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特許7454388情報処理システム、情報提供方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報提供方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/43 20240101AFI20240314BHJP
   G06Q 30/0645 20230101ALI20240314BHJP
【FI】
G06Q50/43
G06Q30/0645
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020012208
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117861
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】水流 大将
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101925(JP,A)
【文献】特開2019-084981(JP,A)
【文献】特開2014-203370(JP,A)
【文献】特開2009-163510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリングサービスの事業者からユーザに前記カーシェアリングサービスにおいて前記ユーザが優先的に利用可能な車両である優先車両が前記ユーザに割り当てられた場合であって、かつ、前記優先車両を前記ユーザが利用した場合に、単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金と、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を算出する料金算出部と、
前記料金算出部により算出された利用料金を前記ユーザに請求するための処理を実行する請求部と、
前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量を検知する検知部と、
を備え、
前記料金算出部は、利用時間当たりの利用料金と前記単位期間における利用時間合計との乗算結果に基づいて前記単位期間における前記シェアリング価格ベース利用料金を算出し、前記ユーザが前記優先車両を利用する利用時間が長くなるほど、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金を増加させ、
前記料金算出部は、前記単位期間における前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量に基づいて前記単位期間における前記リース価格ベース利用料金を算出し、前記燃料消費量が増加するほど、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を増加させ、
前記料金算出部は、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金が、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金以上になった場合、前記ユーザに請求する利用料金を、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金から、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金に切り替えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記リース価格に基づく利用料金の増加率は、前記シェアリング価格に基づく利用料金の増加率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記優先車両の利用予約を受け付ける受付部をさらに備え、
前記優先車両の利用開始前の所定期間、前記ユーザが他者より優先して予約できるよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ユーザが前記優先車両を利用したい日時に前記優先車両が他者により予約済の場合、その日時に利用可能な他車両を前記ユーザに割り当てる予約管理部をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
カーシェアリングサービスの事業者からユーザに前記カーシェアリングサービスにおいて前記ユーザが優先的に利用可能な車両である優先車両が前記ユーザに割り当てられた場合であって、かつ、前記優先車両を前記ユーザが利用した場合に、単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金と、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を算出するステップと、
前記算出するステップで算出された利用料金を前記ユーザに請求するための処理を実行するステップと、
前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量を検知するステップと、
をコンピュータが実行し、
前記算出するステップは、利用時間当たりの利用料金と前記単位期間における利用時間合計との乗算結果に基づいて前記単位期間における前記シェアリング価格ベース利用料金を算出し、前記ユーザが前記優先車両を利用する利用時間が長くなるほど、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金を増加させ、
