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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ウェハ搬送ユニット及びウェハ搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/66 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020009273
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021118224
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】嶋瀬 朗
(72)【発明者】
【氏名】石塚 利道
(72)【発明者】
【氏名】活洲 政敬
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170418(JP,A)
【文献】特開2018-111200(JP,A)
【文献】特開2011-119348(JP,A)
【文献】国際公開第2006/057050(WO,A1)
【文献】特開2008-305905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体故障解析装置においてウェハを保持しながら搬送するウェハ搬送ユニットであって、
所定の観察位置にウェハを固定する固定部と、
前記観察位置まで前記ウェハを保持しながら搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部は、前記ウェハの側面と対向するように設けられた複数の保持部材を有し、前記複数の保持部材によって前記ウェハの側面から前記ウェハの周部を挟持することにより前記ウェハを保持する、ウェハ搬送ユニット。
【請求項2】
前記複数の保持部材は、前記ウェハの周部に当接する少なくとも3つの突出部を含んで構成されている、請求項1記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項3】
前記複数の保持部材は、少なくとも4つの前記突出部を含んで構成されている、請求項2記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項4】
前記複数の保持部材は、前記ウェハの周部に当接する一又は複数の突出部を含む第1の保持部材と、一又は複数の前記突出部を含む第2の保持部材とを有し、
前記ウェハを挟持する前記第1の保持部材が前記ウェハに与える力の方向と、前記ウェハを挟持する前記第2の保持部材が前記ウェハに与える力の方向とは互いに反対の方向である、請求項1~3のいずれか一項記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項5】
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材のいずれか一方のみの位置を固定することにより、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材間の離間距離を変化させ、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材による前記ウェハの挟持状態を解除可能に構成された歯止め部を更に備える、請求項4記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項6】
前記搬送部は、
ベース部と、
弾性部材を介して前記ベース部に接続された第1部分と、前記第1部分に連続すると共に互いに対向しながら第1方向に延びる一対の第2部分と、前記一対の第2部分の先端に連続すると共にウェハを収容する収容スペースを区画するようにリング状に形成された第3部分と、を含むリング部と、
前記ベース部に連続すると共に前記一対の第2部分間において第1方向に延びるコア部と、を有し、
前記リング部の前記第3部分には、前記収容スペースに向かって突出した前記第1の保持部材が設けられており、
前記コア部の先端には、前記収容スペースに向かって突出した前記第2の保持部材が設けられており、
前記リング部の前記一対の第2部分には、前記歯止め部と係合可能に構成された孔部が形成されており、
前記歯止め部は、前記孔部と係合することにより、前記リング部の位置を固定して前記第1の保持部材の位置を固定する、請求項5記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項7】
前記搬送部は、前記ウェハを収容する平面視略円形の収容スペースを区画するようにリング状に形成された第3部分を有する、請求項1記載のウェハ搬送ユニット。
【請求項8】
半導体故障解析装置においてウェハを保持しながら搬送するウェハ搬送方法であって、
前記ウェハの側面と対向するように設けられた複数の保持部材によって前記ウェハの周部を挟持する工程と、
