(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】プラント運転データ監視装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
G05B23/02 T
(21)【出願番号】P 2020053787
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 瑶実
(72)【発明者】
【氏名】岩重 健五
(72)【発明者】
【氏名】柿本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲史
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-020173(JP,A)
【文献】特開2009-180722(JP,A)
【文献】特開2018-190050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの運転データを入力する入力部と、入力した運転データを記憶するデータベースとプログラムを実行する演算部とを備える計算機とから構成されたプラント運転データ監視装置であって、
前記演算部は、入力した運転データを第1のデータベースに時系列に記憶し、記憶した運転データのピーク値
である極大値と極小値を検出し、連続する極大値と極小値の組み合わせについて、その間の時間と値の差から運転データの傾きを正負ごとに求めて正負ごとの第2のデータベースに時系列に記憶し、正負の傾きの異常判定するための閾値を決定して、正負の傾きのそれぞれを正常値と異常値に区別して正負ごとの前記第2のデータベースに追加記憶する
とともに、
前記異常判定するための閾値は、正負の傾きごとに相違する閾値とされていることを特徴とするプラント運転データ監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラント運転データ監視装置であって、
前記異常判定するための閾値は、正負の傾きのそれぞれについて複数段の閾値が設置されていることを特徴とするプラント運転データ監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプラント運転データ監視装置であって、
第1段閾値を超過した後により大きな閾値の第2段閾値を超過する時間的な傾向を示すことを確認することにより、異常が進展したことを判断することを特徴とするプラント運転データ監視装置。
【請求項4】
プラントの運転データを入力し、入力した運転データを用いてプラントの異常を監視するプラント運転データ監視方法であって、
入力した運転データを時系列に記憶し、記憶した運転データのピーク値
である極大値と極小値を検出し、連続する極大値と極小値の組み合わせについて、その間の時間と値の差から運転データの傾きを正負ごとに求めて時系列に記憶し、正負の傾きのそれぞれについて異常判定するための閾値を決定して、正負の傾きのそれぞれを正常値と異常値に区別して正負ごとに記憶する
とともに、
前記異常判定するための閾値は、正負の傾きごとに相違する閾値とされていることを特徴とするプラント運転データ監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントを構成する機器からの運転データを監視し、異常発生の早期検知を可能とするプラント運転データ監視装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントにおいては、プラントを構成する機器からの運転データを監視し、その異常発生を早期検知することが広く行われている。
【0003】
これらの手法の多くは、運転データや運転データを用いた推定データが所定閾値や所定閾範囲を逸脱することを監視して異常とし、あるいは運転データ間の物理的な相関を利用し、相関関係の不成立をもって異常としたものである。
【0004】
このための具体的な実現手法の一例として、特許文献1の「設備の劣化状態判定システムおよび設備の劣化状態判定方法」が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に例示されるような、他の運転データとの関連性を用いた手法は、運転データ間の物理的な相関が高い場合には有効な手法と言える。
【0007】
一方、運転データ間の物理的な相関が低い(物理・工学的に関連性の低い)、独立性の高い(従属性の低い)運転データについては、他の運転データとの関連での判断が困難なことから、自己運転データのみから異常又はその予兆を判断する手法が望まれる。
【0008】