前記算出するステップは、前記単位期間における前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量に基づいて前記単位期間における前記リース価格ベース利用料金を算出し、前記燃料消費量が増加するほど、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を増加させ、
前記算出するステップは、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金が、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金以上になった場合、前記ユーザに請求する利用料金を、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金から、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金に切り替えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
カーシェアリングサービスの事業者からユーザに前記カーシェアリングサービスにおいて前記ユーザが優先的に利用可能な車両である優先車両が前記ユーザに割り当てられた場合であって、かつ、前記優先車両を前記ユーザが利用した場合に、単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金と、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を算出する機能と、
前記算出する機能により算出された利用料金を前記ユーザに請求するための処理を実行する機能と、
前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量を検知する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記算出する機能は、利用時間当たりの利用料金と前記単位期間における利用時間合計との乗算結果に基づいて前記単位期間における前記シェアリング価格ベース利用料金を算出し、前記ユーザが前記優先車両を利用する利用時間が長くなるほど、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金を増加させ、
前記算出する機能は、前記単位期間における前記ユーザによる前記優先車両利用時の燃料消費量に基づいて前記単位期間における前記リース価格ベース利用料金を算出し、前記燃料消費量が増加するほど、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金を増加させ、
前記算出する機能は、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金が、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金以上になった場合、前記ユーザに請求する利用料金を、前記単位期間におけるシェアリング価格ベース利用料金から、前記単位期間におけるリース価格ベース利用料金に切り替えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はカーシェアリングのための技術に関し、特に情報処理システム、情報提供方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
登録を行った複数のユーザ間で特定の自動車を共同使用するカーシェアリングサービスが普及してきている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な事業者がカーシェアリングサービスを提供する中、ユーザにとってメリットが大きいカーシェアリングサービスが求められている。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、ユーザにとってメリットが大きいカーシェアリングサービスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理システムは、カーシェアリングの対象車両をユーザが利用した場合に、対象車両のシェアリング価格に基づいて単位期間における利用料金を算出する料金算出部と、料金算出部により算出された利用料金をユーザに請求するための処理を実行する請求部と、を備える。料金算出部は、ユーザが対象車両を利用する時間が長くなるほど、対象車両のシェアリング価格に基づく利用料金を増加させ、対象車両のシェアリング価格に基づく利用料金が、対象車両のリース価格に基づく利用料金以上になった場合、ユーザに請求する利用料金を、対象車両のリース価格に基づく利用料金に切り替える。
【0007】
本発明の別の態様は、情報処理方法である。この方法は、カーシェアリングの対象車両をユーザが利用した場合に、対象車両のシェアリング価格に基づいて単位期間における利用料金を算出するステップと、算出するステップで算出された利用料金をユーザに請求するための処理を実行するステップと、をコンピュータが実行し、算出するステップは、ユーザが対象車両を利用する時間が長くなるほど、対象車両のシェアリング価格に基づく利用料金を増加させ、対象車両のシェアリング価格に基づく利用料金が、対象車両のリース価格に基づく利用料金以上になった場合、ユーザに請求する利用料金を、対象車両のリース価格に基づく利用料金に切り替える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザにとってメリットが大きいカーシェアリングサービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例のカーシェアリングシステムの構成を示す図である。