前記複数の保持部材によって前記ウェハの周部を挟持した状態で、前記ウェハを所定の観察位置まで搬送する工程と、を含むウェハ搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体故障解析装置においてウェハを保持しながら搬送するウェハ搬送ユニット及びウェハ搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体故障解析装置において、ウェハを保持しながら搬送する機構(ウェハ搬送機構)が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0315617号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなウェハ搬送機構として、ウェハを載置して搬送するウェハチャックを含む構成が知られている。従来、ウェハチャックにウェハを強固に保持する方法として、テープでウェハチャックにウェハを固定する方法がある。近年、複数枚のウェハに対して自動で故障解析を実行すべく、ウェハ搬送ロボットによってウェハカセットからウェハチャックにウェハを移動させる場合があるところ、このようなウェハ搬送ロボットを用いる場合には、ウェハチャックにウェハをテープで固定する方法は採用し難い。そこで、テープで固定する以外の方法で搬送中のウェハを強固に保持することが求められている。
【0005】
また、上述したような半導体故障解析装置においては、ウェハチャック等によりウェハが保持された状態において、ウェハの裏面側から、先端に半球状の部材を装着した固浸レンズと呼ばれる特殊なレンズを密着させて高分解能の画像を取得する場合がある。固浸レンズを密着させてウェハ内の任意のチップを解析するためには、ウェハ裏面の全体が露出している必要がある。このため、ウェハの裏面側から固浸レンズを密着させる構成においては、搬送中のウェハを強固に保持するための構成をウェハの裏面側以外に設ける必要がある。
【0006】
さらに、上述したような半導体故障解析装置においては、ウェハの表面側からプローブカードの針をウェハのパッドにタッチダウンしてウェハにバイアスを印加するところ、ウェハの表面側に搬送中のウェハを強固に保持する固定具が設けられた場合には固定具がプローブカードの針のタッチダウン処理を妨げたり、プローブカードの針を破損させたりする可能性がある。以上のように、ウェハ搬送機構においては、テープ以外の方法で搬送中のウェハを強固に保持することが求められているものの、半導体故障解析装置の各機能を実現する上で、保持手段の位置及び厚み等に制限があり、適切な保持手段が見出されていない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、半導体故障解析装置の各機能を妨げることなく、搬送中のウェハを適切に保持することができる、ウェハ搬送ユニット及びウェハ搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るウェハ搬送ユニットは、半導体故障解析装置においてウェハを保持しながら搬送するウェハ搬送ユニットであって、所定の観察位置にウェハを固定する固定部と、観察位置までウェハを保持しながら搬送する搬送部と、を備え、搬送部は、ウェハの側面と対向するように設けられた複数の保持部材を有し、複数の保持部材によってウェハの周部を挟持することによりウェハを保持する。
【0009】
本発明の一態様に係るウェハ搬送ユニットでは、ウェハが固定される観察位置まで、搬送部によってウェハが搬送される。そして、搬送部は、ウェハの側面と対向するように設けられた複数の保持部材によってウェハの周部を挟持する。このように、搬送部の保持部材がウェハの側面からウェハの周部を挟持する構成を採用することによって、搬送中のウェハを強固に保持するための新たな構成をウェハの裏面側及び表面側に設ける必要がない。このことにより、半導体故障解析装置の各機能を妨げることなく、搬送中のウェハを適切に保持することができる。
【0010】
複数の保持部材は、ウェハの周部に当接する少なくとも3つの突出部を含んで構成されていてもよい。これにより、ウェハを安定的に挟持することができる。
【0011】
複数の保持部材は、少なくとも4つの突出部を含んで構成されていてもよい。これにより、ウェハをより安定的に挟持することができる。
【0012】
複数の保持部材は、ウェハの周部に当接する一又は複数の突出部を含む第1の保持部材と、一又は複数の突出部を含む第2の保持部材とを有し、ウェハを挟持する第1の保持部材がウェハに与える力の方向と、ウェハを挟持する第2の保持部材がウェハに与える力の方向とは互いに反対の方向であってもよい。第1の保持部材がウェハに与える力の方向と第2の保持部材がウェハに与える力の方向とを互いに反対の方向とすることにより、第1の保持部材及び第2の保持部材によってウェハを適切に挟持することができる。
【0013】
上記のウェハ搬送ユニットは、第1の保持部材及び第2の保持部材のいずれか一方のみの位置を固定することにより、第1の保持部材及び第2の保持部材間の離間距離を変化させ、第1の保持部材及び第2の保持部材によるウェハの挟持状態を解除可能に構成された歯止め部を更に備えていてもよい。このような構成によれば、第1の保持部材及び第2の保持部材のいずれか一方のみの位置を固定するという簡易な構成によって、ウェハの挟持状態を適切に解除する(ウェハを開放する)ことができる。
【0014】