以上のことから本発明においては、特に物理的な相関が低い独立性の高い運転データを対象とするに適したプラント運転データ監視装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラントの運転データを入力する入力部と、入力した運転データを記憶するデータベースとプログラムを実行する演算部とを備える計算機とから構成されたプラント運転データ監視装置であって、演算部は、入力した運転データを第1のデータベースに時系列に記憶し、記憶した運転データのピーク値から運転データの傾きを正負ごとに求めて正負ごとの第2のデータベースに時系列に記憶し、正負の傾きのそれぞれについて異常判定するための閾値を決定して、正負の傾きのそれぞれを正常値と異常値に区別して正負ごとの第2のデータベースに追加記憶することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、プラントの運転データを入力し、入力した運転データを用いてプラントの異常を監視するプラント運転データ監視方法であって、入力した運転データを時系列に記憶し、記憶した運転データのピーク値から運転データの傾きを正負ごとに求めて時系列に記憶し、正負の傾きのそれぞれについて異常判定するための閾値を決定して、正負の傾きのそれぞれを正常値と異常値に区別して正負ごとに記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
特に物理的な相関が低い独立性の高い運転データを対象とするに適したプラント運転データ監視装置及び方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の具体的な適用対象の一例である火力プラントの機器構成例を示す図。
【
図2】一般的なプラント運転データ監視装置の構成例を示す図。
【
図3】入力した運転データの時間変化例を示した図。
【
図4】データベースDBに記憶された運転データの加工記憶事例(プラス側)を示す図。
【
図5】データベースDBに記憶された運転データの加工記憶事例(マイナス側)を示す図。
【
図7】傾きプラスのデータベースDBB+に格納するのか、傾きマイナスのデータベースDBB-に格納するのかを判別する処理内容を示す図。
【
図8】処理プログラムPgのなかで、特に処理ステップS4の処理内容をさらに具体的に記述した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本実施例に係るプラント運転データ監視装置の具体的な適用対象の一例である火力プラントの機器構成例を示している。
【0015】
図1に例示する火力プラントは、その構成機器を大別すると発電機G、タービンT、ボイラBから構成されたものということができる。これらはいわゆる主機と呼ばれるものである。これに対しこれら主機の機能を維持する目的で設置される機器、機器群が補機と呼ばれるものであり、図の例では発電機補器GA、タービン補器TA、ボイラ補機BA以外に復水器Cや発電機励磁回路G1も補機とすることがある。
【0016】
プラントはこのような多くの構成機器の群で構成されるのが通常であり、本実施例では、このようなプラント構成機器の運転データに着目して、センサ、通信部、入力部などを適宜介して計算機内に取り込んでくる。このための構成は、通常よく知られた構成のものでよい。
【0017】
図2は、一般的なプラント運転データ監視装置の構成例を示す図であり、計算機で構成されるプラント運転データ監視装置1は、プラント機器2に設置された図示せぬセンサから通信部、入力部などを適宜介して計算機内にプラントの運転データDを取り込んでいる。この場合の運転データDは、運転データ間の物理的な相関が低い(物理・工学的に関連性の低い)運転データを対象とすることがあり、他の運転データの取り込み周期と拘わりなく、任意周期での取り込みとすることができる。なお運転データ間の物理的な相関が低い(物理・工学的に関連性の低い)独立性の高い運転データとしては、発電機の固定子冷却水の電気伝導度、発電機の封入水素濃度、水素純度、水素圧力などが例示される。
【0018】
計算機1内では、内部のデータベースDBに運転データDが時系列記憶される。この場合に初期段階での記憶形式は、データベースDBAに例示するように、少なくともデータ採取時刻と運転データの名称、値が相互に関連付けて時系列的に記憶されたものである。
【0019】
また計算機1内には、入力した運転データDを取り扱う処理手順である処理プログラムPgが格納されており、取り込まれた運転データは、処理プログラムPgに従って逐次処理実行される。
【0020】
図6に例示する運転データを取り扱う処理手順である処理プログラムPgでは、時系列に記憶した運転データを傾きで評価する運転データに加工して、記憶形式を変更して新たに記憶する。
【0021】
図3は、入力した運転データDの時間変化例を示した図である。
図3の上部は縦軸に運転データDの大きさ、横軸に時間を示しており、偶数番号の時刻t0、t2、t4・・・で増加に転じ、奇数番号の時刻t1、t3、t5・・・で減少に転じた傾向を示した事例である。ここでは、各時刻に到達した上下のピーク値が、
図3の前半分(時刻t0から時刻t8)ではA1からA4で示され、後半分(時刻t9から時刻t17)ではB1からB4で示されている。なおここでは、各ピークを区分する目的のために、各ピークに通称を冠している。これらは、上ピークA1,A,A3,下ピークA1,A,A3といった具合である。
【0022】
本実施例では、データベースDBAに時系列に記憶した運転データDに関して、このデータは
図3上部に例示されるような時系列的に増減を繰り返す運転データDである点に着目する。