図2図1の車両の機能ブロックを示すブロック図である。
図3図1の管理サーバの機能ブロックを示すブロック図である。
図4】車両情報の構成を示す図である。
図5】ユーザ情報の構成を示す図である。
図6】予約情報の構成を示す図である。
図7】カーシェアリングサービスの利用期間と利用料金との関係を示す図である。
図8】ユーザ端末に表示される予約画面の例を示す図である。
図9】優先予約権の例を示す図である。
図10】独占利用権の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0012】
まず、実施例の概要を説明する。これまでのカーシェアリングサービスでは、カーシェアリングの対象車両(以下「シェアカー」とも呼ぶ。)をユーザが利用する頻度が低ければ、リース車両または自己所有車両を保有することに比べてコスト削減メリットが大きいが、シェアカーの利用頻度が高ければ、却ってコストが増加することがあった。実施例のカーシェアリングシステムは、月額のリース価格を上限として、カーシェアリングの時間課金を実施する。これにより、カーシェアリングの対象車両を高頻度で利用するユーザであっても、現状の車両保有コストを上回ることなく減車を実現できる。
【0013】
また、実施例のカーシェアリングシステムは、リース車両または自己所有車両を保有しているユーザに対して、駐車場の位置を変えることなく、シェアカーを優先的に利用できる仕組みを設けた。これにより、自動的に減車を実現するとともに、減車前と変わらない利便性をユーザに提供する。
【0014】
実施例の詳細を説明する。図1は、実施例のカーシェアリングシステム10の構成を示す。カーシェアリングシステム10は、カーシェアリングサービスを支援する情報処理システムである。カーシェアリングシステム10は、A法人端末11a、B法人端末11b(総称して「ユーザ端末11」とも呼ぶ。)、車両12a、車両12b(総称して「車両12」とも呼ぶ。)、管理サーバ14、配回送員端末16を備える。これらの装置は、LAN、WAN、インターネットを含む通信網18を介して接続される。
【0015】
ユーザ端末11は、カーシェアリングサービスを利用するユーザにより操作される情報処理装置である。ユーザ端末11は、例えば、スマートフォンやタブレット端末であってもよい。「ユーザ」は、典型的には、リース車両や自己所有車両の保有からカーシェアリングサービスの利用に切り替えた個人または法人である。実施例では、A法人端末11aはA法人の従業員により操作され、B法人端末11bはB法人の従業員により操作される。
【0016】
車両12は、カーシェアリングのサービス事業者が所有する車両であり、また、カーシェアリングの対象となるシェアカーである。また、複数のユーザのそれぞれには、各ユーザが優先的に利用可能なシェアカーが割り当てられる。実施例では、車両12aは、A法人が優先的に利用可能なシェアカーであり、車両12bは、B法人が優先的に利用可能なシェアカーであることとする。
【0017】
管理サーバ14は、カーシェアリングサービスを管理する情報処理装置である。管理サーバ14の詳細な構成は後述する。配回送員端末16は、必要に応じて車両12をユーザの居所まで配回送する配回送員により操作される情報処理装置である。配回送員端末16は、例えば、スマートフォンやタブレット端末であってもよい。
【0018】
図2は、図1の車両12の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
車両12は、通信部20と車載器22を備える。通信部20は、4G通信、5G通信、Bluetooth(登録商標)等、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。車載器22は、通信部20を介して、ユーザ端末11および管理サーバ14とデータを送受信する。
【0020】
車載器22は、鍵制御部24、走行距離管理部26、GPS部28、燃料残量管理部30、燃料消費量管理部32を含む。これらの機能ブロックの機能は、1つまたは複数の車載器により実現されてもよい。
【0021】
鍵制御部24は、車両12の鍵の開錠と施錠を制御する。例えば、鍵制御部24は、ユーザ端末11から送信された開錠指示にしたがって、車両12の鍵を解錠する。また、鍵制御部24は、ユーザ端末11から送信された施錠指示にしたがって、車両12の鍵を施錠する。
【0022】
走行距離管理部26は、走行距離計(オドメーター)により計測された車両12の走行距離を管理する。GPS部28は、GPS(Global Positioning System)により計測された車両12の位置情報を生成する。燃料残量管理部30は、車両12の燃料の残量を管理する。
【0023】
燃料消費量管理部32は、車両12のエンジンにおける燃料噴射回数等を計測することにより、車両12における燃料消費量を計測する。燃料消費量管理部32は、車両12における燃料消費量を定期的に管理サーバ14へ送信する。
【0024】
図3は、図1の管理サーバ14の機能ブロックを示すブロック図である。管理サーバ14は、制御部40、記憶部42、通信部44を備える。制御部40は、カーシェアリングサービスに関する各種データ処理を実行する。記憶部42は、制御部40によって参照または更新されるデータを記憶する。通信部44は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部40は、通信部44を介して、ユーザ端末11、車両12および配回送員端末16とデータを送受信する。
