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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/00 20060101AFI20240314BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20240314BHJP
【FI】
F25C1/00 C
F25C1/147 M
F25C1/147 L
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020001443
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110486
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-062001(JP,A)
【文献】特開2002-048443(JP,A)
【文献】特開平05-091964(JP,A)
【文献】特開2016-006376(JP,A)
【文献】特開昭53-082063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 ~ 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水源からの製氷水を貯留するための水タンクと、
前記水タンクから給水される製氷水を貯留するための貯水部と、
前記貯水部内の製氷水を用いて氷を製氷する製氷部と、
前記水タンクと前記貯水部とに接続され、これらを連通させる給水管と、
前記貯水部内の製氷水を排出するための排水ポンプと、
前記排水ポンプと前記水タンクとに接続され、これらを連通させる第1通水管と、を備え
前記貯水部を構成し、氷が付着する内面を有するシリンダと、
前記シリンダの内部に回転可能に配され、前記内面に付着された氷を削り取る削氷刃を有するオーガと、
前記貯水部と前記排水ポンプとを接続する第1排水管と、を備え、
前記第1排水管は、前記内面に設けられた排水口に接続されている製氷機。
【請求項2】
前記シリンダの内部に配されて前記貯水部内の製氷水を止水するための封止体を備え、
前記排水口は、少なくとも一部が前記封止体と前記内面から視て重なるように設けられている請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記水タンクは、
製氷水を貯留可能な本体部と、
前記本体部と連通し、製氷水を外部に排出可能な排水部と、
前記第1通水管と接続される通水口と、を有する請求項1又は請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
水源からの製氷水を貯留するための水タンクと、
前記水タンクから給水される製氷水を貯留するための貯水部と、
前記貯水部内の製氷水を用いて氷を製氷する製氷部と、
前記水タンクと前記貯水部とに接続され、これらを連通させる給水管と、
前記貯水部内の製氷水を排出するための排水ポンプと、
前記排水ポンプと前記水タンクとに接続され、これらを連通させる第1通水管と、を備え、
前記水タンクは、
製氷水を貯留可能な本体部と、
前記本体部と連通し、製氷水を外部に排出可能な排水部と、
前記第1通水管と接続される通水口と、を有し、
前記通水口は、前記第1通水管からの製氷水を前記本体部、又は前記排水部のいずれかに注水するように、その位置が移動可能に構成されてい製氷機。
【請求項5】
前記水タンクは、前記本体部及び前記排水部の上部を覆う蓋体を有し、
前記通水口は、前記蓋体における位置が移動可能となるように前記蓋体に設けられている請求項4に記載の製氷機。
【請求項6】
前記水タンクは、前記通水口の位置を移動するためのステッピングモータを有する請求項4又は請求項5に記載の製氷機。
【請求項7】
前記水タンクは、前記本体部及び前記排水部の上部を覆う蓋体を有し、
前記ステッピングモータは前記蓋体に設けられている請求項6に記載の製氷機。
【請求項8】
水源からの製氷水を貯留するための水タンクと、
前記水タンクから給水される製氷水を貯留するための貯水部と、
前記貯水部内の製氷水を用いて氷を製氷する製氷部と、
前記水タンクと前記貯水部とに接続され、これらを連通させる給水管と、
前記貯水部内の製氷水を排出するための排水ポンプと、
前記排水ポンプと前記水タンクとに接続され、これらを連通させる第1通水管と、を備え、
前記水タンクは、
製氷水を貯留可能な本体部と、
前記本体部と連通し、製氷水を外部に排出可能な排水部と、
前記第1通水管と接続される通水口と、を有し、
前記排水部と接続される第2排水管と、
前記第1通水管から分岐して第2排水管と接続される第2通水管と、
前記第2通水管上に設けられた排水バルブと、をさらに備える製氷機。
【請求項9】
前記排水部と接続される第2排水管と、
前記第2排水管の通水方向を所定の方向に規制する逆止弁トラップと、を備える請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項10】
前記逆止弁トラップは、ゴム製の弁を有する請求項9に記載の製氷機。
【請求項11】
製氷した氷を貯留する貯氷槽と、
前記貯氷槽と接続され、前記貯氷槽内の水を排出するための第3排水管と、を備え、
前記第3排水管は、前記第2排水管と接続されており、
前記逆止弁トラップは、前記第2排水管と前記第3排水管との接続部より排水方向において下流側に設けられている請求項9又は請求項10に記載の製氷機。
【請求項12】
前記水タンクに対して、洗剤を供給可能な洗剤供給装置を備える請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項13】
前記洗剤供給装置は、
洗剤を収容する洗剤容器と、
前記洗剤容器から前記水タンクに前記洗剤を供給するための洗剤供給管と、
前記洗剤供給管の経路上に設けられ、前記洗剤供給管内の液体を搬送するための洗剤搬送ポンプと、有する請求項12に記載の製氷機。
【請求項14】
前記洗剤搬送ポンプは、DCモータを駆動手段として有するチューブローラ式のポンプである請求項13に記載の製氷機。
【請求項15】
前記洗剤供給装置は、前記洗剤供給管と接続され、前記洗剤供給管内の液体を外部に排出するための洗剤排出管を有する請求項13又は請求項14に記載の製氷機。
【請求項16】
前記洗剤供給装置は、アルカリ性の第1洗剤を供給する第1洗剤供給装置と、酸性の第2洗剤を供給する第2洗剤供給装置と、を有する請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項17】
前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、