図3下部には、運転データDの増減の各時間帯内における変化率(図示では傾きとして表記)を例示している。なおここでは、前半分(時刻t0から時刻t8)の期間は、正常時における変動期間を意味しており、この正常期間の増加変化率dn1と、減少変化率dn2はそれぞれ所定の一定値、あるいは所定の一定幅内の値を示しているものとする。
【0023】
これに対し、後ろ半分の期間(時刻t9から時刻t17)は、異常時における変動期間を意味しており、この異常期間の増加変化率da1と、減少変化率da2は、一般には正常値に拘束されない任意の値となりえる。図示の例では、異常時の増加変化率da1がt8-t9間の例に示すように、正常期間の増加変化率dn1よりも非常に大きく、あるいは異常時の増加変化率da1がt10-t11間の例に示すように、正常期間の増加変化率dn1よりも非常に小さな値となる。また同様に、図示の例では、異常時の減少変化率da2がt11-t12間の例に示すように、正常期間の減少変化率dn2よりも非常に大きく、あるいは異常時の減少変化率da2がt9-t10間の例に示すように、正常期間の減少変化率dn2よりも非常に小さな値となる。これらの増減方向の変化率の変動は、そのいずれもが、プラント構成機器における何らかの異常を予知、類推可能な傾向を示しているものと考えることができる。
【0024】
図6の処理プログラムPgでは、データベースDBAに蓄積された時系列的な運転データDを傾きの観点から評価し、加工してデータベースDBBの記憶形式に変更していく。処理プログラムPgは、計算機内の演算部において処理される。
【0025】
図2の計算機1内部のデータベースDBのうちDBAには、まず運転データDがデータ採取時刻の情報とともに、記憶されていく。これに対し、処理ステップS1における加工後の記憶情報は、運転データの傾きの情報を含み、必要に応じて適宜、その傾きを評価したうえで、正常時の運転データ、異常時の運転データの区分分け、記憶領域分けがされたうえで、適宜加工整理され、記憶されている。
【0026】
図4、
図5は、データベースDBBに記憶された運転データの加工記憶事例を示している。
図4と
図5は、扱う運転データが、傾きがプラス(増加変化率da1とdn1)の場合のデータ群と、傾きがマイナス(現象変化率da2とdn2)の場合のデータ群に分けて、データベースDBのエリアを分けて記憶されたことを表している。これらの図において、記憶されるデータは、ピーク通称D11,運転データの値D12、傾きD13、判定結果(異常、正常の区別)D14を含んでいる。またこれらのデータは適宜時刻情報を含むものであってもよい。
【0027】
図6の処理では、処理ステップS1において着目した1つの運転データの時系列を用いて、連続する極大値と極小値の繰り返しを検知する。この連続する極大値と極小値の組み合わせに対して、以後の処理では、上下のピーク(極大値、極小値)となる時刻及び値、ならびにこの間における増減方向の傾きを順次算出して記憶する。
【0028】
処理ステップS2では、連続する上下のピーク値を一つの組として順次呼び出し、処理ステップS3ではこの間の時間やピーク値の差から、傾きを算出する。また処理ステップS4では、過去に算出した多くの傾きのデータやそこから導き出される閾値を用いて、今回算出した傾きが正常時の傾きであるか、異常時の傾きであるかを判別して、傾きごとにラベリングを行なう。そして、判別結果がラベリングされた傾きデータは、それぞれ傾きがプラスであれば
図4の傾きプラスのデータベースDBB+に格納し、傾きがマイナスであれば
図5の傾きマイナスのデータベースDBB-に格納する。
【0029】
これらの処理は、特定の運転データの全ての連続する極大値と極小値の組み合わせに対して、順次実行される。また、他の運転データに対しても逐次実行される。かくして、
図4、
図5に例示する加工後の傾きデータとして、データベースDBBが逐次拡張、形成されていく。
【0030】
図7は、処理プログラムPgのなかで、特に傾きプラスのデータベースDBB+に格納するのか、傾きマイナスのデータベースDBB-に格納するのかを判別する処理部分の具体構成例を例示している。この処理は、処理ステップS10において、取り出した連続する上下のピーク値の組が、上ピーク、下ピークの順に発生したものか、逆に下ピーク、上ピークの順に発生したものかを判別する。この判別結果に基づいて処理ステップS11では前者を傾きマイナスのデータベースDBB-に格納し、後者を傾きプラスのデータベースDBB+に格納する。
【0031】
図8は、処理プログラムPgのなかで、特に処理ステップS4の処理内容をさらに具体的に記述したものである。ここでは、正常値と異常値に識別するにあたり、これを識別するための閾値の設定に関する処理を行うものである。尚この閾値の設定手法にはいくつかのものが考えられ、ここではその一例を示している。
【0032】
まず処理ステップS21の処理段階では、
図4、
図5のピーク値一覧表は、ピーク通称D11,運転データの値D12、傾きD13までのデータが形成されており、個々のピーク値についての判定結果(異常、正常の区別)D14は記憶されていないものとする。処理ステップS21では、例えば
図4の傾きプラスピーク値に着目する。なお、この一連処理が終了後は
図5の傾きマイナスピーク値に着目することになる。
