであってもよい。口腔ケア装置は、1つ又は複数のセンサ28も含む。センサ28は、本明細書で説明又は他の方法で想定されるセンサのいずれであってもよい。センサ28は、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、又は磁気センサ等の慣性運動センサを含むことができる。一実施形態によれば、センサ28は、口腔ケア装置10の加速度及び角度方向を示す情報を生成するように構成される。
【0036】
本方法のステップ320において、システムは、装置ヘッド16がユーザの口腔200の較正領域110内に位置しているときを特定する。較正領域は、口腔ケア装置とユーザの頭との間に物理的制約があるユーザの口腔内の領域である。例えば、較正領域は、その領域の限られた量の空間のために口腔ケア装置が限られた数の向きしか取ることができない、はるかに後ろの大臼歯領域にあってもよい。従って、較正領域110は、口腔ケア装置が頭部に対して既知の向きに略保持されている領域であり、こうして、本明細書で説明するように、較正領域における装置ヘッドの向きが既知の場合に、頭部の向きを推測することができる。
【0037】
図4を参照すると、例えば、この図は、ユーザの口腔200の概略図である。口腔は、ユーザの後方の下大臼歯の近くに位置する領域110a及び110bを含むいくつかの較正領域110を含む。本明細書で説明するように、システムが、装置ヘッド16が図4較正領域110b等の較正領域に位置していると判断したときに、装置10の向きが決定される。ここで、装置10は軸線X1-X1に沿って整列している。従って、システムは、ここでは関連する軸線X2-X2に沿っているユーザの頭の向きを推定することができる。
【0038】
図5を参照すると、例えば、この図は、ユーザの頭210及び口腔200の側面図の概略図である。装置ヘッド16は、右後ろの下大臼歯領域等のユーザの口内の較正領域内に位置付けされる。口腔ケア装置10は、図5に示されるように、装置ヘッド16が較正領域内に適切に位置付けされている場合に特定の向きのみを取ることができる。同様に、装置ヘッド16が較正領域内に適切に位置付けされている場合に、ユーザの頭は特定の向きを取る可能性が高い。
【0039】
装置ヘッド16がユーザの口腔200の較正領域110内に位置していることを決定するために利用され得るいくつかの異なるシステム及び方法がある。例えば、ユーザは、装置ヘッドが較正領域110に適切に位置していることを保証するために口の特定の領域において清掃セッションを開始するように指示を受けることができる。この指示中に、口腔ケア装置の軸線とユーザの頭の向きとの関係がシステムによって利用される。
【0040】
別の実施形態によれば、口腔ケア装置10は、装置がユーザの口腔200の較正領域110内に位置するかどうかを判定するために利用される第2のセンサ28b(図示せず)を含むことができる。例えば、装置ハンドル12とユーザの顔面との間の距離は、近接感知によって測定され、ユーザが大臼歯を清掃していること、こうして装置が較正領域110内に位置していることを判定することができる。別の例では、口の音響振動を使用して、口が開いているか閉じているかを判定し、それによって装置が位置している領域に関する知見を推測する。他の多くのセンサ構成が可能である。
【0041】
別の実施形態によれば、運動センサを利用して、ユーザの口腔200内のどこに口腔ケア装置10が位置しているのかを特定することができる。例えば、センサは、典型的な清掃動作に応答してセンサデータを生成し得、この情報を口内の特定の位置のテンプレートにリンク付けし得る。一実施形態によれば、前歯と大臼歯との間の動きの差を使用して、どの時間サンプルが大臼歯からのものであり、どのサンプルが前歯で収集されたものかを判定することができる。
【0042】
別の実施形態によれば、装置又はシステムは、ユーザの口腔200内のどこで口腔ケア装置10が概ね最初に起動されるかについての所定の又は学習した情報を含むことができる。例えば、システムは、何回かの使用後に、ユーザが常に右下の外側の四分円(quadrant)から開始すると決定することがある。
【0043】
一実施形態によれば、装置又はシステムは、これらの手法のうちの2つ以上を同時に又は順次に利用して、ユーザの口腔200内での口腔ケア装置10の位置特定、より具体的にはその位置が較正領域110であるかどうかをさらに精緻化することができる。例えば、典型的な開始位置の可能性に関する事前の知識をセンサデータから取得した推定値と一緒に利用して、ユーザの口腔200内の口腔ケア装置10の位置特定においてより高い信頼性を達成することができる。
【0044】
本方法のステップ330において、システム又は装置は、装置ヘッド16が較正領域110内に位置する場合の装置ヘッド16の向きに基づいて、ユーザの頭の向きを推定する。装置は、装置ヘッドが較正領域内に位置しているときに可能な非常に制限された可動域及び向きの数を利用する。装置ヘッド16が較正領域110内に位置しているときに、口腔ケア装置の向きとユーザの頭の向きとの間には必要な関係がある。装置は、メモリに記憶された規則セット及び/又は学習した関係等、この関係に関する情報を含み、従って、装置ヘッドの向きからユーザの頭の向きを特定することができ、又はユーザの頭の向きから装置ヘッドの向きを特定することができる。
