(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】フィルタの設置構造およびフィルタの保持体
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20240314BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20240314BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20240314BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20240314BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B01D46/10 A
F04D29/70 N
F04D29/44 P
F04D29/64 E
A41D13/002 105
(21)【出願番号】P 2020039773
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】神原 智久
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亮平
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199674(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009511(WO,A1)
【文献】特開2016-142430(JP,A)
【文献】実開平05-037311(JP,U)
【文献】実開昭56-014619(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0113741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/10-46/54
F04D 1/00-13/16,17/00-19/02,21/00-25/16,29/00-35/00
A41D 13/00-13/12,20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されている本体部と、前記本体部の一方の開口部から内側に突出して、前記本体部の一方の開口部に設けられている第1の突出部と、前記本体部の他方の開口部から内側に突出して、前記本体部の他方の開口部に設けられている第2の突出部とを有し、フィルタが前記本体部と前記第1の突出部と前記第2の突出部との内側に設置されることで前記フィルタが保持されるように構成されているフィルタの保持体と、
前記フィルタの保持体に設置される前記フィルタと、
を有し、衣服と前記第1の突出部とが、衣服用ファンによって挟まれることで、前記フィルタの保持体が前記衣服に設置されるように構成されており、
前記フィルタの保持体は、前記フィルタを内側に設置するための弾性、および、設置されている前記フィルタを取り出すための弾性を備えていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタの設置構造であって、
前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、
前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、
前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、
前記
衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突出部とが挟まれていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタの設置構造であって、
前記本体部は、高さ寸法の値が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されており、
前記第1の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、
前記第2の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、
前記第1の突出部からは第1の突起が突出しており、前記第1の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第1の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第1の突出部と前記第1の突起とは弾性を備えていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタの設置構造であって、
前記第2の突出部からは
第3の突起が突出しており、前記
第3の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第2の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第2の突出部と前記
第3の突起とは弾性を備えていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のフィルタの設置構造であって、
前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、
前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、
前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、
前記
衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突起、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突起と前記第1の突出部とが挟まれていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項6】
請求項2または請求項5に記載のフィルタの設置構造であって、
前記フィルタが平板状に形成されており、
前記フィルタが前記フィルタの保持体内に設置される前の状態では、前記フィルタの厚さ寸法の値と前記衣服用ファン本体部のフランジ部の厚さ寸法の値との和の値が、前記本体部の中心軸の延伸方向における前記第1の突出部と前記第2の突出部との間の寸法の値よりも僅かに大きくなっており、