搬送部は、ベース部と、弾性部材を介してベース部に接続された第1部分と、第1部分に連続すると共に互いに対向しながら第1方向に延びる一対の第2部分と、一対の第2部分の先端に連続すると共にウェハを収容する収容スペースを区画するようにリング状に形成された第3部分と、を含むリング部と、ベース部に連続すると共に一対の第2部分間において第1方向に延びるコア部と、を有し、リング部の第3部分には、収容スペースに向かって突出した第1の保持部材が設けられており、コア部の先端には、収容スペースに向かって突出した第2の保持部材が設けられており、リング部の一対の第2部分には、歯止め部と係合可能に構成された孔部が形成されており、歯止め部は、孔部と係合することにより、リング部の位置を固定して第1の保持部材の位置を固定してもよい。このような構成によれば、収容スペースに向かって突出した第1の保持部材と第2の保持部材とによって、ウェハが適切に挟持される。そして、リング部の一対の第2部分の孔部が歯止め部と係合することにより、リング部が固定され第1の保持部材の位置が固定される。このような場合において、リング部とベース部とは弾性部材を介して接続されていることから、弾性部材が延びることによって、リング部の位置が固定された状態においてもベース部及びベース部に連続するコア部は変位可能となる。リング部の位置が固定された状態でコア部が収容スペースから離れる方向に変位することにより、リング部に設けられた第1の保持部材とコア部に設けられた第2の保持部材との離間距離が大きくなり、第1の保持部材及び第2の保持部材によるウェハの挟持状態が解除されることになる。以上のように、上述した構成によって、ウェハの適切な挟持及び解除(開放)を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の一態様に係るウェハ搬送方法は、半導体故障解析装置においてウェハを保持しながら搬送するウェハ搬送方法であって、ウェハの側面と対向するように設けられた複数の保持部材によってウェハの周部を挟持する工程と、複数の保持部材によってウェハの周部を挟持した状態で、ウェハを所定の観察位置まで搬送する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体故障解析装置の各機能を妨げることなく、搬送中のウェハを適切に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る故障解析装置を模式的に示す図である。
図2】ウェハ観察位置の構成を説明する図である。
図3】ウェハの裏面観察について説明する図である。
図4】ウェハ搬送ロボットによるウェハ交換を説明する図である。
図5】ウェハチャックによるウェハ保持状態及びウェハ開放状態を説明する図である。
図6】突出部の形状の一例を模式的に示す図である。
図7】ウェハと突出部との接触構造及びウェハとウェハホルダとの接触構造の一例を模式的に示す図である。
図8】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図9】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図10】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図11】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図12】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図13】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図14】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図15】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図16】ウェハチャックによるウェハ搬送工程を説明する図である。
図17】比較例に係るウェハ固定方法を模式的に示す図である。
図18】変形例に係るウェハチャックを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る故障解析装置1(半導体故障解析装置)を模式的に示す図である。故障解析装置1は、ウェハWを検査する(ウェハWの故障を解析する)装置である。ウェハW上には複数の半導体デバイスであるチップが形成されている。半導体デバイスとしては、ロジックデバイス、メモリデバイス、アナログデバイス、デジタルとアナログを混載したミックスドシグナルデバイス、パワーデバイスを含むディスクリートデバイス、光センサや発光素子を含むフォトデバイス、コンデンサやコイルを含む受動素子等がある。
【0020】
図1に示されるように、故障解析装置1は、故障解析ユニット10(ウェハ搬送ユニット)と、コントローラ50とを備えている。コントローラ50は、故障解析ユニット10の各構成を制御する制御部である(詳細は後述)。故障解析ユニット10は、図1及び図2に示されるように、ウェハWの故障解析を行う観察位置の構成として、載置台11(固定部)と、プラテン13と、テストヘッド14と、ケーブル15と、プローブカード16と、パフォーマンスボード40と、コネクタボード41と、ポゴタワー42と、を有している。
【0021】