【0045】
従って、装置ヘッド16が較正領域110内に位置しているときに、向き及び/又は運動データが1つ又は複数のセンサ28から取得され、これを利用してユーザの頭の向きを推定する。このセンサデータは、連続的に又は定期的に生成又は取得することができる。例えば、センサデータは、装置ヘッドが較正領域内に位置しているときのみ取得してもよい。
【0046】
一実施形態によれば、装置が較正領域110内に位置する場合に装置によって収集された向き及び/又は運動データは、将来の処理のために記憶することができる。ユーザが予想される行動から一時的に逸脱する可能性があるので、推定の頑健性(robustness)を改善するために追加の処理ステップを適用することができる。例えば、記憶したデータは、ユーザの頭の向きを平均化し推定する前に、外れ値(outliers)についてフィルタ処理され得る。
【0047】
名目上の又は予想されるものと比較した実際のユーザの行動の逸脱にさらに適応するために、新しいデータを記憶したデータに追加するのに適しているかどうかを決定するために選択基準が追加され得る。この基準は、記憶装置内のデータ量だけでなく、記憶装置内のデータの整合性にも適応させることができる。一実施形態によれば、清掃セッションの開始からの全てのデータが記憶され、外れ値についてフィルタ処理される。後で、新しいデータが以前のデータに基づく予想値と一致する場合にのみ、新しいデータがストアに追加される。
【0048】
センサドリフト効果及び遅いヘッド運動の存在のために、最新のサンプルは最も高い信頼性を有し得る。典型的な実施形態では、最も短い履歴を有するサンプルは、最終推定において最も高い重み付けを有する。
【0049】
精度をさらに向上させるために、理想的行動の既知の変動に対する補償を適用することができる。一実施形態によれば、ユーザの器用さに関する所定の又は学習した知識を利用して、口の座標系の推定値の偏りを補償することができる。
【0050】
システムは、装置ヘッド16が較正領域110内に位置しているときに、装置ヘッド16の向きを使用してユーザの頭の向きを定期的に更新することができる。方法のステップ332において、システムは、1つ又は複数のセンサ28から装置ヘッドの向きに関する情報を受信し、その情報を使用してユーザの頭の向きの推定値を更新又は再生成する。
【0051】
方法のステップ340において、ユーザは較正領域110の外側の口腔の領域を清掃し、そして装置の1つ又は複数のセンサ28は装置の動き及び/又は向きに関するセンサデータを生成する。このセンサデータを生成又は取得するように構成された多くの方法及びシステムがある。例えば、装置10は、装置の動き及び/又は向きに関するセンサデータを生成する加速度計及び/又は慣性運動センサ28を含み得る。センサ28は、自動的に又は問合せに応答して、センサデータをコントローラ30に送信する。データは、継続的に又は定期的に生成及び/又は通信することができる。
【0052】
本方法のステップ350において、本方法のステップ330からのユーザの頭の推定された向きと、本方法のステップ340においてセンサによって生成された運動データとに基づいて、ユーザの口腔に対する装置ヘッド部の向きが決定される。一実施形態によれば、システムは前のステップでユーザの頭の向きを推定し、且つ1つ又は複数のセンサ28から装置の動きに関する情報を受け取っている。ユーザの頭の向きを基準フレームとして使用して、装置は、ユーザがその口腔ケア装置を口の中で移動させる際に、口腔ケア装置の向き及び/又は位置を推測し、従って追跡し、新しい向き及び位置をとることができる。
【0053】
一実施形態によれば、ユーザの口腔に対する装置ヘッドの特定された向きをさらに精緻化することができる。例えば、追加の情報を追加して、ユーザの頭の向きの推定を完成又は改善し、測定されていない自由度を処理することができる。一実施形態によれば、例えば、ユーザの頭がまっすぐ上を向いていると仮定することができる。別の例として、口腔ケア装置とユーザの頭の向きとの間の関係は、較正領域に応じて異なり得る。従って、事前にプログラム又は学習することもできる、これらの変化する関係を利用して、装置ヘッドの特定された向きをさらに精緻化することができる。
【0054】