前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプを制御する制御部と、を備える請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項18】
前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、
前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプ、及び前記ステッピングモータを制御する制御部と、を備える請求項6又は請求項7に記載の製氷機。
【請求項19】
前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、
前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプ、及び前記洗剤搬送ポンプを制御する制御部と、を備える請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製氷機における製氷水流路の一例として、特許文献1に、オーガ式製氷機の製氷水流路が開示されている。特許文献1に記載の製氷水流路は、製氷水が貯められる給水タンクと、給水タンクから製氷水をシリンダ内に給水する給水管と、シリンダ内の製氷水を排水するための排水管と、排水管に設けられた排水弁と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-3239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリンダ内の製氷水は、所定の製氷時間の後、シリンダ内に残留した製氷水を排出したり、シリンダ内に生じた汚れを除去したりするために排水される。ところが、排水弁を開いてシリンダ内の製氷水を排水しても、水頭圧が低い場合等には汚れがうまく排出されないことがある。また、汚れが排水弁に付着して、排水不良となる恐れがある。その結果、製氷不良が生じる恐れがある。
【0005】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、製氷水流路内に生じた汚れに対する洗浄力を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に記載の技術に関わる製氷機は、水源からの製氷水を貯留するための水タンクと、前記水タンクから給水される製氷水を貯留するための貯水部と、前記貯水部内の製氷水を用いて氷を製氷する製氷部と、前記水タンクと前記貯水部とに接続され、これらを連通させる給水管と、前記貯水部内の製氷水を排出するための排水ポンプと、前記排水ポンプと前記水タンクとに接続され、これらを連通させる第1通水管と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、貯水部内で生じる製氷水の汚れは、排水ポンプによって排出され、容易に除去可能となる。また、排水ポンプの駆動により排水の有無を切替可能となるため、排水弁を別途設ける必要がなくなり、排水弁に汚れが付着して排水不良となる事態を回避できるようになる。さらに、第1通水管を排水ポンプと水タンクとに接続することで、製氷水流路において、水タンク、給水管、貯水部、排水ポンプ、第1通水管、水タンク、と順に繋がる循環路が形成されるようになるため、製氷水流路を循環洗浄できるようになる。その結果、製氷水流路に生じた汚れに対する洗浄力を高めることができる。
【0008】
また、前記製氷機は、前記貯水部を構成し、氷が付着する内面を有するシリンダと、前記シリンダの内部に回転可能に配され、前記内面に付着された氷を削り取る削氷刃を有するオーガと、前記貯水部と前記排水ポンプとを接続する第1排水管と、を備え、前記第1排水管は、前記内面に設けられた排水口に接続されている。このようにすれば、オーガ式製氷機において、貯水部内で生じた汚れを効果的に洗浄できる。
【0009】
また、前記製氷機は、前記シリンダの内部に配されて前記貯水部内の製氷水を止水するための封止体を備え、前記排水口は、少なくとも一部が前記封止体と前記内面から視て重なるように設けられている。このようにすれば、封止体が摩耗して生じた摩耗粉等の汚れを排水口から容易に排出できるようになる。
【0010】
また、前記水タンクは、製氷水を貯留可能な本体部と、前記本体部と連通し、製氷水を外部に排出可能な排水部と、前記第1通水管と接続される通水口と、を有する。このようにすれば、水タンクの排水部から、製氷水を外部に排出できるようになる。
【0011】
また、前記通水口は、前記第1通水管からの製氷水を前記本体部、又は前記排水部のいずれかに注水するように、その位置が移動可能に構成されている。このようにすれば、通水口の位置により、製氷水流路を循環路とするかどうかを切替可能となる。通水口の位置を製氷水が本体部に注水される位置にすると、製氷水流路において循環路が形成される。一方で、通水口の位置を製氷水が排水部に注水される位置にすると、製氷水は外部に排出される。このようにして通水口の位置により循環洗浄と排水との切替可能となるため、切替弁が不要となる。
【0012】
また、前記水タンクは、前記本体部及び前記排水部の上部を覆う蓋体を有し、前記通水口は、前記蓋体における位置が移動可能となるように前記蓋体に設けられている。このようにすれば、通水口を蓋体上において移動することで、循環洗浄と排水との切り替えができるようになる。
【0013】
また、前記水タンクは、前記通水口の位置を移動するためのステッピングモータを有する。このようにすることで、ステッピングモータにより通水口の位置を容易に移動可能となる。
【0014】
また、前記水タンクは、前記本体部及び前記排水部の上部を覆う蓋体を有し、前記ステッピングモータは前記蓋体に設けられている。このようにすることで、ステッピングモータを設置するための場所を別途設ける必要がなくなり省スペース化できる。
【0015】
また、前記製氷機は、前記排水部と接続される第2排水管と、前記第1通水管から分岐して第2排水管と接続される第2通水管と、前記第2通水管上に設けられた排水バルブと、を備える。このようにすれば、排水バルブの開閉により、製氷水流路を循環路とするかどうかを切替可能となる。排水バルブを開くと、製氷水は第2排出管から外部に排出される。一方、排水バルブを閉じると、製氷水は第1通水管から水タンクに戻るため、製氷水流路が循環路となる。
【0016】
また、前記製氷機は、前記排水部と接続される第2排水管と、前記第2排水管の通水方向を所定の方向に規制する逆止弁トラップと、を備える。このようにすることで、第2排水管を流れる排水の逆流により、製氷水が汚染される事態を回避できるようになる。