【0025】
記憶部42は、車両情報記憶部50、ユーザ情報記憶部52、予約記憶部54を含む。車両情報記憶部50は、カーシェアリングの対象となる複数の車両12のそれぞれに関する車両情報を記憶する。図4は、車両情報の構成を示す。車両IDは、各シェアカーに割り当てられたユニークなIDである。優先者IDは、各シェアカーを優先的に利用(予約)可能なユーザのIDである。例えば、車両12aの車両情報に設定される優先者IDは法人AのユーザIDであり、車両12bの車両情報に設定される優先者IDは法人BのユーザIDである。
【0026】
クラスは、車両12の種類、グレードまたはランクを示す情報である。後述するように、クラスは、リース価格を識別するためにも使用される。例えば、クラスは、Sクラス(コンパクトカー)、Aクラス(中型車)、Eクラス(高級車)等を含んでもよい。駐車場価格は、車両12の駐車場の月額料金である。駐車場位置は、車両12の駐車場の場所(地番等)である。
【0027】
実施例では、車両12の駐車場は、元々、ユーザがリース車両または自己所有車両を駐車するために賃借または所有していたものである。カーシェアリングのサービス事業者は、ユーザがカーシェアリングサービスの利用に切り替えたことを契機に、その駐車場をユーザに代わって賃借する。サービス事業者は、駐車場の料金(例えば5万円)のうち所定金額(実施例では1万5千円)を負担する。残金(例えば3万5千円)はユーザが負担し、具体的には、ユーザは残金をサービス事業者に支払う。
【0028】
メンテナンス料は、各シェアカーのメンテナンス費用(月額)である。保険料は、各シェアカーの保険料である。各シェアカーの車両情報は、各ユーザがカーシェアリング契約を締結した際、すなわち、各ユーザに優先的に利用可能なシェアカー(以下「優先車両」とも呼ぶ。)が割り当てられた際に設定される。
【0029】
図3に戻り、ユーザ情報記憶部52は、カーシェアリングサービスを利用する複数のユーザのそれぞれに関するユーザ情報を記憶する。図5は、ユーザ情報の構成を示す。ユーザIDは、各ユーザに割り当てられるユニークなIDである。居所は、ユーザの住所または居所であり、例えば、A法人のオフィスの住所である。ユーザ端末情報は、ユーザが所持するユーザ端末11に関する情報であり、例えば、ユーザ端末11に各種情報を通知するためのユーザ端末11のアドレスまたはIDを含む。優先車両IDは、ユーザが優先的に利用可能な優先車両の車両IDである。
【0030】
ユーザ情報は、当該ユーザがシェアカーを利用した履歴を示す情報(以下「利用履歴」とも呼ぶ。)をn個(n≧0)含む。利用履歴は、予約ID、車両ID、利用期間、燃料消費量を含む。予約IDは、シェアリングサービスの利用予約を一意に識別可能なIDである。車両IDは、ユーザが利用したシェアカーの車両IDである。利用期間は、ユーザがシェアカーを利用した期間であり、利用開始日時と利用終了日時を含む。燃料消費量は、ユーザによるシェアカー利用中に消費された燃料量である。
【0031】
図3に戻り、予約記憶部54は、複数のユーザが行った複数の予約のそれぞれに関する予約情報を記憶する。図6は、予約情報の構成を示す。予約IDは、シェアリングサービスの利用予約を一意に識別可能なIDであり、各予約に割り当てられるユニークなIDである。車両IDは、ユーザが予約したシェアカーの車両IDである。予約者IDは、シェアカーの予約者のユーザIDである。利用期間は、ユーザがシェアカーを利用する期間であり、利用開始日時と利用終了日時を含む。貸出位置は、ユーザにシェアカーを提供する場所である。
【0032】
図3に戻り、制御部40は、予約画面生成部60、予約画面提供部62、予約受付部64、予約管理部66、鍵提供部68、燃料消費量検知部70、利用履歴保存部72、料金算出部74、請求部76を含む。これらの機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、記録媒体に格納され、その記録媒体を介して管理サーバ14のストレージにインストールされてもよい。または、上記コンピュータプログラムが、ネットワークを介して管理サーバ14のストレージにインストールされてもよい。管理サーバ14のCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0033】
予約画面生成部60は、カーシェアリングサービスの予約画面のデータを生成する。予約画面提供部62は、予約画面生成部60により生成された予約画面のデータをユーザ端末11へ送信して表示させる。予約受付部64は、ユーザ端末11から送信されたシェアカーの利用予約を受け付ける。具体的には、予約受付部64は、予約画面に対してユーザ(例えば法人Aの従業員)が入力した予約内容を示すデータ(例えば車両ID、利用期間、貸出位置を含む)を受け付ける。
【0034】
予約管理部66は、予約受付部64により受け付けられた予約内容に、新たに採番した予約IDと、予約者のユーザID(予約者ID)とを対応付けた予約情報を生成し、その予約情報を予約記憶部54に格納する。鍵提供部68は、車両12を開錠し、または施錠するための鍵データをユーザ端末11へ送信する。具体的には、鍵提供部68は、予約情報の予約者IDにより識別される予約者のユーザ端末11へ、予約情報の車両IDにより識別されるシェアカー(すなわち予約対象のシェアカー)の鍵データを送信する。
【0035】
燃料消費量検知部70は、ユーザによるシェカー利用時の燃料消費量を検知する。実施例では、燃料消費量検知部70は、複数の車両12のそれぞれから定期的に送信された燃料消費量を取得する。燃料消費量検知部70は、予約記憶部54を参照して各シェアカーの利用者(予約者)と利用期間とを特定する。燃料消費量検知部70は、複数のシェアカーのそれぞれについて利用期間ごとの燃料消費量を算出する。