前記フィルタの保持体が前記フィルタおよび前記衣服用ファンとともに前記衣服に設置されている状態では、前記第1の突出部と前記第2の突出部とで、前記衣服用ファン本体部のフランジ部と前記フィルタとが、前記本体部の中心軸の延伸方向で付勢力をもって挟み込まれていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項7】
筒状に形成されている本体部と、前記本体部の一方の開口部から内側に突出して、前記本体部の一方の開口部に設けられている第1の突出部と、前記本体部の他方の開口部から内側に突出して、前記本体部の他方の開口部に設けられている第2の突出部とを有し、フィルタが前記本体部と前記第1の突出部と前記第2の突出部との内側に設置されることで前記フィルタが保持されるように構成されており、
前記フィルタが設置されている状態で、衣服と前記第1の突出部とが、衣服用ファンによって挟まれることで、前記衣服に設置されるように構成されており、
前記フィルタを内側に設置するための弾性、および、設置されている前記フィルタを取り出すための弾性を備えていることを特徴とするフィルタの保持体。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルタの保持体であって、
前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、
前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、
前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、
前記
衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突出部とが挟まれていることを特徴とするフィルタの保持体。
【請求項9】
請求項7に記載のフィルタの保持体であって、
前記本体部は、高さ寸法の値が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されており、
前記第1の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、
前記第2の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、
前記第1の突出部からは第1の突起が突出しており、前記第1の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第1の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第1の突出部と前記第1の突起とは、弾性を備えていることを特徴とするフィルタの保持体。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルタの保持体であって、
前記第2の突出部からは
第3の突起が突出しており、前記
第3の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第2の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第2の突出部と前記
第3の突起とは弾性を備えていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のフィルタの保持体であって、
前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、
前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、
前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、
前記
衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突起、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突起と前記第1の突出部とが挟まれていることを特徴とするフィルタの保持体。
【請求項12】
請求項8または請求項11に記載のフィルタの保持体であって、
前記フィルタが平板状に形成されており、
前記フィルタが前記フィルタの保持体内に設置される前の状態では、前記フィルタの厚さ寸法の値と前記衣服用ファン本体部のフランジ部の厚さ寸法の値との和の値が、前記本体部の中心軸の延伸方向における前記第1の突出部と前記第2の突出部との間の寸法の値よりも僅かに大きくなっており、
前記フィルタの保持体が前記フィルタおよび前記衣服用ファンとともに前記衣服に設置されている状態では、前記第1の突出部と前記第2の突出部とで、前記衣服用ファン本体部のフランジ部と前記フィルタとが、前記本体部の中心軸の延伸方向で付勢力をもって挟み込まれていることを特徴とするフィルタの保持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタの設置構造およびフィルタの保持体に係り、特に、衣服用ファンに設置されるフィルタを保持するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服用ファン(風発生装置)が設置されている空調服本体(衣服)の外部から、衣服用ファンを通って衣服の内部に異物が侵入することを防止するための異物侵入防止部材が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の異物侵入防止部材は、衣服に取り付けられている衣服用ファンに取り付けられて使用されるものである。衣服用ファンは、軸流ファンを可動させることで、衣服の外部から空気取込口を介して空気を取り込み、取り込んだ空気を、空気排出口を介して衣服の内部に排出するようになっている。
【0004】
異物侵入防止部材は、ネット部材で構成されており、空気取込口を外側から覆うことで異物が侵入することを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の異物侵入防止部材では、異物侵入防止部材がポリエステル製のネット部材や金網で網目状に形成されているので、異物による衣服用ファンの羽根の損傷を防止することはできるが、小さな異物は異物侵入防止部材を通り抜けてしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載の異物侵入防止部材では、ネット部材がむき出しなっているので、突起物等の物体にぶつかったり、引っかかったりして、破損するおそれがある。
【0008】