図2は、ウェハ観察位置の構成を説明する図である。図2(a)は載置台11にウェハWが載置されていない状態を示しており、図2(b)は載置台11にウェハWが載置されている状態を示している。載置台11は、所定の観察位置にウェハを固定する固定部である。プラテン13は、プローブカード16を保持する平板状部材である。プラテン13は、載置台11の下部に設置されたZステージ(不図示)によって上下方向に移動可能とされている。テストヘッド14は、パフォーマンスボード40、ケーブル15、コネクタボード41、ポゴタワー42を介してプローブカード16の針16aに電圧を印加する構成である。プローブカード16は、ウェハWのチップの電気的検査に用いられる治具である。プローブカード16は、載置台11方向に突出した針16aを有している。図2(b)に示されるように、載置台11にウェハWが固定された状態において、プラテン13が下降することによりプローブカード16の針16aがウェハWの表面のチップ上に形成されたパッドにタッチダウンし、テストヘッド14によって適切な電圧が印可されることにより、チップの故障状態が再現され、検査対象のチップについて故障解析が実施される。
【0022】
図3は、ウェハWの裏面観察について説明する図である。ウェハ観察位置におけるウェハWの故障解析においては、図3(a)に示されるように、ウェハWの裏面Wbに固浸レンズ80の先端を密着させて、ウェハWの裏面Wb側の高分解能画像が取得される。載置台11には、複数のウェハ吸着溝11aが形成されている。ウェハ吸着溝11aが形成されていることによって、上述した適切な電圧印加による故障再現状態における裏面Wb側の検査を実施している際には、真空チャックによりウェハWが載置台11に適切に固定される。図3(b)に示されるように、ウェハチャック12によってウェハWが移動させられ、ウェハWの任意のチップについて故障解析が行われる。
【0023】
図1に戻り、故障解析ユニット10は、ウェハWを保持しながら搬送するための構成として、ウェハチャック12(搬送部)と、Xステージ21,21と、Yステージ22と、を有している。Xステージ21,21は、ウェハWを保持しているウェハチャック12をX方向(第1方向)に移動させるステージである。Yステージ22は、ウェハWを保持しているウェハチャック12をY方向に移動させるステージである。X方向及びY方向とは、ウェハチャック12におけるウェハWの載置面に沿った方向であり、互いに交差する方向である。図1に示されるように、本実施形態では、ウェハチャック12がXステージ21,21に沿ってX方向に移動することにより、ウェハチャック12と故障解析ユニット10の載置台11との離間距離が変化する。Xステージ21,21は、互いに対向するようにX方向に延びている。Yステージ22は、Xステージ21,21間に架設されており、Xステージ21,21に沿ってX方向に移動可能に設けられている。ウェハチャック12は、Yステージ22に沿ってY方向に移動可能に設けられている。このような構成によれば、Yステージ22がXステージ21,21に沿って移動することによりウェハチャック12がX方向に移動する。
【0024】
ウェハチャック12は、観察位置である載置台11までウェハWを保持しながら搬送する搬送部である。上述したように、ウェハチャック12は、Xステージ21,21及びYステージ22によって、X方向及びY方向(ウェハチャック12におけるウェハWの載置面に沿った方向)に移動可能とされている。ウェハチャック12は、例えばウェハ搬送ロボット60(図4参照)によって自動で交換される複数枚のウェハWを、順次、載置台11まで搬送する。
【0025】
図4は、ウェハ搬送ロボット60によるウェハ交換を説明する図である。図4には、ウェハ交換に係る構成として、ウェハ搬送ロボット60と、ウェハカセット70とが図示されている。図4に示されるように、ウェハカセット70には、故障解析対象の複数のウェハWが仕切りで分けられ、各仕切り上に載置された状態で積層されている。ウェハ搬送ロボット60は、ハンド61によってウェハカセット70からウェハWの1枚を裏面から持ち上げて吸着して移動し、ウェハチャック12に受け渡す。この際、ウェハ搬送ロボット60は、後述するウェハホルダ19及びウェハベース51(図9参照)を介して、ウェハチャック12にウェハWを受け渡してもよい。ウェハチャック12は、後述する保持部材によってウェハWを保持しながら載置台11までウェハWを搬送し、載置台11においてウェハWの故障解析が終了すると、該ウェハWをウェハ搬送ロボット60の近傍まで搬送する。そして、ウェハ搬送ロボット60は、故障解析が終了したウェハWをウェハチャック12から取り出し、ウェハカセット70に積層されている次のウェハWを保持・搬送してウェハチャック12の載置面に載置する。以上がウェハ搬送ロボット60によるウェハ交換である。
【0026】
ウェハ搬送ロボット60及びウェハカセット70が設けられたウェハ交換箇所の近傍には、図8及び図9等に示されるように、ウェハベース51及びウェハホルダ19が設けられている。ウェハベース51は、ウェハ交換時にウェハWを載置する載置台である。ウェハベース51は、ウェハWをスライドさせて移動させるべく、載置台11と同じ高さに設定されていてもよい。また、ウェハベース51及びウェハホルダ19を含んだ構成ではなく、単に載置台11中にウェハホルダ19が配置された構成であってもよい。ウェハホルダ19は、上下に昇降可能に構成されており、ウェハベース51に載置されたウェハWを裏面側から押し上げることにより、ウェハ搬送ロボット60との間でウェハWの受け渡しを行う(詳細は後述)。
【0027】