【0017】
また、前記逆止弁トラップは、ゴム製の弁を有する。ゴム製の弁体を第2排出管の管内の流路に密着させることで、通水方向を確実に規制できるようになる。
【0018】
また、前記製氷機は、製氷した氷を貯留する貯氷槽と、前記貯氷槽と接続され、前記貯氷槽内の水を排出するための第3排水管と、を備え、前記第3排水管は、前記第2排水管と接続されており、前記逆止弁トラップは、前記第2排水管と前記第3排水管との接続部より排水方向において下流側に設けられている。このようにすることで、第3排水管に対しても逆流を防止し、貯氷槽の氷が汚染されてしまう事態を回避できるようになる。
【0019】
また、前記製氷機は、前記水タンクに対して、洗剤を供給可能な洗剤供給装置を備える。このようにすることで、循環洗浄時に製氷水に洗剤を混入させることができるようになるため、洗浄力を向上できるようになる。
【0020】
また、前記洗剤供給装置は、洗剤を収容する洗剤容器と、前記洗剤容器から前記水タンクに前記洗剤を供給するための洗剤供給管と、前記洗剤供給管の経路上に設けられ、前記洗剤供給管内の液体を搬送するための洗剤搬送ポンプと、有する。このようにすることで、洗剤が円滑に水タンクへ供給されるようになる。
【0021】
また、前記洗剤搬送ポンプは、DCモータを駆動手段として有するチューブローラ式のポンプである。このようにすることで、洗剤供給管内の液体の搬送方向や搬送速度を柔軟に調整可能となる。
【0022】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤供給管と接続され、前記洗剤供給管内の液体を外部に排出するための洗剤排出管を有する。このようにすることで、洗剤供給終了後には、前記洗剤供給管内に残留した洗剤を排出できるとともに、すすぎに用いた製氷水も排出できるようになる。
【0023】
また、前記洗剤供給装置は、アルカリ性の第1洗剤を供給する第1洗剤供給装置と、酸性の第2洗剤を供給する第2洗剤供給装置と、を有する。このようにすることで、アルカリ性洗剤による洗浄と、酸性洗剤による洗浄(殺菌)とを行えるようになる。
【0024】
また、前記製氷機は、前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプを制御する制御部と、を備える。このようにすることで、水位に基づき、排水ポンプの駆動と停止を自動制御できるようになる。
【0025】
また、前記製氷機は、前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプ、及び前記ステッピングモータを制御する制御部と、を備える。このようにすることで、制御部により通水口の位置を自動切替できるようになるため、循環洗浄と排水を自動切替可能となる。
【0026】
また、前記製氷機は、前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、前記水位センサの検出結果に基づき、前記排水ポンプ、及び前記洗剤搬送ポンプを制御する制御部と、を備える。このようにすることで、制御部により自動で洗剤供給が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本願明細書に記載の技術によれば、製氷水流路内に生じた汚れに対する洗浄力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係るオーガ式製氷機について各構成部の関係を示すブロック図
図2】製氷機構、及び冷凍装置の概略図
図3】製氷機構の断面図
図4】製氷機構、製氷水流路、及び貯氷機構の概略図
図5】水タンクの上面図
図6】水タンクの上面図(図5とは通水口の位置が異なる態様)
図7図5のVII-VII線断面図
図8】逆止弁トラップの断面図
図9】第2実施形態に係るオーガ式製氷機について各構成部の関係を示すブロック図
図10】製氷機構、製氷水流路、及び洗剤供給装置の概略図
図11】第3実施形態に係るオーガ製氷機の製氷機構、製氷水流路、及び洗剤供給装置の概略図
図12】水タンクの上面図
図13図12のXIII-XIII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るオーガ式製氷機10(製氷機の一例)について、図1から図8を参照して説明する。オーガ式製氷機10は、図1に示すように、製氷機構20と、冷凍装置40と、製氷水流路50と、貯氷機構70と、制御部80と、を備えている。製氷機構20は氷を製氷する。冷凍装置40は、製氷機構20(具体的には製氷部20Aのシリンダ21)を冷却するための冷媒を循環する。製氷水流路50は、製氷水を流通させる。貯氷機構70は、製氷した氷を貯える。制御部80は、制御プログラム及び各種センサの検出結果等に基づいて、各部を制御する。なお、本明細書において、製氷水とは、製氷に用いられる水に限らず、洗浄に用いられる水等、製氷水流路50を流通する全ての水を含むものとする。
【0030】
冷凍装置40は、図2に示すように、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管44と、を備え、これらは冷媒管45によって連結されている。圧縮機41は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスをファン46の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化冷媒を膨張させる。蒸発管44は、シリンダ21の外面に巻き回されている。蒸発管44は、膨張弁43によって膨張された液化冷媒を気化させて、シリンダ21を冷却する。また、冷凍装置40は、ファン46と、ドライヤ47と、温度センサ48と、をさらに備える。ドライヤ47は、冷凍装置40に混入した水分を除去する。温度センサ48は、冷媒管45における蒸発管44の出口部分、及び凝縮器42とドライヤ47との間に設けられており、冷媒の温度を検出する。
【0031】
製氷機構20は、図3に示すように、氷を製氷する製氷部20Aと、駆動部20Bと、連結部20Cと、を有する。駆動部20Bは、製氷部20Aに対して動力(具体的には、後述するオーガ22に対して回転力)を供給し駆動させる。連結部20Cは、製氷部20Aと駆動部20Bとを機械的に連結し、駆動部20Bの動力を製氷部20Aに伝達する。
【0032】
製氷部20Aは、図3に示すように、シリンダ(製氷筒、冷却筒)21と、オーガ22と、成型部材(固定刃、圧縮ヘッド)23と、断熱材24と、カッタ25と、氷排出管26と、シール部(メカニカルシール)27と、を備える。シリンダ21は、金属(例えばステンレス鋼)製で中空円筒状をなしており、その外面に蒸発管44が巻き回されている。シリンダ21において蒸発管44より下側の側壁には、2つの開口(給水口21A、排水口21B)が設けられている。製氷水は、給水口21Aからシリンダ21内に給水される。また、シリンダ21内の製氷水は排水口21Bからシリンダ21外へ排出される。断熱材24は、蒸発管44の外面を覆っており、冷却効果を高めている。