本発明は、ある程度の厚さのあるフィルタを設置することができ、これにより高温で飛散等する物体をフィルタで遮断することができ、しかも、外力によるフィルタの損傷を極力無くしフィルタの機能を維持することができるフィルタの設置構造およびフィルタの保持体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、筒状に形成されている本体部と、前記本体部の一方の開口部から内側に突出して、前記本体部の一方の開口部に設けられている第1の突出部と、前記本体部の他方の開口部から内側に突出して、前記本体部の他方の開口部に設けられている第2の突出部とを有し、フィルタが前記本体部と前記第1の突出部と前記第2の突出部との内側に設置されることで前記フィルタが保持されるように構成されているフィルタの保持体と、前記フィルタの保持体に設置される前記フィルタとを有し、衣服と前記第1の突出部とが、衣服用ファンによって挟まれることで、前記フィルタの保持体が前記衣服に設置されるように構成されており、前記フィルタの保持体は、前記フィルタを内側に設置するための弾性、および、設置されている前記フィルタを取り出すための弾性を備えているフィルタの設置構造である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタの設置構造であって、前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、前記衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突出部とが挟まれているフィルタの設置構造である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタの設置構造であって、前記本体部は、高さ寸法の値が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されており、前記第1の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、前記第2の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、前記第1の突出部からは第1の突起が突出しており、前記第1の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第1の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第1の突出部と前記第1の突起とは弾性を備えているフィルタの設置構造である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のフィルタの設置構造であって、前記第2の突出部からは第3の突起が突出しており、前記第3の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第2の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第2の突出部と前記第3の突起とは弾性を備えていることを特徴とするフィルタの設置構造。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のフィルタの設置構造であって、前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、前記衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突起、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突起と前記第1の突出部とが挟まれているフィルタの設置構造である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項2または請求項5に記載のフィルタの設置構造であって、前記フィルタが平板状に形成されており、前記フィルタが前記フィルタの保持体内に設置される前の状態では、前記フィルタの厚さ寸法の値と前記衣服用ファン本体部のフランジ部の厚さ寸法の値との和の値が、前記本体部の中心軸の延伸方向における前記第1の突出部と前記第2の突出部との間の寸法の値よりも僅かに大きくなっており、前記フィルタの保持体が前記フィルタおよび前記衣服用ファンとともに前記衣服に設置されている状態では、前記第1の突出部と前記第2の突出部とで、前記衣服用ファン本体部のフランジ部と前記フィルタとが、前記本体部の中心軸の延伸方向で付勢力をもって挟み込まれているフィルタの設置構造である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、筒状に形成されている本体部と、前記本体部の一方の開口部から内側に突出して、前記本体部の一方の開口部に設けられている第1の突出部と、前記本体部の他方の開口部から内側に突出して、前記本体部の他方の開口部に設けられている第2の突出部とを有し、フィルタが前記本体部と前記第1の突出部と前記第2の突出部との内側に設置されることで前記フィルタが保持されるように構成されており、前記フィルタが設置されている状態で、衣服と前記第1の突出部とが、衣服用ファンによって挟まれることで、前記衣服に設置されるように構成されており、前記フィルタを内側に設置するための弾性、および、設置されている前記フィルタを取り出すための弾性を備えているフィルタの保持体である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のフィルタの保持体であって、前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、前記衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突出部とが挟まれているフィルタの保持体である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のフィルタの保持体であって、前記本体部は、高さ寸法の値が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されており、前記第1の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、前記第2の突出部は、平板であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、前記第1の突出部からは第1の突起が突出しており、前記第1の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第1の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第1の突出部と前記第1の突起とは、弾性を備えているフィルタの保持体である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のフィルタの保