ウェハチャック12によるウェハWの保持に係る構成について、図5を参照して説明する。図5は、ウェハチャック12によるウェハ保持状態(図5(a))及びウェハ開放状態(図5(b))を説明する図である。ウェハチャック12は、ウェハWの側面と対向するように設けられた複数の保持部材を有している。当該複数の保持部材は、4つの突出部12x,12x,12y,12yを含んで構成されている。突出部12x,12x,12y,12yは、ウェハWを挟持する構成である。詳細には、複数の保持部材は、ウェハWの周部に当接する2つの突出部12y,12yを含む第1の保持部材と、2つの突出部12x,12xを含む第2の保持部材とを有している。
【0028】
ウェハチャック12は、ベース部12aと、コア部12bと、弾性部材12cと、リング部12dと、を含んで構成されている。ベース部12aは、Yステージ22に接続される部分である。リング部12dは、一対の弾性部材12c,12cを介してベース部12aに接続される第1部分12kと、第1部分12kに連続すると共に互いに対向しながらX方向(第1方向)に延びる一対の第2部分12e,12eと、一対の第2部分12eの先端(X方向における第1部分12kに連続する側と反対側の端部)に連続すると共にウェハWを収容(載置)する平面視略円形の収容スペースを区画するようにリング状に形成された第3部分12gと、を含んでいる。
【0029】
一対の第2部分12e,12eには、ラチェット機構18(歯止め部。図9参照)と係合可能に構成された孔部12f,12fが形成されている。ラチェット機構18,18は、孔部12f,12fと係合することにより、孔部12f,12fが形成された第2部分12e,12eの位置を固定する。ラチェット機構18は、第2部分12e,12eの位置を固定することにより、第1の保持部材である突出部12y,12yの位置を固定し、突出部12y,12y及び突出部12x,12x間の離間距離を変化させ、突出部12y,12y及び突出部12x,12xによるウェハWの挟持状態を解除可能に構成されている(詳細は後述)。すなわち、ラチェット機構18が第2部分12eと係合することによりリング部12dの位置(すなわち突出部12y,12yの位置)が固定された状態で、図10に示されるようにコア部12bのみがX方向(且つウェハWから離間する方向)に移動することによって、突出部12y,12y及び突出部12x,12x間の距離が開き、突出部12x,12xがウェハWに接触しなくなり、ウェハWの挟持状態が解除される。
【0030】
弾性部材12cは、弾性を有するばね部材であってもよいし、ゴム(シリコンゴムの輪ゴム等)であってもよい。コア部12bは、ベース部12aに連続すると共に、一対の第2部分12e,12e間においてX方向(第1方向)に延びている。コア部12bの先端(X方向におけるベース部12aに連続する側と反対側の端部)には、ウェハWが載置(収容)される収容スペースに向かって突出した第2の保持部材である突出部12x,12xが設けられている。また、リング部12dの第3部分12gには、ウェハWを収容(載置)する平面視略円形の収容スペースに向かって突出した第1の保持部材である突出部12y,12yが設けられている。図5(a)に示されるように、ウェハWを挟持する第2の保持部材である突出部12x,12xがウェハWに与える力の方向と、ウェハWを挟持する第1の保持部材である突出部12y,12yがウェハWに与える力の方向とは、X方向において互いに反対の方向である。突出部12x,12x,12y,12yが設けられている位置については特に限られないが、例えば突出部12y,12yが設けられている位置は、Y方向において、突出部12x,12xが設けられている位置よりも外側である。
【0031】
図5(a)に示されるように、ウェハ保持状態においては、ウェハチャック12は、第2の保持部材である突出部12x,12x及び第1の保持部材である突出部12y,12yによってウェハWの周部を挟持することにより、ウェハWを保持する。また、図5(b)に示されるように、ウェハ開放状態においては、ウェハチャック12は、第2の保持部材である突出部12x,12x及び第1の保持部材である突出部12y,12yがウェハWに接触しておらず、ウェハWを挟持していない。
【0032】
突出部12x(及び突出部12y)の詳細な構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、保持部材である突出部12x(及び突出部12y)の形状の一例を模式的に示す図である。図6(a)及び図6(b)に示される突出部12xは、いずれも挟持するウェハWを挟み込む形状であり、中央部ほど凹んだ形状とされている。図6(a)に示される突出部12xは、ウェハWを挟み込む部分の面が曲面になっている。一方で、図6(b)に示される突出部12xは、ウェハWを挟み込む部分の面が曲面になっておらず、中央部が凹んだ谷状に形成されている。図6(c)に示される突出部12xは、ウェハWを下方へ押し付ける形状である。
【0033】
図7は、ウェハWと突出部12xとの接触構造の一例(図7(a)及び図7(b))並びにウェハWとウェハホルダ19との接触構造の一例(図7(c))を模式的に示す図である。後述するように、ウェハチャック12からウェハWを取り出す際には、下からウェハホルダ19によってウェハWが持ち上げられる。この場合、図7(a)に示されるように、ウェハチャック12の突出部12xの斜面をウェハWが滑って上昇することが好ましい。このように滑って上昇することが困難である場合であっても、例えば図7(b)に示されるように、ウェハWの上昇に伴ってウェハチャック12の突出部12xが歪む(ウェハWが上昇しやすくなる方向に歪む)ことにより、ウェハチャック12からウェハWを適切に取り出すことができる。この場合、突出部12xは一定の可塑性を有する材質で構成される。なお、図7(c)に示されるように、ウェハホルダ19に斜面を設け、ウェハWを滑らせることによって積極的にウェハWをずらして、ウェハWを取り出しやすくしてもよい。