【0036】
なお、複数の車両12のそれぞれは、自車両の燃料残量を定期的に管理サーバ14へ送信してもよい。管理サーバ14の燃料消費量検知部70は、各シェアカーの燃料残量の推移に基づいて、各シェアカーの利用期間ごとの燃料消費量を検知してもよい。
【0037】
利用履歴保存部72は、予約記憶部54に記憶された予約情報(予約ID、車両ID、利用期間)を利用履歴として予約者のユーザ情報に保存する。利用履歴保存のタイミングは、例えば、各予約の利用期間の開始時点でもよい。また、利用履歴保存部72は、燃料消費量検知部70により算出された各予約の利用期間の燃料消費量を、各予約の予約者の利用履歴に保存する。
【0038】
料金算出部74は、複数のユーザそれぞれのカーシェアリングサービス利用料金を算出する。請求部76は、料金算出部74により算出された利用料金をユーザに請求するための処理を実行する。例えば、請求部76は、金融機関の装置(不図示)や、クレジットカード会社の装置(不図示)と連携して、複数のユーザそれぞれの月毎の利用料金を各ユーザの口座からカーシェアリングのサービス事業者の口座へ振り込ませるための処理を実行してもよい。
【0039】
実施例のカーシェアリングサービスの第1の特徴として、利用料金の算出方法を説明する。
料金算出部74は、シェアリング対象車両である車両12をユーザが利用した場合に、サービス事業者により予め定められた車両12のシェアリング価格に基づいて、ユーザの単位期間(実施例では1ヶ月)における利用料金を算出する。この利用料金を「シェアリング価格ベース利用料金」とも呼ぶ。以下では、利用料金算出対象のユーザを「対象ユーザ」とも呼ぶ。また、対象ユーザは、原則として、複数の車両12のうち対象ユーザが優先的に利用可能な車両12(以下「優先車両」とも呼ぶ。)を利用する。
【0040】
実施例では、料金算出部74は、ユーザ情報記憶部52に記憶された対象ユーザのユーザ情報を参照して、請求対象月における1つ以上の利用履歴を特定し、特定した1つ以上の利用履歴が示す利用時間を合計する。料金算出部74は、請求対象月における対象ユーザの利用時間の合計値が長くなるほど、シェアリング価格ベース利用料金を増加させる。シェアリング価格は、カーシェアリングサービスの市場価格をもとに決定され、また、対象ユーザの優先車両のクラスに応じて決定される。例えば、シェアリング価格は、利用時間15分当たり220円、利用時間60分当たり880円である。この場合、請求対象月における対象ユーザの利用時間の合計値が120時間であれば、シェアリング価格ベース利用料金は、105600円(880円×120時間)となる。
【0041】
また、料金算出部74は、対象ユーザの優先車両のリース価格に基づいて、対象ユーザの単位期間における利用料金を算出する。この利用料金を「リース価格ベース利用料金」とも呼ぶ。リース価格ベース利用料金は、以下の式1で求める。
リース価格ベース利用料金 = リース価格+燃料代金+駐車場価格+メンテナンス料+保険料 ・・・(式1)
すなわち、リース価格ベース利用料金では、通常のカーリースと同様に、燃料代金、駐車場価格、メンテナンス料および保険料をユーザに転嫁する。
【0042】
リース価格は、対象ユーザの優先車両のクラス毎に異なる。例えば、優先車両がSクラス(コンパクトカー)の場合、リース価格は3万5千円であってもよい。また、優先車両がAクラス(中型車)の場合、リース価格は5万円であってもよい。また、優先車両がEクラス(高級車)場合、リース価格は10万円であってもよい。
【0043】
燃料代金は、ユーザによる優先車両利用により消費された燃料の代金である。料金算出部74は、ユーザ情報記憶部52に記憶された対象ユーザのユーザ情報を参照して、請求対象月における1つ以上の利用履歴を特定し、特定した1つ以上の利用履歴が示す燃料消費量を合計する。料金算出部74は、請求対象月における対象ユーザの燃料消費量の合計値に所定の燃料単価を乗ずることにより燃料代金を算出する。すなわち、料金算出部74は、対象ユーザによる優先車両利用時の燃料消費量が増加するほどリース価格ベース利用料金を増加させる。
【0044】
駐車場価格は、実施例のカーシェアリングサービスにおいてサービス事業者が負担する駐車場料金(所定金額)であり、例えば上述したように1万5千円である。既述したように、優先車両の駐車場料金(例えば5万円)のうち所定金額(例えば1万5千円)をサービス事業者が負担し、残額(例えば3万5千円)をユーザが負担する。ユーザは、残額をサービス事業者に支払う。リース価格がベースになった場合、サービス事業者が負担する駐車場料金もユーザに転嫁する必要がある。そのため、料金算出部74は、サービス事業者が負担する駐車場料金(例えば1万5千円)も含めてリース価格ベース利用料金を算出する。
【0045】
メンテナンス料および保険料は、車両12ごとに予め定められ、車両情報記憶部50の車両情報に予め記録される。リース価格がベースになった場合、メンテナンス料および保険料をユーザに転嫁する必要がある。そのため、料金算出部74は、対象者の優先車両の車両情報に記録されたメンテナンス料および保険料を含めてリース価格ベース利用料金を算出する。
【0046】
料金算出部74は、シェアリング価格ベース利用料金がリース価格ベース利用料金以上になった場合(変形例としてシェアリング価格ベース利用料金がリース価格ベース利用料金を超過した場合)、対象ユーザに請求する利用料金を、リース価格ベース利用料金に切り替える。
【0047】