持体であって、前記第2の突出部からは第3の突起が突出しており、前記第3の突起は、幅の狭いリング状に形成されており、前記第2の突出部の内周部から前記本体部から離れる側に突出しており、前記第2の突出部と前記第3の突起とは弾性を備えているフィルタの設置構造である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9または請求項10に記載のフィルタの保持体であって、前記衣服用ファンは、衣服用ファン本体部と環状の固定材とを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部は、筐体と羽根とこの羽根を回転させるモータとを備えて構成されており、前記衣服用ファン本体部の筐体は、筒状部とフランジ部とを備えて形成されており、前記フランジ部は、環状になって前記筒状部の一方の側で前記筒状部の外側に突出しており、前記筒状部の内部に、前記羽根と前記モータとが設けられており、前記環状の固定材の内周には、メスネジが形成されており、前記筒状部の外周にはオスネジが形成されており、前記衣服用ファンと前記フィルタが設置されている前記フィルタの保持体とが前記衣服に設置されている状態では、前記筒状部のオスネジと前記環状の固定材のメスネジとが螺合しており、前記環状の固定材のところにおける前記衣服の生地の厚さ方向では、前記衣服の内側から外側に向かう方向で、前記環状の固定材、前記衣服の生地、前記第1の突起、前記第1の突出部、前記フランジ部、前記フィルタ、前記第2の突出部がこの順でならんでおり、前記環状の固定材と前記フランジ部とで、前記衣服の生地と前記第1の突起と前記第1の突出部とが挟まれているフィルタの保持体である。
また、請求項12に記載の発明は、請求項8または請求項11に記載のフィルタの保持体であって、前記フィルタが平板状に形成されており、前記フィルタが前記フィルタの保持体内に設置される前の状態では、前記フィルタの厚さ寸法の値と前記衣服用ファン本体部のフランジ部の厚さ寸法の値との和の値が、前記本体部の中心軸の延伸方向における前記第1の突出部と前記第2の突出部との間の寸法の値よりも僅かに大きくなっており、前記フィルタの保持体が前記フィルタおよび前記衣服用ファンとともに前記衣服に設置されている状態では、前記第1の突出部と前記第2の突出部とで、前記衣服用ファン本体部のフランジ部と前記フィルタとが、前記本体部の中心軸の延伸方向で付勢力をもって挟み込まれているフィルタの保持体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ある程度の厚さのあるフィルタを設置することができ、これにより高温で飛散等する物体をフィルタで遮断することができ、しかも、外力によるフィルタの損傷を極力無くしフィルタの機能を維持することができるフィルタの設置構造およびフィルタの保持体を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るフィルタの保持体が設置される衣服用ファンを衣服に設置した状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフィルタの保持体とフィルタと衣服用ファンと衣服との分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフィルタの保持体とフィルタと衣服用ファンを衣服に設置した状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るフィルタの保持体の断面図である。
【
図5】1つ目の変形例に係るフィルタの保持体を示す図である。
【
図6】
図3に対応した図であって、2つ目の変形例に係るフィルタの保持体とフィルタと衣服用ファンを衣服に設置した状態を示す断面図である。
【
図7】(a)は3つ目の変形例に係るフィルタの保持体の斜視図であり、(b)は3つ目の変形例に係るフィルタの保持体の断面図である。
【
図8】(a)は、
図3に対応した図であり、本発明の実施形態に係るフィルタの保持体とフィルタと衣服用ファンを衣服に設置した状態を示す断面図であり、フィルタの保持体とフィルタと衣服用ファンの形状を簡略化しつつ、さらに、フィルタの保持体一部の形状を正確に表した図であり、(b)~(d)は、
図4に対応した図であり、4つ目の変形例に係るフィルタの保持体の断面形状を示す図である。
【
図9】(a)は、
図8(a)で示すフィルタの保持体の断面を示す図であり、(b)は、
図8(a)で示すフィルタを示す図であり、(c)は、
図8(a)で示す衣服用ファンを示す図である。
【
図10】
図5に対応した図であって、5つ目の変形例に係るフィルタの保持体を示す図である。
【
図11】6つ目の変形例に係るフィルタの保持体を示す図であり、(b)は(a)におけるXIB矢視図であり、(c)は(b)におけるXIC-XIC断面を示す図である。
【
図12】7つ目の変形例に係るフィルタの保持体を示す図であり、(b)は(a)におけるXIIB-XIIB断面を示す図である。
【
図13】8つ目の変形例に係るフィルタの保持体を示す図であり、(b)は(a)におけるXIIIB-XIIIB断面を示す図であり、(c)は、(b)の分解図である。
【
図14】9つ目の変形例に係るフィルタの保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るフィルタの設置構造1は、
図2や
図3で示すように、フィルタの保持体3とフィルタの保持体3に設置されたフィルタ5とを備えて構成されている。また、フィルタの設置構造1では、
図3等で示すように、衣服(空調服本体)7と、フィルタの保持体3の第1の突出部9とが、衣服用ファン11によって挟まれることで、フィルタの保持体3とフィルタの保持体3に設置されたフィルタ5と衣服用ファン11とが、衣服7に一体的に設置されるように構成されている。第1の突出部9の詳細については後述する。
【0021】
衣服用ファン11は、
図1で示すように、衣服7に設置されて使用されるものである。たとえば、衣服用ファン11は、上衣の背側で下側の左右に設置されて使用されるようになっている。衣服用ファン11は、一方の開口部(空気吸入口13)が、衣服7の外側に面しており、他方の開口部(空気吐出口27;
図3参照)が衣服7の内側に面している。
【0022】
フィルタの保持体3は、上述したように、フィルタ5を保持している状態で、衣服用ファン11とともに衣服7に設置されて使用されるようになっている。そして、フィルタ5によって、衣服用ファン11の空気吸入口13に異物が入り込まないようになっている。
【0023】