【0034】
図1に戻り、コントローラ50は、コンピュータであって、物理的には、RAM、ROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部を備えて構成されている。かかるコントローラ50としては、例えばパーソナルコンピュータ、クラウドサーバ、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末など)などが挙げられる。コントローラ50は、メモリに格納されるプログラムをコンピュータシステムのCPUで実行することにより機能する。コントローラ50は、Xステージ21、Yステージ22、及びZステージ(不図示)等を制御する。コントローラ50は、Xステージ21及びYステージ22を制御することによって、ウェハ保持状態及びウェハ開放状態を切り替えると共に、ウェハWを搬送する。
【0035】
次に、図8図16を参照して、ウェハチャック12によるウェハ搬送工程を説明する。図8図16は、連続する工程を示している。図8図11は、例えば故障解析後のウェハWをウェハ交換箇所(ウェハ搬送ロボット60の近傍)まで搬送する工程を示しており、図12は、ウェハ搬送ロボット60によるウェハ交換の工程を示しており、図13図16は、新たなウェハWを載置台11まで搬送する工程を示している。なお、図8図16の各図面において、同じ図番号の(a)~(c)(又は(a)~(b))は互いに同じタイミングの状態を示している。なお、以下ではX方向とは図の右方向(載置台11からウェハベース51に向かう方向)を、-X方向とは図の左方向(載置台11からウェハベース51に向かう方向とは反対方向)を、それぞれ示すとして説明する。
【0036】
図8(a)に示されるように、いま、コントローラ50によるXステージ21の制御によって、ウェハWを保持するウェハチャック12が-X方向に移動している。なお、前提として、コントローラ50によるYステージ22の制御によって、ウェハ交換箇所の近傍に設けられたラチェット機構18,18のYの位置と、ウェハチャック12の孔部12f,12fのYの位置とは一致している。図8(a)に示される状態においては、ウェハチャック12の孔部12f,12fのXの位置が、ラチェット機構18,18のXの位置に到達していない。図8(b)に示されるように、ラチェット機構18にはばね力で上方向に力が加わっているところ、ラチェット機構18に孔部12fが到達する前段階においては、ラチェット機構18の上方向への力は第2部分12eの裏面に抑えられている。また、図8(c)に示されるように、図8(a)の状態においては、ウェハベース51の一部にウェハWの一部が既に載置されている。
【0037】
ここから更にウェハチャック12が-X方向に移動すると、図9(a)に示されるように、ウェハベース51の中央とウェハWの中央とが一致するようにウェハベース51にウェハWが載置されると共に、ラチェット機構18,18とウェハチャック12の孔部12f,12fとが係合する(図9(b)参照)。ラチェット機構18は、バネ機構により孔部12fを通過し上方に飛び出すことによりリング部12dの-X方向への移動(動き)を阻害する。ラチェット機構18と孔部12fとが係合した状態においては、リング部12dの位置が固定され、リング部12dに係る構成(突出部12y,12yを含む)の位置が変化しなくなる。以降に、同じ方向にウェハチャック12が移動すると、ベース部12a及びコア部12bのみが同じ方向に移動し、リング部12dの位置は変化しない。このようなベース部12a及びコア部12bとリング部12dとの位置の相違は、弾性部材12cが延び縮みすることにより吸収される。
【0038】
図10に示されるように、ベース部12a及びコア部12bが更に同じ-X方向に移動すると、コア部12bの先端に設けられた突出部12x,12xがウェハWから離間し、ウェハWの挟持状態が解除される。コントローラ50によるXステージ21の制御によって、コア部12bは、突出部12x,12xのオーバーハング内径よりも大きなスペースが開放される位置まで移動し停止する。
【0039】
つづいて、図11(c)に示されるように、コントローラ50による制御によって、ウェハホルダ19が上昇しウェハWを裏面側から押し上げる。ウェハホルダ19が上昇することによりウェハホルダ19の斜面によってウェハWがスライドし、ウェハホルダ19の中心とウェハWの中心とが合致する位置にウェハWを載置することができる。
【0040】
つづいて、図12(c)に示されるように、ウェハホルダ19が上昇した状態において、コントローラ50によってウェハ搬送ロボット60が制御されることにより、故障解析後のウェハWであるウェハW1のアンロード(取り外し)が実施され、つづいて、故障解析前のウェハWであるウェハW2のロードが実施される。なお、ウェハW2がロードされる際には、例えばノッチセンサ43によってウェハW2のノッチの場所が特定され、ウェハW2の傾きが調整されて、正しい角度にウェハW2がセットされる。図12(a)には、ウェハW(ウェハW1)がアンロードされた状態のウェハチャック12、ウェハベース51、及びウェハホルダ19が示されている。