図7は、カーシェアリングサービスの利用期間と利用料金との関係を示す。図7中の破線で示す金額推移80は、シェアリング価格ベース利用料金の推移を示している。また、図7中の一点鎖線で示す金額推移82は、リース価格ベース利用料金の推移を示している。実際には、利用期間増加による燃料代金上昇に伴ってリース価格ベース利用料金は上昇するが、図7では簡単に金額推移82を定額としている。ただし少なくとも、金額推移82の増加率(傾き)は、金額推移80の増加率(傾き)より小さい。図7中の実線で示す金額推移84は、ユーザに請求する利用料金の推移を示している。
【0048】
図7の金額推移84で示すように、シェアリング価格ベース利用料金<リース価格ベース利用料金である間、ユーザに請求する利用料金は、シェアリング価格ベース利用料金となる。一方、利用期間増加に伴って、シェアリング価格ベース利用料金≧リース価格ベース利用料金になると、ユーザに請求する利用料金は、リース価格ベース利用料金となる。実施例の管理サーバ14によると、カーシェアリングサービスを利用するユーザの負担額は、カーリースを利用する場合の負担額を超えることがなくなる。これにより、利用に応じたコスト削減と、結果的な減車効果を提供可能なカーシェアリングサービスをユーザに提供することができる。
【0049】
また、実施例の管理サーバ14は、ユーザによるシェアカー利用時の燃料消費量を管理する。これにより、リース価格ベース利用料金への切替時に、ユーザが消費した燃料代金をユーザに転嫁することができ、適切なリース価格ベース利用料金を算出することができる。
【0050】
また、実施例のカーシェアリングサービスでは、車両12の駐車場料金の一部をサービス事業者が負担することにより、ユーザのコストメリットを拡大することができる。また、実施例の管理サーバ14は、リース価格ベース利用料金への切替時に、サービス事業者が負担した駐車場料金をユーザに転嫁することで、適切なリース価格ベース利用料金を算出することができる。
【0051】
実施例のカーシェアリングサービスの第2の特徴として、優先予約処理を説明する。
管理サーバ14は、或るユーザに割り当てられた優先車両の利用開始前の所定期間、当該ユーザがその優先車両を他者より優先して予約できるよう構成される。
【0052】
具体的には、管理サーバ14は、或る車両12(例えば車両12a)の利用開始日の1週間前までは、当該車両12を優先車両として割り当てられたユーザ(図4の優先者であり、例えばA法人)のみが当該車両12を予約できるよう制限する。言い換えれば、管理サーバ14は、或る車両12(例えば車両12a)の利用開始日の1週間前までは、当該車両12を優先車両として割り当てられたユーザ(例えばA法人)以外のユーザ(例えばB法人)が当該車両12を予約できないよう制限する。管理サーバ14は、或る車両12(例えば車両12a)の利用開始日前1週間以内になると、全てのユーザが当該車両12を予約可能にする。
【0053】
例えば、管理サーバ14の予約画面生成部60は、或るユーザに提供する予約画面データに複数の車両12の情報を設定する際に、当該ユーザの優先車両については利用開始日前1週間より前から予約可能に設定する一方、優先車両以外の車両12については利用開始日前1週間から予約可能に設定してもよい。
【0054】
変形例として、管理サーバ14は、或る車両12(例えば車両12a)の利用開始日の4週間前から、当該車両12を優先車両として割り当てられたユーザ(図4の優先者であり、例えばA法人)のみが当該車両12を予約可能にしてもよい。管理サーバ14は、当該車両12の利用開始日の3週間前からは、当該車両の優先者と、優先者以外のユーザ(例えばB法人)の両方(すなわち全てのユーザ)が当該車両12を予約可能にしてもよい。これにより、各ユーザに、優先車両に対する1週間の優先予約期間を提供することができる。
【0055】
例えば、管理サーバ14の予約画面生成部60は、或るユーザに提供する予約画面データに複数の車両12の情報を設定する際に、当該ユーザの優先車両については利用開始日の4週間前から予約可能に設定する一方、優先車両以外の車両12については利用開始日の3週間前から予約可能に設定してもよい。
【0056】
実施例の管理サーバ14が実現するカーシェアリングサービスによると、各ユーザには他者より優先的に利用予約が可能な優先車両が割り当てられる。これにより、カーシェアリングサービスのユーザに、リース車両または自己所有車両の利用時と同等の利便性を提供することができる。
【0057】
実施例のカーシェアリングサービスの第3の特徴として、優先車両以外のシェアカーの割当処理を説明する。
管理サーバ14の予約管理部66は、或るユーザのユーザ端末11から送信されたカーシェアリングの利用期間において既に優先車両が他ユーザにより予約されている場合、すなわち、或るユーザが優先車両を利用したい日時にその優先車両が他ユーザにより予約済の場合、その日時に利用可能な他車両(優先車両とは異なる車両12)を当該ユーザに割り当てる。例えば、予約管理部66は、A法人が優先車両である車両12aを利用したい日時に車両12aが他ユーザにより予約済の場合、その日時に利用可能な他車両(例えば車両12b)をA法人に割り当てる。
【0058】
例えば、予約管理部66は、予約記憶部54の予約情報を参照して、或るユーザの予約画面に入力されたシェアカー利用日時に当該ユーザの優先車両が他者により予約済の場合、そのことを検出してもよい。この場合、予約管理部66は、優先車両に代わって当該ユーザに割当可能な他のシェアカー(以下「代替車両」とも呼ぶ。)が存在するか否かを検出してもよい。代替車両は、(1)当該ユーザが指定するシェアカー利用日時に利用可能である(予約されていない)こと、(2)当該ユーザの優先車両とランクが一致すること、(3)当該ユーザの優先車両の駐車場位置との差が所定範囲内(例えば1km内)であること、の全てを満たすことが条件であってもよい。