衣服用ファン11は、衣服用ファン本体部15と環状の固定材17とを備えている。衣服用ファン本体部15は、筐体19と羽根(図示せず)とこの羽根(図示せず)を回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。衣服用ファン本体部15の筐体19は、筒状部21とフランジ部23とを備えて一体成形で形成されている。フランジ部23は、環状(たとえば円板状)になって筒状部21の一方の側で筒状部21の外側に突出している。
【0024】
筒状部21の内部には、羽根とモータとが設けられている。そして、羽根が回転することで、空気吸入口13から筒状部21内に空気が入り、筒状部21内に入った空気が、空気吐出口27から筒状部21の外に吐出されるようになっている。すなわち、衣服用ファン11が設置されている衣服7を人が着用した状態で、衣服用ファン11の羽根が回転すると、衣服7の外部から衣服7の内部(衣服7と人の肌との間)に空気が入り込み、汗の気化熱で体表面の熱が奪われ、人体が冷やされるようになっている。
【0025】
環状の固定材17の内周には、メスネジが形成されており、筒状部21の外周にはオスネジが形成されている。衣服用ファン本体部15に環状の固定材17が設置されている状態では、筒状部21のオスネジと環状の固定材17のメスネジとが螺合している。
【0026】
そして、衣服用ファン本体部15に対して環状の固定材17を回転させることで、環状の固定材17がフランジ部23に対して接近する方向もしくは離れる方向(
図3の上下方向)に移動するようになっている。
【0027】
フィルタの保持体3は、
図4等で示すように、筒状に形成されている本体部(側壁部;フィルタの保持体本体部)29と、本体部29の一方の開口部に設けられている第1の突出部(底壁部)9と、本体部29の他方の開口部に設けられている第2の突出部(上壁部)31とを備えて構成されている。フィルタの保持体3では、本体部29と第1の突出部9と第2の突出部31とが一体成形されている。
【0028】
なお、詳しくは
図8、
図10、
図11、
図12、
図14等を参照して後述するが、本体部29に切り欠きや本体部29の肉部を貫通している貫通孔が設けられていても、フィルタの保持体本体部29が筒状に形成されているものとする。また、筒状の本体部29の中心軸の延伸方向で、本体部29の内径の値や外径の値が変化していても、本体部29が筒状に形成されているものとする。
【0029】
第1の突出部9は、本体部29の一対の開口部のうちの一方の開口部から内側である筒状の本体部29の中心側に突出して本体部29の一方の開口部に設けられている。第1の突出部9が設けられていることで、本体部29の一方の開口部の内径が小さくなっている。
【0030】
第2の突出部31は、本体部29の一対の開口部のうちの他方の開口部から内側である筒状の本体部29の中心側に突出して本体部29の他方の開口部に設けられている。第2の突出部31が設けられていることで、本体部29の他方の開口部の内径が小さくなっている。
【0031】
また、フィルタ5は、本体部29と第1の突出部9と第2の突出部31との内側に設置されることでフィルタの保持体3で保持されるように構成されている。
【0032】
第1の突出部9は、上述したように、衣服7とともに衣服用ファン11に挟まれるようになっている。第1の突出部9が衣服7とともに衣服用ファン11(環状の固定材17とフランジ部23)に挟まれることで、フィルタ5を保持しているフィルタの保持体3が、衣服用ファン11とともに衣服7に一体的に設置されるようになっている。
【0033】
この状態では、衣服用ファン11の筒状部21が、衣服7に設けられている貫通孔33を通り抜けて衣服7の内部に入り込んでおり、フィルタの保持体3とフィルタ5とが衣服7の外部に位置している。また、衣服用ファン11の環状の固定材17が、衣服7の内側に位置しており、フランジ部23が衣服7の外部に位置している。
【0034】
さらに、環状の固定材17のところにおける衣服7の生地の厚さ方向では、衣服7の内側から外側に向かう方向で、環状の固定材17、衣服7の生地、フィルタの保持体3の第1の突出部9、フランジ部23、フィルタ5、第2の突出部31がこの順でならんでいる。
【0035】
フィルタ5は、難燃性の不織布や難燃性のスポンジ等の材料(空気を通過させるとともに難燃性を備えた材料)で構成されており、たとえば、所定の厚さを備えた平板状に形成されている。
【0036】
フィルタ5が、フィルタの保持体3内に設置された状態では、フィルタ5の厚さ方向と、筒状の本体部29の中心軸の延伸方向(一方の開口部と他方の開口部とをお互いに結ぶ方向;第1の突出部9と第2の突出部31とをお互いに結ぶ方向)とがお互いに一致している。
【0037】
衣服用ファン11が稼働すると、フィルタ5の厚さ方向で空気が流れ、フィルタ5を通過した空気が衣服用ファン11の空気吸入口13に入り、衣服用ファン11の空気吐出口27から吐出されるようになっている。
【0038】
なお、衣服用ファン11とともに衣服7に設置されたフィルタの保持体3は、上述したように、衣服7から外側に突出している。この突出方向とフィルタ5の厚さ方向とはお互いが一致している。
【0039】
フィルタ5の厚さ寸法の値は、衣服用ファン11が設けられている衣服7の着用者が作業をしている環境において発生する高温で飛散等する物体(たとえば溶接で発生する火花)が、衣服用ファン11内に容易に入り込むことを阻止することができる値になっている。
【0040】
たとえば、衣服7の着用者の故意ではなく不注意等によって火花が衣服用ファン11に吸い込まれるおそれがある事態が1日に数回あったとしても、この程度では、フィルタ5によって火花が衣服用ファン11内に入り込むことが阻止されるようになっている。また、フィルタ5を通過する空気の量の低下も許容できる範囲内(衣服7の着用者の体を十分に冷却することができる範囲内)におさまるようになっている。
【0041】
また、フィルタ5は、たとえば1日に1回交換するようになっている。なお、作業環境に応じて、フィルタ5の交換頻度を適宜変更してもよい。たとえば、火花が衣服用ファン11に吸い込まれるおそれが高い場合には、フィルタ5の交換頻度を高め、たとえば半日に一回交換し、逆に、火花が衣服用ファン11に吸い込まれるおそれが低い場合には、フィルタ5の交換頻度を低くし、たとえば3日に一回交換するようにしてもよい。
【0042】
また、フィルタの保持体3では、第1の突出部9、第2の突出部31の少なくともいずれかが、フィルタ5を内側に設置するための弾性と、設置されているフィルタ5を取り出すための弾性とを備えている。すなわち、フィルタの保持体3は、フィルタ5を容易に着脱できるようにするために弾性を備えている。
【0043】
さらに説明すると、フィルタの保持体3の全体が、弾性を備えている。なお、フィルタの保持体3が弾性を備えていても、フィルタの保持体3に一旦設置されたフィルタ5は、フィルタの保持体3から容易には外れないようになっている。すなわち衣服7の着用者が作業している等の通常の状態では、フィルタの保持体3に一旦設置されたフィルタ5が、フィルタの保持体3から外れないようになっている。