【0041】
つづいて、図13(c)に示されるように、コントローラ50による制御によって、ウェハホルダ19が下降しウェハベース51上にウェハWが載置される。ウェハホルダ19は、ウェハベース51よりも下方に退避する。
【0042】
つづいて、図14(a)に示されるように、コントローラ50によるXステージ21の制御によって、ベース部12a及びコア部12bがX方向に移動し、突出部12x,12xがウェハWの周部に接触する。なお、この状態において、リング部12dは、ラチェット機構18,18とウェハチャック12の孔部12f,12fとが係合する(図14(b)参照)ことによってX方向への移動が規制されている。
【0043】
つづいて、図15(a)に示されるように、コントローラ50によるXステージ21の制御によって、ベース部12a及びコア部12bがX方向にさらに移動し、突出部12x,12xがウェハWをX方向に押すことにより、リング部12dの突出部12y,12yにウェハWの周部が接触する。突出部12x,12x及び突出部12y,12yによって両側からウェハWに力がかかりウェハWが挟持されることにより、搬送中のウェハWが固定される。そして、この時点で、リング部12dにX方向の力がかかり始め、図15(b)に示されるように、ラチェット機構18,18とウェハチャック12の孔部12f,12fとの係合状態が解除される。すなわち、リング部12dがラチェット機構18から開放される。
【0044】
そして、ウェハWの周部が突出部12x,12x,12y,12yによって挟持された状態で、図16(a)に示されるように、コントローラ50によるXステージ21の制御によって、ウェハチャック12がX方向に移動する。すなわち、ウェハチャック12は、ウェハベース51から離間し、載置台11に向かって移動する。ウェハチャック12の根本に設けられた弾性部材12cによって、ウェハWを左右(両側)から挟み込み挟持することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る故障解析ユニット10の作用効果について、比較例に係る構成(図17参照)を比較しながら説明する。
【0046】
故障解析ユニット10におけるウェハ搬送機構として、ウェハWを載置して搬送するウェハチャック12を含む構成が知られている。ウェハチャック12にウェハWを強固に保持する方法として、図17(a)に示されるように、テープ300でウェハチャック12にウェハWの表面側を固定する方法がある。テープ300は、高さが低い。そのため、ウェハWの表面側からプローブカード16の針16aをウェハWのパッドにタッチダウンさせる際において、ウェハエッジ近傍のチップまでアクセスが可能になる点で優位である。しかしながら、近年、複数枚のウェハWに対して自動で故障解析を実行すべく、ウェハ搬送ロボット60によってウェハカセット70からウェハチャック12にウェハWを移動させる場合があるところ、このようなウェハ搬送ロボット60を用いる場合には、ウェハチャック12にウェハWをテープ300で固定する方法は採用し難い。そこで、テープ300で固定する以外の構成で搬送中のウェハWを強固に保持する構成が求められている。
【0047】
このような構成として、例えばウェハWの表面側に搬送中のウェハWを強固に保持する固定具を設ける構成を採用することが考えられる。しかしながら、例えば図17(b)に示されるように、比較的高さが高い固定具200aを用いた場合には、固定具200aの高さがプローブカード16の底面から針16aの先端までの高さよりも高くなってしまい、上述したタッチダウンが不可能になるおそれがある。また、例えば図17(c)に示されるように、比較的高さが低い固定具200bを用いた場合には、固定具200aのようにタッチダウン不可になることはないが、ウェハエッジ近傍においてプローブカード16の設計によっては干渉が生じるおそれがある。以上のように、ウェハ搬送機構においては、テープ以外の方法で搬送中のウェハWを強固に保持することが求められているものの、半導体故障解析装置の各機能を実現する上で、保持手段の位置及び厚み等に制限があり、適切な保持手段が見出されていない。
【0048】
上述した課題を解決する構成として、本実施形態に係る故障解析ユニット10は、半導体故障解析装置においてウェハWを保持しながら搬送するウェハ搬送ユニットであって、所定の観察位置にウェハWを固定する載置台11と、観察位置までウェハWを保持しながら搬送するウェハチャック12と、を備え、ウェハチャック12は、ウェハWの側面と対向するように設けられた複数の保持部材(突出部12x,12x,12y,12y)を有し、複数の保持部材によってウェハWの周部を挟持することによりウェハWを保持する。
【0049】
本実施形態に係る故障解析ユニット10では、ウェハWが固定される観察位置まで、ウェハチャック12によってウェハWが搬送される。そして、ウェハチャック12は、ウェハWの側面と対向するように設けられた複数の突出部12x,12x,12y,12yによってウェハWの周部を挟持する。このように、ウェハチャック12の突出部12x,12x,12y,12yがウェハWの側面からウェハWの周部を挟持する構成を採用することによって、搬送中のウェハWを強固に保持するための新たな構成をウェハWの裏面側及び表面側に設ける必要がない。このことにより、半導体故障解析装置の各機能を妨げることなく、搬送中のウェハWを適切に保持することができる。
【0050】