【0059】
代替車両が存在する場合、予約管理部66は、代替車両の情報を予約画面生成部60に渡してもよい。予約画面生成部60は、代替車両に関する情報(駐車場位置等)と、優先車両の予約ができないが、代替車両を予約可能であることを示す情報とを含む画面データを生成してもよい。予約画面提供部62は、その画面をユーザ端末11に表示させてもよい。また、代替車両が予約され、利用された場合、優先車両の利用時と同様に、利用履歴が記録される。
【0060】
実施例の管理サーバ14が実現するカーシェアリングサービスによると、ユーザの優先車両が他者により予約済であれば、ユーザに代替車両を割り当てることにより、ユーザの利便性の低下を抑制することができる。例えば、シェアカーの利用が急遽必要になって優先車両が利用できなくても、代替車両をユーザに提供することができる。また、優先車両と同クラスの代替車両を割り当てることにより、シェアリング価格ベース利用料金とリース価格ベース利用料金とのバランスを維持することができる。
【0061】
以上の構成によるカーシェアリングシステム10の動作を説明する。
実施例のカーシェアリングサービスが対象とする顧客は、主に、これまでリース車両または自己所有車両を利用していた個人または法人である。ここでは顧客をA法人とする。A法人が、カーシェアリングサービスの利用に切り替えると、サービス事業者は、それまでのリース車両または自己所有車両に代わる車両12aを優先車両としてA法人に割り当てる。管理サーバ14の車両情報記憶部50には、車両12aの属性に応じて、車両12aに関する車両情報(図4の車両ID~保険料)が保存される。また、管理サーバ14のユーザ情報記憶部52には、A法人の属性に応じて、A法人に関するユーザ情報(図5のユーザID~優先車両ID)が格納される。
【0062】
なお、車両12aは、A法人におけるそれまでのリース車両または自己所有車両と同じ駐車場に駐車される。すなわち、A法人にとっては、駐車場位置が変わらないまま、利用する車両がリース車両または自己所有車両からシェアカーに切り替わることになる。
【0063】
A法人の従業員は、車両12aの利用を予約する際、A法人端末11aを介して管理サーバ14にアクセスする。管理サーバ14の予約画面生成部60は、車両12aを他者より優先して予約可能に構成された予約画面を生成し、予約画面提供部62は、その予約画面をA法人端末11aに表示させる。A法人の従業員は、車両12aの予約内容を予約画面に入力し、A法人端末11aは、車両12aの予約内容を管理サーバ14へ送信する。管理サーバ14の予約管理部66は、A法人端末11aから送信された車両12aの予約内容に基づく予約情報を予約記憶部54に格納する。
【0064】
A法人端末11aから送信された予約内容が示す利用期間において車両12aが他のユーザにより予約済の場合、管理サーバ14の予約管理部66は、その利用期間に利用可能な代替車両を法人Aに割り当てる。管理サーバ14の予約画面生成部60は、代替車両の利用を提案する内容の予約画面を生成し、予約画面提供部62は、その予約画面をA法人端末11aに表示させる。A法人の従業員は、代替車両の予約内容を予約画面に入力し、A法人端末11aは、代替車両の予約内容を管理サーバ14へ送信する。管理サーバ14の予約管理部66は、A法人端末11aから送信された代替車両の予約内容に基づく予約情報を予約記憶部54に格納する。
【0065】
管理サーバ14の鍵提供部68は、上記予約情報が示す利用期間に有効となる車両12aまたは代替車両の鍵データをA法人端末11aに送信する。上記予約情報が示す利用期間に至ると、管理サーバ14の利用履歴保存部72は、上記予約情報に基づく利用履歴をユーザ情報に記録する。燃料消費量検知部70は、車両12aまたは代替車両から送信された燃料消費量を上記利用履歴に記録する。
【0066】
月1回の利用料金算出タイミングになると、管理サーバ14の料金算出部74は、A法人に関するシェアリング価格ベース利用料金とリース価格ベース利用料金をそれぞれ算出する。シェアリング価格ベース利用料金<リース価格ベース利用料金であれば、料金算出部74は、シェアリング価格ベース利用料金をA法人への請求料金とする。一方、シェアリング価格ベース利用料金≧リース価格ベース利用料金であれば、料金算出部74は、リース価格ベース利用料金をA法人への請求料金とする。管理サーバ14の請求部76は、金融機関等の装置と連携し、料金算出部74により算出されたA法人への請求料金をA法人に請求するための処理を実行する。
【0067】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0068】
第1変形例を説明する。上記実施例で一部既述したが、ユーザは、当該ユーザの優先車両以外のシェアカーを予約可能である。例えば、A法人の優先車両である車両12aは、A法人が優先的に予約可能であるが、A法人の予約がなければ、所定期間(例えば利用開始日前1週間以内)においてB法人も予約可能である。管理サーバ14は、優先車両以外のシェアカーを予約するユーザに対して、当該ユーザの優先車両と同クラスのシェアカーのみ予約可能とするよう制限することが好ましい。この制限により、シェアリング価格ベース利用料金とリース価格ベース利用料金とのバランスを維持することができる。
【0069】