【0044】
フィルタの保持体3は、たとえばシリコンゴム等のフィルタ5よりも耐熱性や難燃性の高い材料で構成されている。また、フィルタの保持体3は、たとえば灰色になっているが、黒色になっていてもよいし、白色になっていてもよいし、その他の色(たとえばオレンジ色等に目立つ色)になっていてもよい。フィルタの保持体3も、必要に応じて、フィルタ5よりも低い頻度で交換される。
【0045】
フィルタの保持体3の本体部29は、筒状に形成されており、高さ寸法の値(中心軸の延伸方向における寸法の値)が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されている。第1の突出部9は、平板(平板状)であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されている。第2の突出部31も、平板(平板状)であって、この平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されている。
【0046】
さらに説明すると、フィルタの保持体3の本体部29は、たとえば、背の低い円筒状に形成されている。ここで、本体部29の外径の半径の値と本体部29の内径の半径の値との差が、本体部29の肉厚寸法になっている。
【0047】
第1の突出部9は、たとえば、所定の厚さと幅とを備えた円環状に形成されている。円環状の第1の突出部9についてさらに説明する。平面に第1の円と第2の円とを描き第1の円から第2の円を取り除いた円環形のものを、上記平面に対して直交する方向の僅かな距離だけ移動したときの上記円環形の軌跡が、円環状の第1の突出部9の形状になる。
【0048】
なお、第1の円の半径の値は、第2の円の半径の値よりも大きくなっており、第1の円の中心と第2の円の中心とがお互いが一致している。第1の円の半径の値と第2の円の半径の値との差が、環状の第1の突出部9の幅寸法になっており、上記円環形の僅かな移動距離が、第1の突出部9の厚さ寸法になっている。
【0049】
第2の突出部31は、たとえば、第1の突出部9と同形状になっている。第1の突出部9(第2の突出部31)の円の外径寸法の値と筒状の本体部29の外径寸法の値とはお互いが一致している。第1の突出部9(第2の突出部31)の厚さ寸法の値と、本体部29の肉厚寸法の値とはお互いが一致している。第1の突出部9の外周が本体部29の一方の開口部に接続されており、第2の突出部31の外周が本体部29の他方の開口部に接続されている。
【0050】
また、フィルタ5は、平板状に形成されており、この厚さ方向で圧縮され変形して本体部29と第1の突出部9と前記第2の突出部31との内側に設置されるようになっている。
【0051】
さらに説明すると、フィルタ5がフィルタの保持体3内に設置される前の状態では、
図9で示すように、フィルタ5の厚さ寸法h2の値と衣服用ファン本体部15のフランジ部23の厚さ寸法との値t1の和の値は、本体部29の中心軸の延伸方向における第1の突出部9と第2の突出部31との間の寸法h1の値よりも僅かに大きくなっている。
【0052】
一方、フィルタの保持体3がフィルタ5や衣服用ファン11とともに衣服7に設置されている状態では、第1の突出部9と第2の突出部31とで、衣服用ファン本体部15のフランジ部23とフィルタ5とが、本体部29の中心軸の延伸方向で付勢力をもって挟み込まれている。換言すれば、本体部29の中心軸の延伸方向で、衣服用ファン本体部15のフランジ部23とフィルタ5とが、付勢力をもって第1の突出部9と第2の突出部31とを押している。
【0053】
すなわち、
図8(a)で示す寸法h3の値が、
図9(a)で示す寸法h1の値よりもごく僅かに大きくなっており、
図8(a)で示す寸法h4の値が、
図9(b)で示す寸法h2の値よりも僅かに小さくなっている。
【0054】
また、フィルタの保持体3では、
図8(a)、
図9(a)で示すように、円柱状の本体部29の一方の開口部に、本体部29の中心軸の延伸方向で、第1の突出部9から突出している第1の突起35が設けられている。第1の突起35はたとえば幅の狭い円環状(リング状)に形成されており、衣服7の生地を面圧の高い状態で強く挟み込むことで、本体部29の中心軸の延伸方向に対して直交する方向である衣服7の生地の展開方向での、衣服用ファン11やフィルタの保持体3の位置ずれを防止するために設けられている。
【0055】
さらに説明すると、第1の突起35は、第1の突出部9の内周部から突出している。これにより、フィルタ5が設置されているフィルタの保持体3を衣服用ファン11とともに衣服7に設置した状態では、
図8(a)で示すように、リング状の第1の突起35と環状の固定材17とが衣服7の生地に直接接触しており、衣服7の生地が面圧の高い状態で強く挟み込まれている。
【0056】
なお、
図8(a)、
図9(a)以外の図では、第1の突起35の表示をしていないが、
図8(a)、
図9(a)以外の図でも、第1の突起35が設けられているものとする。なお、第1の突起35が削除されている構成であってもよい。また、第2の突出部31に第1の突起35と同様な突起を追加で設けてもよい。
【0057】
第1の突出部9に第1の突起35を設け、第2の突出部31にも第1の突起35と同様な突起を設けることで、フィルタの保持体3の剛性が高まるとともに、フィルタの保持体3の表裏を区別(第1の突出部9側と第2の突出部31側とを区別)することなく、フィルタの保持体3を使用することができる。
【0058】
次に、フィルタの保持体3、フィルタ5および衣服用ファン11の衣服7への設置について説明する。
【0059】
まず、衣服用ファン11のフランジ部23をフィルタの保持体3内に入れた後に、フィルタの保持体3にフィルタ5を設置する。この状態で衣服用ファン11を衣服7に設置するが、環状の固定材17とフランジ部23とで、衣服7の生地とフィルタの保持体3の第1の突出部9とを挟み込んで固定する。
【0060】
なお、フィルタの保持体3、フィルタ5および衣服用ファン11の衣服7への設置後(
図8(a)参照)しばらくしてフィルタ5を交換する場合には、
図8(a)に示す状態から、環状の固定材17を緩めることなく、フィルタ5のみを交換できる。
【0061】
フィルタの保持体3によれば、筒状の本体部29を備えて構成されているので、ある程度の厚さのあるフィルタ5を設置することができ、これにより高温で飛散等する物体をフィルタ5で遮断することができる。すなわち、厚さのあるフィルタ5を設置することができることで、火花等の熱によってフィルタ5に簡単に穴があく等することがなくなり、長時間にわたって使用してもフィルタ5によって高温で飛散等する物体を遮断することができる。これにより、衣服用ファン11内への高温で飛散等する物体が入り込むことが防止される。