【0033】
オーガ22は、図3に示すように、全体にみて細長い棒状をなし、細長く延びる延在方向がシリンダ21の中心軸に沿うように、シリンダ21の内部空間に上下に挿入されている。オーガ22は、側面に視て蒸発管44と重なる部分に螺旋状の削氷刃22Aを備える。削氷刃22Aは、オーガ22の棒状の本体からシリンダ21の内面21Fに向かって突出しており、その突出長は、シリンダ21の内面21Fに僅かに到達しない程度とされる。削氷刃22Aは、シリンダ21の内面21Fに付着した氷を削り取る。
【0034】
成型部材23は、図3に示すように、シリンダ21の内部の上側に配されている。成型部材23は略筒状をなし、筒状の内壁によって囲まれた内部空間に、オーガ22の上部22Bが挿入されている。また、成型部材23は、シリンダ21の内面21Fとの間に、上下に貫通する氷通過経路23Aが形成されるように壁面を有する。オーガ22によって運搬された氷は、氷通過経路23Aに押し込まれて、柱状に圧縮成型される。
【0035】
カッタ25は、図3に示すように、成型部材23の上側に配されている。カッタ25は、成型部材23で圧縮成型された氷を所定の長さに切断する。氷排出管26は、成型部材23の上側に、カッタ25を覆うように配されている。カッタ25で切断された氷は、氷排出管26を通って、後述する貯氷槽71に貯えられる。
【0036】
シール部27は、図3に示すように、シリンダ21の内部に配され、封止体27Aと、固定具27Bと、を有する。封止体27Aは、セラミックス、又は硬質樹脂からなり、オーガ22の棒状の本体の外面と後述するハウジング20C2の上部との隙間を埋めて、製氷水を止水する。固定具27Bは、封止体27Aの上側に配され、封止体27Aをオーガ22の本体の外面に対して押し付けて固定している。これにより、オーガ22の外面と、封止体27Aと、ハウジング20C2の上部と、シリンダ21の内面21Fと、に囲まれた空間が、製氷水を貯留可能な貯水部Sを構成している。シリンダ21に設けられた給水口21A及び排水口21Bは、貯水部Sの底部に設けられており、より詳しくは、少なくとも一部が封止体27Aと側面視で(内面21Fから視て)重なるように設けられている。シール部27は、オーガ22と共に回転し、その際封止体27Aは、ハウジング20C2の上部に対して摺動する。このため、摺動により、封止体27Aの一部が摩耗し、削れた摩耗粉が汚れとして貯水部S内に生じることがある。
【0037】
駆動部20Bは、図3に示すように、製氷部20Aの下側に配されている。駆動部20Bは、モータと、歯車系と、出力軸20B1と、を備える。モータが回転駆動すると、歯車系を通じて動力が伝達され、出力軸20B1が回転する。
【0038】
連結部20Cは、図3に示すように、カップリング(軸継手)20C1と、ハウジング20C2と、を有する。カップリング20C1は、中空円筒状をなしており、その内部に、スプライン係合するオーガ22の下端と、出力軸20B1の上端とを固定している。カップリング20C1により、出力軸20B1が回転すると、オーガ22が一体的に回転する。
【0039】
製氷水流路50は、図4に示すように、水タンク60と、給水管51と、シリンダ21内の貯水部Sと、第1排水管52と、排水ポンプ(ポンプモータ)53と、第1通水管54と、第2排水管55と、本排水管58と、逆止弁トラップ57と、を有する。水タンク60は、略箱形をなし、内部空間に製氷水を貯留する。給水管51は、水タンク60と貯水部Sとに接続されてこれらを連通させる。水タンク60の製氷水は、水タンク60(本体部61)内の水位とシリンダ21(貯水部S)内の水位が等しく釣り合うように、給水管51を通してシリンダ21内に供給される。第1排水管52は、貯水部Sの排出口21Bと、排水ポンプ53とに接続される。排水ポンプ53は、貯水部Sの製氷水を排出するために、第1排水管52の製氷水を吸い込み、第1通水管54に吐出する。第1通水管54は、排水ポンプ53と水タンク60とに接続されてこれらを連通させる。第2排水管55は、水タンク60(具体的にはオーバーフローパイプである排水部62)と接続され、製氷水を外部に排出する。
【0040】
水タンク60は、図5から図7に示すように、本体部61と、排水部62と、蓋体63と、水位センサ(超音波センサ)64と、第1殺菌機(UV殺菌ランプ)65と、ステッピングモータ66と、を有する。本体部61は、上方に開口された略箱形をなし、内部空間に製氷水を貯留する。排水部62はオーバーフローパイプであり、本体部61の外周部に上下に配されている。排水部62の一端部は、本体部61の上部と連通し、他端部が第2排水管55に接続されている。本体部61内の製氷水の水位が高くなり排水部62と連通する水位になる(オーバーフロー水位を超える)と、本体部61内の製氷水が溢れ出て排水部62に越流する。蓋体63は、本体部61及び排水部62の上部を覆う。水位センサ64は、距離センサであって、蓋体63に配され、本体部61内の製氷水の水位を検出する。水位センサ64として超音波センサを用いることで、水位がリニアに検出される。
【0041】
第1殺菌機65は、蓋体63に配され、LEDランプから紫外線又は深紫外線を本体部61内の製氷水に照射して、殺菌する。ここで、仮に排水部62が本体部61内の外周部以外に配されていると、パイプ状をなす排水部62の側壁外側の製氷水には、LEDランプからの照射光が到達しにくくなり、殺菌効果が低下してしまう。このため、本実施形態においては、排水部62を本体部61の外周部に配することで、このような殺菌効果の低下を防いでいる。
【0042】
蓋体63には、図5及び図6に示すように、注水口63Aと、通水口63Bと、が設けられている。製氷水は、外部の水道管から注水口63Aを通って本体部61内に供給される。また、水道管と注水口63Aとの間には給水バルブが配されており、制御部80により給水バルブが制御され製氷水の供給が調整されている。通水口63Bには、第1通水管54が接続される。通水口63Bは、図5及び図6に示すように、蓋体63の面内における位置がスライド移動可能に設けられている。ステッピングモータ66は、蓋体63上において通水口63Bに隣接するように配され、通水口63Bを位置P1(図5)から位置P2(図6)に、又は位置P2から位置P1に移動させる。ステッピングモータ66により通水口63Bの位置を容易に移動可能となる。また、ステッピングモータ66を蓋体63上に設けることで、ステッピングモータ66の設置場所を別途設ける必要がなくなり省スペース化できる。位置P1にある通水口63B(図5及び図6における符号63B-P1)は、本体部61の上方に位置し、第1通水管54から当該通水口63Bに通水した製氷水は、本体部61に注水される。一方、位置P2にある通水口63B(図5及び図6における符号63B-P2)は、排水部62の鉛直上方に位置し、第1通水管54から当該通水口に通水した製氷水は、排水部62に注水される。