第2変形例を説明する。管理サーバ14は、シェアカーの配送指示を配回送員端末16に送信する指示部をさらに備えてもよい。予約画面は、シェアカーの貸出位置を予約者に指定させるための内容を含んでもよい。シェアカーの貸出位置は、シェアカーの駐車場位置に指定されてもよく、予約者の居所(オフィス住所等)に指定されてもよく、予約者が任意の地点を指定してもよい。シェアカーの貸出位置が当該シェアカーの駐車場位置とは異なる位置に設定された場合、管理サーバ14の通知部は、シェアカーの利用開始時点より前に、シェアカーの貸出位置(言い換えればシェアカーの配送先位置)と、利用開始日時(言い換えれば配送期限)とを含む配送指示を配回送員端末16に送信してもよい。
【0070】
上述したように、A法人の優先車両である車両12aをB法人の従業員が利用する場合、車両12aの本来の駐車場から車両12aをB法人の従業員に貸し出すことができる。または、配回送員が車両12aをB法人の指定場所(オフィス等)まで配送し、B法人の従業員がその指定場所から車両12aを利用することができる。
【0071】
なお、管理サーバ14の予約管理部66は、シェアカーの貸出位置を自動で決定してもよい。例えば、予約されたシェアカーの駐車場位置から予約者の居所(オフィス住所等)までの距離が予め定められ閾値(例えば500メートル)以内であれば、予約管理部66は、シェアカーの貸出位置をシェアカーの駐車場位置に決定してもよい。一方、予約されたシェアカーの駐車場位置から予約者の居所までの距離が上記閾値を超過すれば、予約管理部66は、シェアカーの貸出位置を予約者の居所に決定してもよい。
【0072】
第3変形例を説明する。図8は、ユーザ端末に表示される予約画面の例を示す。同図は、シェアカー(優先車両)で会社通勤するユーザに提供される予約画面90を示している。管理サーバ14の予約画面生成部60は、日付毎に、出社時または退社時にシェアカーを利用するか(予約するか)否かを選択可能なオブジェクト(要素、部品とも言える)を含む予約画面90を生成し、ユーザ端末11に表示させてもよい。
【0073】
管理サーバ14の予約管理部66は、出社時と退社時のいずれでもシェアカーが利用されない日は、当該シェアカーを他のユーザに利用可能としてもよい。管理サーバ14の予約画面生成部60は、出社時と退社時のいずれでもシェアカーが利用されない日は、他のユーザの予約画面に、当該シェアカーが利用可能であることを示す情報を含めてもよい。また、出社時と退社時のいずれか一方のみでシェアカーが利用される日には、上述の管理サーバ14の指示部は、当該シェアカーをユーザ宅またはユーザのオフィスへ配送するよう配回送員端末16に指示してもよい。
【0074】
第4変形例を説明する。実施例でも一部既述したが、管理サーバ14は、或る車両12の優先者に当該車両12の優先予約権を付与してもよい。図9は、優先予約権の例を示す。管理サーバ14は、或る車両12の利用開始日の21日前から15日前までは、当該車両12を優先車両として割り当てられた優先者(図9では優先法人)のみが当該車両12を予約できるよう制限してもよい。管理サーバ14は、当該車両12の利用開始日前14日以内になると、優先者以外のユーザ(図9の一般法人・個人)を含む全てのユーザが当該車両12を予約できるよう制御してもよい。
【0075】
例えば、管理サーバ14の予約画面生成部60は、或るユーザに提供する予約画面データに複数の車両12の情報を設定する際に、当該ユーザの優先車両については利用開始日の21日前から予約可能になるよう設定してもよい。一方、予約画面生成部60は、当該ユーザの優先車両以外の車両12については利用開始日前14日から予約可能になるよう予約画面データを設定してもよい。
【0076】
第5変形例を説明する。実施例では言及していないが、管理サーバ14は、或る車両12の優先者に当該車両12の独占利用権を付与してもよい。図10は、独占利用権の例を示す。管理サーバ14は、或る車両12の利用開始日から優先者が指定した期間(図10では5日間)については、当該車両12を優先者のみが利用可能な期間としてロックしてもよく、言い換えれば、優先者以外の一般法人・個人による利用予約を禁止してもよい。
【0077】
例えば、管理サーバ14の予約画面生成部60は、或るユーザに提供する予約画面データに複数の車両12の情報を設定する際に、当該ユーザの優先車両以外の車両12(以下、「非優先シェアカー」とも呼ぶ。)について、非優先シェアカーの優先者が独占利用期間として予約した期間は、利用予約できないように予約画面データを設定してもよい。
【0078】
なお、図10に示すように、或る車両12の優先者に当該車両12の独占利用権を付与する場合、優先者以外の一般法人・個人に対して、利用開始日直前には(図10では7日前から)当該車両12の利用予約ができないよう制限することが望ましい。例えば、管理サーバ14の予約画面生成部60は、或るユーザに提供する予約画面データに複数の車両12の情報を設定する際に、非優先シェアカーについては、利用開始日直前(図10では7日前から)の利用予約ができないよう予約画面データを設定してもよい。これにより、或る車両12の優先者が当該車両12を独占利用できる機会を拡充し、また、優先者以外の一般法人・個人に対しても、他のシェアカーを手配する時間的余裕を与えることができる。
【0079】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。例えば、実施例の構成に第4変形例および第5変形例の構成を組み合わせることもできる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0080】
10 カーシェアリングシステム、 11 ユーザ端末、 12 車両、 14 管理サーバ、 66 予約管理部、 70 燃料消費量検知部、 74 料金算出部、 76 請求部。
図1
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