本方法のオプションのステップ360において、システム又は装置は、ユーザの口腔に対する装置ヘッドの特定された向きに関するフィードバックをユーザに提供する。これは、実質的にリアルタイムであり得、情報が生成されユーザに利用可能になると直ぐにということを意味する。フィードバックは、装置ヘッドの向き、向きが適切か又は不適切か、清掃時間、適用範囲、清掃効果、及び/又は他の情報に関する情報を含むことができる。一実施形態によれば、フィードバックは、ユーザの口内の特定のセグメントを清掃するのに費やした時間量を含み得る。さらに先進のフィードバック機構では、ユーザは領域内の個々の歯に関するフィードバックを受け取ることができる。システムは、どの領域が適切に清掃され、どの領域が適切に清掃されなかったかに関する情報をユーザに伝達することができる。フィードバックは、ユーザフィードバック40を介して提供してもよく、他の種類のフィードバックの中でも、表示、報告、又は単一の値であってもよい。
【0055】
本システムは、リアルタイムのフィードバックデータをユーザ又は遠隔システムに提供することができる。例えば、システムは、リアルタイムのフィードバックデータを有線又は無線ネットワーク接続を介してコンピュータに送信することができる。別の例として、システムは、記憶したフィードバックデータを有線又は無線のネットワーク接続を介してコンピュータに送信することができる。これらのフィードバックメカニズムに加えて、他の多くのメカニズムが可能である。例えば、フィードバックは、他の種類のフィードバックの中でも、清掃時間と有効性とを組み合わせて表示、報告、又は単一の値にすることができる。
【0056】
本方法のオプションのステップ370において、システム又は装置は、清掃セッション全体に関するフィードバックをユーザに提供する。システムは、清掃セッション中の装置10の動き及び向きに関する情報を収集し、その情報をフィードバックに照合させる。このフィードバックは、ステップ360においてリアルタイムで提供されるフィードバックと同様であり得る。
【0057】
本方法のオプションのステップ380において、生成されたフィードバックはユーザ、装置、及び/又は他の個人に伝達される。フィードバックは、リアルタイムのフィードバックであり得るか、又は1つ又は複数の清掃セッションに関するフィードバックであり得る。一実施形態によれば、フィードバックは、スマートフォン、コンピュータプログラム、基地局、遠隔ソフトウェアサービスを介して、又は他の手段を介してユーザに提供される。別の実施形態によれば、フィードバックは、歯科医又は歯科衛生士等の医療専門家に直接的に提供される。例えば、1つ又は複数の清掃セッションに関する情報を、記憶し、自動的に又は要求に応じて医療専門家に送信することができる。一実施形態によれば、情報はユーザのスマートフォンに記憶され、次に受診する際に(during a visit)歯科医のオフィスに持って行くことができ、そこで情報はブルートゥース(登録商標)接続を介して自動的にアップロードされる。次に、歯科医は、フィードバックを確認し、ケア中にその情報を利用することができる。
【0058】
一実施形態によれば、生成された向き推定値及び/又は運動センサデータは、フィードバックとしてユーザ又は専門家に提供する前にさらに処理又は解析され得る。例えば、完全な清掃セッションからのデータを集約して、複数の時点での頭の向きの推定値を得ることができる。基準と比較して運動の特定の分布を利用するより高度な方法を使用することができる。例えば、較正領域においてサンプルが収集されたかどうかに関する外部の知見は必要とされないかもしれず、これは追加のガイダンス又は感知の必要性を省く。例えば、システムは、完全な清掃セッションのための運動の典型的な空間分布に関する知識を利用することができる。一実施形態によれば、セッション全体に亘る口腔ケア装置10の主軸の平均方向を使用して、ユーザが向いている方向を検出することができる。別の実施形態によれば、ユーザの頭の向きは、ユーザの頭と装置との間の相対的な向きを、完全又は部分的な清掃セッションに亘る典型的な分布と一致させることによって推定することができる。一実施形態では、これは、測定された清掃角度ヒストグラムと清掃角度のテンプレートヒストグラムとの間の距離を最小化することによって実行され得る。ユーザの頭に対する装置の向きの典型的な分布は、例えば実験室のテストから学習することができ、確率分布として表すことができる。
【0059】
本明細書で規定及び使用される全ての規定は、辞書の規定、参照により組み込まれる文献中の規定、及び/又は規定された用語の通常の意味を支配すると理解すべきである。
【0060】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a, an)」は、明確に逆に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0061】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という句は、そのように結合された要素、すなわちある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解すべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じように解釈すべきであり、すなわちそのように結合された要素の「1つ又は複数」であると解釈すべきである。