【0033】
処理ステップS22では、
図4の傾きプラスピーク値に含まれる複数の傾きの中で例えば平均的な値から離散した値を示す傾きに着目する。さらに離散の程度に応じて例えば20%程度以上大きめな値を示すもの、20%程度小さめな値を示すものを、明らかな異常値と判断して、平均値からプラスマイナス20%を異常判定の閾値に設定する。この閾値決定には、各種の確率論や統計学的な手法を用いることができる。例えば、標準偏差σを基準に閾値を設定してもよく、標準偏差σの4倍をとってプラスマイナス4σを異常判定の閾値に設定してもよい。
【0034】
上記説明は、異常を判定するための閾値設定の考え方を述べたが、同様にして、異常データを除外した正常データのデータ群から正常値識別のための閾値が設定できることは言うまでもない。また、明らかな異常データからも閾値を導出することもできる。 なお、プラントデータの異常発生は、瞬間的に大きく変化することもあるが、一般的には時間経過とともに異常の程度が進展する予兆傾向を示すことが多い。予兆傾向を示すことを勘案するならば、閾値は1段とするのではなく、複数段を設定して、異常に至るまでの予兆段階が見えるように設定しておくのがよい。
【0035】
図3の下部に示した運転データの傾きは、正常時の値dn1、dn2と異常時の値da1,da2を表記しているが、異常時の値da1,da2を識別するための閾値が傾きのプラス、マイナス毎に傾きの上下に対して各3段の閾値が設定されていることを示している。したがって、第1段閾値を超過した後により大きな閾値の第2段閾値を超過する時間的な傾向を示すことが確認できたときには、異常が進展している状況であり、異常の予兆として把握することが可能である。
【0036】
処理ステップS23では、設定した閾値に基づいて正常、異常の判定フラグD14が未設定の傾きデータに対して評価を行い。処理ステップS24では、特に異常とされたものについて異常または異常予知段階をラベリングして、
図4、
図5のデータベースを構築する。その後に、
図5の傾きマイナスピーク値について同様の処理を実行する。
【0037】
上記一連の処理によれば、傾きプラスと、傾きマイナスのそれぞれについてデータベースが形成され、かつそれぞれのデータ群に対して傾きプラスと、傾きマイナスごとに個別に異なる値の閾値が決定され、異常、異常予兆レベルが決定され、データ分類が行われることになる。なお、異常、正常の閾値設定は、サンプル数が増えるほど高精度にできることから、
図8の処理は適宜の周期で繰り返し実行するのがよい。
【0038】
本実施例によれば、例えば発電機固定子冷却水の電気伝導度が運転データである場合に関して、プラスの傾きが下限を越えた場合と、マイナスの傾きが上限を越えた場合を個別に監視することが可能である。また前者の場合に電気伝導度の傾きが下限を越えた原因として、イオン交換樹脂の劣化、イオン交換樹脂を通るラインの目詰まり、固定子冷却水ラインの返水部部品のイオン化などが想定でき、後者の場合に電気伝導度の傾きが上限を越えた原因として、イオン交換樹脂の入れすぎ(過剰投与)、イオン交換樹脂を通らないラインの目詰まりなどが想起できる。
【0039】
さらに例えば発電機に封入する水素ガスの純度に関して、プラスの傾きが下限を超えた場合、水素ガス乾燥器のシリカゲルが劣化している可能性がある。また水素ガス純度に関して、傾きがプラスの時及びマイナスの時に、それぞれ2つずつ(上下限)閾値がある場合に、プラスの傾きが下限を超えた場合、水素ガス乾燥器のシリカゲルが劣化している可能性があり、プラスの傾きが上限を超えた場合、水素ガス乾燥器内のヒーターの熱やブロワーの風が通常よりも過剰な異常状態である可能性がある。また一般にはこれらの発生事象での閾値が相違することから、異常予兆の発生原因の特定にも貢献することができる。
【0040】
以上詳細に述べた実施例によれば、プラント構成機器の運転データに対して、上下限ピーク値を検出し、その傾き(プラス/マイナス)を算出し、当該傾きを経過監視することで、信頼性の高い、機器の劣化、及び/又は、異常予兆、及び/又は、異常の検知を実施することが可能となる。この結果、プラント構成機器の信頼性向上、プラント構成機器の予防保全に役立つことが期待できる。
【0041】
また、傾きがプラスの場合とマイナスの場合とを区別して異常判定を行なうことにより、傾きがプラスの場合とマイナスの場合とでそれぞれ適切なしきい値を設定することができる。具体的には、傾きがプラスの場合の上限値及び下限値、傾きがマイナスの場合の上限値及び下限値を設定することができる。さらには、各上限値及び下限値を複数段階設けることもできる。そして、傾きがプラスの場合とマイナスの場合のそれぞれで、上限値と下限値でそれぞれ異なる異常予兆・異常を検知することが可能となる。例えば、プラスの傾きのときの上限で検知可能な異常予兆・異常とは異なる事象を、下限で検知することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1:プラント運転データ監視装置(計算機)
2:プラント機器
G:発電機
T:タービン
B:ボイラ
GA:発電機補器
TA:タービン補器
BA:ボイラ補機
C:復水器
G1:発電機励磁回路