【0043】
逆止弁トラップ57は、第2排水管55、又は図4に示すように、排水方向において第2排水管55より下流側の本排水管58に設けられる。逆止弁トラップ57は、図8に示すように、ゴム製の弁57Aを有し、弁57Aが管内の流路に密着することで通水方向を所定の方向(図4及び図8の場合、右から左)に規制している。これにより、排水の逆流により、水タンク60内の製氷水が汚染される事態を回避できる。また、弁57Aにより空気の逆流を遮断し、外部からの異臭、細菌等の流入を防止できる。
【0044】
貯氷機構70は、図4に示すように、貯氷槽(アイスビン)71と、第3排水管73と、貯氷高センサ(超音波センサ)75と、第2殺菌機77と、を有する。貯氷槽71は、図4に示すように、氷排出管26と連通しており、製氷機構20で製氷された氷を貯える。使用者は、製氷された氷を貯氷槽71から取り出して使用する。第3排水管73は、貯氷槽71の底部に接続され、氷が融解して貯氷槽71内に生じた製氷水を排出する。貯氷高センサ75は、貯氷槽71の上壁に配され、貯氷槽71内の氷の蓄積高を検出する。第2殺菌機77は、貯氷槽71の上壁に配され、LEDランプから紫外線又は深紫外線を貯氷槽71内の氷に照射して、殺菌する。
【0045】
第3排水管73は、図4に示すように、第2排水管55と接続されている。逆止弁トラップ57は、第2排水管55と第3排水管73との接続部より排水方向において下流側の本排水管58に設けられている。これにより、排水の逆流により、貯氷槽71内の氷が汚染される事態を回避できると共に、外部からの異臭、細菌等の流入を防止できる。
【0046】
制御部80は、コントローラIC(CPUを含む)を主体に構成されており、製氷機構20のメインボードに組み込まれている。制御部80は、ROMやRAM等の記憶部に記録された制御プログラムを実行することで、使用者による操作、及び各センサ(水位センサ64、貯氷高センサ75、温度センサ48)の検出結果等に基づいて、各機器(冷凍装置40、排水ポンプ53、ステッピングモータ66、給水バルブ)を制御する。また、記憶部には、製氷機の動作に係る各設定値が記憶可能となっている。
【0047】
次に、上記したオーガ式製氷機10の運転方法について説明する。オーガ製氷機10は、製氷運転、洗浄運転、及び排水運転を制御部80により自動的に切り替えて実行する。製氷運転、洗浄運転、及び排水運転の順番、回数、及び組み合わせは制御プログラムにより適宜設定可能である。運転開始前に、水タンク60の本体部61内の水位について、所定の基準水位(具体的には、図7に示す第1基準水位61a、第2基準水位61b、及び第3基準水位61c)が設定される。第1基準水位61aは、製氷運転時に、制御部80により給水バルブが閉じられ、製氷水の給水が停止される水位である。第2基準水位61bは第1基準水位61aより低く、製氷運転時に、制御部により給水バルブが開かれ、本体部61内に製氷水が供給される水位である。また、第3基準水位61cは、第1基準水位61aより高く、排水部62のオーバーフロー水位と同一である。第3基準水位61cは、図10に示すように、本体部61からシリンダ21内の貯水部Sに製氷水が供給され、両者の水位が等しくなった場合に、成型部材23が全て水没する水位に設定されている。
【0048】
最初に、製氷運転について説明する。製氷運転が開始されると、水位センサ64で水タンク60の本体部61内の水位が検出される。その水位が第1基準水位61a未満の場合、制御部80により給水バルブが開かれ、水道管から注水口63Aを通して本体部61内に製氷水が供給される。製氷運転中は、水位センサ64より第1基準水位61aが検出されると給水バルブが閉じられて製氷水の給水が停止され、第2基準水位61bが検出されると給水バルブが再び開かれて製氷水が供給される。排水ポンプ53は駆動されない。第1基準水位61a、及び第2基準水位61bは任意に設定可能であり、これらの設定値により貯水部S内の製氷水の水位、ひいては氷質を調整できる。例えば、貯水部S内の製氷水の水位が比較的高い場合、水分をより多く含む軟質の氷が製氷され、逆に、当該水位が比較的低い場合、水分がより少ない硬質の氷が製氷される。
【0049】
貯水部Sに製氷水が貯留されると、シリンダ21の側壁の内面21F(製氷面)は貯水部S内の製氷水に浸されるようになる。冷凍装置40が駆動されてシリンダ21が冷却されると、製氷水がシリンダ21の側壁の内面21Fで凍結する。これにより、シリンダ21の側壁の内面21Fに薄い層状の氷が付着するようになる。そして、駆動部20Bが駆動されオーガ22が回転すると、その削氷刃22Aによってシリンダ21の内面21Fに付着した氷が削り取られる。削り取られた細かい氷は、オーガ22の回転により上方に運搬され、成型部材23の氷通過経路23Aに押し込まれて圧縮成型される。成型された氷は、カッタ25により切断されて、氷が製氷される。製氷された氷は、貯氷槽71に貯えられ、貯氷高センサ75により検出された氷の蓄積高が所定値に達すると、制御部80により製氷運転が停止される。貯氷槽71の氷が使用され、氷の蓄積高が所定値より低くなると、制御部80により製氷運転が再開される。
【0050】
次に、洗浄運転について説明する。洗浄運転では、水位センサ64で水タンク60の本体部61内の水位を検出し、その水位が第3基準水位61c未満の場合、制御部80により給水バルブが開かれ、水道管から注水口63Aを通して本体部61内に製氷水が供給される。また、制御部80により排水ポンプ53が駆動され、ステッピングモータ66により通水口63Bの位置がP1に設定される。これにより、製氷水流路50において、本体部61、給水管51、貯水部S、第1排水管52、排水ポンプ53、第1通水管54、位置P1の通水口63B、本体部61と繋がる循環路が形成される。製氷水が当該循環路を循環することで、製氷水流路50を洗浄できるようになる。循環洗浄は所定の時間行われ、排水ポンプ53の駆動と停止を複数回繰り返すことで、洗浄効果が高められる。また、循環洗浄時に、駆動部20Bを駆動すると、オーガ22が回転してシリンダ21内をより効果的に洗浄できるようになる。
【0051】