複数の保持部材は、少なくとも4つの突出部12x,12x,12y,12yを含んで構成されていてもよい。これにより、ウェハWをより安定的に挟持することができる。
【0051】
複数の保持部材は、ウェハWの周部に当接する複数の突出部12y,12yを含む第1の保持部材と、複数の突出部12x,12xを含む第2の保持部材とを有し、ウェハWを挟持する第1の保持部材がウェハWに与える力の方向と、ウェハWを挟持する第2の保持部材がウェハWに与える力の方向とは互いに反対の方向であってもよい。第1の保持部材がウェハWに与える力の方向と第2の保持部材がウェハWに与える力の方向とを互いに反対の方向とすることにより、第1の保持部材及び第2の保持部材によってウェハWを適切に挟持することができる。
【0052】
上記の故障解析ユニット10は、第1の保持部材のみの位置を固定することにより、第1の保持部材及び第2の保持部材間の離間距離を変化させ、第1の保持部材及び第2の保持部材によるウェハWの挟持状態を解除可能に構成されたラチェット機構18を更に備えていてもよい。このような構成によれば、第1の保持部材のみの位置を固定するという簡易な構成によって、ウェハWの挟持状態を適切に解除する(ウェハWを開放する)ことができる。
【0053】
ウェハチャック12は、ベース部12aと、弾性部材12cを介してベース部12aに接続された第1部分12kと、第1部分12kに連続すると共に互いに対向しながらX方向に延びる一対の第2部分12e,12eと、一対の第2部分12eの先端に連続すると共にウェハを収容する収容スペースを区画するようにリング状に形成された第3部分12gと、を含むリング部12dと、ベース部12aに連続すると共に一対の第2部分12e,12e間においてX方向に延びるコア部12bと、を有し、リング部12dの第3部分12gには、収容スペースに向かって突出した突出部12y,12yが設けられており、コア部12bの先端には、収容スペースに向かって突出した突出部12x,12xが設けられており、リング部12dの一対の第2部分12eには、ラチェット機構18と係合可能に構成された孔部12fが形成されており、ラチェット機構18は、孔部12fと係合することにより、リング部12dの位置を固定して突出部12y,12yの位置を固定してもよい。このような構成によれば、収容スペースに向かって突出した突出部12y,12yと突出部12x,12xとによって、ウェハWが適切に挟持される。そして、リング部12dの一対の第2部分12eの孔部12fがラチェット機構18と係合することにより、リング部12dが固定され突出部12y,12yの位置が固定される。このような場合において、リング部12dとベース部12aとは弾性部材12cを介して接続されていることから、弾性部材12cが延びることによって、リング部12dの位置が固定された状態においてもベース部12a及びベース部12aに連続するコア部12bは変位可能となる。リング部12dの位置が固定された状態でコア部12bが収容スペースから離れる方向に変位することにより、リング部12dに設けられた突出部12y,12yとコア部12bに設けられた突出部12x,12xとの離間距離が大きくなり、突出部12y,12y及び突出部12x,12xによるウェハWの挟持状態が解除されることになる。以上のように、上述した構成によって、ウェハWの適切な挟持及び解除(開放)を容易に行うことができる。また、ウェハのチャック/アンチャックはXステージの動作で実現しており、別のチャック/アンチャック駆動機構を設けなくともよい。これにより、ウェハロード/アンロードシステムとしての信頼性の向上を図ることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、保持部材として少なくとも4つの突出部が設けられているとして説明したが、図18に示されるように、突出部が3つであってもよい。すなわち、図18(a)及び図18(b)に示されるウェハチャックでは、コア部512bの先端に2つの突出部512x,512xが設けられており、また、リング部512dの第3部分512gに1つの突出部512yが設けられている。突出部512x,512x,512yが設けられている位置については特に限られないが、例えば突出部512x,512xが設けられている位置は、Y方向において、突出部512yが設けられている位置よりも外側である。
【符号の説明】
【0055】
10…故障解析ユニット(ウェハ搬送ユニット)、11…載置台(固定部)、12…ウェハチャック(搬送部)、12a…ベース部、12b…コア部、12c…弾性部材、12d…リング部、12e…第2部分、12f…孔部、12g…第3部分、12k…第1部分、12x,12x,12y,12y…突出部、18…ラチェット機構(歯止め部)、19…ウェハホルダ、21…Xステージ、22…Yステージ、40…パフォーマンスボード、41…コネクタボード、42…ポゴタワー、43…ノッチセンサ、50…コントローラ、51…ウェハベース、60…ウェハ搬送ロボット、61…ハンド、70…ウェハカセット、80…固浸レンズ、200a,200b…固定具、300…テープ、512b…コア部、512d…リング部、512x…突出部、512y…突出部、W…ウェハ。
図1
図2
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図4
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