【0062】
また、フィルタの保持体3によれば、フィルタ5が本体部29と第1の突出部9と第2の突出部31との内側に設置されるので、フィルタ5が外力から保護されており、外力によるフィルタ5の損傷を極力無くしフィルタ5の機能を維持することができる。
【0063】
また、フィルタの保持体3によれば、フィルタの保持体3が弾性体で構成されているので、フィルタ5の交換時にフィルタの保持体3を弾性変形させることで、フィルタ5の交換を容易にすることができる。
【0064】
また、フィルタの保持体3によれば、本体部29が高さ寸法の値が内径や外径の値よりも小さい筒状に形成されており、第1の突出部9が平板であってこの平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されており、第2の突出部31も平板であってこの平板の厚さ方向で見たときに所定の幅を備えた環状に形成されている。これにより、フィルタの保持体3の断面(円板状のフィルタ5の中心軸を含む平面による断面)に形状が「コ」字状になっている。そして、単純な形状のフィルタの保持体3でフィルタ5を的確に保持することができるとともに、衣服用ファン11とともに衣服7に的確に設置することができる。
【0065】
また、フィルタの保持体3によれば、円筒状の本体部29の一方の開口部に第1の突起35が設けられているので、フィルタ5が設置されているフィルタの保持体3を衣服7とともに衣服用ファン11で挟み込んでいるときに、衣服用ファン11とフィルタの保持体3とに発生する面圧(圧力)を大きくすることができる。そして、安定した状態で、フィルタの保持体3を衣服用ファン11とともに衣服7に設置しておくことができる。
【0066】
また、フィルタの保持体3によれば、フィルタ5が圧縮され変形して本体部29と第1の突出部9と第2の突出部31との内側に設置されるように構成されているので、フィルタの保持体3に設置されているフィルタ5のがたつきを防止することができ、フィルタ5の機能を発揮させることができ、一層確実にフィルタ5を保持することができる。
【0067】
また、フィルタの保持体3によれば、フィルタ5が筒状の本体部29と、本体部29の他方の開口部から内側に突出している第2の突出部31とで覆われているので、フィルタ5の角部が隠されており、フィルタ5の外面のうちの空気を吸い込む面だけが露出していることになり、突出物等の物体にフィルタ5が直接ぶつかるおそれがかなり減少する。
【0068】
また、フィルタ5が不織布やスポンジ等の柔らかい弾性材料で構成されているので、突出物等の物体にぶつかっても、フィルタ5が破損するおそれがかなり減少する。
【0069】
また、フィルタ5が背の低い円柱状(所定の厚さを備えた円板状)に形成されているので、所定の厚さの大きな平板状の素材(たとえば不織布)を単純形状に抜くことでフィルタ5を得ることができ、フィルタ5の製造工程を簡素化することができるとともにフィルタ5の製造コストを下げることができる。そして、フィルタ5を使い捨てにすることが容易になる。
【0070】
また、フィルタの保持体3が弾性体で構成されているので衣服用ファン11(環状の固定材17)のネジを緩めることなく衣服用ファン11とフィルタの保持体3とを衣服に設置したままの状態で、フィルタの保持体3を弾性変形させて、フィルタ5を交換することができる。
【0071】
また、フィルタ5を、立体的な網目構造を有する不織布で構成したことで、あらゆる方向から飛散する火花等を遮断することができる。フィルタの保持体3をシリコンゴムで形成することで、フィルタの保持体3の耐熱性も十分に確保することができる。
【0072】
また、フィルタの設置構造1によれば、フィルタ5が設置されているフィルタの保持体3の第1の突出部9が衣服7とともに衣服用ファン11によって挟まれることで、フィルタ5とフィルタの保持体3とが衣服7に一体的に設置されるように構成されている。これにより、粘着剤やゴム等の弾性体を用いて、フィルタ5を設置する場合に比べて、フィルタ5を強個に衣服7や衣服用ファン11に設置することができる。
【0073】
また、衣服用ファン11に設けられているネジによって、フィルタの保持体3の第1の突出部9が衣服7とともに衣服用ファン11によって挟まれることで、フィルタ5とフィルタの保持体3とが衣服7に一体的に設置されるように構成されているので、フィルタ5の交換が容易になっている。
【0074】
ここで、1つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図5を参照しつつ説明する。
【0075】
1つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、第2の突出部31に、フィルタ5を内側に入れやすくするための、内周側に開口している切り欠き37が設けられている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0076】
切り欠き37は、第2の突出部31に複数(たとえば3つ)設けられている。切り欠き37は、第2の突出部31をこの厚さ方向で貫通している。複数の切り欠き37は、第2の突出部31の円周(内周)をたとえば等分配する位置に配置されている。
【0077】
なお、切り欠き37を、第2の突出部31に設けることに代えてもしくは加えて、第1の突出部9に設けてもよい。すなわち、切り欠き37が、第1の突出部9、第2の突出部31の少なくともいずれかに設けられている構成であってもよい。
【0078】
図5で示すフィルタの保持体3によれば、第2の突出部31の内周側に開口している切り欠き37が設けられているので、フィルタ5を設置し、取り外し、交換するときに、第2の突出部31が弾性変形しやすくなっており、フィルタ5の設置、取り外し、交換を一層容易にすることができる。
【0079】
次に、2つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図6を参照しつつ説明する。
【0080】
2つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、第2の突起39が設けられている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0081】
図6で示すフィルタの保持体3の第2の突起39は、第1の突起35の外側であって第1の突起35と同軸で、第1の突出部9の外周のところに設けられている。また、第2の突起39は、第1の突起35(
図8(a)、
図9(a)参照)と同様に、たとえば環状に形成されており、本体部29の中心軸の延伸方向で、第1の突出部9から突出している。
【0082】