次に、排水運転について説明する。排水ポンプ53が駆動され、ステッピングモータ66により通水口63Bの位置がP2に移動されると、製氷水が排水部62から外部に排水される。本体部61の水位が低下し、水位センサ64によりあらかじめ設定した水タンク60の底面の高さが検出されると、貯水部S内の残水を排出するために必要な時間を経過後に、排水ポンプ53が停止される。貯水部Sには、例えば、封止体27Aの一部が摩耗して削れた摩耗粉が汚れとして生じているが、当該汚れも、排水口21Bを通って、排水ポンプ53により排出可能となる。排水口21Bは、図3に示すように、封止体27Aに側面視で重なるように貯水部Sの底部に設けられているため、排水ポンプ53の吸引力により汚れが容易に排出される。
【0052】
上記した構成のオーガ製氷機10によれば、貯水部S内で生じる製氷水の汚れは、排水ポンプ53によって排出され、容易に除去可能となる。また、排水ポンプ53の駆動により排水の有無を切替可能となるため、排水弁を別途設ける必要がなくなり、排水弁に汚れが付着して排水不良となる事態を回避できるようになる。さらに、第1通水管54を排水ポンプ53と水タンク60(具体的には本体部61)とに接続することで、製氷水流路50において、水タンク60(本体部61)、給水管51、貯水部S、排水ポンプ53、第1通水管54、水タンク60(本体部61)、と順に繋がる循環路が形成されるようになるため、製氷水流路50を循環洗浄できるようになる。循環洗浄により、汚れが残留しやすいシリンダ21内、成型部材23、及び水タンク60を容易に洗浄可能となり、製氷水流路50に生じた汚れに対する洗浄力を高めることができる。
【0053】
また、オーガ製氷機10は、ステッピングモータ66により通水口63Bの位置を適宜変更することで、製氷水流路50において循環路を形成するかどうかを切替可能となる。通水口63Bを製氷水が本体部61に注水される位置P1にすると、製氷水流路50において循環路が形成される。一方で、通水口63Bを製氷水が排水部62に注水される位置P2にすると、循環路が形成されず、製氷水を外部に排出できるようになる。これにより、循環洗浄後には製氷水を外部に排出できると共に、循環洗浄と排水との切り替えを行う切替弁が不要となる。
【0054】
さらに、オーガ式製氷機10は、水位センサ64の検出結果等に基づいて制御部80により、排水ポンプ53、及びステッピングモータ66、給水バルブを制御する。これにより、上記した製氷運転、洗浄運転、排水運転を自動切替、自動制御可能となる。また、制御部80が実行する制御プログラムにより製氷運転、洗浄運転、及び排水運転の回数、及び組み合わせは適宜変更可能である。
【0055】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るオーガ式製氷機110について図9及び図10を参照して説明する。オーガ式製氷機110は、洗剤供給装置90を備える。それ以外の構成については、第1実施形態と同様であり、同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0056】
洗剤供給装置90は、図10に示すように、第1洗剤供給装置90aと、第2洗剤供給装置90bと、を有する。第1洗剤供給装置90aは、アルカリ性の第1洗剤WL1を水タンク60の本体部61に供給する。第2洗剤供給装置90bは、酸性の第2洗剤WL2を水タンク60の本体部61に供給する。
【0057】
第1洗剤供給装置90aは、図10に示すように、第1洗剤容器91aと、第1洗剤供給管92aと、第1洗剤搬送ポンプ94aと、第1洗剤排出管95aと、を有する。第1洗剤容器91aは、ポリプロピレン等の耐アルカリ性材料からなる袋状の収容体であって、その内部空間に第1洗剤WL1を収容する。第1洗剤供給管92aは、第1洗剤容器91aと水タンク60とを接続する。第1洗剤供給管92aの水タンク60側の端部は、水タンク60の本体部61の内部空間に挿入されている。当該端部の先端92a1は、所定の位置範囲となるように、蓋体63に固定されている。具体的には、先端92a1は、第3基準水位61cと第4基準水位61dとの間に位置するように配される。ここで、第4基準水位61dは、図7に示すように、第1基準水位61aより高く第3基準水位61cより低い水位とされる。第1洗剤供給管92aのもう一方の端部は、第1洗剤容器91aの内部空間に挿入されている。
【0058】
第1洗剤搬送ポンプ94aは、図10に示すように、第1洗剤供給管92aの経路上に設けられている。第1洗剤搬送ポンプ94aは、チューブローラ式のポンプであって、駆動手段であるDCモータと、複数のローラ94a1と、両端が第1洗剤供給管92aと連通するチューブ94a2と、を有する。第1洗剤搬送ポンプ94aは、ローラ94a1により、弾性を有するチューブ94a2を押しつぶして、その管内の液体(第1洗剤WL1等)を押し出して搬送する。第1洗剤搬送ポンプ94aは、DCモータに印加される電圧の極性を切り替えることで、回転方向が正回転(図10における時計回り)、又は逆回転(図10における反時計回り)に変更可能となっている。第1洗剤搬送ポンプ94aが正回転する場合、第1洗剤容器91a内の第1洗剤WL1は、第1洗剤搬送ポンプ94aにより吸引され、水タンク60の本体部61内に投入される。第1洗剤搬送ポンプ94aが逆回転する場合、本体部61内の製氷水は、第1洗剤搬送ポンプ94aにより吸引され、第1洗剤排出管95aに排出される。
【0059】
第1洗剤排出管95aは、図10に示すように、第1洗剤供給管92aと第2排水管55とを接続して、連通させる。第1洗剤排出管95aは、第1洗剤供給管92aの管内の液体(第1洗剤WL1等)を外部に排出するための流路となる。第1洗剤供給管92aにおいて、第1洗剤排出管95aとの接続部92a2は、第1洗剤容器91aと第1洗剤搬送ポンプ94aとの間に位置する。また、第1洗剤供給管92aにおいて、接続部92a2と第1洗剤容器91aとの間には、第1逆止弁96aが設けられている。第1逆止弁96aは、第1洗剤供給管92a内の液体の流れを所定の方向に規制する。具体的には、第1洗剤供給管92aにおいて、第1洗剤容器91aから第1洗剤搬送ポンプ94aに向かう流れを許容し、第1洗剤搬送ポンプ94aから第1洗剤容器91aに向かう流れを規制する。
【0060】
また、第1洗剤排出管95aには、第2逆止弁97aが設けられている。第2逆止弁97aは、第1洗剤排出管95a内の液体の流れを所定の方向に規制する。具体的には、第1洗剤排出管95aにおいて、第1洗剤搬送ポンプ94aから第2排水管55に向かう流れを許容し、第2排水管55から第1洗剤搬送ポンプ94aに向かう流れを規制する。
【0061】
第2洗剤供給装置90bは、第1洗剤供給装置90aの構成と同様であり、図10に示すように、第2洗剤容器91bと、第2洗剤供給管92bと、第2洗剤搬送ポンプ94bと、第2洗剤排出管95bと、を有する。これら各部の構成、作用及び効果はそれぞれ、対応する第1洗剤容器91a、第1洗剤供給管92a、第1洗剤搬送ポンプ94a、第1洗剤排出管95a、と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0062】