具体的に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素がオプションで存在してもよい。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合に、「又は」は、上で規定した「及び/又は」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト内の項目を分離するときに、「又は」又は「及び/又は」は、包括的、すなわち、複数の要素又は要素のリストうちの少なくとも1つの要素を含むが複数の要素も含むものとして解釈されるものとし、また、オプションで、リストに含まれていない追加の項目も含むものとして解釈されるものとする。「~の1つのみ」又は「~の正に1つ」、又は請求項で使用されている「~からなる」等の明確に逆に示されている用語のみが、複数の要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの包含を指す。一般に、本明細書で使用される「又は」という用語は、「どちらか」、「~の1つ」、「~の1つのみ」、「~の正に1つ」等の排他性の用語が先行する場合にのみ排他的な選択肢(すなわち「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すものとして解釈されるものとする。
【0063】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合に、1つ又は複数の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の複数の要素のうちの任意の1つ又は複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されている全ての要素の少なくとも1つを含むものではなく、要素のリスト内の要素の組合せを除外するものではない。この規定はまた、具体的に特定されたこれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、オプションで存在し得ることを可能にする。
【0064】
明確に逆に示されていない限り、本明細書で請求されている複数のステップ又は動作を含む方法において、方法のステップ又は動作の順序は、必ずしも方法のステップ又は動作が列挙されているその順序に限定されないことも理解すべきである。
【0065】
特許請求の範囲及び上記の明細書において、「備える、有する、含む(comprising)」、「含む、有する(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する、含む(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「~から構成される(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンドであると理解すべきであり、すなわち、含むがそれに限定されるものではないことを意味する。「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみがそれぞれクローズド又はセミクローズド移行句であるものとする。
【0066】
本明細書ではいくつかの本発明の実施形態について説明及び図示してきたが、当業者は、機能を実行する及び/又は結果を得るための様々な他の手段及び/又は構造、及び/又は本明細書に記載される利点の1つ又は複数を容易に想起し、さらに、そのような変形及び/又は修正のそれぞれが、本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされることを理解するだろう。より一般的には、当業者は、本明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の技術が使用される特定の1つ又は複数の用途に応じて変わることを容易に理解するだろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は日常的に過ぎない実験を使用してそれら均等物を確かめることができるだろう。従って、前述した実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明の実施形態は具体的に説明及び特許請求されている以外の方法で実施できることを理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書に記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が互いに矛盾しない場合に、そのような2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せも、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5