第2の突起39は、衣服用ファン11で衣服7と第1の突出部とを挟み込むときに、衣服用ファン11の環状の固定材17が内側に入るようにガイドし引っ掛け位置決めするようになっている。
【0083】
図6で示すフィルタの保持体3によれば、第1の突出部9の外周のところに第2の突起39が設けられているので、フィルタ5が設置されているフィルタの保持体3と衣服用ファン11とを衣服7に設置したときに、衣服用ファン11の衣服7への引っかかりができ、フィルタ5が設置されているフィルタの保持体3と衣服用ファン11との衣服7からの脱落を一層確実に防止することができる。
【0084】
なお、
図6で示すフィルタの保持体3において、第2の突出部31に、第2の突起39と同様な突起を追加で設けてもよい。
【0085】
次に、3つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図7を参照しつつ説明する。
【0086】
3つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、第2の突出部31の材質とその他の部位の材質とが異なっている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0087】
すなわち、
図7で示すフィルタの保持体3は、フィルタの保持体本体部29と第1の突出部9とが剛性の高い材料で一体成形されている。第2の突出部31が弾性を備えた材料で構成されている。
【0088】
なお、
図7で示すフィルタの保持体3において、第1の突出部9、フィルタの保持体本体部29、第2の突出部31のうちの少なくともいずれかを、剛性の高い材料で構成し、残りの部位を弾性を備えた材料で構成してもよい。ただし、第1の突出部9、フィルタの保持体本体部29、第2の突出部31の総てが、剛性の高い材料で構成されることはない。
【0089】
次に、4つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図8(b)(c)(d)を参照しつつ説明する。
【0090】
4つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、フィルタの保持体本体部29の形状が非円筒状なっている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0091】
図8(b)(c)(d)で示すフィルタの保持体3では、フィルタの保持体本体部29の形状が内径や外径の値が一定になっている円筒状ではなく、フィルタの保持体本体部29の形状が中心軸の延伸方向で次第に変化している。
【0092】
次に、5つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図10を参照しつつ説明する。
【0093】
5つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、第2の突出部31が、複数の突起41で構成されている点が、
図5等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図5等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0094】
突起41は、フィルタの保持体本体部29に複数(たとえば3つ)設けられている。複数の突起41は、本体部29の円周を等分配する位置に配置されている。
【0095】
なお、突起41を、第2の突出部31に設けることに代えてもしくは加えて、第1の突出部9に設けてもよい。
【0096】
次に、6つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図11を参照しつつ説明する。
【0097】
6つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、フィルタの保持体本体部29に複数の貫通孔43が設けられている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0098】
複数の貫通孔43は、フィルタの保持体本体部29の周方向で所定の間隔をあけてならんでいる。
【0099】
次に、7つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図12を参照しつつ説明する。
【0100】
7つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、フィルタの保持体本体部29と第1の突出部9とが複数の「L」字状の突起45で構成されている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0101】
複数の突起45は、フィルタの保持体本体部29の周方向で所定の間隔をあけてならんでいる。なお、フィルタの保持体本体部29と第2の突出部31とを複数の「L」字状の突起45で構成してもよい。
【0102】
次に、8つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図13を参照しつつ説明する。
【0103】
8つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、2つの部材47、49で構成されている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0104】
2つの部材47、49がお互いに一体化することで、(a)(b)で示すように、フィルタの保持体3が形成され、2つの部材47、49を分離することで、(c)で示す態様になる。
【0105】
次に、9つ目の変形例に係るフィルタの保持体3について
図14を参照しつつ説明する。
【0106】
9つ目の変形例に係るフィルタの保持体3は、フィルタの保持体本体部29にスリット状の切り欠き51((a)参照)や所定の幅の切り欠き53((b)参照)が設けられている点が、
図4等で示すフィルタの保持体3と異なっており、その他の点は、
図4等で示すフィルタの保持体3と同様に構成されており、同様に使用される。
【0107】
切り欠き51、53は、フィルタの保持体本体部29の周方向で延びているとともに、フィルタの保持体本体部29の肉部をこの厚さ方向で貫通している。そして、フィルタの保持体本体部29やフィルタ5を弾性変形させることで、切り欠き51、53をフィルタ5が通り抜けることができるようになっている。
【符号の説明】
【0108】
1 フィルタの設置構造
3 フィルタの保持体
5 フィルタ
7 衣服
9 第1の突出部
11 衣服用ファン
29 本体部(フィルタの保持体本体部)
31 第2の突出部
35 第1の突起
37 切り欠き
39 第2の突起