制御部180は、水位センサ64、及び質量センサの検出結果等に基づいて、第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bを制御する。
【0063】
次に、洗剤供給装置90を用いたオーガ製氷機110の洗浄運転について説明する。最初に、第1洗剤供給装置90aを用いた洗浄工程について説明する。第1実施形態の洗浄運転と同様に、水タンク60の本体部61内の水位が第3基準水位61c未満の場合、本体部61内に製氷水が供給される。また、排水ポンプ53が駆動され、ステッピングモータ66により通水口63Bの位置がP1に設定される。これにより、製氷水流路50において、本体部61、給水管51、貯水部S、第1排水管52、排水ポンプ53、第1通水管54、位置P1の通水口63B、本体部61と繋がる循環路が形成される。次に、第1洗剤搬送ポンプ94aが正回転で駆動され、第1洗剤WL1が本体部61内に投入されると、製氷水流路50がアルカリ性洗剤により洗剤洗浄される。循環洗浄は所定の時間行われ、排水ポンプ53の駆動と停止を繰り返すことで、洗浄効果が高められる。例えば、排水ポンプ53を数十分停止した後に、再度駆動することで、汚れの除去効果が高まる。
【0064】
第1洗剤WL1は、所定の投入量が確認されると、第1洗剤搬送ポンプ94aが停止して投入終了となるように制御されている。具体的には、第1洗剤容器91aの底部外面に設けられた荷重センサ99aにより、第1洗剤容器91a内の第1洗剤WL1の重量を検出する。制御部180は、第1洗剤搬送ポンプ94aの駆動時間及び荷重センサ99aの検出結果から所定の投入量の投入が確認されると、第1洗剤搬送ポンプ94aを停止させ、投入を終了させる。なお、第1洗剤WL1の所定の投入量は、例えば本体部61の容量(水量)の5%程度と設定される。洗浄終了後は、第1実施形態と同様に排水を行う。水位センサ64によりあらかじめ設定した水タンク60の底面の高さが検出されると、貯水部S内の残水を排出するために必要な時間を経過した後(例えば数分間)に、排水ポンプ53及び第1洗剤搬送ポンプ94aが停止される。
【0065】
次に、第2洗剤供給装置90bを用いた殺菌工程について説明する。第1実施形態の洗浄運転と同様に、水タンク60の本体部61内の水位が第3基準水位61c未満の場合、本体部61内に製氷水が供給される。また、排水ポンプ53が駆動され、ステッピングモータ66により通水口63Bの位置がP1に設定される。そして、第2洗剤搬送ポンプ94bが正回転で駆動され、第2洗剤WL2が本体部61内に投入されると、製氷水流路50が酸性洗剤により洗剤洗浄される。循環洗浄は所定の時間行われ、排水ポンプ53の駆動と停止を繰り返すことで、洗浄効果が高められる。酸性洗剤は殺菌作用が高いため、第2洗剤供給装置90bにより、特に殺菌による洗浄効果を高めることができる。例えば、排水ポンプ53を数十分停止した後に、再度駆動することで、殺菌効果が高まる。第2洗剤WL2の投入量は、上記した第1洗剤WL1と同様に制御される。なお、第2洗剤WL2の所定の投入量は、例えば本体部61の容量(水量)の3%程度と設定される。洗浄終了後は、第1実施形態と同様に排水を行う。水位センサ64によりあらかじめ設定した水タンク60の底面の高さが検出されると、貯水部S内の残水を排出するために必要な時間を経過した後(例えば数分間)に、排水ポンプ53及び第2洗剤搬送ポンプ94bが停止される。
【0066】
続いて、第1洗剤供給管92a及び第2洗剤供給管92bのすすぎを行うリンス工程について説明する。ステッピングモータ66により通水口63Bを位置P1に移動させ、注水口63Aから本体部61内に製氷水を供給し続ける。これにより、製氷水は本体部61内から溢れ、排出部62に越流し続けるようになる。水位センサ64により第3基準水位61cが検出されると制御部180は排水ポンプ53を駆動すると共に、第1洗剤搬送ポンプ94aを逆回転駆動させる。これにより、水タンク60(本体部61)内の製氷水が第1洗剤供給管92aを通って第1洗剤排出管95aに流入し、第2排水管55に排出される。その結果、第1洗剤供給管92aを製氷水ですすぎ、第1洗剤供給管92a内に残留している第1洗浄液WL1を外部に排出できるようになる。第1洗剤搬送ポンプ94aの逆回転駆動が所定の時間行われると、第1洗剤搬送ポンプ94aが停止され、次に、第2洗剤搬送ポンプ94bが逆回転駆動される。これにより、水タンク60(本体部61)内の製氷水が第2洗剤供給管92bを通って第2洗剤排出管95bに流入し、第2排水管55に排出される。その結果、第2洗剤供給管92bを製氷水ですすぎ、第2洗剤供給管92b内に残留している第2洗浄液WL2を外部に排出できるようになる。第2洗剤搬送ポンプ94bの逆回転駆動が所定の時間行われると、第2洗剤搬送ポンプ94bが停止され、制御部180により給水バルブを閉じて本体部61内への給水を終了する。
【0067】
すすぎ終了後は、第1実施形態と同様に排水運転を行う。ただし、第1実施形態の排水運転と異なり、排水の過程において、水位センサ64により第4基準水位61dが検出されると、第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bが逆回転駆動される。これにより、第1洗剤供給管92a、第2洗剤供給管92b、第1洗剤排出管95a、第2洗剤排出管95b、チューブ94a2、94b2内の製氷水を水抜きすることができる。水位センサ64によりあらかじめ設定した水タンク60の底面の高さが検出されると、貯水部S内の残水を排出するために必要な時間を経過した後に、排水ポンプ53、第1洗剤搬送ポンプ94a及び第2洗剤搬送ポンプ94bが停止される。リンス工程及び排水運転は、以上の動作を複数回繰り返して行う。
【0068】
上記した構成のオーガ製氷機110の第1洗剤供給装置90aによれば、制御部180により第1洗剤搬送ポンプ94aを正回転するように動作させると、第1洗剤WL1が第1洗剤容器91aから第1洗剤供給管92aを通って水タンク60内に自動投入される。これにより、洗浄運転時に製氷水流路50を流れる製氷水に第1洗剤WL1を混入させることができ、アルカリ洗剤による洗浄工程が行えるため、洗浄力を向上できるようになる。同様にして、第2洗剤供給装置90bによれば、酸性洗剤による殺菌工程が行えるため、殺菌しつつ洗浄力を向上できるようになる。さらに、第1洗剤搬送ポンプ94a、第2洗剤搬送ポンプ94bを逆回転するように動作させると、リンス工程によって、第1洗剤供給管92a、第2洗剤供給管92bをそれぞれ製氷水ですすぎ、当該管内に残留した第1洗浄液WL1、第2洗浄液WL2、及びすすぎに用いた製氷水を外部に排出できるようになる。また管内を水抜きできるようになる。
【0069】
また、制御部180により、水位センサ64の検出結果等に基づいて、排水ポンプ53、ステッピングモータ66、第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bを制御することで、上記した洗浄工程、殺菌工程、リンス工程、排水処理が自動切替され、自動洗浄される。
【0070】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るオーガ式製氷機210について図11から図13を参照して説明する。オーガ式製氷機210は、第2実施形態のオーガ式製氷機110と製氷水流路250が異なる。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は省略する。
【0071】
オーガ式製氷機210は、図11に示すように、第2通水管56と、排水バルブ59と、を備える。第2通水管56は、第1通水管54から分岐して第2排水管55と接続される。排水バルブ59は、第2通水管54の経路上に設けられている。排水バルブ59を開いて、排水ポンプ53を駆動させると、貯水部S内の製氷水は第1通水管54、第2通水管56、第2排水管55を順に通って、外部に排出される。
【0072】
排水バルブ59は、排水ポンプ53の吐出側であって、排水ポンプ53より地面からの高さが低い位置に配される。これにより、排水ポンプ53の水圧により、例えば封止体27Aの一部が摩耗して削れた摩耗粉が排水バルブ59の弁体に留まることなく排出されやすくなる。また、排水ポンプ53と排水バルブ59との間の第1通水管54は、排水ポンプ53から排水バルブ59に向かって勾配が生じるような姿勢で配されているものとされる。これにより、貯水部Sの製氷水が自重で排水ポンプ53から排水バルブ59に向かって流れやすくなる。
【0073】
水タンク260の蓋体263には、図12及び図13に示すように、注水口63Aの直上に給水バルブ67が配されている。通水口263Bは、第1実施形態及び第2実施形態と異なり、本体部61の上方に位置する位置P1に固定されている。ステッピングモータ66は設けられていない。
【0074】
オーガ製氷機210の洗浄運転について説明する。洗浄運転では、水位センサ64で水タンク260の本体部61内の水位を検出し、その水位が第3基準水位61c未満の場合、制御部280により給水バルブ67が開かれ、本体部61内に製氷水が供給される。また、制御部280により排水ポンプ53が駆動され、排水バルブ59が閉じられる。これにより、製氷水流路250において、本体部61、給水管51、貯水部S、第1排水管52、排水ポンプ53、第1通水管54、本体部61と繋がる循環路が形成される。製氷水が当該循環路を循環することで、製氷水流路250を洗浄できるようになる。循環洗浄により、汚れが残留しやすいシリンダ21内、成型部材23、及び水タンク60を容易に洗浄可能となり、製氷水流路250に生じた汚れに対する洗浄力を高めることができる。
【0075】
次に、排水運転について説明する。制御部280により排水ポンプ53が駆動され、排水バルブ59が開かれると、本体部61、給水管51、貯水部S、第1排水管52、排水ポンプ53、第1通水管54、第2通水管56、第2排水管55と繋がる流路が形成されて、製氷水が外部に排水される。本体部61の水位が低下し、水位センサ64によりあらかじめ設定した水タンク60の底面の高さが検出されると、貯水部S内の残水を排出するために必要な時間を経過した後に、排水ポンプ53が停止される。また、排水ポンプ53内に残留する製氷水を排出するために必要な時間を経過後に、排水バルブ59が閉弁される。これにより、貯水部S内、排水ポンプ53内の製氷水が全排出される。
【0076】
なお、排水バルブ59は、その排水能力が排水ポンプ53の吐出容量以上とされる。これにより、排水運転時に製氷水が第1通水管54を通って水タンク60に戻ってしまう事態を防げるようになる。
【0077】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0078】
(1)水位センサ64、貯氷高センサ75は、超音波センサ以外の水位センサ、貯氷高センサでも構わない。例えば、水タンク60の側壁内面に電極や静電容量を複数設けることで、当該水位を検出しても構わない。
【0079】
(2)第1殺菌機65、第2殺菌機77は、それぞれ水タンク60、貯氷槽71の側壁内面、底部内面、水没(氷没)位置に配しても構わない。また、第1殺菌機65、第2殺菌機77は、UV殺菌ランプ以外の殺菌機であっても構わない。
【0080】
(3)水タンク60の形状は、製氷水を貯留可能な他の形状であっても構わない。また、水タンク60において、排出部62は本体部61の角部以外に配されていても構わない。
【0081】
(4)逆止弁トラップ57は、水平方向と交わる方向に延在する配管に設けられていても構わない。また、水平方向、水平方向と交わる方向に延在するいずれの配管に対しても兼用可能に構成されていても構わない。
【0082】
(5)第1洗剤WL1、及び第2洗剤WL2の投入量は、それぞれ第1洗剤搬送ポンプ94a、第2洗剤搬送ポンプ94bの駆動時間のみ、又は荷重センサ99a,99bの検出結果のみに基づいて制御されても構わない。
【0083】
(6)本明細書に記載の技術は、水タンクと貯水部とを有する他の方式の製氷機(例えばドラム式製氷機、貯水式製氷機、他の種類のオーガ式製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
10,110:オーガ式製氷機(製氷機)、20A:製氷部、21:シリンダ、21B:排水口、21F:内面、22:オーガ、22A:削氷刃、27A:封止体、51:給水管、52:第1排水管、53:排水ポンプ、54:第1通水管、55:第2排水管、56:第2通水管、57:逆止弁トラップ、57A:弁59:排水バルブ、60:水タンク、61:本体部、62:排水部、63:蓋体、63B:通水口、64:水位センサ、66:ステッピングモータ、71:貯氷槽、73:第3排水管、80,180:制御部、90:洗剤供給装置、90a:第1洗剤供給装置、90b:第2洗剤供給装置、91a,91b:第1、第2洗剤容器(洗剤容器)、92a,92b:第1、第2洗剤供給管(洗剤供給管)、94a,94b:第1、第2洗剤搬送ポンプ(洗剤搬送ポンプ)、95a,95b:第1、第2洗剤排出管(洗剤排出管)、S:貯水部
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